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IBM Rational RequisitePro のご紹介

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IBM Rational RequisitePro のご紹介
IBM Rational RequisitePro のご紹介
1.RequisitePro って何?
本記事では、要求管理ツールである IBM Rational RequisitePro(リクイジットプロと読み
ます。以下 ReqisitePro と記します。
)の基本的な使用方法を紹介します。お客様の要求を
管理することに頭を悩ませているエンジニアは多いでしょう。誰がどんなことを要求して
いるのか、全部でいくつの要求があるのか、その安定度はどうなのか、どの程度の予算で
どの要求が実現できるのか、、、文書だけで管理していては即答できない問題ばかりです。
そこで RequisitePro の出番となります。
図1に RequisitePro の基本画面を示します。
図 1. RequisitePro の基本画面
左側はウィンドウズエクスプローラのような画面が表示されています。右側のウィンドウ
に表示されているのは要求の一覧です。要求の優先順位やステータス、難易度、安定性、
発起者などがしっかり管理されているのがわかります。これらの要求の性質のことを要求
の「属性」と呼びます。
試しに要求をひとつダブルクリックしてみましょう。そうすると実際に要求が書かれた
Microsoft WORD 文書が自動的に開き、該当部分が強調表示されます(図 2)。
図 2. WORD 文書に記載されている要求
逆に WORD 文書から RequisitePro の基本画面へ飛ぶこともできます。データベースなら
ではの情報管理能力の高さと、WORD 文書の文脈の読みやすさ、書きやすさを併せ持った
強力な要求管理ツール、それが RequisitePro です(図 3)。
どうです。単純明快。使いやすそうな仕組みでしょう。
この仕組みをベースにして、RequisitePro では以下のような機能を実現します。
z
要求とその属性の管理
z
要求に関するディスカッション機能(要求をスレッドとするフォーラムのような機能)
z
要求の改定履歴を管理
z
異なる抽象度の要求間のトレーサビリティ追跡
z
プロジェクトの進行状況を客観的に把握できるメトリクス
z
使いやすい Web インターフェース
図 3. データベースと WORD を自由自在に操って要求を管理
2.データベースへの要求の登録
デ ータベースを要求に登録する方法は簡単です。まずは要求が書かれている文書を
RequisitePro に登録します。そして文書を開いて、
「これはソフトウェアで実現しなければ
いけない」という内容を記述している部分を選択して「新規の要求」アイコンをクリック
します。
図 4. 要求の登録
すると、図 5.の画面が表示されます。
図 5. 要求のプロパティ
この画面からはいろいろな情報を入力できますが、ここではデフォルトのまま OK を押す
だけにしておきましょう。図 6.のように要求の表示が変わります。
図 6. 保留状態の要求
この段階では要求はまだ保留状態です。登録を完了するには、「要求ドキュメントの保存」
アイコンをクリックします。(図 7.)
図 7. 要求ドキュメントの保存
要求ドキュメント内の要求は図 8.のように表示されます。
図 8. 登録された要求(WORD 画面)
登録された要求はデータベースのビューからも参照することができます(図 9.)
デフォルトのまま要求を登録したので、属性値にはデフォルトの内容が登録されています。
図 9. データーベースに登録された要求
3.要求管理体系の定義とインパクト分析
要求や属性の種類は自由に規定することができます。通常はプロジェクトの開始時に「要
求管理計画書」というものを書いて、要求管理の対象とする「要求タイプ」、「要求属性」、
「トレーサビリティ」の定義をします(図 10.)。これらの内容に制限はありません。プロ
ジェクトの特性に合わせて自由に規定することができます。
図 10. 要求管理体系の例
要求属性を適切に管理することによって開発スコープの管理をすることができます。要求
や予算の変更があった場合に優先度や見積りといった項目でソートするなどデータベース
を活用した分析を行い、受け入れが可能かどうか、また受け入れる場合にトレードオフと
なる機能の候補は何か、といったことを把握することができます。これで頻繁な要求変更
にもシステマティックに対応できます。
要求のトレーサビリティは図 11.右下の画面で管理します。トレーサビリティが定義されて
いる要求に変更があると自動的に赤い斜線(「サスペクトリンク」)が表示されます。サス
ペクトリンクを目印にして要求変更がどこで起こっているかを常に把握することができま
す。このようにして頻繁に起こる要求変更のインパクト分析を容易に行うことができます。
なお、要求が登録、変更された時に Email で通知する機能もあります。
図 11.要求変更のインパクトをリアルタイムに監視
4.ディスカッショングループと改定履歴
初期の要求は非常にあいまいなものです。様々な人の要求をまとめ、整理していく過程で、
プロジェクトメンバー全員のコンセンサスもとらなければなりません。そんな時に役立つ
機能が「ディスカッショングループ」です。
これは要求ごとにスレッドを起こしたフォーラムのような機能です。要求に対して自由に
議論を行うことができます。要求をまとめることにも役立ちますが、あとから振り返って、
要求が定義される過程の議論が残っており、アクセスが容易なことは要求に従って正確に
開発を行う上で非常に強力な武器になります。
ディスカッショングループも投稿があった場合にメールで通知する機能を持っています。
図 12.ディスカッショングループ
また、要求の変更を追跡する機能として、要求の改定履歴を参照できる画面があります。
いつ、誰が、何をしたかはツールが自動的に管理しています。個別の要求についてこれら
の改定履歴を参照することができます。
図 13. 要求の改定履歴
5.データベースでの要求の分析
データベースは以下の3種類のビューを通して参照できます。
・ 属性マトリクスビュー
縦軸に要求、横軸に属性を表示するビューです。主に要求属性の参照、設定のために利
用します。(図 1.、図 9.)
・ 追跡可能性マトリクスビュー
縦軸、横軸にそれぞれ異なる要求を表示するビューです。要求間のトレーサビリティの
設定やサスペクトリンクの確認のために利用します(図 13.)。
図 14. 追跡可能性マトリクスビュー
・ 追跡可能性ツリービュー
トレーサビリティで関連付けられている要求をいもづる式にツリー形式で表示するビ
ューです。サスペクトリンクの確認、インパクト分析のために利用します(図 14.)。
図 15. 追跡可能性ツリービュー
・ クエリー
要求に関する様々なクエリーを適用し、ソートや抽出を行うことができます(図 15.)。
クエリーの条件はビューとして保存することができますので、例えば、変更が発生して
検討をしなければいけない要求の一覧や、優先度・難易度・重要度等が高い順に要求を
参照する画面などを簡単に定義することができます。図の例は、ステータスが承認済み
で優先順位が中のもののみ抜き出しています。
図 16. ビューにクエリーをかける
6.メトリクス
改定履歴機能でも触れましたが、RequisitePro を使って要求管理をしていると、いつ、誰
が、何を行ったかが自動的に蓄積されます。
これをグラフ化してみることでプロジェクトの状況を判断する指標とすることができます。
特に要求段階の進捗管理は難しく、ドキュメントの進捗をパーセンテージで図っているプ
ロジェクトが多いと思います。RequisitePro ではそれらの指標に加えて、たとえば図 16.
のような傾向メトリクス(時系列分析)を利用することでプロジェクト状況の把握がより
正確になります。図 16.は基本要件とユースケースの作成状況を時系列の Excel 形式のトレ
ンドグラフにしたものです。要求工程の期間において、基本要件の作成数は序盤から中盤
にかけて多くなり、終盤にかけて少なくなれば要求は安定してきていると判断することが
できます。
またユースケースの作成状況を合わせてみることで要求整理→ソフトウェア要求化の状況
が健全かどうかも判断することができます。このような客観的なメトリクスは非常に役立
つものです。RequisitePro ではこの他にも、要求の数や属性などをカウントして棒グラフ
として表示するメトリクス機能を備えています。
25
20
15
新規要件数
新規UC数
10
5
図 17. 要件とユースケースの傾向メトリクス
2007/7/24
2007/7/10
2007/6/26
2007/6/12
2007/5/29
2007/5/15
2007/5/1
2007/4/17
2007/4/3
2007/3/20
2007/3/6
2007/2/20
2007/2/6
2007/1/23
2007/1/9
0
7.拡張性
以上、RequisitePro の基本的な使い方をご説明してきました。RequisitePro は特に開発プ
ロセスや要求の種類に制限を与えるものではないということはご理解いただけたものと思
います。最後に、RequisitePro と一緒にもう一歩進むとどのような世界が広がっているか
をご紹介しておきます。
RequisitePro は Rational Unified Process(ラショナル統一プロセス、以降 RUP と記述し
ます)と組み合わせて使用することにより最も威力を発揮します。RUP では要求の開発プ
ロセスのどの段階で RequisitePro をどのように使用すればよいかが記述されています。
図 18. RUP のワークフロー(開発手順)
RUP ではいつ、誰が、何を、どうする、という内容が記述されています。RUP の推奨成果
物とトレーサビリティを活用することで RequisitePro をより用意にかつ効果的に使用する
ことができます。
図 19. RUP の推奨成果物とトレーサビリティ
また、RUP の特徴として開発プロセスが自動化できるように各種のツールが用意されてい
ることがあげられます。要求は開発のベースになります。設計や変更管理、構成管理、テ
ストなどを実施する際には RequisitePro に格納されている要求をチームメンバーが適切に
理解して作業をすることが重要です。Rational 製品なら図 19.のように各製品を統合してシ
ームレスに要求を確認しながら開発を進める理想的な環境を構築可能です。
図 20. ツール統合
8.まとめ
RequisitePro は要求文書とデータベースを容易に結合し、チームで要求を共有するととも
に要求のトレーサビリティや変更を管理します。これにより、要求変更時のインパクト分
析、要求変更の履歴保持、プロジェクトスコープの把握が容易になります。また、プロジ
ェクト進捗状況の判断に役立つメトリクスを提供します。
更に、開発プロセスとして RUP を採用することで要求管理のベストプラクティスを容易に
実践でき、より威力を発揮します。
RequisiteProの詳細な機能についてはこちらをご覧ください。
評価版はこちらから入手できます。
当資料は発行時点の情報に基づいて作成されていますが、事前の予告なく変更される場合があり
ます。
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