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重症耳鳴りの脳科学研究に 新展開 本学共同研究チームが二つの脳領域をMRIで特定、 治療に糸口
重症耳鳴りの脳科学研究に 新展開 本学共同研究チームが二つの脳領域をMRIで特定、 治療に糸口 平成25年7月29日 ひどい耳鳴りは心に深刻な事態をもたらす • 人口の300人に1人がひどい耳鳴りに悩まされおり、精神的に病んだり自殺に追 い込まれるような深刻な事態に陥ることもある • その原因は不明で、従って根本的な治療方法がない • 受け皿がわからないため、一人で悩んでいる人が多い 本学共同研究チームの立ち上げ • • • • 耳鼻咽喉科 神経精神科 基礎医学教室:生理学第一講座、解剖学第一講座 和歌山南放射線科クリニック 研究内容 新たな解析手法を独自に開発 正確な脳内ネットワーク解析 脳全体を探索 聴覚とは直接関係ない場所! 耳鳴りに関係する新たな領域を発見 耳鳴りの強さと不快感は別の領域が関与 耳鳴りは治せなくても、不快感は除ける可能性! Brain regions responsible for tinnitus distress and loudness: a resting-state FMRI study. Ueyama T, Donishi T, Ukai S, Ikeda Y, Hotomi M, Yamanaka N, Shinosaki K, Terada M, Kaneoke Y. PLoS One. 2013 Jun 25;8(6):e67778. doi: 10.1371/journal.pone.0067778. Print 2013. 耳鳴りについて • 耳鼻咽喉科 山中昇教授 • 神経精神科 篠崎和弘教授 研究チームと役割 基礎医学教室:脳科学研究 生理学第一講座 解剖学第一講座 耳鼻咽喉科 脳内神経回路の解析 神経精神科 重症例 精神疾患のチェック 精神的看護、治療 外耳、中耳、内耳の検査 重症度判定 耳鳴り患者 我々の仮説 外部音に関わりなく耳鳴りが持続 耳鳴りの音は脳で作られている 脳の神経回路に異常? 脳内のネットワーク解析 • 機能的MRIによる安静時の脳活動を計測 (約30分) • 脳の全ての部位で、他の脳部位とのつながり具合を、独自に開発した手法によって計算 • つながりの程度と耳鳴り症状との相関を‘脳全体’で調べた つながり 白浜空港 少ない 多い 羽田空港 重症耳鳴りの脳内ネットワーク 解釈 耳鳴りの生成 異常な活動 研究結果 感覚情報処理のネットワーク = 耳鳴りの強さと関連していた (尾状核、海馬) 精神状態の悪化 異常な活動 感情を制御するネットワーク = 耳鳴りの不快感と関連していた (内側前頭葉下部) 治療への道筋 抗てんかん薬 耳鳴りの生成 異常な活動 感覚情報処理のネットワーク (尾状核、海馬) 抗うつ薬 精神状態の悪化 バイオフィードバック 異常な活動 感情を制御するネットワーク (内側前頭葉下部) 電気刺激療法 磁気刺激療法 共同研究組織 人員 和歌山県立医科大学 上山敬司 (解剖学第一講座) 共同研究の推進、データ解析 堂西倫弘、金桶吉起 (生理学第一講座) 脳内ネットワーク解析手法の開発、データ解析 鵜飼 聡、篠崎和弘 (精神神経科学講座) 精神症状の把握、精神状態の診断、治療 池田頼彦、保富宗城、山中 昇 (耳鼻咽喉科学講座) 耳鳴り症状の診断、治療 和歌山南放射線科クリニック 寺田正樹 (放射線科) MRI撮像