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白亜系同時異相堆積物の放散虫群
大 阪 微 化 石 研 究 会 誌 特 別 号[NOM,Sp.Vol.],No.7,p.117-129,May,1986 〔MRTNewsletter,No.2〕 白亜系同時異相堆積物の放散虫群 岡村 Cretaceous radiolarians from the time equivalent arc-trench system, Shikoku Makoto Abstract The Cretaceous OKAMURA* and Hiroaki paleoenvironmental it was a part of past arc-trench equivalent research. strata Radiolarian density also diverses は じ な 堆 積 環 境 を示 す.そ of Cretaceous Radiolaria indicates that from the time changes composition drastically among of the Cretaceous either Radio- 最 近 で は,現 在 の 陸 棚 か ら上 部 海 溝 斜 面 一 斜 面 海 盆 一 下 部 海 溝 斜 面 一 海 溝 に い た る堆 積 物 の 試 料 数 も増 大 に し,さ 海 か ら浅 海 に い た る 多 様 み,白 亜 紀 の 古 環 境 を考 察 す る う え で,格 れ らは 積 場 の 違 い は,生 物 起 源 堆 積 物 の 多 様 な 成 分 の う ち,表 和59年 度 か ら始 ま 層 堆 積 物 中 の 放 散 虫 含 有 量 に も顕 著 に あ ら わ れ て い る. 西 南 日本 の 中 生 代 含 放 散 虫 地 帯 の 形 成 過 程 」 を組 織 され,そ 有 量 に 関 す る知 識 が 増 え,そ 堆 積 場 の 違 い を 明 瞭 に 反 映 して い る こ とが わ か っ て き 好 の情 報 を た.堆 合 研 究(A)「 ま ざ ま な 高 次 の 分 類 群 に 属 す る生 物 お よ び 遺 骸 の 組 み 合 せ や,含 提 供 す る. 大 阪 市 大 の 市 川 浩 一 郎 教 授 は,昭 Japan system. こ に含 ま れ る 化 石 群 は 変 化 に富 っ た 文 部 省 科 学 研 究 費,総 of a new data for paleoenvironmental sediment Generic and specific within the arc-trench め 四 国 の 白亜 系 堆 積 物 は,深 basins. of Southwest system provides of fine grained formations MATSUGI* analysis system. The analysis under the arc-trench Recent and Cretaceous laria 真*・ 松 木 宏 彰* さ ら に こ こ で は,過 の 中に 去 のM,R両 テ レー ン に含 ま れ 軟 体 動 物 化 石 を 主 に 産 す る地 帯 と,放 散 虫 化 石 を主 に る堆 積 物 中 の 放 散 虫 密 度 の 定 量 的 取 扱 い を とお して 過 産 す る 地 帯 に つ い て,そ れ ぞ れMolluscanterrane(以 去 の 堆 積 場 の 復 元 を 試 み る.さ 下M一 テ リ ビ ア ン か らバ レ ミ ア ン に 対 応 さ れ るチ ャ ー ト と同 テ レー ン),Radiolarianterrane(以 ー ン)と い う概 念(市 川,1984)を 下R一 テレ 再 提 唱 され た .四 ら に,下 部 白亜系 オー 時 代 の 軟 体 動 物 化 石 を産 す る暗 灰 色 珪 質 頁 岩 に含 ま れ 国 の 白 亜 系 に つ い て,そ の概 念 に 従 え ば,和 泉 層 群 や "外 和 泉 層 群"はM 一 テ レ ー ン に ,ま た 四 万 十 層 群 の 大 る放 散 虫 群 の 種 構 成 や 種 の 出 現 頻 度 に つ い て 考 察 す る 部 分 はR一 泉,黛 外 和 泉"と 四 万 十 の 諸 層 群 に 含 ま れ る 放 散 虫 群 に と と も に,上 部 白 亜 系 の カ ン パ ニ ア ン に 対 比 さ れ る,和 テ レ ー ン の 代 表 と して と り扱 う こ とが で き つ い て も言 及 す る. る.さ らに そ の 概 念 は,現 在 の 島 弧 一 海 溝 系 に お け る, 本 研 究 に あ た っ て 大 阪 市 大 市 川 浩 一 郎 教 授 に は,総 さ ま ざ ま な 深 度 の 堆 積 環 境 に 対 応 させ て 考 察 す る こ と に よ り,よ 最 近5ヶ り具 体 性 を 帯 び る. 合 研 究(A)課 年 間 に 放 散 虫 に よ る時 代 に よ っ て 日本 の 中 放散 虫 地帯 の形 成 過程 」の 分担 者 に加 えて いただ くと 生 代 構 造 発 達 史 は 書 き換 え られ,同 レ ー トテ ク トニ ク ス の 概 念 は"現 西 南 日本 の 中 生 代 含 共 に 発 表 の機 会 を 与 え ら れ た.さ 時 に導 入 され た プ 在"と 題 番 号59340051「 過去 の地 質体 ら に,こ の 研究 の費 用 の 一 部 は 同 課 題 の 研 究 費 を使 用 した.ま た大阪 市大 の 形 成 場 を 同 列 で 比 較 研 究 す る理 論 的 支 え とな っ た. の八尾 昭博 士 に は本総 研 の研 究連 絡等 で多大 の尽 力 を *高 知 大 学 理 学 部 地 質 学 教 室 代 正 之 教 授 か ら は,有 い た だ い た.さ .DepartmentofGeology,Faculty ら に,堂 ヶ奈 路 層 に 関 して 高 知 大 学 田 益 な 御 助 言 を い た だ き,ま た フ ィー ル ドを案 内 して い た だ い た.同 ofScience,KochiUniversity,Kochi780,Japan. 117 大学 満塩 大 涜教授 第1図 研 究例 と して使 用 した試料 の ロ カ リテ ィー と層 序 関係 を示 す. R1は 横 浪 メ ラ ン ジェの 層状 チ ャ ー ト,R2は 下 津 井 層 の 多色 頁 岩 でR・テ レー ンに属 す る. M1は 堂 ケ奈 路 層 の暗 灰 色 珪質 頁岩,M2は 楮 佐 古 層 の黒 色 頁 岩,M3は 和 泉 層群 山之 内 層の 黒 色 頁岩 でM一 テ ー レ ンに属 す る.桂 状 図 の ス ケ ール は不統 一. にはSEM使 用 に 関 して お世 話 にな っ た.工 業技 術 院 現 世 表 層 堆 積 物 と過 去 の 地 質 試 料 の 堆 積 環 境 を 比 較 す 地 質 調査 所 の有 田正 史博 士 と東京 大学 海洋 研究 所 の藤 るため の方法 につ いて述 べ る。 岡換 太郎 博 士 には それ ぞれ所 有の 試料 の検 討 に対 し便 a.白 宜 を はか って いただ い た.さ らに,高 知大 学理 学部 仁 RDの 亜 系 試 料 のRD算 定法 算 定 に は,薄 片 に よ る方 法(1),処 尾晴 美嬢 と清 川 昌一 氏 には,原 稿 の整 理 を お手伝 い い の 個 体 数 計 測 法(II),そ た だ いた.以 上 の方 々 に記 して お礼 を 申 し上 げ る. 数 を 計 測 す る方 法(III)な (1)に 岩相 と放散 虫含 有 密度(RD) テ レー ン と も放 散 虫 を 含 む.放 散 虫 の 存 否 は, 理残 渣 中 向 岩 石 切 片 か ら個 体 ど が 考 え ら れ る(第4図). つ い て は,放 散 虫 の 多 くは 岩 石 中 に ラ ミナ を形 成 して い る場 合 が 多 く,1方 四 国 に分 布 す る 白 亜 系 を 構 成 す る 細 粒 堆 積 物 に は, M,R両 れ に3方 個 体 数 を 計 測 で きな い.ま 向 の み の 切 片 で は正 確 に た,3方 向 の薄 片は珪 質 の 硬 岩 で は 時 間 を と ら れ 実 際 的 で は な か っ た.(II)は 処 室 内 の 処 理 だ け で な く野 外 で の ル ー ペ 観 察 と鏡 下 の 薄 理 前 後 の 試 料 溶 出 量 と処 理 残 渣 中 の 個 体 数 を 数 え て 単 片 観 察 を と お して も知 る こ とが で き る.そ 位 体 積 当 りの個 体 数 を 知 る 方 法 で あ る.こ の 方 法 は 軟 レ ー ン とRテ レ ー ン で は,含 の 結 果Mテ まれ る放 散 虫 の 密 度 に 大 き な差 異 の あ る こ とが 経 験 的 に 知 ら れ て き た.た とえ 岩 に つ い て は 有 効 で あ るが,珪 散 虫 の 場 合,そ ば,四 万 十 帯 の チ ャ ー トや 多 色 頁 岩(定 義 は 平 ら,1980> め,ぜ の 放 散 虫 密 度(Radiolarian density;以 て い る放 散 虫 の 場 合,残 す)は,数10%に 泉 層 群(岡 村 ら,1982) で は 数 回 のHF処 達 す る が,和 理 残 渣 全 量 で,200個 下RDと 略 体 を と り出 せ る試 料 は き わ め て 少 数 に 限 られ る.次 に,RDに よって 質マ トリックス 中の放 の 溶 出 速 度 の 差 を 利 用 して 抽 出 す る た い 弱 な骨 格 を もつ 放 散 虫 や 他 の 鉱 物 に 置 換 され が 多 々 あ る.(III)は 漬 中 で は 消 失 して し ま う こ と 試 料 を3方 向 に 切 り出 し,表 面 を ポ リ ッ シ ュ 後,実 体 鏡 下 で の 放 散 虫 数,Nl,N2,N3を 計 測 す る.3面 の 単 位 体 積 あ た り個 体 数 はv煎 で 第2図 須 崎 市 吾 桑 の 堂 ケ奈 路 層 産化 石 群 とそ の産 地(黒 丸).産 出母 岩 の 岩相 と引 用文 献 もあ わせ て示 す. 求 め る こ とが で き る.放 散 虫 が 目 測 で30%程 密 度 を もつ 横 浪 の チ ャ ー トの 場 合,約1cc中 個 ほ ど含 ま れ る計 算 とな る.第1表 は,放 度 の平 面 130m以 浅 の 大 陸 棚 は,軟 体 動 物 とサ ン ゴ 虫 の 遺 骸 で 特 に,5×104 徴 づ け ら れ,泥 散 虫 の含 は 少 い.水 質 マ ト リ ッ ク ス を 含 む 場 合 で も放 散 虫 深130mか ら1000mま で の 上 部 海 溝 斜 面 は, 有 密 度 と1crfあ た りの 個 体 数 につ い て 表 し た もの で あ 浮 遊 性 有 孔 虫 に よ っ て 特 徴 づ け られ,1∼5%の る.こ 虫 を 含 む.こ こで は,(II)と(III)の ンの 横 浪 の チ ャ ー ト(第1図 方 法 で 求 め たRテ のR1),四 レー 万十 帯下 津 井 層 の 多 色 頁 岩(放 散 虫 岩)お よ びIIの 方 法 で 求 め た"外 和 泉 層 群"楮 b.現 佐 古 層 そ れ ぞ れ に つ い て 示 して い る. 世 表 層 堆 積 物 の 放 散 虫 含 有 密 度(RD) 第3図 に 示 す よ う に,採 き は み られ るが,生 RDと 集 試 料 数 に 地 域 的 な ば らつ 物 起 源 粒 子 の 構 成 して い る物 質 は と も に地 形,深 度 を最 も良 く反 映 して分 布 す る. 生 物 起 源 粒 子 に 注 目 して,RDの 変 化 を 追 う と,水 深 放散 の 地 域 の 斜 面 海 盆 は 水 深1000mか ら2000 mに 大 き くひ ろ が り細 粒 堆 積 物 は フ ィ カ ル ペ レ ッ トが 大 部 分 を 占 め て い る.フ ィカ ル ペ レ ッ トに 含 まれ る生 物 殼 は 珪 藻 が 多 い が,放 散 虫 も1-5%程 日向 海 盆 の 北 東 域 と土 佐 海 盆 の 北 東 域,南 カ ル ペ レ ッ トの 少 な い 部 分,さ RDの 度 含 ま れ る. 西域のフィ らに土佐 バ エの 南部 に 高 い 部 分 が み られ る.し か し,海 盆 堆 積 物 の 大 部 分 は,石 灰 質 ナ ン ノ プ ラ ン ク ト ンや 有 孔 虫 で 占 め られ て お り,陸 上 に 露 出 す る唐 ノ 浜 層 群 登 層 と よ く似 た 典 第3図 西 南 日本外 洋 域 の 表 層堆 積 物 中 の放 散 虫密 度.74ミ ク ロ ン筋 残 渣 中 の百 分 率.生 物 起 源粒 子 は最 も よ く水 深 や 地形 を反 映 して お り,陸 棚 は二 枚 貝 の破 片,上 部 海 溝 斜 面 は浮 遊 性 有 孔 虫,斜 面 海 盆 は珪 藻 とフ ィカ ル ペ レ ッ ト,下 部 海 溝 斜面 お よび 海溝 軸 は放 散 虫 で特 徴づ け られ る.GSJ試 料 は 有 田正 史 氏 の,ORI試 料 は 藤 岡換 太郎 氏 の御 好 意 に よ る. 第4図 珪 質硬 岩 の放 散 虫 密度(RD)算 出方 法. 1.鏡 下 の 薄 片 で計 数.ラ ミナ を形 成 す る放散 虫 の場 合,断 面 に よっ て個 体 数 が 変化 す る.薄 片 作成 に手 間 どる欠 点 もあ る.II.試 料 処 理前 後 の 重量 の差 よ り溶 出量 を求 め,個 体 数 は残 渣 を分 割 して計 測 す る.軟 岩 の場 合最 も多 く用 い られ る 方 法 で あ るが,HF法 の 場 合岩 相 に よっ て は きわ めて 不正 確 にな る(薄 片 で は放 散 虫 岩 で あ る こ とが わか って も処 理 後 の 残 渣 に は 放 散 虫 が み ら れ な い こ とが あ る).III.1とIIの 欠 点 を補 う方法.実 体 鏡 下 で3面 の 放散 虫数 を計測 す る.目 視 で30%の 含 有 率 の場 合,総 個 体 数 は5万 個 体/1cc程 度 で あ る. 121 第1表 和 泉,"外 和 泉",四 万十 諸層 群 の代 表 的 含 放 散 虫 岩 の 放散 虫 密 度 比較. 目視%と 第4図,IIIの 方法 で求 め た個 体 数 との関 係 に つ い て も示 す. 型 的 な 石 灰 質 細 粒 堆 積 物 で あ る.下 部 海 溝 斜 面 は,試 層(田 代 ら,1982)に 料 が 少 な い が,南 海 トラ フ 底 に 近 い2つ そ う)に 分 布 す る堂 ヶ奈 路 層 は,1四 万 十 帯 の 中 で 大 型 明 らか にCCD以 の サ ン プ ル は, 深 で あ り少 量 の 有 孔 虫 が 溶 け残 っ て 崎 市 吾 桑(あ 化 石 を比 較 的 多 く産 す る こ とで 知 られ て お り(甲 藤 ・ い る ほ か は,珪 藻 と放 散 虫 か らな り,15%∼30%のRD 田 代,1978;田 を示 す.続 群 を 第2図 成 作 用 を考 慮 に 入 れ る と将 来 多 色 頁 岩 中 の 分 け ら れ て い る.須 代 ら,1982),こ に ま と め た.こ れ まで 報 告 さ れ た 化 石 の 堆 積 物 は,部 層 の 中にナ 放 散 虫 岩 を構 成 す る ポ テ ン シ ァル を持 つ 堆 積 物 は,陸 ン ノ 化 石 を含 む 石 灰 質 岩 相 が あ る こ と,二 枚 貝,ア 側 斜 面 で は こ の2試 モ ナ イ ト化 石 を 散 点 的 に 含 みRDが 料 の み で あ る. 同時 異相 堆 積物 に含 まれ る放 散 虫群 の比 較 a.下 部 白亜 系 同 時 異 相 に 含 まれ る放 散 虫 群 堂 ヶ奈 路 層(甲 藤,1952)は,四 層 群 最 北 部 に 分 布 し,さ 第2表 万 十 帯北 帯新荘 川 ら に い くつ か の 岩 相 に よ り部 堂 ケ奈 路 層A部 ら,斜 面 海 盆 堆 積 物 で あ る と推 定 され る.堂 下 部 のA部 層 の 青 黒 色 泥 岩 か ら は,保 ヶ奈 路 層 存良 好 なオ ー テ リビ ア ンか らバ レ ミア ンの 放 散 虫(第2表)を こ の 年 代 は,大 ン 低 い こ とな ど か 型 化 石 の 年 代 と一 致 す る.さ 産 す る. ら に,こ れ と よ く似 た 放 散 虫 群 は 横 浪 メ ラ ン ジ ェ の 五 色 ヶ 浜 チ 層 産 放散 虫主 要 種 の生 存 期 間.生 存 期 間 の空 白 は上 限 あ るい は下 限 が 不 明 で あ る こ と を示 す.同 層 産 ア ンモナ イ トの年 代 もあわ せ て示 す. ヤ ー ト中 の 特 定 層 準(YK546)か 宇 都,1982).こ れ ら の2つ ら知 られ て い る(岡 村 ・ の 放 散 虫 群 は,一 方 は遠 洋 一 トと斜 面海盆 の 黒色 頁岩 が,ま た上 部 白亜系 で は,下 部海溝 斜 面の 放散 虫岩,上 部海溝 斜 面の黒 色 頁岩 と弧 性 層 状 チ ャ ー ト,他 方 は 浅 海 性 化 石 を産 す る泥 岩 と岩 問海 盆の 可能性 の 高 い黒 色 頁岩 がそ れ ぞれ同時 異相 関 相 が 異 っ て お り,ま たRDも2ケ 係 に あ る こ とが 明 らか とな った.さ ら に放 散 虫 密 度 タ以上 異 って い るに もか か わ ら ず,そ の種 の 多 様 度 と構 成 は,非 い る.こ れ は,後 述 す る 上 部 白亜 系 の 同 時 異 相 堆 積 物 常 に似 て に含 ま れ る放 散 虫 の 種 構 成 の 変 化 と対 照 的 で あ る. b.上 (RD)は,堆 積環 境 に よ り大 き く異 る こ とが現 世表層 堆 積 物 との 比較 で判 明 した. 放散 虫群 の種構 成 は,下 部 白亜 系 の異相 堆積 物 間で 部 白亜 系 同 時 異 相 に 含 まれ る放 散 虫 群 は変化 に乏 しく,上 部 白亜系 で は,古 環境 の 変化 に応 上 部 白 亜 系 カ ンパ ニ ア ンの 放 散 虫 群 を含 む 同 時 異 相 じ大 き く変化 して い る こ とな どが明 らか にな っ た.現 和泉 在,付 加帯 と斜 面海 盆堆積 物 の関 係 が よ り明確 な 四国 層 群"楮 佐 古 層(OKAMuRA et al.,1982)の 両M-テ レ ー ン,四 万 十 層 群 下 津 井 層(岡 村,1980)のRテ レー 西 部 で同様 の研 究 を進 めて お り,白 亜 紀 島弧 一海溝 系 にお け る時 間,空 間の環境 変 化が よ り明瞭 にな る もの ンか ら知 ら れ て い る(第1図).ち と考 えて い る. 堆 積 物 が 和 泉 層 群 山 ノ 内 層(岡 岩 相 は,和 泉 層 群 ζ"外 村 ら,1984),"外 な み に放 散 虫 を含 む 和 泉 層 群"が 十 帯 は 赤 色 の 放 散 虫 岩 で あ る.ま 黒 色 頁 岩,四 泉 一 外 和 泉 一 四 万 十 の 順 に 多 様 に な り,RDも 増 大 す る.放 Spumellariaが 同様 に 散 虫 の 高 次 分 類 群 の 比 較 で は,ま ず 四 万 十 一 外 和 泉"一 和 泉 の 順 で 割 合 が 多 くな り,Nassellariaで で は,和 万 文 ず 種 の 多様 度 は,和 は逆 の 傾 向 を示 す.属 レベ ル 泉 層 群 へ 向 っ て 表 面 に ス ポ ン ジ状 装 飾 を もつ もの が 増 加 す る と と もにAmphipyndax(s.l.)の 害ll合が 増 加 す る. 生物 起源 堆積 物 の構 成 を現在 の 島弧一 海溝 系 に対応 ALIEV, K. S., 1965: zhenii graficheskoe BAUMGARTNER, P. 0., Cretaceous Associations か し,現 世 に お け る放 散 虫 群 の 種 構 成 が そ の よ う な 水 深,地 形 に よ り過 去 と同 様 な 変 化 を示 す か ど うか は 不 明 で あ り,こ の こ と は,今 後 解 明 す べ き重 要 な 問 題 で あ る. 上 部 白 亜 系 の 環 境 変 化 に伴 う放 散 虫 群 の 詳 細 に つ い て は,現 日,稿 在 四 国 西 部 に お い て も研 究 を進 め て お り,後 を改 め て報 告 す る 予 定 で あ る. 1984: oto- iikh Nauk. Eclogae Geol. Helv., A Middle radiolarian strati- Azerbaidz. Nassellaria Rev. Jurassic-Early zonation and age of Tethyan based on radiolarites. 77, 729-837 DUMITRICA, P., 1970 : Cryptocephalic Romania. す る と考 え ら れ る.し Izd. Akad. low-latitude Unitary 軸 部 に(平 ら,1980),楮 泉 層群 は 島弧間海 盆 か背 弧海 盆 に対応 znachenie. nizhnemelovykh Azerbaidzhana SSR, Baku. 3-124. cic 海 溝 斜 面 に,和 Radioliarii severovostochnogo さ せ て 考 察 す る と,下 津 井 層 は 下 部 海 溝 斜 面 か ら海 溝 佐 古 層 は 大 陸 棚 縁 辺 か ら上 部 献 in some Roum. and Mesozoic Geol., Cryptothoradeposits Geophys, of Geogr., 14, 45-124. FOREMAN, H. P., 1973: Radiolaria from the North Pacific, DSDP Leg 20. In HEEZEN,B. C., MACGREGOR , J. D., et al., Int. Repts. DSDP, 20, Washington (U. S. Govt. Printing Office), 249-305. ,1975 : Radiolaria from the North Pacific, DSDP Leg 32. In LARSON,R. L., MOBERLY,R., et al., Init. Repts. DSDP, 32, Washington (U. S. Govt. Printing Office), 579-676. 軸 一 下部 海溝 斜面 一 斜面 海盆 一上 部海 溝斜 面一 陸棚 に HAYAMI, I. and KAWASAWA, K., 1976: Some Lower Cretaceous bivalves from the Shimantogawa Group of South Shikoku. Trans. Proc. Palaeont. Soc. Japan ., N. S., 66, 73-82. 至 る さ ま ざ ま な 古 環 境 を 示 す 堆 積 物 が 分 布 し,そ の 多 市 川 浩 一 郎,1984:東 ま 西 南 日本 外 帯 に は,付 と め 加 帯 を形 成 す る海 洋 底 一 海 溝 く は 同 時 異 相 関 係 を 示 す こ とが 明 らか に され て き た. 外 帯 を構 成 す る こ れ らの 地 質 体 の 多 くは 変 動 帯 故 に不 連 続 で,層 位 学 的 研 究 に は,不 て き た.し か し,陸 上 に お い て深 海 か ら浅 海 に い た る 適 当 で あ る と考 え ら れ 過 去 の 地 質 断 面 が 観 察 可 能 で あ る と い う こ と は,時 面 の 設 定 さ え誤 ら な け れ ば,西 間 南 日本 は 海 洋 古 環 境 の 研 究 に と っ て は 願 っ て も な い フ ィ ー ル ドと な りう る. こ れ まで に 下 部 白 亜 系 で は,海 洋 底起源 の 層状 チ ャ 夫 編=ア 甲 藤 次 郎,1952:四 1報 ア ジ ア の 変 動 構 造 の 発 展 一1.藤 ジ ア の 変 動 帯,223-238.海 田和 文 堂. 国 外 帯 の 時 代 未 詳 層 群 に 関 す る 研 究.第 四 国 西 南 部 の 中 筋 地 溝 帯 に お け る 新 観 察,第2報 高 知 県 高 岡 郡 内 に お け る新 観 察.高 知 大 学 術 研 報,自 然 科 学,No.2,37-47. ・田 代 正 之 ,1978:四 再 検 討.第 ウ ナ に つ い て.高 LOZYNIAK, 万十 帯 の軟 体 動物 フ ァ ウナ の 一 報 高知 県 須崎 付 近 の 堂 ガ 奈路 層二 枚 具 フ ァ P. Y., 知 大 学 術 研 報,27,自 1969: Radiolyarii 然 科 学,143-150. Nizhnemelovykh Otlozhenii Ukrainskikh (ed)., Iskopaemya vovskoe i Sovremennye Geol. 0-vo), 岡村 国 四万 十 帯 堂 ケ 奈路 層 産 ア ン 質 雑,88,207-208. 真 ・宇 都 秀 幸,1982:高 知 県 横 浪 半 島 に分 布 す る下 部 白 亜 系 チ ャ ー ト岩 体 中 の 放 散 虫 の 層 位 的 分 布(予 知 大 学 術 研 報,31,自 察).高 然 科 学,87-94. OKAMURA,M., NAKASEKO,K. and NAKANO, K., 1982: Radiolaria from the Kajisako Formation, Monobe area, Shikoku. Paleont. Soc. Japan, Spec. Paps., 25, 93-102. 岡村 , 1898 : Neue Beitrage zur Kenntniss der fossilen Radiolarien aus Gesteinen des Jura and der Kreide. Palaeontographica., 45, 1-67. 29-41. 松 本 達 郎 ・高 橋 啓 史,1982:四 モ ナ イ ト.地 In VYALOV, 0. S. radiolyarii : I,' vov(I; Karpat. 真 ・賀 川 令 章 ・田 代 正 之,1984:愛 SANFILIPPO,A. and RIEDEL, W. R., in press : Cretaceous Radiolaria. SCHAAF, A., 1981 : Late early Cretaceous Radiolaria from DSDP Leg 62. In THIEDE, J., VALLIER, T. L., et al., Int. Repts. DSDP, 62, Washington (U. S. Govt. Printing Office), 419-470. SQUINABOL,S., 1903 : Le Radiolarie dei noduli selciosi nella scaglia degli Euganei. 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Known range : Tithonian PESSAGNO, 1977b. Fig. 6. ( x 400) : Pseudodictyomdtra 知県四万 十 帯 の 地 質 とそ の 起 源.甲 藤 次郎 教 授 還 暦 記 念 論 文 集. graphy of the Great Valley Sequence and Franciscan Complex, California Coast Ranges. Spec. Pub. Cushman Found . Foram. Res., 15, 1-87. RUST, E., 1885: Beitrage sur Kenntniss der fossilen Radiolarien aus Gesteinen des Jura. Paleontographica, 31 (ser. 3, v.7), 269-321. Explanation 朝 彦 ・岡村 真 ・甲藤 次郎 ・田 代 正 之 ・斎 藤 靖 二 ・小 玉 一 人 ・橋 本 光男 ・千 葉 と き子 ・青 木 隆 弘 ,1980:高 知県四 cf. depressa BAUMGARTNER, 1984. BAUMGARTNER, 1984. pl. 8, figs. 2, 7, 8 and 11. to Barremian ; Fig. 7. ( x 700) : Archaeodictyomitra sp. Fig. 8. ( x 400) : Amphipyndax mediocris (TAN SIN HOK, 1927). SCHAAF,1981, pl. 3, fig. 11 : pl. 22, figs. 7a,b. Known range ; (lower limit unknown) to low. Aptian ; SCHAAF,1981. Fig. 9. (x 400) : Eucyrtis tenuis (Ri.JsT, 1885). s. 1. FOREMAN,1975, p, 615-616, pl. 21, figs. 7-9 ; pl. 21, figs. 2-5 : pl. 21, 1-2s 2-5. Known range ; Hauterivian to low Aptian, FOREMAN,1975 : up. Barremian to up. Aptian, SCHAAF,1981. Fig. 10. ( x 400) : Eucyrtis elido SCHAAF,1981. SCHAAF,1981, p. 434, pl. 5, fig. 6 ; pl. 25, figs. 3a, b. Known range ; (lower limit unkown) to low. Aptian, SCHAAF,1981. Fig. 11. ( x 400) : Pseudodictyomitra sp. Fig. 12. ( x 400) : Gen. et sp. indet. Fig. 13. ( x 400) : Archaeodictyomitra sp. Explanation Scanning of Plate 2 of representative radiolarians siliceous black shale (Sample No. R-4). Explanation also contains maximum electron micrographs known range obtained faunal from the references and of the species. Figs.1,5 and 6. ( x 400): Archaeodictyomitra sp. Fig. 2. ( x 400): Archaeodictyomitra pseudoscalaris (TANSINHOK,1927). SCHAAF, 1981,pl. 4, fig.5 : pl. 21,figs.13a,b. KnownRange; up. Barremian(uper limit),SCHAAF, 1981. Figs.3 and 9.( x 400): Thanarlaconica(ALIEv,1965) PESSAGNO 1977b.p.45,pl. 7, figs.1,13and 15,Knownrange; Valanginianto up. Aptian,PESSANO, 1977b. Fig. 4. ( x 400): Archaeodictyomitra cf. pseudoscalaris (TANSINHOK,1927). Figs.7,8 and 12.( x 400): Archaeodictyomitra vulgarisPESSAGNO, 1977b. PESSANO, 1977b.p. 44,pl. 6, fig.15; SCHAAF, p. 432,pl. 4,fig. 2.Knownrange; up. Valanginianto up. Barremian,PESSANGNO, 1977band SCHAAF 1981. Fig. 10. ( x 400): Gen.et sp. indet. Fig. 11. ( x 400): Eucyrtissp. Fig. 13. ( x 200): Parvicingulacosmoconica (FOREMAN, 1973) BAUMGARTNER, 1984,p. 778,pl. 7, fig.1 ; OKAMURA, in press,pl. 1,fig.13.Known range ; Berriasianto Hauterivian,(upperlimit unknown),BAUMGARTNER, 1984. Figs.14and 15.(X 400)(samespecimen)Thanarlapulchra(SQUINABOL, 1904). SCHAAF. 1981,p. 439,pl. 4, fig.10; pl. 19,figs.7a,b; BAUMGARTNER, p. 788-789, pl. 9, fig. 15,knownrange ; Valanginianto Cenomanian,BAUMGARTNER, 1984and PESSAGNO, 1977b. Fig. 16.( x 400): Gen.et sp. indet. Explanation Scanning of Plate electron 3 micrographs siliceous black shale (Sample maximum known range of representative radiolarians No. R-4). Explanation also contains of the species. Figs. 1 and 2. ( x 400) : Praeconocaryomma sp. obtained from faunal references the and Fig. 3. ( x 400) : Holocryptocanium barbui DUMITRICA, 1970. DUMITRICA, 1970, p.76, pl. 17, figs.105-108a,b riasian ; pl. 21, fig. 136. Known range ; Ber- (BAUMGARTNER, 1984) to mid. Cretaceous. Fig. 4. ( x 400) : Holocryptocanium geysersensis PESSAGNO, 1977b. PESSAGNO, 1977b, p. 41, p1.6, figs. 19,25 and 26. Known range ; Barremian RA and MATSUGI, this paper) to Cenomanian Figs. 5, 7 and 9. ( x 400) : Cryptoamphorella (OKAMU. (PESSAGNO, 1977b). sp. Fig. 6. ( x 400) : Fam. gen. et sp. indet. Fig. 8. ( x 400) : Hemicryptocapsa spp. cf. H. press, p1. 1, figs, 4, 8 and 9. Fig. 10. ( x 400) : Cryptocephalic or Cryptothoracic Fig. 11. ( x 400) : Theocorys antiqua capita TAN SIN HOK, 1927. OKARURA, in Nassellaria, gen. and sp. indet. SQUINABOL, 1903. SCHAAF, 1981, p. 440, pl. 24, figs. 10a and b ; OKAMURA, in press, p1. 4, figs. 10 and 11. Fig. 12. ( x 400) : Fam. gen. et sp. indet. Explanation of Plate 4 Scanning electron micrographs of representative radiolarians obtained from the siliceous black shale (Sample No.R-4). Explanation also contains faunal references and maximum known range of the species. Figs. 1 and 2. ( x 400) : Archaeospongoprunum klingi PESSAGNO,1977b. PESSAGNO,1977b, p. 29 and 30, p1.2,figs. 1, 21, 23 and 24. Known range ; Barremian (this paper) to Albian (PESSAGNO,1977b). Figs. 3, 4, 5 and 7. ( x 400) : Sphaerostylus lanceola (PARONA,1980) group. FOREMAN,1973, p. 258, pl. 1, figs. 7-11; 1975, p. 609, plate 2E, figs. 3-6.Known range : Jurassic to low.Aptian (FOREMAN,1975 and SCHAAF,1981). Figs. 6 and 9. ( x 400) : Acaeniotyle umbilicata (RiisT, 1898). SCHAAF,1981, p. 431, p1.6,fig. 11 ; pl. 15, figs. 3a and b ; BAUMGARTNER, 1984, p. 745, pl. 1, fig. 5. Known range ; Kimmeridgian (BAUMGARTNER,1984) to low. Aptian (ScHAAF,1981). Fig. 8. (x 400) : Patulibracchium sp. Fig. 10. ( x 400) : Hagiastridae gen. et sp. indet. Fig. 11. ( x 400) : Patellula sp. Fig. 12. ( x 400) : Triactoma echiodes FOREMAN,1973. BAUMGARTNER p. 789, pl. 10, fig. 2. Known range ; Kimmeridgian (BAUMGARTNER, 1984) to Barremian (FOREMAN,1975).