...

秩 父累帯北帯ペルム紀末収束域産物,新 改層*

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

秩 父累帯北帯ペルム紀末収束域産物,新 改層*
大 阪 微 化 石 研 究 会 誌 特 別 号[NOM,Sp.Vol.],No.7,P.203-209,May,1986
〔MRTNewsletter,No.2〕
秩 父累帯北帯ペルム紀末収束域産物,新 改層*
磯
崎
行
雄**
The Shingai Formation, end-Permian convergent margin product in
the northern Chichibu Belt, Southwest Japan*
Yukio
Abstract
The Shingai
Formation
Isozmu**
in the northern
Chichibu
Belt is best
described
as a
product in a converging
plate
microcontinent)
and an oceanic
margin between ancient Kurosegawa
landmass
(arc or
plate (Farallon plate ? or unknown one) at end-Permian.
This formation
of pebbly
such
consists
as sandstone,
siliceous
mainly
greenstones,
mudstone,
green
schist,
mudstone
with minor
limestone,
limestone
and granitic
rocks.
Exotic
blocks carried
land-bound:
in the formation
sandstone,
On the basis
limestone
conglomerate
limestone,
limestone
to the rocks
rocks are supposed
tuff,
that these rocks
into 2 types, i.e. land-bound
(type
II), green schist, granitic
conglomerate
presently
(type
exposed
to have been derived
awa landmass
(arc or microcontinent).
While,
the latters
oceanic
under pelagic condition,
where
sediments
realms
indicate
acidic
of the chaotic
rocks
rocks
I • III), chert, acidic tuff,
mudstone
of similarity
Zone, the former
can be classified
chert,
features
blocks,
origin, as follows.
oceanic : greenstones,
siliceous
of exotic
conglomerate,
Sedimentary
pebbly mudstone with matrix-supported
exotic blocks and clasts
were emplaced mostly through debris flow mechanism.
and those of oceanic
amount
in the Kurosegawa
Tectonic
most possibly
from the Kuroseg-
are regarded
to have formed
are free from coarse
in
terrigeneous
clastics.
Thus, the birthplace
and its environs
encounter
explain
of the Shingai
of a subduction
and be mixed
initiation
は
じ
of debris
め
Formation
zone, where
together.
is most appropriately
land-derived
Gravitationally
expected
materials
unstable
in a trench
and oceanic
condition
ones can
around
trench
can
flows.
たに それ らの起 源 な ちび に形成 過程 を考 察す る上 で重
に
要 な知 見 を得 た.本 稿 で は新 改層 を構 成 す る諸岩 類 の
やす ば
高知 県土 佐 山田町 に分 布 す る休場 石灰 岩礫 岩 は,黒
瀬 川構 造帯 の形 成 に関連 した古 生代 末 ∼ 中生代 初頭 の
概 要 を報告 し,そ れ らに基 づ い て新 改 層 の形 成場 とペ
ル ム紀 末 頃の黒 瀬川 地 塊北 縁部 の 造構 場 の枠 組 につ い
事 変 を示 す根拠 と して注 目され(市 川 ほか,1956),広
て 予 察 的 見 解 を述 べ る.な お 詳 細 に つ い て は 磯 崎
く知 られ て きた.最 近 筆者 は休 場礫 岩 な らび にそれ を
(1985,投 稿 中)を 参 照 され た い.
含 む地 質体 で あ る新改 層 につ いて検 討 した結果,あ ら
事日 本 地 質 学 会 第92年
*'山
学 術 大 会(1985
口大 学 理 学 部 地 質学 鉱 物 科 学 教 室
,山
口)に
新 改層 の 概略
て 一 部 講 演.
新 改 層(磯
.DepartmentofGeology
崎,1985)は,高
知 県 中央 部 土 佐 山 田 町
か ら高 知 市 北 方 に か け て 東 西 に 狭 長 に 分 布 す る(Fig.
andMineralogicalSciences,FacultyofScience,Yamagu-
1).本 層 の 南 側 に は 黒 瀬 川 構 造 帯 レ ン ズ 状 部 相 当 の 蛇
chiUniversity,Yamaguchi753,Japan.
203
Fig.
1.
Geologic
Dotted
map of the Shingai
area
represents
Formation
sandstone
(from
dominant
Isozmu,
part
1985).
of the pebbly
mudstone.
紋 岩 が 分 布 し,従 来 の 区 分 に 従 え ば 本 層 は 秩 父 累 帯 北
り,石 灰 岩 礫 岩 や 珪 質 岩 類 の 各 岩 体 よ り得 られ る化 石
帯 南 縁 部 に 位 置 す る.本
の 年 代 の 順 序 は,そ
層 の 北 側 に は"臼 木 谷 層 群"及
び 上 倉 層 の テ ク トニ ッ ク ・ス ラ イ ス 群(磯 崎,1980)が
分 布 す る.本
層 は そ の 南 縁 及 び 北 縁 に お い て,い
れ らの 岩 体 の 累 重 す る順 序 と 合 致
しな い.
ずれ
本 層 の 主 体 を な す 礫 質 泥 岩 は,黒
も北 へ 傾 斜 す る 高 角 度 断 層 で 他 の 地 質 体 と境 さ れ る.
ル ト∼ 粘 土 大 の 基 質 中 に,泥
ま た,領
小 礫 を,ま
石 盆 地 の 下 部 白亜 系 が 調 査 地 域 東 半 部 に 分 布
し,新 改 層 を 不 整 合 に お お う.
新 改 層 は,ほ
斜1背
斜 を
形 成 す る.構 成 層 は,一 般 に 軸 と平 行 な走 向 を有 し,40.
∼80.の 角 度 で 北 な い し南 へ 傾 斜 す る
.
新 改 層 の最 大 層 厚 は,お
よ そ1000m程
らに
ず れ もmatrix-supportedの
状 態 で 礫 質 泥 岩 中 に 産 す る こ と か ら,こ
れ らの堆積 物
は 土 石 流 に よ っ て 運搬 され た 堆 積 物 に よ く類 似 す る .
新 改層 中の外 来性 岩体
度 と見 積 も ら
れ る.
本 層 中 の 外 来 性 岩 体 を構 成 す る 各 岩 石 種 に つ い て 以
下 に 略 述 す る.
新 改層 の層序
砂 岩:中
新 改 層 は 主 に 分 級 の 悪 い礫 質 泥 岩 か らな り,様 々 な
規 模 の レ ン ズ 状 ・ブ ロ ッ ク状 の 砂 岩 岩 体 を大 量 に 含 む
(Fig.2).さ
ら に 小 礫 大 か ら最 大 長 径20mに
及 ぶ種 々の
レ ン ズ状 ・ブ ロ ッ ク 状 岩 体 を 伴 う.砂 岩 の 他 に,石
岩,石
た 不 規 則 に混 在 す る砂 粒 子 を含 む.さ
上 述 の 外 来 性 岩 体 が,い
ぼ 東 西 方 向 の 軸 を もつ1向
色で淘 汰 不良 の シ
質 岩や砂 岩等 の 小岩 片や
灰 岩 礫 岩,緑
性 凝 灰 岩,珪
色 岩 類,緑
質 泥 岩,花
色 片 岩,チ
ャ ー ト,酸
闘 岩 類 等 が 知 ら れ て い る.い
ず れ も野 外 で の 産 状 に 基 づ け ば,二
次 的 に と り込 ま れ
た 外 来 性 岩 体 で あ る と判 断 さ れ る.Fig.2に
よ う に,各
灰
示 され る
種 岩 体 は礫 質 泥 岩 中 に無 秩 序 に 含 ま れ て お
ッケ で,長
粒 な い し粗 粒 の 長 石 質 ア レナ イ トな い しワ
石 ・石 英 の 他 に,酸
性 ∼塩基 性 火成 岩や 変
成 岩 の 岩 片 を 含 む.
石 灰 岩:臼
状allodapic石
色 塊 状 石 灰 岩,暗
灰 岩 の3種
灰 色塊 状 石 灰 岩 及 び 層
類 が 含 ま れ る.こ の う ち 白
色 塊 状 石 灰 岩 はbioclastic grain stoneか
しば緑 色 岩 類 と随 伴 す る."臼
1980)の
らな り,し ば
木 谷 層 群"UnitI(磯
崎,
ペ ル ム 紀 古 ∼ 中 世 礁 性 石 灰 岩 に 酷 似 す る.ま
た,層 状allodapic石
灰 岩 は,級 化 構 造 ・葉 理 が 顕 著 に
発 達 す る石 灰 質 タ ー ビ ダ イ トで あ り,構 成 粒 子 及 び 基
質 は タ イ プ1の
岩 の 組 織,基
に 基 づ い てTable1に
示 す3タ
て い る(磯 崎,1985参
照).
I. Limestone conglomerates
(Type I , II
and III) of the Shingai Formation and
their characteristics.
Table
石 灰 岩 礫 岩 と 共 通 の 性 格 を 有 す る。
石 灰 岩 礫 岩=礫
質 の性 質及 び礫種 構 成
イ プ の もの が 識 別 さ れ
Type
緑 色 岩 類:玄
. II
武 岩 質 溶 岩 及 び 火 山 砕 屑 岩 か ら な り,
Feature
各 々ophitic組 織 や ガ ラ ス 組 織 が 認 め ら れ る.変 成 鉱 物
Texture
clastsupported
Matrix
mafic
clastics
Clasts
limestone,
共 生 と し て,prehnite・pumpellyite・chlorite及
pumpellyite・chloriteが
緑 色 片 岩:剥
離 性 が 顕 著 な ロ ー ソ ン石 緑 泥 石 片 岩 か
volt.-
野地 域の 高圧型 結 晶片岩類
島 ほ か,1978)に
類似す
Fossils
in clasts
mid.
early
Perm.
Perm.
sandstone
calc.
late
mid.
early
る.
チ ャ ー ト ・酸 性 凝 灰 岩 ・珪 質 泥 岩:チ
matrixsupported
limestone,
mafic-intermed.
igneous
rocks,
acid.-intermed.
pyroclastics
greenstones
ら な り,大 量 の ロ ー ソ ン石 が 密 集 し て産 す る.原 岩 の
(MARuYAMAetal.,1978;中
clastsupported
び
確 認 され た.
組 織 は 不 明 で あ る.伊
III
ャ ー トは 青 緑
Range
age
in
early-mid.
Permian
mudstone
limestone
greenstones
Perm.
Perm.
Perm.
mid.
early
latest
Permian
or later
Perm.
Perm.
early-mid.
Permian
色 の 層 状 チ ャ ー トが 主 体 を な し,一 部 に 塊 状 チ ャー ト
が 含 ま れ る.酸
性 凝 灰 岩 は 層 状 構 造 を持 ち,細 粒,ガ
汰
珪 質 岩 類 か ら は,ペ
の よ い 細 粒 粘 土 岩 で 平 行 葉 理 を持 つ.い ず れ も放 散 虫,
ラ ス 質 でvitrictuffに
分 類 され る.珪 質 泥 岩 は,淘
が 報 告 さ れ て い る(磯
の
コ ノ ドン ト,海 綿 骨 針 を大 量 に含 み,逆
に陸源粗 粒砕
ル ム 紀 型 コ ノ ドン ト及 び 放 散 虫
崎,1978:須
後 の 検 討 に よ り,こ れ ま で に 約20地
屑 物 質 を全 く含 ま な い.層 厚 及 び 産 出 化 石 に 基 づ い て
放 散 虫 が 得 ら れ た(磯 崎,投
推 定 さ れ る 堆 積 速 度 が 極 め て 低 い こ と か ら,こ
れ らの
れ た 化 石 群 集 を以 下 に 示 す 。
珪 質 岩 類 は 陸 域 か ら離 れ た 場 で形 成 さ れ た 遠 洋 性 ∼半
コ ノ ド ン ト=④ldiognathoides 遠 洋 性 堆 積 物 と推 定 さ れ る.こ れ ら3種
互 の 随 伴 関 係,特
の 珪 質 岩 は,相
に 層 序 学 的 漸 移 関 係,及
微 化 石 の デ ー タ に基 づ け ば,新
以 前 に は,Fig.3Aに
び後述 す る
改 層 中 に と り込 まれ る
示 す よ う な 初 生 的 層 序 を な して
い た と推 定 さ れ る.
花 闇 岩 類:角
る.Foliationが
る.岩
mgatUS群
集(石
群 集(ペ
相 当す
質 及 び 組 織 に お い て 黒 瀬 川 構 造 帯 レ ンズ 状 部 の
川 ほ か,1956)に
酷 似 す る.
灰 岩礫 岩 産化石
石 灰 岩 礫 岩 か ら は,従
の 後 さ ら に,14地
紀 型 の サ ン ゴ,コ
ケ 虫,コ
(磯崎,1985のTable2参
イ プ1・IIIの
.cor-
炭 紀 新 世),⑤DiPlognathodus
oertlii
放 散 虫=①Pseudoalbaillella
lomentaria群
集(ペ
sp.D群
古 世 最 末 期 ∼ 中 世 初 頭),④P.globosa群
中 世 中 葉),⑤Follicucullus
scholasticus群
紀 中 世 最 末 期 ∼ 新 世 最 前 期),⑥F.falx群
紀 中 世 最 末 期?∼
集(ペ
新 世),⑦Neoalbaillella
ル
集(ペ
集(ペ
ル ム紀
集(ペ
ル ム紀
集(ペ
集(ペ
ル ム
ル ム
ornithofor-
ル ム 紀 新 世 後 期).
ノ ド ン ト及 び 放 散 虫 群 集 の 後 に付 した 年 代
に 関 し て は,LANE&STRAKAII(1972),BENDER&
来 よ りペ ル ム 紀 新 世 紡 錘 虫 の
産 出 が 知 られ て い た(ToRIYAMA,1942;KANMERA,
1954).そ
sinuatus-I
ル ム 紀 古 世 末 ∼ 中 世 初 頭).
な お,コ
A.石
れ ま で に識 別 さ
ム 紀 古 世 中 期 ∼ 後 期),②P.rhombothoracata群
mis群
産 出化 石 と年 代
の
点 よ り コ ノ ド ン ト,
稿 中).こ
ル ム 紀 古 世 後 期),③Albaillella
閃 石 閃 緑 岩 な い し石 英 閃 緑 岩 か ら な
顕 著 に 発 達 し,cataclasiteに
三 滝 花 簡 岩 類(市
鎗 他,1983).そ
点 の 石 灰 岩 礫 岩 か らペ ル ム
ノ ドン ト等 が 得 ら れ て い る
照).Table1に
示 す ように タ
SToPPEL(1965),KozuR(1975),IGo(1981),IsHIGA
etal.(1982),CARIDRoIT&DEWEvER(1984)に
基 づ
く.
こ れ ら の 群 集 の 中 で,単
れ た の は ①,②,③
一 の 岩体 内で連 続 が確 認 さ
の 群 集 の み で あ る(Fig.3参
照) .
礫 岩 の 礫 に は ペ ル ム紀 古 世 ∼ 中 世 の 化 石
を 含 み,年 代 の 上 限 が ペ ル ム 紀 中 世 で あ る の に対 し,タ
イ プIIの 礫 岩 に は ペ ル ム 紀 新 世 化 石 が 含 まれ る.い ず
れ も基 質 の 年 代 が 判 明 して い な い が,各
々Table1に
示 さ れ る 年 代 範 囲 に形 成 さ れ た と推 定 され る.
C.新
改層 の年代
新 改 層 の 主 体 を な す 礫 質 泥 岩 か ら は,化
て お ら ず,直
石 が 得 られ
接 年 代 を知 る こ と は で きな い.本
最 も若 い 年 代 を示 す.ペ
層 中で
ル ム紀 新世 後期 の珪 質泥 岩 お
よ び ペ ル ム 紀 新 世 な い しそ れ 以 降 と さ れ る タ イ プIIの
B.珪
質 岩類産 化 石
石 灰 岩 礫 岩 が と も に 外 来 性 岩 体 と して 産 す る こ と か
Fig.
3.
(from
Columnar sections of siliceous rocks contained in the Shingai Formation
Isozmu, in prep.). Summarized from individual sections (B), idealized sequence is given
in (A).Note their stratigraphic change in lithology.
ら,本 層 の 年 代 は ペ ル ム 紀 新 世 最 末 期 な い しそ れ 以 降
こ とが 可 能 で あ る.す
と推 定 さ れ る.
岩 礫 岩 等 の 粗 粒 砕 屑 岩 類,及
外来性 岩体 の 起源
上述 の とお り新 改層 中の 外来性 岩 体 に は互 いに異 な
緑 色 片 岩 等,そ
な わ ち,砂 岩 や タ イ プIIの 石 灰
び圧砕 花 商 岩類や 高 圧型
れ 自体 が 陸 域 由 来 の 巨 礫 で あ る もの が
前 者 の グル ー プ と して,一
方 緑 色 岩 類,石
灰 岩,タ
イ
プ1・IIIの
ャ ー ト,酸 性 凝 灰 岩,珪
質
石 灰 岩 礫 岩,チ
る岩相 及 び年代 を もつ様 々な もの が含 まれ る.こ れ ら
泥 岩 等 の 陸 源 粗 粒 物 質 を 全 く含 まな い もの が 後 者 の グ
の もの は粗 粒陸 源 砕屑物 質 の有 無 とい う観 点 か ら,基
ル ー プ と し て 各 々 ま とめ ら れ る.
本 的 に陸域 に近 接 した場 で形成 され た もの と,陸 か ら
離 れ た海洋 に起 源 を もつ ものの2グ ル ープ に大 別 す る
前 者 の グ ル ー プ の 砂 岩 や タ イプIIの 石 灰 岩 礫 岩 に 含
まれ る砕 屑 粒 子 に は,中
∼酸 性 火 成 岩 ・火 砕 岩 類 が 大
Fig.4.Reconstruction ly contained 量 に 含 まれ る.特
に,黒
model for primary in the Shingai depositional Formation(from 瀬川構 造帯 レンズ状 部の構 成
要 員 で あ る 三 滝 花 醐 岩 や 溶 結 凝 灰 岩 等 に 酷 似 す る もの
sites of the pelagicsediments
IsozAKI
,present-
,in prep.).
大 か ら長 径20mに
suppertedの
及 ぶ 種 々 の 岩 体 を い ず れ もmatrix-
状 態 で 含 ん で お り,大 規 模 な ス ラ ン ピ ン
が 含 ま れ る こ と は 重 要 で あ る.ま た 圧 砕 花 簡 岩 類 及 び
グ や 土 石 流 に よ る 堆 積 物 に類 似 す る.こ
高 圧 型 緑 色 片 岩 も,同 様 の もの が 黒 瀬 川 構 造 帯 レ ンズ1
搬 ・堆 積 機 構 を 発 生 し う る不 安 定 な 重 力 場 の 斜 面 を 持
状 部 に 認 め られ る こ とか ら,こ れ ら の 地 層 ・岩 石 は,い
つ 点 に お い て,海
ず れ も 当時 の 黒 瀬 川 地 塊 に 起 源 を も ち,そ
の 形 成 場 と して の 条 件 を満 た す(e .g.MoORE の砕 屑物 の
到 達 範 囲 内 に お い て 堆 積 な い し定 置 した もの で あ る と
考 え られ る.
溝 周 辺 ,特 に 海 溝 内 側 斜 面 は,本
層
et al.,
1976).
こ れ らの こ とか ら,筆 者 は 新 改 層 の 形 成 場 をペ ル ム
これ ら に 対 して,後
岩 は,そ
の よ う な運
者 の グ ル ー プ の 緑 色 岩 類 ・石 灰
の 岩 相 ・年 代 か ら判 断 し て 隣 接 す る"臼
層 群"UnitIの
緑 色 岩 類 ・石 灰 岩 に 対 応 す る.こ
紀 末 頃 の 黒 瀬 川 地 塊(島
弧 な い し微 小 大 陸)と,そ
の
木谷
北 方 に 拡 が る海 洋 プ レ ー ト との 間 に存 在 し た収 束 域 と
れ ら
推 定 して い る(Fig.5).お
そ ら くFig.4に
示 す よ う な地
の 緑 色 岩 類 ・石 灰 岩 は,初 生 的 に は ペ ル ム 紀 古 世 ∼ 中
質 体 を上 に の せ た 海 洋 プ レー ト(FarallonPlateま
世(一
は 未 知 の プ レ ー ト)が黒 瀬 川 地 塊 の 下 へ 南 に 向 っ て 沈
部 石 炭 紀?)に
存 在 してい た海 山及 びそ の項部
に 発 達 した 生 物 礁 複 合 体 な い し石 灰 岩 マ ウ ン ドの 一 部
み 込 ん で い た の で あ ろ う.珪
と して 形 成 さ れ た もの で あ る と推 定 さ れ る.ま
たタ イ
もに よ り泥 質 に 変 化 す る こ と,ま
プ1・IIIの 石 灰 岩 礫 岩,allodapic石
山 の斜
あ っ て,他
灰 岩 は,海
た
質岩類 の岩相 が年 代 とと
た石 灰岩礫 岩 の 中に
に 比 較 して 若 い 年 代 を もつ タ イプIIの 礫 岩
面 下 底 周 辺 に堆 積 して い た 石 灰 質 重 力流 堆 積 物 と み な
に限 っ て粗 粒 陸 源 砕 屑 物 を 含 む 事 実 は,共
さ れ る.い ず れ も粗 粒 陸 源 物 質 を含 ま な い こ とか ら,遠
場 の 環 境 が 遠 洋 性 条 件 か ら陸 域 の 影 響 を こ う む る状 況
洋 性 環 境 の 堆 積 物 と推 定 さ れ る.一
に 変 化 した こ と を示 して お り,陸 縁 に お け る海 洋 プ レ
方,珪
い て も,粗 粒 物 質 を 含 ま な い こ と,ま
質岩類 につ
にその 形成
た お よそ1000年
毎 に 数mmと 算 定 さ れ る低 い 堆 積 速 度 を もつ こ と か ら,
遠 洋 性 の 深 海 底 堆 積 物 とみ な さ れ,上
述 の 石 灰 岩 ・石
灰 岩 礫 岩 とは 同 時 異 相 ・側 方 移 化 関 係 に あ っ た と推 定
され る.こ
れ ら の 各 種 遠 津 性堆 積 物 の 初 生 的 形 成 場 の
位 置 関 係 を復 元 した モ デ ル をFig.4に
示 す.
新 改層 の 形成
以 上 の こ と か ら,新
改 層 中 に は,ペ
ル ム 紀 当時 の 黒
瀬 川 地 塊 近 辺 で 形 成 さ れ た 岩 石 ・地 層 と陸 域 か ら離 れ
た 海 洋 中 で 形 成 さ れ た 岩 石 ・地 層 が,各
々外 来性 岩体
と して 混 在 す る こ とが 明 ら か に な っ た .こ の よ う な,本
来 互 い に 異 な る場 で 形 成 され た グ ル ー プ の 岩 石 ・地 層
が,水
平 方 向 に 著 し く接 近 し,混 在 化 し う る場 を,プ
レー ト収 束 域(海
え ら れ る.ま
溝)以
外 に 求 め る こ と は難 しい と考
た 新 改 層 の 主 体 を な す 礫 質 泥 岩 は,小 礫
Fig.5.Schematic model position of seamount sand mass in Late showing relative
ancient"Shirakidani"
the Kurosegawa Permian.
land-
209
一 トの 収 束 を反 映 し た現 象 と して 理 解 され る.
新 改 層 と同 様 な い し類 似 の 特 徴 を もつ 地 層 群 は 四 国
各 地 の 秩 父 累 帯 北 帯 南 縁 及 び 中 帯 と さ れ た 地 帯 に認 め
られ る(e.g.市 ノ瀬 層 群,檜
曽根 層 群,土
分 布 す る ジ ュ ラ紀 の 収 束 域 産 物(e.g.上
層 群)と
は,岩
され る.ま
磯 崎 行 雄,1978:四
居 層 群).こ
れ ら の ペ ル ム 紀 末 の 収 束 域 産 物 は,現 在,よ
り北 方 に
八 川 層,剣
こ れ らの 地 層 群 の 形 成 は 遅 く と も ト リア ス 紀 中 世 に は
完 了 し て い た と考 え られ る.そ の 後,ジ
ュ ラ紀 に 北 部
秩 父 海 盆 が 最 終 的 に 閉 塞 す る 造 構 過 程(勘 米 良,1980;
市 川,1982:丸
山 ・古 谷,1983)が
ユ ー ラ シア大 陸南
縁 部 で進 行 し,黒 瀬 川 地 塊 が ユ ー ラ シ ア 大 陸 に 衝 突 ・
付 加 す る 時 点 で,上
述 の'ペ
ル ム 紀 末"の
地 層 群 も同
様 に 大 陸 縁 に 付 加 ・合 体 した と推 定 され る.
謝
辞
本 研 究 を進 め る に あ た り,大 阪 市 立 大 学 市 川 浩 一 郎
教 授 か らは 有 益 な 御 助 言 を た ま わ っ た.ま
昭 氏,松
煕 教 授,富
田 哲 夫 氏,前
島
渉 氏,高
た同大 学 八
知大 学波 田 重
山 大 学 丸 山 茂 徳 氏 か ら は貴 重 な 御 意 見 を い
だ だ い た.以 上 の 方 々 に 対 し記 して 感 謝 の 意 を 表 す る.
な お研 究 費 の 一 部 と して 文 部 省 科 学 研 究 費 補 助 金
(No.59340051)を
使 用 した.
文
献
BENDER, H. and STOPPEL, D., 1965: Perm-Conodoten.
Geol. Jb., 82, 331-364.
CARIDROIT,M. and DE WEVER, P., 1984: Description de
quelques nouvelles especes de Follicucullidae et d'
Entactinidae (Radiolaires Polycystines) du Permien
du Japon. Geobios., no. 17, 639-644.
市 川 浩 一 郎,1982:概
論:西
南 日本 の ジ ュ ラ紀 変 動.月 刊 地
球,no.4,414-420.
・石 井 健 一 ・中 川 衷 三 ・須 鎗 和 巳 ・山 下
坂 州 不 整 合 に つ い て.徳
昇,1953:
島 大 学 学 芸 紀 要(自 然 科 学),3,
61-74.
.●
●
1956:黒
瀬 川 構 造 帯(四
・,
国 秩 父 累 帯 の 研 究III),地
質 雑,
62,82-103.
IGO, H., 1981: Permian conodont biostratigraphy
of
Japan. Palaeont. Soc. Japan, Spec. Pap., no. 24, 50p.
ISHIGA, H., KITO, T. and IMOTO, N., 1982: Permian
コノ
本 地 質 学 会 関 酉 支 部 報,
no.83,12。13.
,1980:高
造 の 再 検 討.日
た檜 曽 根 層 群 の 一 部 は浅 海 成 上 部 ト リア ス
とか ら,
国 中 央 部 秩 父 累 帯 北 帯s`N古生 層"の
ド ン ト に よ る 年 代 の 再 検 討.日
山
相 ・年 代 等 の 差 異 に 基 づ き明 瞭 に 区 別
系 に 不 整 合 に お お わ れ る(市 川 ほ か,1953)こ
尾
radiolarian biostratigraphy.
In Proceedings of the
first Japanese radiolarian symposium (News of Osaka
Micropaleontologists, Spec. Vol., no. 5), 17-26.
知 県 秩 父 累 帯"臼
本 地 質 学 会 第87年
,1985:休
木 谷 層 群"の
層 序 と構
学 術 大 会 講 演 要 旨,129.
場 礫 岩 と そ の 産 状.地
質 雑,91,535-
551.
,投
稿 中:秩
父 累帯 北 帯 新 改 層 とペ ル ム紀 末 の黒
瀬 川 地 塊 の 北 縁 収 束 域.
KANMERA,K., 1954:
•ìoceedings
Os`P&¶•†âR
Fly UP