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* Vol. 4 A Publication of Global Network for Japanese Practices エグゼクティブのための最新会計・税務情報

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* Vol. 4 A Publication of Global Network for Japanese Practices エグゼクティブのための最新会計・税務情報
A Publication of Global Network for Japanese Practices
米国ビジネス・ニュース* Vol. 4
エグゼクティブのための最新会計・税務情報
2009年7月
金 栄進/Jonathan Y. Kim
監査パートナー
IFRS 適用に向けた課題と取組み
自動車産業および未上場企業監査
2009 年 6 月 16 日に、日本の企業会計審議会は「我が国(日本)に置ける国際会計
基準の取り扱いについて」と題する中間報告を発表しました。この中間報告は、
会計基準をめぐる国際的な動向、会計基準のあり方、今後に向けての課題等に
ついて言及しています。まさに、IFRS の導入は今や回避できないものとの認識
に立ち、いつのタイミングで任意・強制適用するのかという実施に向けての本
格的な議論に進展してきたと言えます。今後 IFRS を適用して行く過程におい
て、実務の対応などの観点から、下記の課題があると述べられています。
(312) 298-2908
[email protected]
One Wacker Drive
Chicago, Illinois 60606
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
原則主義ベースでの IFRS が商慣行や企業実態を適切に反映したものである
こと
IFRS を正しく理解する上で日本語に適切に翻訳される必要があること
IFRS の設定におけるデュー・プロセス確保とそのガバナンスの改善が図ら
れること
投資者、作成者、監査人および当局関係者への教育・研修や体制の整備が
不可欠であること
XBRL(国際的に標準化された財務報告等に使用されるコンピュター言語)の
IFRS への対応
IFRS の任意適用は 2010 年 3 月期の年次財務諸表から認められましたが(四半
期については 2011 年 3 月期から)、国際的な財務・事業活動を行っている上場
企業の連結財務諸表のみが対象となっています。IFRS の強制適用につきまして
は、2012 年を目処に判断される予定となっています。実務の対応上、必要な準
備期間として少なくとも 3 年が必要と考えられることから、2012 年に強制適用
を判断する場合には、2015 年度または 2016 年度に適用が開始されると予想さ
れます。非上場企業への任意適用は改めて検討する必要があるとされており、
適用対象としての是非については今後の動向を見守る必要があります。
また、2009 年 6 月 30 日に、金融庁は任意適用に対応することを目的とした連
結財務諸表規則等の改正案と合わせて「経過措置の概要等」を公表し、IFRS を任
意適用した初年度の開示要請についての考え方を示しています。
最近の動向から、今後、IFRS 導入の動きは一層加速されていくものと考えられ
ます。IFRS を適用する場合、過年度と比較対照可能な形で作成することが要求
*connectedthinking
pwc
米国ビジネス・ニュース*
されるため、相当早いうちから準備に取り掛かる必要があると考えられます。
そのため、社内教育、既存の会計基準との相違点の認識および必要とされる人
材の確保が急務となるでしょう。
さて、今回お届けします「米国ビジネス・ニュース」Vol. 4は繰延税金資産の回
収可能性の判断、 FAS165「後発事象」、コストシェアリングに関する暫定規則
案、試験研究費控除に関する最近の判例、ソフトウェア開発子会社株式の評価
損、2010年度予算案、源泉徴収手続きの厳格化をトピックとしてご紹介させて
頂きました。掲載内容に関してご質問等がありましたら、最後の頁にあります
コンタクト先までお気軽にご連絡ください。
速水 強 / Tsuyoshi Hayami
監査マネージャー
(313) 394-3025
[email protected]
1900 St Antoine Street
Detroit, Michigan 48226
直近の累積損失または累積損失が予測される状
況における繰延税金資産の回収可能性の判断
昨今の世界経済の低迷や信用市場の縮小により、従前は利益体質であった多く
の会社の業績が著しく悪化してきています。これらの会社の中には、前期の最
終損失に止まらず、今期や近い将来にも損失を予想しているケースが多く見受
けられます。この様に損失が継続的に予想される状況は、「資産の減損評価」、
「繰延税金資産の回収可能性評価」、「継続企業の前提に関する疑義の評価」等、
経営者に会計上の多くの難題を投げかけます。
上記3例の取り扱いは会計上とても複雑であり、かつ、各々の評価モデルが異
なることから、皆様にとても誤解を与えやすい会計分野であると言えます。例
えば、資産の減損処理が必要でないとの評価判断を下した場合であっても、ま
た、継続企業の前提に関する疑義がないという評価判断を下した場合であって
も、繰延税金資産については回収可能性の疑いが高いと判断され、評価性引当
金の設定を要求されることは珍しいことではありません。
繰延税金資産の回収可能性に関する評価は、米国財務会計基準書第 109 号(以
下、「FAS 109」)に基づき実施されます。FAS109 では繰延税金資産の回収可能
性を評価する際に、回収可能性を肯定する客観的な証拠と回収可能性を否定す
る客観的な証拠を総合的に判断することを求めています。それに加え、
FAS109 では「直近の過去数年の累積損失は、それを覆すことが非常に困難で重
要な(繰延税金資産の計上に関する)否定的証拠となる」と規定しています。その
背景には、歴史的事実は客観性が非常に高い証拠であるため、将来のフォーキ
ャストに比べ遥かに証拠力が強い、との考え方があります。従って、近年の実
績が累積で損失の状況にある場合、評価性引当金が不要であると結論付けるた
めには、その否定的な証拠を覆すだけの強力な回収可能性を肯定する客観的証
拠が必要となります。将来の予想利益のみで繰延税金資産の回収可能性がある
と判断することは、米国会計基準の観点からは非常に困難であると考えられて
います。その結果、税務上の欠損金繰戻し、繰延税金負債の戻入れ、または実
行可能な税務プランニング等によって客観的に繰延税金資産の活用が立証でき
る金額以外の部分については、評価引当金の設定が必要であると一般的に考え
られます。
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PricewaterhouseCoopers
米国ビジネス・ニュース*
昨今の経済情勢により近年の決算で損失を計上し、今後も損失の計上を予想さ
れている会社では、必要であれば税務プランニング等も視野に入れ、繰延税金
資産の評価に関する対応策を事前に構築することが必要です。
西川 靖弘/Yasuhiro Nishikawa
監査マネジャー
FAS165「後発事象」
(312) 298-5707
[email protected]
1 North Wacker
Chicago, IL 60606
2009 年 5 月に米国財務会計基準審議会(FASB)は貸借対照表日後に生じた事象
に関する会計基準 FAS165 「後発事象」を公表しました。FAS165 は主に以下の
3 点について定義しています。
ƒ
ƒ
ƒ
後発事象を評価すべき期間
後発事象の種類
後発事象の開示
この基準書は従来の後発事象に関しての会計処理、財務諸表への開示を大きく
変更するものではありません。この基準書により、後発事象を評価すべき期間
が定義され、また、後発事象をいつまで評価したか、ならびに、なぜその日で
あるのかを財務諸表に開示することが求められました。
後発事象を評価すべき期間
FAS165は後発事象を評価する期間として、従来の財務諸表を発行するまでの
期間に加えて、「財務諸表を発行する準備が整った日までの期間」という新しい
概念を追加しました。従いまして、この基準書は後発事象を評価すべき期間と
して以下の2つの期間を定義しています。
ƒ
ƒ
貸借対照表日から財務諸表が発行されるまでの期間 (Financial statements
are issued)
貸借対照表日から財務諸表発行に必要な承認が経営者、取締役、もしくは
重要な株主などより得られるまでの期間 (Financial statements are available
to be issued)
株主やその他の利用者などの広範囲に財務諸表を提供する会社は、財務諸表が
発行される日(上記 Financial statements are issued)までの後発事象を評価する
必要があります。その他の会社は財務諸表が上記 Financial statements are
available to be issued の日までの後発事象を評価する必要があります。
後発事象の種類
後発事象とは、上記の期間に起きた事象や取引を指します。後発事象は、以下
のように貸借対照表日にまで遡って財務諸表に認識する必要のある(財務諸表を
修正すべき)後発事象と認識する必要のない(財務諸表を修正すべきでない)後発
事象に分けられます。
ƒ
貸借対照表日現在に実質的原因が存在した事柄に関する後発事象
例えば、貸借対照表日現在係争中だった訴訟が、見積りで計上していた引
当金と異なる金額で解決した場合がこれに該当します。この場合は、会社
は財務諸表でその影響額を認識します。(認識すべき後発事象/first type)
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PricewaterhouseCoopers
米国ビジネス・ニュース*
ƒ
貸借対照表日現在には実質的原因が存在せず、貸借対照表日後に起こった
事象に関する後発事象
資産や負債の公正価値の変動や外国為替の変動がこれにあたります。この
場合はその影響額を財務諸表では認識しません。(認識すべきでない後発事
象/second type)
開示
FAS165 は以下の項目の開示を要求しています。
ƒ
ƒ
後発事象の評価をいつまで行ったか(上記、後発事象を評価すべき期間参
照)、ならびに、評価対象期間の最終日の理由
開示されなければ誤解を与える恐れのある未認識の後発事象(上記、後発事
象の種類参照)とその影響額
適用開始時期
FAS165 は 2009 年 6 月 15 日以降に終了する会計期間からの適用が義務づけら
れています。
筒井 俊一/Shunichi Tsutsui
税務マネージングディレクター
コストシェアリングに関する暫定規則案
移転価格 / Transfer Pricing
概要
(914) 672-9845
[email protected]
1301 K Street, NW 800W
Washington DC 20005
米国内国歳入庁(以下、「IRS」)は、2008 年 12 月 31 日付けで無形資産開発にか
かわる費用分担契約(Cost Sharing Arrangement、以下、「CSA」)に関する暫定
規則案(Temporary and Proposed Regulation)を発表しました。本規則案は
2009 年 1 月 5 日以降に締結される CSA に適用され、それ以前に締結された
CSA については一定の条件を満たせば従来の規則が継続適用されます。なお、
本暫定規則案は今後パブリックコメント等を反映して見直される可能性もあり
ます。
永藤 剛基/Takeki Nagafuji
税務ディレクター
移転価格 / Transfer Pricing
(213) 356-6341
[email protected]
350 S. Grand Avenue
Los Angeles, CA 90071
大野 由夏/Yuka Ohno
税務ディレクター
移転価格 / Transfer Pricing
(713) 356-5765
[email protected]
1201 Louisiana, Suite2900
Houston, TX 72002-5678
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本暫定規則案は 1996 年に制定された規則を大幅に見直したもので、米国企業
による CSA を用いた国外への利益移転に一定の歯止めをかけるものです。具
体的には、CSA 参加者の貢献の定義を広げ、貢献の対価算定について 5 つの算
定方法を示すとともに、費用負担者が得られる収益に上限を設けました。
なお、本暫定規則案における貢献とその対価の考え方は CSA の枠組みだけで
なく、IRS の無形資産取引に係る全般的な方針を示すものと思料され、グルー
プ企業間における無形資産取引の際には十分留意する必要があります。
CSA とは
CSA とは、関連企業間において特定の無形資産の創出にかかわる研究開発費用
等を各社の将来の期待便益に応じて分担する契約です。CSA によって企業は多
額の開発費用やリスクをグループ各社に分散できると同時に、CSA 参加各社は
無形資産から生み出される将来の収益をロイヤルティーを支払うことなく享受
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することができます。
契約形態や書類の整備等、一定の要件を満たせば適格 CSA(Qualified CSA)とな
り、IRS の税務調査における焦点は費用配分の合理性の検証に限られます。一
方、適格 CSA の要件を満たしていないとみなされると、一般の無形資産や役
務提供取引と同様に、独立企業間価格の算定方法について様々な角度から検証
される可能性があります。
なお、日本の移転価格税制においても平成 18 年 3 月 20 日付けの移転価格事務
運営要領の改正において無形資産と費用分担契約の説明が加わりましたが、本
暫定規則案ほど詳細な規定ではありません。
従来の規則では、 CSA 参加者の貢献の対価の計算に相当の曖昧さが残り、ま
た、CSA を通して無形資産を米国外に合法に移転させることができるため、欧
米のハイテク・医薬品会社が CSA を用いて積極的な税務プラニングを行った
結果、IRS と税務調査で争うケースが続発したことが規則改正の契機となって
います。
暫定規則案の内容(Treas. Regs. §1.482-7T)
CSA のコンセプトは無形資産創出の費用を将来の期待便益に応じて共同負担す
るという極めて常識的なものではありますが、実際に CSA を行う際には、無
形資産がまったく存在しないところから始めるという例は非常に稀で、無形資
産を含む既存のインフラを基礎に新たな無形資産を創出するという形が一般的
であるため、既存のインフラのインパクトをどのように CSA と調和させるか
が規則案の中心課題となっています。今回の暫定規則案は(1)無形資産創出に関
与する参加者の貢献の範囲と対価の設定、(2)無形資産の創出費用分担、の 2 点
について詳細な規定を設けています。
無形資産創出に対する貢献
暫定規則案では貢献の要素を特許や特殊技術などの技術的な資産に限定せず、
開発権や研究要員など「無形資産の創出に貢献し得るすべての資源」と定義し、
これらをまとめて Platform Contribution と呼んでいます。 この Platform
Contribution に対してすべての CSA 参加者が独立企業間価格に基づいた対価
「Platform Contribution Transaction ("PCT")」を支払うことが義務付けられてい
ます。
PCT の算定方法としては以下のものが挙げられ、支払方法についてもあらかじ
め契約の中で明確にする必要があります。
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独立取引価格比準法
所得法
取得価格法
時価総額基準法
残余利益分割法
この PCT のコンセプトは CSA 設立の時のみならず、CSA への途中参加、ある
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いは CSA 参加者の脱退の際にも適用されます。
無形資産の創出費用分担について
CSA の設定においては無形資産開発のためにどの様な開発活動が行われるか
(Intangible Development Activity "IDA")を明確にする必要があります。また開発
活動によって創出された無形資産の便益については CSA 参加者が明確に定め
られた権利を取得することが求められ、その権利は永久的・独占的・立証可能
かつ重複しない形で定義されなければなりません。日本・アジア・米州・欧州
など地域別に権利を定めることが一般的ですが、使用分野(Field of Use)などに
よる限定も許可されています。
開発費用は CSA 参加者のそれぞれの権利に基いて計算される期待便益
(Reasonably Anticipated Benefits "RABs")の比率によって負担しなければなり
ません。RABsの計算にあたり期間を限定することは認められず、過去・将来
を含めた永久的権利に関する便益を計算することが求められています。また便
益を享受する潜在的可能性が大幅に変化した場合は RABs の比率を見直す必要
があり、必要に応じて独立企業間取引の原則に基づいた調整が必要になりま
す。
上記二点に関する詳細な内容を「費用分担契約」に盛込む必要があり更に毎年実
績を書面で報告する義務が生じます。
納税者への影響
この暫定規則案に準拠する CSA と認められるためには書類提出義務も含め細
かい要件を満たす必要があります。要件をすべて満たす場合には暫定規則案の
内容に沿って移転価格調査がおこなわれます。逆にこれらの要件をすべて満た
していなかった場合は、暫定規則案に加え、無形資産取引や役務提供に関する
規則が適用される可能性もあり、納税者にとって移転価格調査対応が極めて困
難になるケースも想定されます。
又、暫定規則案に定められた「提供される貢献の対価設定法」は CSA 以外の無
形資産取引・役務提供取引の分析法としても応用可能であるため CSA 以外の
移転価格調査にも影響をもたらしてくるものと思われ、今後の行方が注目され
ます。
まとめ
CSAは費用とリスクを分散する上で有効な手段です。しかしながら、CSAの適
用に当たっては提供される貢献の対価の設定法と費用分担方法について細かな
分析を必要とする上、各種書類の整備や継続的な検証を要します。また、本暫
定規則案はあくまで米国の規則であり、取引相手国における税制の対応も考え
なければなりません。したがって、CSAの採用にあたっては専門家のアドバイ
スを受けることをお勧めいたします。
渡辺 久美子/Kumiko Watanabe
税務ディレクター
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試験研究費控除に関する最近の判例
PricewaterhouseCoopers
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連邦税/Corporate Income Tax
(312) 298-2322
[email protected]
1 North Wacker Drive
Chicago, IL 60606
試験研究費税額控除は内国歳入庁(以下、IRS)の大・中企業局によって Tier 1
issue(優先順位の高い調査項目)とされ、税務調査時に必ず調査される項目のひ
とつに指定されています。試験研究費税額控除の額は各年度の適格試験研究費
に基づき算出されますので、適格試験研究費の額は控除額に大きく影響する重
要な要素となります。その適格試験研究費のサポート資料についての判例を 2
つご紹介します。
ユニオンカーバイドの判例
このケースでは IRS の税務調査における従来の主張のいくつかが否認されまし
た。これらの主張には IRS が文書で発表していたものも含まれており論議を醸
しました。
必要情報
当該納税者は年間給与額と業務上の文書を併用して適格試験研究費を算出して
いました。IRS はこれを「その場しのぎ」の方法であり適格試験研究費のサポー
トとして認めないと主張しました。裁判官は財務省規則 1.41-4(d) には必要な
サポート記録の種類は明記されておらず、利用可能、かつ、十分詳細な情報で
あればよい旨を規定しており、納税者のサポートはこの要件に合致していると
判断し、IRS の主張を否認しました。
見積り
IRS は、適格試験研究費の算出において、コーハン・ルール(証拠書類が存在し
ない場合に見積りの使用を認めるルール)の適用に対して疑問の余地があると主
張しました。しかし、裁判官は当該納税者のコーハン・ルールの適用を認めま
した。
証言
IRS は、数年前に遡る記憶に基づいた証言は信憑性に欠け、適格試験研究費の
サポートとして認められるべきではないと主張しました。しかし、裁判官は当
該証言には十分な裏付け資料があり、信頼できるものと判断しました。
マックフェリンの判例・ユニオンカーバイトを追認
IRS は、プロジェクトごとの就労時間の記録が存在しないことを理由にプロジ
ェクトにかかった人件費を適格試験研究費として認めないとの立場をとりまし
た。第五巡回控訴裁判所はコーハン・ルールの適用を認め、納税者の見積り、
証言、証拠書類を適格試験研究費のサポート資料として妥当であると判断しま
した。
IRS の対応
上記の判例は納税者に有利な結果をもたらしました。それにも増して興味深い
のは、これらの判決に対する今後のIRSの対応であり多くの納税者が注目して
います。
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PricewaterhouseCoopers
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有馬 和茂/Kazushige Arima
税務ディレクター
ソフトウェア開発子会社株式の評価損
連邦税/Federal Income Tax
昨今の厳しい経済情勢下、企業の業績が悪化し、子会社の株式についても評価
損を計上せざるを得ない場合が多くなっています。一般に、株式が無価値にな
った場合には、税務上、評価損(キャピタルロス)を損金計上することができま
す(内国歳入法第 165 条(g))。しかし、その評価損が下記の基準を満たす子会社
株式に関するものである場合は、通常損失となり他の事業所得との通算が可能
となります。
(646) 471-5031
[email protected]
300 Madison Avenue
New York, NY 10017
ƒ
ƒ
納税者がその子会社の株式の 80%以上の議決権と価値を直接保有している
その子会社の創業以来の全ての年度における総収入の内、ロイヤルティ
ー・賃貸料・配当・利子・年金・有価証券売却益を除いた収入が全体の
90%超である(総収入テスト)
総収入テストにおける「収入」は 内国歳入法・財務省規則等では具体的には定義
されていませんが、評価損が通常損失として取り扱われる対象会社を、自らア
クティブに事業を行っている会社に限定する意図があると一般に考えられてい
ます(すなわち不労所得が一定割合以上の子会社は対象外)。
PLR(個別通達) 200924020 の概要
内国歳入庁は、PLR 200924020 において、ソフトウエアを開発する会社が、顧
客に対し、(1)顧客の指定する機能を備えたソフトウェアを開発し、(2)ソフトウ
ェアの稼動に必要なプラットフォームの使用を許可し、(3)ソフトウェアに対し
て継続的なメンテナンスとサポートを提供し、その対価としてライセンス料を
受け取っている場合に、そのライセンス料がロイヤルティーに該当するかどう
かについての見解を発表しました。
この個別通達では、総収入テストは「子会社が事業を行っている会社(評価損は
通常損失となる)か、持株・投資会社(評価損はキャピタルロスとなる)かを判定
するためのものである」と述べ、その立法経緯から考えると、子会社が事業会
社であった場合にのみ通常損失を認めることが連邦議会の意図であるという認
識を示しました。
以上より、本件のライセンス料はソフトウエアの開発・製造・生産・サポート
においては不可欠のものであり、総収入テストにおけるロイヤルティーの定義
からは除外されるべきであり、このソフトウェア開発会社は総収入テストを満
たすと結論しました。
この個別通達は、内国歳入庁がソフトウェア開発会社が事業会社になりうると
いう判断を示した初めてのケースであり、総収入の大半がライセンス料であっ
ても評価損を通常損失として認識できる道を開きました。
村岡 欣潤/Kinjun Muraoka
税務マネージャー
連邦税/Washington
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2010 年度予算案
今年 2 月 26 日、2010 年度予算案がオバマ政権によって議会に提出され、4 月
PricewaterhouseCoopers
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National Tax Services
(202) 346-5206
[email protected]
1301 K Street NW, Suite 800W
Washington, DC 20005-3333
29 日に可決されました。予算案が可決されたことで、5 年間で総額 7,640 億ド
ルの税制改正案を議会が承認したことになります。予算案に含まれる法案が全
て法制化されるとは限りませんが、税制改正の動向を予測するためのガイドラ
インとして非常に有益な情報です。予算案に含まれる税制改正案の概要は以下
の通りです。
個人所得税
オバマ政権は中低所得者に対する優遇措置を延長しつつ、高所得所者に対して
は増税を志向しています。優遇措置の延長としては、今年 2 月に成立した米国
再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act)で法制化された勤労
世帯税額控除(Making Work Pay Credit)の恒久化、同じく米国再生・再投資法で
増額された児童税額控除の延長、適格中小法人株式のキャピタルゲイン課税の
免除率の 75%から 100%への引上げ、学費控除(American Opportunity Tax
Credit)の恒久化、代替ミニマム税の緩和措置の 3 年間延長等が含まれていま
す。これらの優遇措置は基本的に中低所得者を対象にしており、例えば、一番
影響が大きいと思われる勤労世帯税額控除の場合、所得が 15 万ドル(独身者の
場合 7 万 5 千ドル)を超えると段階的に減額となり、19 万ドル(独身者の場合 9
万 5 千ドル)以上は控除対象外となります。
高所得者に対する増税ですが、オバマ政権が新たな増税を提案しているのでは
なく、ブッシュ前政権時代の優遇措置の有効期限をあえて延長しないという形
で実現される予定です。ブッシュ前政権は 2001 年と 2003 年に高所得者に対す
る優遇措置を実施しており、個人所得税の最高税率(39.6%)と 2 番目に高い税
率枠(36%)をそれぞれ 35%と 33%に引き下げ、キャピタルゲイン税率を 20%か
ら 15%(低所得者の場合 10%から 5%)へ、適格配当も給与と同じ税率で従来課
税されていたものを 15%又は 5%に引き下げました。これらは時限立法であり
2010 年に有効期限が切れる予定です。この不景気の中、優遇措置延長の世論が
高まっておりましたが、オバマ政権は高所得者に対する優遇措置を延長しない
模様です。高所得者とは、オバマ大統領が選挙活動中に掲げていた 25 万ドル
以下の所得者には増税をしないという公約の通り、25 万ドル(独身者の場合 20
万ドル)以上の所得のある納税者となる予定です。
この他に、下記の国際税務に関する規則強化に伴い、外国預金口座等の報告義
務の強化が盛り込まれています。前号でもお伝えした通り、報告書(様式 TD F
90.22-1)については 2008 年の改定でより詳しい情報開示が要求されています
が、予算案には、更に、個人所得税申告書(様式 1040)上での開示義務、未開示
の場合の罰金強化などが含まれております。このように米国在住の日本人駐在
員に直接影響を及ぼす法案が多々含まれていますので注意が必要です。
法人税
法人税に関しては、米国再生・再投資法における景気対策を継続する模様であ
り、欠損金の繰戻還付期間を 5 年間に延長する措置の対象者の拡大、試験研究
費税額控除の恒久化が含まれます。欠損金の繰戻期間の延長は、米国再生・再投
資法では小規模事業者のみが対象でしたが、予算案ではその他の事業者も対象
となる予定です。試験研究費税額控除はすでに恒久化されていると思われがち
ですが、実際は毎年のように延長されている珍しい税法です。オバマ政権は後
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述の国外収益に対する課税強化による歳入増により試験研究費税額控除を恒久
化させる模様です。
その他、棚卸資産における後入先出法(LIFO)と低価法(Lower-of-cost-or-market
method)の撤廃が含まれています。 LIFO の撤廃は国際財務報告基準(IFRS)が
LIFO を許容していないためと説明されていますが、実際には石油会社をターゲ
ットにしたという見方もあり、オバマ政権は約 610 億ドルの歳入増をこの法案
から見込んでおります。低価法の撤廃は棚卸資産の評価減による歳入減を緩和
するのが目的のようです。
国際課税関連
予算案の中でオバマ政権が一番力を入れているのは国際税制の改正です。オバ
マ大統領は、選挙中から海外子会社を利用した租税回避に懸念を示しており、
景気対策の次に国際税制の改正に取り組むのではないかと予測されていたとお
り、予算案には国際税制関連法案が多々含まれております。主な内容は、国外
収益に関する節税対策(オバマ大統領は「Loophole」と呼んでいる)に対する規則
強化です。この Loophole 対策の1つに、法人の国外収益に関連する費用の損
金算入時期の繰延があります。現行税制では海外からの収益と関連費用の認識
のタイミングにずれがあり、収益が課税される前に費用が損金算入される場合
があります。今回の規則強化により、国外収益に関連する費用は、その国外収
益が米国で課税されるまで損金算入できなくなります。ただし、研究開発費は
例外としてこの規則の対象になりません。次に、外国税額控除に対する制限が
強化される予定です。現行税制では外国子会社ごとに計算される配当に対応す
るみなし外国法人税額は、今後は外国子会社グループ全体をひとつのプールと
みなした合算ベースで計算されることになり、これによって税率の高い国から
配当を行い、外国税額控除を最大限に利用するという節税対策が制限されま
す。また、国外事業に対する「Check-the-Box」ルールの適用が廃止されます。
「Check-the-Box」ルールは、いわゆる株式会社以外の団体は、米国税務上、パ
ススルー課税又は法人課税のいずれかを選ぶことが出来るという税法ですが、
このルールを上手く使うことによって国外収益の米国での課税を繰延べること
ができます。「Check-the-Box」ルールはクリントン前政権時代に法制化され、
当初は国際課税を簡素化させるのが目的だったようですが、一部の企業がルー
ルを濫用しているとして、オバマ政権が廃止に踏み切りました。このルールの
廃止により、パススルー課税を選択した一定の外国子会社の国外収益の課税繰
延は出来なくなる予定です。これらの税法の適用年度は 2011 年とされていま
す。
その他、予算案には 800 人の税務調査官の増員が含まれており、そのほとんど
は国際取引に対する税務調査の強化に向けられる予定です。政府はこれらの改
正により、向こう 10 年間で 1,590 億ドルの増税を見込んでいます。
丹生谷 岳夫/Takeo Niunoya
税務ディレクター
外国(法)人への支払いにかかる源泉徴収手続き
の厳格化
連邦税/Federal Income Tax
源泉徴収表の履行状態に関する IRS の調査
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2008 年 12 月に行われたジョージ・ワシントン大学での国際税務討論会におい
て、米国内国歳入庁 (IRS) 長官シュールマン氏が、源泉徴収義務の徹底が最重
要課題の一つに指定されたと発表しました。これを受け、IRS は米国源泉の金
利やロイヤリティー等の不労所得を関連者間取引開示書(様式 5471/5472)で報
告しているにもかかわらず、これらを源泉徴収表(様式 1042)で報告していない
と見られる約 5000 の納税者のうち、関連者取引額が 50 万ドルを超す納税者に
対し、適切な報告を行うよう注意を喚起する通知を発送しました。
オバマ政権の 2010 年度予算案に含まれている源泉徴収手続き事項
ƒ
源泉対象となる米国源泉所得を仲介業者経由で米国外の最終受益者に支払
う場合の源泉徴収手続き及び報告義務が強化される予定です。
ƒ
源泉対象となる米国源泉所得を一定の米国外の団体に支払う場合で、最終
受益者のステータスに関する必要書類が得られない場合には、原則として
30%の源泉徴収を義務づけることが検討されています。
ƒ
外国銀行口座の報告書及び一定のクロス・ボーダー取引にかかる情報開示
書の時効を、従来は報告書提出から 3 年でしたが、これを 6 年に延長する
ことが検討されています。
申告漏れに伴う罰課金は従来1件あたり50ドル(暦年当り最高25万ドル)であっ
たものを同100ドル(同最高150万ドル)に引き上げ、悪質な場合はさらに1件あ
たり250ドルを加算することが検討されています。
高橋 良/Makoto Takahashi
税務ディレクター
米国税法アップデート
州税及び地方税/
State and Local Tax
今年に発表されたその他主な税法改正の内容を簡単にまとめました。詳しい内
容はwww.japan-bus.pwc.com/ をご参照ください。
(415) 498-6239
[email protected]
Three Embarcadero Center
San Francisco, CA 94111
2009年5月29日
賃金・報酬に対するニューヨーク州雇用税の徴収
2009年5月7日に州知事の署名により成立したニューヨーク州の税法改正の一環
として、ニューヨーク州の雇用税が改正されました。これにより、Metropolitan
Commuter Transportation District であるニューヨーク市及び7つの地区で雇用
されている従業員に支払われた賃金・報酬の0.34%の雇用税が雇用者に課税さ
れるようになります。この改正は2009年3月1日より施行され、電子申告を用い
る雇用主は最初の支払いを2009年10月末以降の最初の源泉徴収税納付期日まで
に、その他の場合は2009年11月2日までに行わなければなりません。
2009年6月12日
カリフォルニア州:LLC Fee の還付手続の概要
2009年5月22日付けで公布された通知、FTB NOTICE2009-04により、有限責任
会社(LLC)に課せられたフィー(LLC Fee)の還付申請を提出した納税者への還付
手続が明確化されました。 詳しい内容はwww.japan-bus.pwc.com/ をご参照く
ださい。
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渡辺 久美子
税務
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(312) 298-2322
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CINCINNATI, OH
Hiroshi Tanaka
田中 寛
税務
Director
(513) 723-4731
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COLUMBUS, OH
Chikara Tanaka
田中 力
税務
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(614) 225-8819
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DALLAS, TX
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小峰 明武
監査
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(214) 754-5448
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DETROIT, MI
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寺内 義昌
監査
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小林 徹
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(313) 394-6321
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Tsukasa Watanabe
渡邉 司
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(313) 394-6796
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FLORHAM PARK, NJ
Keishin Kono
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(973) 236-4465
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Shuji Hasegawa
長谷川 修司
監査
Partner
(646) 471-4096
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Takaaki Tokuhiro
徳弘 高明
税務
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(646) 471-3164
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小野田 勝
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(415) 498-7812
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Makoto Takahashi
高橋 良
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(415) 498-6239
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NEW YORK, NY
SAN FRANCISCO, CA
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筒井 俊一
税務
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Kinjun Muraoka
村岡 欣潤
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