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グローバル金融規制 2016年2月25日 プライスウォーターハウスクーパース総合研究所 マネージングディレクター

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グローバル金融規制 2016年2月25日 プライスウォーターハウスクーパース総合研究所 マネージングディレクター
www.pwc.com/jp
PwC
Global Megatrends Forum
グローバル金融規制
2016年2月25日
プライスウォーターハウスクーパース総合研究所
マネージングディレクター
北野 淳史
本日の内容
■ 金融危機後のグローバル金融規制改革
・ すでに実施に移されている取組み
・ これから実施される予定の取組み
■ 各国規制当局の考え方
■ 金融機関のビジネスに与え得る影響
PwC
1
世界CEO意識調査より(成長に対する自信)
以下は貴社の成長見通しに対する潜在的な経済的、政策的、社会的、環境的脅威です。あなたはそれぞれ
についてどの程度懸念していますか?「非常に懸念している」「多少懸念している」と回答した人
%
日本
(126)
米国
(97)
アジア太平洋地域
(日本を除く) (386)
中国/香港
(145)
西欧
(314)
世界全体
(1,409)
過剰な規制
64
90
77
79
81
79
租税負担の増加
60
86
66
82
57
69
資金調達面での制約
29
33
54
83
25
42
高失業率/不完全雇用
33
44
43
42
43
46
財政赤字と債務負担に対する政府の対応
67銀行・資本市場関係:87%
65
79
52
59
71
不十分な基盤インフラ
44
53
保険:94%
63
53
39
56
地政学的な不確実性
66
79
67
55
79
74
為替相場の乱高下
85
65
79
81
55
73
社会不安
53
56
63
59
59
65
気候変動と環境破壊
63
44
53
52
50
50
金利の上昇
70
60
66
74
34
58
ユーロ圏の債務危機
67
53
54
52
60
51
PwC
2
国際金融基準の策定主体
金融世界経済に関する首脳会合
G20サミット
金融安定理事会(FSB)
各国規制・
監督当局
業態別の主な国際金融基準策定主体
バーゼル
銀行監督委員会
(BCBS)
PwC
証券監督者
国際機構
(IOSCO)
保険監督者
国際機構
(IAIS)
3
金融危機後に実施に移されている主な規制強化のエリア
銀行の健全性規制
•
•
•
•
バーゼルII.5
バーゼルIII
共通ストレステスト
・・・
Too-big-to-fail
•
•
•
•
金融市場改革
•
•
•
•
PwC
店頭デリバティブ
中央清算機関
マーケットコンダクト(LIBOR他)
・・・
システム上重要な金融機関(SIFI)
破たん処理枠組み
再建・処理計画
・・・
持続可能なビジネスモデル
•
•
•
•
リスクアペタイトフレームワーク
リスク文化
コーポレートガバナンス
・・・
4
バーゼルIIIが銀行のバランスシート管理に与え得る影響
資産
バーゼルIII
自
己
資
本
比
率
規
制
レ
バ
レ
ッ
ジ
比
率
規
制
総自己資本
所要自己資本
の高い資産
流
動
性
規
制
低流動資産
②リスク・アセット圧縮
VS 収益確保
所要自己資本
の低い資産
高流動資産
≧8%
負債
付保預金
①レバレッジの圧縮 VS
積み上がる預金・
安定調達
一般債、ホールセール
調達、ABCP、レポ
等
Tier2(劣後債)
③内部留保の積立・
資本基盤強化 VS
株主還元・ROE低下
その他Tier1
資
本 普通株式等Tier1
リスク・アセット
PwC
出典:「バーゼルⅢ 自己資本比率規制 国際統一/国内基準告示の完全解説」(金融財政事情研究会)の図を改訂
5
米・連邦準備制度理事会(FRB)フィッシャー副総裁の講演より
“Supervisory Stress Testing of Large Systemic Financial Institutions” (24 June 2015)
ストレステストは、米国の大規模金融機関に対する規制・監督の新しい手法の土
台となっている。(中略)
FRBの大規模かつ最もシステミックな金融機関のストレステスト手法は、2009年の
監督上の資本評価プログラム(SCAP)以降進化してきたが、いくつかの主要な要素
は今日においても引き継がれている。これらの要素は①監督上のシナリオを全ての
金融機関に適用、②自己資本が不十分とみなされる金融機関に対する定められた
対応、③結果の開示を含む。
PwC
出典: http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/fischer20150624a.htm
6
システム上重要な銀行(G-SIB)の追加資本賦課(2015年11月現在)
追加資本賦課
2.5%
2%
1.5%
1%
PwC
対象銀行グループ
JPモルガンチェース(米)
HSBC(英)
シティ(米)
BNPパリバ(仏)
バークレイズ(英)
ドイチェ(独)
バンクオブアメリカ(米)
モルガンスタンレー(米)
ゴールドマンサックス(米)
クレディスイス(スイス)
三菱UFJ(日)
ウェルズファーゴ(米)
ステートストリート(米)
バンクオブニューヨークメロン(米) RBS(英)
スタンダードチャータード(英)
バンクポピュレール(仏)
クレディアグリコール(仏)
ソシエテジェネラル(仏)
ウニクレディト(伊)
サンタンデール(西)
UBS(スイス)
INGバンク(蘭)
ノルディア(スウェーデン)
中国銀行(中)
中国工商銀行(中)
中国建設銀行(中)
中国農業銀行(中)
三井住友(日)
みずほ(日)
出典: http://www.fsb.org/2015/11/2015-update-of-list-of-global-systemically-important-banks-g-sibs/
7
世界CEO意識調査より(成長に対する自信)
以下のそれぞれについて社会がどちらに向かっていると思うか、当てはまる方を選んでください。
日本
(126)
米国
(97)
アジア太
平洋地域
(日本を除
く) (386)
グローバルベースの
金融機関
42
11
16
13
13
15
地域単位の投資銀行
56
75
79
85
80
79
不明/未回答
2
13
6
2
7
6
%
PwC
中国/
香港
(145)
西欧
(314)
世界
全体
(1,409)
8
米・連邦準備制度理事会(FRB)タルーロ理事講演より
“Corporate Governance and Prudential Regulation” (9 June 2014)
特に静態的でバックワードルッキングな基準である自己資本規制は、特定の資産
や取引に関する実際のリスクの範囲を必ずしも正しく捉えられない。実際に、自己資
本の枠組みは、金融機関が規制対象のリスクカテゴリーの範囲内でリスクテイクを最
大化しようとするため、規制裁定を招く可能性がある。(中略)したがって、自己資本
規制やその他の実質的な措置に対する補完的手段として、規制対象の金融機関の
リスクテイクの「プロセス」に影響を与えることが重要である。
【規制上の目的に沿うようなコーポ―レートガバナンスを構築するための措置】
1.報酬体系
2.意思決定に対する規制(ストレステストを踏まえた資本計画策定等)
3.コーポレートガバナンスのプロセス強化(取締役会によるリスク管理状況や経営
陣の意思決定(戦略・リスクアペタイト・資本計画策定等)の監視等)
PwC
出典: http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/tarullo20140609a.htm
9
今後実施に移される予定の規制強化のエリア
銀行のリスク捕捉簡素化
• 内部モデル使用の撤廃・制限
• 所要自己資本圧縮効果の制限
• ・・・
コンダクトリスク
• 市場の完全性・競争条件の平等
• 顧客に対する不適切な行動の抑制
• ・・・
PwC
シャドーバンキング
• 非銀行機関規制
• 証拠金規制
• ・・・
リスクの遮断
• 自己勘定取引の禁止
• 銀行業と証券業の分離
• ・・・
10
バーゼル銀行監督委員会イングベス議長講演より
“From the Vasa to the Basel framework: The dangers of instability” (2 November 2015)
危機後の規制枠組みは現在十分に構築された。我々はバーゼルIIIの改革パッ
ケージを最終化する段階に明確に入っている。(中略)
二つの大きな側面においてバーゼルIIからの枠組みに変化がない。一つ目はリ
スクの計測手法、特に銀行自身のリスクの推計に依存する枠組み(中略)二つ目に、
リスク加重アプローチは危機前と本質的に変わっていない。
バーゼル委における継続する政策改革アジェンダの主な要素は、これらの2つの
側面から来る断層への対処である。これらの改革は、簡素さ・比較可能性・リスク感
応性の正しいバランスがとれているかを評価するための、リスク加重資本枠組みの
戦略的見直しに基づく。改革は、大きく以下の3つに分野に分けられる。①リスク感
応度及び標準的手法の頑健性の強化、②自己資本枠組みにおける内部モデルの
役割の見直し、③レバレッジ比率及び資本フロアの設計及び水準調整の最終化。
PwC
出典: http://www.bis.org/speeches/sp151102.htm
11
米・連邦準備制度理事会(FRB)タルーロ理事講演より
“Thinking Critically about Nonbank Financial Intermediation” (17 November 2015)
金融危機は、米国金融システムにおける二つの大きな脆弱性を明らかにした。一
つ目は、too-big-to-fail問題の大きさである。二つ目は、いわゆるシャドーバンクシ
ステムの規模及び脆さである。(中略)
ある特定の形をとるノンバンクによる金融仲介に対する規制が適切かどうかを評価
するためには、社会的に有益な信用、資本あるいは貯蓄の選択肢の増加と、金融
システム全体の安全性・安定性に対するリスクの増加との間のバランスをとることが
必要となる。(中略)
銀行規制に関する規制裁定を行うシャドーバンクの成長を制限するための一つの
手段として、規制対象セクターに不必要な負担を課さないことを確認するということ
につき言及したい。
PwC
出典: http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/tarullo20151117a.htm
12
英・イングランド銀行(BOE)ベイリー副総裁講演より
“Progress on prudential regulation and three areas to complete” (22 October 2015)
時々、銀行システムは依然として著しくより多くの資本が必要だという議論がある
(中略)。私はこれに同意できない(中略)。危機後に実施されてきたよりも多くの資
本(賦課)につき議論することは、破たん処理や損失吸収について行われてきたこと
がほとんど役に立たないと議論することになるからである。
【完了すべき3つのジョブ】
1.経営陣に対する枠組み(senior managers and certification regime)
• 規制上の要件に違反した際の銀行の経営陣の説明責任の強化
2.構造改革とリングフェンス(2019年より実施予定)
• コア預金が250億ポンドを超える銀行はコアリテール業務をリングフェンス
3.銀行業界の競争
• 中小行に対するより簡素な資本規制の枠組み(レバレッジ比率の活用)
PwC
出典: http://www.bankofengland.co.uk/publications/Pages/speeches/2015/854.aspx
13
米・民主党サンダース上院議員のウォールストリート関連施策
It is time to break up the largest financial institutions in the country.
If a bank is too big to fail, it is too big to exist.
【主なアクション(抜粋)】
「Too Big to fail, Too big to Exist法」を導入し、大銀行を解体してtoo-big-to-fail
金融機関によるFRBのディスカウントファシリティへのアクセス、リスクのある行動に
関する預金保険対象預金の活用を禁止した。
1999年に、銀行が顧客の資金を用いてギャンブルを行うことを禁止するグラス・ス
ティーガル法の要件を守る運動を主導し、現在、これらの要件を復活させようとする
Elizabeth Warren/John McCain法案の共同提案者。
PwC
出典: https://berniesanders.com
14
欧州銀行監督局(EBA)エンリア議長講演より
“Opening-remarks, EBA’s 5th Anniversary Conference” (5 February 2016)
【今後の課題】
1.域内共通ルールブックの運用状況のモニタリングと比例原則の強化
規制枠組みが、特に単純なビジネスモデルの銀行にとり著しく複雑となっていると
認識。規制当局は、規制遵守の負担が常に正当なものであるか、規制目的を達成
するためより簡素な手段がないか評価する義務がある。(中略)EU28か国の単一市
場の完全性を担保するため、共通ルールと監督実務の収斂は不可欠と考える。
2.銀行のバランスシートの調整の完了
監督当局は、銀行に対して能動的に不良債権を処理し、貸出余力を回復させるた
め圧力をかけ続けなければならない。
3.デジタルバンキングと消費者保護
デジタルバンキングは、潜在的に既存のビジネスモデルを破壊し、金融サービスの
消費者保護の課題を生み出し得る。
PwC
出典:http://www.eba.europa.eu/documents/10180/1360512/Andrea+Enria+-+Opening+remarks+at+EBA+conference.pdf
15
金融庁 森長官講演より
“Rethinking Regulatory Reforms” (13 October 2015)
金融の安定はそれ自体が目的ではなく、持続可能な成長を確保するための手段
である。改革は、金融システムの強靭性を確保し、金融システムが経済成長に貢献
するよう設計されるべきである。(中略)
新しい規制が毎年導入されるならば、銀行は動く目標を追いかけなければいけな
いため、実施のためのコストは増すであろう。これらのコストは、銀行により負担され、
そして銀行は顧客にコストを転嫁する。直接の負担はウォールストリートに対してで
あるが、最終的な負担者はメインストリートである。(中略)
多くの市場参加者がマーケットメイク活動から撤退してきている。取引量やディー
ラーの債券の在庫の減少が見られる。(中略)マーケットのオーバーシュートと銀行
のバランスシートの毀損との間の負のフィードバックのリスクは、低下するより、増加
するかもしれない。
PwC
出典: http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20151013/01.pdf
16
銀行ビジネスの行方
銀行法
第二条
2 この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。
一 預金又は定期積金の受入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。
二 為替取引を行うこと。
第一条 この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等
の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な
運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
PwC
17
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