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第9回 Red Brickを含めたソリューションの提案
第9回 Red Brickを含めたソリューションの提案 コンテンツ 第9回目の今回は、Red Brickを含めたソリューション(テンプレー ト)の実装について触れていきたいと思います。第3回から6回に かけて、業界毎のテンプレートモデルを紹介しました。テンプ レートや業務要件をどの様にシステムに実装していくかが今回の テーマになります。 RBW テレコム社の ご紹介 RBWテレコム社旧 情報システムの分 析 システムへの実装では、お客様がどの様な業務要件で情報系のシ 新システムの実装 ステムを導入しようとしているかがポイントになります。このお ソリューション 客様の要件に応じて、BIツールの選択も異なってくるはずです。 RBWテレコムの新 例えば、売上げ実績等から新しいビジネスチャンスを発見(相関 関係分析や行動バターン)するにはマイニングソフト、 データ システムの紹介 の流れを明確化にしてメンテナンスや開発性を高めるにはETL ツール、様々な角度からデータをドリルアップ、ドリルダウン、 関連リンク ダイスの分析を行うためにはOLAPツールといった選択があるかと IBM Red Brick 思います。この点、Red Brickは、オープンなコネクティビ Warehouse 製品ペー ティー(ODBCとJDBC)性を持ち、様々なBIツール(ETLツー ジ ル、OLAPツール、マイニングツール)と組合わせることができ、 またWebサーバーやアプリケーションサーバーのバックエンド・ 執筆者 データベースとしても使用できます。 ソフトウェアサ ポート&サービス 今回の紹介では、テレコム会社の情報系システムの再構築を想定 IMテクニカル し、お客様が構築されていた既存情報系システムの問題点を分析 セールス した後に、新しく構築するシステムを紹介していきます。ETL 渡辺 義章 ツールとしてDataStage, DWHとデータマートとしてRed Brick, 解析用のOLAPツールとしてBrioとBusinessObjectsのソリュー ションについてご紹介します。 RBW テレコム社のご紹介 まず、RBWテレコム社について紹介をします。RBWテレコム社は、アメリカを中心に回 線サービスを提供する回線プロバイダで、カリフォルニア州オークランドに本社をもち、 全米第5位の実績があります。しかし、過去数年にわたり業界内の競争の激化により、 シェアが下降傾向にありました。 問題を分析したところ、既存のシステムが古く最新の顧客ニーズに対応できないという結 果に至りました。そこで、RBWテレコム社は、実績のあるBIデザイン社にシステムの再 構築を依頼しました。BIデザイン社は同社のテレコムテンプレートを使用したBIツール群 (ETLツールDataStage , データウェアハウスにRed Brick , OLAPツール)によるシステム の再構築を提案しました。 新システム導入から数ヶ月後、適切なプロモーション活動や 商品分析を実施することでRBWテレコム社はシェアを着実に伸ばし始めました。 (*1)RBWテレコム社、BIデザイン社は架空のIT企業です。 RBWテレコム社のご紹介 全米第5位の通信会社でカリフォルニア州を中心 として通信回線サービスを提供しています。 新システムの導入後は、定期的なプロモーション 活動や商品分析から、シェアを着実に 伸ばしてい ます。 ● ● ● ● 所在地(本社):カリフォルニア州オークランド 所在地(支社):アリゾナ、オハイオ、オレゴン、テキサ ス、ニューヨーク、ネバダ、ネブラスカ 他 取り扱い製品:ADSL・12Mサービス、新基本サービ ス、800Mサービス、プライベートサービス 他 年間売上高:2億ドル 情報系システム開発の経緯 RBWテレコム社は、過去数年間売上が下降傾向にありました。 そこで、情報系分析システムの構築によって収益性とシェアの 向上を目指し、BIデザイン社のBIソリューションの導入を決定 しました。 ● ● ● ETLツール: DataStage データウェアハウス:Red Brick Warehouse OLAPツール:Brio,BusinessObjects RBWテレコム社旧情報システムの分析 それでは、最初にRBWテレコム社の旧情報システムの問題点を分析していきます。この システムは基幹系から情報系へデータ連係を行い、クライアントアプリケーションから検 索を行う情報系システムです。 ● ● 問題点その1:システムの構築時間 RBWテレコム社では、複数の基幹系システムを抱え、第3世代言語で記述されたア プリケーションプログラムでデータ連係を行っています。しかし昨今では、分析対 象となるデータが多様化してきており、アプリケーションを対応させるのに多くの 時間が取られるシステムになっています。その為、新システムではお客様の動向や 分析を行うためにシステムを短期間・短サイクルで構築する事が急務であり、また 仕様変更に耐えうるシステムであるべきという結論に至りました。現行システムで は、プログラム開発に数ヶ月を要し生産性の問題やシステム構築に時間がかかりす ぎるという問題があります。 問題点その2:情報系データベース お客様では、情報系データベースに正規化モデルを使用をしていました。一般的に 正規化モデルでは情報系のデータベースには適しておらず分析処理に時間がかかり ます。例えば、マーケティング担当者がある特定条件の市場分析をした場合、クエ リの実行から数時間を要していました。旧情報システムでは、多様化する分析ニー ズに対応できないという問題が発生しています。 ● 問題点その3:情報分析 旧情報システムでは分析用定型アプリケーションのみを提供していました。もし非 定型の分析をする場合は、SQLの知識をもつしシステム部に依頼の必要があり、依 頼から数日を要し、リアルタイムに営業活動やマーケティング活動に反映できず他 社に先を越されるという事が多々発生しました。そこでユーザサイドからは、ユー ザ自らが分析したいという要望がありました。 新システムの実装ソリューション 旧情報システムの問題点からBIデザイン社は、自社で扱うプロダクトとテンプレート群か ら以下の製品を選択して新システムを構築しました。 プロダクト名(*2) ETLツール DataStage DWH Red Brick Warehouse OLAPツール Brio, BusinessObjects, COGNOS テンプレート テレコム用テンプレート(*3) (*2) Red Brickは、オープンなコネクティビティーをもち、記述した以外にも多数 のツールとの接続性を持ちます。 このテンプレートモデルは、第3回「システム構築に有効なソリューションテン (*3) プレート(通信事業編)」で紹介をしています。詳しくはそちらを参照下さ い。 それでは、この新情報システム構成について簡単に説明いたします。 データ諸元は基幹システムの売上データベースになります。ETLツールを使用しバッチ処 理にてデータを変換・クレンジングを行ないます。クレンジングとは、データ分析にあた りデータの整合性や値の妥当性チェック等、分析対象データをきれいにするプロセスを意 味します。Red Brickへのデータの入力は、TMUを使用しデータローディングを行ない ます。これはTMUのパイプライン処理で高速ロードを実行します。 RBWテレコムの新システムの紹介 BIデザイン社が構築した新システムについて、画面のイメージに沿って見ていきましょ う。 ここでは、お客様システムの運用サイクル(データロード、DWH構築、分析)をシュミ レートし、各ステップ1から3に注目します。 新システムをご紹介にあたり、分析対象として、最近急激にシェアをのばしてきた 「WATSサービス」の情報を追加する過程をご紹介しながら、新システムによるデータの 流れと情報の分析を見ていきたいと思います。 ステップ 処理内容 使用するプロダクト ステップ1 前日分の売上明細データ DataStage (データロード) をDWHにロードします。 売上明細データには、新 サービス『WATSサービ ス』が含まれています。 →データフローの設計、 データフロージョブの実 行 ステップ2 (DWH構築) Red Brickローダー Red Brick (TMU)で、スタース キーマ構成のDBにデータ ロードします。 →DWH上に構築された データモデルの説明 →クエリ検索を高速に実 行する機能の説明 ステップ3 (分析) OLAPツールを使用し、 Brio BusinessObjects 分析を行います。 →製品別売上の確認 →分 析結果の検証 ステップ1:データロード(データフローの設計) 基幹系のOLTPデータベースからRed Brickへのデータ移行は、DataStageのデザイナ画面 でデータフローを設計します。 ETLツールを使用しない場合は、Cやコボル等の言語でデータ変換プログラムを記述する 必要がありますが、ETLツールを使用するとデータの流れをGUIで簡単に定義できます。 言語を知る必要がなく旧システムに比べて数倍の開発効率が得られます。DataStageは、 開発効率とメンテナンス性の向上と開発工数の削減(=経費の削減)を実現します。 デザイナ画面のジョブフローを説明します。左から、ファイルステージ、トランスフォー ムステージ、Red Brickロードステージの3つから構成されています。ファイルステージに は、基幹系売上DBのカラムレイアウトと対象データ抽出の条件を指定し、トランス フォームステージでは連携データをRed Brickにロードできる様にレイアウト変換を行っ ています。ロードステージではRed Brickのローダーを起動し、データロードを高速に実 行します。 デザイナ画面でのジョブ定義 ステップ1:データロード(データフロージョブの実行) デザイナ画面で定義したデータフロージョブをディレクタ画面で実行します。 データフロージョブの実行を説明します。上段はデータベースと接続して実際にデータ ロードを行うディレクタ画面、下段はRed Brickの動作ログを表示しています。ディレク タ画面は、ジョブ起動とログ監視ができます。ログの監視では、Red Brickのロー ダーTMUと通信を行い、結果をログ画面に表示します。このディレクタ画面では、デー タロードが実行中であり、Red Brickの動作ログでは、データロードの詳細な状況を確認 できます。このロードで、データベース表更新と4つの索引の作成、集約表のメンテナン スを行います(ソリューションテンプレート(通信事業編)のデータモデルを参照して下 さい )。Red Brickのローダーは、パラレルロードで実行し高速なパフォーマンスを実現 します。集約表はステップ2で説明をするVistaで使用され、明細表にデータロードをしな がら集約表を更新します。 ディレクタ画面でのジョブ実行 第9回では、お客様のビジネス上の問題点を把握し、BIツール/テンプレートモデルの決 定,そして新システムに関してはステップ1:データロードまでを説明しました。 第10回の次回は、引き続き ステップ2:DWH構築においてはRed Brickの優位性、 ス テップ3:分析ではアプリケーションの説明を行っていく予定です。