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中央経済社 「税務弘報」 2011 年 9 月号掲載 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース

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中央経済社 「税務弘報」 2011 年 9 月号掲載 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
中央経済社 「税務弘報」 2011 年 9 月号掲載
「6 月 30 日公布政省令をフォロー!23 年度『分離』改正税法」
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
マネージングディレクター 公認会計士・税理士
荒井 優美子
はじめに
2011 年度の税制改正法案(以下,「改正法案」という)は,1月に国会に提出されたものの,3月の震災で審議が中断さ
れ,その一部が6月 30 日に公布・施行された(「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るた
めの所得税法等の一部を改正する法律」,以下,「改正法」という)。
改正法案のその他の項目,すなわち税制の抜本改革の一環をなす改正(法人実効税率の引下げと課税ベースの拡大)
や納税環境整備に係る改正は,「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を 図るための所得税法等の一部を改
正する法律案」として引き続き審議が行われる見込みである。本稿では改正法の概要を,(1)グループ法人税制及び組
織再編税制関連の改正,(2)政策税制関連の改正,(3)国際課税関連の改正,の項目に分けて概要の解説を行う(図表
1)。なお,金融証券税制関連の改正については紙幅の都合上,割愛する。
【図表1】改正法案と改正法の概要
(出所)財務省ホームページ
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1
I
グループ法人税制及び組織再編税制関連の改正
グループ法人税制は 2010 年度税制改正によって導入され,2010 年 10 月1日以後の取引等から適用されているが,今
般の改正ではグループ法人税制の取扱いについて一部見直しが行われている。さらに,組織再編税制関連の改正と新
会計基準の導入等に伴う改正も行われている。
1. 100%グループ内の清算予定法人等の評価損の損金不算入
100%のグループの子法人が清算した場合には,一定の要件のもと,株主である内国法人は,当該子法人の持分の割
合に応じて税務上の欠損金を引き継ぐこととされている(例えば,50%保有している場合には子法人の欠損金の 50%を
引き継ぐ)。そして,清算に伴う子会社株式の投資損失は株主である法人の損金に算入できないこととされているが,改
正法施行前(以下,「改正前」という)は子法人株式の評価損については損金算入が認められていたため,損金不算入と
される投資損失に代えて評価損を計上する,あるいは,評価損と欠損金を二重に取り込むことが想定された。
改正により,100%のグループの子法人が清算中であるとき,解散(合併による解散を除く)が見込まれるとき,又はその
100%グループ内で適格合併により解散することが見込まれるときは,当該子法人株式に係る評価損は損金不算入とする
こととされた(法法 33⑤,法令 68 の 3)(図表2)。解散が見込まれない場合又は非適格合併による解散の場合(欠損金
の引継ぎはない)には,従前どおり評価損の損金算入が認められる。
【図表2】 100%グループ内の清算予定法人等の評価損の損金不算入
また,連結納税開始時・加入時の時価評価(法令 122 の 12①五)や非適格株式交換・移転の場合の時価評価(法令
123 の 11①五)においても,時価評価対象法人の有する子法人株式に係る評価損を損金不算入とされる。
上記の改正は,2011 年6月 30 日以後に行う評価換え等について適用される(法附則 12,令附則 11,13)。
2. グループ法人税制の適用における中小企業特例についての見直し
2010 年度税制改正により,資本金5億円以上の(単一の)大法人に 100%支配される中小法人には下記の中小企業特
例は適用されなくなった。 改正により,2011 年4月1日以後に開始する事業年度(6月 30 日前に終了する事業年度を
除く)から,同一グループに属する複数の大法人に 100%支配されている場合も,中小企業特例の適用対象から除外さ
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2
れることとなった(法法 66⑥三,67,80①,81 の 12⑥,81 の 13,81 の 31①,143⑤三等,法附則 13,16,50,61,71,
76)(図表3)。
①
軽減税率
②
特定同族会社の特別税率(いわゆる留保金課税)の不適用
③
貸倒引当金の法定繰入率
④
交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
⑤
欠損金の繰戻しによる還付制度
【図表3】 グループ法人税制の適用における中小企業特例
3. 資本金等の額がマイナスの法人の解散と期限切れ欠損金
2010 年度税制改正で清算所得課税が廃止されたことを受け,清算法人で債務免除益が生じる場合には期限切れ欠損
金の損金算入が認められることとなった(図表4)。このような場合,清算法人では利益積立金がマイナスとなっていること
が一般的であるが,資本金等の額がマイナスである場合もあり得る。改正により,マイナスの資本金等の額を期限切れ欠
損金と同様に扱い,清算法人において債務免除益による課税が生じない措置が整備された(法法 59③,法令 118)。
上記の改正は,2011 年4月1日以後に開始する事業年度(6月 30 日前に終了する事業年度を除く)について適用され
る(法附則 10)。
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【図表4】清算法人における期限切れ欠損金の損金算入制度
4. 適格分割等の場合の欠損金等の制限に係る特例計算
支配関係のある法人間で適格組織再編が行われた場合には,支配関係の継続要件ないしはみなし共同事業要件を満
たさない場合には,欠損金等の繰越控除の制限を受ける。ただし,欠損金等を有する法人に含み益がある場合,又は
組織再編による移転資産に含み損がある場合等には,含み損益と欠損金等の金額に応じて,制限対象となる欠損金等
の額を限定できる特例が設けられている(確定申告書含み損益金額の明細(別表七(一)付表三,別表十四(五))を添
付することが要件となる)(図表5)。
【図表5】適格分割等により自己株式の移転を受けた場合の欠損金等の制限に係る特例計算
改正により,この特例のうち,事業を移転しない適格分割,適格現物出資又は適格現物分配(以下,「適格分割等」とい
う)により移転を受ける資産の中に,分割承継法人等(分割承継法人,被現物出資法人又は被現物分配法人)の自己株
式が含まれている場合には,移転資産から自己株式を除外して含み損益を算定することとされた(法令 113⑤一,123 の
9⑦一)。また,移転資産が分割承継法人等の自己株式のみである場合には,明細(別表七(一)付表三,別表十四(五))
の添付も不要とされる(法令 113⑥,123 の 9⑧)。
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上記取扱いは「平成 22 年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制その他の資本に関係する取引
等に係る税制関係)」において示されていたが,今般の改正により法令に明確化されたものである。
5. 外国法人が行う現物出資
外国法人が現物出資法人となる場合についても,当該現物出資が税制適格となる要件が規定されている。改正前は,
適格現物出資の場合でも,資産の簿価移転となるのは,国内に支店等を有する外国法人の場合であって,現物出資後
の事業継続要件並びに,現物出資対価として取得した株式の継続管理要件が課されていること,という限定が付されて
いた。それ以外の外国法人の現物出資は適格であるにもかかわらず,現物出資資産の含み損益が実現し,被現物出資
法人において欠損金等の損金算入制限が課されることの不具合が指摘されていた。
改正により,2011 年6月 30 日以後に行われる現物出資について,以下の見直しが行われた(法附則 11)。また,同日
前に行われた現物出資について同日以後に事業継続要件又は株式管理要件を満たさないこととなった場合についても,
取戻し課税を行わないこととしている(令附則 19)。
①
外国法人が内国法人に対して国外にある資産等の移転を行う現物出資は適格現物出資に該当しないこととする
(法法2十二の十四,法令4の3⑨)。
②
外国法人の日本支店等が内国法人に資産等の移転を行う適格現物出資に係る課税繰延べの要件について,事
業継続要件及び株式管理要件を廃止する(法令 188①十八,旧⑧)。
6. 新会計基準の導入等に伴う改正
(1)臨時償却制度の廃止等
企業会計基準 24 号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(過年度遡及会計基準)が,2011 年4月1日以
後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更等から適用され,固定資産の耐用年数を短縮した場合の臨
時償却制度が廃止されたことに伴い,税務上も以下の改正が行われた。
①
減価償却資産が技術革新等により著しく陳腐化した場合における陳腐化償却制度を廃止(旧法令 60 の 2)する。
②
耐用年数の短縮特例について,国税局長の承認を受けた未経過使用可能期間をもって耐用年数とみなすことに
より,その承認後は未経過使用期間で償却できる制度とする(法令 57,61)。
上記の改正は,2011 年4月1日以後開始事業年度において,2011 年6月 30 日以後に承認を受けた場合より適用され
る(令附則6)。新法施行前(4月1日以後)に申請を行っていた場合でも,6月 30 日以後に承認を受けた場合には新法
の適用となる。
(2)棚卸資産の評価についての切放し低価法の廃止
棚卸資産の評価について,2011 年4月1日以後に開始する事業年度(2011 年6月 30 日前に終了した事業年度は除く)
から切放し低価法が廃止された(法法 29,法令 28,令附則5)。なお,2011 年4月1日以後に開始し,6月 30 日以後最
初に終了する事業年度の直前の各事業年度末の評価額をもって取得価額とする経過措置が設けられている(令附則
5)。
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II 政策税制関連の改正
1. 国際戦略総合特別区域制度
(1)青色申告法人で総合特別区域法の指定法人に該当するものが,同法の施行の日から 2014 年3月 31 日までの間
に,国際戦略総合特別区域内において,特定機械装置等(機械装置については1台2千万円以上,建物等については
1億円以上に限る)の取得等をして,特定国際戦略事業の用に供した場合には,以下の選択適用が認められる(措法
42 の 11,68 の 15,措法附則1十一,52,66)。
①
取得価額の 50%(建物等については,25%)の特別償却
②
取得価額の 15%(建物等については8%)の税額控除(法人税額の 20%を限度とし,控除限度超過額は 1 年間の
繰越しが可能)
(2)青色申告法人で総合特別区域法の施行日から 2014 年3月 31 日までの間に指定特定事業法人に該当するもの
(下記2の認定研究開発事業法人等の課税の特例の適用を受けるものを除く)が,国際戦略総合特別区域内において
行われる認定総合特別区域計画に定められた一定の事業を行う場合には,指定日以後5年を経過する日までに終了す
る事業年度において,その事業に係る所得の金額の 20%を損金算入(所得控除)することが認められる(措法 60 の2,
68 の 63 の2,措法附則1十一,54,69)。
なお,上記(1)の特別償却又は特別税額控除制度の適用を受ける事業年度においては,(2)の特例は適用できない。
2. 認定研究開発事業法人等の課税の特例の創設
青色申告法人で「特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法」の施行日から 2014 年 3 月 31
日までの間に研究開発事業計画又は統括事業計画の認定を受けた認定研究開発事業者(以下,「認定研究開発事業
法人」という)又は認定統括事業者(以下,「認定統括事業法人」という)に該当するものは,その認定に係る研究開発事
業又は統括事業に係る所得について,これらの事業計画の認定の日以後 5 年を経過する日までに終了する事業年度
において,これらの事業に係る所得の金額の 20%を損金算入(所得控除)することが認められる(措法 60 の 3,68 の 63
の 3,措法附則1十,55,70)。
なお,認定研究開発事業法人にあっては試験研究費の特別税額控除制度又は上記1の特別償却若しくは特別税額控
除制度の適用を受ける事業年度に,認定統括事業法人にあっては上記1の特別償却又は特別税額控除制度の適用を
受ける事業年度においては,この特例は適用できない。
(1)雇用者の数が増加した場合の特別税額控除制度の創設
青色申告書法人が,2011 年4月1日から 2014 年3月 31 日までの間に開始する各事業年度において,以下の要件を満
たす場合には当該事業年度の法人税額から,増加した雇用保険一般被保険者の数(に 20 万円を乗じた金額(法人税
額の 10%(中小企業者等については 20%)を限度とする)を損金算入(所得控除)することが認められる(措法 42 の 12,
68 の 15 の2)。
①
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前期及び当期に事業者都合による離職者がいないことの証明がされていること
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②
基準雇用者数(当期末の雇用者数が前期末の雇用者数を超える人数)が5人以上(中小企業者等については,2
人以上)及び基準雇用者割合(基準雇用者数を前期末雇用者数で除した割合)が 10%以上であることにつき証明
がされたものであること
③
給与等支給額(当期の所得計算において損金算入される給与等)が比較給与等支給額(前期の給与等支給額 +
(前期の給与等支給額 × 基準雇用者割合 × 30%)以上であること
④
雇用保険法5条1項に規定する適用事業を行っていること
上記の改正は,2011 年4月1日以後に開始する事業年度(6月 30 日前に終了する事業年度を除く)から適用される(法
附則 50,67)。
(2)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度の創設
地球温暖化問題への対応とわが国の環境・エネルギー技術の開発のため,青色申告法人が 2011 年6月 30 日から
2014 年3月 31 日までの間にエネルギー環境負荷低減推進設備等の取得等をして,これを 1 年以内に国内にある事業
の用に供した場合には,取得価額の 30%の特別償却が認められる。中小企業者等については取得価額の7%の税額
控除(法人税額の 20%を限度とし,控除限度超過額は 1 年間の繰越し)との選択適用が可能とされる(措法 42 の5の2,
68 の 10 の2,法附則 51,65)。
(3)その他の政策税制の期限延長
租税特別措置法の以下の政策税制の適用期限が 2012 年3月 31 日まで延長された。
①
中小企業者等の法人税率の特例(措法 42 の3の2,68 の8)
②
試験研究を行った場合の特別税額控除の特例(措法 42 の4の2,68 の9の2)
③
エネルギー需給構造改革推進設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度における即時償却措置
(措法 42 の5,68 の 10)
④
事業基盤強化設備等を取得した場合等の特別償却又は特別税額控除(措法 42 の7,68 の 12)
Ⅲ 国際課税関連の改正
1. 外国税額控除制度に関連する改正
外国税額控除制度に関して以下の見直しが行われた。
(1)外国法人税の範囲
複数の税率の中から納税者と税務当局等との合意により税率が決定される税について,最も低い税率を上回る部分は,
外国税額控除制度及び外国子会社合算税制等の適用上,外国法人税に該当しないものとされる。
この改正は,2011 年6月 30 日以後に納付することとなる外国法人税について適用される(法令 141③,令附則 15)。
(2)租税条約関連の控除限度額の計算
控除限度額の計算において,租税条約の規定により条約相手国等において租税を課することができるとされる所得(租
税条約の規定において控除限度額の計算にあたって考慮しないものとされる所得を除く)で当該条約相手国等におい
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て外国法人税を課されるものは,国外所得に該当するものとされる(法令 142④三,155 の 28④三)。この結果,租税条
約の規定に基づいた課税にもかかわらず,二重課税が生じていた場合が救済されることとなる。
この改正は,2011 年4月1日以後に開始する事業年度から適用される(令附則2)。
2. 外国子会社合算税制に関連する改正
外国子会社合算税制について,以下の見直しが行われた(措法 66 の6,68 の 90,措令 39 の 14,39 の 15,39 の 17
の2,39 の 114,39 の 115,39 の 117 の2)。
(1)外国子会社合算税制における適用除外基準
外国子会社合算税制における適用除外基準(事業基準,実体基準,管理支配基準,所在地国基準あるいは非関連者
基準)に関して,株式等の保有を主たる事業とする統括会社については,事業基準以外の適用除外基準の判定を統括
事業により行うことが明確にされた。
(2)租税負担割合の計算
特定外国子会社等に該当するかどうかの判定における租税負担割合(いわゆるトリガー税率)の計算上,外国関係会社
の本店所在地国以外の国又は地域に所在する法人から受ける配当等が非課税所得の範囲から除外されるための持株
割合要件等が廃止された。これにより,外国関係会社が受けた配当については全額非課税の場合でも,租税負担割合
の計算上は非課税所得として扱われず,計算式の分母に含まれない扱いとなる(図表6)。
【図表6】 租税負担割合の計算における見直し
(3)適格現物分配
日本税法基準によって特定外国子会社等の合算対象とされる金額を計算する場合には,適格現物分配に係る課税繰
延べ規定の適用はないことが明確にされた。したがって,特定外国子会社が行った適格現物分配に係るキャピタルゲイ
ンは,合算対象とされる金額に含まれることとなる。
(4)その他
①
外国関係会社の所得の金額が零の場合のトリガー税率の判定は,外国法人税の表面税率により行うことが明確に
された。
②
適用除外要件を満たす特定外国子会社においても合算課税の対象となる資産性所得の基因となる株式等に係る
「保有割合 10%未満」の要件の判定時期は,配当等については当該配当等の効力が生ずる日,譲渡については
当該譲渡の直前であることが明確にされた。
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③
資産性所得に係る費用の計算について,次の見直しが行われた。
(i)
利子・配当等の額に対して課される外国源泉税の額は,資産性所得の金額の計算上控除できるよう計算方法
が見直された。
(ii)
債券の償還差益に係る資産性所得の費用の額を簡便法により計算する場合には,償還の直前の事業年度終
了の時(現行:償還の直前)の総資産の帳簿価額を用いることとされた。
(iii)
株式等及び債券の譲渡に係る資産性所得の金額の計算上控除する取得価額について,移動平均法等により
計算することが明確にされた。
(iv)
特許権等の使用料等に係る資産性所得の金額の計算上控除する特許権等に係る減価償却費は,継続適用を
要件として,日本税法基準又は現地税法基準のいずれかにより計算することが明確にされた。
④
資産性所得の合算課税制度における以下の現行の適用除外基準について,明確化が行われた。
(i)
資産性所得割合基準(当期純利益に占める資産性所得の合計額の割合が 5%以下である)
「当期純利益」には外国源泉税の額は含まれないことが明確にされた。
(ii)
収入金額基準(資産性所得の合計額に係る収入金額が 1,000 万円以下であること)
「収入金額」の定義に関して,償還差益に係る収入金額とは,償還金額ではなく償還差益であること等が明確にされた。
(5)コーポレート・インバージョン
特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例等(いわゆるコーポレート・インバージ
ョン)について,上記と同趣旨の改正が行われた(措法 66 の9の2,68 の 93 の2,措令 39 の 20 の6,39 の 120 の6)。
上記の改正は,内国法人の 2011 年4月1日以後に終了する事業年度において,特定外国子会社等の合算対象とされ
る金額(当該特定外国子会社等の 2010 年4月1日以後に開始する事業年度分に係る)につき合算課税を行う場合につ
いて適用される(措法附則 58,59,74,75)。ただし,上記(3)の改正は,特定外国子会社等の 2011 年6月 30 日以後に
行われる現物分配について適用される(措令附則 21②,30②)。
(6)移転価格税制に関連する改正
改正前の移転価格税制では,いわゆる基本三法(独立価格比準法(Comparable Uncontrolled Price Method),再販売
価格基準法(Resale Price Method),原価基準法(Cost Plus method)が適用できない場合に限り,基本三法に準ずる方
法又は政令で定める方法(取引単位営業利益法もしくは利益分割法)を用いることができると定められていた。OECD 移
転価格ガイドラインの改正を受けて,改正により,独立企業間価格の算定方法の適用優先順位を廃止し,独立企業間
価格の算定にあたっては最も適切な方法を選定することとされた(措法 66 の4,68 の 88,措令 39 の 12,39 の 112)。
上記の改正は 2011 年 10 月1日以後に開始する事業年度から適用される(措法附則1二,57,73)。
以上
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