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韓国の移転価格文書に係る 2016 年度税制改正 Korea Tax News In brief

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韓国の移転価格文書に係る 2016 年度税制改正 Korea Tax News In brief
Korea Tax News
韓国の移転価格文書に係る 2016 年度税制改正
Issue 2, April 2016
In brief
OECD による BEPS プロジェクト行動 13 の内容を踏まえ、韓国の国際租税調整に関する法律(以下「国租
法」)および同施行令等が改正され、韓国における移転価格文書の提出義務が強化されました。改正による
と、国外関連者との取引金額合計が年 500 億ウォンを超え、かつ、売上高が年 1,000 億ウォンを超える内国
法人または恒久的施設を有する外国法人は、2016 年以降において統合企業報告書(マスターファイル)と個
別企業報告書(ローカルファイル)で構成される国際取引統合報告書の提出が必要となります(法人税申告期
限である事業年度終了後 3 カ月以内)。したがって、国際取引統合報告書の提出対象企業は、移転価格文
書化規定の改正による適切な移転価格文書を提出できるよう、事前検討と準備が必要であると考えられま
す。
In detail
1. 国際取引統合報告書の提出義務者
国際取引統合報告書の提出義務者は、下記の要件をどちらも満たす内国法人または恒久的施設を有する
外国法人です。


国外関連者との取引金額合計が年 500 億ウォン超であること。
個別法人の売上高が年 1,000 億ウォン超であること。
国外関連者との取引金額合計の計算に当たっては、有形資産取引や無形資産取引のみならず、金銭貸借
取引も含めて判断することに留意する必要があります。
また、統合企業報告書は、上記の要件を満たす多国籍企業グループにおける連結財務諸表上の最終親会
社に提出義務があります。ただし、外資系企業の韓国子会社や恒久的施設を有する外国法人のように、連結
財務諸表上の最終親会社が韓国に存在しない場合は、個別企業報告書の提出義務者が海外の最終親会
社から統合企業報告書を入手して提出することになります。
なお、上記に該当しない納税者は法人税申告期限までに国際取引統合報告書を作成・提出する義務はあり
ませんが、国租法第 11 条第 3 項によって税務当局から関連資料の提出を求められた場合、60 日以内に対
応する必要があることに留意する必要があります。
2. 提出しなければならない情報について
国際取引統合報告書は、「統合企業報告書(マスターファイル)」と「個別企業報告書(ローカルファイル)」で
構成されます。それぞれの報告書の記載内容については、BEPS プロジェクト行動 13 を踏まえ、国租法施行
規則で定められています。すなわち、統合企業報告書には多国籍企業グループの組織構成・事業内容・無
www.pwc.com/jp/tax
形資産・財務状況等が含まれるのに対し、個別企業報告書には個別法人の組織構成・事業概要・財務状況・
国外関連者との取引に関する移転価格情報などが含まれます。
統合企業報告書や個別企業報告書の使用言語は、いずれも原則として韓国語になります。この点、日系企
業の韓国子会社の場合(個別企業報告書は韓国語で作成されていることが多いのに対し)、統合企業報告書
は英語で作成して提出することが可能であるとはいえ、英語版を提出した日から 1 カ月以内に韓国語版を提
出しなければならないことに注意が必要です。
なお、OECD による BEPS プロジェクト行動 13 には、マスターファイルやローカルファイルのみならず、国別
報告書(CbCR)も定められているところ、現時点では国際取引統合報告書に国別報告書(CbCR)は含まれて
おりません。こちらについては、韓国でも 2017 年事業年度から導入される予定です。
3. 提出期限
国際取引統合報告書の提出義務者は、統合企業報告書と個別企業報告書を法人税申告期限(事業年度の
終了日後 3 カ月以内)までに管轄税務署へ提出しなければなりません。しかし、国外関連者の事業年度が終
了しない場合や資料の入手等に相当な時間がかかるため提出期限まで対応することが難しいと判断される
場合は、1 年以内の範囲で提出期限の延長を申請することが可能です(提出期限の 15 日前までに毎年申請
する必要があります)。ただし、提出期限の延長は必ず認められるものではないうえ、認められる場合であって
も自動的に 1 年になるのではなく、「作成および提出に必要な期間」として認められることに注意が必要です。
4.ペナルティ
国際取引統合報告書の全部または一部を提出しない場合や事実と異なる内容を作成して提出する場合、提
出義務者に 3,000 万ウォンの罰金が課されます。加えて、移転価格調査時に納税者の移転価格ポリシーが
税務当局から認められない可能性があることにも注意しなければなりません。
5. 施行日
国際取引統合報告書の提出は、2016 年 1 月 1 日以降に開始する事業年度から必要となります。
6. 納税者の対応
国際取引統合報告書の導入によって、韓国の移転価格文書化の規定は大幅に変わりました。国際取引統合
報告書の導入前は、税務当局から移転価格文書の提出要請がある場合にのみ移転価格文書を提出しまし
たが、今後は原則として毎年移転価格文書を税務当局に提出することになります。
加えて、日系企業を含め、韓国に親会社が存在しない韓国子会社の場合、韓国の国際取引統合報告書(特
に統合企業報告書)の提出期限が親会社所在国における親会社のマスターファイルの提出期限より先に到
来する可能性があるということは特に留意すべき点となります。この場合には、国際取引統合報告書の使用
言語が韓国語であることに注意しつつ、韓国での統合企業報告書対応として親会社が事前に適切な移転価
格文書を準備することが望ましいと思われます。
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