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体格の大小はいかにして決定されるか? 成長ホルモン作用機序に新発見! 和歌山県立医科大学
体格の大小はいかにして決定されるか? 成長ホルモン作用機序に新発見! Cell Reports 2, 652–665, September 27, 2012 和歌山県立医科大学 先端医学研究所 分子医学研究部 坂口和成 1 生体での成長ホルモンの働き方 脳下垂体 成長ホルモン(GH) 肝臓:内分泌効果 肝臓以外の臓器・細胞での局所効果 GH受容体 細胞内シグナ ル伝達経路 30% 血中IGF1 細胞内シグナ ル伝達経路 IGF1 局所の 39% IGF1 (GH非依存性 IGF1を含む) 成長ホルモン の直接効果 14% IGFBP3 ALS 血中三量体 成長ホルモンやIGF1に無 関係な基礎体重: 17% 体の成長 IGF1受容体 2 細胞質 細胞膜 細胞外スペース GH 細胞膜 細胞質 核 P P Igf1 GH 成長ホルモン 成長ホルモン受容体 3 細胞質 細胞膜 細胞外スペース GH 細胞膜 細胞質 核 P P Igf1 GH 成長ホルモン 成長ホルモン受容体 4 肝細胞での成長ホルモン受容体(GHR)と EphA4との共局在性 正面から見た細胞 細胞断面 核: GHR: EphA4: 両者が共局在: 10 mm 細胞断面 正面から見た細胞 5 細胞質 細胞膜 細胞外スペース GH × 細胞膜 細胞質 核 P P Igf1 GH 成長ホルモン 成長ホルモン受容体 6 成長ホルモン受容体(GHR)遺伝子変異による体格の変化 マウス 雌 生後42日 Ghr(+/+) 20.2 g Ghr(+/-) 18.7 g Ghr(-/-) 9.8 g 10 mm 7 細胞質 細胞膜 細胞外スペース GH 細胞膜 × 細胞質 核 P P Igf1 GH 成長ホルモン 成長ホルモン受容体 8 マウスの体格 雌 生後21日 Epha4(+/+) 11.5 g Epha4(+/-) 9.4 g Epha4(-/-) 4.9 g 10 mm X-ray image 9 体重(g) 成長曲線 35 30 25 20 15 10 5 0 雌マウスの成長曲線 ** 1 *** * * * * * * * *** ********* * ****** ** * 3 5 7 9 Epha4(+/+) Epha4(+/-) Epha4(-/-) 11 13 15 17 *:Student’s t test as compared to the WT mice p<0.01 体重(g) 週齢 40 35 30 25 20 15 10 5 0 雄マウスの成長曲線 *** 1 3 **** * * * * * * ** ** ** * * * * * * * ** * * ** 5 7 9 Epha4(+/+) Epha4(+/-) Epha4(-/-) 11 13 15 17 週齢 10 脛骨軟骨成長板 Epha4(+/+) (正常) Epha4(-/-) (KO) HE Epha4(+/+) (正常) Epha4(-/-) (KO) Col 2a1 In situ hybri 11 治療効果:成長ホルモン(GH)とIGF1の比較 治療前体重 * * 30 Epha4(+/+) Vehicle 10 5 0 0 正常マウス Epha4(-/-) GH 15 GH治療 Epha4(-/-) IGF1 20 Epha4(-/-) Vehicle Epha4(-/-) IGF1 Epha4(-/-) GH Epha4(+/+) Vehicle Genotype and Treatment Genotype and Treatment 血中IGF1 Genotype and Treatment 正常マウス * 400 300 200 100 0 GH治療 Epha4(+/+) Vehicle 500 コントロール Epha4(-/-) GH IGF1(ng/ml) IGF1治療 Epha4(-/-) IGF1 * 600 正常 Epha4(-/-) Vehicle * * GH治 * コント ロール 体重増加(g) IGF1およびGHの作用 8 7 6 5 4 3 2 1 0 * IGF1治療 正常マウス Epha4(-/-) Vehicle 体重(g) GH治療 5 IGF1治療 10 コントロール 体重(g) 15 * 25 20 * * コントロール * 25 治療後体重 Epha4(-/-) Vehicle Epha4(-/-) GH Epha4(+/+) Vehicle Genotype and Treatment 12 結語 成長ホルモンの細胞内シグナル伝達経路に関 与する新しい分子を発見し、その作用機序を解 明した。 この発見は、体格を決定する因子は何かという 科学的疑問に対して従来の定説を修正するもの である。 マウスでの研究成果をさらに発展させることによ り、成長障害、低身長、小人症等のヒトの疾患に 対して新しい診断指標および治療法の開発に結 び付く可能性が極めて高い。 13 共同研究者 和歌山県立医科大学 先端医学研究所 分子医学研究部 京 雪楓 澤田貴宏 陳 清法 古島謙亮 新井大貴 動物実験施設 宮嶋正康 神戸大学医学部内科 飯田啓二 千原和夫 14 ご清聴ありがとうございました 15