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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド 2007年 10月 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Lotus テクニカル・セールス

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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド 2007年 10月 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Lotus テクニカル・セールス
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2007年 10月
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Lotus テクニカル・セールス
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
はじめに
本書は、Lotus Notes/Domino 8 に関する新機能に関する情報を提供するために作成された資料で
す。ユーザー、管理者、アプリケーション開発者の 3 つの視点から、主に 7 と比べて何が新しくな
り、改善されているかについて記述しています。
第 1 版 2007.7.2
V 1.0.0
第 1 版 2007.7.4
V 1.0.1
軽微な修正
第 2 版 2007.10.5
V 2.0.0
製品出荷に伴い改訂
第 2 版 2007.10.19
V 2.0.1
画像の差し替え
© Copyright International Business Machines Corporation 2006. All rights reserved.
© Copyright IBM Japan 2007
i
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
特記事項
• 本書は米国 IBM が提供する製品およびサービスについて作成したものです。本資料の著作権
は日本IBMにあります。
• 本資料の記載内容は、正式な日本IBMのテストやレビューを受けておりません。内容につい
て、できる限り正確を期すよう努めてはおりますが、いかなる明示または暗黙の保証も責任
も負いかねます。本資料の情報は、使用先の責任において使用されるべきものであること
を、あらかじめご了承ください。
• 掲載情報は不定期に変更されることもあります。他のメディア等に無断で転載する事はご遠
慮ください。
• この資料は単独ページでの配布、使用を禁止します。PDF全ページをセットで配布、ご利用
ください。
• 本書に記載の製品、サービス、または機能が日本においては提供されていない場合がありま
す。 日本で利用可能な製品、サービス、および機能については、日本 IBM の営業担当員に
お尋ねください。 本書で IBM 製品、プログラム、またはサービスに言及していても、その
IBM 製品、プログラム、またはサービスのみが使用可能であることを意味するものではあり
ません。 これらに代えて、IBM の知的所有権を侵害することのない、機能的に同等の製品、
プログラム、またはサービスを使用することができます。 ただし、IBM 以外の製品とプログ
ラムの操作またはサービスの評価および検証は、お客様の責任で行っていただきます。
• IBM は、本書に記載されている内容に関して特許権 ( 特許出願中のものを含む) を保有して
いる場合があります。 本書の提供は、お客様にこれらの特許権について実施権を許諾する
ことを意味するものではありません。 実施権についてのお問い合わせは、書面にて下記宛
先にお送りください。
〒106-8711 東京都港区六本木 3-2-12 IBM World Trade Asia Corporation Intellectual Property
Law & Licensing
• 以下の保証は、国または地域の法律に沿わない場合は、適用されません。 以下の保証は、
国または地域の法律に沿わない場合は、適用されません。IBM およびその直接または間接の
子会社は、本書を特定物として現存するままの状態で提供し、商品性の保証、特定目的適合
性の保証および法律上の瑕疵担保責任を含むすべての明示もしくは黙示の保証責任を負わな
いものとします。 国または地域によっては、法律の強行規定により、保証責任の制限が禁
じられる場合、強行規定の制限を受けるものとします。
• この情報には、技術的に不適切な記述や誤植を含む場合があります。 本書は定期的に見直
され、必要な変更は本書の次版に組み込まれます。 IBM は予告なしに、随時、この文書に記
載されている製品またはプログラムに対して、改良または変更を行うことがあります。
• 本書において IBM 以外の Web サイトに言及している場合がありますが、便宜のため記載し
ただけであり、決してそれらの Web サイトを推奨するものではありません。 それらの Web
サイトにある資料は、この IBM製品の資料の一部ではありません。それらの Web サイト
は、お客様の責任でご使用ください。
• IBM は、お客様が提供するいかなる情報も、お客様に対してなんら義務も負うことのない、
自ら適切と信ずる方法で、使用もしくは配布することができるものとします。
• IBM 以外の製品に関する情報は、その製品の供給者、出版物、もしくはその他の公に利用可
能なソースから入手したものです。 IBM は、それらの製品のテストは行っておりません。し
たがって、他社製品に関する実行性、互換性、またはその他の要求については確証できませ
ん。 IBM 以外の製品の性能に関する質問は、それらの製品の供給者にお願いします。
• 本書には、日常の業務処理で用いられるデータや報告書の例が含まれています。 より具体
ii
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
特記事項
性を与えるために、それらの例には、個人、企業、ブランド、あるいは製品などの名前が含
まれている場合があります。 これらの名称はすべて架空のものであり、名称や住所が類似
する企業が実在しているとしても、それは偶然にすぎません。
iii
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
著作権使用許諾 / 商標
著作権
本書には、さまざまなオペレーティング・プラットフォームでのプログラミング手法を例示するサ
ンプル・アプリケーション・プログラムがソース言語で掲載されています。 お客様は、サンプル・
プログラムが書かれているオペレーティング・プラットフォームのアプリケーション・プログラミ
ング・インターフェースに準拠したアプリケーション・プログラムの開発、使用、販売、配布を目
的として、いかなる形式においても、IBM に対価を支払うことなくこれを複製し、改変し、配布す
ることができます。 このサンプル・プログラムは、あらゆる条件下における完全なテストを経てい
ません。 従って IBM は、これらのサンプル・プログラムについて信頼性、利便性もしくは機能性
があることをほのめかしたり、保証することはできません。 お客様は、IBM のアプリケーション・
プログラミング・インターフェースに準拠したアプリケーション・プログラムの開発、使用、販
売、配布を目的として、いかなる形式においても、IBM に対価を支払うことなくこれを複製し、改
変し、配布することができます。
商標
以下は、米国内における IBM Corporation の商標です。
AIX 5L™
AIX®
DB2 Universal Database™
DB2®
developerWorks®
Lotus Domino Designer®
Lotus Domino®
IBM®
Lotus Enterprise Integrator®
Lotus Notes®
Lotus®
Lotus Notes®
Redbooks™
WebSphere®
Passport Advantage®
Sametime®
Tivoli®
Workplace Web Content Management™
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
iv
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
もくじ
1. 概要
1
2. ユーザー機能の変更点
3
2.1 概要
4
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
7
2.3 メール機能の強化
17
2.4 不在通知の強化
27
2.5 カレンダー機能の強化
29
2.6 連絡先機能の強化
34
2.7 IBM Productivity Tools (オフィス・アプリケーション機能)
39
2.8 サイド・バーのプラグイン・アプリケーション
43
2.9 インスタント・メッセージング機能
45
2.10 アクティビティー機能
47
2.11 Lotus Domino Web Access
55
2.12 Lotus Notes 8 クライアントBasic版について
57
3. 管理者向け機能
58
3.1 概要
59
3.2 メール機能の拡張
60
3.3 クライアント管理機能
66
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
73
3.5 改良された性能とパフォーマンス
80
3.6 ディレクトリー
85
3.7 セキュリティー
90
3.8 他のIBM製品との統合
93
96
4. アプリケーション開発者向け機能
4.1 Lotus Notes アプリケーション
97
4.2 コンポジット・アプリケーション
104
4.3 Web サービス・コンシューマー
115
4.4 Lotus Domino と DB2 の統合機能
119
Appendix
1: Lotus Notes 8 クライアント: 新機能の稼働条件
122
2: Lotus Domino 8 サーバー: 新機能の稼働条件
125
v
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
1. 概要
IBM Lotus Notes/Domino は、企業のコラボレーションプラットフォームとしてビジネスプロセスを
変革するうえで大きな役割を果たしてきました。Lotus Notes/Domino 8 では、お客様のこれまでの
投資の価値をさらに高めるべく、業務の効率性と価値を高める新しいアプローチを踏み出します。
この 1 章では、Lotus Notes/Domino 8 のハイライトの概要をご紹介いたします。ここでは、管理
者、開発者の視点からみた概要を記します。
メールとカレンダーへの新技術の導入
短時間で効率のよくメールの処理を行うことが、メール量の増大にともない重要な課題になりまし
た。スレッドの途中のメールを削除しても、メールのスレッドが切れずに表示する機能、スレッド
の含まれるメールをグループ化して表示する機能やスレッドをまとめて削除する機能、指定した
ユーザーとのこれまでのやりとりを一覧表示する機能など、操作性と生産性向上につながる技術を
実装しました。カレンダー機能では、より直感的に操作できるようユーザー・インターフェースを
大幅に改善しています。Lotus Domino Web Access においても、より Lotus Notes の機能や操作性に
近いものを実現できるよう改善されています。 詳細は、第 2 章を参照してください
オフィス・アプリケーションの提供
表計算、プレゼンテーション、ワード・プロセッサーの 3 種類のオフィス・アプリケーションが付
属しています。標準化された ODF 準拠のファイル形式の他、Microsoft Office 形式もサポートしてお
り、現在の高価なオフィス・アプリケーションの代替として利用できます。詳細は、第 2 章の 2-6
をご覧ください。
アクティビティー・セントリックの実現
一般的に業務は、細かなタスクの積み重ねの集合体です。その細かなタスクに関する情報は、メー
ルやインスタント・メッセージやファイルやメモ書きの形でバラバラに集まってきます。特にメー
ルは、受信ボックスに日付順で表示されるために、目的のメールを探すのすら時間を要することが
珍しくありません。別売りの Lotus Connections では、ファイルの種類やアプリケーションの種類を
問わず、タスクなどの 「アクティビティー」 毎に情報を集積し、共有する 「アクティビティー機
能」 を提供しており、Lotus Notes 8 から容易にアクセスできる機能を付加しました。詳細は、第 2
章の 2-10 をご覧ください。
サーバー機能および、クライアント管理機能、セキュリティーの強化
パフォーマンスを向上させる複数の機能、例えば、設計要素の圧縮や、簡易検索の禁止機能や、
ディスク I/O を削減する機能が搭載されました。管理面では、ポリシー設定の項目と柔軟性を高め
て、より安全にユーザーがクライアントを利用できるようになり、管理コストを下げることができ
ます。セキュリティー面では新しいアルゴリズムのサポートやキー強度の強化を図っており、より
安全に運用ができるようになりました。詳細は、第 3 章をご覧ください。
IBM および他社製品との統合、連携
NSF の代わりに DB2 をデータの格納先として利用する機能は、サポート範囲外の限定機能として 7
で提供されていましたが、8 ではサポートされた機能として全面的に利用が可能です。また、Lotus
Domino 8 には Tivoli Directory Integrator の限定使用権が付属され、Microsoft Active Directory との同
期が追加アプリケーションなしにできるようになりました。詳細は、第 3 章の 3-8 をご覧くださ
い。
1
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
1. 概要
オープンなプラットフォームへの移行による拡張性の提供
Lotus Notes 8 では、Eclipse RCP と呼ばれる標準化されたプラットフォームをベースにした Lotus
Expeditor 上で稼働するようになりました。これにより、NSF データベースのみにアクセスするスタ
イルの Lotus Notes 固有の世界を継続しつつ、Eclipse ベースのアプリケーションにもアクセスでき
るようになりました。アプリケーションの更新を含む配布やアクセス権などの集中管理が可能です
ので、統制のとれたアプリケーション環境を Lotus Notes と共に提供できます。Lotus Expeditor で
は、組み込みのブラウザー機能の他にポートレットや、JSP やサーブレットを利用できる Web コン
テナー、SWT ツールキットや AWT ツールキットのコンポーネントなどの技術を利用できます。詳
細は、第 4 章の 4-2 をご覧ください。
コンポジット・スタイルによるアプリケーション開発
急速に変化するビジネス環境では、アプリケーションの迅速な開発、更新が求められます。SOA の
思想に見られるように、機能別に部品化することは、その対応策のひとつとして有効です。Lotus
Notes 8 では NSF ベースのアプリケーションを部品化する機能を提供するとともに、組み合わせて
使う容易な方法を提供します。NSF 以外にも、Eclipse のコンポーネントを配布することもできま
す。さらに、Eclipse ベースのアプリケーションと NSF ベースのアプリケーションを接続して、連携
した動作を実現できます。ユーザーは、NSF のアプリケーションなのか、あるいは Eclipse ベースの
アプリケーションなのかを意識せず、一体化した利用が可能になります。Web 上に展開されている
サービスと NSF ベースのアプリケーションを組み合わせるなど、さまざまな可能性が拡がり、ニー
ズに応じた柔軟な応用が可能になります。詳細は、第 2 章の 2-8 および、第 4 章の 4-2 をご覧く
ださい。
まとめ
このように、Lotus Notes/Domino 8 は、従来の Lotus Notes/Domino として、その延長線上を進みな
がら発展しているだけではありません。今日私たちを取り巻くさまざまな変化、例えば、アプリ
ケーション開発手法やサービスの提供方法、クライアント環境などに対して、柔軟な対応が取れる
アーキテクチャーへ、Lotus Notes/Domino 8 で大幅に変化しました。
この判断の背景には、将来にわたって、お客様がご利用の Lotus Notes/Domino の、アプリケーショ
ンやソフトウェア・インフラストラクチャーといった資産を保護する基本的な考え方があります。
今後も安心して Lotus Notes/Domino をご利用いただけることをご理解いただけると幸いです。
2
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2. ユーザー機能の変更点
この章では、Lotus Notes 8 クライアントの新機能および機能改善点について、それらがどのように
ユーザーの生産性と効率性を高めることにつがなるかについて解説します。主な項目は以下の通り
です。
• ユーザー・インターフェースの改善
• メール機能の強化
• 不在通知機能の強化
• カレンダー機能の強化
• 連絡先機能の強化
• IBM Productivity Tools (オフィス・アプリケーション機能)
• サイド・バーのプラグイン・アプリケーション
• インスタント・メッセージング機能
• アクティビティー機能
• Lotus Domino Web Access
• Lotus Notes 8 クライアントBasic版について
3
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.1 概要
Lotus Notes 8 クライアントでは、これまで Lotus Notes クライアントをお使いのユーザーが違和感
を感じずに、スムーズに 8 へ移行でき、これまでよりも、より快適で機能的なユーザー・エクスペ
リエンスを体感できることをめざして設計しました。企業レベルの視点では、基本機能の拡張と、
新しく取り入れられた機能により、組織のコラボレーションの質を高め、生産性をあげることによ
り、意思決定のスピードと質を高めることを企図して、Lotus Notes/Domino 8 サーバーは設計され
ました。
Lotus Notes 8 クライアントのインターフェースは下図の通りです。ここで紹介する内容は、このあ
とのページで詳細を解説します。
図2-1 Lotus Notes クライアント・レイアウト (サイド・バーは非表示)
図 2-1 の説明は以下の通りです。
1. オープン・ボタン: Lotus Notes アプリケーションやファイルへのアクセスができます。詳細は、
「2.2.2 オープン・リスト」を参照ください。
2. ウィンドウ・タブ: Lotus Notes クライアントのウィンドウ間の切り替えを行います。詳細は、
「2.2.4
ウィンドウ管理と操作」を参照ください。
3. ビューの選択: アプリケーションのビューやフォルダーが選択できます。
4. ミニビュー: タスク、会議招集、フォローアップのビューの切り替えができます。
5. 検索センター: Lotus Notes の内外での検索機能を提供します。詳細は、
「2.2.9 検索センター」を
参照ください。
6. ツールバー: 状況に応じたアクションを実行できるボタンを提供します。詳細は、
「2.2.3 ツー
ルバー」を参照ください。
4
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.1 概要
7. アクション・バー: Lotus Notes アプリケーションのアクション。詳細は、
「2.3.1 アクション・
バー」を参照ください。
8. 表示切り替え (Show) メニュー: ビュー管理機能へのショートカットメニューです。詳細は、「2.3.2 表示切り替え
(Show) メニュー」を参照ください。
9. メールのスレッド表示: メールを階層構造を表示します。詳細は、「2.3.4 メールのスレッド表示機能」を参照く
ださい。
10. プリビューペイン: 選択された文書の内容を表示します。詳細は、「2.3.3 プリビュー画面の上下および左右配
置機能」を参照ください。
図2-2 Lotus Notes クライアント・レイアウト図 (サイド・バー表示)
図 2-2 の解説は以下の通りです。
11. オープン・リスト・メニュー: Lotus Notes アプリケーションの起動メニューです。IBM Productivity Tools、Web ブ
ラウザー、 WebSphere Portal アプリケーションなどがあります。後述の「2.2.2 オープン・リスト」を参照してくださ
い。
12. プリビュー・ペイン (縦割り表示): ビュー上で選択された文書が表示されます。詳細は、「2.3.3 プリビュー画面
の上下および左右配置機能」を参照してください。
13. サイド・バー: 付属しているプラグイン、またはサードパーティーのプラグインです。詳細は、「2.8 サイド・バー
のプラグイン・アプリケーション」を参照してください。
以上の機能に加えて、次の新機能や機能拡張があります。
メールの新機能として、
「即時スペル・チェック機能 (inline spell checking)」や「メールの取り消し
機能 (mail recall)」
、
「インテリジェント・アドレス指定機能」があります。また、機能拡張として
5
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.1 概要
「不在通知」
、
「メール・スレッド」があります。詳細は、
「2.3 メール」を参照ください。
カレンダービューで終日イベントと未処理の会議招集の適切な表示や操作など管理ができるように
なりました。詳細は、
「2.5 カレンダー機能の強化」を参照してください。
連絡先 (Contacts) の機能拡張として、名刺を並べた形式のビュー表示や、最近に連絡をとった人の
情報を自動的に登録する機能が追加されました。詳細は、
「2.6 連絡先 (Contacts)」を参照してくだ
さい。
オープン・スタンダードのファイル形式をサポートしている表計算、ワードプロセッサー・プレゼ
ンテーションの各ツールが付属しており、追加料金なしで利用できます。このツールはお客様の企
業に対して、独占的で高価なオフィス製品の代替手段を提供します。詳細は、
「2.7 IBM Productivity
Tools」を参照してください。
右側のサイド・バーでは、便利なツールを利用できます。例えば、インスタント・メッセージの連
絡先や、当日の予定、RSS リーダーなどです。詳細は、
「2.8 サイド・バーのプラグイン・アプリ
ケーション」
、
「2.9 インスタント・メッセージング機能」を参照してください。
Lotus Notes 8 クライアントでは、他のアプリケーションと容易に連携できるアクティビティー機能
を提供しており、ユーザーの生産性向上を支援します。アクティビティー機能は、非定型業務を受
信ボックスから切り出して、チーム・メンバーと共有する機能を提供します。プロジェクトに関係
する資料などを、整理し、利用、共有できるようになります。これにより、チーム・メンバーは自
分やメンバーが、再利用できる資料などを簡単に残せるようになります。詳細は、
「2.10 アクティ
ビティー機能」を参照してください。
Lotus Notes/Domino では、継続的に複数の OS のサポートを実施してきました。今後もこれを継続
していきますので、これまでの IT 投資は無駄にはなることはありません。Lotus Notes 8 クライア
ントは一般的に使用されている Microsoft Windows と Linux 上で動きます。加えて、Macintosh も
サポートされる予定です。Lotus Notes/Domino 8 の動作環境の詳細については、Lotus Notes/Domino
8 リリース情報を参照してください。
6
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
2.2.1 ウェルカム・ページ
デフォルトのウェルカム・ページが一新され、主要な機能にすぐアクセスできるように、分かりやす
いようにデザインになりました。これを Lotus Notes 8 クライアントでは「ホームページ」と呼ぶよ
うになりました。Lotus Notes 8 クライアントでは、IBM Productivity Tools へのリンクもメニューに
入るようになり、オフィス・アプリケーションもすぐに利用できるようになっています。従来と同
様に、このページを他のレイアウトやデザインにカスタマイズすることも可能です。以前のバー
ジョンから Lotus Notes 8 クライアントにバージョンアップした場合は、従来利用していたウェルカ
ム・ページが開きます。
図2-3 デフォルトのホームページ
2.2.2 オープン・リスト
新しく、ウィンドウ左上の「オープン・リスト」から、使いたい Lotus
Notes アプリケーションなどを選択できるようになりました。以前のバー
ジョンから Lotus Notes 8 クライアントにバージョンアップされた場合は、
従来利用されていたブックマークが、オープン・リストに移行されます。
オープン・リストには、IBM Productivity Tools へのリンクも入っており、
Web ブラウザーを開くことも可能です。また、オープン・リストの中の検
索もできます。検索フィールドにテキストを入力すると、そのテキストを
含む項目だけが、オープン・リストに表示されます。あやふやな記憶で
も、データベース名の一部を手がかりに、素早く目的のデータベースを探
し出せます。ワークスペースの中からデータベースを探すのに時間がかか
る問題も解決できます。
図2-4 オープン・リス
ト・メニュー
7
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
図2-5 オープン・リストの検索
オープン・リストからは、ブックマークにエントリーがないデータベースを開けませんが、従来通
り、
「ファイル」メニューからデータベースを開くメニューが用意されています。従来は、
「ファイ
ル」→「データベース」というメニュー項目の名称でしたが、
「ファイル」→「アプリケーション」
へ名称変更されています。これは、Lotus Notes 8 クライアントがさまざまなアプリケーションを利
用でき、Lotus Notes データベース (NSF) に限定されなくなったことを意味しています。
図2-6 ファイル・メニュー
2.2.3 ツール・バー
ツールバーがそれぞれのタブの中に表示されるようになりました。ツールバーはこれまでメニュー
の下にありましたが、一段下側に移動し操作画面に近くしたことで、よりスムーズに処理が行える
ようになりました。
図2-7 ツールバー
8
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
2.2.4 文書タブのグループ化
Lotus Notes 8 クライアントでは、開いているウィンドウの管理、ビューや文書、ページを簡単に処
理できるようになりました。
Lotus Notes 7 クライアントと同様に、デフォルトの設定では、それぞれの Lotus Notes クライアン
トのウィンドウはそれぞれタブで開かれます。しかし、Lotus Notes 8 クライアントでは、タブをグ
ループ化する設定ができるようになりました。これによって、同じデータベースから複数の文書を
開いている際に、ひとつのタブにまとめることができます。Microsoft Windows XP のタスクバー
で、同一アプリケーションで開いたウィンドウがグループ化されるのと同様の動作です。
タブの右に表示される矢印をクリックすると、開かれているウィンドウのリストがドロップダウン・
リストとして表示されます。ウィンドウ・タイトルを全て一度に確認でき、素早く移動できます。一
覧の左側にチェックが入っているものは、ビューやフォルダーを示しています。このチェック印を
目印に、文書一覧へ素早く移動できます。また、右クリックで全てのウィンドウをまとめて閉じる
こともできます。
図2-8 タブでの文書のグループ化
また、開いた文書をそれぞれ別のウィンドウとして、つまり MDI (Multi Document Interface) 形式で
開くことも可能です。Alt + Tab を使ってウィンドウを移動する操作を好むユーザーに適していま
す。Lotus Notes 6 や 7 のクライアントでも別ウィンドウで開くことは可能でしたが、同一ウィン
ドウ内で一旦開いたものを更に操作して別ウィンドウとして開く手順が必要でした。今回は、文書
を開いた時のデフォルトの振る舞いを設定できますので、個人の好みに柔軟に対応できるようにな
りました。
9
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
図2-9 新ウィンドウでの文書のオープン
2.2.5 サムネイル
オープン・リストの右側のアイコンをクリックすると、現在開かれているウィンドウを一覧表示す
る「サムネイル」画面が表示されます。
図2-10 サムネイル・アイコン
サムネイル画面から、切り替えたい画面をクリックすると、すぐにその画面へ移動できます。ま
た、画面上部の検索フィルターにテキストを入力すると、そのテキストを含むウィンドウのみが表
示されますので、ウィンドウの数が多くても、素早く絞り込みができます。
10
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
図2-11 サムネイル表示
2.2.6 Lotus Notes クライアント以外の機能と統合化されたプリファ
レンス設定
Lotus Notes 8 クライアントは、拡張可能な Eclipse RCP ベースのアプリケーションです。そのた
め、拡張された機能に関するプリファレンス設定は、個別に設定画面を用意して個別に設定を行う
ことよりも、統合的に設定できるほうが望ましいと考えました。そのため、Lotus Notes 8 クライア
ントでは、各種プリファレンスやロケーションや、インスタント・メッセージ、アクティビティー、
やプロダクティビティー・ツールが、
「ファイル」 → 「プリファレンス」 メニューをひとつにまと
められました。
その結果、設定項目数が、従来の Lotus Notes クライアント単体のプリファレンス設定画面より大幅
に増えて、探しにくい可能性がでてきました。この問題を解決するため、画面上部に検索用のフィ
ルター・フィールドを用意しました。これにより、フィルタリングをかけて表示項目を絞り込ん
で、すぐに目的の設定項目を探せるようにしています。
また、従来のメール/カレンダーのプリファレンス設定やロケーション文書の設定は、この統一され
たプリファレンス設定画面で従来通り設定できます。
11
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
図2-12 統合化されたプリファレンス・メニュー
図2-13 プリファレンス・メニューでのフィルター機能
2.2.7 拡張メニュー・オプション
製品の機能が増加するにしたがってメニューの項目が増加して、通常の操作の範囲では使わないメ
ニュー項目も次第に増えてきました。特に初心者にとっては、操作を惑わせる要因となっていまし
た。そのため、Lotus Notes 8 クライアントのメニューを簡素化するために、通常は不要と思われる
メニュー項目を非表示にする、
「拡張メニュー・オプション」を備えました。導入時には、拡張メ
ニュー・オプションは選択されていませんので、従来通り全てのメニューが表示されています。
図2-14 拡張メニューの表示設定
12
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
次の画面は、拡張メニュー・オプションを選択した場合とそうでない場合のツール・メニューを比較
したものです。
図2-15 拡張メニューのオプションを有効にした場合と無効にした場合の比較
2.2.8 オフラインでのアプリケーション利用
Lotus Notes クライアントは、複製機能を使ってデータベースのレプリカをローカルに置いて、オフ
ラインでもメールやアプリケーションが使えることが大きな特長のひとつです。その仕組みと利用
方法を一度理解すると、あまり困難を感じずに利用できますが、より気軽に使えるように Lotus
Notes 8 クライアントでは改良を加えています。
複製をローカルに作成する場合、これまではメニューの「ファイル」 → 「複製」 → 「」レプリ
カの作成」を選択するなどの操作を行っていました。Lotus Notes 8 クライアントでは、ブックマー
クバーで右クリックを行った際に、
「オフラインでも利用可能にする (Make Available Offline) 」とい
う、これまでも機能の内容がより分かりやすくなる表現のメニューが表示されるようになりまし
た。
さらに、その操作で表示される設定用のダイアログボックスの内容は、可能な限りの簡素化を図
り、必要最低限の設定内容をひとつのダイアログボックスにまとめました。また、分かりやすい表
現を用いることで、初心者であっても利用しやすいように改善しました。
13
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
図2-16 オフラインでのアプリケーション利用の有効化
2.2.9 検索センター (Search Center)
Lotus Notes 8 クライアントでは、メール、カレンダー、アドレス帳、カタログ、Web までも検索で
きるよう、機能改善が図られました。Yahoo! や、Google などの検索オプションもあります。これを
使うと、これらの検索エンジンを使って、入力されたテキストについて検索されます。Google Desktop Search がワークステーションにインストールされている場合には、それを利用するように設定
することもできます。
図2-17 検索センター
2.2.10 ヘルプ
Lotus Notes 8 クライアントでは画面右側の領域に、コンテキストに対応したヘルプを表示できるよ
うになりました。この領域には、Lotus Notes 8 クライアント・ヘルプに加えて、このヘルプには、
Lotus Sametime、アクティビティー機能、コンポジット・アプリケーション・エディター、IBM Productivity Tools など、Lotus Notes 8 クライアントのインストール時に一緒にインストールされたも
のについてのヘルプも含まれています。
14
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
従来のヘルプ画面は、作業している画面に重なる形で別ウィンドウが開き、表示されていました。
Lotus Notes 8 クライアントではこれと異なり、作業している画面と重ならなず、画面右側の領域に
表示されます (図 2-18) 。 このため、ヘルプに記載された手順を横に表示して、それを参照しなが
ら作業を行えます。
図2-18 コンテキスト・センシティブ・ヘルプ (画面右側)
2.2.11 IBM サポート・アシスタント
Lotus Notes 8 クライアントのヘルプ・メニューで、ヘルプ → サポート → IBM Support Assistant
を選択することで、IBM サポート・アシスタントにアクセスできるようになりました。
IBM サポート・アシスタントとは無償で提供されるソフトウェア・アプリケーションで、電話などを
使って IBM に問い合わせをせずとも、お客様が自ら、製品について調べられるものです。IBM に連
絡する必要がある場合は、プログラム・レポートと、分析データを即座に IBM に送ることができる
ようになっています。状況に応じてツールを使い分けることで、IBM 製品をより効率よく使ってい
ただくための機能として追加しました。詳細は、Lotus Notes 8 クライアントのヘルプまたは、以下
の Web サイトを参照してください。なお、この IBM サポート・アシスタント機能は、日本国内で
は`ご利用できませんので、予めご了承ください。
http://www.ibm.com/software/support/isa/ (英語)
15
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.2 ユーザー・インターフェースの改善
図2-19 IBM Support Assistant Welcomeページ
16
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
2.3.1アクションバー関連
フーバーヘルプ機能
Lotus Notes 8 クライアントでは、マウスをアイコン上に停止させると、そのアイコンの意味を表示
するフーバーヘルプ機能を取り入れました。アイコンのみで機能を理解できる慣れたユーザーには
操作面でメリットがありますが、初心者には戸惑いを引き起こす原因ともなります。Lotus Notes 7
においてもアイコンのみを表示させることは可能でしたが、ユーザーがそのアイコンの意味を理解
できない場合の回避策がありませんでした。今回の改善により、特に初心者に対する利便性が向上
しました。
図2-20 フーバーヘルプ付きのアクションバーのアイコン
アクション・ボタンのグループ化と利便性の確保
アクション・ボタン機能には、複数のアクションをまとめて実装する機能が従来のバージョンから
ありましたが、Lotus Notes 8 クライアントではこれに加えて、グループ化したアクション・ボタン
であっても、割り当てた複数のアクションの中からひとつだけはワン・クリックで実行できるよう
になりました。これにより、グループ化による単位面積あたりの多機能化と、操作の快適さの双方
を両立しています。
例えば、ユーザーがメール・ファイルを操作している場合、
「新規作成」のボタンに期待する実行内
容は多くの場合、新しいメールの作成です。新規作成以外の操作を行う場合には、
「新規作成」アイ
コンの横にある▼をクリックするとドロップダウンリストが表示され、新しいカレンダー文書の作
成やタスク文書の作成が可能です。これまでは、いずれの場合でも一旦ドロップダウンリストを開
いて希望するものを選択する必要がありました。
また、
「返信」と「全員へ返信」もシングル・クリックで動作します。シングル・クリックのアク
ションには、メールの履歴を含む返信形式が割り当てられています。
図2-21 1クリック・アクション、2 クリックアクションのボタン
2.3.2 表示切り替えメニュー
Lotus Notes 8 クライアントでは、メールおよびカレンダ-ビューの右上部に表示切り替えメニューが
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
実装されました。これは、頻繁に使用するビュー関連のオプション機能を素早く切り替えるための
もので、以下の場所に加えられました。たとえば、
「未読文書のみ 」を選択して、ビュー上に未読
メールのみを表示させることや、
「プリビューを非表示」でプレビュー画面の表示/非表示切り替え
ることが可能です。このメニュー内の各種機能については、後述します。
図2-22 表示切り替えメニュー
2.3.3 ビュー/プリビュー画面の上下および左右配置機能
Lotus Notes 8 クライアントでは、従来のプレビュー画面をビュー下部に表示するに形式に加えて、
下記の図のように画面を縦に割り、右側にプレビュー画面を表示させる形式が追加されました。個
人の好み、画面の大きさ、メールの長さなどに応じて使い分けられます。プレビューの上下/左右の
配置設定およびプレビューの表示/非表示の設定オプションはページの右上隅の "Show" メニュー上
で選択可能です。
新たに加わった縦割りのプレビュー画面を標準的な解像度のディスプレーで表示した場合、プリ
ビュー領域が縦に細長くなる場合が殆どです。その結果、送信者や日付部分の列が狭くなり、折り
返し回数が増えるためにプレビュー表示画面でメールのヘッダー部分が縦に長くなることが懸念さ
れます。Lotus Notes 8 クライアントでは自動的に列幅などのフォーマットを調整する機能が組み込
まれており、適切な幅で表示され、表示される情報が隠れるなどして、内容が損なわれないように
設計されています。
図2-23 縦型のプレビュー
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
2.3.4 メールのスレッド表示機能
Lotus Notes 8 クライアントでは、受信ボックスの一覧表示画面でメール・スレッドを表示して、
メールの履歴を確認ができるようにしました。従来のバージョンではスレッド表示用のビューを使
うことでスレッド表示が可能でしたが、8 では通常よく使われる受信ボックスで利用できるように
なりました。
この機能を導入した背景には、従来のスレッド表示ビューでは使いにくい問題がありました。従来
のスレッド表示ビューでは、スレッドの起点であるメールが親文書として扱われ、そこを起点とす
るメールの履歴は返答文書の形式でスレッドを構成していました。ビューのソートには親文書の送
信日時が使われているために、たった今受信したメールをスレッド形式で見るために、受信ボック
スからスレッドビューに切り替えると、そのメールはビュー上の末尾に必ずしも存在せず、殆どの
場合ビューの途中にあることが殆どであり、該当するスレッドを見つけにくい難点がありました。
この問題は、フォームに備わっているスレッド表示機能利用すれば従来のバージョンでも解決可能
ですが、8 ではメールを開くことなく、受信ボックス上で確認できるようにして、操作性の快適さ
を向上させています。
この機能は、Lotus Notes 8 クライアントの受信ボックスおよび、受信ボックスの設計を基本にした
フォルダーで利用できます。メール・スレッドの表示方法には基本形式と拡張した形式の 2 種類が
あり、それぞれ 「フラット表示モード」と、
「会話モード」と呼び、好みにより表示オプションで
切り替えることができます。
フラット表示モード (標準のスレッド表示機能)
受信ボックスでは下図のように、ビュー上の文書を選択すると、そのメールに関連づけられている
スレッドの有無が件名左側の三角マークで示されます。この表示によりそのメールがメール・ス
レッドの一部であることがわかります。
図2-24 メールに三角アイコンが表示され、スレッドの一部であることを示した状態
件名左側の三角マークをクリックすると、下記の図のように一連のメールのやり取りをすべて
ビュー表示し、選択したメールは灰色にハイライトされています。スレッド内でそのメールより前
の他のメールも参照できます。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
図2-25 スレッドを展開したところ
メールの返信では、件名の前に単に「Re: 」がついただけの、もとのメールとほぼ同じ件名がよく
使われます。この機能では、スレッド表示部分に件名ではなく本文の一行目が表示されていますの
で、メールの概要をより把握しやすくするようにしています。この機能により、必要とするメール
を特定するのが、より簡単になります。
このスレッド表示機能を利用して、スレッドの他のメールを参照できるのはもちろんのこと、ス
レッド途中の不要なメールの特定が容易になり、メールの整理に要する工数を削減できます。この
機能では、そのメールに関連しているものは、メールデータベースのどこにあっても表示されま
す。たとえば、フォルダーに移動したメールや返信したメールなどです。通常、受信ボックスには
フォルダーに移動したメールや、返信した「送信」メールは表示されません。受信ボックスのメー
ルは削除して掃除しても、フォルダーに移動し他メールや送信済みのメールは取り残されてゴミに
なりがちですが、このスレッド機能を使うことで忘れずにまとめて掃除もできます。
この機能は柔軟に設計されており、メール・スレッドの途中にあるメールを削除しても、その返答
メールはスレッド内に留まって表示されます。例えば、不要なメールを削除したとしても、その後
に続くスレッドも、削除前の同一スレッドとして表示されますので、スレッド切れの心配をせず安
心して、必要なら即座にメールを削除できます。返答形式を持つ Lotus Notes のビューでは、途中の
メール (文書) が削除さえると、それ以降のメールは別のスレッドとして分断されてビューに表示さ
れます。そのため、従来のスレッド表示ビューは使いにくい性質がありました。
また、この機能では Lotus Notes 以外のメールシステムからのメールもスレッドに含むことができま
す。すなわち、社の内外を問わず、すべてのメールのスレッド表示が可能です。
会話モード
会話モードは、上記の標準的なスレッド機能に加えて、受信ボックスに表示されるメールエント
リーを「まとめる」機能を持ったものです。会話モードでは、スレッド表示はできますが、受信
ボックスにはそのスレッドに属するメールが散在して表示されています。これに対して、会話モー
ドでは、スレッドの最終(最新の)エントリーを受信ボックス上に残して、それ以外のメールは表示し
ないようになります。
例えば、一時間席を離れている間に同一スレッドで 10 件のやりとりがあったとします。フラット
表示モードではこれら 10 件はすべて受信ボックスに表示されています。それぞれにフォーカスを
当てると前述の▲印が表示され、スレッドを見ることができます。会話モードでは最後の 1 件のみ
が表示されます。▲印の表示とスレッド表示機能は同様です。
会話モードの特長は 1 画面あたりのメール表示数が増加することにあります。メール数が増えてい
る今日、1 画面には極めて限られた時間幅のメールしか表示されず、スクロールを繰り返すことを
余儀なくされています。会話モードでは限られた画面を効率よく使うことができます。その反面、
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
メールの総数は数字で示されるため、メール数の実感を掴みにくいと感じられることがあります。
図2-26 会話モードのビューでの表示
このモードでは図のようにメールの右端には何通のメールがスレッド上に存在するかその数を表示
します。また、会話モードでは、メール・スレッド内のすべてのメールについて、一括してフォル
ダーへのメールの移動や削除といった動作を実行できますので効率よくメールを整理できます。便
利な反面、誤操作時の影響が大きいため、誤って削除するのを防止するため下記の図のようなダイ
アログボックスが開いて注意喚起が促されます。
図2-27 削除確認のメッセージ・ボックス
2.3.5 メール・ヘッダーの改善
Lotus Notes 8 クライアントでは、ヘッダーに表示する情報を取捨選択して表示し、各自が使いやす
くできるように改良されています。下図の例は、メール・ヘッダーに表示できるすべての項目を有
効化した状態です。
図2-28 全ての情報を表示させたメール・ヘッダー
メールの作成時に、もしユーザーがデフォルトでは必要のないオプションがあると考えた場合に
は、下記の図のように、
「表示」 のアクション・ボタンを押し、表示内容を制御できます。To、
Cc、Subject は必ず表示されますが、それら以外のすべての項目は隠すことができます。
図2-29 表示する情報を絞った場合のメール・ヘッダー
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
さらに、Lotus Notes 8 クライアントでは新たなメールオプションとして、件名に 「*機密情報」 を
加える機能を追加しました。下記の図にあるように、ユーザーが 「件名に機密情報の表示を付加」
チェックボックスを選択すると、 「*機密情報」というテキストを、ユーザーが入力した件名の前に
挿入してメールを送信します。受け取ったユーザーは、機密のメールであることを簡単に認識でき
ます。
図2-30 機密情報の表示オプションを有効にしたところ
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
Lotus Notes 8 クライアントのメール・フォームには宛先を一覧できる機能が付加されました。(図 230a)
Lotus Notes 6 からメールのフォームの設計変更により、宛先が多く入っている場合でも表示領域は
固定されたままになりました。200 名の宛先が設定されている場合には、メールを開いてもアドレ
スの羅列ばかりでスクロールしないと本文が見えない問題は、この設計変更で回避されました。し
かし今度は逆に、最大 3 行の宛先の固定枠内でスクロールをしないと、誰に送られてるのかを把握
するのが難しくなりました。
今回追加された機能により、1 クリックだけで、ソートされた宛先一覧を見やすい形で閲覧できる
ようになりました。
図2-30a 宛先のソート済み一覧表示機能
2.3.6 アドレス指定機能
Lotus Notes の以前のバージョンでも利用可能だったメール・アドレスの "Type-a-head" (クイック検
索) 機能 (前方一致による宛先候補表示機能) では、よくやりとりをしているユーザーのみを候補に
表示し、ユーザーが素早く指定できるよう、改良が加えられています。
Lotus Notes 7 までは、ユーザーが宛先入力部分に文字を入力するたびに、ユーザーの入力したテキ
ストに合致する名前がディレクトリーを参照して補完され、矢印キーでアルファベット順で、前後
の候補を探すことができました (ロケーション文書の設定によっては動作が異なります) 。
Lotus Notes 8 クライアントでも、文字を入力すると前方一致に該当するユーザーが下図のようにド
ロップダウンリストで表示されますが、リストの内容およびソート順は、これまでのメールの送受
信で使用された宛先などの利用実績と利用頻度にしたがって順に表示され、アルファベット順では
ありません。希望するユーザーが見つかったならば、その候補をクリックして選択します。宛先を
すべて入力する必要はありません。
この機能により、同姓同名のユーザーが似通ったアドレスになっているために起こる「宛先間違
い」を防ぐことができますので、情報管理やセキュリティーの観点からも有用です。
この機能により、これまで利用したことのないユーザーなどの場合には、逆にリストに表示されな
くなります。しかし、ドロップダウンリストの末尾にあるディレクトリーの検索オプションで検索
もできます。数文字入力して、検索オプションを押下すると、候補一覧が表示されます。メールの
やりとりにおける宛先は大抵の場合、過去にやりとりしたユーザーに限定されている傾向があるこ
とから、総合的に利便性が高まります。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
図2-31 宛先候補が表示されたところ
2.3.7 複数回のアンドゥ機能
複数回のアンドゥ機能により、Lotus Notes 8 クライアントでは、テキスト入力の編集作業について
直近の 50 の処理を取り消すことができます。この機能はメール・ファイルだけではなく、Lotus
Notes 8 クライアントが扱うすべてのテキスト・フィールドにおいて機能します。
2.3.8 即時スペル・チェック機能
従来スペル・チェックはメニューから機能を呼び出して、文書全体あるいは選択した部分を一括し
て行っていました。Lotus Notes 8 クライアントにはインラインのスペル・チェックを有効にするオ
プションが用意されていて、即座にミススペルを認識できます。例えば、ユーザーがリッチ・テキ
ストフィールドに単語を入力している途中で、単語の下に赤い線が表示される場合があります。こ
れは、単語が誤ってつづられた場合か、あるいは辞書上に該当の単語に存在していないことを示し
ています。
図2-32 プリファレンス設定画面
ユーザーがご入力候補の単語を右クリックすると、リストは正しいスペル候補の単語をリスト表示
します。ユーザーは、下記の図のように画面上で正しい単語の候補を選択するか、単語登録を行う
ことができます。この機能はメール・ファイルだけではなく、Lotus Notes 8 クライアントが扱うす
べてのテキストフィールドにおいて有効です。この機能は、プリファレンス画面で有効化、無効化
を任意に設定できます。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
図2-33 下線で表示された箇所で右クリックしたところ
2.3.9 文書の選択機能の改善
Lotus Notes 8 クライアントは Windows 版、Macintosh 版、Linux 版での出荷を予定しますが、そ
れぞれの OS に依存しない共通のキーボード・ショートカットやマウス・クリックによるショート
カットでの機能実行を実現しています。
たとえば、コントロールキーとマウス・クリックの組み合わせで下記の図のようにビュー画面上で
の隣接していない複数のエントリーを指定できるようにしています。この機能は連絡先 (Contacts)
アプリケーションやカレンダーのリストビューにおいても有効です。
図2-34 複数文書を選択したところ
2.3.10 最近使用した連絡先の履歴参照機能 (コラボレーション履歴)
ユーザーは情報を検索しているとき、どのツール (インスタント・メッセージのツールやメールな
ど) を使ってやりとりしていたかより、誰と一緒に作業していたかをより覚えていることが多々あり
ます。Lotus Notes 8 クライアントでは、以前に誰とコラボレーションしていたかを名前フィールド
を右クリックして、以前のやりとりをリスト表示できる機能を追加しました。
これらに表示されるコラボレーションは、受信ボックスからのメールや、カレンダー上での会議、
履歴保存されているインスタント・メッセージ、およびサイド・バー上に表示されているアクティ
ビティーがその対象です。これらはすべて下図のように "最近使用した連絡先" として表示されま
す。
ユーザーはこの画面上から直接、項目を選択してメール・ファイルの該当メールやカレンダー文
書、インスタント・メッセージの履歴、アクティビティーのリストを表示できます。
溢れるメールの中から必要とする以前のメールを見つけ出すのは時間を要することがありますが、
人を頼りに探すことが簡単にできます。また、以前の記録を簡単に見ることで、作業の効率化につ
なげることができます。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.3 メール機能の強化
図2-35 最近使用した連絡先一覧
2.3.11 送信済みメールの回収機能
メール・アドレスを間違って指定して送信したり、すべての必要な情報を書き終わる前に誤って
メールを送信してしまったりした時のために、Lotus Notes 8 クライアントでは他の Lotus Notes
ユーザーに送られたメールを回収する機能を実装しています。この機能は、サーバー管理者が Lotus Domino サーバー上でこの機能を有効にした場合のみ使用できます。この機能は下図で示される
ようにメール・フォルダーの送信ビューから利用可能です。
メールを取り消すためには、送信したメールが送信者側に存在している必要があります。これは受
信者側のメールデータベースの中から取り消すべきメールを特定するのに必要なためです。送信側
でメールが保存されていない場合には、この取り消し機能は実行できません。
送信済みメールを取り消す場合、ユーザーは送信ビュー上の対象のメールを選択して、
「送信済み
メールの回収」を実行します。
図2-36 メールの取り消しアクション
「送信済みメールの回収」ウィンドウが開いて、ユーザーはメールの取り消し対象の受信者を選択
します。下図を参照してください。同時に、ユーザーはそのメールが既読であってもメールを取り
消したいかどうかを選択できます。
既読メールの取り消し機能は、ポリシーの設定で既読メールの取り消し設定が有効になっている場
合に選択可能です。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.4 不在通知の強化
図2-37 メールの取り消し画面
取り消したメールの受信者ごとの「取り消しステータス報告 (Recall Status Report)」を受信するた
めオプションを選択すると、ユーザーは下図のようなレポートを受信します。
図2-38 取り消しステータス報告 (Recall Status Report)
メールの取り消し機能の運用にあたっては十分な検討が必要です。インターネットメールには対応
できない制限や、既読メールの取り消しのポリシー設定からくる制限などをユーザー熟知していな
い場合には、ユーザーが混乱する可能性があります。また、情報管理など社内規定との整合性とも
照らし合わせる必要があります。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.4 不在通知の強化
2.4.1 不在通知の改良点
Lotus Notes/Domino 8 では、不在通知機能がパフォーマンスと使いやすさの両面で改善されまし
た。パフォーマンスについての詳細は、
「3.2.2 不在通知機能の拡張について」を参照してくださ
い。
クライアントのユーザー・インターフェースの統一性から、不在通知設定画面の見直しと機能拡張
を行いました(下図参照)。不在通知の送付を、同一人物から複数のメールが到着した場合に、全て
のメールに対して都度不在通知を送付するか、あるいは最初のメールに対してのみ行い、以後同一
人物からのメールに対しては送付しないようにするオプションが追加されました。
カレンダー機能の操作をアシスタントに許可をしている場合は、本人に代わって不在通知の有効、
無効の設定をアシスタントが行えるようにもなりました。
図2-39 不在通知の設定画面
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.5 カレンダー機能の強化
Lotus Notes 8 クライアントでは、カレンダービューが機能拡張され、新しいインターフェースとと
もに提供されています。
2.5.1 ビューナビゲーション
カレンダービューのナビゲーションを改善し、メールや他の Lotus
Notes データベースと一貫性を持たせました。これまで、1 週間単位
など表示形式の切り替えは画面上部にありましたが、左側にまとめ
ると共に、グループカレンダーや他のユーザーのカレンダーへのア
クセスも集中させました。(図 2-40) これにより、表示の切り替えに
関する殆どを左側のナビゲーターから行えるようになり、操作性が
向上しました。
2.5.2 アクションバー
メール画面のアクション・バーでは、複数の機能を一つのボタンに
割り当てながらも、ワン・クリックではメールの新規作成ができる
仕組みを取り入れました。カレンダー画面においても、これと同一
の技術を利用して、一貫性のある操作性を確保しています。これに
より、会議招集のフォームを含め、カレンダー・インターフェース
のアクション・バーはシンプルになり、利用しやすくなりました。
(図 2-40)
例えば、未返信の会議招集ではシングル・クリックで出席か欠席か
の返信が可能です。もし、それ以外の種類の返信が必要な場合に
は、2 クリックでのアクションが用意されており、
「返信」アクショ
ンからドロップダウンリストを使って操作できます。(図 2-41)
2.5.3 終日イベントの表示
終日のイベントは、まる一日にわたって表示されるようになり(図 242)、一目で明確に、その時間帯に予定が入っていることがわかるよ
図2-40 カレンダービューの
ナビゲーション
うになりました。これまでは、その日の先頭だけに終日イベントが
表示されるだけで、下にスクロールしてしまうと、終日イベントに
気づかないおそれがありました。
Lotus Notes 8 クライアントでは、スクロールしても常に上部に終日イベントが表示されるととも
に、その日のすべての時間帯に色がついているために、スケジュールの有無を容易に判断できるよ
うになりました。記念日に関しても同様です。(図 2-42)
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.5 カレンダー機能の強化
図2-41 1 クリック、2 クリックでのアクション
図2-42 一週間ビューによるカレンダー・エントリーの表示
2.5.4 カレンダービューからの新規会議招集管理
まだ出欠のアクションをしていない未処理の会議招集を、他の会議や予定と並べて表示させること
ができるようになりました。非常に多くの会議招集を受け取るユーザーにとっては、重複するスケ
ジュールを確認してからどの会議に出席するかを選択できますので非常に便利です。この機能はデ
フォルトでは有効になっていませんので、下図のようにカレンダー・プリファレンスで設定する必
要があります。
この機能が設定された場合、未処理の会議は、出席処理済みの会議とは別の色でビュー上に表示さ
れます。図 2-42 には2つの未処理の会議が表示されていて、左上に閉じた封筒のアイコン付きで表
示されています。それに対し、受諾済みの会議は左上に人のアイコン付きで、青く表示されていま
す。
この未処理のカレンダー・エントリーはあくまで個人のメール・ファイル上での表示の機能です。
したがって、他のユーザーが空きスケジュールの検索を行った場合には、
「空き」として認識されま
す。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.5 カレンダー機能の強化
図2-43 カレンダー・プリファレンス
2.5.5 カレンダー上への取り消された会議の表示
Lotus Notes 7 では、受信ボックスに表示された会議招集の取り消し通知をユーザーが開くと、自動
的にカレンダーから、そのエントリーが削除されるようになっていました。Lotus Notes 8 クライア
ントではこの機能が拡張され、従来通りの処理を行うオプションの他に、キャンセル通知を受け取
ると、カレンダー・エントリーに色がつくオプションが追加されました。
この追加されたオプションでは、キャンセルされたカレンダー・エントリーは、カレンダー画面で
は茶色で表示され、左上に進入禁止のアイコン付きで表示されます。(図 2-42) この取り消された会
議エントリーを開くと、その時点でその会議はカレンダーから削除されます。
図2-44 カレンダー・プリファレンス: 取り消された会議のカレンダーへの表示
カレンダー機能強化の背景
この機能の実装には、
「カレンダーの処理はカレンダー上で行うべき」という思想が背後にありま
す。ユーザーが会議招集やキャンセルなどの新着通知を認識できるよう、受信ボックスにそれらが
表示されるのは必要なことです。しかし、日程調整や時間調整の作業は、カレンダーを眺めながら
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.5 カレンダー機能の強化
行うほうが、物理的な手帳のカレンダーで行うのと同じように、より自然な形といえます。
それを行うために、終日イベントの場合には終日背景に色を付ける機能を追加し、未処理のカレン
ダー・エントリーをカレンダー画面に表示させる機能を付加し、そして、キャンセル通知の来たエ
ントリーに色をつけて、あえてカレンダー画面から手動で処理を行う手段を確保しました。これに
より、会議通知を含めカレンダーの処理は全てカレンダー画面だけで完結できるようになりまし
た。
Lotus Notes 8 クライアントでは従来と異なり、カレンダー画面を常時右側のサイド・バーに表示さ
せておくことができるようになりました。これにより、メールとカレンダーを同時に見ながら処理
が可能で、
「新着の会議招集やキャンセルは受信ボックスで認識するけれども、処理はカレンダー画
面で行う」スタイルが実用的な領域に達しています。
個々の新機能や改善点からだけでは理解しにくい面がありますが、これらの機能拡張には現実に近
づける思想のもとに一貫した設計がなされています。
2.5.6 スケジュールの確認
Lotus Notes 8 クライアントでは図 2-45 のようにり、会議招集を作成しているときに自分のスケ
ジュールを確認できます。カレンダーへのすばやいアクセスにより、他のイベントやタスクを確認
しながら、作成中の会議招集が適切なものかを確認できます。スケジュールの確認には、サイド・
バーのカレンダーも利用できます。
図2-45 会議招集作成中のスケジュール確認
2.5.7 会議参加者の空き時間の絞り込み検索機能
多くの人が参加する会議を招集する場合、全員が参加可能な時間帯を探すのは容易ではありませ
ん。Lotus Notes 8 クライアントでは、本当に参加して欲しいキーとなる必須の参加者を選択し、そ
の人たちが参加可能な時間帯を見極めることができます。例えば 図 2-46 では、表示されている期
間内で、全員が参加可能な時間帯はありません。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.5 カレンダー機能の強化
図2-46 全員が選択された空き時間検索
それに対して図 2-47 では、必須の参加者ではないユーザーのチェックを外してリストから除外した
状態です。チェックがついたユーザーのみが参加可能な時間帯を緑のバーで表示しています。
図2-47 参加必須のユーザーのみを選択した空き時間検索
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.6 連絡先機能の強化
Lotus Notes 8 クライアントでは、クライアント PC 上にある個人アドレス帳 (NAMES.NSF)
は、"Contacts" (連絡先) と名前を変更しました。
かつて、サーバー上にある names.nsf を「公開アドレス帳」
、ローカルにある names.nsf を「個人
アドレス帳」と呼称していました。R5 からは前者を「Lotus Domino ディレクトリー」と改称しま
したが、後者については「個人アドレス帳」のままでした。Lotus Notes 8 クライアントでは、デー
タベースの主な目的がよりよく反映されるように、改称を行いました。それにあわせて以下の新機
能の追加と機能改善を行いました。
名称は変更されましたが、ロケーション文書や接続文書など従来持っている機能は従来通りローカ
ルの names.nsf に格納されています。
2.6.1 連絡先フォームの改善
新しい「連絡先」データベースの連絡先フォームが改善され、さまざまな利用環境のニーズにより
柔軟に対応できるようになりました。
個人アドレス帳の情報フィールドは、図 2-48 のように、以前より数が多くなりました。殆どの場合
で、必ずしも全てのフィールドが記入されず、空白部分が発生します。そのような場合でも、表示
時には記入されたフィールドだけが表示されるようになりました。これにより、無駄な空白がなく
なり、情報の閲覧性が向上しました。下図の編集画面と表示画面で比較ができます。
図2-48 連絡先の編集
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.6 連絡先機能の強化
図2-49 連絡先の表示 (空欄のフィールドは表示されていません。)
国ごとに住所の形式は異なっていますので、それに対応できるように、形式を変更できる機能が従
来から備わっていましたが、Lotus Notes 8 クライアントでは住所の形式を、連絡先毎に適切に選択
できるオプションが加わりました。(図 2-50)
図2-50 住所表示形式の選択
また、連絡先のメール・アドレス登録フォームでは、複数のメール・アドレスのラベルを変更でき
ますので、登録するユーザーに合わせてラベルを設定できます。(図 2-51)
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.6 連絡先機能の強化
図2-51 連絡先リストの見出しの変更
Lotus Notes 8 クライアントでは、連絡先フォームの上部左角のアイコンをクリックして、写真を登
録できます。
図2-52 連絡先写真の挿入
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.6 連絡先機能の強化
2.6.2 名刺形式のビュー
必要な連絡先情報により素早くアクセスできるように、Lotus Notes 8 クライアントでは、名刺形式
のビューで連絡先情報を表示する機能が加わりました。(図 2-53) これを使うと、連絡先情報 (文書)
を開いて見なくとも、
「名刺」から電話番号など必要な情報にすばやく確認できます。それ以上の情
報が必要な場合にのみ、ビジネスカードをダブルクリックして開く使い方ができます。
図2-53 名刺形式のビュー
2.6.3 最近使用した連絡先
Lotus Notes 8 クライアントでは、
「最近使用した連絡先」というビューが用意されています。(図 254) このビューでは、ローカルやサーバーのアドレス帳に名前がリストされている、いないに関わら
ず、全ての関係者のビジネスカード情報が一覧表示されます。
図2-54 最近使用した連絡先
この情報は連絡先データベースに格納されています。複数のワークステーションを利用している場
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.6 連絡先機能の強化
合には、連絡先データベースの複製をサーバー上に置き、データの共有を図ることで、最新の状態
をどのワークステーションでも再現できます。レプリケーター・ページには連絡先オプションが用
意されていますので、これを利用して複製を実施します。
図2-55 連絡先の複製
最近の連絡先ビューは図 2-31 の通り、メール・アドレスの候補一覧や会議招集の参加者を設定する
際のドロップダウン・メニューのソースとして使われます。つまり、To または cc で送られた全て
のメール・アドレスが候補に表示され、ユーザーの選択ができるようになっています。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.7 IBM Productivity Tools
Lotus Notes 8 クライアントには追加ライセンスなしで、さまざまな形式のファイルで作成、編集、
そして共同作業ができるオフィス製品群が付属しています。
IBM Productivity Tools は、オープンなオフィス文書形式である ODF (Open Document Format) を
サポートしています。ODF は、ワード・プロセッシング、表計算、プレゼンテーションの文書作
成、共有、保存についての国際標準です。
IBM Productivity Tools では、複数のその他のファイル形式がサポートされていますので、柔軟な相
互運用性が確保されています。IBM Lotus SmartSuite (日本では Lotus SuperOffice) 文書や Microsoft
Office のファイルの読み込みや保存ができます。ODF 準拠のアプリケーションやソリューションと
の共有のために ODF フォーマットでの保存もできますし、PDF フォーマットでの出力もできま
す。
ODF は標準規格ですので、固有の製品の販売やサポートの終了などの懸念が長期にわたりなく、
ファイルへのアクセスが確保できます。Productivity Tools は主要なファイル・フォーマットと ODF
をサポートしていますので、組織内の文書管理統合コストを抑える可能性があります。
2.7.1 IBM Productivity Toolsの起動
IBM Productivity Tools は、Lotus Notes 8 クライアントに統合されています。そして柔軟かつ簡単な
ツールへのアクセス方法が複数用意されています。右図では Productivity Tools をオープン・メ
ニューから開始しています。また、図 2-57 のように、メニューから 「ファイル」 → 「開く」 か
らも選択できます。
図2-57 ファイル・メニューからの文書を開く
加えて、図 2-58 のように Lotus Notes 文書の添付ファイルから
Productivity Tools を開始できます。
図2-56 オープン・リストから
文書を起動
39
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.7 IBM Productivity Tools
図2-58 添付ファイルからのワープロ文書の起動
一方で、Lotus Notes 8 クライアントを起動していなくても、スタート・メニューかデスクトップ・
アイコンから IBM Productivity Tools を開始できます。(図 2-59)
図2-59 デスクトップからの各種ツールの起動
あるいは、図 2-60 のように OS のファイル・マネージャーなどからも直接起動もできます。
図2-60 OS からの各種ファイルの起動
40
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.7 IBM Productivity Tools
2.7.2 IBM Lotus プレゼンテーション
プレゼンテーション・ツールでは、チャート、図形、テキスト、マルチメディアなど多様なアイテ
ムを含んだプロフェッショナルなスライドショーを作成できます。テンプレートも用意されてお
り、プロフェッショナルなスライドを作成するためのヘルプも含まれています。また、アニメー
ションやスライドショーなど動的なスライド効果を設定できます。作成したファイルはスクリーン
ショーでの表示や印刷ができるほか、HTML 文書として保存もできます。
図2-61 IBM Lotus プレゼンテーション・ツール: プレゼンテーション作成画面
2.7.3 IBM Lotus 表計算
表計算ツールは、計算や、分析やデータ管理に使える表計算アプリケーションです (図 2-62) 。グラ
フ作成を含めオフィスの作業に必要とされる一般的な機能が揃っているほか、スクリプト機能も備
わっていますので、高度な使い方にも対応できます。
41
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.7 IBM Productivity Tools
図2-62 IBM Lotus 表計算: 表計算の例
2.7.4 IBM Lotus 文書
ワード・プロセッサー・エディターでは、設計やグラフ、表、チャートを含むワープロ文書の作成
を行え、多様な形式で文書を保存できます。このエディターでは、メモやレター、レジメのような
基本文書や、長くて複雑な文書、目録、参照表、索引などを作成できます。
図2-63 IBM Lotus 文書 ワープロ文書の例
42
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.8 サイド・バーのプラグイン・アプリケーション
Lotus Notes 8 クライアントでは画面右側に、プラグインをインストール可能なサイド・バーがあり
ます。Lotus Notes 8 クライアントインストール時には、図 2-64 の例に示される 4 つのプラグイン
が提供されています。
業務のニーズに応じた独自のプラグインを開発して、サイド・バーのインターフェースに登録し
て、機能を拡張できます。
アクティビティー機能
このプラグインを利用して、アクティビティー・サーバーへアクセ
スできます。アクティビティー機能の詳細については、
「2.10 アク
ティビティー機能」を参照してください。
Lotus Sametime 連絡先
このプラグインを利用して、インスタント・メッセージングの連絡
先へアクセスできます。Lotus Notes 8 クライアントに統合された
Lotus Sametime のインスタント・メッセージング機能の詳細につ
いては、
「2.9 インスタント・メッセージング機能」を参照してく
ださい。
1日の予定 (カレンダー)
このプラグインを利用して、図 2-64 で示されるように、カレン
ダー・ピッカーから日付を選択してカレンダーを表示することがで
きます。選択された日のカレンダーのエントリーが上のウインドウ
へ表示されます。日付が選択されていないときは、今日のカレン
ダーが表示されます。
RSS フィーダー
図 2-65 のように RSS リーダー・プラグインが標準で装備されてい
ます。登録したニュース・フィードからの情報の取得や、質問の回
答のために利用できます。Atom フィードと RSS フィードをサポー
トしています。
フィード・リストのエントリーをダブル・クリックすると、そのコ
ンテンツが Lotus Notes の画面内、あるいはブラウザーのウインド
ウ内に表示されます。コンテンツ表示に使われるブラウザーは
Lotus Notes 8 クライアントのプリファレンスで設定できます。
図2-64 サイド・バー
43
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.8 サーバーサイド・プラグイン
図2-65 浮動型の RSS フィード・プラグインと、関連する ブログ・エントリーの例
サイド・バーのプラグインは 図 2-66 に示されるプラグインのオプション設定により、サイド・
バーから取りだして浮動型で表示できます。この設定で、プラグインをウインドウ上の好きな場所
へ移動させることができます。
図2-66 プラグインの浮動表示設定
44
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.9 インスタント・メッセージング機能
Lotus Notes 8 クライアントでは、図 2-67 に示されるように、IBM Lotus Sametime Connect 7.5.1 を
ベースにしたインスタント・メッセージングを利用できます。
Lotus Sametime 7.5 Connect クライアントの使用権がある場合は、Lotus Notes 8 クライアントの
Lotus Sametime Contacts プラグインから Lotus Sametime Connect のすべての機能を利用できます。
Lotus Sametime Connect 7.5 クライアントの使用権がない場合は、次に説明される機能のみ利用可能
です。いずれの場合も、Lotus Sametime サーバーがインストールされている必要があります。
図2-67 インスタント・メッセージングと在席確認機能
統合されたインスタント・メッセージング機能は以下の通りです。
• Lotus Notes のメール、カレンダー、連絡先、標準テンプレート内での在席確認表示。図2-67 に示
されるように、ログイン中のユーザー名を右クリックすると、そのユーザーに関連したアクション
メニューが表示されます。
• インスタント・メッセージングでは、アイコン、スペル・チェック、チャット履歴、画面キャプ
チャの送信などを含むリッチ・テキスト・エディター機能が利用できます。
• Lotus Notes サイド・バーに統合された連絡先リストでは、連絡先/グループの追加や削除も行うこ
とができます。
• プラグインを利用した機能拡張により、Lotus Sametimeの連絡先にアプリケーションを追加できま
す。
Lotus Sametime Connect 7.5 クライアントの機能に加えて、Lotus Notes 8 クライアントへの統合され
たインスタント・メッセージングでは、インスタント・メッセージをタブ形式で表示する機能が含
まれています。これにより、これまで個別に開いていた複数のチャット用ウィンドウをひとつにま
とめることができ、管理がしやすくなります。図 2-68 に示されるように、現在チャットをしている
ユーザーは青い背景で表示され、不在中にメッセージを残したユーザーはオレンジの背景で表示さ
れます。
45
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.9 インスタント・メッセージング機能
図2-68 インスタント・メッセージングのタブ表示
このオプションは図 2-69 に示されるプリファレンスで設定でき、垂直型タブと水平型タブを選択で
きます。
図2-69 インスタント・メッセージング タブ表示のプリファレンス
Lotus Sametime Connect 7.5 で利用できる機能の詳細については、以下の Web サイトを参照してく
ださい。
http://www.ibm.com/lotus/sametime (英語)
http://www.ibm.com/jp/software/lotus/products/st75/ (日本語)
メモ: Lotus Notes 8 クライアントのロケーション文書でインスタント・メッセージングの設定をした
場合には、Lotus Notes 6.5/7 で利用可能な、Lotus Notes に統合されたインスタント・メッセー
ジングが開きます。異なるバージョンの Lotus Sametime インターフェースが起動するのを避け
るためには、ロケーション文書の設定を削除して、Lotus Notes 8 クライアントのメニューから、
「 ファイル」 → 「Lotus Sametime」 → 「IBM Lotus Sametime にログイン」を選択するか、
サイド・バーの Lotus Sametime Contacts のメニューからログインしてください。
46
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
2.10.1 Lotus Notes 8 クライアントでのアクティビティー機能概要
日々の業務には何かしらの目的や目標があり、それを遂行するためにはさまざまな情報の活用が必
要です。
しかし、今日直面している情報の洪水の中では、情報の整理や活用が非常に難しくなってきていま
す。メールを例にとると、毎日数多くのメールが到着しますが、受信ボックスには複数の異なる業
務のメールが交錯しながら並んでいます。メールひとつとっても効率的に作業を行うのに適してい
ないとも言えます。
Lotus Notes/Domino 8 では、これまでのメールの受信ボックスを主体としたアクセスに加えて、
「ア
クティビティー」を中心とした情報の整理、活用の機能を加えました。効率よく作業を行うために
は、さまざまな種類の情報をグループ別に分けて整理して、目標に向かって組み立てることが重要
ですが、その基本的考え方を具現化する機能が「アクティビティー機能」です。
アクティビティー機能は、個人が行う比較的小規模のプロジェクトやタスクを処理するための、文
字通り「活動」単位で情報を整理、閲覧、活用するものです。長期的なプロジェクトの管理には向
いておらず、数日から数週間程度の短いものを想定しています。
アクティビティー機能によって得られるメリットは以下の通りです。
• データの種類を問わないアクティビティー単位での整理
業務を行う際には、メールのみならず、オフィスアプリケーションやコードを記したファイ
ル、URL やチャットログといったさまざまなものが必要です。アクティビティー機能ではさま
ざまなデータを整理できます。
• チームでの情報共有
データのみならず、スケジュールやアクションアイテムを他のユーザーと共有できます。最新の情
報を共有できるほか、進捗管理も行えます。
• ツールに依存しない利用
アクティビティー機能は、特定のアプリケーションやファイル形式に依存せずに動作しますので効
率的なコラボレーションを実現できます。例えば、アクティビティーからユーザーを招待して、あ
る事柄について書かれたメールに対してフィードバックをもらうといった使い方もできます。
Lotus Sametime を利用している場合には、アクティビティーからチャットを開始してそのログを残
す使い方もできます。また、プラグインを開発してアクティビティー機能を拡張できます。このよ
うに、「アクティビティー」をベースにしてさまざまなツール、例えばメールやインスタント・
メッセージでコラボレーションを実施できます。
• 効率的な最新情報の入手とフィードバック
複数のアクティビティーを素早くチェックして、必要な最新情報を確認したり、返答を返したり、
タグを編集するといったことができます。アクティビティーの数があまりに多い場合には絞り込み
を行うことで、集中して取り組むこともできます。
• ノイズの除去と効率的な情報へのアクセス
アクティビティーの中に格納される情報の中には、自分にとって不要なものも含まれることがあ
り、作業がしにくくなります。そのような場合には、タグや人名を使って表示される内容を絞り込
んで、快適な環境を維持できます。
47
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
Lotus Notes 8 クライアントのアクティビティー機能の概要
Lotus Notes 8 クライアントには下図のように右側にサイド・バーが配置されていて、ここでアク
ティビティー機能を利用します。アクティビティーを作成する都度、管理者へ依頼する必要はあり
ませんので、必要なアクティビティーが発生した場合にはすぐに作成でき、情報を他者と共有でき
ます。このサイド・バーはワン・クリックで折りたたんで閉じたり、開いたりできますので、業務
の課題を意識しつつ、簡単迅速に情報の整理を行えます。
図2-70 アクティビティー・サイド・バー
アクティビティーへメールやファイルをドラッグ&ドロップで登録できますし、インスタント・メッ
セージを保存もできます。また、Lotus Notes の文書や文書リンクや URL も登録できます。メン
バーを追加すれば簡単に情報共有が可能です。後から登録されたユーザーであっても、これまでの
やりとりの内容が保存されていますので、状況の把握が容易になります。
情報共有するメンバーが Lotus Notes 8 クライアントを利用していない場合には、下図のように
Web ブラウザーからのアクセスの手段が確保されています。
48
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
図2-71 ブラウザーからのインターフェース
Lotus Notes 8 クライアントのアクティビティー機能を利用するには、Lotus Domino サーバーとは別
にアクティビティー用のサーバー (別売り/別ライセンス予定の Lotus Connections の一部) を用意す
る必要があります。このアクティビティー用サーバーは Lotus Notes/Domino と連携して機能します
が、単独でも利用できるようになっており、ユーザーが最初にアクセスする画面をアクティビ
ティー・ダッシュボード (Activity Dashboard) と呼んでいます。
このアクティビティー・ダッシュボードでは、自分が作成したアクティビティーや他者から招待さ
れたアクティビティーの一覧が表示されます。アクティビティーを作成したり更新したりすると、
このリストが更新され、そのアクティビティーが先頭に位置するようになります。終了あるいは削
除したアクティビティーや、必要としないと自ら判断したアクティビティーはこのリストから消去
されますが、別の画面でアクセスできます。
2.10.2 Lotus Notes 8 クライアントからのアクティビティー機能の利用
ここではアクティビティー機能を利用する際に使えるオプションについて解説します。
アクティビティー・サーバーへのログイン設定
プリファレンス画面 (下図) で、アクティビティー・サーバーへのログイン情報を予め設定できま
す。ここで設定した内容に基づいて自動的にログインが実行されます。
サーバーの URL については、ポリシー機能を利用して管理者が予め設定できます (ポリシー機能で
別途解説します) 。
図2-72 アクティビティー・サーバーのセットアップ
49
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
アクティビティーの閲覧
自分がメンバー登録されているアクティビティーは全てアクティビティー画面(下図)で閲覧できま
す。この中には、自分が作成したアクティビティーや招待されたアクティビティーが含まれます。
新規作成、あるいは更新されたアクティビティーは最上部に移動します。また完了したアクティビ
ティー、削除したアクティビティー、不要なために自ら除外したアクティビティーは一覧から消
え、別の一覧へ移動します。
図2-73 サイド・バーにあるアクティビティー画面
表示されている複数のアクティビティーの数を一時的に絞り込みたい場合には、下図のようにプリ
セットされたオプションを利用してフィルタリングできます。
図2-74 アクティビティー・リストのフィルターオプション設定
アクティビティーの作成
「新規」ボタンを押すことで、新規アクティビティーを作成できます。(下図) ここでアクティビ
ティー名称、参加するユーザー名などを設定します。追加されたユーザーはデフォルトで作成者権
限が付与されますが、所有者や読者に変更できます。
このユーザー名の設定でも、メールでの宛先指定時と同様に、最近やりとりしたユーザーが一覧に
表示されますので、素早く選べるようになっています。
50
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
図2-75 アクティビティーの追加
この他、Lotus Notes のメールをドラッグ&ドロップでも、新規アクティビティーを作成できます。
メンバー管理
メンバー管理機能では、そのアクティビティーに参加できるユーザーと権限を設定できます。
権限には 3 種類あり、
「オーナー」
、
「作成者」
、
「読者」です。アクティビティーを作成したユー
ザーには自動的にオーナー権限が設定されます。オーナー権限を持つことで、コンテンツやメン
バーの追加、変更、削除が行えるようになります。作成者はアクティビティーに登録された文書の
閲覧やポストができます。これに加えて、作成者権限では、ユーザーを作成者や読者として追加で
きます。これは Lotus Notes/Domino の ACL の考え方と異なりますが、アクティビティーをスムー
ズに行うために、ある程度柔軟性を持たせる設計思想の結果です。読者はコンテンツの閲覧のみ可
能です。
メンバー管理リストの中では、ひとりのユーザーが複数の権限で設定されることがありますが、そ
の場合には個人名で設定されたものが優先されます。例えば、作成者権限のグループに参加してい
るユーザーが、個人名で読者設定された場合には、読者権限です。
ただし、ひとりのユーザーが複数のグループに参加しており、ひとつのグループが読者権限、もう
ひとつのグループが作成者権限に設定されていた場合には、高い権限である作成者がそのユーザー
に設定されます。
51
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
2.10.3 Lotus Notes 8 クライアントからのアクティビティー機能の利用
サイド・バーの Activities をクリックすると下図のようにアクティビティー画面が開き、登録され
たアクティビティーが表示されます。
図2-76 アクティビティーの内容
アクティビティーには各種情報を登録でき、その種類はアイコンにより判別できます。アクティビ
ティーに情報を登録するには、下図のように Add ボタンを押します。また、ドラッグ&ドロップで
も追加できます。追加する際には、既存の情報の下に配置できますので、情報を階層化して整理で
きます。
図2-77 アクティビティーの追加
Lotus Notes 8 クライアントでは、ドラッグ&ドロップで Lotus Notes 文書を登録できます。(文書を
選択して右クリックで Add メニューも利用可能) 。登録すると、文書リンクがアクティビティーに
登録されます。アクティビティーのメンバーは登録された Notes 文書をアクティビティー画面でク
リックすると、文書リンクを開く形で文書にアクセスします。メンバーで共有している Lotus Notes
データベースの場合には、データベースへのアクセス権があるので問題なくアクセスできますが、
メールデータベースは通常、本人以外からはアクセスできません。そのため、メール文書を登録し
た場合に限っては文書リンクではなく、メールの内容そのものが登録されます。また、メール文書
に添付ファイルがある場合には、登録したメールのひとつ下の階層にファイルが登録されます。
Lotus Sametime のチャットログもアクティビティーの情報として直接登録ができます。登録するに
は下図赤枠のアイコンを押します。アクティビティーへの登録画面が開きますので、どのアクティ
52
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
ビティーに登録するかを選択します。この機能を使うには、Lotus Sametime サーバーでインスタン
ト・メッセージのログを保存するポリシーが有効になっている必要があります。
図2-78 インスタント・メッセージのログのアクティビティーへの登録画面
これらに加えて、登録した情報を分類、整理するのにタグを付けることができます。このタグを利
用して複数のアクティビティーを横断して、類似の内容をグループ化できます。タグを追加、編集
するには、情報エントリーで右クリックして Edit Tags を選択します。
図2-79 アクティビティーへのタグの追加
53
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.10 アクティビティー機能
2.10.4 アクティビティーの検索
アクティビティー内のデータに対する検索は、Lotus Notes 8 クライアントおよび Web ブラウザー
の双方から行えます。ただし、自分がメンバー登録されているアクティビティーのみが対象になり
ます。また、プライベート・フラグが設定されているエントリーは対象外です。
Web ブラウザーからは検索バーを使って全文検索が行えますが、Lotus Notes 8 クライアントでは特
定の人物や特定のタグがある条件に該当するものみを検索対象にできます。加えて、Lotus Notes 8
クライアントからは、アクティビティーの名前やアクティビティーのエントリー名を検索できま
す。また、Lotus Sametime の連絡先に登録されているユーザーと共有しているアクティビティーを
検索できます。検索の方法は以下の通りです。
• ユーザー名での検索
あるユーザーが所属しているエントリー、あるいはそのユーザーがポストしたエントリーが対象
になります。
• タグでの検索
• 名称および説明文での検索
アクティビティーやアクティビティーのエントリーの名称や記載された説明文を検索する。
2.10.5 メール通知機能と購読機能
メンバーへの注意喚起のためにメールでの通知機能が用意されており、エントリー単位で通知処理
を行えます。送信されるメールにはエントリーの説明文とリンクが入ります。
ブラウザーからも通知可能で、自分が選択したユーザー宛に、サーバーからメールが送信されま
す。但し、サーバーから実際に送信される宛先は、そのアクティビティーの今現在のメンバーのみ
に限られます。手順は以下の通りです。
1. アクティビティーを開き、通知したいエントリーを特定します。
2. エントリー下にある Notify をクリックします。
3. 表示されたメンバーリストから、通知したい相手を選択して、Send をクリックします。
通知は以下のような形式で送信されます。(下図参照) なお、通知処理の内容はアクティビティーに
エントリーが追加されません。
図2-80 アクティビティーのメール通知例
フィードリーダーを使用すれば、設定したアクティビティーに関して購読を行うことができますの
で、重要なアクティビティーについて迅速に最新情報を入手できます。アクティビティー機能では
Atom 配信プロトコルを使用しています。
54
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.11 Lotus Domino Web Access
2.11.1 ユーザー・インターフェース
Lotus Domino Web Access 8 のユーザー・インターフェースは Lotus Notes 8 クライアントとよく似
たつくりになっています。
Lotus Domino Web Access では、7 までテンプレートが複数に分割や継承されていましたが、8 か
らは統合され、 Mail8.ntf テンプレートのみで Lotus Domino Web Access を利用可能になりまし
た。また、WebSphere Portal からの利用を想定して、フォント、色合い、アイコンなどが WebSphere Portal のものと統一されています。
Lotus Domino Web Access 8 では Lotus Notes 8 クライアント同様に、プレビューペインの機能が追加
されました。受信ボックス内のメッセージを画面の下や右に表示できます。
図2-81 Lotus Domino Web Access 8 のメール画面
Lotus Domino Web Access 8 ではインスタント・メッセージについても拡張されていて、ドロップダ
ウンリストによるステータスの変更や連絡先リストへのアクセスが可能です。また在席状況が自動
的に変更されます。
2.11.2 メールの拡張
拡張された主な機能は以下のとおりです。
• プリビューが可能です。
• 不在通知が時間指定まで可能です。
• 不在通知メッセージを毎回送信するか、1ユーザーあたり1回に制限する選択が可能です。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.11 Lotus Domino Web Access
• インターネットメールでもスレッド表示が可能です。
• スレッドの途中のメールを削除しても、ひとつのスレッドとして表示されます。
• 件名の列幅が自動で調整されます。この機能により件名の視認性を高めることができます。
• 受信ボックスを RSS や Atom 配信形式でフィード可能です。
この機能を利用することで、外出時などに携帯電話や PDA、スマートフォンなどでメールの
チェックを手軽に行うことができます。また、普段は常時開いてメールを見ていない場合や、部門
などで共有しているメールボックスへの新着メールをチェックする場合にも使えます。
2.11.3 カレンダーの拡張
カレンダー・フィルター、お気に入りの会議室とリソース、委任に関する機能が拡張されていま
す。
• カレンダー・フィルターは会議の主催者、タイプ(会議、予約、イベントなど)、出席者のステー
タスを使って、カレンダーのエントリーをフィルタリングして表示できます。
• 会議室や備品の予約時に、普段からよく使っている会議室や備品を、新規予約時のデフォルト値
として設定できます。
• 他人のカレンダーへのアクセスが容易にできるようになりました。
2.11.4 PIMの拡張
Lotus Notes クライアントの連絡先 (個人アドレス帳) やジャーナルのノートのデータを、Lotus Domino Web Access 側に反映させられるようになりました。
2.11.5 その他の拡張
その他、以下の機能が追加、拡張されています。
• Lotus Notes ID と HTTP のパスワードの同期機能が改善され、メール・ファイルに埋め込まれた
ID ファイルに対してパスワードを変更したとき、自動的にインターネット・パスワードも同期
されます。この機能によりパスワード管理の運用負荷を軽減できます。
• セキュリティー・ポリシーが Lotus Domino Web Access のユーザーにも適用できるようになりま
した。
• スペルチェッカーのエンジンが更新され、辞書の内容が更新されました。
• テンプレートが mail8.ntf に統合され、管理が容易になりました。
• ビューの設計を一新したことによりパフォーマンスが向上しました。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
2.12 Lotus Notes 8 クライアント Basic について
これまでの Lotus Notes クライアントと比較すると、Eclipse RCP ベースの Lotus Notes 8 クライア
ントはより多くのメモリーを必要としますが、企業内で現在使用している PC がそのシステム要求
を満たせず、Eclipse RCP ベースの Lotus Notes 8 クライアントにアップグレードできない部門が出
てくる場合があります。
そのような場合には、これまで同様のインターフェースを持つ Lotus Notes 8 クライアント Basic ク
ライアントをインストールする選択があります。システム要求については Lotus Notes 6.5/7.x クラ
イアントと同等です ( Eclipse RCP ベースの Lotus Notes 8 クライアントは Standard、従来のものを
Basic と呼称し、区別できるようにしています)。
一部機能 (主に新機能) については Lotus Notes 8 クライアント Basic クライアントでは利用ができ
ませんが、8 にクライアントを統一することにより、テンプレート等を含めたシステム管理上の簡
素化の面でメリットがあります。メールなど付属テンプレートは Basic 版も Standard 版も同一で
す。
機能と、それを使うために必要な条件の一覧については、
「Appendix 1: Lotus Notes 8 クライアント:
新機能の稼働条件」を参照してください。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3. 管理者向け機能
この章では、Lotus Domino 8 および Lotus Domino 8 Administrator クライアントの新機能および機能
改善点について解説します。主な項目は以下の通りです。
• メール機能の拡張
• クライアント管理機能
• Lotus Domino サーバーの管理
• 改良された性能とパフォーマンス
• ディレクトリー
• セキュリティー
• 他の IBM 製品との統合
58
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.1 概要
Lotus Notes/Domino の各メジャー・バーションの開発における投資の重点は原則として、サーバー
とクライアントとの間で交互に行っています。7 ではサーバー側を中心に投資を行いましたので、8
ではクライアントが重点的に機能拡張されますが、その Lotus Notes 8 クライアントを支えるための
各種機能の拡張がサーバー側でも行われています。
例えば、Lotus Notes 8 クライアントおよびコンポジット・アプリケーションの展開や更新を集中的
に行うためのプロビジョニング機能が Lotus Domino 8 サーバーには搭載されています。また、構成
設定機能やポリシー管理機能では設定項目が追加されており、管理者は必要に応じて柔軟にクライ
アントの制御や管理を行えるようになっています。
その他には、Lotus Domino サーバーのディスク I/O の改善が行われており、ディスク I/O の負荷が
軽減されています。モニタリング・ツールの改善や設定方法の分かりやすい記述なども改善されて
おり、これらの機能を生かしてパフォーマンス向上や効果的なリソースの利用を図れるようになっ
ています。
Tivoli のディレクトリー統合機能や DB2 との統合機能が追加、改善されており、IBM 製品との統合
も一層図られています。
59
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.2 メール機能の拡張
この章では、Lotus Domino 8 サーバーのメールに関する新機能や機能改善について解説します。
3.2.1 送信済みメールの回収機能
このセクションではメールの取り消し機能を有効にするためのサーバー構成について記述します。
メールの取り消し機能のユーザー・インターフェースに関する情報については、
「3.12 メールの取
り消し機能」を参照してください。
メールの取り消し機能は、Lotus Notes 8 クライアントのユーザーに送信後のメールを取り消しにす
る機能です。この機能は、Lotus Notes クライアントユーザーが誤ってメールの送信ボタンをクリッ
クしたときに、そのメールを取り消して、改めて書き直したメールを送り直したい時に有効な機能
です。
送信者が送信済みのメールを取り消したい場合、その受信者のメール・サーバーに取り消し要求を
送ります。管理者によりメールの取り消しが有効になっている場合には、ルーター・タスクが取り
消し要求の処理を行い、配信されたメール・ファイルから該当するメールを削除します。
メールの取り消し機能は同一の Lotus Notes ドメイン上にいるかどうかにかかわらず NRPC によっ
て配信される場合に限り、Lotus Domino 8 サーバーでホスティングされるユーザーのメール DB 上
のメールを取り消すことができます。メールの取り消し機能は、Lotus Domino 8 サーバー上のサー
バー設定文書で設定します。
Lotus Notes ドメイン全体で単一のサーバー設定文書を使用する場合、下図に示すような設定をサー
バー設定文書に行うことで、Lotus Notes ドメイン全体のメールの取り消し機能の有効化/無効化が可
能です。
図3-1 メールの取り消し機能: サーバー設定文書での設定
この設定文書を使って管理者は、この機能の有効/無効、既読メールの取り消しの有効化、メール配
信後何日間メールの取り消しを有効にするかなどを設定できます。
この機能をすべてのサーバーで有効とするか、あるいは特定のサーバーのみで有効にするかは、ポ
リシー文書を使って設定できます。ただし、サーバー設定文書で有効になっている設定を、ポリ
シー文書を使って無効にできますが、サーバー設定文書で無効に設定された内容を、ポリシー文書
を使って有効にはできませんので注意が必要です。
ポリシー文書上では、ユーザーがメールの取り消しが可能かどうかの設定に加えて特定のユーザー
からのメールの取り消しが可能かどうかの設定を下図のように指定できます。例えば、受け取った
メールの完全なログが必要である特定のユーザーに対しては、他者からのメールの取り消し処理を
行わないように制御して管理できます。
60
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.2 メール機能の拡張
図3-2 メール・ポリシーでの取り消し設定画面
3.2.2 不在通知機能の拡張
このセクションでは不在通知機能のためのサーバー設定項目について記述します。この機能のユー
ザー・インターフェースに関する情報については、
「2.4 不在通知」をご覧ください。
Lotus Domino 8 サーバーでは、不在通知サービスはエージェントでの実行に加えて、メール・ルー
ター・タスクの一部として動作します。これは、自分のメール・ファイル上で不在通知エージェン
トが実行されることを待つことなく、メールを受信するとすぐにルーターにより不在通知メールが
送信されることを意味します。
この機能は、これまでのように一定間隔でユーザーのメールボックスで実行される形ではなく、
ルーター上での実行という形をとるため、処理の負荷をより均等にするという効果を生みます。
サーバーのフェイルオーバーもサポートされます。また、不在通知の代理設定機能はカレンダー管
理機能と完全に統合されており、カレンダー管理の適切な権限を持つユーザーが不在通知を設定す
ると、この機能が動作するようになっています。
クラスター環境での不在通知サービスはクラスター設定されているすべてのサーバーが Lotus Domino 8 サーバーである必要があります。Lotus Domino 6.5 もしくは Lotus Domino 7 サーバーを含む
クラスター構成の場合、不在通知機能はエージェントとして構成されておく必要があります。不在
通知機能の設定は、下図のようにサーバー設定文書で設定します。
図3-3 不在通知サービスの設定画面
61
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.2 メール機能の拡張
3.2.3 メール・スレッド
Lotus Domino 8 サーバーでメールを利用する場合には、メール・ファイル中のメール・スレッドは
より機能的で便利になりました。
スレッド中の途中のメールが削除されてもスレッド表示は分断されることなく、単一のスレッドを
保持して表示されます。また、Lotus Domino 以外のメールシステムから送信されたメールを受信し
た場合でも、インターネット標準の RFC822 に準拠していれば、スレッドの一部として表示されま
す。
メール・スレッド機能のユーザー・インターフェースに関する詳細は、
「3.4 メール・スレッド」を
ご覧ください。
3.2.4 受信ボックスのクリーンナップ機能 (Inbox Cleanup)
メール・ファイルの中の受信ボックスのフォルダー・サイズは、Lotus Domino メール・サーバーの
性能に大きな影響を与えます。受信ボックスのエントリー数を減少させると、フォルダーに関連し
ている索引のサイズが減少します。そればかりでなく、受信ボックスのビューを更新するのに要す
る時間の減少とサーバー・リソースの減少という形で、ユーザーとサーバー管理者の両方にメリッ
トをもたらします。Lotus Domino 8 サーバー以前のリリースでは受信ボックスのメールのメンテナ
ンスは、ユーザーにメンテナンスの時間と作業を強いることになり、作業の効率性の面からも問題
がありました。
フォルダーからの大量の文書の消去は、複製作業とビューの更新の 2 つの処理時間を必要としま
す。就業時間中にこの処理を実施した場合、クライアントとサーバーの双方においてパフォーマン
ス面でマイナス影響を与えることになります。そこで、Lotus Domino 8 サーバーの新機能である
「受信ボックスのクリーンナップ機能」では、処理にともなうパフォーマンスの影響を考慮しなが
ら、メール・ファイルの受信フォルダー内の文書数を削減させることで Lotus Domino サーバーと
Lotus Notes クライアント性能の両方を潜在的に向上させるようにしました。
ユーザーは、既読メールの消去か未読、既読両方のメールでかつ、特定の日数が経過したメールを
消去するかの選択ができます。これらの設定は、下図のようなサーバー文書か、もしくはメール・
ポリシー文書上で設定が可能です。
図3-4 受信ボックスのメンテナンス: サーバー文書
62
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.2 メール機能の拡張
図3-5 受信ボックスのメンテナンス: メール・ポリシー文書
管理者が「受信ボックスのクリーンナップ機能」を有効にすると、システム管理プロセスは管理者
が定義した設定に基づいて「受信ボックスのクリーンナップ機能」を定期的に実行します。これに
より、ユーザーが手動で「受信ボックスのクリーンナップ機能」を起動する必要はありません。
この機能がメール・ファイルからも文書を「削除」するのではなく、受信ボックスフォルダーだけ
から文書エントリーを「消去」することに注意してください。つまり、文書の実体は削除されず
残ったままで、別のフォルダーや「すべての文書」のビューでは文書の存在を確認できます。
受信ボックスのメール量がパフォーマンスに与える影響の詳細については以下の記事を参照してく
ださい。
http://www.ibm.com/developerworks/lotus/library/notes-mail-files/
3.2.5 メール管理
以下のセクションでは、追加あるいは改善されたメール管理機能について解説します。
転送されたメールの Reverse-path の設定
Lotus Domino 8 サーバーでは、メール・ルールの「コピーを送信」アクションで転送されたメール
について、ルーターがどのように扱うかを管理者が指定できます。デフォルト設定では、Reversepath は Null に設定されており、転送を行ったアカウント (ユーザー) に配信ステータスレポートが
送信されないように設定されています。この設定では、スパムメールフィルターの中には、メール
の受信を拒絶することがあり、これを防ぐためにサーバー設定文書上の新しいオプションで、管理
者は下図のように Reverse-path に入るアドレスを任意に設定できます。
メールの転送アクションで送信されるメールの Reverse-path は、配信に失敗した場合にメールが
ループするのを防ぐ目的で、null になっています。この点に注意して設定変更を行う必要がありま
す。
63
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.2 メール機能の拡張
図3-6 転送メールのリバースパス設定
セッション終了までの、エラー発生回数の指定
管理者はセッションをエラー発生により終了できるよう、セッション終了までのエラー発生回数を
指定できます。
セッションの接続エラーの回数が設定値を超えた場合、セッションは終了させられます。管理者
は、エラー回数の設定を下図にあるようにサーバー文書上で設定できます。設定値が空白か 0 の場
合が、エラー回数の設定は無効になりますので注意が必要です。
図3-7 サーバー設定文書: プロトコルエラーの最大許容回数
あいまいな名前やグループへのメール送信拒否
管理者は、あいまいな名前やグループ名宛に送られるメールが到着した場合に、ルーターが処理を
拒否する設定ができるようになりました。
これまでも、インバウンドの SMTP メールの受信者宛先についてはディレクトリー参照を行い、配
信先が存在するかを確認するオプションがありました。見つからない場合には、550 Permanent
Failure Response が返されていました。今回の「あいまいな名前の場合の拒否」機能では、宛先に該
当するユーザーが複数存在する場合でも同様のエラーが送信元に返され、メールは配信されないよ
うにできます。
また、
「グループ名の場合の拒否」機能では、インバウンドの SMTP メールの受信者宛先について
ディレクトリー参照を行い、一意のグループ名として名前解決がされた場合に、554 Permanent
Failure Response が送信元に送られ、メールが配信されないようにする機能です。
64
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.2 メール機能の拡張
図3-8 サーバー設定文書: インバウンド SMTPメ ールのディレクトリーとの照合機能の設定
転送/配送遅延レポート
メールが「通常」メールか「優先度: 高」である場合、Lotus Notes メールユーザーは、メールがそ
の送信からの数時間以内に送られると通常予想します。理由はどうであれ、メールの配信遅延が発
生している場合には、メールがまだ受信者のもとに配信されていない事実を送付者が知ることは重
要です。
Lotus Domino 8 サーバーでは、指定された時間より長い間ルーターのメール・キューに未配信の
メールがあるとき、配信遅延のレポートをメール作成者に送るように設定が可能です。管理者は下
図にあるようにサーバー設定文書上でこのオプションを構成できます。
図3-9 サーバー設定文書: 転送制御 (下の2段が該当部分)
65
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.3 クライアント管理機能
この章では、Lotus Notes/Domino 8 で拡張された、クライアントの管理支援機能について解説しま
す。
3.3.1 プロビジョニング・サーバーとしての Lotus Domino 8 サーバー
Lotus Notes 8 クライアントは Eclipse プラットフォーム上に実装されており、管理者は、新規のプ
ラグインや更新内容を今までより小さい単位で容易に配布できるようになっています。この配布お
よび更新を行う機能をプロビジョニングと呼んでおり、Eclipse プラットフォームが持っているネイ
ティブなプロビジョニング機能を利用しています。
プロビジョニングに必要なファイルは、アップデート・サイトと呼ばれるサーバーから Lotus Notes
8 クライアントへと配布されますので、管理者は、配布したい Rich Client Platform (RCP) アプリケー
ション用の最新コンポーネント、フィーチャー、プラグインをアップデート・サイトに配置しま
す。
プロビジョニングの処理を行うのは Lotus Notes 8 クライアントに実装されている Eclipse Update
Manager で、アップデート・サイトに公開するフィーチャーやプラグインは Eclipse Update Manager が扱える形式で公開する必要があります。Eclipse Update Manager はファイルをダウンロード
し、利用できるように配置して処理を完了します。
プラグインについて
プラグインは、Lotus Notes 8 クライアントや Lotus Sametime Connect 7.5 のような RCP ベースの
アプリケーションにおいて基本となる要素です。プラグインにはマニフェスト (内容物の詳細記述)
やコードが含まれ、JAR (Java の圧縮ファイルのアーカイブ用フォーマット) 形式でパッケージされ
ています。これらのファイルは、Eclipse Update Site の plugins というフォルダーに配置されます。
フィーチャーについて
フィーチャーは、関連する複数のプラグインの集合体です。フィーチャーもプラグインと同様にマ
ニフェストやパッケージされた JAR を含みますが、プラグイン本体は含まれず、プラグインのロ
ケーションのみが記述されています。
Eclipse Update Site のルートには、site.xml という XML ファイルがあり、このファイルには Eclipse
Update Site にある全てのフィーチャーのインデックス情報が記述されています。Eclipse Update Site
の基本的な構造は図 3-10 を参照してください。
図3-10 Eclipse Update Site の構造
66
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.3 クライアント管理機能
以前のバージョンの Lotus Notes では、新しいバージョンの Lotus Notes をユーザーに配布するため
にスマート・アップグレード機能が提供されていました。Lotus Notes 8 クライアントでも引き続き
スマート・アップグレード機能は提供されますが、これに加えて Eclipse が備えるネイティブなプ
ロビジョニング機能が提供されます。この Eclipse は、Lotus Domino の管理ツールや Lotus Notes 8
クライアントの基盤部分として使用されているものです。
通常、Eclipse の Update Site は通信プロトコルとして HTTP を利用します。そのため、Lotus Domino 8 サーバーを Eclipse の Update Site として構築、利用できます (この場合、Lotus Sametime
Connect 7.5 など IBM Lotus Expeditor をベースとしたクライアント製品に対するプロビジョニング
用途にも使用できます) 。
また、通信プロトコルとして HTTP ではなく、NRPC (Notes Remote Procedure Call) を使用して
Update Site を構築できます。この場合は、そのプロトコルの制限から Lotus Notes 8 クライアント
のみが対象であり、上述の Lotus Sametime 7.5 などに対してはプロビジョニング・サービスを提供
できません。
構築にあたっては、製品に付属している Lotus Domino Provisioning データベース・テンプレート
(UPDATE.NTF) からデータベースを作成し設定を行います。このデータベースを利用して、Lotus
Notes クライアントで新規インストールや更新が必要なコンポーネントを格納してバージョンを管理
できます。(図 3-11)
図3-11 Update Site データベース (update.nsf)
Lotus Notes のデータベースにコンポーネントファイルを保存するようになっていますので、管理者
は Lotus Notes/Domino が持つ強固なセキュリティーと複製機能を利用できます。このため管理者は
フィーチャーへアクセスするユーザーや、リモートサイトで独自に Lotus Domino サーバーを立てて
いる部門などを厳格に制御、管理できます。また管理者は、複製機能を使ってこのデータベースを
ユーザーに近い場所へ置くことができますので、ユーザーは自分の Lotus Notes に更新分を WAN
経由ではなく、手近なサーバーから高速に受け取ることができます。
図 3-12 は、Lotus Notes クライアントに対するプロビジョニング機能の全体を表したものです。
67
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.3 クライアント管理機能
Lotus Domino 8 にはユーザーに配布、展開に必要なツールを全て備えていることがわかります。そ
の要素は以下の通りです。
• スマート・アップグレード機能を使用した Lotus Notes クライアントのバージョンアップ
• コンポーネント・プロビジョニング機能を使用した Lotus Notes 8 クライアントメニューへの新
しいフィーチャー導入や、サイド・バーへの新しいプラグインの導入
• 複製機能による従来の Lotus Notes アプリケーションの更新
• 複製機能とコンポーネント・プロビジョニング機能の組み合わせによるコンポジット・アプリケー
ションの配布(コンポジット・アプリケーションの設計に依存します)。コンポジット・アプリケー
ションについては、「4.2 コンポジット・アプリケーション」を参照ください。
Lotus Notes 8 クライアントの導入ステップや、以前のバージョンから Lotus Notes 8 クライアントへ
の手動によるアップグレードの方法については、製品のリリース情報をご覧ください。
図3-12 Lotus Notes クライアント用サーバー管理型のプロビジョニング機能
3.3.2 ポリシー管理の拡張
ポリシー設定は Lotus Domino 6 からの機能で、管理者が行う Lotus Notes クライアントの管理作業
を支援します。管理者がポリシー設定文書を設定すると、ユーザーが Lotus Notes でサーバーにログ
オンする毎に、ユーザーに適用されているポリシー文書の設定に更新があるかを自動的にチェック
します。更新がある場合は、ユーザーの構成情報に更新内容が自動的に適用されますので、管理者
はユーザーの設定を集中管理できます。
Lotus Domino 8 では以下の機能拡張があります。
メール・ポリシー設定、デスクトップ・ポリシー設定の拡張
メール・ポリシー設定文書、デスクトップ・ポリシー設定文書で設定可能な属性が増えました。
ビューでの送信者名別カラー表示、フォローアップ・フラグ、メール取り消し、複製設定の各機能
について管理できるようになりました。
設定の適用オプションの対応フィールド拡大とオプションの追加
ポリシー設定文書では一部の項目について、
「初回」
、
「常時」
、
「変更しない」のオプションを選択で
きる「設定の適用」項目が備えられていました。これを使って、管理者は柔軟なポリシーの運用が
できます。Lotus Domino 8 ではこのオプションを備えた設定項目を増やしてます。
68
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.3 クライアント管理機能
また、設定できる値として上記の 3 つに加えて、
「Set and prevent changes (ポリシー設定後、変更不
可)」も選択できるようになりました。この機能に相当する「ロックダウン機能」は従来からありま
したが、複数の項目をまとめてしかロックダウンできませんでした。Lotus Domino 8 では、個別に
ロックダウンできるようになっていますので柔軟なポリシーの運用が可能です。(図 3-13)
図3-13 デスクトップ・ポリシー設定 (これまでと異なり、項目毎に適用方法の設定が可能)
設定の適用オプションの一括設定機能
ユーザーのデスクトップとメール・ファイルに関しては、設定項目が数多くありますが、これらは
メール・ポリシーとデスクトップ・ポリシーの設定文書で設定が可能です。しかし、メール・ポリ
シー設定文書には 50 以上、デスクトップ・ポリシー設定文書には 100 以上の設定項目があるた
め、ひとつひとつ設定する作業には時間を要します。
Lotus Domino 8 では、メール・ポリシー設定文書とデスクトップ・ポリシー設定文書のフォームに
How To Apply のアクション・ボタンが追加されており。初期値として全てのフィールドに値を設定
できます。まず、この機能で最も多い値を設定して、異なる部分だけを手動で変更することで効率
的にポリシー設定文書を作成できます。
図3-14 デスクトップ・ポリシー設定 How To Apply オプション
アクティビティー・ポリシー設定文書
Lotus Notes 8 クライアントでの新機能であるアクティビティー機能に対応して、アクティビ
ティー・ポリシー設定文書が追加されました。
Lotus Notes 8 クライアントのサイド・バーにあるアクティビティー・プラグインから、ユーザーは
アクティビティー機能を使いますが、その際利用するアクティビティー・サーバーの URL やポート
番号をポリシーにより設定できます。また、ユーザー名、パスワードの記憶や SSL を使った通信の
暗号化の強制も設定できます。
アクティビティー・サーバーの数は限定的ですのでポリシー設定文書数も多くなることはありませ
ん。管理者により一括して設定し、ユーザーの作業工数を削減できるだけでなく、設定ミスなどへ
の対応工数を削減できます。詳細は、
「2.10 アクティビティー機能」を参照ください。
69
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.3 クライアント管理機能
図3-15 アクティビティー・ポリシー設定文書
Productivity Tools ポリシー設定文書
Lotus Notes 8 クライアントで実装された新機能の Productivity Tools に関する設定を行うための、
ポリシー設定文書が追加されました。
この設定文書を使って管理者は、ユーザーが Productivity Tools を使えるかどうか、使える場合には
マクロを実行できるかの設定できます。また、Microsoft Office や Lotus SuperOffice などや他のさ
まざまなフォーマットの文書を開いた際に、ネイティブのソフトウエアではなく Productivity Tools
で開くように設定できます。詳細は、図 3-16 を参照ください。
70
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.3 クライアント管理機能
図3-16 Productivity Tools ポリシー設定文書
3.3.3 データベースのリダイレクト機能
サーバー上のデータベースを他のサーバーへ移動することは、実際の運用の中で発生しますが、
Lotus Domino 8 では、データベースの移動が発生してもクライアントからのアクセス要求を自動的
に移動先にリダイレクトするよう、システム管理要求を使って設定できるようになりました。この
設定をおこなうために、Lotus Domino 8 Administrator クライアントには図 3-17 の通り、リダイレ
クト・マーカーを作成するためのチェックボックスがひとつ追加されています。
図3-17 リダイレクト設定を行うためのチェックボックス
このオプションを選択すると、データベースが移動したあとでユーザーがブックマークをクリック
71
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.3 クライアント管理機能
してアプリケーションを開こうとすると、新しいサーバー上のデータベースに自動的にリダイレク
トされます。また、ユーザーのブックマークも同時に更新され、データベースの古いロケーション
情報は削除されます。
データベースを削除する場合の設定画面にもマーカーを作成するチェックボックスが加わりまし
た。その下には、リダイレクトを設定するためのチェックボックスがありますので、この 2 つを設
定すると、上記同様、新しいサーバーにリダイレクトされます。
データベースを移動せず単純に削除する場合などリダイレクトを行う必要がない場合には、上のひ
とつだけにチェックをいれておけば、ユーザーのブックマークやワークスペースからデータベース
のエントリーが削除されます。
図3-18 データベース削除マーカーの作成を設定するダイアログボックス
この機能を応用して、データベースの移動や削除がなくとも、存在するデータベースに対するアク
セスを意図的に他のサーバーへ振り向けることもできます。管理クライアントのファイル・タブを
選択して、データベース一覧からリダイレクトさせたいデータベースを選択して、「リダイレクト
の作成」のアクションを右側のサイド・バーから選択します。次にリダイレクト先のサーバーと
データベース名をダイアログボックスで設定します。この設定画面には誰をリダイレクトさせるか
の設定項目がありますので、特定のユーザーだけを新しいデータベースへリダイレクトさせ、その
他のユーザーは元のデータベースを利用できます。この機能を利用するには、リダイレクト元の
サーバーが Lotus Domino 8 である必要があります。
図3-19 既存のデータベースに対するリダイレクト・マーカーの作成設定画面
72
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
3.4.1 Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能の拡張
Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能は、Lotus Domino 7 から搭載された機能です。これによ
り管理者は、一箇所から Notes ドメインをまたがって複数の Lotus Domino サーバーの一括管理が可
能です。それぞれの Notes ドメインの情報を収集できるのに加えて、問題の優先順位をつけ、ト
ラッキングを行い、問題解決を図ることも可能です。Lotus Domino 8 サーバーでは、管理クライア
ントを起動する際、常に Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能のデータベースを開くような設
定が可能です。
プローブ・タイプとプローブ・サブタイプの追加
Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能を使って情報収集するためには、プローブ (Probe: テス
ターで計測する時に使用する電極棒が語源) を作成、設定します。プローブは個別の項目や複数の項
目のチェックをし、1 台もしくは複数サーバーに対して稼動するように設定できます。プローブ
は、サーバー状況やサーバー・ヘルス情報を、Lotus Domino ドメイン・モニタリングに対して返しま
す。 また、Lotus Domino 8 サーバーでは次の調査サブタイプが追加されました。
WebSphere サービス (プローブ・タイプ: サーバー)
「WebSphere サービス」調査では、WebSphere サーバー上で動かしているアプリケーションの状
況をチェックできます。たとえば、Lotus Notes クライアントユーザーがアクティビティーを利用し
ている場合、Lotus Domino サーバーと平行して、アクティビティー・サーバーの状況も監視したい
ケースがあります。
73
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
図3-20 WebSphere Services プローブのサブタイプ
74
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
LDAP検索レスポンス (プローブ・タイプ: ディレクトリー)
LDAP 検索レスポンス Probe タイプでは、設定したしきい値での調査が可能です。
図3-21 LDAP Search Response プローブのサブタイプ
自動完了レポート (プローブ・サブタイプ: 管理)
問題が解決されると、レポートは自動的に更新されます。 自動的にクリアされたレポートは、下図
のようにフラグをつけられます。
図3-22 自動完了 (Auto-closing) リポート
しかし、問題についての処理が検知されない場合、レポートは手動でクローズする必要がありま
す。これは、不要な管理プロセスを必要とし、注意が必要なレポートをすぐに見つけにくくしま
す。
「レポートの自動クローズ」調査では、一定期間アクティブでない場合に自動クローズさせたいレ
ポートを設定できます。 レポートがクローズされた後にエラーが発生した場合は、レポートは再度
オープンされます。
75
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
図3-23 レポートの自動クローズのサブタイプ
共通アクション (Common Action) ボタン (イベント文書)
すべてのイベント文書に、
「共通アクション」ボタンが追加されました。これにより、イベントを調
べるためによく使われる、共通の処理をここから選択できるようになりました。
図3-24 共通アクション・ボタン
新しいCAロール
Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能では多くのイベントが、修正処理と結びつきます。Lotus
Domino 8 サーバーでは、Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能の ACL で CA ロールを付与さ
れたものだけが表示され、修正処理については説明テキストとリンクを使ってアクセスが可能で
す。
76
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
図3-25 修正アクションのボタンが入った イベント文書
新しいモジュラー文書
モジュラー文書は、
「Probable Cause」フィールド、
「Possible Solution」フィールド、
「Corrective
Action」ステートメントのための参考文書です。イベント文書を作成すると、文書内にこれらの
フィールドを指定し、モジュラー文書と連携させることになります。
モジュラー文書を使う利点としては、これらの記述は一度指定すればよく、複数回の利用が可能で
あることです。
統計&イベントデータベース (EVENTS4.NSF) から、モジュラー文書は作成、編集が可能です。モ
ジュラー文書を編集すると、それは全体への編集になることに気をつけてください。 その情報は参
照されている全ての文書に反映されるからです。
修正のためのモジュラー文書の例が、図 3-26 です。
Description フィールドには、修正処理ののためのテキストが書かれています。Code フィールドに
は、修正処理で使われるコマンドについての説明が書かれています。埋め込みビューでは、修正処
理が施された場所を全て見ることができます。
図3-26 モジュラー文書の例
77
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
データベース別ビュー
Lotus Domino 8 サーバーでは、Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能の画面に、データベース
別ビューが新たに追加されました。
図3-27 Lotus Domino ドメイン・モニタリング機能: データベースのビュー別
3.4.2 Web管理サーバーのブックマーク機能
Lotus Domino 8 管理クライアントでは、ブックマーク機能に新機能が追加されました。下図のよう
に、Lotus Domino サーバーのブックマーク機能と同様、IBM や他のベンダー製品の管理用 Web
URL をブックマークとして登録できるようになりました。
図3-28 Web 管理サーバー・ブックマークの追加
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.4 Lotus Domino サーバーの管理
Lotus Domino 8 管理クライアントから直接管理できるソフトウェアとしては、下図のように、
WebSphere Portal、Lotus Sametime などがあります。
図3-29 Web Administration Servers ブックマーク
79
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.5 改良された性能とパフォーマンス
Lotus Domino サーバーの性能とパフォーマンスの向上、特にディスク I/O の軽減という観点での改
善に役立つ、以下の機能が導入あるいは改良されました。
3.5.1 設計要素 (Design Note) の圧縮
設計要素を圧縮するオプションが Lotus Domino 8 に追加され、設計情報に関するディスク I/O や
ディスク・スペースの使用量を減らすのに役立ちます。
設計要素圧縮は、アプリケーションに対して透過的なもので、設計要素のサイズを通常 55-60% 近
く減少させます。例えば、デフォルトで 26.2MB のディスク容量を占める mail8 テンプレートに
対して設計要素圧縮を適用すると、テンプレートのサイズは 10.7MB に減少します。この機能は、
図 3-30 で示されるように、データベースのプロパティーの詳細タブページで有効にできます。
この機能は新しいデータベース形式 (ODS: On-Disk Structure) を必要とするのでご注意ください。
新しい ODS について詳細は、製品に付属しているリリース情報やヘルプを参照してください。
図3-30 データベース設計の圧縮を許可する
3.5.2 オンデマンドでのインデックス作成
Lotus Notes/Domino 8 では、列に対する索引作成のタイミングを、ユーザーが初めてビューのその
列でソートを実行するまで保留しておけます。これにより、使われていない列に対して索引を作成
して、不必要な負荷をサーバーにかけないようにできます。詳しくは、4.1.4 の"ソート索引作成の
保留"をご確認ください。
サーバーがこの新しい列のオプションを処理できるようにするためには、Lotus Domino サーバーの
Notes .ini ファイルに以下の設定を記述します。
ENABLE_ON_DEMAND_COLLATIONS=1
この機能は新しいオプショナルな ODS (On-Disk Structure) を必要とするのでご注意ください。新し
80
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.5 改良された性能とパフォーマンス
い ODS について詳細は、巻末の「Appendix B: Lotus Domino 8 サーバー機能要件」をご確認くださ
い。
3.5.3 ストリーミング・クラスター複製
クラスター複製のパフォーマンスを改善し、サーバーのディスク I/O の負荷の軽減に役立つ機能と
して、Lotus Domino 8 ではストリーミング・クラスター複製の概念が導入されています。
クラスター複製によって、クラスター内のレプリカデータベース同士はお互いできるだけ最新の状
態に同期されており、サーバーのフェイルオーバーやロードバランスの発生に備えています。レプ
リカ複製はイベントドリブンで起動する複製であり (スケジュール起動ではなく) 、クラスターレ
プリケーターがデータベースへの変更を察知すると、ただちにクラスター内の他のレプリカにその
変更をプッシュします。
Lotus Domino 8 では、Lotus Notes の更新やフォルダーの追加・削除、未読マークの操作といったイ
ベントが発生すると同時に、サーバーから他のサーバーに対してイベントの発生が伝達されます。
ストリーミング・クラスター複製ではメモリー内の情報を使うので、ほかのサーバーに同期する必
要がある更新情報を取得するために、ディスクからデータを読み込んだり、Lotus Notes を再起動し
たりする必要は通常ありません。伝達の遅延は通常はとても短時間であり、キャッシングの有効性
を損なうものではありません。
ストリーミング・クラスター複製は従来の定期複製と併せて使用すると、ストリーミング・クラス
ター複製の処理も軽くなりますし、またストリーミング・クラスター複製が周期的に複製履歴を更
新するので、定期複製の負荷も軽くなります。
3.5.4 システム管理プロセスの改善
システム管理プロセス (AdminP) のタスクは、Lotus Domino の環境を管理するために要求される管
理者タスクのうちの多くを自動化するプログラムです。Lotus Domino 8 ではシステム管理プロセス
に対して多くの機能拡張がなされ、リソース要求の軽減やタスク処理完了のスピードアップに役立
つよう改善されています。
目的のサーバーのデータベースへの要求の保存
Lotus Domino のこれまでのバージョンでは、システム管理要求は、要求が作成された Lotus Domino
サーバー上の"システム管理要求"データベース (ADMIN4.NSF) に保存され、複製という手段によっ
て、その要求が処理されるべきサーバーへ要求を伝達していました。そのためサーバーが複数台あ
る環境では、その要求を処理すべきサーバーへ要求が到達するまでの間に、何度も複製が実行され
なければならない場合もありました。
Lotus Domino 8 では、ある特定のシステム管理要求については、ローカルサーバー上のシステム管
理要求データベースに保存するのではなく、ダイレクトに目的のサーバーのシステム管理要求デー
タベースに要求が保存されます。これにより、これらのシステム管理要求の処理が完了するまでに
かかる時間を短縮できる可能性があります。
目的のサーバー上のシステム管理要求データベースにダイレクトに保存されるのは、そのサーバー
によって処理される予定のシステム管理要求だけで、かつ目的のサーバーと要求元のサーバーとを
直接接続できる場合に限ります。そのほかの全てのケースでは、"すべてのサーバー"によって処理
されるよう定義されているシステム管理要求を含めて、要求はローカルのシステム管理要求データ
ベースに保存され、複製によってほかのサーバーへ伝達されます。
81
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.5 改良された性能とパフォーマンス
必要に応じて、以下の notes .ini 設定により、この機能を特定のサーバーに対して無効にできます。
ADMINP_DONT_ATTEMPT_DIRECT_DEPOSIT=1
ユーザー名の変更の改善
苗字の変更やユーザーが属する組織階層の変更などに伴い、ユーザーの階層名を変更しなくてはな
らない場合があります。この場合、ユーザーが新しい名前になっても元の名前でアクセスしていた
ときと同じように情報にアクセスできるように、元の名前を含んでいるすべての設計要素 (読者名
フィールド、作成者名フィールド、ACL) に対してユーザー名の変更を反映させなければなりませ
ん。
Lotus Domino ドメイン内にデータベースが数多く存在する場合、この処理には相当なリソースを消
費する可能性があります。Lotus Domino 8 では、データベース内に保持される新しい名前リストを
使うことによって、ユーザー名を変更するシステム管理要求がより効率よく処理される可能性があ
ります。この名前リストは、データベース内に存在しているすべての読者名および作成者名として
エントリーされている名前を含んでいます。
データベース内のすべての文書構成要素 (note) をいきなり検索するかわりに、特定の名前がこの
リストに含まれているかどうかを簡単にチェックできます。名前がリストに見つかった場合だけ、
データベース内のすべての文書構成要素が検索され、その名前が格納されていて新しい名前で置換
する必要のある全てのフィールドが特定されます。
この名前リストを保持するためには、データベースは、Lotus Domino 8 で提供される新しい OnDisk Structure (ODS) を使っていなくてはなりません。新しい ODS について詳細は、
「Appendix B:
Lotus Domino 8 サーバー機能要件」をご確認ください。
また、データベースの規格によって保持されるユーザーのリストは 4KB に制限されます。制限に達
すると、システム管理プロセスは以前のリリースの Lotus Domino と同じ方法でデータベースを検索
します。
重要な要求の処理のスケジュール
Lotus Domino ドメインの規模が大きい場合には、システム管理プロセスはおそらく多数のタスクを
処理しなくてはならないでしょうし、いくつかのタスクは他よりも優先的に処理する必要があるで
しょう。Lotus Domino 8 では、特定のタスクをより早く完了させるために例外的に処理する機能を
提供します。
要求の処理スケジュールの変更
特定の種類のシステム管理要求については、それが実行される処理間隔をデフォルト値以外の値に
設定できます。例えば、
「ユーザー文書の名前を変更」という要求はデフォルトでは一日一回実行さ
れますが、これを即時に実行される要求として設定できます。
これを行なうためには、スケジュールを変更したいシステム管理要求に振られている要求番号を特
定する必要があります。要求番号の一覧は、Lotus Domino 8 システム管理者ヘルプデータベースに
記載されています。
その後、以下の notes.ini 変数を使用して、1つまたは複数の特定のシステム管理要求について、そ
の処理間隔がデフォルト値以外の値に変更されるよう定義できます。
• ADMINP_IMMEDIATE_OVERRIDE
82
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.5 改良された性能とパフォーマンス
• ADMINP_INTERVAL_OVERRIDE
• ADMINP_DAILY_OVERRIDE
• ADMINP_DELAYED_OVERRIDE
この notes .ini 変数の書式は以下の通りです。それぞれの X は、システム管理要求の要求番号を示
します。
<NOTES .INI 変数>= X, X, X
例えば、
「ユーザー文書の名前を変更」と「ユーザー文書の削除」という要求を即時実行される要求
として定義したい場合には、これらの要求が処理されるサーバーの notes.ini ファイルに、以下の値
を追加します。
ADMINP_IMMEDIATE_OVERRIDE=16.00, 19.00
16.00 と 19.00 は、これらのシステム管理要求に割り振られている各々の要求番号です。
即時実行および定期的に実行される要求のための専用スレッド
システム管理プロセスが使用できる処理スレッドの数は、図 3-31 に示されるように、サーバー文書
で定義されます。
図3-31 システム管理プロセスのスレッドに関するサーバー文書の設定
しかしデフォルトでは、システム管理要求について優先順位付けをするような仕組みは何もありま
せん。リクエストは作成された順に待ち行列に入れられ、それぞれのリクエストに対して通常の処
理スレッドが、利用可能になった時点で割り当てられます。
Lotus Domino 8 では、特別な目的のスレッドを 2 種類のシステム管理要求、即時実行要求と定期実
行要求、に対して割り当てることができるようになりました。特別な目的のスレッドは、毎日、遅
延、バッチの各システム管理要求には利用できません。
これらの特別な目的のスレッドは、通常のスレッドが利用可能な場合には使用されません。しか
し、キューに要求が並んでいるときには、即時実行要求か定期実行要求を、あるいはその両方を、
これらの特別な目的のスレッドによって処理ができます。特別な目的のスレッドは通常の処理ス
レッドと平行して実行できますので、要求に関連するタスクが完了するまでの時間を短縮する効果
が期待できます。
特別な目的のスレッドをいくつまで使用できるかを設定するためには、以下の NOTES .INI 変数を使
用します。
ADMINP_IMMEDIATE_THREAD=X
ADMINP_INTERVAL_THREAD=X
ここで X は、特別な目的のスレッドの数を示します。
83
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.5 改良された性能とパフォーマンス
3.5.5 簡易検索 (Simple Search) の禁止機能
全文索引が作成されていないデータベースに対して検索を実施すると、サーバーに大きな負荷がか
かります。ユーザーが必要としている情報が必ずしも見つかる保証はありませんが、簡易検索機能
が動作するため、何らかの検索結果を得ることはできます。しかし、サーバーには索引作成と同様
の大きな負荷がかかり、サーバー全体のパフォーマンスが低下します。
Lotus Notes/Domino 8 では、
「簡易検索を許可しない」というデータベースのプロパティーが用意さ
れ、全文検索が有効になっていないデータベースをユーザーが検索するのを防ぐことができます。
図 3-32 に示すようにデータベースの詳細プロパティーが導入されています。
大きなデータベースで、全文索引を作成する必要性が業務上特にないような場合には、特にこのオ
プションが有用です。簡易検索が実行されると長時間にわたって大きな負荷がサーバー全体にかか
り続けるのを避けることができるためです。全文索引が作成されていないデータベースに対して簡
易検索が実行されているかは、Lotus Domino ドメイン・モニタリングの機能を利用して把握できま
す。
図3-32 データベースの詳細プロパティー: 簡易検索を許可しない
この設定が選択されていて、全文索引が作成されていないデータベースに対して、ユーザーが検索
を実行しようとした場合、
「検索は実行されません」というメッセージが表示されます。
84
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.6 ディレクトリー
このセクションでは、Lotus Domino 8 のディレクトリーの新機能や改善点について記述します。
3.6.1 Lotus Domino 8 ディレクトリー
Lotus Notes クライアント・バージョン・ビュー
Lotus Domino 8 ディレクトリーに"People - by Client Version"ビューが追加されました。この新しい
ビューは、図 3-33 のように Lotus Domino ディレクトリー・データベースのナビゲータからアクセ
ス可能です。このビューでは、どのバージョンの Lotus Notes が利用されているかを簡単に確認でき
ます。このビューを使って、どのユーザーがサポートされていないバージョンを使用していて、
アップグレードする必要があるかを判別し、移行の計画および実施段階で効果的に使えます。
図3-33 People by Client Version ビューへのアクセス
ユーザー認証/認可の用途のみに使用する2次ディレクトリーの設定機能
R5 から Lotus Domino のディレクトリー・アシスタント機能が取り入れられましたが、その目的は
2 次ディレクトリーを使用して、Lotus Notes アプリケーションのインターネット認証、グループ認
証、メール宛先指定を行うためです。2 次ディレクトリーには Lotus Domino ディレクトリーや
LDAP を使用できます。
Lotus Domino 8 のディレクトリー・アシスタント機能では、2 次ディレクトリーを認証/認可の目的
のみに利用されるよう条件設定ができるようになりました。 (図 3-34) この機能の利点は、認証/認
可を目的とした不要な参照 (ネーム・ルックアップ) の防止にあります。また宛先指定では、2 次
ディレクトリーを利用しなくなりますので、
「あいまいな名前」のダイアログボックスで不用意に大
量の名前が表示されなくなり、効率的な宛先指定ができるようになります。いずれも、サーバーの
負荷を減らす効果がありますので、スケーラビリティーの改善につながります。
85
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.6 ディレクトリー
図3-34 ディレクトリー・アシスタント・フォーム
ディレクトリー・アシスタントでのLDAPディレクトリー設定の支援機能
ディレクトリー・アシスタント機能を利用して 2 次ディレクトリーを設定する場合、それが正常に
動作しているかを確認するには、設定を行った後に Lotus Notes クライアントなどから実際にアクセ
スをおこなって確認する必要があり、場合によってはトライ&エラーを繰り返す必要がありました。
Lotus Domino 8 ではこの作業を軽減するために、2 次ディレクトリーとして LDAP ディレクトリー
を設定する際に利用するディレクトリー・アシスタント・フォームが改善されています。設定作業
の時点で無効な設定をなるべく避けるために、Suggest (提案) と Verify (検証)の 2 種類のボタンを
フォームに追加しました。このボタンはフィールドに値を設定するにあたって可能性の高い値をリ
ストの提示や動作確認を行います。
例えば、ホスト名に値を入れて Suggest ボタンを押すと、DNS に登録されている LDAP サーバー
のホスト名を参照して、そのホスト名が有効であるか否かを知らせてくれます。Verify ボタンを押
すと、実際に LDAP サーバーにアクセスして稼働しているかどうかを確認し、結果を表示してくれ
ます。(図 3-35)
86
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.6 ディレクトリー
図3-35 ディレクトリー・アシスタント・フォームの LDAP 設定画面
ディレクトリー・リント (DirLint)
Lotus Domino 8 では、ディレクトリー・リントと呼ばれる新しい機能が加わりました。この機能
は、ディレクトリー全体をチェックして、矛盾している名前階層の存在や、無効な構造の名前の存
在、ディレクトリーの名前として問題を起こしやすい文字を含むエントリーの存在などを検出、報
告してくれます。また、グループのメンバーとして設定されているエントリーが、ディレクト
リー・アシスタント機能で設定されたものも含め、利用可能なディレクトリー内に存在するかも確
認してくれます。
「リント」とは糸くずや「けば」という意味です。この機能では、ディレクトリー内に存在する無
意味、無効なもの、あるいはそのおそれがあるものを検出することから、
「リント」が使われていま
す。
この機能の利用にあたっては、単一あるいは複数の Lotus Domino ディレクトリー・データベースを
指定してディレクトリー・リントを実行します。DirLint ツールは、サーバー・コンソール・コマン
ドラインから実行します。ディレクトリー・リントは問題点やその可能性がある部分を XML 形式
でファイル出力します。この結果ファイルの中には取るべき修正措置も含まれています。サー
バー・コンソールから操作しますので、操作内容はサーバー・コンソールのログとして保存されま
す。(図 3-36)
図3-36 Lotus Domino サーバー・コンソールのDirLintの読み込み
87
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.6 ディレクトリー
グループ・メンバーの拡張に関する改善
ユーザーがどのグループに属しているかの識別は、ディレクトリーの機能として一般的に求められ
るごく普通の機能ですし、アクセス・コントロールを行う上では欠かすことができない機能です。
しかし、LDAP アプリケーションでは 1 回の検索問い合わせで 1 階層の検索を実施するため、グ
ループの中にグループが含まれているような、ネストしているグループの場合には CPU のパワーや
メモリー領域を多く消費します。
Lotus Domino 8 ではこの問題を解決するために、新たに 2 つのアトリビュート (属性) を追加し、一
度の検索でそのユーザーが属する全てのグループを返すことができるようにしました。
Domino AccessGroups 属性
この属性は、Lotus Domino LDAP サーバーに存在するアクセス・グループをアプリケーションがよ
り効果的に検索できるようにするものです。例えば、以下ように使えます。
旧: (&(objectclass=groupOfNames)(member=cn=Jane Admin,o=ITSO))
新: cn=Jane Admin,o=ITSO?Domino AccessGroups?base?(objectclass=*)
これにより、ネットワーク使用量、LDAP キャッシュ使用率、そしてアプリケーションの複雑さが
軽減されます。
ibm-allGroups 属性
この属性は Domino AccessGroups と同じように動作するもので、IBM Tivoli ディレクトリーのアク
セス・グループの検索を、Lotus Notes/Domino がより効果的に行えるようになるものです。
3.6.2 IBM Tivoli Directory Integrator
Tivoli Directory Integrator は、一般的な統合機能の他に、Lotus Domino を他のディレクトリーやデー
タベース、API やプロトコルと統合するためのツールキットから構成されています。これを使うこ
とで、さまざまなリポジトリー、例えば組織のディレクトリー、データベース、コラボレーショ
ン・システム、業務アプリケーションなどに格納されたアイデンティティー・データ (身元同一性確
認データ) との同期が可能です。
Lotus Domino 8 では追加ライセンスなしで、Lotus Domino ディレクトリーと関して Tivoli Directory
Integrator (TDI) 6.1.1 の使用権が付加されています。(TDI を単独での利用は不可)
Tivoli Directory Integrator はメタ・ディレクトリーではありませんし、一箇所に集中化されたレポジ
トリーにも依存しません。Tivoli Directory Integrator は、CSV、XML、DMSL、JDBC、NSF や LDAP
などの広くさまざなデータソースをサポートし、システム間のデータの変換を行い、ビジネス・ロ
ジックへの追加を容易にする目的で設計されています。
Tivoli Directory Integrator にはグラフィカルな開発環境が備わっており、ディレクトリー・データの
変換および同期に関するルールの構築およびメンテナンスを行えるようになっています。また、
ルールの実行やイベントを監視するマルチスレッドのサーバーから構成されます。
Tivoli Directory Integrator を Lotus Domino 8 とともに使用した場合の機能は以下の通りです。
• Lotus Domino ユーザーで行われた新規登録、変更、削除処理を変換して、他の LDAP サーバー
88
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.6 ディレクトリー
に反映します。
• Microsoft Active Directory、Sun Directory、Tivoli Directory での変更を検出して、Lotus Domino
ディレクトリーやデータベースの ACL に反映や、同期を行います。
図 3-37 は、Tivoli Directory Integrator を介して Lotus Domino 8 ディレクトリーとその他のディレ
クトリーとの間で同期するシナリオ例を示したものです。
図3-37 Tivoli Directory Integrator: Lotus Domino ディレクトリーとの統合例
89
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.7 セキュリティー
この章では、Lotus Notes/Domino 8 のセキュリティーを向上させる新機能や機能改善について解説
します。
3.7.1 インターネット・パスワード・ロックアウト
インターネット・パスワード・ロックアウトは、Web 対応の Lotus Domino アプリケーションまた
は、Lotus Domino Web Access へのアクセスを試みようとしたときに発生する、インターネット・パ
スワード認証失敗のしきい値を設定します。このことにより、設定されたしきい値内でログインに
失敗したどんなユーザーでも、ロックアウトすることで、ユーザー・インターネット・アカウント
やアドレス帳への攻撃を避けることができます。なお、HTTP アクセスの場合のみインターネッ
ト・パスワードがロックされることに注意してください。LDAP や POP、IMAP、DIIOP、Lotus
QuickPlace、Lotus Sametime のような他のインターネット・プロトコルとサービスは、現在サポー
トされていません。
図 3-38 に見られる通り、この機能は、サーバー設定文書のセキュリティー・タグから有効化できま
す。
図3-38 Internet Password Lockout の構成
図 3-39 のように、ロックアウトされたユーザーの詳細情報は、"Internet Password Lockout" データ
ベース(INETLOCKOUT.NSF) に保存され、管理者はこの画面からログイン・エラーの状況を監視、リ
セットができます。
ユーザー・アカウントのアンロックでは、パスワードは変更されないことに注意してください。現
在のパスワードを使ってユーザーがログインできるようになります。
図3-39 Internet Lockout データベース
異なるユーザー・グループのために、異なるインターネット・ロック・アウト・パラメータが必要
なとき、図 3-40 のように、ユーザー特定の設定のために、デフォルト設定を変更するセキュリ
ティー・ポリシー設定を使用できます。
インターネット・パスワード・ロックアウト機能が、サーバー設定文書で有効化されていることを
90
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.7 セキュリティー
確認してください。セキュリティー・ポリシーではデフォルト設定の上書きはできません。
図3-40 セキュリティー・ポリシー: インターネット・パスワード・ロックアウトの設定
3.7.2 認証者キーのロール・オーバー機能
Lotus Notes/Domino 8 では、ユーザー ID やサーバー ID で使用されるキーの長さを拡張して、
Lotus Notes とインターネットの認証者キーとして 4096-bit の RSA キー、ユーザーおよびサーバー
の証明書として、2048-bit の RSA キーを採用しています。また、S/MIME や SSL で利用される共
通鍵には 128-bit のものを採用しています。いずれも、従来のものより拡張しているため、より高
い安全性が確保されています。
全ての Lotus Notes ユーザーや Lotus Domino サーバーは、ユーザー ID かサーバー ID、そして認
証 ID として1組の固有キーを持っています。そのキーの公開鍵を使用して、ユーザーやサーバー
を認証して、デジタル署名を確認し、メッセージやデータベースを暗号化します。秘密鍵はメッ
セージへの署名や暗号化されたメールの解読の目的で利用されます。認証者 ID の場合は、証明書
に署名するために使用します。
Lotus Domino 7 で導入されたロール・オーバー機能とは、 Lotus Notes の ID ファイルで保管される
公開鍵と秘密鍵の設定を更新するために使用されるプロセスです。この鍵のセットは、秘密鍵を解
決したり、またはより長い鍵への更新によりセキュリティーを高めることで、定期的に置き換える
必要があります。Lotus Domino 7 では、セキュリティー・ポリシーのユーザー ID のキー・ロー
ル・オーバーやサーバー文書のサーバー ID のキー・ロール・オーバーを設定できます。
Lotus Domino 8 では、Lotus Domino 8 管理クライアントから認証 ID をキー・ロール・オーバーの
設定をできるようになりました。Lotus Notes 8 クライアントではキーの暗号化強度が強化されてい
ますので、この機能を利用してセキュリティーの強化を図ることができます。
なお、認証のロール・オーバーは全ての組織に影響します。認証をロール・オーバーした後に、発
行された全てのユーザーやサーバー ID を再認証する必要があります。
3.7.3 ID ファイル・リカバリー API
パスワードを忘れてしまったり、失われたり、あるいは ID が壊れてしまった場合は、ID をリカバ
リーするためのメカニズムを持っている必要があります。これらの機能は、6 以降の Lotus Domino
で使用できます。その一方で、Lotus Domino 8 で導入された新しいアプリケーション・プログラミ
ング・インターフェース (API) では、カスタマイズの便利さと、組織規模の管理システムを持って
いる、ID ファイル・リカバリーのセキュリティー機能の構築を企業に可能にします。
91
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.7 セキュリティー
3.7.4 ローカル・データベースの暗号化
Lotus Notes は、ローカル・データベースの暗号化が可能なので、データベースが暗号化されていれ
ばいかなる Lotus Notes ID を用いてもアクセスできません。このことは、Lotus Notes クライアント
のローカルにストアされたデータのセキュリティーの改善に役立ちます。
Lotus Notes の以前のバージョンでは、データベースは低、中、または高の暗号レベルを用いて暗号
化されます。暗号化されたローカル・データベースのセキュリティーレベルに関しての混乱を減ら
すため、Lotus Notes/Domino 8 では、低と中の暗号レベルのオプションが削除されました。既存の
低または中で暗号化されたデータベースについては継続してサポートされますが、新規に作成され
るデータベースは高レベルの暗号化が行われます。
3.7.5 OCSPを使用した証明書の取り消し確認
Lotus Domino 8 では、Online Certificate Status Protocol (OCSP) 、RFC 2560 をサポートしました。
OCSP サポートは、S/MIME 署名証明書、S/MIME 暗号化配信証明書、SSL 署名証明書のセキュリ
ティーを高めることができます。CRL キャッシュは一切含まないので、証明取り消しリスト (CRL)
よりもより多くの最新の情報を与えることで、この標準では、X.509 証明書の取り消し状態を決め
ます。
図 3-41 のように、Lotus Notes クライアントでは、OCSP はセキュリティー・ポリシーを通して有
効化しなければなりません。
図3-41 セキュリティー・ポリシー設定: OCSP構成
NOTES .INI パラメータを用いて、Lotus Domino 8 サーバー上でも OCSP を有効化できます:
OCSP_RESPONDER=http://ocsp.example.org: 80
その後、OCSP_LOGLEVEL と OCS_CERTSTATUS とともに証明書のステータスやログレベルを構成
します。これらを設定するための設定値についての情報を得るには、Lotus Domino 8 管理ヘルプを
参照してください。
3.7.6 LtpaToken2 を用いたシングル・サインオン
8 より前の Lotus Domino では、WebSphere Application Server と Lotus Domino サーバーとの間の
シングルサインオンの設定ができる LtpaToken フォーマットをサポートしていました。WebSphere
Application Server V5.1.1 以降では、LtpaToken2 をサポートしています。LtpaToken2 は、より強度
の高い暗号機能を持っており、トークンに複数の属性の追加が可能です。Lotus Domino 8 では LtpaToken2 フォーマットをサポートしており、このフォーマットをサポートしている複数の WebSphere Application Server とより安全なシングル・サインオンの構成が可能です。
92
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.8 他のIBM製品との統合
このセクションでは、Lotus Notes/Domino 8 と他の IBM 製品との統合に関する拡張について説明し
ます。
3.8.1 Lotus Domino と DB2
このセクションでは Lotus Domino と DB2 統合機能について説明します。Lotus Domino 8 でサポー
トされる DB2 連携機能の対応バージョンは DB2 9.1 です。パフォーマンスの強化、管理機能、
バックアップ機能の向上が行われています。
デフォルト DB2 ユーザー名の設定
Lotus Domino 7 では、DB2 サーバー上のデータを参照する SQ L クエリーを作成して、その結果
を Lotus Notes のビューに表示する DB2 連携機能が取り入れられました。DB2 のセキュリティー
機構を守るため、Lotus Notes ユーザーがビューにアクセスするには DB2 サーバーで認証を受ける
必要があります。 DB2 による認証に使われるディレクトリーに各ユーザーの ID を登録し、ユー
ザー文書に "Lotus Notes user to DB2 user" マッピングを作成します。 Lotus Notes ユーザーが DB2
データへ共通のアクセスレベルを持つために、Lotus Domino 8 では「default DB2 user name」という
概念が導入されました。 「default DB2 user name」が DB2 データへアクセスできるかぎり、すべて
の Lotus Notes ユーザーは DB2 サーバーで登録された個別の DB2 ユーザー名を持つ必要がありま
せん。もしくは、Lotus Notes ユーザーが自分のユーザー文書に DB2 ユーザー名のマッピングをも
つこともできます。図 3-42 に示されるように、
「default DB2 user name」は Lotus Domino 8 Administrator クライアントのツール・サイド・バーの DB2 サーバー・セクションで設定できます。
図3-42 デフォルトの DB2 ユーザー名の設定
DB2 のコンテナの移動
DB2 に保管されている Lotus Notes データベースは DB2 コンテナ内に保管されています。一つの
DB2 コンテナは複数の Lotus Notes データベースを保管できます。
Lotus Domino 8 では、Lotus Domino Administrator クライアントを使って DB2 コンテナをあるディ
スクから別のディスクへ移動することができます。図 3-43 で示されるように、DB2 Groups セク
ションから移動対象の DB2 Group を選んで "Move Container" を選択することで実行されます。
93
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.8 他のIBM製品との統合
図3-43 DB2 コンテナの移動
DB2 コンテナの移動後に、DB2 保管されている Lotus Notes データベースへの接続の再作成と確認
ができます。 Lotus Domino 8 Administrator クライアントは、Lotus Notes データベースへのリンク
ファイルを作成するリコンシリエーションツールを提供します。
3.8.2 Lotus Domino と WebSphere Portal の統合
今後の WebSphere Portal のリリースでは、WebSphere Portal と Lotus Domino 8 の環境の統合をよ
りシンプルにすることが目的とされています。 統合環境のセットアップの促進や、Lotus Sametime
や Lotus QuickPlace を自動的にセットアップする統合ウイザードが予定されています。
このウイザードには、Common PIM Portlet (CPP) や Domino Extended Products Portlets (DEPP) の
セットアップ機能も含まれます。 次にあげる手動の手順が自動化されるよう計画されています。
シングルサインオンの構成:
• LTPA トークンの書き出し
• Lotus Domino の Web SSO 文書の作成
Lotus Sametimeの構成:
• シングルサインオンと Lotus Domino Web Access での在席確認の有効化
• STCENTER.NSF での信頼サーバーの設定
Lotus Domino ディレクトリー
の設定:
• シングルサインオン、DIIOP
• コラボレーションサービスの Lotus Domino LDAP サーバーとのバインドの構成
Lotus Domino メール・サーバーの構成:
• シングルサインオン、DIIOP、notes.ini の HTTP 設定、XML サービスの有効化
94
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
3.8 他のIBM製品との統合
必要条件
次の必要条件にご注意ください。
• Lotus Domino LDAP の利用には、WebSphere Portal サーバーのセキュリティー機能が有効化され
ている必要があります
• Lotus Domino サーバーのバージョンは 6.5.4、6.5.5、7.0.x、8.0.x が必須です
• WebSphere Portal サーバーのバージョンは 6.0.1 が必須です
• Lotus Sametime サーバーのバージョンは 7.0 か 7.5 が必須です
3.8.3 Lotus Domino 8 と Tivoli Enterprise Console の統合
Lotus Domino 7 では、OS から生成されるイベントが Tivoli Enterprise Console へ転送され、単一の
モニタ用インターフェース上で他のアプリケーションのイベントと合わせて見られるように設定が
できます。
Lotus Domino 8 では、すべてのイベントが Tivoli Enterprise Console へ転送されるよう設定できま
す。まず図 3-44 のように Lotus Domino サーバーのサーバー設定文書で Tivoli Enterprise Console と
の接続を設定します。
図3-44 サーバー設定文書 Tivoli Enterprise Console の設定
次に図 3-45 に示される Monitoring Configuration データベース (EVENTS4.NSF) の Event Handler 文
書で、イベント転送の設定を行います。
図3-45 Tivoli Enterprise Console へのイベント転送のための Event Handler 設定
95
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4. アプリケーション開発者向け機能
この章では、主にアプリケーション開発者むけの新機能や機能改善について記しています。この中
には、Lotus Notes アプリケーションと、今回新たに加わる Eclipse アプリケーションの開発フレー
ムワークを利用したアプリケーションの内容が含まれます。詳細は以下の通りです。
• 既存の Lotus Notes アプリケーション
• コンポジット・アプリケーション
• Lotus Notes 8 クライアントに組み込まれたコンポジット・アプリケーション・エディター機能
• Web サービス・コンシューマーのサポート
• Lotus Domino サーバーと DB2 との統合
96
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.1 Lotus Notes アプリケーション
これまでの Lotus Notes アプリケーション同様、Lotus Notes 8 クライアントにおける上位互換性を
保持しています。以前のバージョンの Lotus Notes クライアントで開発された、全てのアプリケー
ションは Lotus Notes 8 クライアントで再設計することなく、正しく機能します。
Lotus Notes 8 クライアントと Lotus Domino Designer 8 クライアントには以下のような重要な拡張が
されています。
• DB2 連携機能を使用した既存のアプリケーションの拡張
• Lotus Notes アプリケーションの要素単位を、コンポジット・アプリケーションとして再利用
• Web サービス・コンシューマーとしてのアプリケーションの作成
これらの機能を使って、既存のアプリケーション資産を、他のシステムを利用したものに拡張でき
ます。
これらの基本的な拡張機能に加え、Lotus Domino Designer 8 クライアントで追加された機能や改善
点をこの章で解説します。
4.1.1 右マウス・メニュー機能の強化
以前のリリースでは、作成したカスタム・アクションを右クリック・メニューに表示するか否かを
設定するオプションがありました。これを利用してユーザーが使いやすいように右クリック・メ
ニューを設計者はカスタマイズすることができました。
しかし、この設定を利用すると、右クリックを行った際に表示されるメニューに「標準的なアク
ション」 (コピーや貼り付けなど)が自動的に加わるようになっていました。(図 4-1) そのため、表
示されるメニュー数が多くなり操作性を低下させる原因となっていました。
図4-1a ビューやフォルダー表示で、右マウス・クリックで表示されるデフォルトのメニュー
(Lotus Notes 7の例)
Lotus Domino Designer 8 クライアントでは、これらデフォルトで表示される右クリック・メニュー
を非表示にするオプションが追加されました。そのため、ユーザーにとって必要なアクションだけ
を表示させることができ、設計者が意図した右クリックによる使いやすさの向上を実現できるよう
になりました。(図 4-1b)
97
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.1 Lotus Notes アプリケーション
図4-1b 右マウス・クリック時のデフォルト・メニューの非表示設定と、実際の表示
4.1.2 バイト数でのカラムの表示形式オプション
Lotus Domino Designer 8 クライアントでは数値列に対して新しい列のタイプが追加され、ファイ
ル・サイズを KB、MB、GB の単位で表示できます。これまでは全てバイト単位でしか表示できま
せんでしたので、ビュー上で KB 単位などで表示する場合には、計算式を入れるなどの追加の計算
処理が必要でした。その結果、ビューのパフォーマンスが低下する要因になっていました。
図4-2 列の表示単位をバイト以外に KB、MB、GB から選択可能
4.1.3 ウィンドウに合わせた列幅の調整機能の拡張
以前のバージョンでは最後の列幅を、ウィンドウの幅に合わせて表示できましたが、Lotus Domino
Designer 8 クライアントでは指定する列を、ウィンドウの幅に合わせて自動的に調節して表示させ
ることができるようになりました。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.1 Lotus Notes アプリケーション
図4-3 ウィンドウの幅にあわせて、指定した列の幅を拡張させる設定
4.1.4 ソート・インデックスの作成の延期機能
指定したビューやフォルダーの列をソートさせることができますが、インデックスの作成は Lotus
Domino サーバーに負荷をかけます。Lotus Notes/Domino 8 ではユーザーが最初にソートを実行する
まで、その列に対するインデックスの作成をせず、サーバーの負荷を分散、軽減させることができ
ます。この機能を利用するには新しい ODS を使う必要があります。
図4-4 初回のソート時までインデックスの作成を行わない設定
4.1.5 サムネイルのサポート
リッチ・テキスト・ライトの新しいフィールド・オプションとしてサムネイルが利用可能です。添
付されたファイルのサムネイルを、指定した幅や高さに合わせて表示します。
99
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.1 Lotus Notes アプリケーション
図4-5 サムネイルでの表示機能の設定
4.1.6 言語拡張プログラム
式や LotusScript API が追加されました。詳細や利用方法は Lotus Domino Designer 8 クライアント
のヘルプを参照してください。
式言語
以下の式が追加されています。
• @IsUsingJavaElement
• @URLQueryString
• @GetViewInfo([GetFormName])
• @Command([CopySelectedAsTable])
• @Command([OpenInNewWindow])
LotusScript API
以下の LotusScript のクラス、プロパティー、メソッドが追加されています。
• 未既読マークのサポート: LotusScript による全ての未既読情報の収集
• Notes PropertyBroker クラス
• Notes Property クラス
• Notes Directory クラス
• Notes DirectoryNavigator クラス
• Notes View クラスの GetColumnValues メソッド
• Notes DXLExporter クラスの UncompressAttachments プロパティー
• Notes UIWorkspace クラスの OutlineReload メソッド
Java 5 のサポート
Lotus Notes/Domino 8 は新しい IBM Java SE の技術を搭載しています。Java 5 はパフォーマンス、
信頼性、保守性が向上し、以前のバージョンよりも使用メモリー量が小さいのが特長です。新しい
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.1 Lotus Notes アプリケーション
Java 5 の構文が利用でき、そのハイライトは以下の通りです。
• パフォーマンスの向上
アプリケーションのための設定が可能な新しいガベージコレクターになりました。フットプリン
トの読み込みと JVM の読み込み時間の削減による新しい共有クラスの設定オプションが利用で
きます。
• 高い信頼性
新しいIBM Java SE 技術はより信頼性が増し、サービスの提供が手軽になりました。トレースは
実環境で実行できるようになり、その結果は分析のために利用されます。
• JIT コンパイラー
この機能は利用状況に応じてバイト・コードをコンパイル、最適化します。バイト・コードから
ネイティブ・プラットフォームへのコンパイルにより、アプリケーションを高速化できます。コ
ンパイルは実行時に動的に行われます。また、ハードウェアに合わせてコンパイルを実施します
ので、それぞれのプラットフォームで Lotus Notes/Domino アプリケーションのパフォーマンス
が最適化されます。この機能はデフォルトで有効になっています。
• notes.ini の設定により、ユーザーは Java 5 の全ての機能を利用するかどうかを選択できます。
Web アプリケーションの拡張
Lotus Domino 8 では、以下の Web アプリケーションのための拡張がされています。予約語フィー
ルドを利用することでフォームとリッチ・テキスト・フィールドの表示に関して、より多くの制御
が可能になります。
例えば $$HTMLOptions は、フォームや文書内の表の設定とセクションの展開を制御できます。ま
た、この機能を使って、パス・スルー HTML を無効にすることもできます。パス・スルー HTML
を無効にすることで、ユーザーがブラウザーで文書を開いた時に、フィールドに埋め込まれた実行
可能な HTML のコードが実行されるのを防ぐことができます。
Ajax アプリケーションのために、以下のような記述による JavaScript Object Notation (JSON) 形式
のフォーマットの出力をサポートします。
<Domino URL>?ReadViewentries&Outputformat=JSON
4.1.7 サーバー起動時のエージェント実行
エージェントの実行タイミングのオプションとして、
「サーバー起動時に実行」のオプションが追加
されました。サーバーの起動後、1 回のみ実行する必要のあるエージェントを何度も実行されない
ようにして、無駄な動作を省くことができます。このオプションを選択した場合、エージェント・
マネージャーの再起動を行ってもエージェントが実行されることはありません。
101
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.1 Lotus Notes アプリケーション
図4-6 サーバー起動時のエージェント実行設定
4.1.8 DXL の拡張
DXL は Lotus Domino のデータを XML フォーマットで表現したもので、Lotus Domino アプリケー
ションのデータを他のプラットフォームに公開するための手法です。DXL 機能は Lotus Domino 6
で追加され、その後のバージョンで、より多くの種類の設計要素をサポートしながら発展してきま
した。
DXL を使用すると、これまではコストや技術的に難しかったデータの管理が可能になります。Lotus
Domino のデータを外に出すことで、Lotus Domino Designer クライアント以外のツールによりアプ
リケーションも作成できます。
DXL の一般的な使い方は以下の通りです。
• 外部データベースやアプリケーションから Lotus Domino データベースに XML データをイン
ポートできます。
• Lotus Domino データベースから外部データベースやアプリケーションに XML データをエクス
ポートできます。
• データをエクスポートし、変更してインポートすることで、Lotus Domino データベースのデー
タを変更できます。
• Lotus Domino API の多くの場合の代替として、DXL を利用して、より簡単に情報の読み書きが
できます。
• Lotus Domino データベースの文書を、外部の検索エンジンで検索できるフォーマット形式でアーカ
イブできます。
Lotus Domino 8 サーバーでは、以下の設計要素を追加でサポートします。
• DB2 アクセス・ビュー
• DB2 クエリー・ビュー
• レイヤー
• MIME 形式のメール・メッセージ
• Exporter のフィルタリング
• LZ1 形式の添付ファイル
102
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.1 Lotus Notes アプリケーション
• Web サービス
Lotus Domino 8 サーバーでは新しいプロパティーが追加されており、DXL を利用して Lotus Notes
クライアントの文書やリッチ・テキストの処理の利便性が高まっています。例えば、文書内の全て
のフィールド値を取り込みたくない場合や、リッチ・テキストの全てのコンテンツを含みたくない
場合に利用できます。
DXL に関する詳細情報は以下の記事をご覧ください。
http://www.ibm.com/developerworks/lotus/library/app-dxl/
103
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
Lotus Notes 8 クライアントは、オープン・スダンダードな Eclipse アプリケーション開発フレーム
ワークやコンポーネントベースのサービス・オリエンティット・アーキテクチャー (SOA) を取り入
れています。これにより、複数のソフトウェア・プログラムの結合やそれらへのアクセス、そして
ユーザーへの展開が容易に行えます。開発者としては、ビジネスニーズの変化に合わせて、アプリ
ケーションをより早く作成し、既存の資産の再利用を行う手段が得られます。ユーザーとしては、
自分に固有の役割に応じて、Lotus Notes 8 クライアントの中で、各種アプリケーションが使えま
す。
Lotus Notes/Domino 8 では、現場 (LOB: ライン・オブ・ビジネス) で利用されている複数のソ
リューションやデータを統合して、ひとつの新しいアプリケーション組み立てられる「コンポジッ
ト・アプリケーション」と呼ばれる、新しい形のアプリケーションを容易に構築できるようになり
ました。
コンポジット・アプリケーションの特長は、複数のソース情報へのアクセスをまとめて行うことが
できることです。例えば、Lotus Notes データベース、Java アプリケーション、Web、CRM アプリ
ケーションなどの異なる種類や仕組みのアプリケーションです。各アプリケーション・コンポーネ
ントは、相互に情報のやりとりが可能で、あるアプリケーションでビューの変更をやデータの入
力、編集を行うと、関連づけられた他のアプリケーションのビューやデータなどが連動して変更さ
れます。
コンポジット・アプリケーションを使うメリットは、再利用可能なコンポーネントを設計でき、ま
たそれを組み合わせることで、最小限またはほとんどコードを書かずにさまざまなアプリケーショ
ンを作成できることです。オンラインでもオフラインでもアプリケーションを利用できるようにも
できますので、ユーザーが作業を継続できるようにもできます。Lotus Notes 8 クライアントにはコ
ンポジット・アプリケーション・エディター機能が備わっていますので、アプリケーションのユー
ザーや現場のリーダーは、現場が使いやすいようにアプリケーション・コンポーネントを組み合わ
せて、カスタマイズしたアプリケーションを組むこともできます。
コンポジット・アプリケーションは、WebSphere Portal や Lotus Domino を通じてユーザーに展開
します。したがって、これまでインフラとしてこれらの製品へ行ってきた投資を有効に活用し、投
資効率を高めることができます。コンポジット・アプリケーションには、NSF 形式のデータベース
を利用したものと、Eclipse のプラグインなどを利用する形式、ブラウザーを利用する形式などがあ
ります。Lotus Notes/Domino の技術者は既存の NSF データベースをアプリケーション・コンポーネ
ントとして再利用できますし、LotusScript などのスキルを利用できます。Java のスキルを持ってい
る技術者は Lotus Notes 8 クライアントの基盤である Eclipse ベースのアプリケーションを作成して
Lotus Notes 8 で実行させることもできますし、NSF データベースと連動した Eclipse アプリケー
ションを作成することもできます。
このように、既存の資産と開発者のスキルを最大限に発揮できるように、Lotus Notes/Domino 8 は
設計されています。
Lotus Domino 8 と WebSphere Portal V6 サーバーと組み合わせて、コンポジット・アプリケーショ
ンを配置、運用できますが、その組み合わせを図 4-7 に示します。
104
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
図4-8 コンポジット・アプリケーションとサーバーの組み合わせ
基盤環境として WebSphere Portal を使用する場合でも、Lotus Notes 8 クライアントと同様に、
Web ブラウザーからアクセスできるコンポジット・アプリケーションを作成、配置できます。
Lotus Notes 8 クライアントのコンポジット・アプリケーション・エディター、または WebSphere
Portal で提供されるアプリケーション・テンプレート・エディターを使用することで、コンポジッ
ト・アプリケーションを作成できます。
基盤環境として Lotus Domino を使用する場合には、Lotus Notes 8 クライアントのコンポジット・ア
プリケーション・エディターを使ってコンポジット・アプリケーションを定義できます。Lotus
Notes 8 クライアント・アプリケーションのレプリカをローカルに作成することができますので、オ
フラインでもアプリケーションにアクセスできます。Lotus Domino Designer 8 クライアントでは開
発者が、Lotus Notes アプリケーション設計要素をコンポーネントとして使えるよう、容易に設定で
きるように機能拡張がされています。その詳細については、
「4.2.2 コンポジット・アプリケーショ
ンの構築」で解説します。
「4.2.3 コンポジット・アプリケーションのアセンブリングとワイヤリング」で解説している、新し
く組み込まれたコンポジット・アプリケーション・エディターは、ひとつのコンポジット・アプリ
ケーションに複数のコンポーネントを集積させ、1 対1または1対多の関係のコンポーネントのワ
イヤリング (配線) を定義します。この定義処理ではコーディングは必要ないので、開発者でなくと
も現場の IT リーダーが実行できます。
4.2.1 コンポジット・アプリケーションの例
図 4-8 の例にあるように、顧客プロファイル・アプリケーションが、3 つのコンポーネントから構
成されています。このアプリケーションは、Lotus Notes/Domino 8 のコンポジット・アプリケー
ション・ツールキットに含まれているのものです。コードは単一の Lotus Notes データベースに格納
されており、Lotus Domino 8 サーバーや Lotus Notes 8 クライアントに展開できます。
例えば、ウインドウの上半分には、Corporate Customers という Lotus Notes データベースからの
ビューを表示する、ひとつのコンポーネントです。ウインドウのの下半分には、1つは Account
Manager の詳細情報、もう1つは Sales History を表す、2つの Eclipse コンポーネントを表示でき
105
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
ます。
Lotus Notes ビューの列をクリックすると、Lotus Notes ビューで選択された会社に対応した情報が、
Eclipse のアプリケーション・コンポーネントに表示、更新されます。
図4-8 コンポジット・アプリケーションの例
4.2.2 コンポジット・アプリケーションコンポーネントの構築
コンポジット・アプリケーション・コンポーネントには、NSF コンポーネント (Lotus Notes アプリ
ケーションからの設計要素) や Eclipse コンポーネントがあります。ここで扱う例では、Lotus
Notes データベースからの NSF コンポーネントを作成することにします。
既存の Lotus Notes アプリケーションを修正しなくても、コンポジット・アプリケーション・エディ
ター機能を使用して、ビュー、フォーム、文書、その他の Lotus Notes アプリケーションの要素を、
コンポジット・アプリケーションのコンポーネントと定義できます。ただし、コンポーネント間の
通信機能を実装する場合には、Lotus Domino Designer 8 クライアントの新機能を使用して、設計要
素をコンポーネントとして公開する必要があります。具体的な NSF ベースのコンポーネントの構築
は、次のステップに従います。
1.
コンポーネントが公開するプロパティーの決定
図4-8にある例の通り、公開されたプロパティーは ID と Account です。これらは、All Accounts\By
Company ビューの最初の2列にあります。
2.
他のコンポーネントのプロパティーにワイヤーされた時に、コンポーネントが実行するアクションの決定
サンプルのアプリケーションでは、AccountManager コンポーネントの ID フィールドの値の更新と、Sales
History コンポーネントの Account 名の値の更新があります。
106
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
3.
Web サービス記述言語 (WSDL) を作成するには、このステップで、プロパティー・ブローカー・エディター
を使用して、コンポーネントのアクションとプロパティーをリストアップします。プロパティー・ブローカー・エ
ディターでは、それぞれのプロパティーとアクションの値にしたがって定義する必要があります。
• ネーム・スペース
ネーム・スペースは、まとまった実体をあらわす唯一の記述子です。ネーム・スペースの概
念は、実体に関連する混乱を避けることにあります。すなわち、同名であるが同じデータを
保持しないものは、共に繋いではいけないということです。データ型 (次の中黒で定義され
た) は、複数のネーム・スペースが存在できますが、名前が特定のネーム・スペース内で固
有であるかぎり、コンポジット・アプリケーション・エディターを使用できます。サンプル
のアプリケーションでは、ネーム・スペースは “com.ibm.compositeapps.samples"です。
• データ型
データ型は、同じデータ定義を持つエンティティを連結します。データ定義によりデータ型
の名前が供給される必要はないが、開発者は、特定のデータ型を同じ定義をもつエンティ
ティに割り当てるだけということに注意してください。サンプルアプリケーションでは、
Eclipse コンポーネントのフィールドへの Lotus Notes ビューの列のデータ型 "AccountID" と
"Account" がリンクされています。
コンポーネントのためにプロパティーとアクションの特性が明らかになれば、それぞれのコンポー
ネントの WSDL を生成して、NSF コンポーネントとして公開する特定の設計要素または文書を含
んだ Lotus Notes データベースにこれをインポートします。(図 4-9)
図4-9 コンポーネントを含む Lotus Notes データベースに WSDL をインポートする
4.
LotusScript のクラス、メソッド、プロパティーを含む定義されたプロパティーとアクションを繋ぐために、NSF
設計要素を編集します。サンプル・アプリケーションでは、Lotus Notes は公開されたプロパティーのみコン
ポーネント化されます。これは、図4-10 のようにビューの列定義で構成されています。
107
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
図4-10 AccountID プロパティーの定義
ビューの列に直接含まれないプロパティーの値を公開したい場合は、図 4-11 のように、Onselect
ビュー・イベントを使用してください。イベント内のコードでは、ビューの中でハイライトされた
行(文書)を特定し、この行(文書)で公開すべきプロパティーの値を決定します。そして、プロ
パティー値の公開のために用意された新しい LotusScript である NotesProperty クラスと values プ
ロパティを使用して、プロパティーの値を計算します。
図4-11 Onselect ビューイベント
108
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
今回の例で使用したコンポジット・アプリケーション内の Eclipse コンポーネントが NSF コンポー
ネントだった場合は、公開されているプロパティから受けた情報をインプットにして、それを適切
に処理するように、
(Lotus Notes データベース内にあるコンポーネントの設計要素として)アク
ションを定義する必要があったことに注意してください。
図4-12 アクションの定義
コンポジット・アプリケーション・ツールキットは、コンポジット・アプリケーションの開発と、
これまでに述べられた全ての要素を定義するため詳細なステップを含めて、コンポジット・アプリ
ケーションの開発を行うチュートリアルを含んでいます。
4.2.3 コンポジット・アプリケーションのアセンブリングとワイヤリ
ング
アプリケーション開発者はコンポジット・アプリケーション・コンポーネントの作成を含む必要が
ありますが、4.2.2 の"コンポジット・アプリケーション・コンポーネントの構築"に述べられている
ように、アプリケーション・コンポーネントのアセンブリングとワイヤリングは、潜在的に管理や
開発アシスタンスなしでタスクを完了でき、ビジネス・マネージャーが実行できる作業内容です。
これはビジネスの専門家が、必要な情報をまとめるためのアプリケーションを設計することを可能
にします。例えば、組織の情報システムで一般的に使われているデータ型であったり、例えば、社
員 ID、プロジェクトコード、顧客アカウント番号などについて、IT 開発者はこれらのエンティ
ティに関する情報を蓄積する情報システムで要素を洗い出し、ビジネス・マネージャーがこれらを
適切にリンクすることで、コンポーネントを構築できます。コンポジット・アプリケーションをア
センブリングするには、次のステップで行います。
1. Lotus Notes コンポジット・アプリケーション・コンテナーの作成
データベースは、コンポジット・アプリケーションの基盤となる Lotus Domino サーバー、または
Lotus Notes クライアントで作成する必要があります。このデータベースを File → Application →
109
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
New menu のオプションを使用して、ブランク・コンポジット・アプリケーションを選択して作成
します。(図 4-13)
図4-13 新規コンポジット・アプリケーションの作成
既存の Lotus Notes アプリケーションは、図 4-14 の通り、データベース・プロパティーにあるコン
ポジット・アプリケーションとして設定するところから構成が始まります。
図4-14 コンポジット・アプリケーション・データベース・プロパティー
図 4-15 に見られるとおり、新規フレームセット・プロパティーを使用することで、アプリケーショ
ンをコンポジット・アプリケーションとして開始できることに注意してください。このことによ
り、Lotus Notes 8 クライアントはコンポジット・アプリケーションとして開けます。一方で、8 よ
り前の Lotus Notes クライアントでは、従来からある Lotus Notes アプリケーションとしてデータ
ベースを開きます。この方法により、既存のアプリケーションは、特にアクションを作らなくて
も、コンポジット・アプリケーションにシームレスにアップグレードされます。
110
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
図4-15 フレームセット・プロパティー
2. コンポジット・アプリケーションにコンポーネントの追加
どんな Lotus Notes アプリケーションも開くことができるのと同様に、コンポジット・アプリケー
ション・コンテナーを開きます。
コンポジット・アプリケーション・コンテナーは、図 4-16 に見られるとおり初期値は未設定です。
ページのテキストに示されるとおり、メニューバーより 「アクション」 → 「アプリケーションの
編集」を選択します。
図4-16 コンポジット・アプリケーションの初期設定
このアプリケーションで使用したいコンポーネントを追加するウインドウの右側に、コンポーネン
ト・パレットがあります。図 4-17 の通り、NSF コンポーネントを追加すれば、正しいコンポーネ
ントを選択するためにデータベースとビューをブラウズします。
111
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
図4-17 NSF コンポーネントの追加
Eclipse コンポーネントを追加すれば、コンポーネントを配置するために、Eclipse の Update Site か
ローカルマシンでブラウズすることができます。 (図 4-18)
図4-18 Eclipse コンポーネントの追加
パレットにある全てのコンポーネントを持っているとき、図 4-19 のように中央のページへドラッグ
&ドロップできます。そして、希望する構成になるまで、サイズの変更または構成の変更をしてく
ださい。
112
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
図4-19 コンポジット・アプリケーションにコンポーネントを配置する
3. コンポジット・アプリケーションにあるコンポーネントの接続
コンポジット・アプリケーションを作成する最後のステップは、プロパティーとアクションを共に
繋ぐことです。このために、図 4-20 の通り、左のスライドバーのコンポーネントの1つを右クリッ
クしてワイヤリングを選択します。
図4-20 コンポーネントのワイヤリング
図 4-21 に見られるとおり、その時に、それぞれのコンポーネントと関連するプロパティーやアク
ションに見られるグラフィカルなインターフェースが表示されます。
図4-21 インターフェースをワイヤリングする
113
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.2 コンポジット・アプリケーション
プロパティーをクリックすると、データ型の合うアクションは、共にワイヤリングされているコン
ポーネントに見られるとおり、隣にあるオレンジの円により示されます。ワイヤリングを実装する
ために、単純にプロパティーをクリックして、対応するアクションによりそれをコンポーネントに
ドラッグしてください。
図 4-22 に見られるとおり、コンポーネント間を繋ぐ点線が見られます。ワイヤリング・ペインで
は、いつでもソース・コンポーネントからプロパティーを見れます。コンポーネントを右クリック
して、ソースとしてセットを選択します。コンポーネント間の他の関係を定義して、ワイヤリング
を保存して、アプリケーションを保存します。
図4-22 ワイヤリングしたコンポーネント
コンポジット・アプリケーションは完成しました。
プログラミング言語、またはアプリケーション開発の詳細な知識がなくても、ビジネスを実行する
上で必要がある情報を表示するようなアプリケーションを構成、またはカスタマイズが可能です。
114
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.3 Web サービス・コンシューマー
Web サービスは、インターネットを介した分散コンピューティングの基礎です。Web サービスが提
供する標準化された手法により、異なるプラットフォーム上で稼動する、多種多様なソフトウェア
アプリケーション同士が通信することが可能となっています。
Web サービス・コンシューマーは、XML や SOAP、HTTP などの標準 Web プロトコルを利用し、
Web サービス・プロバイダーに接続して、その提供する機能を呼び出します。
Lotus Domino 7 では、Web サービスのホスティング機能をサポートしています。Lotus Domino Designer 7 の Web サービスの設計要素を活用し、Web サービスを記述し、Lotus Domino 7 サーバー上
でホスティングすることが可能となっています。これにより定義された Web サービスは、他のコン
ピュータからの呼び出しが可能です。
Lotus Domino 8 ではこれに加えて、Web サービス・コンシューマーのサポートを提供します。他の
どのコンピュータでホスティングされている Web サービスでも、呼び出すことが可能になりまし
た。
Web サービス・コンシューマーでは、Web サービスの設計要素を使用しません。Web サービスの設
計要素は、Web サービスの公開の場合のみ使用されます。それに対して Web サービス・コン
シューマーでは、専用のスクリプト・ライブラリー (LotusScript もしくは Java) を使用します。
Web サービスを呼び出すためには、エージェントなどのコード内で、そのスクリプト・ライブラ
リーを使用する必要があります。
この Web サービス・コンシューマーを作成する機能により、Web サービスのベースとなる共通のコ
ンポーネントを何度でも再利用することが可能です。アプリケーション開発の期間を短縮し、同一
の機能を提供するために、これまで重複して作業していたアプリケーション・コードの作成、管理
などの作業を回避できます。
以下のセクションでは、Lotus Domino Designer 8 クライアントを使用した、Web サービス・コン
シューマーの作成についての概要を解説します。
4.3.1 Web サービス対応スクリプト・ライブラリーの作成
ひとつの Web サービス対応スクリプト・ライブラリーには、ひとつの Web サービスが含まれま
す。
適切なスクリプト・ライブラリーを作成するためには、呼び出そうとしている Web サービスと関連
づいた、Web Services Description Language (WSDL) が必要です。WSDL は、Web サービス・プロバ
イダーが提供する一般的なインターフェイスで、Web サービス・プロバイダーが提供するさまざま
な属性や、Web サービス・コンシューマーが利用可能なメソッドが、XML 形式で記述されていま
す。
Lotus Domino Designer 8 クライアントでは、図 4-23 に示す通り、LotusScript や Java のライブラリ
内に、WSDL をインポートできます。
115
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.3 Web サービス・コンシューマー
図4-23 スクリプト・ライブラリーへの WSDL のインポート
Lotus Domino Designer 8 クライアントは WSDL ファイルを読み込み、LotusScript に変換し、Web
サービス・コンシューマーとして利用可能なメソッドとして表示します。Java でスクリプト・ライ
ブラリーを作成した場合には、WSDL の内容は Java に変換されます。図 4-24 に示すシナリオで
は、Web サービス・プロバイダーは気温を華氏から摂氏に変換したり、逆に変換するメソッドを提
供しています。
このスクリプト・ライブラリーには、バックエンドクラスのみが含まれていることに留意して下さ
い。Web サービスのメッセージは、ユーザー・インターフェースに関する手法が含まれていないた
めです。したがって、Web サービス・コンシューマーが含まれるこのスクリプト・ライブラリー
は、Lotus Notes 8 クライアント及び Lotus Domino 8 サーバーから利用可能です。
また、Web サービスの所在は、インポートした WSDL の一部にあることにも留意して下さい。
116
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.3 Web サービス・コンシューマー
図4-24 インポートされた WSDL の例
4.3.2 アプリケーション内でのスクリプト・ライブラリーの結合
WSDL がスクリプト・ライブラリーにインポートされると、図 4-25 に示す通り、Lotus Notes アプ
リケーションから利用可能になります。
LotusScript のスクリプト・ライブラリーを使う場合、ライブラリの (Options)、(Declarations)、
Initialize、および Terminate イベントのスクリプトは、現在のオブジェクトの対応するスクリプト内
のコードと同様に使用できます。
図4-25 スクリプト・ライブラリーの利用設定
4.3.3 アプリケーションにおけるスクリプト・ライブラリー機能の利
用
スクリプト・ライブラリーがアプリケーションに組み込まれると、インポートした WSDL に記述さ
れた機能がアプリケーションから利用可能になります。
例えば、図 4-26 に示す通り、図 4-26 において WSDL 定義とともにインポートされた、華氏から
摂氏に変換する機能は、ボタンがクリックされると実行されるアクションを記述した LotusScript の
117
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.3 Web サービス・コンシューマー
中で利用されています。
図4-26 アプリケーション内での Web サービス機能の利用
4.3.4 アプリケーションの実行
アプリケーションを実行すると、LotusScript のコードはスクリプト・ライブラリーの特定のメソッ
ドを呼び出し、編集可能フィールドから値を渡します。 (図 4-27)
図4-27 アプリケーションへのインプット
Web サービス・コンシューマーは、Web サービス・プロバイダーに要求を送信します。その要求は
HTTP プロトコルを経由して送信される SOAP メッセージであり、編集可能な華氏フィールドの値
を含みます。Web サービス・プロバイダーは処理を実行して、Web サービス・コンシューマーに、
処理の戻り値を含む SOAP メッセージを返送します。これがスクリプト・ライブラリー内のメソッ
ドの戻り値となります。図 4-28 に示す通り、LotusScript のコードはその戻り値を、摂氏と表示さ
れた編集可能フィールドに表示させます。
図4-28 Web サービスによる返送
118
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.4 Lotus Domino と DB2 の統合機能
Lotus Domino 7 において、NSF の代替データ・ストレージとして IBM DB2 との統合機能が追加され
ました。この機能は、Lotus Domino - DB2 機能と呼ばれ、DB2 あるいは NSF のいずれかにデータを
格納し、アクセスできる環境を実現するものです。この機能は、7 ではサポート範囲外でしたが、8
からサポート対象の機能になりました。
DB2 をデータ・ストア先とした場合には、データはリレーショナル・データベースにデータが格納
されますが、NSF データベースの機能は全て保持されていますので、従来通り NSF のデータベース
同様に利用できます。また、Lotus Domino のユーザーは、一般的な DB2 データと DB2 形式で格納
された Lotus Domino のデータを、まとめて扱えるようになります。さらに、Java EE アプリケー
ションなどの外部アプリケーションもまた、両データをまとめて扱えるようになります。この時、
DB2 のユーザーは、Lotus Domino の複製機能やセキュリティー機能が持つアドバンテージを得るこ
とができます。
• DB2 アクセス・ビュー (DAV)
この機能は、Lotus Domino のデータを DB2 のビューとして公開して、DB2 クライアントからア
クセスできるようにしたものです。(図4-29) これにより、SQL を使って DB2 のインターフェー
スからデータにアクセスできます。(図4-30) このビューのアクセスにおいても、Lotus Domino の
データ・セキュリティー機能が動作しています。
図4-29 DB2 アクセス・ビューの定義
図4-30 DB2 ビューに Lotus Domino のデータを表示した例
119
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.4 Lotus Domino と DB2 の統合機能
• クエリー・ビュー
この機能は、SQL ステートメントを利用して、ビューに表示するデータを選択できる機能で
す。(図4-31) このビューで利用できるデータ・ソースは Lotus Domino - DB2 機能を使っている
Lotus Domino のデータベースと、DB2 のデータベースです。
図4-31 クエリー・ビュー
Lotus Domino - DB2 機能に関する詳細については以下のページを参照してください。
http://www.ibm.com/developerworks/lotus/library/domino7-db2/ (英語)
4.4.1 DB2 データ・ストアの完全なサポート
Lotus Domino 7 で取り入れられた Lotus Domino - DB2 機能は、"Limited Availability" と呼ばれ、テ
スト目的で機能が提供されているものの、サポート外の機能でした。Lotus Domino 8 では、正式サ
ポート対象の機能となりました。
4.4.2 サポートされているプラットフォーム
Lotus Domino 7 では、Microsoft Windows と IBM AIX 5L のみが稼働環境でしたが、Lotus Domino 8
では、これに加えて Linux もサポートされました。
4.4.3 SQL を使ったトランザクション処理の更新、追加、削除
正しいアクセス権があれば、DB2 アクセス・ビューに対して SQL クエリーを実行することにより、
Lotus Domino データを操作することができます。Lotus Domino 7 では、以下の SQL クエリーのよ
うに DB2 アクセス・ビューに対して大量の SQL クエリーの実行が発生する場合、一行毎にコミッ
トを行います。
DELETE FROM <DB2 アクセス・ビュー名> WHERE <条件>
もし、この SQL クエリーの実行が途中で失敗した場合には、トランザクションの一貫性が保たれな
い可能性が発生します。Lotus Domino 8 では、SQL クエリーの実行はひとつのトランザクションと
してコミットを行います。もし、SQL クエリーの実行が、データ数行分実行した後に失敗した場合
は、SQL クエリーの実行はロールバックされ、トランザクションの一貫性は保証されます。
120
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
4.4 Lotus Domino と DB2 の統合機能
4.4.4 DB2 アクセス・ビュー (DAV) 用に追加されたカラム
Lotus Domino 8 では、DB2 アクセス・ビューに以下のカラムが追加されました。
• #server
• #database
• #special
• #ref
• #responses
これらのフィールドに対して DB2 アクセス・ビューを使って、SQL クエリーを実行できます。
#server と #database のカラムを利用すると、アプリケーション開発者は Lotus Domino アプリケー
ションの場所を特定でき、DB2 アクセス・ビューを使ってアクセスする機能を実現できるようにな
ります。
#ref と #responses カラムを利用すると、アプリケーション開発者は、返答文書の階層型で表現でき
るクエリー・ビューを作ることができます。
4.4.5 ユーザーマッピングの向上
「3.8.1 Lotus Domino と DB2」の項で記したように、デフォルトの DB2 ユーザーの実装により、
DB2 アクセス・ビュー に基づいて、DB2 のクエリー・ビューにアクセスする全員について Lotus
Domino ディレクトリーのユーザー文書にユーザー・マッピングを設定する必要がなくなりました。
これにより、データのアクセスに際してユーザー名を参照して、権限を確認する追加の手間が省く
ことができ、パフォーマンスが向上しています。
121
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
Appendix 1: Lotus Notes 8 クライアント: 新機能の稼働条件 (1/3)
以下の表は、本ガイドで紹介した機能を利用する上で必要となる環境を示したものです。機能を利
用する上での条件はさまざまであり、主な条件の要素として、
「Lotus Notes 8 クライアント
(Standard 版) の利用」
、
「Lotus Notes 8 クライアントメールテンプレートの利用」
、
「Lotus Domino 8
サーバーの利用」の 3 つがあります。この表では、必要な条件には "Yes" と記されています。機能
を利用するうえで、複数の条件が必要な場合がありますので注意が必要です。
条件の「Lotus Notes 8 クライアントメールテンプレートの利用」の「テンプレート」とは、
MAIL8.NTF、DWA8.NTF、MAIL8EX.NTF を指します。また、下表内に記された「Lotus Notes 8 クラ
イアントの利用」では、8 に付属の個人アドレス帳 (NAMES.NTF) とブックマーク・データベース
(BOOKMARK.NTF) を利用することが前提です。
Lotus Notes 8 クライアント
メールテンプレートの利用
Lotus Domino 8
サーバーの利用
Yes
既存の Lotus Notes アプリケー
ションは Lotus Notes 8 クライア
ントでも動作します。オープン・メ
ニューにあるメールとカレンダー
へのリンクの動作には 8 のメー
ル・テンプレートが必要です。
No
No
Productivity Tool へのリンクは動作しませ
ん。
No
No
オープン・リスト
Yes
N/A
No
ツール・バーの位置変更
Yes
N/A
No
サイド・バー・プラグイン
Yes
N/A
No
Yes
N/A
No
サムネイル
Yes
N/A
No
統合されたプリファレンス
Yes
N/A
No
拡張メニュー
No
N/A
No
オフラインでの利用
No
N/A
No
複数回のアンドゥ
No
No
No
インライン・スペル・チェック
No
No
No
複数文書の選択
Yes
N/A
No
最近のコラボレーション
Yes
N/A
No
Yes
N/A
No
検索センター
Yes
N/A
No
ヘルプの改善
Yes
N/A
No
IBM Support Assistant
Yes
N/A
No
↓機能 / 必要な環境→
Lotus Notes 8 クライアント(Standard 版) の
利用
Eclipse ベースのインターフェー
ス
ウェルカム・ページ
タブのグループ表示/新規ウィ
ンドウでの表示
テーマとインターフェースの変
更
122
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
Appendix 1: Lotus Notes 8 クライアント: 新機能の稼働条件 (2/3)
Lotus Notes 8 クライアント(Standard 版) の
利用
Lotus Notes 8 クライアント
メールテンプレートの利用
Lotus Domino 8
サーバーの利用
Basic 版では、一部のアクション・バーに変更が
あります。
Yes
No
メール・ヘッダーの選択表示
No
Yes
No
メール・アドレス指定
Yes
Yes
No
縦型プレビュー
Yes
Yes
No
No
No
( Lotus Notes 7で加わったメール・
ヘッダーにあるメールスレッド機能
も「切れない」スレッドです。)
Yes
会話形式のビュー
Yes
Yes
No
メールの取り消し
No
Yes
Yes
No
Yes
(サーバー側の不在通知機能の
改善は 8 のメールテンプレートを
必要としません。)
Yes
Basic 版では、一部のアクション・バーに変更が
あります。
Yes
No
ビュー・ナビゲーションの改善
Yes
Yes
No
終日イベントの表示
Yes
Yes
Yes
No
Yes
Yes
No
Yes
Yes
No
Yes
No
No
Yes
No
No
Yes
No
↓機能 / 必要な環境→
メール
アクション・バー
スレッド途中のメールを削除し
ても「切れない」メール・スレッド
不在通知の拡張部分
カレンダー
アクション・バーのワン・クリック
機能
未処理のカレンダー・エントリー
の表示機能
キャンセルされたカレンダー・エ
ントリーの表示機能
会議招集作成時に、自分のス
ケジュールを確認する機能
会議参加者の一部での空き時
間検索
会議招集への個人メモの追加
123
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
Appendix 1: Lotus Notes 8 クライアント: 新機能の稼働条件 (3/3)
Lotus Notes 8 クライアント(Standard 版) の
利用
Lotus Notes 8 クライアント
メールテンプレートの利用
Lotus Domino 8
サーバーの利用
連絡先フォームの変更部分
No
N/A
No
ビジネスカード・ビュー
Yes
N/A
No
最近のコラボレーション
Basic 版では「最近のコラボレーション」のビュー
は利用できませんが、最近やりとりをしたユー
ザー名は格納しています。そのため、メールの
宛先指定時にそのデータが利用可能で、複製
機能を使って同期も可能です。
N/A
No
Basic版では Lotus Notes 6.5/7 と同様に、在席
表示やインスタント・メッセージング機能の利用
ができます。ただし、機能などは Lotus Sametime 7.5 のものではありません。
N/A
No
Yes
N/A
No
N/A
Yes
(コンポジット・アプリケー
ションがクライアント上では
なく、Lotus Domino サー
バー上にある場合)
↓機能 / 必要な環境→
連絡先
インスタント・メッセージングとの
統合
IBM Productivity Tools
コンポジット・アプリケーション
No
124
Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
Appendix 2: Lotus Domino 8 サーバー: 新機能の稼働条件 (1/4)
以下の表は、本ガイドで紹介した機能を利用する上で必要となる環境を示したものです。機能を利
用する上での条件はさまざまであり、主な条件の要素として、
「Lotus Notes 8 クライアントの利用」
、
「Lotus Notes 8 クライアントメールテンプレートの利用」
、
「8 未満の Lotus Domino サーバーが混在
する時の制限事項」の 3 つがあります。この表では、必要な条件には "Yes" と記されています。機
能を利用するうえで、複数の条件が必要な場合がありますので注意が必要です。
↓機能 / 必要な環境→
Lotus Notes 8 クライアント
(Standard 版) の利用
Lotus Notes 8 クライアント
メールテンプレートの利用
8 未満の Lotus Domino サーバーが混在す
る時の制限事項
メール
メールの取り消し
不在通知の新機能
メールスレッドの保持とインター
ネット・メールのスレッド表示
受信ボックスのクリーンナップ
転送メールの Reverse-Path 設
定
接続切断のエラー制限回数設
定
曖昧な名前の拒否 / グループ
宛てメールの拒否
転送/配信の遅延レポート
Lotus Domino Web Access での
改良点
Yes
送信者と受信者の双方とも、Lotus Domino
Yes
8 サーバーにメール・ファイルがあること。途
( 取り消しオプションは 8 のテンプ
中のメール・サーバーについては 8 である
レートでのみ表示されます。)
必要はない。
Yes
クラスター環境のメールについてはすべて
Lotus Domino 8 サーバーであること。あるい
は、不在通知エージェントがエージェントで
動作するように設定してあること。
Yes
Lotus Domino 8 サーバー上
No
にメール・ファイルがあれば、
メール・ファイルが Lotus Domino 8 サー
( ただし、Conversation モードは、8
Lotus Notes 7 でもフォームの
バーにあること。だたし、他のルーティング・
のメール・テンプレートでのみ動
メール・ヘッダー部分のスレッ
メール・サーバーは 8 未満でも可。
作。)
ド表示に関しては動作。
No
No
メール・ファイルが Lotus Domino 8 サー
バーにあること。
No
No
メール・ファイルが Lotus Domino 8 サー
バーにあること。
No
No
Lotus Domino 8 サーバーを利用のこと
No
No
Lotus Domino 8 サーバーを利用のこと
No
No
Lotus Domino 8 サーバーを利用のこと
No
DWA 8 のメールテンプレートを利
用のこと。
メール・ファイルが Lotus Domino 8 サー
バーにあること。
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
Appendix 2: Lotus Domino 8 サーバー: 新機能の稼働条件 (2/4)
↓機能 / 必要な環境→
Lotus Notes 8 クライアント
(Standard 版) の利用
Lotus Notes 8 クライアント
メールテンプレートの利用
8 未満の Lotus Domino サーバーが混在す
る時の制限事項
N/A
(Lotus Domino 8 サーバーに
のみ該当)
No
Yes
( Lotus Domino 8 の新しい ODS が必要)
N/A
(Lotus Domino 8 サーバーに
のみ該当)
No
Yes
( Lotus Domino 8 の新しい ODS が必要)
No
No
クラスターのメンバー・サーバーは全て 8 で
あること。
No
No
送信元は Lotus Domino 8 であること。
No
No
Lotus Domino 8 の新しい ODS が必要。8
未満のサーバーについては従来の方法を
利用のこと。
No
No
Lotus Domino 8 サーバーでのみ実行可
能。
No
No
Lotus Domino 8 サーバーでのみ実行可
能。
No
No
Lotus Domino 8 サーバーでのみ実行可
能。
スマート・アップグレードは 6、
7 のクライアントに利用可能。
プラグイン・プロビジョニングは
Lotus Notes 8 クライアントでの
み利用可能。
No
Lotus Domino 8 サーバー上でのみ稼働。
No
No
ユーザーのホーム・サーバーが 8 未満でも
動作。但し、Lotus Domino ディレクトリーの
テンプレートが 8 のものであること。
Yes
( 8 未満のクライアントでは、ア
クティビティー機能のプラグイ
ンは利用不可。)
No
ユーザーのホーム・サーバーが 8 未満でも
動作。但し、Lotus Domino ディレクトリーの
テンプレートが 8 のものであること。
Yes
( 8 未満のクライアントでは、
Productivity Tools は利用不
可。)
No
ユーザーのホーム・サーバーが 8 未満でも
動作。但し、Lotus Domino ディレクトリーの
テンプレートが 8 のものであること。
Yes
No
リダイレクトが作成されているサーバーが 8
であること
効率性とパフォーマンスの改善
設計要素の圧縮
ソート用インデックスの作成の
延期機能
ストリーミング・クラスター複製機
能
処理を行うシステム管理データ
ベースにシステム管理要求を
送信
ユーザー名のリネームの改善
クリティカルな要求の実行スケ
ジュール: スケジュールの変更
即時 / 定期の要求実行に対す
る専用スレッド
簡易検索の禁止
Lotus Notes クライアント管理機能
サーバー管理型プロビジョニン
グ
ポリシー: 適用方法の機能改善
ポリシー: アクティビティー・ポリ
シー設定文書
ポリシー: Productivity Tools ポリ
シー設定文書
データベースのリダイレクト
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
Appendix 2: Lotus Domino 8 サーバー: 新機能の稼働条件 (3/4)
↓機能 / 必要な環境→
Lotus Notes 8 クライアント
(Standard 版) の利用
Lotus Notes 8 クライアント
メールテンプレートの利用
8 未満の Lotus Domino サーバーが混在す
る時の制限事項
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。プローブは Lotus Domino 8 サー
バーから実行されること。
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。プローブは Lotus Domino 8 サー
バーから実行されること。
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。DDM の収集サーバーは Lotus
Domino 8であること。
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。
No
No
Lotus Domino 8 Administrator クライアントが
必要
No
No
Lotus Domino ディレクトリーのテンプレート
が 8 であること。
No
No
ディレクトリー・アシスタンスが Lotus Domino
8 サーバーで稼働していること。
No
No
ディレクトリー・アシスタンスが Lotus Domino
8 サーバーで稼働していること。
No
No
Lotus Domino 8 サーバーでのみ稼働。
No
No
Lotus Domino 8 サーバー上での検索のみ
有効
No
No
Yes
Lotus Domino サーバー管理機能
Domino Domain Manager: WebSphere サービス・プローブ
Domino Domain Manager: LDAP
検索応答プローブ
Domino Domain Manager: 自動
レポート完了 (Automatic Report
Closing)
Domino Domain Manager: 共通
アクション・ボタン
Domino Domain Manager: CA
ロールの実行
Domino Domain Manager: モ
ジュラー文書
Domino Domain Manager: デー
タベース・ビュー毎の表示
Web Administration サーバー・
ブックマーク
ディレクトリー
Lotus Notes クライアント・バー
ジョン・ビュー
ディレクトリー・アシスタンス: 認
証/認可のみの2次ディレクト
リー使用
DA: LDAP ディレクトリーの改善
された設定機能
ディレクトリー・リント
改善されたグループ・メンバー・
展開
Tivoli Directory Integrator
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Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
Appendix 2: Lotus Domino 8 サーバー: 新機能の稼働条件 (4/4)
Lotus Notes 8 クライアント
(Standard 版) の利用
Lotus Notes 8 クライアント
メールテンプレートの利用
8 未満の Lotus Domino サーバーが混在す
る時の制限事項
No
No
Lotus Domino 6、7、8 で利用可能。
No
No
Lotus Domino 8 サーバーで有効化するこ
と。
認証者キーのロール・オーバー
No
No
Lotus Domino 8 Administrator クライアントが
必要。
ID ファイルのリカバリー API
No
No
Lotus Domino 8 サーバーが必要。
Yes
No
N/A
Yes
No
Yes
No
No
Yes
No
No
DB2 機能を有効化するサーバーは 8 であ
ること。
No
No
Yes
No
No
DDM データベースのテンプレートは 8 であ
ること。DDM の収集サーバーは 8 であるこ
と。
↓機能 / 必要な環境→
セキュリティー
インターネット・パスワード・
フィールドへのアクセス禁止
インターネット・パスワードのロッ
クアウト
ローカル・データベースの暗号
化
OCSP を利用した証明書のリボ
ケーション・チェック
LTPAToken2 を使った SSO
IBM製品との統合
Lotus Domino - DB2 機能の改
善
Lotus Domino / WebSphere
Portal の統合
Tivoli Enterprise Console との統
合
Lotus Domino 8 で新しくなった ODS バージョン
Lotus Domino 7 でのデータベースの構造を示す ODS (On-Disk Structure) は 43 でした。Lotus Domino 8 では、新機能に対応するために更に新しい形式になりました。この形式は、新機能の一部をを
使う際に必要になるもので、必須ではありません。Lotus Domino 8 では、従来の ODS 43 なども利
用できます。
この新しい形式を利用するには、管理者は Lotus Domino 8 サーバー の notes.ini に以下の設定を
行う必要があります。Lotus Domino 8 へアップグレードしただけでは自動的に新しい ODS は利用で
きませんので注意が必要です。
Create_R8_Databases=1
新しい ODS では、ディスク I/O の改善やフォルダーの最適化が図られています。その他、以下の新
機能を使う上で必須となるものです。
• データベース内へのユーザー名の格納機能 (3.5.4 に掲載)
• ソート・インデックスの作成の延期機能 (4.1.4 に掲載)
• 設計要素の圧縮機能 (3.5.1 に掲載)
128
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