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しなやかな組織への改革 2015 年 7 月~8月 プライスウォーターハウスクーパース㈱ 藤田 通紀、 王 超

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しなやかな組織への改革 2015 年 7 月~8月 プライスウォーターハウスクーパース㈱ 藤田 通紀、 王 超
連載 勝ち残る保険会社の条件
(6 回シリーズ)
しなやかな組織への改革
2015 年 7 月~8月
プライスウォーターハウスクーパース㈱
藤田 通紀、王 超
〈目次〉
第 1 回 総論―その定義・条件・文化・意識 … …………………1
第 2 回 保険購入の二次的意思決定論(その1) … ………………2
第 3 回 保険購入の二次的意思決定論(その2) … ………………3
第 4 回 進撃のオペレーション体制 … ……………………………4
第 5 回 学習するオペレーション組織 … …………………………5
第 6 回 顧客価値を創造するシームレスな組織 … ………………6
勝ち残る保険会社の条件
は %である。
る)のに対し、全体平均
(もしくは検討してい
ボレーションを検討した
でしかない部分的なリー
プロセスへの一部の改善
であるが、As―Isの
スにも応用された考え方
のオペレーションプロセ
トマーケットがより競争
と)の戦略は、ターゲッ
ビスを市場投入するこ
意向と技術で製品・サー
場ニーズではなく企業の
であることを理解しなけ
れに伴う企業文化の改革
の意識の変化・醸成、そ
く、組織で働く一人一人
は組織・制度変更ではな
イナンシャルプランナ
ランド、営業職員(ファ
健全性やコーポレートブ
販売チャネルの多様化、
プロセスのデジタル化、
それ故に、ここ数年間
は、申し込みや事務処理
る。
ることを定義し、その打
こそが一つの打開策であ
への対応可能な組織構造
環境の不確実性下の変化
ーケットを含む)・内部
本稿では、現在の保険
会社が抱える、外部(マ
語ではレジリエンシー
されるべきだろうか。英
そもそも「しなやかな
組織」はどのように定義
確認されている。
Oには次の五つの特長が
やかな組織を目指すCE
調査」においては、しな
ル、消費者行動、コアテ
ョンチャネル、業界ルー
レジリエンスビルダー
は、ディストリビューシ
指摘している。
動的」であるべきことを
「受動的」ではなく「能
「攻め」の戦略であり、
つまり、大分するなら
ば、「守り」ではなく、
が分かる。
の戦略的対処であること
に対する先手を打つため
後の変化への予見・予知
意味するのではなく、今
スクマネジメントのみを
な組織」は、受動的なリ
この調査によって確認
できるのは、「しなやか
として存在している必要
ルズ(組織の基礎基盤)
スなどがファンダメンタ
プロセス、ロジスティク
ー(能力)、システム、
る人材、ケイパビリティ
さとは、変化に対応でき
た。それ故に、しなやか
にあることは否めなかっ
セスとなってしまう傾向
され、凝り固まったプロ
りにアジリティーが喪失
省くことに注力するあま
ンが中心となり、ムダを
わせた製品・サービスの
イン型(市場ニーズに合
イブ感のあるマーケット
握し続けることによるラ
らに個人の嗜好を常に把
ループの分類よりも、さ
ら導き出すターゲットグ
は、デモグラフィックか
よるマーケティング戦略
例えば、保険業界にお
けるビッグデータ分析に
だろう。
で、効果は限定的になる
的で複雑になっていく中
た各部門や個人の実現可
であり、そこにひもづい
のリーダーシップが必要
従って、明確なビジョ
ンと戦略を推進するため
につながる恐れもある。
が、意識の拡散や散漫化
的にこの取り組み自体
方向性は定まらず、結果
人の将来の姿や進むべき
それ故に、組織として
の共通のビジョンや戦略
ればいけない。
しなやかな組織への改革
ー) の 規 模 や 商 品 開 発
もしくはオペレーション
開策への取り組みを「し
険会社が備えるべき未来
について、セールス・マ
だけでなく、契約者年齢
ケットの減少を意味する
口減少はターゲットマー
ングを決める一つの重要
会社の業界ポジションニ
するかは、その後の保険
上で、時代に俊敏に適応
ていきたい。
なる観点から推察を加え
ションなどのそれぞれ異
ーケティング、オペレー
の高齢化は収益性の高か
対応可能な組織への変
や変化への反応」などを
獲得」「組織の予測対処
り」「アドバンテージの
予期対処を行っている。
因のインパクトに対し、
応を取っており、外部要
%のレジリエンスビ
ルダーは、何かしらの対
い。例えば、失業率問題
④社会問題への関心
レジリエンスビルダー
は社会問題への関心が高
る。一方、より具体的な
重要な条件の一つであ
リーダーシップはしな
やかな組織を作る上での
た、将来の変化へ備えた
い組織の構築であり、ま
機敏性と柔軟性を失わな
筋肉質な組織ではなく、
それは、ムダのみを排
除することを目的とした
まれない。
ため、アジリティーは生
りに重過ぎる組織である
を放置する場合には、余
ロセスやロジスティクス
がある。
ーション戦略が求めら
在ニーズへの仮説プロモ
ニーズのキャッチと、潜
め、顧客の常に変化する
持することができないた
織では、その優位性を維
後追い的に適応させる組
く。顧客ニーズに対し、
の形成が促進されてい
ることは、効率的な市場
一定の予測可能性を高め
また、科学的マーケテ
ィング手法により市場が
を告げている。
開発導入)の時代の到来
う。
ば、空論に終わってしま
示すことができなけれ
現可能なロードマップを
作り上げるためには、実
しかし、その変化に対
応できる組織を具体的に
理解は得られやすい。
軟であることへの社内の
場の変化に対し機敏で柔
の難しさがある一方、市
この文化・意識の改革
は、組織内の導入と定着
ない。
能な目標がなければいけ
な決定要因になるだろ
革、すなわち、組織体そ
含有し、変化への反応に
状態が必要である(図1
った既存の保険ビジネス
のものの主体的アジリテ
因子を考えると、当然、
勝ち残る保険会社の条
件を挙げるならば、何を
てきた。
ィーとアダプタビリティ
へは %のレジリエンス
回世界CEO意識
ィック要因は成長経済期
変化の激しいマーケッ
トへアジリティー(俊敏
な お、 C E O 全 体 平 均
「第
に構築された「ビジネス
性)・アダプタビリティ
よる利益確保ができる状
①業界外からの競争相
手に先手を打つ
乏しかった保険業界で
わらないが、長年変化の
要な要素であることは変
本連載を通じ、その組
織構造体について、実務
指している。
い組織構造であることを
と機敏な反応が可能な組
能動的であり、予測対処
また、その変化への取
り組み姿勢・態度は常に
いる。
であり、 %以上も上回
%
は、いかに的確にそのマ
的な観点と変革への課題
などの変化に対し、全体
平均よりもより創造的破
壊への対応力がある。
に関しては、レジリエン
は %、また、社会不安
しているが、全体平均で
ビルダーが高い関心を示
すぎる組織」とは真逆で
た結果生まれた「筋肉質
コスト削減に集中しすぎ
摘できるのは、あまりに
て異なるが、共通して指
それは個社の事情によっ
できるしなやかさが必要
と柔軟性が求められるた
潜在ニーズに対し迅速性
場動向を洞察することで
と内部環境を認知し、市
セールス・マーケティ
ング領域では、外部環境
参照)。
ると考えられる。
のしなやかさが条件とな
ールス・マーケティング
れ、これに対応できるセ
となった(共通の意識と
とオペレーションが一体
そのために、まずはセ
ールス・マーケティング
②新しい業界への参入
過去3年間に新規参入
した、もしくはしようと
う結果になっている。
し、全体平均は
スビルダーの
しているCEOは全体平
っている。
%に対
あることだ。
となるだろう。
を作っているのだろう
それでは、どのように
して「しなやかな組織」
を深めていきたい。
について次号以降で議論
社の条件としての 「し
なやかな組織への改革」
注目し、勝ち残る保険会
組織の改革アプローチに
価値観を保有した状態)
%とい
自動車業界の生産方式
を再体系化したリーン
3. し な や か な
組織の条件
各部門や個人の実現可能な目標を
クノロジー、競争の激化
モデルそのもの」の改革
ーを意味し、常に学習す
(グローバル)では
ーケット動向を把握した
(ムダを省き生産性を高
織でなければいけない。
し、レジリエンスビルダ
%であるのに対
ー %が該当している。
か。まず、この取り組み
4. し な や か な
組織のための文
化・意識改革
⑤非伝統的なパートナ
ーとのコラボレーション
める手法)は、効率化や
61 68
トナーとのビジネスコラ
め、市場への予測に対応
レジリエンスビルダー
の %が前例のないパー
均で
な組織を推進できるリー
③既成業界への創造的
破壊
生産性向上において保険
大量生産時代のような
プロダクトアウト型(市
なお、それらのしなやか
ダーをレジリエンスビル
ダーと称している。
2015年のPwCの
52
プライスウォーターハウスクーパース
藤田 通紀
王 超
10
54
34
56
66
54
60
藤田氏
王氏
しかし、余剰人材や、
生産性・効率性の低いプ
を迫っている。
ー(適応性)を保つこと
態が重要なことを示して
2. し な や か な
組織とは
適応性
ることを厭(いと)わな
う。
Adaptability
はどの業種においても重
モデルの限界を表してい
Agility
機敏性・俊敏性
保険業界において、人
想像するだろうか。財務
1.はじめに
を中心に議論を進め、保
力、オペレーションの品
改善・改革などによるプ
なやかな組織への変革」
ケイパビリティ
人材
がない場合、各部門や個
質などのさまざまな視点
ロジェクトのイニシアチ
(弾力性)を用いること
総論―その定義・条件・文化・意識
で議論が可能なテーマで
ブが次々と企画・推進さ
と称している。それは、
ある。
れ、各保険会社が時代の
が 多 く、 そ の 定 義 は、
図1
18
第1回
しかし、長年の構造的
不況を脱しつつある日本
変化に対応した変革を行
44
変化に対する準備への投
リーダーシップ
経済において、少子高齢
ビジョン
「生存競争への生き残
戦略
う組織ではなく、変化に
システム・プロセス
資に鎬(しのぎ)を削っ
しなやかな組織
化による国内デモグラフ
2 0 1 5 年(平成 2 7 年)7 月 2 日(木曜日) ( 1 )
勝ち残る保険会社の条件
保険購入の二次的意思決定論(その1)
年に新契約件
ネルの構造的な変化を生
金融サービスにおける
自由化の波は、販売チャ
にシェアを拡大すること
昇がみられ、今後も確実
から4・5%と大幅な上
ネット販売で、0・2%
る。また、特筆すべきは
アの変動が続きそうであ
販・代理店におけるシェ
ウハウの向上により、直
る。硬直化し旧来型スタ
になるリスクを含んでい
(かいり)した「空論」
「実際」と大きく乖離
ただの「理屈」となり、
開は「理論」ではなく、
ルやマーケティングの展
ての営業教育・支援ツー
基本モデル(「注目(A
は、AIDMAのような
生活必需品などの消費
財のマーケットにおいて
ロセス⑦消費と学習によ
評価⑤記憶⑥意思決定プ
付け③注意④情報取得と
(①情報処理能力②動機
ドマンの情報処理モデル
られている。一方、ベッ
動的存在として位置付け
まり、消費者は非常に受
を行うとされている。つ
る現状には有効で、ファ
ルの多くにヒトが媒介す
と保険市場の販売チャネ
スは、外部環境の複雑化
にしている。このプロセ
決定者であることを前提
ることによる二次的意思
よる教育・学習が行われ
ナンシャルプランナーに
いがない事実である。
んでいる。例えば、生命
イルから変化ができない
3. 販 売 チ ャ ネ
ルのトレンド
保険文化センター「生命
が見込まれる。
っているとしたら、消費
社内ガラパゴス化が起こ
フロント・ミドル部門の
emory)」、「行動
ire)」、「記憶(M
t)」、「欲求(Des
「興味(Interes
ttention)」、
視している。
情報の解釈と個人差を重
処理を行うと定義され、
動的、かつ選択的な情報
る構成)は、消費者は能
定プロセスのほう助がで
激を与え、個別の意思決
ングを行い、消費者に刺
自身が個別のマーケティ
イナンシャルプランナー
5. 保 険 商 品 購
入選択の二次的
意思決定論
保険に関する全国実態調
者に選ばれない販売戦略
(Action)」の5
査」の直近加入契約(民
が営業職員に強要される
数では医療保険と首位が
ことになりかねない。
はないが、その背景にあ
トレスは直販より多いも
律による制限・制約のス
る。一方、保険商品のよ
として用いる傾向があ
る)を購入決定プロセス
段階に切り分けて考え
選択における情報処理を
者)は受動的で、②商品
( こ の 場 合、 新 規 契 約
は、セールス・マーケテ
二次的意思決定プロセ
スを成立させるために
求められることになる。
4.時代に求めら
れるしなやかさ
契約高や販売チャネル
のシェアのみを見れば、
年調
査比較)によると、伝統
伝統的な直販と第一分野
る現在のトレンド、すな
年と平成
的な販売チャネルである
保)の加入チャネル調査
契約高は全体の約 7 割を
直販(営業職員販売チャ
保険商品購入意思決定
において、仮に①消費者
(平成
占め、国内ではいまだ保
が主力であると見えなく
入れ替わった終身保険で
険料収入の主軸であり、
ネル)は、全体の ・6
その意味においては、
ネット販売は、規制や法
年)を占めて
わちデモグラフィクスの
きるケイパビリティーが
依然として主たる競争領
%(平成
はあるが、第一分野の新
一 方、
だと考えられる。
しなやかな組織への改革
第2回
プライスウォーターハウスクーパース
藤田 通紀
王 超
域である。また、高齢化
年調査で
し、その在り方への議論
なされる保険会社に対
ィフェンシブの一つと見
た日本経済の停滞は、デ
て問うてみる必要があ
るかどうかは、あらため
速な変化に対応できてい
続いている外部環境の急
きた保険会社が、現在も
い縮小のトレンドにあっ
減少による構造変化に伴
日本の保険市場は、人口
1996 年度以降、保
有契約高が減少に転じた
も増えている。
ビスを提供する保険会社
え、介護施設の総合サー
と か ら、 介 護 保 険 に 加
に対し、同様の代理店モ
・9%へ縮小しているの
ル は、 8・ 8 % か ら 6
る。また、代理店チャネ
来の保険商品購入選択が
売チャネル多様化は、将
ットの複雑化、また、販
変化やターゲットマーケ
くまで待ちのスタイルで
る。しかし、それらはあ
への対応は機敏にでき得
のの、マーケットの変化
ッシュバインの「多属性
&シェスモデル」、フィ
に対しては、「ハワード
うな視覚化されない商品
ロセスが考えられる。
のような購入意思決定プ
ある、とした場合に、次
重視し、③かつ個人差が
ケットごとの学習と選択
として、ターゲットマー
を一つの重要な前提要素
ィングのしなやかな組織
た2015年1―3月期
ある株式の大幅回復、ま
日本経済は、安倍政権
の誕生を機に先行指数で
ある。
ることは周知のとおりで
ど、さまざまな動きがあ
Aを通じた新規参入な
社の新興国保険へのM&
退)、日本社のまた国内
市 場 参 入( お よ び 撤
資系保険会社による国内
い)と市場への投入、外
とも考えられ、本稿では
なやかさ」を求めている
の変化に対応できる「し
えれば、時代は、これら
はしないだろう。言い換
ワーセールスのみを正と
ある消費者の意識は、パ
の短縮などになじみつつ
ロダクトライフサイクル
ービスの多様化によるプ
何物でもなく、商品とサ
ば、それはリスク以外の
回答がイエスであるなら
討してはいないか。その
「販売員増強」のみを検
開発されたこと、および
の一つとして医療保険が
長生きに備える保険商品
覚ましい現在において、
保険商品購入選択にお
ける第三分野の台頭が目
いる。
していることを物語って
た各社の商品戦略が奏功
ことは高齢化社会に向け
数が高まっており、この
いては、 代の新契約件
人保険の新契約件数にお
ある。2014年度の個
では米国に次ぐ大きさで
れるマーケットは、世界
ベースで約
68
情報処理プロセス
の拡充と
障性商品
近年は保
ったが、
中心であ
の提案が
ある商品
資産性の
心とした
保険を中
初は年金
販は、当
に銀行窓
きる。特
が確認で
幅な上昇
%へと大
ら4・3
・3%か
販は、1
る銀行窓
デルであ
系化されたマス戦略とし
「実際」においては、体
対応が求められる現場の
る向きがあるが、個別に
ケティングなどを展開す
ルオフィスとしてのマー
そのため、各社営業教
育や営業支援、またミド
きく左右するといえる。
ー)がその販売結果を大
の場合はケイパビリティ
としてのしなやかさ(こ
イナンシャルプランナー
していくとすれば、ファ
場の声によって常に変化
型ではない商品戦略が市
れる。プロダクトアウト
ールス戦略が日々要求さ
時代の変化に合わせたセ
業職員にとっては、この
の第一線で働いている営
唆している。特に、現場
大きく変化することを示
高度化していくことは疑
ビリティーは時代と共に
れ、必要とされるケイパ
応への機敏さが求めら
れば、マーケットへの対
かし、ハイブリッドにす
うとする向きもある。し
って、しなやかさを保と
ハイブリッドな形態によ
ーやコールセンターとの
ァイナンシャルプランナ
のスタイルであるが、フ
おいても基本的には待ち
近年の銀行窓販や大型
代理店、来店ショップに
なければならない。
きく異なることに留意し
売戦略もコスト構造も大
て、直販のモデルとは販
ぼ広告戦略と同義であっ
マーケティング戦略はほ
いけないモデルであり、
訪問数を増やさなければ
不購買などの反応(R)
定し、その結果、購買・
的などの態度(O)を決
によって好意的・非好意
(S)を受け、その刺激
告・ 口 コ ミ な ど の 刺 激
費者は、実際の製品・広
ンプルなものである。消
三つの要素で説明したシ
(Response)の
n i s m )、 そ の 反 応
の生体の条件(Orga
s)、刺激を受ける人間
を刺激(Stimulu
ハワード&シェスモデ
ルは、消費者の購買行動
がしやすい。
を用いて検討すると理解
「情報処理モデル」など
モデル」、ベッドマンの
ウェルの「購買意思決定
ル、コラット&ブラック
態 度 モ デ ル 」、 エ ン ゲ
セスに存在せず、ファイ
的意思決定者としてプロ
(図2)。消費者は一次
行われるプロセスである
によって購入意思決定が
プランナーのアドバイス
対し、ファイナンシャル
トは、受動的な消費者に
リッドであるが、ポイン
ドマンのモデルのハイブ
これらは、ハワード&
シェスモデルおよびベッ
※②と③は同時可逆に
なることも想定
③個人のライフプラン
の設計(購入意思決定)
処理(商品学習と選択)
②ファイナンシャルプ
ランナーと契約者の情報
受講)
イフプランに関わる教育
①ファイナンシャルプ
ランナーによる刺激(ラ
論を深めていきたい。
に具体的な例を交え、議
り組みについては、次回
への対応を可能にする取
かつ変動的なマーケット
ーによる格差をなくし、
属人的なケイパビリティ
営業職員であるファイ
ナンシャルプランナーの
二つのチャレンジを検討
ィング部門においては、
育・支援に加えマーケテ
によるのではなく、組織
しかし、属人的なスキル
スの体現が必要である。
②学習と選択のシステ
ム化
①二次的意思決定プロ
セスの標準化
する必要があろう。
その実現のために、次の
的に体系化させた営業教
における意思決定プロセ
販売のノ
24
意思決定
顧客行動からの学習
の実質経済成長率が前期
セールス・マーケティン
そのニーズの開拓が、さ
は ・2%に減少してい
を強いるものであった。
る。
た。しかし、世帯加入率
比3・9%(速報値)の
グの観点から、消費者行
いたが、平成
その結果、銀行窓販や大
例えば、競争優位のあ
るセールス/マーケティ
が ・5%、年間保険料
ニュースが報じられるな
動と保険商品購入意思決
目標動機付け
が進む中にあっては介護
型代理店、ネットを通じ
ング手法として、旧来の
ど、景気の回復基調が確
らなる新型医療保険商品
図2 保険購入選択の二次的意思決定モデル
も社会的な問題であるこ
た販売チャネルの拡大、
「プロダクトアウト」と
認されつつある。
定の関係について議論し
の投入につながった結果
反応(保険購入選択)
マーケティングの体系化 セールスの個別学習
長期記憶
短期記憶
短期・長期記憶
90
ていきたい。
情報統合プロセス
意思決定
マーケティング
60
内部情報
情報取得プロセス
感覚レジスター
刺激(学習)
営業教育・支援
兆円と言わ
競争力の高い商品開発
年以上にわたって続い
1990年代初頭より
1.はじめに
13
二次的意思決定者の学習効果と反応
一次的意思決定者の学習効果
40
(しかし一方収益率が低
2. 保 険 商 品 の
トレンド
24
77
12
12
20
しかし、景気低迷期に
熾烈な競争を生き残って
2 0 1 5 年(平成 2 7 年)7 月 9 日(木曜日)
(2)
助資料が使えなくなるな
いるケースも散見され
ーションなどを担当して
グ戦略、社内コミュニケ
や、会社のブランディン
成を担っているケース
営業の数値管理や予算作
まないだろう。
因として大きな変化を生
者の購買行動への刺激要
のデータ化自体は、消費
だに多く、パンフレット
験に依存する部分がいま
左右されず、インセンテ
よって営業数値はあまり
ケティングツールなどに
それらのタレント集団
の多くは、商品性やマー
耳にする。
貢献している事例はよく
営業拠点の収益の多くに
ナンシャルプランナーが
どの限られた数のファイ
することは実際には困難
験は、形式知化し内在化
一方、タレントの人間
的な魅力を含めた成功体
いかもしれない。
法論の多くは応用できな
とって、その経験談や方
ナンシャルプランナーに
るならば、多くのファイ
タレントの成功体験とす
仮に成功事例やマネジ
メントのベースをトップ
●営業マネジャーが元
トップタレントである。
成功事例である。
刺激を与えている。
これらは、その視覚効
果により消費者へ追加的
した。
シュミレーションを紹介
フレットやライフプラン
・マテリアルとしてパン
習効果を支援するツール
べた通りであり、その学
前提になることは前回述
保険の購入意思決定に
おいて消費者の学習が大
か。
存在したらどうだろう
高い営業手法・ツールが
し、システム的に自動組
ル化されたマーケティン
たものではなく、デジタ
わせた提案(補助)資料
のトークスクリプトに合
第3回
ークスクリプトおよびそ
好)に沿ったセールスト
り、 そ の 商 品 選 好( 嗜
コモディティー化してお
は E コマースでは既に
的に商品提案を行うこと
しかし、消費財のビジ
ネスにおいて、消費者の
れない。
保険購入の二次的意思決定論(その2)
ナーの知識・経験に依存
ファイナンシャルプラン
備)化された営業」を提
が
生命保険の販売チャネ
ルは多様化し、消費者の
と弱みが考えられる。
1. セ ー ル ス・
マーケティング
の現況
スと結び付いているわけ
どの制約は増えたもの
る。
強み:即時に保険料が
計算できる。
ィブやプロモーションな
み合わせをすることは可
唱し、また二次的意思決
現実的に営業現場で
は、前述の営業スタイル
の、 本 質 的 な ス タ イ ル
時代の変化が激しく、
競争が激化した場合に、
強み:プロモーション
キットがデジタル化して
ど、明確なベネフィット
しかし、視覚的効果が
高くても、トークスクリ
能だろう。
定において伝統的な営業
しかし、二次的意思決
定における商品選択で
は、顧客に対し最も売れ
トップセールスマンが機
いる(モビリティー)。
である。つまり、営業に
プトが多様化するマーケ
していることが分かる。
ではなく、会社によって
ている(売りたい)商品
敏に時代に適応できるか
おける標準化は非常に難
ットに対応できるもので
勝ち残る保険会社の条件
と加入の条件から導いた
どうかが生き残る鍵にな
がそのドライバーになっ
しいと考えるのが妥当だ
保険購入の経路は段階的
ていない。
は、オフセット印刷され
トマーケットと逆行す
た、多様化するターゲッ
イングを繰り返すといっ
プトを用いたロールプレ
長年の共通トークスクリ
を一律の時間で管理し、
つのポイントをまとめて
セールスから脱却する三
るのであろうか。伝統的
では、どのような視覚
的効果が追加的刺激にな
差別化
c.営業の標準化による
は難しいだろう。
待される反応を得ること
に必要な刺激を与え、期
伝統的セールスは否定
されるものでもなく、ト
化」を意味している。
という武器の「標準装備
る大方の社員に対し、マ
タレントに比べ見劣りす
個人顧客対応力がトップ
均一化するのではなく、
グマテリアルとして準備
が多く、教育部門も新入
る、いわゆる管理型が多
ップタレントの魅力的な
マーケティングは成立し
な規制緩和によって地殻
強み:マーケティング
コストが低い(共通のパ
を問わず、トップ %な
ールス・マーケティング
保険料(消費者目線で言
ている。
ろう。
なければ、購入意思決定
教育・支援、またマーケ
b.PCやモバイルによ
は、営業職員の知識・経
7%、続いて保険代理店
戦略と位置付けることに
う商品価格)の提示を受
弱み:開発費用が高い
(かつ費用対効果が不
そのため、営業教育や
支援は主に、新商品や規
b.営業の標準化とは
また、保険購入におけ
る主なきっかけとして
ンフレットを利用、マー
社員の基礎研修や、各種
かった。
みた。
ールスは、差別化された
変動が続いている。しか
ティングからの脱却につ
は、マーケティング部が
・4 %、銀行・証券
なりかねない。
る。つまりは、「しなや
明)。
制・コンプライアンスの
この場合の標準化は、
営業職員の個性や特性を
・7%、
かさを作るファンダメン
保険関連資格の手続き案
●個別にカスタマイズ
された提案資料(または
は、商品要因
タルであると捉えること
内、もしくは教育ベンダ
しかし、手法や時間帯
の標準化は人材管理や育
年度「生命保
ができる。それは、営業
ーとの交渉が中心となる
成を簡便にするだけで、
し、平成
るライフプランの設計
活動や提案自体の暗黙知
傾向がある。マーケティ
組織としての武器でもあ
68
保会社の営業職員が
職員が
営業職員要因
一方で、ライフプラン
の設計をPCやモバイル
を(形式知化はできない
ング部門では、営業数値
補助資料)
な っ て お り、 こ の こ と
ケティングリサーチを行
上で行う提案も、伝統的
ものの)数値化すること
機械化された人材を一律
ティングの標準装備化
険に関する全国実態調
めていく。
わないなど)。
セールスの一つとなりつ
は可能であるからだ。
管理や営業予算を主たる
に作りあげるスキームで
●個別の顧客特性に合
わせた商品提案の自動化
新しい営業のしなやかさ
査」によると、民間保険
セールス手法が続いてい
a.パンフレットと設計
強み:営業教育・支援
の研究開発費の投資は少
つある。基本情報設計と
業務にする傾向もあるだ
ある(トップタレントに
●前記の提案のシステ
ム化
を生むものである。
い日本の保険会社の営業
なっているケースも多く
人間性に裏打ちされたセ
る。
しかし、多くの営業職
員の活用のためのマーケ
ンシャルプランナーの提
トや魅力のないファイナ
る。また、個人顧客別対
しいと考えられがちであ
的に費用対効果の面で難
て、さらに深く論じる。
次号では、どのように
実現していくかについ
は、デジタルを応用した
る。しかし、本質的な問
案は、購買意思決定の刺
●ベストプラクティス
がトップタレントによる
が挙げられる。
しかし、仮に刺激要因が
激要因にはなり得ない。
概念と感じられるかもし
応は、標準化とは程遠い
題点としては、次の
点
マーケティングの標準装備化
ることを示唆している。
書を使った提案
ない。
なる顧客のライフプラン
また、保険加入者の基
礎データ分析による商品
ろう。
これらの個人顧客別ニ
ーズ喚起シミュレーショ
さらに、伝統的なセー
ルスと比較し、営業の標
つまり、セールスの成果
セールスの手法はさま
ざまだが、多くは商品パ
弱み:個別の顧客対応
ができない。
に合わせた商品プランや
選択の嗜好性傾向をマー
されている)。
ンのようなものは、現実
は、「この営業職員の勧
(新契約加入率)は、営
ンフレットと設計書を使
保険料の算出は、ビジュ
ケティング分析対象とす
これらの組織の問題点
は、トップタレント以外
二次的意思決定におい
て、差別化を図ることが
の加入チャネルは、いま
業職員の属人的要因や商
った提案が主流を占め
アル的に分かりやすくな
のファイナンシャルプラ
できないトークスクリプ
職員であるから成り立つ
不備率が解消されるなど
a.トップ営業マンとい
2. 営 業 の 標 準
化は可能か
スト効率性が高いからと
のペーパレスならではの
う名の問題児
なり、申し込みにおける
いって、決してマーケテ
メリットもある。
ものである。しかし、コ
ィングが機能的にセール
ーケティングマテリアル
品性に高く依存してお
る。金融商品取引法、個
弱み:セールス力やセ
ールスナレッジが属人化
り、多くの資料を持ち運
ることで、個別の顧客対
ンナーが機能していない
準(装備)化の必要性と
り、営業教育や支援、ま
人情報保護法など、金融
する。
応 へ の 準 備( 精 緻 な 予
点にあるのは明白であ
実現性について議論を進
く、保険マーケットのメ
たマーケティングの効果
商品を取り巻くセールス
ぶ必要がなくなってい
測)への可能性を有して
める商品なら信用でき
ーンプレーヤーであるこ
が限定的になっていると
の環境は変化し、説明す
このモデルはトップセ
ールスマンと商品性への
る。
いる。
る」というような伝統的
また、二次的意思決定
(本連載第2回参照)の
いえる。
べき重要事項が増え、保
依存が高いモデルであ
また、新規契約の申し
込みがウェブ上で可能に
・2%と最も高
主な刺激要因である情報
極端に言えば、教育や
マーケティングよりも、
険会社のコンプライアン
り、ロイヤリティーの高
藤田 通紀
王 超
プライスウォーターハウスクーパース
だに生命保険会社の営業
入手経路については、生
とは間違いない。
・
営業マンのインセンティ
スチェックがない提案補
52
藤田氏
王氏
関しては、それらは免除
ブを中心とした施策をセ
47 52
10
2
24
商品選好に合わせて自動
会社の窓口や営業職員が
けるスタイルになる。こ
かな営業組織」とは呼べ
弱み:個別の顧客対応
は限定的。
説明会が中心となる傾向
しなやかな組織への改革
4・ 1%であり、多くが
本稿では、しなやかさ
を保つために「標準(装
れらは、次のような強み
ず、先見性を保つための
しかし、提案がデジタ
ル化することは、しなや
営業現場において標準
化とは、全ての営業職員
いて論じたい。
10
・8%と
2 0 1 5 年(平成 2 7 年)7 月 1 6 日(木曜日) ( 3 )
勝ち残る保険会社の条件
しかし、このようなプ
ロセス改善であっても、
相伝の職人技のような位
オペレーションは、一子
が整っていない属人的な
その結果、よくありが
ちなマニュアルや手順書
推察される。
ごろ腐心していることと
場の抵抗勢力の対策に日
は、多かれ少なかれ、現
オペレーション改革プ
ロジェクトのマネジャー
顧客セグメント情報や新
加えて、eコマース各社
分析ツールの自社導入に
デジタル化に伴うデータ
なるものである。今後、
ネス成長を支える基盤に
ものであり、将来のビジ
ン体制の刷新を意味する
セスおよびオペレーショ
レーションモデル、プロ
の再構築ではなく、オペ
は、既存オペレーション
その点で、デジタル化
されたオペレーション
そのアイディアがあった
業務改革を行おうとイ
ニシアチブをとる人材や
ある。
ないとみなされる傾向が
える役割を期待されてい
能動的な変革や影響を与
自らが会社の組織体制に
化していく組織であり、
があがってきて初めて変
つまり、外部環境の変
化やフロントからの要求
考えられがちだ。
応していく機能を担うと
受けてリアクティブに対
けであり、市場の変化を
バックオフィスの位置付
ーケティング部門に対し
伴うもので、オペレーシ
ョン部門単体では限界を
の意味では、オペレーシ
意思決定が求められ、そ
トニーズを的確に捉えた
正しく予測し、マーケッ
この組織には外部環境を
響を与える組織である。
マーケティング戦略に影
の結果から、セールス・
ースマーケティング分析
であり、また、データベ
ティングとつながる組織
越えてセールス・マーケ
ペレーションの枠を飛び
ここにおけるオペレー
ション部隊は、従来のオ
4.データベースマー
ケティングへの応用
3.社内蓄積データを
用いたビッグデータ分析
の可視化
トによるオペレーション
シームレスでつながり
のある組織は、セールス
能性がある。
値のない)ものになる可
性のない(マーケット価
提供する分析結果は必要
また、マーケティング
センスがない場合には、
う。
理屋になってしまうだろ
情報を依頼される情報整
ィングサイドから必要な
いならば、常にマーケテ
データサイエンティス
トの分析能力が十分でな
ロセスの継続改善
3.セールスからオペ
レーションまでの全体プ
と戦略)
結果の共有(データ分析
2.セールス・マーケ
ティングへの的確な分析
ケティングセンス
そして、その課題には
人材育成を行うプログラ
ることになる。
題の一つとして求められ
せる教育・研修が重要課
イパビリティーを伸長さ
従って、今後の保険会
社には、この領域でのケ
課題といえるだろう。
リティーの確保は喫緊の
と、この人材とケイパビ
スがないことを考える
人材以上に必要なリソー
第4回
進撃のオペレーション体制
保険会社の生存競争の
中で勝ち残るためには、
い。
有であることは間違いな
リクルート市場の中にそ
業務領域といえるため、
かし、この分野は新しい
な組織を構築する上での
保険業界において、ペ
ーパレスに端を発するデ
タル化の波
a.保険業界に迫るデジ
などが挙げられる。これ
伴うKPIマネジメント
入や、そのデジタル化に
メージワークフローの導
定機能を組み合わせたイ
例えば、シェアードサ
ービスやBPOに自動査
る。
て多く立ち上がってい
ェクトが保険業界におい
ーションの企画・分析エ
また、保険のデータサ
イエンティストはオペレ
ある。
ての役割を担う可能性が
ペレーション部門」とし
の伸長を担う「進撃のオ
り、会社のトップライン
な分析を行うことによ
蓄積されたデータの有用
ーションを担う組織は、
保険会社においてオペレ
て個々人がこれまで蓄積
ことも多く、会社におい
を手放すことを意味する
クスタイルや知識・経験
今まで慣れ親しんだワー
ならずに、仕方がないか
効率性の精査の対象とは
置付けとなり、コストや
ビックデータ分析による
が取り組んでいるような
1. デ ジ タ ル 化
によるしなやか
な組織
ジタル化の波は、瞬く間
らは、BPM(ビジネス
た、システム導入といっ
抜 本 的 改 革 で あ り、 ま
セス効率化やコスト効果
導入による部分的なプロ
た上で、システムの追加
cy)システムを維持し
税効果
モバイル端末
モバイル端末
代理店
電子証券
SNS
メインフレーム + デジタルアナリティクス
モバイル端末
としても、既存のシステ
ョンを含めたセールス・
レーション間の隔たりが
・マーケティングとオペ
保に加え、キャリアパス
研修講師などの手配・確
ムやコンテンツ、また、
の能力を有した人材は稀
手法の活
あっては成り立たない。
そのため、セールス・
マーケティングとオペレ
マーケティング戦略を策
的アクションに対し制限
また、オペレーション部
ーションがつながる組織
定するシームレスな組織
の適用を図
をかけていた事実もある
隊からマーケティング上
においては、明確な経営
ムの制約や、事務オペレ
る な ら
だろう。
のインサイトを提供する
戦略とビジョンのもと
ーターのケイパビリィテ
ば、保険会
a.シームレスな組織に
場合には、保険マーケテ
で、自社の優先課題の見
用、商品ト
社のオペレ
しかし、デジタル化を
伴う構造改革では、オペ
ィングの知識・経験か、
極めが必要になる。いず
レンド予測
ーションに
レーションを受け身なデ
要求されるオペレーショ
それを補うスキルが要求
や評価・報酬システムな
今までにな
ィフェンダー(守備的ポ
ンの役割
される。
ペレーションをコストと
その隔たりをなくすため
い重要なポ
ジション)からボランチ
シームレスな組織と
は、オペレーションとセ
みなし、経費削減のみに
体を構築する必要がある
ジショニン
(攻撃的ポジション)の
しかし、ここで問題と
なるのが、実際にはその
フォーカスするようでは
ィー不足が変化への能動
グを提供す
ポジションへ変える可能
ールス・マーケティング
ようなケイパビリティー
ども含まれることから、
ることにな
性を含み、まさに進撃す
がつながった組織を指
を持った人材の確保が非
変革と成長を実現するこ
には、相互の業務の目的
るだろう。
るオペレーション体制の
す。
常に難しいという点であ
とは難しいであろう。
だろう。
c.オペレ
構築を意味するものであ
る。
取り組むべき課題が多い
ーション部
ると考えられる。それら
それを実現するための
オペレーションサイドの
b.教育の重要性
といえる。
門の進撃
を支えるのは次の4点で
求められる。
役割としては次の3点が
理解がまず必要であり、
現在のオ
ペレーショ
ある。
人材とケイパビリティ
ーの確保は、シームレス
2. シ ー ム レ ス
な組織構築の難
しさ
ン 部 門
1.データサイエンテ
ィストの分析能力とマー
論を深めていく。
れにしても、経営層がオ
は、フロン
オペレーション教育の
重要性は、次回さらに議
トであるセ
ールス・マ
2.データマネジメン
1.オペレーション構
造改革による品質向上
・目標およびスキームの
優先課題の見極めが必要
に業界に広がりを見せて
プロセスマネジメン
い局面も出てくる。
オペレーターにとっては
らそのままにするという
ネル・販売
規に開発される販売チャ
いる。デジタル化の定義
リアに位置し、契約管理
た機能充足とも異なり、
の改善に注目するものが
図3 保険会社の将来像(10 年後)
コアポイントになる。し
してきたビジネス上の価
状態が続いている。
しなやかな組織への改革
値を維持することが難し
は各社によって異なる
ト)、BPR(ビジネス
が期待される。
が、プロセスの自動化、
インテグレーション)の
b.オペレーションの実
システムから個別マーケ
域を超えて、オペレーシ
際
ティング分析を担うこと
例であろう。事実、デジ
ョンの構造改革の一つし
プロセスリエンジニアリ
タル化(ビッグデータ分
て捉える方が正しいかも
ング)やSI(システム
析を含む)は、2010
実際のオペレーション
プロセスの改善をみる
もしくはペーパレス化が
年代に入って以降時代の
しれない。改善活動のよ
実務的機能としての代表
キーワードの一つとな
と、レガシー(lega
保険会社としてのビジネ
データストレージ
デジタルマーケティング分析
顧客
電子確認書
経営分析
自動査定
申込
SNS
うな積み重ねとは異なる
したビジネストランスフ
スモデル、ひいてはそこ
多く、このままではビジ
告知 本人確認
家族
り、テクノロジーを駆使
ォーメーションのプロジ
で働く社員のワークスタ
い。
ネスモデルの大きな変革
デジタル化が完了した
イルの変革も要求される
プライスウォーターハウスクーパース
藤田 通紀
王 超
デジタルオペレーション(新契・保全・保険金)
デジタルセールス&マーケティング
モバイル端末
診断
ライフプラン
@
顧客
受付
リスク管理
代理店
FP
を実現することは難し
藤田氏
王氏
e- 健康診断
入院保障
健康
業績
からである。
2 0 1 5 年(平成 2 7 年)7 月 2 3 日(木曜日)
(4)
勝ち残る保険会社の条件
ば、業務プロセスを外部
のであったろうか。例え
際の効果はどのようなも
とがあるだろう。その実
る。
一方、保険会社Bは、
Lean Six Si
gma(LSS)の考え
現するにとどまってい
ったコスト効果のみを実
できず、人件費の鞘とい
のための知は得ることが
学的手法から導き出され
ている訳ではない。統計
ののアプローチが間違っ
しかし、品質工学を用
いるプロセス改善そのも
た。
言えないゴールであっ
た先は共に学習組織とは
前述の二つの事例は極
端であるが、たどり着い
a.予測がもたらすもの
ることを可能にし、しな
の変化を能動的に判断す
高めることでマーケット
この学習組織による予
測モデルは、その精度を
に寄与している。
け、学習組織化すること
効果を継続的に与え続
ック)は、取り組みへの
インプット(フィードバ
プ、ダブルループによる
結び付けたシングルルー
OC(お客さまの声)と
さらに、統計的な数値
のトラックと、数値をV
出している。
うことである。
になる可能性があるとい
らないブラックボックス
っている人間にしか分か
も、それは数量分析を行
結果になっていたとして
タなどが異なり、誤った
方、また、取得するデー
つまり、数字は「見え
る」だけに、計算や考え
ろう。
ントすることは少ないだ
セスについてもアセスメ
に、その数量分析のプロ
学習組織を伴わないオ
ペレーション施策は、小
う。
を設ける意義になるだろ
がオペレーション教育部
整える必要があり、それ
は、その知の基礎基盤を
しかし、個人やチーム
の知の結集を行うために
まりみない。
育部があるという例はあ
部門にオペレーション教
あるが、オペレーション
業部門には営業教育部が
必要になる。一般的に営
析、データ分析の知見が
ム思考に必要なデータ分
な人材の育成と、システ
て、システム思考が可能
ペレーション部門におい
組織全体として、しなや
ィングとつながり、会社
うにセールス・マーケテ
次回の最終回において
は、学習組織化したオペ
であろう。
高めることに貢献できる
なり、組織の市場価値を
加速させることが可能と
トナーと協業すること
み出すことができるパー
はなく、新たなる知を生
義的なコスト効果だけで
を選択するときには、一
まり、サードパーティー
となるケースがある。つ
ネーブラーとしての存在
知を提供するナレッジイ
は、保険会社に新たなる
ち得るBPOベンダー
能であると考えられる。
委託するBPOについて
方を基に、積極的に見え
る数量分析、そして、そ
意思決定に関わる数量
的なエラーは致命的であ
さなコスト効果を得るこ
かさを体現するのかとい
は必要であるが、それを
置き、プロジェクトが進
二つの事例を示してみた
る化を導入し、数量的に
の結果としての見える化
り、オペレーション改革
とは可能であっても、将
うことについて議論を深
は、見える化できるとい
んでいく。
保険会社Aは、地方拠
点にBPOベンダーを駐
管理しようと取り組ん
への大きな投資意思決定
来的にはベネフィットよ
めたい。特に、顧客価値
用され、動的な人員配置
キルを養うことを目指し
しかし、組織内には、
変化することに抵抗する
在させ、BPOベンダー
だ。外部からブラックベ
を行う際においては、慎
りもコストやリスクが上
創造の立場からシームレ
ト減であり、結果として
た経営手法である。
動きや摩擦が生じること
が地方採用したスタッフ
やかに対応できるオペレ
重に対応しなければなら
回ることにならないだろ
スな組織について言及
業務改善の考え方や方法
保険会社のように、目
に見えない商品を生み出
も多く、プロジェクトそ
の力を借りて、オペレー
は、見えない商品の見え
ーション組織を構築して
ない。
うか。継続的に勝ち残る
し、その具体的な効果を
例えば、しなやかさを持
し、そのサービスを提供
のものだけでなく、現在
ルト(SixSigma
ないオペレーションプロ
特に多いのが、通常は
データ分析をしていない
オペレーションのしなや
可能にするためには、オ
するビジネスモデルにお
の業務に対してもネガテ
ションの一部の業務を外
の有資格者)のような人
が、プロジェクト予算を
かさを保つことはできる
う「罠」が存在する。
いて、この組織的で継続
ィブな反応を示すことも
部 委 託 し て い る。 当 初
いく。
申請するために即席でデ
を可能にした戦略的なオ
a.組織の硬直化
的な知の創造は、企業と
あるだろう。
セ ス に お い て、 明 確 な
b.見える化の罠
ータ分析を行い、到底た
考察したい。
数字上は生産性向上とな
保険会社は学習組織で
なければならない。それ
しての存続だけではな
特に、「カイゼン」の
ように現状に大きな問題
(数量的)ゴール設定と
一方で、統計学的手法
は決して絶対的なもので
だろうか。知の結集をど
論は持ち合わせておら
は、常に競合の保険会社
く、より高い品質の提供
点はないものの、さらな
材を採用し、企業の中に
意思決定を可能にした。
のようにして組織に内在
ペレーション組織を生み
と鎬(しのぎ)を削る厳
にも寄与し、顧客価値創
る生産性の向上を継続的
は、正社員とベンダーが
LSSの手法を浸透させ
特に、プロセス改善施策
どり着かない数値目標が
化し蓄積していくのか。
っている。
しいマーケットの中で生
造に結び付くものであろ
に目指す取り組みについ
採用した地方のパートタ
ていく。
設定されるケースであ
ず、BPOベンダーにも
き残る術であり、必要不
う。
ては、その付加価値を創
イムとの給与差によるア
はない。例えば、いくら
る。このケースの場合、
例えば、経営者へ数量
的な結果を報告する際
可欠な要素であるから
保険会社のオペレーシ
ョン部門に焦点を当てる
造することよりも、変わ
ービトレージ(人件費の
数量的方法論を導入した
1. 現 在 の オ ペ
レーション
学習組織とは、システ
ム的な思考(これをロジ
新たな知を生むパートナーとの協業
この施策は、継続的に
価値を生み出す業務改善
ンを要求し続けている。
変わらないオペレーショ
だ。
とどうであろうか。自ら
らないことによって安全
における目標として、不
としても、品質工学や統
2. 今 後 の オ ペ
レーション
カルと称する場合もあ
作り出した規約の呪縛に
性や安定が保たれると主
%改善や納期
しなやかな組織への改革
る)によって、個人やチ
とらわれ、変化への柔軟
しかし、行き過ぎたL
SSは、一部にその効果
備率の
R・「カイゼン」などを
例えば、オペレーショ
ンプロセスに対し、BP
か。
になっていないだろう
が続いているような状態
Rなどのプロセス改善プ
ないしはLean/BP
務改革、SSC/BPO
二度は「カイゼン」、業
オペレーション部門に
所属する読者は、一度か
プロジェクト
も旧来のオペレーション
られず、数年たった現在
る以外に大きな効果は得
なく、同じ業務を継続す
ン改善は学習組織化では
しかし、コスト減のみ
を追求するオペレーショ
た。
した処理を他部署のスタ
なった場合には、積み残
仮に業務処理量が大きく
を限界レベルまで絞り、
あまりに厳しい数値管
理は、オペレーターの数
ない。
を下げることになりかね
タッフのモチベーション
また、この数量的分析
の最も大きな貢献の一つ
の現在の姿を創造した。
ルとしてオペレーション
化された制御可能なモデ
寄与し、ダッシュボード
経営管理ツールの発展に
などの具体的な数値は、
(遵守)の0・5日短縮
ような効果やインパクト
の変化がプロセスにどの
統計分析の専門家であ
ったとしても、その数字
持たない。
その数値はあまり意味を
解ができない場合には、
計分析について適切に理
態と言える。
倒な状況に陥っている状
らは、見える化が本末転
とになりかねない。これ
上)評価されてしまうこ
効果はなかったと(表面
果としてプロジェクトの
プロジェクト実施後、結
ろう。
示されることになるであ
導入することで、明確に
る化された統計的処理を
もので、その効果は見え
オペレーション教育部
はその役割と責任を担う
学習するオペレーション組織
ーム、会社そのものを取
さや機敏さを持つような
鞘)がベネフィットとす
に議論があるように、ス
り巻く環境の諸要素の複
張するかもしれない。
る大きな成功が見られ
第5回
雑性を理解し、経営目標
しなやかさはなく、旧態
b.空回りする品質改善
導 入 す る 場 合、 品 質 向
プロセスと人海戦術で業
c.オペレーション教育
3. 学 習 す る し
なやかな組織
をもたらすのかを理解で
ッフの応援を仰ぎながら
は、予測モデルの導入で
務を回している。
あろう。投資の世界にお
部の可能性
ける期待収益率と標準偏
きない場合には、予測や
深夜まで処理する事態と
効果を算定することは難
なる場合がある。
BPOベンダーとパー
トナーシップを結んだ場
また、長年、同部門で
業務を担当していた社員
オペレーション部門が
しなやかであるために
しいであろう。
また、統計学や数学に
合でも、学習組織化は可
差の概念は、オペレーシ
は、今度は企画チームに
転属することになるが、
は、学習組織であること
ョンの世界においても応
ロジェクトに参加したこ
プライスウォーターハウスクーパース
藤田 通紀
王 超
しかし、給与総額は人
員数が減っている分コス
上、業務効率化に重点を
10
レーション部門がどのよ
で、自社の学習組織化を
に対し想像力を高めてコ
依然の硬直化した組織体
チームの知を結集するス
藤田氏
王氏
い。
ミットメントし、個人や
2 0 1 5 年(平成 2 7 年)7 月 3 0 日(木曜日) ( 5 )
勝ち残る保険会社の条件
ルダーである顧客や代理
だけでなく、ステークホ
の創造を可能にしやすく
組みや組織が、顧客価値
う。つながりのある取り
の改善に寄与すること
っても、会社全体として
直接関わらない部門であ
・マーケティングなどと
活動であるが、セールス
客サービスを提供する際
たい。付加価値の高い顧
ムレス化について議論し
ーケティング戦略のシー
革の一つとして、保険マ
プロモーションする際
例えば、クロスセルが
可能な商品のリリースを
略が策定可能である。
ーチを実践するための戦
似)。
滅することも考えられる
アの優位性そのものが消
識が根付いている)一例
を創造している(その意
で、しっかりと顧客価値
合った商品・サービスの
か。一つには、ニーズに
に必要な要素は何だろう
プローチ法を明確にする
ーゲットの特定およびア
に、マーケティングのタ
ていると見なされても致
ている、もしくは放棄し
は、勝ち残ることを諦め
その来たるべき時代に
備えようとしない企業
(効率的市場仮説に類
店などの声を分析しなが
すると言える。
2. 顧 客 価 値 創
造 へ の 文 化・ 意
識改革
ら、顧客ニーズを予測し
て顧客に合う商品を提供
することで、最適な価値
を提供することができる
ことで、顧客のニーズを
だろう。
提 供 で あ り( 新 規 加 入
ーションへの取り組み
である。
は、シームレスな組織の
しかたない、といってし
継続的な「カイゼン」
活動は、ムリ・ムダ・ム
この保険会社は、業務
改善は社内の全ての部門
喚起し、より納得できる
このシームレスな組織
の実現は、セールス・マ
が、直接・間接的に顧客
時)、もう一つは加入後
実現とも言い換えること
ラをなくしたプロセスそ
顧客価値を創造するシームレスな組織
しなやかな組織への改革
第6回
(最終回)
のものの生産性および効
まってはいささか過激で
ーケティングとオペレー
あろうか。
ションに分断されるよう
提案を提示することがで
ができ、保険会社として
価値創造に貢献できると
きる(セールスにおける
一体となった組織作りが
率性の向上を目的とする
のアフターサービスが考
る。
な業務取り組みやプロジ
えられる。
ことと定義できる。これ
前提となる。商品のイノ
顧客価値創造)。
は、テーマパークのよう
しかし、どれだけテク
ノロジーが進化しても、
既契約者となった顧客
からの苦情・相談・問い
だろう。
客が満足できるようにカ
ズをしっかりと捉え、顧
て分析された潜在的ニー
(Voice of C
ustomer)を用い
ベーションを例にとるな
ェクトを乱立させる状況
本来、継続的な取り組み
ケースが多い。しかし、
今や、国内大手生保に次
いう風土があると言う。
ータ活用)。
されている(守備的なデ
を高める素材として利用
ケースが多く、顧客満足
善活動に活用されている
合わせは、組織の中の改
ーチ方法・セールス戦術
ットマーケット・アプロ
て、新商品概要・ターゲ
して開発することによっ
育・研修のプログラムと
また、そのアプローチ
方法については、営業教
が、信頼されている保険
でアドバイスできるの
を行っていく。そのそば
れた情報の中で意思決定
的にヒトは刺激を与えら
顧客はヒトであり、最終
1. 顧 客 価 値 創
造とは
そのために、既契約の
ビッグデータやVoC
なぜなら、商品性だけ
では競争優位を保てない
では成立しないであろ
なビジネスだけではなく
現在、顧客価値創造は、
らば、商品部や関連部門
マーケットで勝ち残るた
保険会社にも当てはまる
めの戦略として位置付け
スタマイズされたアプロ
会社であり、ファイナン
ヒトの心の機微にこそ原点が
ている企業において、最
組織がしなやかさを保つ
を含めて、セールス部門
マーケティング戦略と教育の統合
顧客価値の創造は、し
なやかな組織への変革を
も重要な目的の一つであ
ぐまでに成長した主な成
そのヒトの心の機微に
こそ、しなやかであるべ
であるべき「カイゼン」
保険マーケティング戦
略は、マーケッターの想
く原点があり、またその
ーチをとる。多様化する
者)の声が新契約部門や
像(時に妄想)やデータ
心の内が分からないから
核心的な目標、また市場
契約管理部門などにオペ
アナリストの机上の解析
こそ(自分でも気づかな
ろう。
レーション改善を目的と
・分析と揶揄(やゆ)さ
い)、マーケットは不確
シャルプランナーとそれ
顧客価値創造において
必要なことは、顧客第一
するだけでなく、マーケ
れるかもしれないが、進
らを支える組織であろ
で商品・サービスを提供
ティング戦略の素材とし
撃のオペレーション部門
に展開することが可能に
発で終わるケースも少な
することであるが、その
ても活用されるべきであ
実性が高いのであろう。
なる。
くない。
施策や取り組みにおいて
ろう(攻撃的なデータ活
しなやかさの向こう側に
しかし、シームレス化
を考えるのであれば、既
ある保険会社の改善成
功事例を紹介したい。こ
関連する部門としっかり
とシームレスになること
は、必ずヒトが立ち、ヒ
存 顧 客( 自 社 の 既 契 約
の保険会社の経理部の取
と認識・価値・目的を共
により、ファクトベース
功要因の一つなのかもし
り組みとして、経費処理
用)。
の実践的な戦略に変化を
トによって解決しなけれ
れない。
プロセスの生産性・効率
有することにある。
合ターゲットマーケッ
ト(自社商品を購入した
遂げると考えられる(図
ばいけない課題が待って
活動が、企業文化に根付
性向上における業務「カ
組織を一体化させるシ
ームレスな状態を作るに
経験を持つ顧客)からの
4)。
いていない場合には、単
イゼン」活動を行って、
は、部分的な最適を目指
反応は、大きく二つの活
顧客ニーズに対応するこ
四次チェックまで行うプ
す改善は時として組織の
用法が考えられる。
とにより、他社との差別
ロセスを初鑑・再鑑の二
状態をゆがめてしまう恐
で勝ち抜ける条件となり
次チェックまでにプロセ
れ が あ る か ら だ。 つ ま
①セールス・マーケテ
ィング戦略の策定
ることで、より個別にカ
グデータ)と組み合わせ
面では、顧客特性(ビッ
まず、セールス・マー
ケティング戦略の策定の
②営業教育・研修のケ
ーススタディ
険のオペレーションエリ
をさらに効率化させ、保
の進化はオペレーション
し、データマネジメント
業を凌駕する時代が到来
IT革命以上にヒトの作
テクノロジーは今後、
人工知能の発展により、
ことを期待したい。
ち上げる人材が出てくる
造」を主管する部門を立
創 造 の た め の「 知 の 創
(おわり)
スタマイズされたアプロ
し、成果として顧客価値
読者の中から、しなや
かな組織の改革をリード
いる。
う。
スを簡素化する取り組み
り、組織をしなやかに保
得るからだ。そこで、保
また、安定感のあるオ
ペレーションの実現と
を 完 了 さ せ た。 そ の 結
つには、全体が共通のゴ
例えば、付加価値ビジ
ネスの代表であるテーマ
値創造に結び付く付加価
して付き合える保険会社
果、工数に紐づく人件費
ールを共有し、同じ方向
化を図ることが可能だ。
値について、次の三つに
品質改善が基本である。
システム化されたオペレ
タマネジメント化し、サ
は下がり(チェックは管
で進む状態が前提となる
険会社において、顧客価
まで、感動や喜びを享受
は、事務事故(情報漏え
供
ーションプロセスをデー
改善し、顧客が気付かな
い新しい価値を提供する
理職が行うケースが多い
しなやかな組織への改
4. し な や か さ
の向こう側
ため)、また品質は一定
だろう。
チェックは形骸化するケ
ースが多い)。
このような取り組み
は、外からは見えにくい
3. シ ー ム レ ス
な組織設計
に保たれた(再鑑以降の
パークは、大人から子供
できる非日常的なサービ
まとめてみた。
②安定感のあるオペレ
ーション(品質)の実現
ービス品質を担保するこ
オペレーションとマーケティングの統合
セールス、マーケティング、教育の統合
スこそが競争優位の源泉
③組織のイノベーショ
ン(変革)への取り組み
と(アフターサービスの
マーケティング素材
「苦情・相談・問い合わせ」
マーケティング
営業教育
マーケティング素材
「ビッグデータ」
セールス・マーケティング戦略
いなど)が起きない安心
顧客別サービスの提供
とは、均質化されたマス
向上)で、安定感に加え
新契約
オペレーション
教育・研修
顧客サービス
顧客サービス
VOC
顧客サービス
(コールセンター・
保全・保険金など)
セールス
①顧客別サービスの提
ジネスである。
マーケティングとは対照
最後に、組織のイノベ
既存顧客
新規顧客
でもあり、彼らのコアビ
一般的に、顧客価値創
造とは、顧客への理解を
的な、個別ニーズにカス
信頼感を向上させると考
藤田氏
王氏
になるための、継続的な
深め、商品・サービスを
タマイズされたセールス
えられる。
アフターフォローであ
プライスウォーターハウスクーパース
藤田 通紀
王 超
シームレスな組織(保険マーケティング戦略の観点)
図4
・マーケティングおよび
2 0 1 5 年(平成 2 7 年)8 月 6 日(木曜日)
(6)
【 執筆者プロフィル 】
藤田 通紀
(ふじた みちのり)
所属 / タイトル
プライスウォーターハウスクーパース株式会社 金融サービス事業部 シニアマネジャー
主な経歴
金融サービス業界のプロフェッショナルとして 15 年以上の経験を有し、日本の金融機関(保険・証券・銀行)に対し、セー
ルスマーケティングからオペレーションまで幅広い分野において知識・経験に基づいたインサイト・ソリューションを提
供している。現職においては、主に保険オペレーション改革、SSC/BPO デザイン、ビジネスデューデリジェンスの専門
家としてプラクティスをリードする。また、専門誌・新聞での論文寄稿やセミナー・会議にて講師としての活動も多数。
日本ファイナンス学会 正会員、行動経済学会 正会員
英国ウォーリック大学大学院工学研究科修了(理学修士)、経営学修士(英ウェールズ大学)、ポストグラデュエートディプ
ロマ(英エクセター大学)
専門領域
(保険)
・セールス&マーケティング戦略
・営業教育・教育プログラム策定
・チェンジマネジメント
・行動ファイナンス
・現代投資理論
・業務デューデリジェンス
・データ分析
・オペレーション改革
・品質工学
・BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)/ カイゼン
・SSC/BPO デザイン
・OE(オペレーショナルエクセレンス)
王 超(ワン チャオ)
<主な執筆>
勝ち残る保険会社の条件「しなやかな組織への改革」(6 回シリーズ)/ 保険毎日新聞社 [2015.7-8]
戦略的 SSC/BPO アプローチ(6 回シリーズ)/ 保険毎日新聞社 [2014.11-12]
金融機関における現代教育システム開発とその効果検証(後編)/ 企業と人材 8 月号 [2009.8]
金融機関における現代教育システム開発とその効果検証(前編)/ 企業と人材 7 月号 [2009.7]
銀行窓販 行動心理学を応用した顧客アプローチ (3) 損失回避から生まれる限定的な投資行動 / 月刊金融ジャーナル
49(12) ( 通号 622) [2008.12]
銀行窓販 行動心理学を応用した顧客アプローチ (2) 心理的バイアスの罠からの脱出 / 月刊金融ジャーナル 49(11) ( 通号
621) [2008.11]
銀行窓販 行動心理学を応用した顧客アプローチ ( 新連載・1) 過剰な楽観性 ( 自信過剰 ) からの解放 / 月刊金融ジャーナ
ル 49(10) ( 通号 620) [2008.10]
07 年 10 月を境に萎縮した変額年金保険販売 ( その後の金商法対応 ) / 金融財政事情 59(19) ( 通号 2789) [2008.5]
金融機関の教育進化における QF 評価モデル ( 特集 生かせ金商法 ) / 月刊金融ジャーナル 49(4) ( 通号 614) [2008.4]
金融商品取引法施行下における保険会社の BtoBtoC 戦略 -- 代理店研修の重要性 / 共著 ファイナンシャルコンプライ
アンス 38(3) ( 通号 586) [2008.3]
所属 / タイトル
プライスウォーターハウスクーパース株式会社 金融サービス事業部 アソシエイト
主な経歴
生命保険会社におけるオペレーション構造改革プロジェクトにてプロジェクトマネジメント、プロジェクト計画等のデ
ザインを担当し、役員・部門長とのカウンターパートとしてプロジェクトマネジャーの支援を担当。また、プロジェクト
ステータス分析・定量管理(進捗・予算)に専門性を持つ。
専門領域
(保険)
・オペレーション改革
・BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)/ カイゼン
・BPO
・プログラムマネジメント
・プロジェクト予算管理
コンサルティングファームに入社以前は、保険会社オペレーション企画部門において、保険事務サービスの改革および
BPO プロジェクトに従事。なお、BPO プロジェクトにおいては、自らが BPO ベンダサイトにおいて協業することによ
り、ベンダオペレーション実務を通じ、改善・改革について提起を行う。また、F&A(経理)業務において、経費精算業務
の end to end の外部委託化および人件費削減、リソース再配分及び業務の継続的効率化を実施し、年間コスト削減率約
20% を達成。
中国対外経済貿易大学卒。日本語・英語・中国語の 3 か国語を話す。
< 共著 >
勝ち残る保険会社の条件「しなやかな組織への改革」(6 回シリーズ)/ 保険毎日新聞社 [2015.7-8]
【お問い合わせ】
プライスウォーターハウスクーパース株式会社
〒 104-0061 東京都中央区銀座 8-21-1 住友不動産汐留浜離宮ビル
TEL: 03-3546-8480(代表)FAX: 03-3546-8481 Email:[email protected]
URL: www.pwc.com/jp/advisory
本冊子の記事は、保険毎日新聞社の許可を得て掲載しています。掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
制作 保険毎日新聞社
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