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6月の株主総会シーズンに 合わせて適用 日本版コーポレートガバナンス・ コードの導入へ

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6月の株主総会シーズンに 合わせて適用 日本版コーポレートガバナンス・ コードの導入へ
INSIGHT
監査報告書の文言見直し
(IAASB、
PCAOB、
UK)
また、CGコードの最終化と並行して、
上場企業が実際にこのコードの要求事項
を実行に移すために、東京証券取引所の
上場制度の整備が検討されています。す
主の権利や取締役会の役割、役員報酬の
促し、投資家の信頼を高めるために、株
C
コーポレートガバナンス・コード(
Gコード)は、会社の中長期的な成長を
り、この上場制度整備案については20
場制度の整備について」が公表されてお
ートガバナンス・コードの策定に伴う上
所から上場制度整備案として「コーポレ
攻めのガバナンスによる
中長期的な
企業価値の向上
あり方など、上場企業が企業統治をする
15年3月 日までがパブリック・コメ
でに2015年2月 日に東京証券取引
うえで実施すべき規範を示したものです。
Gコードおよび改正後の上場規則などが
企業が定時株主総会を行う6月には、C
成・歓迎の意を示す内容だったようです。
ントが寄せられましたが、おおむね賛
で示され、国内外から合計121のコメ
ード原案の公開草案が和文・英文の両方
のです。パブリック・コメントでは、コ
ック・コメント期間を経て確定されたも
015年1月にかけて実施されたパブリ
これは、2014年 月に金融庁から
公表されたコード原案の公開草案が、2
されました。
の向上のために」の最終稿がいよいよ示
社の持続的な成長と中長期的な企業価値
ポレートガバナンス・コード原案》〜会
ンス・コードの基本的な考え方』
《コー
日の第9回では、
「
『コーポレートガバナ
催されていましたが、2015年3月5
する有識者会議が2014年8月から開
金融庁と東京証券取引所を共同事務局と
でに 年以上の歴史を持つイギリスをは
今回のCGコードは、OECDコーポ
レート・ガバナンス原則を踏まえて、す
どが記載されています。3月決算の上場
、な
件を廃止し、
「要開示」の類型に統一)
の「要説明」の類型、いわゆる開示加重要
の独立性に関する情報開示の整理(従前
月後までの提出とすること、⑤独立役員
告書は初年度に限り定時株主総会後6カ
ること、④コーポレート・ガバナンス報
レート・ガバナンス報告書に欄を新設す
、③コードを実施しない
説明を求めない)
えって原則および補充原則部分については
しない場合の説明を求めること(ひるが
コードの基本原則部分についてのみ実施
証マザーズ、ジャスダック)については、
置付けること、②新興企業向け市場(東
この上場制度整備案では、①コードを
企業行動規範の「遵守すべき事項」に位
ント期間とされていました。
場合の理由の説明のために現行のコーポ
適用される見込みです。したがって、3
26
じめ、フランスやドイツなどの諸外国の
況を勘案して策定されています。次に挙
月決算の会社は次の株主総会に向けて、
ることになります。
則を敷衍・発展および補充するものとし
制度や実務を参考にし、さらに日本の状
コーポレート・ガバナンスというと、
従来はコンプライアンスや不正防止とい
て位置付けられる の原則と の補充原
ぐ力」を取り戻すためにCGコードを導
いコンセプトを採用していますので、対
といった、日本企業にあまり馴染みのな
ア・エクスプレイン( comply or explain
)
CGコードは原則主義(プリンシプル・
ベース・アプローチ)やコンプライ・オ
「原則主義」と
「コンプライ・オア・
エクスプレイン」
への対応
‌ 役会等の責務
基本原則4 取締
基本原則5 株主
‌ との対話
基本原則3
‌ な情報開示と透明性
適切
の確保
基本原則2
‌ 以外のステークホル
株主
ダーとの適切な協働
基本原則1
‌ の権利・平等性の確
株主
保
ふえん
げる5つの基本原則と、これらの基本原
った側面にばかり着目しがちでした。し
則から構成されています。
限られた時間のなかでの対応が求められ
20
かし、今回日本でコーポレート・ガバナ
ンスの強化が求められる背景は、
「攻め
のガバナンス」という言葉が使われてい
ることからもうかがえるように、成長戦
略としての側面が強調されています。健
全な企業家精神の発揮を促し会社の持続
的な成長と中長期的な企業価値の向上を
図る、あるいは経営陣が過度なリスク回
避に偏ることがないように制約から解放
する、それが「攻めのガバナンス」の意
図するところとされています。
そのうえで企業と投資家の建設的な対
話を通して、企業の持続的な成長を促す
のがCGコード導入の大きな目的です。
2014年6月に閣議決定された 日「
本再興戦略 改訂2014 」の「改革
に向けての の挑戦」でも、日本の「稼
38
小林昭夫
出所:あらた監査法人
24
30
あらた監査法人
パートナー 公認会計士
金融商品取引法と会社法、
取引所規則等、
開示規定の重複整理
開示の一元化
開示プロジェクト
(財務諸表の注記)
(IASB、
FASB)
持続的成長
12
入することが最初に挙げられていました。
10
伊藤レポート
(経済産業省)
改正会社法
(2014年6月)
社外取締役設置強化
非財務情報の
開示拡充
次世代EDINET、
XBRLの活用
企業と投資家
対話促進
ESG開示
日本版
スチュワードシップ・コード
(投資家)
コーポレートガバナンス・
コード
(企業)
JPX日経
インデックス400
統合報告フレームワーク
(IIRC)
日本再興戦略 改訂2014
2014年6月
2015年2月、東京、大阪、名古屋で「コーポレートガバナンス・コードの解説~日本
企業の対応と海外企業の開示例紹介」セミナーが開かれた。どこの会場も満員だっ
たが、特に東京は予想以上の参加申し込みがあったため、急きょセミナー開催を増や
したほどだった。いま、企業が強い関心を寄せるコーポレートガバナンス・コードとは何
か。企業はどう対応すべきなのか。セミナーで講演を行った、あらた監査法人の小林
昭夫氏に話を聞いた。
開示改革
(SEC)
6月の株主総会シーズンに
合わせて適用
日本版コーポレートガバナンス・
コードの導入へ
図表1 コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードは持続的成長のための車の両輪
図表2 コーポレートガバナンス・コードへの対応
上場企業であれば、導入に向けて準備を計画的に進めていく必要がある。
は趣旨に沿っているとは考えられません。
あまり、拙速な対応になってしまうこと
められるでしょう。
予定であるかを、現状の代替手段や追加
す。この場合には、いつまでに実施する
投資家の視点を
意識する
的なリスクと合わせて説明することが求
むしろ、自社の状況、すなわち業種、
規模、事業特性、機関設計、環境を考慮
して、自社のあるべきガバナンスの方向
をあらためて考える機会ととらえること
が期待されているものと考えられます。
自社が目指すガバナンスの姿にはすぐに
到達しない場合もありますので、数年を
の選任(原則4‐8)などが話題として
CGコードの要求事項に関しては、持
ち合い株式の合理性についての説明(原
業も多いように思われます。
れが基本原則の趣旨を達成するためにど
うに事業目的の達成に貢献するのか、そ
この場合には、CGコードの要求事項
通りではないが、現状のやり方がどのよ
ている旨を説明する方向です。
項を実施しないという積極的な選択をし
ルなどに照らして、CGコードの要求事
の歴史的背景、経営戦略やビジネスモデ
方向があります。第一は、そもそも自社
)には大きく2つの
explain
CGコードの要求事項を実施しない場
合の説明(
出てくることも想定されます。
(原則4‐9)も求められています。
性」の判断基準を策定・開示すること
の開示が求められて
board composition
います。また、独立社外取締役の「独立
おり、いわゆる board diversity
あるいは
示すべき(補充原則4‐ ①)とされて
の選任に関する方針・手続と合わせて開
よび規模に関する考え方を定め、取締役
知識・経験・能力のバランス、多様性お
CGコードでは取締役会の全体としての
企業側の対応に際しては、投資家の視点
CGコードの目的の一つは「企業と投
資家との建設的な対話の促進」ですので、
取り上げられることが多いようですが、
のように機能するのかなどを丁寧に説明
これらの方針や基準の策定と開示に際
しては、会社法が定める社外性要件や取
かけて実施( comply
)を目指す事項が
そのほかにも後継者計画(プランニン
することが望まれます。
関投資家や議決権行使アドバイザーがど
則1‐4)や、社外独立取締役2名以上
や開示など、多岐にわたる要求事項が記
載されています。これらの要求事項を個
別 に と ら え て、 実 施 し な い(
を十分に意識しておくことが必要です。
(補充原則4‐1③)や、取締役会評
グ)
もう一つの説明の方向性は、本来はC
Gコードの要求事項を実施すべきである
のような水準を期待しているのかを把握
応や説明の方法について模索している企
価(補充原則4‐ ③)など、体制整備
と考えているが、何らかの事情により、
することも重要だと思われます。
non-
ることが役立つと思われます。たとえば
(法務・IR・総務・経営企画・財務経理・
CGコードへの対応は、取締役会や監
査役会に加え、会社のさまざまな部署
トップの姿勢、企業価値
と経営戦略が問われる
引所の独立性ガイドラインに加えて、機
11
CGコードの補充原則4‐ ③では、取
明ではなく、自社の状況に照らした説明
れませんが、CGコードでは紋切型の説
すぐには実施できないと説明する方向で
(コーポレート・ガバナンス報告書)
●開示
が求められています(取締役会評価)
。
を行い、その結果の概要を開示すること
締役会全体の実効性について分析・評価
のあるガバナンスへの取り組みには、経
るものと想定されます。さらに、実効性
内部監査など)に関連した取り組みにな
営陣の主体的な関与が不可欠であること
は言うまでもありません。
整備に取り組むことも欠かせません。
また、独立社外取締役に期待される機
能を実効性のあるものとして有効活用す
います。
さらに、CGコードには企業のガバナ
ンスに関連して取り組みを求める事項が
といったところは、悩みどころかもしれ
今回のCGコード策定に際しては、当
初から国際的にも評価が得られるものが
多岐にわたり記載されていますが、今回
るためには、社外取締役などへのオリエ
目指されていました。これは、ともすれ
のコードの目的は企業と投資家との建設
ませんが、さまざまな海外企業のガバナ
ば「脆弱」と見られていた日本企業のガ
的対話による中長期的な企業価値の向上
ンテーション、社外者のみの会合、任意
バナンスに対する海外からの評価を払拭
であることを考えると、企業経営者にと
ンス開示事例を見ていくことで、ある程
しようという狙いがあるからです。各企
って「企業価値」とは何か、また企業価
の諮問機関の運営などのサポート体制の
業のCGコード対応に際して、海外の同
値向上の戦略をどう考えているかを明示
度のレベル感をつかむことができると思
業他社などがどのような開示を行ってい
することも望まれます。
し、投資家との意義のある対話の基礎と
どのような開示を投資家が期待するのか、
取締役会評価を行うに際して、どのよ
うなことを評価対象とするのか、また、
11
るかについて知っておくことも有用と考
えます。
http://www.pwc.com/jp/assurance
コーポレートガバナンス・コードに対する関心の高さから、追加開催された
セミナーで解説する小林氏。
)説明を避けることに注力する
comply
(エクスプレイン)
するのか?
説明
が求められています。
●どのように説明するのか?
説明は合理性を問われる
海外事例を参考に
●自己評価ツールの活用
●実施
(コンプライ)
するのか?
日本にCGコードが導入された最初の
数年は、特に、海外の説明事例を参照す
目標設定
現状把握、
分析・評価
●取締役・監査役の視点
方針策定
実行
●実施体制はいかに?
●同業他社比較
(海外・国内)
「説明」は日本企業が苦手な分野かもし
出所:あらた監査法人
11
●トップダウン?
●ボトムアップ?
●ベンチマーキング
●中長期的企業価値創造
●投資家・株主の視点
Akio Kobayashi
1993年から1996年までシンガポール
に駐在。2006年よりあらた監査法人
パートナーに就任、現在に至る。上場
企業の会計監査に加え、国内・海外
の株式上場(IPO)支援や国際財務
報 告 基 準(IFRS)
、米 国 会 計 基 準
(US GAAP)などのコンバージョン支
援業務などを広く提供。エネルギー業
界および関連の会計処理に精通して
いる。
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