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OECD:BEPS 行動計画の第一次提言 行動計画 13 移転価格ガイドライン第 5 章 (文書化)改正案の発表

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OECD:BEPS 行動計画の第一次提言 行動計画 13 移転価格ガイドライン第 5 章 (文書化)改正案の発表
BEPS News
OECD:BEPS 行動計画の第一次提言
行動計画 13 移転価格ガイドライン第 5 章
(文書化)改正案の発表
16 October 2014
In brief
2014 年 9 月 16 日、OECD は Base Erosion and Profit Shifting (BEPS)に関する行動計画の第一次提言を発
表し、移転価格ガイドライン第 5 章(文書化)の改正案を含む移転価格文書と国別報告書のガイダンス(BEPS
行動計画 13)に係る報告書が最終版とされました。
このガイダンスは、2014 年 1 月 30 日に発表された討議草案(Discussion Draft)から一部を除き、大きな変更
はないものの、ビジネス界からのコメントも反映された内容となり、OECD 移転価格ガイドラインの第 5 章の差し
替えとなります。このガイダンスでは、多国籍企業が移転価格文書を作成する枠組みを示し、同時に税務当局
がリスク評価や移転価格調査を適切に行うために必要な資料を示しています。一部、執行についての議論は
引き続き行われていますが、各国における移転価格文書の規定は早期に改正されることが予想されます。す
でに、英国では、OECD の提言の発表を受けて国別報告書の導入を決定しました。
今後、日本でも、移転価格文書に関する規定が改正されることが予想されます。また、海外では早期に国別
報告書を導入する国もあると考えられます。今後の制度改正に備えて、十分な移転価格の対応を行うための
準備や検討を事前に進めることも、コンプライアンスを遵守する企業経営の課題の一つとなってくるものと考え
られます。
In detail
1. 行動計画13:移転価格文書および国別報告書
のガイダンスに係る報告書の発表
2014年9月16日、OECDはBEPS行動計画の第一次
提言を発表し、「移転価格文書および国別報告書の
ガイダンス」を含む報告書を発表しました。
BEPS行動計画13は移転価格の文書化のガイダンス
をまとめたもので、OECD移転価格ガイドラインの第5
章の差し替えとなるものです。本章は、各国税務当
局に対しては、移転価格調査やリスク評価の際に納
税者に要請する移転価格文書に関する規則や手続
きについてのガイダンスであり、納税者に対しては、
関連者間取引が独立企業間価格で行われているこ
とを説明する最も適切な情報となる移転価格文書を
整備するためのガイダンスです。
移転価格文書の主な目的は次の3点とされています。
 納税者が、関連者間取引において適切な価格
や取引条件を決定し、税務申告において適切
な申告をするために、移転価格を十分に検討
することを確保すること
 税務当局に対して、移転価格リスク評価を行う
際に必要な情報を提供すること
 税務当局に対して、移転価格調査を適切に行う
ための有用な情報を提供すること(但し、実際の
調査では追加資料が求められることもあります)
www.pwc.com/jp/tax
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各国税務当局は上記の目的を考慮して、移転価格文書の要件を検討する必要があります。また、納税者は、税務申告時や取
引時点で、移転価格税制に関するコンプライアンスを遵守していることを検証し、確認する必要があります。
移転価格文書の行動計画13については、2014年1月に発表された討議草案についてビジネス界からも多くのコメントがOECD
に寄せられました。今回の報告書における移転価格文書は、討議草案と同様に、マスターファイル、ローカルファイル、国別報
告書の三種類のレポートから構成されますが、討議草案におけるマスターファイルとローカルファイルの二層構成から、今回の
報告書では、国別報告書を独立させた三層構成となり、国別報告書には国単位でリスクを評価するための情報に変更されまし
た。
今回の報告書の概要は下記の通りです。
(1) 移転価格文書を構成する3つのレポート
移転価格文書の目的を達成するには、どの国でも標準化された取り扱いをすることが必要とされています。移転価格文書はマ
スターファイル、ローカルファイル、国別報告書の3つのレポートで構成されます。マスターファイルには多国籍企業グループ各
社の情報、ローカルファイルには現地納税者の主要な取引、国別報告書には多国籍企業の所得と税額に関する情報が含まれ
ます。今回の報告書では、討議草案ではマスターファイルに含まれていた国別報告書を別の構成とし、三層のレポートで構成さ
れることとしました。
マスターファイル
マスターファイルは、税務当局が重要な移転価格リスクを検証するために必要な多国籍企業の概要をまとめたものです。全世
界で行われている事業の状況や移転価格ポリシー、所得や経済活動の配分の状況が示されます。マスターファイルは多国籍
企業の移転価格の実務を概略的に説明するものであり、詳細な情報やリストを提供することは意図していません。無形資産や
契約のリスト等を作成する際には、その目的を考慮してどの程度の情報や詳細を含めるのか、企業が慎重な判断をする必要が
あります。
多国籍企業の概要を示す資料として、マスターファイルには下記の5つのカテゴリーの情報が含まれます。
a) 多国籍企業の組織
b) 多国籍企業の事業概要
c) 無形資産
d) グループ内金融活動
e) 多国籍企業の財務状態と納税状況
討議草案に含まれていた、高額報酬者の所在する国の情報や相互協議の説明は最終ガイダンスには含まれていません。
また、マスターファイルは多国籍企業グループ全体を概観することを目的にしているので、事業の運営によって事業部門別の
報告様式がとられることもありますが、全部の事業部門を網羅し、グループ全体の事業の概要を示すものとして作成されます。
ローカルファイル
ローカルファイルには、特定の関連者間取引に関する詳細な情報がまとめられます。ローカルファイルの情報は、マスターファイ
ルを補完し、納税者が独立企業原則に沿って取引を行っていることを説明するために用いられます。移転価格分析に関する各
情報(機能分析や経済分析等)が含まれ、各国の税制に即して作成する必要があります。
ローカルファイルには討議草案と同じ下記の3つのカテゴリーの情報が含まれます。
a) 現地の対象事業体
b) 関連者間取引(関連者取引の概要、取引金額、比較分析、適切な移転価格算定方法の選定等)
c) 財務情報
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国別報告書
国別報告書はマスターファイルの一部とすべきか、あるいは別個の文書とすべきか検討が行われ、別個の文書として作成される
ことになりました。国別の包括的な報告書として、国別に合計した所得配分、納税の状況、経済活動の所在を示す情報が含ま
れます。合わせて、事業内容を区分した企業のリストが含まれます。
税務当局は、国別報告書を使ってハイレベルな移転価格のリスク評価を行うことが可能となります。その結果、BEPSに関する他
のリスクが発見されることになるかもしれません。しかし、国別報告書の情報は、各関連者間取引の移転価格を検証する資料で
はないので、国別報告書をもって、移転価格が適切であるかを議論することはできませんし、国別報告書の情報を使って全世
界定式配分方式に基づく課税を行うべきではないと提言しています。
(2) コンプライアンスについて
移転価格文書は、納税者にとって、関連者間取引が独立企業間価格で行われたことを税務当局に対して明確に説明するため
の資料となります。移転価格文書を定期的に作成することにより、コンプライアンスを重視している姿勢を示すことができます。
税務当局の要件を満たして作成された文書は、調査官に対して、企業が常に移転価格を考慮して事業を行っていることを印象
づけます。また、同時文書化は、納税者が適時に誠実に移転価格を検証していることを示すために有効です。移転価格文書の
作成は、納税者にとって移転価格ポリシーを策定する機会となり、コンプライアンスを向上することとなります。
このように討議草案に比べて、今回の報告書で公表された最終ガイダンスはよりコンプライアンスに重点をおいた指針となって
います。
同時文書化
納税者は、取引時に入手可能な情報に基づいて、独立企業原則に沿って設定された価格を決める必要があります。また、税務
申告時に損益結果が独立企業間価格として問題がないことを確認する必要があります。
しかしながら、納税者は、文書作成にあたって過大な費用や負担を強いられるべきではありません。税務当局は、移転価格文
書と文書作成に必要な費用や事務負担のバランスを取ることが求められます。
文書作成時期
移転価格文書の作成時期は、税務申告までに作成が求められる国もあれば、調査での提出が求められる国もあり、対応が各国
により異なります。OECDは、ローカルファイルは対象年度の税務申告までに作成とすること、マスターファイルも多国籍企業親
会社の税務申告までに見直され、必要に応じて修正されることが望ましいとしています。また、財務情報が税務申告までに修正
されることもあるため、国別報告書の作成時期は多国籍企業親会社の事業年度終了日から1年以内としています。
重要性
各国の移転価格文書化の規定には、現地経済の規模や状況、現地企業の重要性、企業の事業規模や事業内容、多国籍企業
の事業規模や事業内容を考慮する、一定の重要性基準を設定することが推奨されています。また、納税者に過大な費用や負
担を強いらないように、中小企業は文書化の対象から外す(または、軽減する)ことが薦められています。
文書の保存期間
親会社または対象企業の所在地の税制に即した合理的な保存期間が考えられます。ただし、経過年分であっても、移転価格
文書に含まれるデータは保存しておく必要があります。
文書の保存方法については、適時に税務当局に提出することができる限り、書類として保存するのか、電子データや他の形式
で保存するのか、納税者に委ねられます。
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文書の更新頻度
移転価格文書は機能分析や経済分析およびサポート資料の有効性を確保するために、定期的に見直すことが薦められていま
す。一般的には毎年手直しが必要とされますが、会社概要や機能分析等は年度が変わっても大きな変更があまりないと考えら
れています。
また、経済分析では、事業に大きな変更がない限り、毎年でなく、三年毎に比較対象企業を選定することも認められます。ただ
し、比較対象企業の財務データは毎年アップデートする必要があります。
使用言語
移転価格文書で使用される言語は現地の税制によって定められます。現地税制に即して、複雑な取引の分析を説明するため、
基本的には現地の言語で作成されます。また、税務当局に対しては、文書の有用性を損ねない程度であれば企業内で共通に
使われる言語で文書を作成することを認めるように求めています。
税務当局が必要と認める場合には、費用や負担のバランスを考慮したうえで、翻訳を納税者に依頼することとされています。
前回の討議草案ではマスターファイルを英語で作成することが求められていましたが、今回の提言では、現地税務当局が理解
しやすい言語に変更されました。
罰則
移転価格文書を整備していなかった場合の罰則を既に導入している国も多くあります。罰則は各国の法制度に基づいて導入を
検討されますが、納税者のコンプライアンスの遵守と移転価格文書の効果的な運用を確保することを目的としたものです。
守秘義務
税務当局は納税者の営業上の秘密情報、技術上の秘密情報や商業的に影響する情報が開示されることのないように、情報を
管理する必要があります。
その他
比較可能性が確保される限り、地域レベルの比較対象企業より、同じ国の比較対象企業を用いる方がより信頼性が高い分析に
なるとしています。
(3) 執行
OECDはマスターファイルと国別報告書の提出先について、今後さらに検討が行われます。一方、ローカルファイルは、現地の
税務当局に直接提出されるものと位置付けられています。
2. 納税者の対応
今回OECDから発表された移転価格文書および国別報告書のガイダンスは、マスターファイルや国別報告書の執行について
引き続き検討されるものの、移転価格文書作成の要件は最終のものと考えられます。また、これまでに発表された討議草案と比
べて、国別報告書の構成やコンプライアンスの一部(使用言語等)を除き、大きな変更はありません。この提言発表を受けて、各
国における移転価格文書の規定は早期に改正されることが予想されます。すでに、OECDの提言の発表を受けて国別報告書
の導入の検討を開始している国もあります。納税者がこうした制度改正に十分な対応を行うには、社内方針の決定等にも時間も
要しますので、早めに準備に取り掛かる必要があります。
移転価格文書化のガイダンス発表についてのニュースレターは、以下PwC Tax Policy Bulletinをご参照ください。
PwC Tax Policy Bulletin: OECD finalises guidance on transfer pricing documentation and country-by country reporting
(http://www.pwc.com/en_GX/gx/tax/newsletters/pricing-knowledge-network/assets/pwc-oecd-guidance-tpdocumentation-and-cbc-reporting.pdf)
PwC
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また、BEPS行動計画の第一次提言の行動計画13については、以下OECDのホームページをご参照ください。
OECD/G20 Base Erosion and Profit Shifting Project 2014 Deliverable ACTION 13: Guidance on Transfer Pricing
Documentation and Country-by-Country Reporting(http://www.oecd-ilibrary.org/taxation/guidance-on-transfer-pricing-
documentation-and-country-by-country-reporting_9789264219236-en)
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