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ド ク タ ー

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ド ク タ ー
います。地域連携においても、今期の大
二つのテーマ
がん診療に関する取組み
県立医大病院として特に力を入れて
い る テ ー マ が 二 つ あ り ま す。
「がん診療
の推進」と「救急医療の充実」です。
に 入 っ て お り、 県 の 行 政
和 歌 山 県 は、 都 道 府 県 別 が ん 死 亡 率
や が ん 健 診 率 な ど、 ど の 統 計 に お い て
もワースト
ます。
減らすこと」を大きな目標に掲げてい
自 体 が「 和 歌 山 県 に お け る が ん 死 亡 を
10
質の高い医療の
提供とやさしい
病院を目指して
入力を行うことを試みました。
きなテーマと認識してデータ化を実施。
地域にある5つのがん診療拠点病院
をまとめる役目を当病院が担っている
神奈川県
和歌山県和歌山市 和 歌 山 県 立 医 科 大 学 附 属 病 院
紀州徳川家の城下町として栄え、大きく発展してき
も 含 め た 広 域 の 救 急 医 療 に、 そ の 威 力
る。 た っ た
乗せて歩きました。患者さんの手首にバー
端末に配信することも実現しました。
平 成 年 の 新 病 院 の 建 設 に 伴 い、 全
面的にオーダーエントリーシステムを
人工呼吸器がどこに何台あるか、端末で
こ と も あ り、 が ん 診 療 連 携 に 関 す る プ
甲府市
た和歌山県和歌山市。万葉集にも数多く詠われ、古
健医療の向上への貢献」を理念としています。
和歌山県がん診療連携拠点病院などに指定され、全国的にも早くから導
入されたドクターヘリをもって救急医療の中心的な役割を担う県立医大病
院の岡村病院長をはじめ、担当の方々に、ICT化の状況や地域医療連携
を発揮しています。
その後、平成 年1月、第2期の段階
で、将来の電子カルテ化を睨んだステッ
(地域社会における良質な医療)について、お話を伺いました。
明 会 を 開 催。 ま た、 化 学 療 法 セ ン タ ー
た と え ば、 大 量 出 血 し て い る 患 者 さ
ん の 場 合、 搬 送 に 1 時 間 か か っ た ら 死
プアップとして「処置」を含めたフルオー
二つ目の救急医療に関しては、がんと
は逆に、厚生労働省の救命救急センター
命率が上げられるというデータがあり
コードのついたリストバンドを巻いても
ドクターヘリの運用
また、携帯端末を利用したベッドサイド
を 作 り、 広 い ス ペ ー ス で 専 門 家 が 集 中
亡 す る 可 能 性 が 高 い の で す が、 こ れ が
ダーを実施。無線LANを張り、携帯端
して治療にあたっています。
%以内の死亡率に変えられ
末の代わりにノートパソコンをワゴンに
充実段階評価においても高い評価(全国
ま す。 こ の 搬 送 時 間 短 縮 の 大 き な 武 器
~
7位)を得ています。地域におけるセン
らい、注射や輸血の時のチェックを取り
ICT化の状況
そして、昨年5月、第3期の段階で電
子カルテシステム、フルパックスを導入。
ペ ー パ ー レ ス 運 用 を 支 援 す る た め、 ス
キャンシステムや汎用画像管理システム
導入する計画が始まり、第1期は、入院・
を導入しました。よりセキュリティーを
外来すべて、オーダーリングシステムを
管理して有効活用を図るとともに、所在
情報管理班が中心となって常にアイデ
に稼働した際に混乱をきたしましたが、
釈 が 違 っ た た め、 余 計 に 戸 惑 い、 実 際
ま た、 第 3 期 で は シ ス テ ム ベ ン ダ ー
の 変 更 に よ り、 同 じ 言 葉 で あ っ て も 解
管理のシステムを導入しました。
上げるため、指静脈の認証を取り入れて
一斉稼働。画像データを電子的に管理し
不明にならぬようRFIDを用いた機器
オーダーエントリーシステム
(概要)
子化を行いました。3次元画像をオーダー
と な っ て い る の が ド ク タ ー ヘ リ で、 全
分だと
分の違いでかなり救
和歌山県立医科大学附属病院
ター間の連携、協力体制もできています。
年 1 月 か ら、 医 師・ 看
難 を 解 消 す る た め、 屋 上 に ヘ リ ポ ー ト
を 備 え、 平 成
護師が直接出向き治療を行うドクター
ヘ リ の 運 用 を 始 め ま し た。 多 い 時 は 一
名の
名 の フ ラ イ ト ナ ー ス が、 い つ
日 4 件、 年 間 約 4 0 0 回 出 動。
医師と
山梨県
て参照できる仕組みを取り入れました。
バーコードによる確認
でも4分以内に飛べる体制を整えてお
り、 県 内 の み な ら ず、 奈 良 県 や 三 重 県
30
ロ ジ ェ ク ト に 取 り 組 み 始 め ま し た。 具
静岡県
くからの名勝地として知られる「和歌の浦」、和歌
浦湾が一望できる「紀三井寺」は桜でも有名です。
和歌山県
入れ、看護部は医師の記録に先駆けて電
17
国的にかなり高い評価を受けています。
30
山間地が多く主要道路も海岸線沿い
にあるといった和歌山県の地理上の困
50
20
ベッドサイド入力
13
者 さ ん の 感 染 症 情 報 を 登 録 し て お け ば、
患者さんにとっては、薬待ち、会計待
ちの時間が大幅に減りました。また、患
ています。
理 の 3 点 確 認 な ど、 医 療 安 全 に 役 立 て
使 用 し た 輸 血、 注 射、 手 術 場 の 入 室 管
薬 の 重 複 投 与 や 適 用 量 の チ ェ ッ ク、
検査の重複チェックや、バーコードを
タは研究・教育、経営管理に使います。
電子化された情報を長期に保存し、デー
ス は、 保 管 ス ペ ー ス の 削 減 と 同 時 に、
有 し ま す。 ペ ー パ ー レ ス、 フ ィ ル ム レ
り 込 み、 診 療 情 報 の 記 録 を 統 合 化 し 共
画 像 や 各 科 検 査 な ど を、 画 像 と し て 取
て い ま す。 汎 用 画 像 シ ス テ ム は 内 視 鏡
整ったことが、一番大きなことだと思っ
る。 診 療 情 報 の 共 有 と い う 点 で 環 境 が
で き、 い つ で も 開 い て 見 る こ と が で き
て い た の が、 端 末 さ え あ れ ば ア ク セ ス
これまで、医師の記録、看護の記録、
リハビリの記録がバラバラに保管され
導入による効果
されています。
に医療情報部が設置
げていくことを目的
よりガバナンスをあ
た。この4月からは、
に取り組んできまし
アを募り、ICT化
カルパスを作成し県内の先生方への説
体的には、5大がんの地域連携クリティ
長野県
奈良県
和歌山市
紀三井寺駅から西へ徒歩8分、和歌川沿いに位置する和歌山県立医科大
学附属病院(県立医大病院)は、昭和 年に和歌山市七番丁に開設、平成
大阪府
年にこの地に移転しました。“大学附属病院”であり“県立病院”とい
29
う特徴を持っており、「患者さま本位の質の高い医療の提供と、地域の保
11
ドクターヘリ
11
15
6
月刊基金●June/2011
入江真行医療情報部長
7 月刊基金●June/2011
医療サービスの
向上を求めて
11
岡村吉隆病院長
医療のICT化と
サービスの向上
か り や す く、 イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト
デ ー タ を 使 っ た 説 明 は、 患 者 さ ん に も 分
る際に、一度すべて紙に出力し、チェッ
安 で あ る こ と。 レ セ プ ト を チ ェ ッ ク す
た だ、 オ ン ラ イ ン で の デ ー タ 送 信 は
確実に届いているかどうか分からず不
職 員 の 注 意 喚 起 に も な り ま す。 画 面 や
の充実にもつながっていると感じていま
ク後はシュレッダーをかけ処分すると
いる冠危険因子の管理目標の達成などが
期待されます。
県内の病院、有床診療所の地域連携担
当者で、相互の専門性向上と連携強化を
地域医療連携
和歌山ネットワークの活動
ゆ え の 手 間 で す が、 コ ス ト の 面 を 考 え
目的に、平成 年 月に地域医療連携和
地域医療連携
るとデメリットかなと感じています。
い う 作 業 が あ る こ と。 大 変 な 個 人 情 報
す。
オンライン請求について
メ リ ッ ト と し て は、 請 求 前 に レ セ プ
トの院内支援システムを使い病名や薬
剤 の チ ェ ッ ク が で き る こ と。 こ れ は、
感覚的な判断にはなりますが、実際に、
先 生 の 確 認 作 業 が 増 え て い ま す の で、
それだけ精度の高いレセプトが作成さ
歌山ネットワークを設立しました。
昨 年 度 は、 7 月 と 2 月 に 研 修 会 及 び
ネ ッ ト ワ ー ク 協 議 会 を 開 催 し、 病 院 と
有床診療所の医療ソーシャルワーカー
( M S W )、 看 護 師、 事 務 職 な ど の 地 域
期、回復期、維持期のすべてにまたがる
な ら ず、 介 護 支 援 事 業 所 と の 連 携 強 化
ま た、 ス ム ー ズ な 病 病・ 病 診 連 携 の み
連 携 担 当 者 が 集 ま り、 病 院 経 営 の 視 点
脳卒中地域連携パスは、平成 年4月
から、脳神経外科の医師が中心となって
病院と切れ目のない医療の提供が行える
か ら の 地 域 連 携 の 在 り 方 を 学 び ま し た。
そ の ほ か に、 診 療 報 酬 改 定 や 薬 価 改
定の情報がレセプトに反映されている
県内統一のパスを作成して運用を開始、
脳神経外科、救急部、リハビリテーショ
回を重ねるごとに活発な意見交換が
で き 相 互 理 解 を 一 層 深 め、 顔 の 見 え る
の 取 組 み の 協 議 を 行 い、 ネ ッ ト ワ ー ク
書のデータやレセプトデータを利用し
ン科、神経内科がパスを作成し、患者さ
でワーキングを重ね、県内の統一したパ
関 係 づ く り に よ り、 円 滑 な 地 域 医 療 連
は、毎日退院オーダーが出た患者さんに
腸、乳がんの運用を開始しています。
中立な立場だと思っていますので、でき
起こし、すぐに血栓溶解の必要がある場合
理診断)です。たとえば、脳卒中で脳梗塞を
ます。
和歌山県で統一されて
うち転院支援が
地 域 連 携 室 の 運 用 状 況 は、 昨 年、 相
談 を 受 け た 数 が 約 8 4 0 0 件 で、 そ の
また、 地 域 連 携
メリットだと考えます。実際は、連携パスより地域連携室の存在が大きく、
室だけでなく、医師
年数回、県立医大病院主催で、研修会を兼ねて連携パスについて
側も顔を合わせての、より充実した連携に進めていけるのではないかと
打合せ等を行うなど、病院の地域連携室同士のやり取りが以前と比べ
思います。
てスムーズになりました。
地域医療について先生の想いをお願いします。
% 強、 在 宅 支 援 が
と医師会が共同で作成し、病診連携を進
います。
病院にとっては、連携パスにより患者さんの病態を共有できることが
40
%となっています。
とを含め、医療体制の説明を行っていますの
この「いきる」には地域の方々が元気に生きていただく「生」という
で、ある程度転院についてご理解いただい
意味と、われわれが託してもらう活性化の「活」、この両方の意味を
ているようです。「連携パスを利用することで、
兼ねています。
患者さんには寝たきりではなく、できるだけ「元気」で自宅に帰って
いただくというのが最優先です。そのため、高齢者住宅も含めて在宅
りましょう」と話をしています。
医療を浸透させ、患者さんを地域に帰していくサービスを広げていきた
今後の地域医療連携に望むことをお聞かせください。
いと思っています。
今後、急性期の患者さんは減り、地域の一般病棟や療養系の病院
医療から介護まで対応できるのが当院の特徴です。「とりあえず困っ
が高齢者の急性期を担わないといけない部分が増えてくると思います。
たら中谷病院に聞け。何か返事が返ってくるよ。」と言われるよう、「地
高度急性期病院ではなく、リハビリ機能の充実した、ある程度、総
域の医療の駆け込み相談所」、「急性期病院からの地域へのつなぎ
合的な機能を持った病院が、たとえば二次医療圏の中に2、3病院が
役」としての病院をこれからも目指していきます。
連携室の職員は、医療者側というより
当病院の理念に掲げています、「地域とともにいきる」ということです。
連携パスによるメリットをお願いします。
た服用や各種ガイドラインで推奨されて
15
患者さんやご家族には、連携パスがあるこ
ます。抗血小板薬を含む内服薬の継続し
める1つの手段として運用を開始してい
課題と展望
を強化することができています。
統 計 的 な 資 料 を 作 成 し て、 レ セ プ ト の
んや家族に説明後、連携医療機関へパス
ス を 作 成 し、 昨 年 7 月 か ら 肺 が ん が ス
携の推進を図る活動となっています。
よう運営しています。
精度向上や経営分析等に活用すること
を渡して、リハビリを継続してもらう形
タート、引き続き 月から胃、肝臓、大
ついてチェックを行い、パスの管理をし
心筋梗塞地域連携パスは、平成 年4
月から、和歌山市内の5つの急性期病院
るだけ患者さんや家族の気持ちに寄り
に、地域医療支援センター内でMRなどの
でつながると思って
年度は年間135件、
添い相談ができるよう心掛けています。
院の使命として、質の高い医療の提供、他
り取りしています。
ています。平成
地 域 医 療 連 携 を 推 進 す る た め に は、
患 者 さ ん や 家 族 の 理 解 が 必 要 で す。 し
病院のサポートができればと考えていま
ーズに転院や在宅ま
年度は170件発生しました。
か し 現 状 は、 基 幹 病 院 等 へ 集 中 し、 地
す。そのほか、医師不足の問題についても、
携していくほうがスム
景、今まで入所していた施設の情報などは、地域連携室間で直接や
和歌山県脳卒中地域連携パス連絡協議
会を平成 年 月に設立、和歌山県内、
域の病院や診療所への転院の了解をい
豊かな人間性と優れた専門技術を持つ医
中の連携パスを利用してい
21
かれていますが(画像はCD等)
、そのほかの患者情報やご家族の背
並びに周辺地域における脳卒中の急性
た だ く の に 時 間 が か か り、 地 域 医 療 連
療人を育成し、理想の医療を目指します。
画像を見ながら専門家が判断する。中核病
携がスムーズに進まないことが大きな
用 の オ ー バ ー ナ イ ト ベ ッ ド や G C U、
課題です。
将来的には連携パスのIT化や疾患別
ネットワークの構築を図ることも地域完
C C U ベ ッ ド の 拡 張 な ど、 患 者 さ ん の
新しい診療科の創設や病棟を改装し
た 小 児 セ ン タ ー の 開 設。 E R で の 観 察
結型医療の推進を図る意味では大事だと
ニ ー ズ に あ っ た 医 療 の 提 供 を 目 指 し、
意分野を持っている
ら引き継がれてきます。連
思 っ て い ま す が、 ま ず は 五 大 が ん に 関
平成20年7月から脳卒
新たな取組みを始めました。
県立医大病院との連携は、どのような状況でしょうか。
し て、 連 携 医 療 機 関 と の 連 携 を 密 に す る
」 を 合 言 葉 に、 他 職 種 を 巻 き 込 ん だ
木陽子氏にお話を伺いました。
こ と、 そ れ か ら、「 困 っ た ら 連 携 室 に 相
談
院内連携の強化が 必 要 だ と 感 じ て い ま す 。
目指すもの
トップ を目指す
学長が常に口にする言葉です。
もちろん、
救急のように自慢できる分野もあります
が、目指すのは、いろいろな分野でトップ
入りをたくさん作り、ワースト に入っ
ているものを無しにすることです。
ICT化では、テレパソロジー(遠隔病
11
五大がん地域連携パスは県内のがん診
療連携拠点病院と 次医療圏の基幹病院
ができるようになりました。
になっています。当病院の地域連携室で
医療機関と連携できています。
か ど う か、 迅 速 確 実 に チ ェ ッ ク す る こ
県内統一パスの作成
12
と が で き ま す。 さ ら に は、 増 減 点 連 絡
れていると思われます。
地域連携室のスタッフ
現在は
20
21
当院と県立医大病院とは連携がとれています
ので、リハビリに関しては当院でしっかり頑張
正木陽子氏
あって、そこと各得
族を通じて県立医大病院か
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21
11
歌山市)の辻雅裕院長と地域医療福祉連携室の正
中谷病院
紙ベースで患者さんのご家
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県立医大病院と医療連携を行っている中谷病院(和
病院や開業医が連
辻雅裕院長
携パスには、病態などが書
10
8
月刊基金●June/2011
9 月刊基金●June/2011
26
2
いる脳卒中の連携パスは、
井松宏紀医事収入班長
10
中谷病院
i n t e r v i ew
!!
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