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Financial Services Tax News 投資法人が圧縮記帳制度を適用する 場合の導管性要件

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Financial Services Tax News 投資法人が圧縮記帳制度を適用する 場合の導管性要件
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Financial Services Tax News
投資法人が圧縮記帳制度を適用する
場合の導管性要件
October 2011
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積立金方式により圧縮記帳を行う場
合の投資法人の 90%超配当要件へ
の影響を紹介します。
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法人が不動産等の事業用資産の買換え等のためにその
有する資産の処分を行った場合には、多額の譲渡益が生
じる場合があります。しかし、このような所得に対して法人
税が課税されるとその税負担分がその法人の再投資に振
り向けることができなくなるため、買換え等に伴う代替資産
の取得が困難になる場面が生じえます。そこで、不動産の
流動化や有効活用を促進する等の観点から、一定の要件
のもとに、その譲渡益に対する課税を繰り延べる圧縮記帳
制度が設けられています。
投資法人は、支払配当を損金の額に算入することにより、
課税上導管的な取り扱いを受けることができることとされて
いる法人です。投資法人がこのような導管的な取り扱いを
受ける場合には、配当可能利益の90%超を分配する必要
があります。
本ニュースレターでは、投資法人が圧縮記帳制度を適用
する場合の導管性要件(90%超配当要件)に関する留意
点について、その概要をご紹介いたします。
Financial Services Tax News
圧縮記帳制度における経理処理方法
税法上、圧縮記帳制度を適用することができる場合に認められている経理処理方法は、下記のいずれかの方式によるこ
ととされています(交換による圧縮記帳については(1)の方法のみ)。
(1) 直接減額方式
損金経理を行うことにより、譲渡益等に応じた圧縮損を計上し、取得資産の帳簿価額を直接減額する方法
(2) 積立金方式
取得資産の帳簿価額の減額は行わず、圧縮損相当額を確定した決算において株主(社員)資本等変動計算書への
記載を通じて積立金として積み立てる方法、または決算確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立て
る方法
投資法人の 90%超配当要件
投資法人の導管性要件(支払配当を損金の額に算入するための要件)の一つに配当可能利益の 90%超を配当する必
要があるという要件があります。具体的な 90%超の判定は、投資法人の税引前当期純利益を基礎として下記のとおり計
算されます。
90%超配当要件の判定式(簡便的に利益超過分配金額の取り扱いは考慮しておりません)
金銭の分配のうち利益の配当から成る部分の金額
税引前当期純利益(下記①~④の調整を加えた後の金額)
①
②
③
④
>
90%
前期繰越損失の額(-)
負ののれん発生益の金額(-)
減損損失の金額の 90%相当額(-)
控除済負ののれん発生益に係る調整額(+)
したがって、可能な限り税引前当期純利益と金銭の分配額に乖離が生じないよう慎重な会計処理を選択することが 90%
超配当要件を満たす上で極めて重要となります。
圧縮記帳の経理処理による 90%超配当要件への影響
投資法人が、圧縮記帳につき上記(1)の直接減額方式による経理処理を採用する場合、圧縮損相当額は損金経理を通
じて当期の損失として計上されるため、90%超配当要件の充足に必要とされる金銭の分配額は圧縮損相当額を考慮し
た上で計算されます。
一方で、投資法人が、圧縮記帳につき損金経理によらず上記(2)の積立金方式による経理処理を採用する場合において
は圧縮損相当額が損益項目で処理されないため、90%超配当要件の充足に必要とされる金銭の分配額は圧縮損相当
額を考慮せずに計算されることとなります。その結果、圧縮損相当額が税引前当期純利益に占める割合が大きい場合に
は、90%超配当要件を満たすために課税繰延が認められている譲渡益相当額も分配に充てる必要が生じ、圧縮記帳制
度の政策効果が減殺されてしまう可能性がありえます。投資法人が積立金方式で圧縮記帳制度を適用するにあたって
は、圧縮損相当額が税引前当期純利益に占める割合を考慮し、積み立てをしても 90%超配当要件を充足できるかどう
かを検討する必要があります。
なお、金融庁では 2012 年度の税制改正要望事項として「投資法人が買換特例等を適用した場合の導管性要件の判定
式の見直し」を取り上げており、今後の動向が注目されます。
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