Comments
Transcript
生活習慣病予防について (高血圧を中心に) 和歌山県立医科大学医学部公衆衛生学教室 竹下達也
2012.12.10. 生活習慣病予防について (高血圧を中心に) 和歌山県立医科大学医学部公衆衛生学教室 竹下達也 死因別死亡割合(2010年) その他 悪性新生物 腎不全 自殺 事故 老衰 心疾患 肺炎 脳血管疾患 悪性新生物 心疾患 脳血管疾患 肺炎 老衰 事故 自殺 腎不全 その他 介護が必要となった原因 (2010年) 糖尿病 3% その他 19% 脳血管障害 21% パーキンソン病 3% 心疾患 4% 認知症 15% 転倒・骨折 10% 関節疾患 11% 衰弱 14% 国民生活基礎調査 脳血管疾患の病類別年齢調整死亡率の 推移(男) 1000 100 脳血管疾患全体 脳梗塞 脳内出血 くも膜下出血 10 10 20 00 20 90 19 80 19 70 19 60 19 19 51 1 脳血管疾患の病類別年齢調整死亡率の 推移(女) 1000 100 脳血管疾患全体 脳梗塞 脳内出血 くも膜下出血 10 10 20 00 20 90 19 80 19 70 19 60 19 19 51 1 心疾患の病類別年齢調整死亡率の推移 (男) 1000 心疾患全体(高血圧 性を除く) 100 急性心筋梗塞+そ の他の虚血性心疾 患 心不全 10 不整脈等 10 20 00 20 90 19 80 19 70 19 60 19 19 50 1 心疾患の病類別年齢調整死亡率の推移 (女) 1000 心疾患全体(高血圧 性を除く) 100 急性心筋梗塞+そ の他の虚血性心疾 患 心不全 10 不整脈等 10 20 00 20 90 19 80 19 70 19 60 19 19 50 1 厚生労働省「脳卒中ホームページ」より 脳血管疾患の危険因子 くも膜下出血 脳出血 喫煙、高血圧、高度飲酒 高血圧、総コレステロール低値、高 度飲酒、飽和脂肪酸摂取不足 脳梗塞 ラクナ梗塞*(穿 高血圧、喫煙、糖尿病、魚(n-3系 通枝系脳梗塞) 多価不飽和脂肪酸)摂取不足 皮質枝系血栓 高血圧、喫煙、糖尿病、高コレステ (比較的太い動 ロール血症、HDL-コレステロール 脈の梗塞、重症 低値、魚(n-3系多価不飽和脂肪 化しやすい) 酸)摂取不足 脳塞栓 * 高血圧、心房細動、心筋梗塞の手 術、心臓弁膜症 多発性脳梗塞、脳血管性認知症を合併しやすい 磯 (「今日の疫学.第2版」, 2005) 日本人男性のⅠ-Ⅲ度高血圧の割合の推移 (1975-2005年国民健康・栄養調査) % 90 80 70 15-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70- 60 50 40 30 20 10 10 20 05 20 00 20 95 19 90 19 85 19 80 19 19 75 0 日本人女性のⅠ-Ⅲ度高血圧の割合の推移 (1975-2005年国民健康・栄養調査) % 90 80 70 15-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70- 60 50 40 30 20 10 10 20 05 20 00 20 95 19 90 19 85 19 80 19 19 75 0 血圧比較 和歌山市 至適血圧 正常血圧 正常高値 Ⅰ度高血圧 Ⅱ度高血圧 Ⅲ度高血圧 みなべ町 かつらぎ町 0% 20% 40% 60% 80% 100% 生活習慣・ストレス 健康指標の変化 疾患の発症 野菜・果物摂取不足 塩分過剰摂取 飲酒 魚摂取不足 運動不足 脂肪過剰摂取 肥満 高血圧 脳血管疾患 高コレステ ロール血症 虚血性心疾患 低HDL-C血症 喫煙 精神的ストレス 促進 抑制 耐糖能 障害 糖尿病 糖尿病 合併症 WHOの血圧分類(1999) Ⅲ度高血圧(重症) 180 Ⅱ度高血圧(中等症) 160 Ⅰ度高血圧(軽症) 140 130 120 正常高値血圧 正常血圧 至適血圧 80 85 90 100 110 高血圧に対する生活習慣の修正項目 (「高血圧治療ガイドライン」より) 1.食塩制限:6g/日未満 2.減量:BMI25未満 3.アルコール制限:エタノールで男性20-30mL/日 以下、女性10-20mL/日以下 4.心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の 強度の有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分 以上を目標に)行う 5.食塩以外の栄養素:野菜・果物の積極的摂取、コ レステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える、魚(魚 油)の積極的摂取 6.禁煙 日本人男性の死亡に 寄与している要因 (Ikeda et al., 2011) 日本人女性の死亡に 寄与している要因 (Ikeda et al., 2011) 日本人の栄養素摂取量の年次推移 (国民(健康)栄養調査) 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 10 20 05 20 00 20 95 19 90 19 85 19 80 19 75 70 19 19 65 19 60 19 55 19 50 19 19 46 エネルギー(1/100) たんぱく質 動物性たんぱく質 脂質 動物性脂質 炭水化物(1/10) 食塩 かつらぎ町 塩分摂取量の分布 160 140 120 100 80 60 40 20 0 0 1 3 5 7 9 11 13 15 次の級 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 19 19 19 19 19 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99 98 97 96 95 歩数 日本人の歩行数の年次推移 (国民健康・栄養調査) 9000 8000 7000 6000 総数 男 女 5000 4000 健康日本21(第二次)の目標値(1) 項目 現状 目標 高血圧の改善(収 男性 138 mmHg、 縮期血圧の平均値 女性 133 mmHg の低下) (平成22年) 男性 134 mmHg、女 性 129 mmHg (平成34年度) 食塩摂取量の減少 10.6 g (平成22年) 適正体重を維持し 20 歳~60 歳代男 ている者の増加 性の肥満者の割 (肥満(BMI25 以 合:31.2% 上)、やせ(BMI 40 歳~60 歳代女 18.5 未満)の減少) 性の肥満者の割 合:22.2% 20 歳代女性のや せの者の割合: 29.0% (平成22年) 8.0 g (平成34 年度) 20 歳~60 歳代男性 の肥満者の割合: 28% 40 歳~60 歳代女性 の肥満者の割合: 19% 20 歳代女性のやせ の者の割合:20% (平成34 年度) 健康日本21(第二次)の目標値(2) 項目 現状 目標 日常生活におけ 20歳~64歳: る歩数の増加 男性7,841歩、女性 6,883歩 65歳以上: 男性5,628歩、女性 4,585歩 (平成22年) 20歳~64歳: 男性9,000歩、女性 8,500歩 65歳以上: 男性7,000歩、女性 6,000歩 (平成34年度) 運動習慣者の割 20~64歳: 合の増加 男性26.3%、女性 22.9%、総数 24.3% 65歳以上: 男性47.6%、女性 37.6%、総数 41.9% (平成22年) 20~64歳: 男性36%、女性33 %、総数34% 65歳以上: 男性58%、女性48 %、総数 52% (平 成34年度) 健康日本21(第二次)の目標値(3) 項目 現状 生活習慣病のリス クを高める量を飲 酒している者(1日 当たりの純アル コール摂取量が男 性40g以上、女性 20g以上の者)の 割合の低減 野菜と果物の摂取 量の増加 男性 15.3%、女性 男性 13%、女性 7.5% 6.4% (平成22年) (平成34年度) 野菜摂取量の平 均値:282g 果物摂取量100g 未満の者の割合: 61.4% (平成22年) 目標 野菜摂取量の平 均値:350g 果物摂取量100g 未満の者の割合: 30% (平成34年度) 健康日本21(第二次)の目標値(4) 項目 現状 目標 脂質異常症(高コ レステロール血 症)患者の減少 総コレステロール 240mg/dl以上の者の 割合 男性 13.8%、女性 22.0% LDLコレステロール 160mg/dl以上の者の 割合 男性 8.3%、女性 11.7% (平成22年) 総コレステロール 240mg/dl以上の者の 割合 男性 10%、女性 17% LDLコレステロール 160mg/dl以上の者の 割合 7.7% 男性 6.2%、女性 8.8% (平成34年度) メタボリックシンド 約1,400万人 ロームの該当者及 (平成20年度) び予備群の減少 平成20年度と比べ て25%減少 (平成27年度) 成人の喫煙率の 減少(喫煙をやめ たい人がやめる) 12% (平成34年度) 19.5% (平成22年) 健康的な食事のイメージ図 魚 ビタミンD、鉄、 n3不飽和脂肪酸 肉 芋類 豆類・大豆製品 カルシウム・鉄・ ビタミンK、葉酸、繊維 イソフラボン 鉄、ビタミンB1 卵 鉄、ビタミンD 乳製品 海藻類 ヨウ素 きのこ類 ビタミンD、繊維 お酒 カルシウム、カリウム、 糖分 カリウム、 ビタミンC、繊維 「根」の野菜 カルシウム、カリウム、 ビタミンC、繊維 緑色の野菜 ビタミンA、K、C、葉酸 カルシウム、繊維 果物 カリウム、 ビタミンC、繊維 健康に良い/悪い食生活習慣(まとめ) 食生活習慣 運動 がん ○ カルシウム摂取 乳製品 大豆製品 △ 脳血管障害 虚血性心疾患 骨粗鬆症 ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ ○ ○?(女性) ○ ○ ○ ○ ○ ○(乳がん) ○?(女性) 魚類 野菜・果物 ○ ○ 日光曝露 × 食塩過剰摂取 × × × × 喫煙 × × × × 多量飲酒 × × 脂肪過剰摂取 × × × 肥満 × × × ○ × ○? 部位別がんのリスク要因と予防要因(世界) 要因 食 道 肺 胃 大腸 肝 膵 乳 子 房 宮 頚 リ 喫煙 ● ● ● ● ● ● ● ス * ● 飲酒 ● ● ● ク 要 塩蔵品・食塩 ● 因 過体重・肥満 ● 予 運動 防 果物 ○ ○ ○ 要 因 非澱粉野菜 ○ ○ 食物繊維 授乳 *男性のみ ● ● ● ○ ○ 子 宮 体 腎 膀 胱 ● ● ● ○ ○ 最近のIARC, WHOのホームページの記載による 高血圧対策のポイント 高血圧対策は、「多面的」な対策が重要。 主要な項目:減塩、減量、運動、適度の飲酒、 禁煙、 その他の項目:野菜・果物摂取、適度の脂肪 摂取、魚摂取、・・・ 対策の第一歩は、「自己観察」から。 腹囲(ズボンのサイズでわかる)、体重計、歩 数計、血圧計、・・・ 息長く続けられる予防 楽しく続けられる! バランスの良い予防 薬だけに頼らない予防 禁煙のみで終わらない! 薬を飲んでいても、良 運動をし過ぎない! い生活習慣により、薬 の効果をさらに高める ことができる 和歌山県立医科大学における 地域住民健康調査 和歌山県立医科大学保健看護学部と医学部 衛生学教室・公衆衛生学教室の合同チーム により、食生活習慣と身体健康度、認知機能 との関連性に関する調査研究を開始した。 -みなべ町 (2011-) -かつらぎ町 (2012-) 和歌山県立医科大学において特に高血 圧・血管疾患予防に関連している教室 衛生学教室 公衆衛生学教室 内科学第一教室 内科学第四教室 神経内科学教室 臨床検査医学教室 外科学第一教室 脳神経外科学教室 リハビリテーション医学教室 保健看護学部