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BCMと企業価値の関係性 2010. 2.19 一橋大学 加賀谷哲之 構成

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BCMと企業価値の関係性 2010. 2.19 一橋大学 加賀谷哲之 構成
企業の事業継続マネジメント・シンポジウム
於:新丸の内ビル9F 新丸ビルコンファレンススクエア
BCMと企業価値の関係性
BCMと企業価値の関係性
株式市場からの評価を中心に
2010. 2.19
一橋大学 加賀谷哲之
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1
構成
1. 問題意識
2. BCMと企業価値と関係性
3. リスク事象の発生が企業価値に与える影響
4. BCM開示優良企業の経済効果
5. ケース 新型インフルエンザ対応が企業価値に与える効果
6. BCMを企業価値に結びつけるための基盤整備
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2
問題意識
問題意識
3
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なぜいまBCMが必要か?
グローバル化、市場化・自由化、リスク事象の拡大・先鋭化などに伴い、かつては日本
型経営のもとで実践できていた各資源提供者との安定的・長期的な関係の構築を前提
とした事業継続はかねてより困難になりつつある。戦略的に重要業務継続のための取り
組みを実践しない限り、重要顧客への安定供給は望めない。
カネ
情報
コミットメントライ
ンなど
バックアップ
各資源提供者との安定的で柔軟な関
係性の構築が競争力向上を支える
グローバル化、市場化・自由化、リスク事象の拡大
安定供給
重要顧客
ヒト
要員調整・業務
の標準化など
企業(
経営者)
モノ
代替供給・普及
スピードなど
BCMは日本企業が競争
力を発揮する上での前
提条件となるのでは?
BCMの構築が不可欠に
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4
BCMと企業価値の関係性
BCMと企業価値の関係性
5
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BCMと企業価値の関係性
BCMを企業価値に反映させるためには、①各ステークホルダーに対するBCMの取り組
みを開示・発信、②BCMの取り組み内容の質・量の評価、③②を取引契約や当該企業の
評価に反映、④将来利益の成長・利益の持続性・安定性の向上、という4ステップを経る
必要がある。
<取引関係・契約>
<ステークホルダー>
お取引先(パートナー)
取引
お客様
企業
①開示・発信
銀行・債権者
出資・融資
投資家
雇用
従業員
税制、政府調達
政府
②評価
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③取引契約条件
への反映
④将来利益の成
長・持続性向上
6
BCMの開示
◆有価証券報告書内におけるBCM、BCP、事業継続の開示状況
2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度
2003年4月~2004 2004年4月~2005 2005年4月~2006 2006年4月~2007 2007年4月~2008
年3月
年3月
年3月
年3月
年3月
対処すべき課題
事業等のリスク
コーポレートガバナンスの状況
6
20
5
8
32
10
22
58
36
30
81
57
39
106
74
◆有価証券報告書内におけるBCM、BCPの開示状況
2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度
2003年4月~2004 2004年4月~2005 2005年4月~2006 2006年4月~2007 2007年4月~2008
年3月
年3月
年3月
年3月
年3月
BCP
BCM
0
0
4
0
17
3
32
7
48
10
2005年8月より内閣府より「防災の取組みに関する情報開示の解説と事例」が公表される
など情報開示の基盤は整備されており、BCM、BCPについての開示企業は増大している。
とはいえ、有価証券報告書の開示企業が4,000社弱存在することを前提とすると、必ずし
も、日本企業が積極的に開示に取り組んでいるとはいいがたい。
7
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BCMの評価を活用する金融機関の試み
金融機関
対象
内容
商工中金
防災対策に取り組む事業者
防災対策費用を10年固定金利で融資。「防災対策支援貸付
制度」
日本政策投資銀
行
防災対策が優れている企業
約60の質問項目に基づき、各社のBCPや防災対策を評価(
レベルゼロ~3)。当該評価に基づきしたうえで防災対策費
用への融資で最大0.6%金利。「防災格付融資制度」
DBJ、三菱UFJ信
託、日興シティ
防災対策が優れている企業
震災時の必要資金の融資をあらかじめ契約。「EQ-LINE」(
震災時発動方融資予約)。
DBJ、損保ジャパ
ン
防災対策が優れている企業
防災格付けが高い企業に対して上記の優遇金利を提供の
上、損保ジャパンは当該格付けに応じて、利益保険を割安に
提供する。
中小企業金融公
庫
BCP策定企業
京都銀行
BCP策定済みか策定予定
の企業
融資金利を0.3%優遇
滋賀銀行
BCP策定済みか災害リスク
分析を受けた企業
通常より0.3%低い金利で防災対策費用を融資
名古屋銀行
BCP策定済みか策定予定
の企業
BCP策定費用などへの融資金利を0.3%優遇。BCP支援ロ
ーン。融資対象企業は約60の質問に回答し、災害対策状況
を数値化。改善策を提示。
びわこ銀行
BCP策定に取り組む事業者
事業継続計画の策定に必要となる資金を通常金利より0.3%
優遇して融資。BCP対応ビジネスローン。
BCP策定企業に対して優遇金利制度を設定。融資期間が
15年以内。「社会環境対応施設整備資金」
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BCMを企業価値に結び付けるにあたっての壁となっている要因は?
ステークホルダー
取引内容
取引タイプ
開示・発信
お取引先
(サプライヤー)
調達
・相対
・重要取引先については個別に
情報共有
・事業内容にあわせた評価
項目の設定
製品・サービス
供給
・相対
・市場
・重要顧客については個別に情
報共有、取引先は多数である市
場取引が重要な場合には社会
的な要請に対応する必要あり。
・事業内容にあわせた評価
項目の設定
・市場取引を前提とすると、
社会的な要請を満たすこと
が重要に。
・相対
・融資先と金融機関の間での情
報共有
・統一的な基準に基づく評価
手法の確立(普及)
・信用リスクに基づく評価手
法の確立
・統一的な基準に基づく評価
手法の確立(普及)
・将来利益の貢献や資本コ
ストに基づく評価手法の確立
お客様
銀行・債権者
融資
評価
投資家
社債・出資
・市場
・有価証券報告書、決算短信、
CSR報告書などの活用
従業員
雇用
・市場
・社内コミュニケーション
・有価証券報告書、決算短信、
CSR報告書などの活用
・統一的な基準に基づく評価
手法の確立
政府
税制
政府調達
・市場
・税制や政府調達時における要
件への組み込み
・統一的な基準に基づく評価
手法の確立
④将来利益の成
長・持続性向上
③取引契約条件
への反映
②評価
①開示・発信
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BCMの取り組みを企業価値に結びつけるために
投資家の視点からの検証の重要性
BCMは企業の競争力に直接寄与する活動であるとともに、企業の社会的な責任とい
う観点でも注目を高めている。
地域社会・一般消費者
社会におけるリスク事象への関心の高まり
アカデミズム
機関投資家(ファンド、CSR、CG)
実証的・理論的
証拠の提示
投資ポリシー(ポジティブ・ネ
ガティブ)への反映
会社担当者
社外取締役・社外監査役
提案
提案
企業経営者
日本企業は他国企業と比べて、黒字企業の割合が高く、企業の寿命も長い。だ
からこそ、「技術立国」に代表されるイノベーション能力を構築してきた。こうした
日本企業の個性を活かしながら、企業活動を継続させていくためには、BCMな
どの備えが不可欠である。
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リスク事象の発生が企業
リスク事象の発生が企業
価値に与える影響
価値に与える影響
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BCMに対する取組と企業価値との関係性
研究アプローチ
BCPに対する取組み
企業価値変数
BCPに対する企業の
取組み
企業価値(株式時価
総額、株式リターン)
両者は関連している
か、因果関係は?
BCPに関連した開示
(リスク情報、報告書)
資本コスト、株式取引
数
企業イメージ、ブランド
価値
両者の関連性を検証し、企業の事業継続性の評
価にあたって意識すべき要件やモデル構築に必要
となる変数を特定化する。
追加的に企業の事業継続性に対する取組みを促
す上で不可欠となる要件などを検討
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サンプルの抽出
【①データベースから検索】
eol ESPersにて2008年3月11日現在に所収されている上場会社3,986社、非上
場会社2,004社の5,990社のうち、「新潟中越地震」というキーワードを有価証券報
告書内に掲載している454件を抽出。
【②検索内容の検証】
①で抽出された454件のうち、当該企業の業績と「新潟中越地震」との関係につい
て、直接的に言及のあった56社を抽出。当該企業の財務業績について、①地震
災害に関する損失、②営業利益への影響、の2点で検証。
雪国まいたけ、石油資源開発、山崎製パン、岩塚製菓、寿スピリッツ、森永乳業、ヴァリック、三国コカ・コーラボトリング、くらコーポ
レーション、あらた、ニチロサンフーズ、わらべや日洋、北越製紙、セコム上信越、イオンファンタジー、日本精蝋、倉元製作所、日本
カーボン、東京特殊電線、コロナ、アドバネクス、ツガミ、倉敷機械、ユニオンツール、サトー、リケン、三洋電機、ケンウッド、アルプ
ス電気、日本精機、東邦レマック、トップカルチャー、日本トイザらス、PLANT、ジェコー、ヨネックス、コメリ、大和、ニッセンホール
ディングス、原信ナルスホールディングス、ダイア建設、船井財産コンサルタンツ、新潟交通、東日本旅客鉄道、佐渡汽船、リンコー
コーポレーション、新潟放送、東北電力、北陸瓦斯、イチネン、近畿日本ツーリスト、トッキ、アークランドサカモト
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地震災害がもたらす企業価値への影響
市場モデルをベースに日次超過株式投資収益率を算出。地震発生20日前より発生100日
後までの累積超過株式投資収益率を算出。
4.00%
全サンプル、災害損失企業33社は50日前後で回復する
というのは先行研究と同様の検証結果。100日でほぼ元
に戻っている。一方、営業利益低下企業については回復
が遅れている。
2.00%
0.00%
-2.00%
-4.00%
-6.00%
-8.00%
-10.00%
-12.00%
全56社
災害損失計上企業33社
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t+95
t+100
t+90
t+85
t+80
t+75
t+70
t+65
t+60
t+55
t+50
t+45
t+40
t+35
t+30
t+25
t+20
t+15
t+5
t+10
t
t-5
t-10
t-15
t-20
-14.00%
営業利益低下企業29社
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BCM開示優良企業の経
BCM開示優良企業の経
済効果
済効果
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BCP開示企業 開示項目
eol ESPersにて2008年3月11日現在に所収されている上場会社3,986社、非上場
会社2,004社の5,990社のうち、「BCP」「BCM」「事業継続計画」というキーワードの
いずれかを有価証券報告書内に掲載している253件を抽出。
253件を1つ1つチェックし、会社名、企業名などにBCP、BCMなどを会社名に含む
企業などを削除。また配当政策、役員の状況についてBCP、BCMが入っている会社
も削除。結果、合計136件の企業を抽出。
決算期
業績等の概要
対処すべき課題
事業などのリスク
財政状態及び経営成績の分析
コーポレートガバナンスの状況
03.4~04.3 04.4~05.3 05.4~06.3 06.4~07.3 07.4~07.10
4
3
11
16
1
2
3
9
16
1
2
2
1
4
11
29
4
※136件のうち、「研究開発活動」についての報告は図表から除外している。このほとん
どは建設会社によるものである。
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15
1.25
1.2
1.15
1.1
1.05
1
0.95
開示企業
t+12
t+11
t+9
t+10
t+8
t+7
t+6
t+5
t+4
t+3
t+2
t+1
t
t-1
t-2
t-3
t-4
t-5
t-6
t-7
t-8
t-9
t-10
0.9
t-11
β値の変化(1年前のβを1.00とした場合の
開示前後のβ水準)
開示前後の市場βの推移
コントロール企業
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ケース
ケース
新型インフルエンザ対応
新型インフルエンザ対応
に対する企業評価
に対する企業評価
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BCMに対する取組と企業価値との関係性
新型インフルエンザの発生が企業価値に与える影響の検証
日本では近年、新型インフルエンザに対する注目度が高まりつつある。しかしなが
ら、新型インフルエンザに代表されるパンデミックの発生が企業価値に与える影響や
BCMの取組の経済効果について検証している研究は皆無であった。
本研究では、2009年4月下旬に発生したメキシコにおける新型インフルエンザに
フォーカスをあて、当該事象が企業価値に与える影響を検証することにしたい。
メキシコで事業展開をしている企業をサンプルに企業価値への影響を検証。
検証にあたっては、将来業績の変化が投影される株価に注目し、所定のモデルで
は説明できない株価変動をメキシコにおける新型インフルエンザ発生による影響と
推定し、検証。
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BCMに対する取組と企業価値との関係性
新型インフルエンザの発生が企業価値に与える影響の検証
◆メキシコにおける新型インフルエンザ発生の報道
2009年4月22日
メキシコシティでインフルエンザが流行との報道
2009年4月23日
メキシコ流行のインフルエンザが新型であることが判明。メキシコ政府がメキシコシ
ティとメキシコ州の教育施設全校の休校を決定。
2009年4月24日
メキシコとアメリカで、H1N1型ウィルスに共通する遺伝子を持っているとするカナダの
研究所の調査結果をWHOが公表。
2009年4月25日
WHO事務局長が、WHOの国際保険規則(IHR)の定める「国際的に懸念される公衆
衛生上の緊急事態」に該当するとの決定を発表。
2009年4月27日
WHOが世界的流行の警戒水準をフェーズ3からフェーズ4に引き上げ。
2009年4月28日
日本政府は、フェーズ4の公表を受けて、「新型インフルエンザの発生」を宣言し、内
閣総理大臣を本部長とする全閣僚参加の「新型インフルエンザ対策本部」を設置。
2009年4月29日
WHO事務局長が、世界的流行の警戒水準をフェーズ4からフェーズ5に引き上げた
と公表。
2009年5月1日
政府が専門家による諮問委員会を設置
2009年4月22日にメキシコシティでのインフルエンザ流行の報道がなされたものの、実質的に新
型インフルエンザという観点からの認識により、急速に同問題に対する関心が急速に高まった
のは、4月25日のWHOによる発表。
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BCMに対する取組と企業価値との関係性
新型インフルエンザ発生が企業価値に与える影響の仮説
仮説1
新型インフルエンザの発生報道を契機に、メキシコ
で事業展開をしている企業の株価は低下する。
2009年4月27日以降、該
当企業の株価の変動を検
証。
仮説2
BCMについて事前開示している、メキシコ事業展開
企業は、開示していない企業と比べて、新型インフル
エンザによる株価低下を抑制することができる。
2009年4月27日以降、事
前開示企業と非開示企業
の株価の変動の違いを検
証。
財務・会計研究領域で広く活用されているモデルをベースに、メキシコにおけ
る新型インフルエンザの発生が株価水準およびばらつきに与える影響を検討。
①市場モデル
②3ファクターモデル
③個別リスク(Idiosyncratic Risk)
21
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BCMに対する取組と企業価値との関係性
検証モデル
市場モデル
Rit    Rmt   i
※(2)式にて市場モデルをベース
にした累積異常株式リターンを、
(4)式にて3ファクターモデルを
ベースにした累積異常株式リター
ンを推定。
E Rit     Rmt
ARit  Rit  E Rit 
5
CAARit   AARit
・・・・・・・(2)
t 0
3ファクターモデル
ARit  Rit  R f  E Rit  R f

E Rit  R f      Rmt  R f   SMB  HML
Rit  R f     Rmt  R f   SMB  HML   i
5
CAARit   AARit ・・・・・・・(4)
t 0
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22
BCMに対する取組と企業価値との関係性
検証サンプル
①所在地別セグメント情報あるいは海外売上高におい
て、メキシコを事業拠点とすることが確認できる。
156社
②①のうちメキシコを含む地域の売上高が10%以上を
占める
116社
③②のうち株価データが2009年4月1日から遡り60デー
タ以上入手できる
114社
④③のうち分析対象期間である4月27日から5月7日に
かけて、決算情報など株価に重要なインパクトを与える
情報を公開していない。
82社
市場モデルや3ファクターモデルをベースにした累積異常株式リターンについ
ては、④のサンプル(82社)により検証。
※累積異常株式リターンについては決算発表の影響を削除することが求められることか
らサンプル数を限定している。
23
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BCMに対する取組と企業価値との関係性
市場モデルをベースにしたCAAR
メキシコ事業展開企業①
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t+4
t+3
t+2
t+1
t
0.01
0.005
0
-0.005
-0.01
-0.015
-0.02
-0.025
①のうち事前開示企業
24
BCMに対する取組と企業価値との関係性
3ファクターモデルをベースにしたCAAR
メキシコ事業展開企業①
t+4
t+3
t+2
t+1
t
0.015
0.01
0.005
0
-0.005
-0.01
-0.015
-0.02
①のうち事前開示企業
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25
BCMを企業価値に結び
BCMを企業価値に結び
つけるための基盤整備
つけるための基盤整備
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BCMを企業価値に結びつける基盤整備
自社の相対的ポジションを多面的に評価する機会を獲得させる
環境、情報セキュリティなどの先行事例は、各活動において、自社が業界内でどのよ
うな相対的ポジションにあるのか、評価できる機会を多面的に準備している。
【施策1】メディアでのラ
ンキング記事の掲載
【施策2】専用ホーム
ページでの自己診断
【施策3】第3者による簡
便評価
自社の業界内における相対的ポジションの明確化
相対的に業界内におけるポジションが低い企業や対策が必要であるにも実施でき
ていない企業を浮かび上がらせることで、日本企業全般のレジリエンシー・能力を
高めていく。
BCMが日本企業の活動の常識
日本企業の活動の常識となれば、取引条件などにも反映されやすくなり、結
果として日本全体のレジリエンシーを、ひいては競争力を高めることを可能にさせる。
27
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BCMを企業価値に結びつける基盤整備
評価・開示の枠組み整備のためのステップ
短期・
直近
開示
評価
・有価証券報告書
・CSR報告書、サステイ
ナブル報告書
・適時開示
・データベースの蓄積(調
査、専用ホームページ)
・アンケート調査などの実
践
中長期
BCMの構築状況に関するデータベースの構築
・当該データベースを活用した研究会の立ち上げ(産官学)
・防災会計などの検討
・第3者評価、保証業務への結びつけ
開示と評価を促進させることにより、BCMへの取り組みに関する経済効果を測定す
ることが可能となり、中長期的には当該活動を支える一連の経済基盤を整備できる。
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BCMを企業価値に結びつけるための基盤整備
開示のコミットメント効果、ブーメラン効果を創出
【有価証券報告書】
【サステイナブル報告書】
投資家に対する説明責任として、自社のリス
ク情報の開示やコーポレートガバナンスの状
況の開示が求められている。BCMに関わる情
報が重要と位置づけられるのであれば、その
中での開示を求めるべき。
サステイナブル報告書やCSR報告書のキー
ワードは「継続性・持続性」であるのであれば、
BCMはその中の中核的な活動と位置づけら
れる。しかし必ずしもその開示方法が必ずしも
明確に位置づけられているわけではない。
当該活動についての自発的開示を促すことで、
当該活動についての意識を高めていく(開示の
コミットメント効果)
各社の活動や開示が進展しない場合には、開示を強制的に求め、当該活動に対する
責任やコミットメントを促す。
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BCMを企業価値に結びつけるための基盤整備
評価のニーズと可能性
環境、情報セキュリティ、内部統制など一連の取り組みについて、評価の枠組みをど
のように構築するかが基盤整備のボトルネックとなってきた。BCMの評価における現
在のニーズはどこにあるのか?
自己評価
・内部監査や内部統制機能の一貫として自己評価を行う
ニーズはあるが、その水準が十分かどうかを判別するこ
とは容易ではない。
・他社からその水準を求められた場合に説明できない。
2者評価(相互評
価)
・取引関係にある2者間でBCMの構築状況を評価するこ
とが最も有効(求める水準の明確化が可能)
・地域との連携、ライフライン提供会社との連携などが不
明確であるため、評価の前提が異なれば、機能しない。
第3者評価
・誰が評価できるのか?
-経営者、取締役、監査役、内部監査
-公認会計士、監査法人
-コンサルタント、専門家、格付け機関
BCMを粘り強い活動にしていくためには、BCMのPDCAをまわすことが不可欠。
PDCAの中でのCheckを戦略的に行うにあたっては評価プロセスの確立が必要。
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