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Financial Services Tax News 2013 年度税制改正 投資法人の導管性要件の改正

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Financial Services Tax News 2013 年度税制改正 投資法人の導管性要件の改正
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Financial Services Tax News
2013 年度税制改正
投資法人の導管性要件の改正
May 2013
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2013 年度(平成 25 年度)税制改正法案が、2013 年 3 月
本ニュースレターでは、2013 年度税
29 日に国会で可決・成立しました。また、当該改正に係る
制改正のうち、投資法人の導管性要
政省令が同月 30 日に公布されました。
件の改正についてご紹介いたします。
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本ニュースレターでは、2013 年度税制改正のうち、投資法
人の導管性要件の改正の内容についてご紹介します。
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改正の概要
投資法人が圧縮記帳制度を適用する場合の導管性要件に関する留意点については、2011 年 10 月号でご紹介しました
(注 1)。そこでは、投資法人が、圧縮記帳につき積立金方式による経理処理を採用する場合においては、導管性要件
の一つである 90%超配当要件(支払配当等の額が配当可能利益の額の 90%を超える必要があるという要件)を満たす
ために、課税繰り延べが認められている譲渡益相当額も分配に充てる必要が生じ、譲渡益相当額を留保しておくという
圧縮記帳制度の政策効果が減殺されてしまう可能性がある点を取り上げました。
(注 1) http://www.pwc.com/jp/ja/taxnews-financial-services/assets/dividend-deductibility-ja.pdf
2013 年度税制改正では、投資法人が買換特例等を適用した場合、一定の要件の下、90%超配当要件における分母の
配当可能利益の額から、「買換特例圧縮積立金」の繰入額を控除することとなりました。本改正により、投資法人が圧縮
記帳を適用する場合、90%超配当要件の充足における金銭の分配額は圧縮損相当額を考慮した上で計算されることと
なるため、譲渡益相当額の留保が可能になります。
改正の適用範囲
(1) 本改正の対象法人は投資法人に限られています(特定目的会社を含む他のビークルへの適用はありません)。
(2) 本改正の対象となる「買換特例圧縮積立金」は、投資法人が金銭分配計算書に基づいて積み立てた任意積
立金のうち、一定の圧縮記帳制度の適用を受けたものとなっています。一定の圧縮記帳制度には、特定の資
産の買い換えをした場合の特例や平成 21 年、22 年に土地等の先行取得をした場合の特例が含まれていま
す。
(3) 投資法人が上記(2)の圧縮積立金を積み立てた場合であっても、例外的に本改正の対象となる「買換特例圧
縮積立金」として取り扱われない場合があります。それは、投資法人の利益(純資産額-出資総額等)から一
定の圧縮積立金を控除した金額が、税務上の配当可能利益の 90%を超える年度において、圧縮積立金を積
み立てた場合です(すなわち、上記(2)の圧縮積立金の積立額が配当可能利益の 10%未満である事業年度
においては、「買換特例圧縮積立金」は計上されないこととなります)。
(4) 「買換特例圧縮積立金」は、対象資産について減価償却や除売却等の事由が生じたときまたは 90%超配当
要件を満たすための金銭の分配を行うとき等、一定の場合に限り、取り崩すことができます。
改正の効果
本改正の適用を受ける投資法人は、90%超配当要件の分母の配当可能利益から、「買換特例圧縮積立金」の繰入額に
つき一定の算式により計算された金額を控除します(配当可能利益から控除されるため、当該金額を配当しなくても 90%
超配当要件を充足することが可能となります)。また、当該投資法人は、翌事業年度以降、「買換特例圧縮積立金」の取
崩しを行った場合には、当該配当可能利益に、一定の算式により計算された金額を加算することとなります(配当可能利
益に加算されるため、90%超配当要件等を考慮して配当額を決定する必要があります)。
数値例
投資法人が圧縮記帳を適用した事業年度における財務数値
税引前当期純利益
1,000
「買換特例圧縮積立金」
200
配当額
800(※簡単化のため、均等割・法人税等を考慮しない)
改正後の 90%超配当要件の判定:配当額 800>税務上の配当可能利益 800(1,000-200)×90% ∴充足
(改正前は、配当可能利益が 1,000 と計算されたため、その 90%超を配当するためには、圧縮積立金 200 全額の積立
てができませんでした。)
経過措置
本改正は投資法人の 2013 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から適用されます。なお、本改正の施行日(2013 年 4
月 1 日)前に圧縮記帳を適用して積み立てた積立金については、「買換特例圧縮積立金」には該当しないこととなってい
ます。
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そのほかの導管性要件に係る改正
上記に加えて、投資信託及び投資法人に関する法律の改正に伴い、投資法人の導管性要件のうち、他の法人の発行
済株式または出資の総数または総額の 50%以上を有していないこととする要件から、投資法人が自らに代わって専ら国
外における不動産の取得等を行うことを目的とする一定の法人の株式を取得する場合を除外する改正が行われる予定
ですが、上記法律の改正に伴って行われることから、現時点では詳細を規定する省令は公表されていません。
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