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平成 28 年税制改正 新移転価格文書の導入 Transfer Pricing News

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平成 28 年税制改正 新移転価格文書の導入 Transfer Pricing News
Transfer Pricing News
平成 28 年税制改正
新移転価格文書の導入
April 2016
In brief
OECD/G20 による BEPS プロジェクト行動 13(移転価格文書化の再検討)を受けて、平成 28 年税制改正で
は、租税特別措置法(措法)第 66 条の 4、租税特別措置法施行令(措令)第 39 の 12、租税特別措置法施
行規則(措規)第 22 条の 10 がそれぞれ改正されるとともに、新たに措法第 66 の 4 の 4、措法第 66 の 4 の
5、措令第 39 条の 12 の 4、措規第 22 条の 10 の 4、措規第 22 条の 10 の 5 が創設され、新しい移転価格文
書制度が導入されました。
この新移転価格文書制度により、これまで日本においても国外関連取引を有するすべての納税者に作成が
求められていた独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)については、一
定の国外関連取引を有する場合に同時文書化が義務付けられることとなりました。また、直前会計年度の連
結総収入金額が 1,000 億円以上の多国籍企業グループの最終親会社等には、新たに事業概況報告事項
(マスターファイル)と国別報告事項(国別報告書)の作成及び提出が義務付けられ、期限内に提出されない
場合には罰則が適用されることとなりました。
In detail
1.
租税特別措置法における主な改正内容
措法第66の4(国外関連者との取引に係る課税の特例)においてローカルファイルに係る改正が行われ、第6
項でローカルファイルを確定申告書の提出期限までに作成又は取得し、保存しなければならないとする同時
文書化が義務付けられました。この同時文書化義務に伴い、ローカルファイルの提示又は提出がない場合に
推定課税や同業の事業を営む者に対する質問検査(同業者調査)を行うことができるとする期日が第8項、第
11項で明確化されました。具体的には、調査において調査官がローカルファイルの提示等を求めた場合に、
従前は当該期日について「遅滞なく」とされていたところ、「45日以内の調査官の指定する日」と期日が明示さ
れ、また、独立企業間価格を算定するために重要と認められる書類についても「60日以内の調査官の指定す
る日」とされました。
なお、この同時文書化については、第7項において免除規定が設けられており、一の国外関連者との間で行
った前事業年度の取引の受払合計額が50億円未満であり、かつ当該一の国外関連者との間で行った前事
業年度の無形資産取引(特許権、実用新案権などの無形固定資産その他の無形資産の譲渡若しくは貸付
け等)の受払合計額が3億円未満である場合には、同時文書化義務が免除されます。同時文書化義務が免
除される場合であっても、第9項、第12項において、独立企業間価格を算定するために重要と認められる書
類について調査官が提示等を求めた日から60日以内の調査官の指定する日までに提示等がない場合には、
推定課税等を行うことができるとされていることから、注意が必要です。
また、新たな移転価格文書としてBEPSプロジェクト行動13で勧告された国別報告書について規定する措法
第66条の4の4(特定多国籍企業グループに係る国別報告事項の提供)とマスターファイルについて規定する
www.pwc.com/jp/tax
Transfer Pricing News
措法第66条4の5(特定多国籍企業グループに係る事業概況報告事項の提供)が創設されました。国別報告
事項、事業概況報告事項に関する規定については、OECDの基準に沿った内容となっており、下記「国別報
告事項・事業概況報告事項に係る規定の概要」のとおり、作成・提出義務者と使用言語を除き、同様の規定
となっています。特に、国別報告事項については措法第66条の4の4第7項において、また、事業概況報告事
項については措法第66条4の5第3項において、正当な理由がなく国別報告事項、又は、事業概況報告事項
をその提供の期限までに税務署長に提供しなかつた場合には、その違反行為をした者は、それぞれ30万円
以下の罰金に処するとする罰則が規定されました。
国別報告事項・事業概況報告事項に係る規定の概要
(1)国別報告事項
①適用開始時期:
(2) 事業概況報告事項
(マスターファイル)
2016 年度
(3 月決算の場合 2017 年 3 月期、12 月決算の場合 2017 年 12 月期)
②提出期限:
翌決算期日(e-Tax により提出)
③作成要件:
直前会計年度の連結総収入金額 1,000 億円以上
④作成・提出義務者:
1.多国籍企業グループの最終親事業体 多国籍企業グループの構成事業体
2.多国籍企業グループの構成事業体で である内国法人又は恒久的施設を有
ある内国法人
する外国法人(複数ある場合は一社)
⑤記載内容:
⑥使用言語:
⑦罰則等:
2.
OECD 提言と同じ
英語
日本語または英語
期限内の提供しない場合、罰則あり(30 万円)
租税特別措置法施行令における主な改正内容
第 39 条の 12(国外関連者との取引に係る課税の特例)においてローカルファイルの同時文書化義務の免除
要件に関する前事業年度がない場合の具体的ケース等について、第 39 条の 12 の 4(特定多国性企業グル
ープに係る国別報告事項の提供)において国別報告事項及び事業概況報告事項の提供を求められる企業
集団、企業グループ、構成会社等の詳細等について規定しています。
3.
租税特別措置法施行規則における主な改正内容
第 22 条の 10(国外関連者との取引に係る課税の特例)においてローカルファイルの記載内容等について、
第 22 条の 10 の 4(特定多国性企業グループに係る国別報告事項の提供)において国別報告事項の記載
内容、使用言語等について、第 22 条の 10 の 5(特定多国籍企業グループに係る事業概況報告事項の提供)
において事業概況報告事項の記載内容、使用言語等について規定しています。
4.
追加事項の公開について
今後、国別報告事項や事業概況報告事項の記載内容について、追加の指針がでることが期待されています。
私どもでは、追加の指針が公開され次第、ニュースレターにて、詳細をお知らせする予定です。
PwC
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