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教員からのメッセージ 保健看護学部 宮井信行 「胡麻菓子」 . .
教員からのメッセージ 保健看護学部 宮井信行 「胡麻菓子」 . . . . 今年の 4 月に保健看護学部に赴任してきました。学部での担当は健康科学の領域になります。 この領域で扱う内容は広範に及びますが、病気を予防したり、健康を保持増進する立場から、人 の各ライフステージにおける様々な健康事象にアプローチして、そのリスク要因を究明したり、生 涯の健康を確保して質の高い生活を送るための、健康行動のモデルを探求することが主題です。 また、学部と大学院の授業では、疫学、保健統計学、保健看護研究Ⅰ、保健疫学方法論などの 科目を担当しています。医師や看護師をはじめ、保健医療に従事する専門職は、仕事をしながら も、個人またはチークとしてのスキルの向上や学問的レベルアップを図ることが求められますし、 実践の場で生じた疑問や関心を追求・解明して新しい知識や技術を導き出し、より質の高い看護 や保健サービスに繋げていくことが望まれます。そのために、保健看護の研究方法論を理解する ことや、研究に重要な論理的な思考、科学的な判断力、倫理感などが、授業を通して養われる ようにしたいと考えています。 さて、冒頭に書きました、 「胡麻菓子」についてですが、皆さんも「ごまかす」という言葉はよ くご存じでしょう。この言葉の由来には諸説がありますが、ある説によると、江戸時代に「胡麻ど うらん」というお菓子があって、それは小麦粉に黒ゴマを混ぜたお菓子だったそうです。見かけ はいかにも美味しそうで、誰もが食べてみたくなるものでしたが、実際の味はそれほどでもなかっ たそうです。そこで、見かけだおしのお菓子の「胡麻菓子」が「ごまかす」の語源になったとい うことです。このお話はお菓子にまつわるものですが、見方によっては、私たち人にもあてはまる ように思います。人は、ややもすると周囲からどう見られるか、他人と比べて自分はどうなのかな ど、見た目や外見にばかり気を取られがちになりますが、もっと大切なのは、やはりその中身の 人間性であり、内面の魅力を高めることであると思います。人も深く付き合い、よく味わって、そ の良さを知るもの。外見を磨くことも勿論大切なことですが、自分の軸となる価値観を育み、しっ かりとした思考や判断、行動ができる人になってほしいと思います。ある人の言葉を借りると、医 療人は「知と癒し」を育むべしとのことです。「知」とは知識と技術から、 「癒し」は教養と感性 とから成り、その融合が大切であるということです。大学で看護師や保健師として備えるべき知識 や技術を学び、卒業して何年かすれば、一定の仕事の力と専門知識は身に付くはずです。ただ、 そこから先に、さらに幅広い世界で通用する人になるには、教養の裏打ちが欠かせません。それ は学生時代から積み重ねるべきもので、大学生活は、自分を見つめて自分を発見し、それを育み 自分を磨く、そしてそれを形にしていく場であると思います。 最後に、私がよく読む松下幸之助の著書のなかに、「若さに贈る」という本があります。私自 身もそうですが、本を通して人生観や価値観を育んだり、生き方のヒントや元気をもらったりする ことはよくあります。この本は、青春時代という、かけがえのない貴重な時間をいかに充実し、有 益に過ごすか、自らの人生を切り開こうという熱意をもち続け、多くのことを学びとるにはどうす べきかなど、これから社会に旅立つ人に多くの示唆を与えてくれます。興味がある人は読んでみ てください。 -片田舎のある風景- 先日田舎に帰ったら、近くの道路脇の土手 に植えられていました。秋になって草木が枯 れ、辺りがセピア色に染まりはじめるなかで、 仲間を元気づけているように見えました。花の 名前などには全く疎いので、娘の植物図鑑で 調べてみました。熱帯アフリカ原産の「トリト マ(シャグマユリ)」という花でした。ちなみ に花言葉のひとつは、 「あなたは私を楽しませ る」だそうです。