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資産税ニュース 相続税の納税義務-ケーススタディ PwC Japan Tax Newsletter

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資産税ニュース 相続税の納税義務-ケーススタディ PwC Japan Tax Newsletter
資産税ニュース
October 2010, Issue 2
PwC Japan Tax Newsletter
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
は、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)
グローバルネットワークの日本におけるメンバー
ファームです。公認会計士、税理士等約560名の
スタッフを有する日本最大級のタックスアドバイ
ザーとして、法人・個人の申告をはじめ、金融・不
動産関連、移転価格、M&A、事業再編、国際税務、
連結納税制度など幅広い分野において税務コン
サルティングを提供しています。
PwCのグローバルネットワーク (www.pwc.com)
に属するPwC各メンバーファームは、クライアント
およびクライアントを取り巻く人々の信頼の確立と、
価値の向上を目指して、監査、税務、アドバイザ
リーサービスにおいて、クライアントの業種に焦点
をあてたサービスを提供しております。PwCは、
世界154カ国に161,000人のスタッフを有し、常に
新たな視点からクライアントのご要望に即したアド
バイスを提供できるよう、そのネットワークを十分
に活用して問題解決に取り組んでいます。
このニュースレターは、概略的な内容をご紹介す
る目的で作成しており、この情報が個々のケース
にそのまま適用できるとは限りません。個別案件
への対応、またはより専門的な案件への取り組み
に際しましては、税理士法人プライスウォーター
ハウスクーパースの担当者にお問い合わせくださ
い。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
〒100-6015
東京都千代田区霞が関3丁目2番5号
霞が関ビル15階
電話 : 03-5251-2400(代表)
http://www.pwc.com/jp/tax
© 2010 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
プライスウォーターハウスクーパースとは、税理士法人
プライスウォーターハウスクーパース、または、プライス
ウォーターハウスクーパースのグローバルネットワーク、
ないしはそのメンバーファームを指しています。個々の
組織は分離独立した法的組織となっています。
相続税の納税義務-ケーススタディ
日本経済の国際化の進展に伴い、日本国内のみならず国外にも財産
を有するケースが増えてきています。本人および相続人の両方が海
外に住所を有している場合も少なくありません。
上記のような状況の変化を踏まえ、平成 12 年度税制改正以降、相続
税の納税義務者は、相続開始時において相続人が日本以外に居住
している場合であっても、日本国籍を有している場合には、「被相続人
及び相続人ともに過去 5 年間いずれのときにおいても国内に居住して
いない」という要件を満たさない限り、全世界財産が課税の対象となる
こととされています。
また、日本で勤務している外国籍の方が日本における居住期間中に
本人に相続が発生した場合もしくは相続人となった場合、想定外の日
本の相続税が発生するケースも増えてきています。
本ニュースレターでは、相続税の納税義務の概要を解説するとともに、
留意すべき典型的なケースをご紹介します。
* * * * * * * * * * * * * * *
資産税ニュース
October 2010
1. 相続税の納税義務者
(1)納税義務者の区分
日本の相続税は、相続開始(被相続人の死亡)により財産を取得した場合に、その取得をした者に課されます。
相続税の納税義務者の区分は、次の表のとおり居住無制限納税義務者、非居住無制限納税義務者、制限納税義
務者の 3 つとなっており、その区分により課税財産の範囲が定められています。(このほか、相続時精算課税制度の
適用を受ける場合の特定納税義務者という区分がありますが、今回は説明を割愛します。)
納税義務者の判定要件
区分
1
2
居住無制限
納税義務者
非居住無制限
納税義務者
3 制限納税義務者
特定納税義務者(上記
1~3に該当しない者
4
で、相続時精算課税の
適用を受けた者)
財産を取得 相続開始前5年以内のい
財産取得時
した者の国 ずれかの時に国内に住所
の住所
を有していたか否か
籍
日本国内
日本国外
問わない
日本国内及び日本国
外に所在する財産
日本
財産を取得した者又は被
相続人が相続の開始前5
日本国内及び日本国
年以内のいずれかのとき
外に所在する財産
に国内に住所を有してい
たことがある
日本
財産を取得した者、被相
続人ともに相続の開始前
5年以内のいずれの時に
おいても国内に住所を有
日本国内に所在する
していたことがない
財産
日本国外
-
-
課税財産の範囲
日本以外
-
-
-
相続時精算課税適用
財産
上記表のとおり、制限納税義務者(課税対象が日本国内財産のみに制限される)は、
① 財産を取得した者が相続開始時において日本以外に居住しており、かつ、財産取得者が日本国籍の場合で、
財産を取得した者・被相続人ともに相続開始前 5 年以内のいずれの時においても日本に住所を有していたこと
がない場合
② 財産を取得した者が相続開始時において日本以外に居住しており、かつ、国籍が日本以外の場合
のいずれかに限られます。制限納税義務者に該当しない場合には、無制限納税義務者(居住または非居住)となり、
取得した財産のうち国内財産のみならず国外財産も課税対象となります。
居住無制限納税義務者
非居住無制限納税義務者
全世界財産が課税対象
制限納税義務者
国内財産のみが課税対象
PricewaterhouseCoopers
2
資産税ニュース
October 2010
(2)日本の納税義務者の判定要素の特徴
日本の相続税の納税義務者の判定要素の主な特徴としては、次の 4 つが挙げられます。
① 被相続人ではなく、財産取得者の居住地が第一義的な判定要素となっていること。
② 財産取得者が相続開始時において日本居住の場合には、たとえその財産取得者が外国人であったとしても全
世界財産が課税対象となること。
③ 財産取得者が相続開始時に日本非居住の場合、財産取得者の国籍により課税財産の範囲が異なる場合があ
ること(被相続人の国籍は問われない点に留意)。
④ 日本非居住、かつ、日本国籍を有する財産取得者の場合、財産取得者本人のみならず、被相続人の過去 5 年
間における日本居住の当否も判定要素となっていること。
2. ケーススタディ
以下では典型的なケースについて解説します。なお、単純化するために相続人は子一人であり、子が被相続人の財
産を全部相続により取得するという前提とします。
(1)被相続人および相続人ともに日本国籍を有する場合(日本人親子のケース)
① 被相続人は日本居住者、相続人は日本非居住者の場合
このケースでは、相続人が相続開始時にたとえば職業上の理由で過去 5 年超の期間日本に居住していない場
合であっても、被相続人が相続開始時に日本居住であれば、相続人は非居住無制限納税義務者に該当し、全
世界財産が課税対象となります。なお、A 国においても相続税に相当する税を課されている場合には、A 国財
産に対して課された A 国の相続税に相当する税については一定の計算に基づく外国税額控除の規定により日
本の相続税額は軽減されます。
日本
A国
被相続人
(日本国籍)
相続人
(日本国籍)
国内財産
国外財産
課税対象
日本と A 国との税率差相当額につき日本で課税
②
被相続人、相続人ともに過去 5 年超の期間日本非居住者の場合
一方、被相続人が過去 5 年超の期間に日本に居住しておらず、かつ、相続人についても過去 5 年超の期間日
本に居住していない場合には、相続人は制限納税義務者に該当し、国内財産のみが課税対象となります。
日本
B国
被相続人
(日本国籍)
国内財産
相続人
(日本国籍)
国外財産
課税対象
PricewaterhouseCoopers
3
資産税ニュース
October 2010
(2)被相続人及び相続人ともに外国人の場合(外国人親子のケース)
このケースは、相続発生時に相続人が偶然に日本に居住していたという想定です。日本の相続税は他国に比較して
相対的に高いので、日本居住の外国人にとっては思わぬ負担となることがあります。
仮に日本には財産がなく国外のみに財産がある場合であっても、取得する財産の価額によってはその海外の財産
に対して最高税率 50%の相続税が課されることとなります。なお、A 国においても相続税に相当する税を課されてい
る場合には、(1)①のケースと同様に外国税額控除の適用を受けることができます。
日本
A国
被相続人
(C 国籍)
相続人
(C 国籍)
国外財産
課税対象
日本と A 国との税率差相当額につき日本で課税
(3)被相続人が日本国籍、相続人が日本国籍以外の場合
このケースは、親が D 国で結婚し、D 国において子が生まれた場合で、子は D 国のみの国籍を有しているケースを
想定しています。親は晩年から相続開始時までは母国日本で暮らす一方、財産のほとんどは D 国に所在し、子は生
まれ育った D 国で生活しているような場合です。この場合、財産取得者である相続人は国外居住で、かつ、日本国
籍を有していないため制限納税義務者に該当し、国内財産のみが課税対象となります。
日本
A国
被相続人
(日本国籍)
国内財産
相続人
(D 国籍)
国外財産
課税対象
なお、子が日本の国籍も有しているというような二重国籍の場合には、非居住無制限納税義務者に該当し、(1)①の
ケースと同様に国外財産も課税対象となるので留意が必要です。
PricewaterhouseCoopers
4
資産税ニュース
October 2010
上記に関してご質問がありましたら、当法人の貴社担当者もしくは下記までお問い合わせください。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
〒100-6015
東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号 霞が関ビル 15 階
電話 : 03-5251-2400(代表)
http://www.pwc.com/jp/tax
パートナー
マネージャー
PricewaterhouseCoopers
小林 和也
03-5251-2752
kazuya.kobayashi@jp.pwc.com
發知 敏雄
03-5251-2876
toshio.hotchi@jp.pwc.com
乙部 隆仁
03-5251-2896
takahito.t.otobe@jp.pwc.com
山崎 学
03-5251-6235
manabu.yamazaki@jp.pwc.com
塩谷 洋子
03-5251-2024
yoko.shionoya@jp.pwc.com
鈴木 宏子
03-5251-2156
hiroko.x.suzuki@jp.pwc.com
濱岡 佳孝
06-7670-0952
yoshitaka.hamaoka@jp.pwc.com
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