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当院で導入する最新放射線治療装置 TomoTherapy 和歌山県立医科大学放射線科 佐藤 守男

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当院で導入する最新放射線治療装置 TomoTherapy 和歌山県立医科大学放射線科 佐藤 守男
当院で導入する最新放射線治療装置
TomoTherapy
和歌山県立医科大学放射線科
教授 佐藤 守男
Hybrid System( Linac and
CT Scanner )
85cm
納入台数
世界 400台以上
国内 35台[納入予定含む]
TomoTherapy導入施設
5台
4台
全国納入台数:32台
※2012年11月納入予定含む
・山梨大学医学部附属病院
2台
・社会医療法人財団 慈泉会相澤病院
1台
なし
・社会医療法人 北斗 北斗病院
・十和田市立中央病院
・北福島医療センター
・財団法人 湯浅報恩会
寿泉堂綜合病院
・社会医療法人厚生会 木沢記念病院 2台
・医療法人社団日高会
日高病院腫瘍センター
社会福祉法人 恩賜財団福井県済生会病院 2台
・宇治武田病院
・JA水戸協同病院
・医療法人徳州会 野崎徳洲会病院
・社会福祉法人仁生社 江戸川病院 3台
・がん・感染症センター都立駒込病院
・JA滝宮総合病院
・国立病院機構 呉医療センター
・Clinic C4 (クリニック シーフォー)
・医療法人天神会 古賀病院21
湘南鎌倉総合病院
・社会福祉法人 恩賜財団
済生会熊本病院
・鈴鹿中央総合病院
・特定医療法人沖縄徳州会
南部徳州会病院
・和歌山県立医科大学
・名古屋第二赤十字病院
・一宮市立市民病院
・愛知県がんセンター中央病院
・名古屋市立医科大学
・成田記念病院
当院で現在提供している
治療方法
三次元原体照射法(3D-CRT)
術前にCTを撮影し、そのデータを元にコンピュータを用い
て放射線の照射範囲や照射する強さを決める。
・多分割絞りを用いて照射範囲を絞り込む
・照射範囲内での放射線の強さは均一
Tomo Therapyで新たに提供できる
治療方法
強度変調放射線治療法
(IMRT: Intensity Modulated Radiation Therapy )
術前にCTを元にコンピュータを用いて放射線の照射範囲
や照射する強さを決めるのは3D-CRTと同じだが、照射範囲
内の放射線の強さを変える(変調する)ことでより精密な放射
線の分布を作ることが出来る。
コンピュータによる治療計画(インバースプラン法:コン
ピュータ上で何千・何万通りの照射法をシミュレーションし最
適な方法を算出する)とその計算結果どおりの照射を可能と
するコンピュータ制御の特殊照射法が特徴。
・多分割絞りを用いて照射範囲を絞り込むのは同じであるが照射範囲
内での放射線の強さは不均一(次スライド参照)
3D-CRTとIMRTの違い
3D-CRT
IMRT
照射範囲内での放射線の強さは均一
照射範囲内での放射線の強さは不均一
TomoTherapyの内部構造
Beam Jaw Geometry
Front view
Jaws
Side view
Define beam width (W)
W
W
Binary MLC
W
isocenter
TomoTherapyの内部構造
(Binary Multi Leaf Colimater)
MLC designed for IMRT
通常のMLCと比較して 100倍の速さ(20ms)で駆動
Tomo Therapyで新たに提供できる
治療方法
画像誘導放射線治療法
(IGRT:Image Guided Radiation Therapy )
術前にCTを元にコンピュータを用いて放射線の照射範囲
や照射する強さを決めるのは3D-CRTと同じだが、放射線治
療時に毎回画像情報を取得し、位置誤差を補正しながら正
確に治療を行う技術。
TomoTherapyのIGRT
ファンビームMegavoltage CT(MVCT) 3.5MV
毎照射(治療)前にCTによる位置補正
治療用X線と同じ照射機器を利用
位置精度が高い
自動位置補正
計画CTと自動的にマッチング
自動で寝台補正
TomoTherapyによる治療イメージ
多彩な適応範囲
全身照射
SRS
体幹部
定位照射
前立腺+リンパ
前立腺
乳房+リンパ
部分的乳房照射
頭頚部
骨転移
全脳照射
乳房
肺
胸壁+リンパ
マルチ転移
T1 喉頭
全脳SIB
全脳全脊椎
• Dose conformality
• Dose homogeneity
• Conformal avoidance
• Simultaneous boosts
本邦では頭頸部、前立腺を中心に
利用されている。
• Delivery flexibility
• Planning efficiency
• Simple treatment of
multiple targets
TomoTherapyの利点
・従来の照射法では危険臓器が近すぎて十分な線量を
照射できなかった臓器に照射ができる。
→従来の照射法では前立腺癌に根治線量の照射を行う
ことは困難(直腸の耐容線量は60Gyに対し前立腺癌
の根治線量は75-80Gyとされる。)
TomoTherapyの利点
・従来の照射法では広い範囲を照射する際は照射野に
継ぎ目を作る必要があった(Moving Split法)。
しかし、これはCold Spotができてしまううえ、事故の
源にもなっている。(実際過剰照射事件も起こっている)
→Tomoを利用することで広い範囲を継ぎ目なく照射
することが可能。(例:全脳全脊椎照射)
TomoTherapyの利点
・従来の照射法では危険臓器は十分にマージンを取って
避ける必要があった。
→Tomoを利用することで危険臓器を打ち抜く形で避ける
ことが可能。
TomoTherapyの利点(症例提示)
症例:74歳男性 肺腺癌Stage4 多発脳転移で放射線照射依頼
TomoTherapyの利点(症例提示)
3D-CRTでの照射プラン・・・全脳照射40Gy
TomoTherapyの利点(症例提示)
Tomotherapyでの照射プラン・・・全脳照射40Gy+腫瘍60Gy
TomoTherapyの弱点
・照射開始まで時間がかかる。
(CT撮影後開始まで2週間程度)
→時間をかけて検証しないと危険。スタッフの熟練も必要
骨転移、脊髄圧迫など緊急照射はできない。
・照射にあたっては厳密な身体状態の管理が必要
(頭頸部であれば固定精度、前立腺であれば膀胱内の
尿量や腸管ガス)
→従来の照射法であればマージンで収まっていた
TomoTherapyの弱点
・動きの大きい臓器の治療は苦手
→これも固定精度の問題であるが、肺・上腹部などの
呼吸性移動の大きい部位への照射は精度管理が難しい。
・同様の理由で治療中の安静が保てない患者の治療も困難
・閉所恐怖症の方も場合によっては治療困難
(CTの撮影ができれば治療は可能)
放射線治療の歴史とTomoTherapy
1895年 レントゲン博士によるX線の発見
放射線診断
放射線治療
草創期(放射線発生装置の電圧kV(キロボルト)時代)
コバルト時代(1MV(メガボルト)時代)
リニアック時代(10MV時代)
強度変調時代(IMRT時代)
21世紀
新思考および新技術の時代
癌病巣>>>PETで確認、確定
リスク臓器>>>SPECTで確認、確定
草創期(20世紀前半、kV時代)
放射線発生装置
線量100%
50%
10%
体深部の
悪性腫瘍
体幹部の横断面
1MV時代(コバルト時代)、1950-60年代
放射線発生装置
線量100%
体深部の
悪性腫瘍
50%
10%
体幹部の横断面
10MV時代(リニアック時代、前半期)、1970年代
放射線発生装置
正常組織、臓器
線量100%
体深部の
悪性腫瘍
体幹部の横断面
10MV時代(リニアック時代、後半期)、1980年代
放射線発生装置
正常組織、臓器
線量100%
体深部の
悪性腫瘍
50%
コンピューター制御に
よる3次元照射の開始
体幹部の横断面
強度変調時代(IMRT時代)、1990年代
放射線発生装置
正常組織、臓器
腫瘍の薄い部分は照射
強度を弱める。
腫瘍の厚い部分は照射強度
を強める。
数門の固定ビームで
照射するが、各ビーム内
に数十個の強度変調パーツが
組み込まれている。高度の
コンピュータ制御照射である。
体幹部の横断面
強度変調時代(TomoTherapy,20世紀末に完成)
回転しながら照射し、
全身をカバー
できる。
全身の数十個の
癌病巣を1度にピンポイントで
照射可能。
実質的には51門のビーム
を使用、強度変調パーツ
は数千から数万か。
高度のコンピューター管理
照射。
より深く、より広く、
よりピンポイントに、
より多数の病巣を、
より安全に。究極の
技術目標の達成。
21世紀の現状、PETとSPECTによる再評価
SPECTで判明した、正常組織
の機能欠損
PET陰性
PET陽性
21世紀の現状、PETとSPECTによる再評価 II
SPECTで判明した、正常組織
の機能欠損
PET陰性
PET陽性
通常のリニアック照射で用が済む症例は多い。
Tomotherapyは高コストで患者の待機時間が長い。
21世紀の新思考、新技術
SPECT応用
PET応用
PET,SPECTに照らすと
これらの
技術は
等価である。
TomoTherapy
強度変調RT
リニアック(コンピューター制御)
リニアック(初期型)
コバルト
新技術
技術的基礎
TomoTherapyの位置づけ
1.TomoTherapyは20世紀の放射線治療技術の集大成として究極の
優れた線量集中性および安全性を有している。
2.しかし、21世紀の医療の現実は、既にこの機器の使用想定を超えて
いる。即ち、PETは本物の腫瘍活性を、SPECTは本物の臓器機能を
追及しており、これらに依拠した放射線治療こそが、本物の治療と
みなされる。
3.我々は、今後とも和歌山県民に対して、本物の先端医療の提供を
続ける目的で、Tomotherapyの使用に関して、以下の項目を提言する。
TomoTherapy
稼働当初の運営方針について
複雑な機器の運用面の安全を見込んだ習熟のために、 2013年1月から6月までは、
月1症例ずつの臨床稼働とする。管理上の問題もあるため当面は院内からの紹介
症例に限定する。
その後、次第に治療症例数を増やす。
フル稼働の Tomotherapyの治療数は、他院施設を参考にすると1日最大で12-15
名程度となる。そのため今後も全症例の70-80%は、リニアックでの治療となる。
Tomotherapyと旧来のリニアックの症例割り振りについては放射線科で判断する。
いずれの症例も、従来どおり各科との集学的治療の申し合わせの枠組みのなか
で加療を行う。
院外からのTomotherapy目的の直接紹介や紹介状のないTomotherapy希望の
直接受診は、放射線科は受けない。(各科を介して依頼を受ける)
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