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役員報酬サーベイ 2010 調査結果の概要 December 2010
www.pwc.com/jp/advisory 役員報酬サーベイ 2010 調査結果の概要 December 2010 プライスウォーターハウスクーパース株式会社 PwC 1 プライスウォーターハウスクーパース株式会社では、役員報酬に関する方針策定、 制度設計、実地導入支援などのサービスを提供しています。また、こうした コンサルティング業務の基礎として、昨今の役員制度・報酬水準の動向を把握する ため、調査を毎年実施しております。 本冊子では、2010年度に実施した役員報酬サーベイの調査結果の概要をご紹介 します。本サーベイおよびコンサルティングサービスの詳細についてご興味をお持 ちの企業様は、是非弊社までお問い合わせください。 2010年度 PwC 役員報酬サーベイ 実施概要 調査目的 日本企業(外資系企業の日本支社を含む)の役員体制・役員報 酬水準・役員処遇等に関する動向を明らかにする 調査方法 調査票(電子ファイル形式)の郵送による自記式アンケート 調査時期 2010年7月~9月 回答企業数 103社 (集計対象役員数 1,718名) 報酬水準 役員報酬水準の経年推移 Page 3 経済危機を経て、再び緩やかながら景気回復の兆しが見えてきている現在、 報酬水準はどのように推移しているのだろうか。 報酬制度 ‥ 透明性 企業内容開示府令への対応の実態 Page 4 2010年3月の内閣府令改正により、2010年3月期有価証券報告書より役員報 酬額・ポリシーの開示を求められることとなった。各上場企業はこの規制に対 してどのような対応を取ったのだろうか。 報酬制度 ‥ 業績連動性 業績連動性向上の潮流 Page 5 経営陣と株主との利害共有を目的とする業績連動的な役員報酬制度への変 更は、現在どの程度進んでいるのだろうか。 役員体制 統治機構の独立性向上の動向 本サーベイに関するお問い合わせ先 プライスウォーターハウスクーパース株式会社 役員報酬サーベイチーム 〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目21番1号 住友不動産汐留浜離宮ビル 03-3546-8480 [email protected] PwC Page 6 世界的なコーポレート・ガバナンス強化の流れを受けて、日本においてもガバ ナンス強化が求められつつある。特に、株主の利益に反する経営陣の行動を 抑制する意味での独立性向上はどの程度進んでいるのか。 - 調査参加企業の概要 Page 7 2 役員報酬水準の経年推移 役員報酬総額*は前年度から増額し、多くの役位において報酬額は上昇 トレンドにある *現金報酬、株式報酬、退職慰労金年間積算額を合計した総報酬額 ■ 全参加企業で見た役員報酬総額は多くの役位で昨年度から増額しており、2007年調査 の水準と2008年調査の水準の間に位置する役位が多い。 ■ 全企業・1部上場・売上高5,000億円以上のいずれのセグメントで見た場合にも、役員報 酬水準はわずかに上昇しており、経済危機前の水準近くまでほぼ回復している。 従来からのゆるやかな上昇トレンドに戻ったとも考えられる。 1部上場企業 / 社長 / 報酬総額ベースで3.6%増加 1部上場企業 / 取締役 / 報酬総額ベースで7.7%増加 70,000 (千円) 2007 2008 2009 2010 (調査年度) 60,000 Figure 1 全参加企業 / 報酬総額の推移 (役位別 / 1人あたり平均) 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 会長 社長 副社長 専務 常務 取締役 執行役員 執行役員 (委任) (雇用) 社外 取締役 70,000 (千円) 常勤 監査役 2007 非常勤 監査役 2008 相談役・ 顧問等 2009 全役位 平均 2010 (調査年度) 60,000 Figure 2 1部上場企業 / 報酬総額の推移 (役位別 / 1人あたり平均) 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 会長 社長 副社長 専務 常務 取締役 執行役員 執行役員 (委任) (雇用) 社外 取締役 100,000 (千円) 常勤 監査役 2007 非常勤 監査役 2008 相談役・ 顧問等 2009 全役位 平均 2010 (調査年度) Figure 3 80,000 売上高5,000億円以上の企業 / 報酬総額の推移 (役位別 / 1人あたり平均) 60,000 40,000 20,000 0 会長 PwC 社長 副社長 専務 常務 取締役 執行役員 執行役員 (委任) (雇用) 社外 取締役 常勤 監査役 非常勤 監査役 相談役・ 顧問等 全役位 平均 3 企業内容開示府令への 対応の実態 報酬ポリシーの開示要求に対して、各企業における開示対応・開示内容 の詳細化が段階的に進展している 報酬ポリシーの内容(項目別策定・開示状況) ■ 報酬ポリシーの項目・内容によって、その策定・公開状況に大きな差がある。 ■ 報酬パッケージの内容を定めている企業は多いが、その詳細を開示する割合は少なく、 開示内容は報酬要素構成や決定・関与機関が主である。 Figure 4 2010年3月期の有価証券報告書における 参加企業の役員報酬ポリシー開示状況 (策定・開示項目別) 理念 100% 決定プロセス 報酬パッケージの内容 29% 80% 44% 48% 30% 40% 46% 51% 57% 58% 明文化された方 針が存在しない 38% 68% 60% 81% 16% 18% 53% 20% 40% 明文化した方針 が存在するが、 公開していない 38% 44% 18% 41% 21% 43% 22% 20% 33% 23% 38% 44% 32% 22% 18% 9% 重 視 す る 観 点 プ水 ロ準 セ設 ス定 対 水 象 準 企 比 業 較 群 14% 18% L T I 詳 細 に 退 関 職 す 慰 る 労 詳 金 細 決 関 定 与 機 機 関 関 ・ 報 の 酬 構 要 成 素 の報 比酬 率要 設素 定間 固 定 報 酬 詳 細 報業 酬績 詳連 細動 明文化された方 針を開示した 8% 5% 0% 報 酬 の 目 的 11% 報非 そ 酬金の 詳銭他 細的 ・ 報酬ポリシーの策定・開示状況の分布 ■ 報酬ポリシーの整備状況を確認すると、既に対応を進めている企業群と、策定のあまり進 んでいない企業群に分かれている様子が分かる。 Figure 5 2010年3月期の有価証券報告書における 役員報酬ポリシー策定・開示状況の分布 (PwCサーベイ参加の上場企業) 企業割合 25% 20% 15% 10% 5% 0% 0~10% 10~20% 20~30% 30~40% 40~50% 50~60% 60~70% 70~80% 80~90% 90~100% 得点率 指標の定義 • 項目別の報酬ポリシー策定・公開状況にそれぞれ点数(公開:2点、策定かつ非公開:1点、なし:0点)を付与する。 • 当該企業に制度が無い項目(業績連動報酬、LTI、退職慰労金)については非該当として算入しない。 • 当該企業における算入項目×2点を100%としたときの得点率をもって、報酬ポリシー整備状況を表す指標とする。 ※ (当該指標の平均=37%、標準偏差=26%である。) PwC 4 業績連動性向上の潮流 各企業における変動報酬(業績連動報酬・株式報酬)の導入比率は 近年増加傾向にあり、業績連動性への取り組みが進展している ■ 全参加企業において業績連動報酬の導入割合は緩やかに増加している。 中長期インセンティブの中では、ストックオプションの導入割合が回復し、一方、株式 報酬型ストックオプションの導入割合は安定的に推移している。 Figure 6 変動報酬の報酬要素別導入割合 (導入企業の割合) 100% 75% 50% 25% 0% 業績連動報酬 ストックオプション 2007 2008 株式報酬型ストックオプション 2009 ファントムストック 2010 変動報酬の導入有無と報酬総額水準には関係があり、各企業では業種 特性・報酬水準等を鑑み、適切な報酬体系を整備することが望ましい ■ 変動報酬(業績連動報酬・株式報酬)の制度を導入している企業(グループB・C)の役員 報酬総額は、そうでない企業(グループA)と比較して高い。 ■ 株式報酬が導入された企業(グループC)の業績連動報酬額は、株式報酬が導入されて いない企業(グループB)と比較して、年度ごとの変動が大きく、業績連動報酬がより実質 的に収益に連動している可能性が高い。 ■ 今後、各企業は業績連動性向上の潮流を踏まえながらも、報酬総額を左右する業種特 性・企業規模・収益状況をあわせて考慮し、適切な報酬体系を整備することが望ましい。 Figure 7 報酬体系モデル別報酬額推移 (1部上場企業 / 社長1人あたり平均) グループA グループB 固定報酬+退職慰労金 固定報酬+業績連動報酬 固定報酬+業績連動報酬+株式報酬 100,000 100,000 100,000 (千円) (千円) (千円) 80,000 80,000 80,000 60,000 60,000 60,000 40,000 40,000 40,000 20,000 20,000 20,000 0 0 2007 2008 固定 PwC グループC 2009 慰労金 2010 0 2007 2008 固定 2009 業績 2010 2007 2008 固定 2009 業績 2010 株式 5 統治機構の独立性向上の動向 役員報酬ポリシーの開示の義務化・社外取締役の要件厳格化への企業 の対応が進展しつつある 報酬委員会の設置状況 ■ サーベイ参加企業のうち、報酬委員会を設置していると回答した企業は32%であった。 ■ また、報酬委員会を設置していると回答したサーベイ参加企業のうち、本年度新たに 設置した企業は18%にのぼる。 改正内閣府令で有価証券報告書において報酬額・ポリシーをより詳細に開示するよう 求められたことにより、報酬決定プロセスの透明性を高める動きが進展していると 言える。 Figure 8 報酬委員会の設置状況 本年度 より設置 設置あり Figure 9 18% 32% 報酬委員会の設置タイミング 以前より設置 設置なし 68% 82% 社外取締役の選任状況および要件の厳格化 ■ サーベイ参加企業のうち、社外取締役を選任している企業は60%であり、昨年度と比較し て約6%増加している。また、社外取締役の選任時に重視する基準には、「独立性」を挙げ る企業が多い。 ■ 社外取締役の選任義務化や要件厳格化の議論は、2009年6月に一旦収束し、義務化・ 厳格化は見送りとなったが、企業における意識は高まっていると言える。 Figure 10 2009年 2010年 社外取締役の選任状況(2009,2010年) 選任して いない 選任 している 46% 54% 選任して いない 選任 している 40% 60% 社外取締役の選任時に重視している基準 (複数回答) (回答社数) Figure 11 社外取締役の選任時に重視している基準 29 経営者としての経験 24 専門能力 事業観 4 19 3 人脈 2 7 5 4 3 25 独立性(会社法による規定以上の要件) 5 3 2 1 1 社外取締役としての経験 その他 2 1 0 2 5 10 15 東・大・名証1部上場 PwC 3 20 その他上場 25 30 35 40 45 非上場 6 調査参加企業の概要 参加企業(103社)のセグメント分布 売上高規模 5,000億円 以上 200億円 未満 19% 21% 上場区分 非上場 (外資系) 29% 9% 非上場 (日系) 32% 200億円以上 ~1,000億円未満 1,000億円以上 ~5,000億円未満 16% 55% 従業員規模 20% その他 上場 東・大・名証 1部上場 業種 運輸 金融 3,000名以上 ~15,000名未満 製造(電機・ 機械) 4% 16% 10% 情報・ 通信 6% 製造 (自動車 ・部品) 300名未満 15,000名 以上 19% 18% 12% 300名以上 ~1,000名未満 26% 26% 1,000名以上 ~3,000名未満 16% 製造 サービス 14% (化学・ 4% 4% 商業 (小売) 医薬) 13% 商業 (卸売) PwC 13% 製造 (その他) 7 本冊子は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからの アドバイスを受けることなく、本冊子の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本冊子に含まれる情報は正確性または完全性を、(明示的にも 暗示的にも)表明あるいは保証するものではありません。また、本冊子に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされたり、起こされな かったことによって発生した結果について、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認め られる範囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2010 PricewaterhouseCoopers Co., Ltd. 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