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Japan Tax Update 2011 PwC Japan Tax Newsletter

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Japan Tax Update 2011 PwC Japan Tax Newsletter
Japan Tax Update
December 2010, Issue 57
2011 年度税制改正案
PwC Japan Tax Newsletter
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
は、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)
グローバルネットワークの日本におけるメンバー
ファームです。公認会計士、税理士等約560名の
スタッフを有する日本最大級のタックスアドバイ
ザーとして、法人・個人の申告をはじめ、金融・不
動産関連、移転価格、M&A、事業再編、国際税務、
連結納税制度など幅広い分野において税務コン
サルティングを提供しています。
PwCのグローバルネットワーク (www.pwc.com)
に属するPwC各メンバーファームは、クライアント
およびクライアントを取り巻く人々の信頼の確立と、
価値の向上を目指して、監査、税務、アドバイザ
リーサービスにおいて、クライアントの業種に焦点
をあてたサービスを提供しております。PwCは、
世界154カ国に161,000人のスタッフを有し、常に
新たな視点からクライアントのご要望に即したアド
バイスを提供できるよう、そのネットワークを十分
に活用して問題解決に取り組んでいます。
このニュースレターは、2010年12月16日発表の
税制改正大綱に基づいています。改正税法は通
常3月末までに国会で可決・成立します。また、改
正税法の全容は、改正税法に加えて改正税法に
関連する省令や政令によって明らかになります点、
ご了承ください。
このニュースレターは、概略的な内容をご紹介す
る目的で作成しており、この情報が個々のケース
にそのまま適用できるとは限りません。個別案件
への対応、またはより専門的な案件への取り組み
に際しましては、税理士法人プライスウォーター
ハウスクーパースの担当者にお問い合わせくださ
い。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
〒100-6015
東京都千代田区霞が関3丁目2番5号
霞が関ビル15階
電話 : 03-5251-2400(代表)
http://www.pwc.com/jp/tax
2011 年度の税制改正案が発表されました。以下、主な改正案の項目
をご紹介します。
1. 法人税関連
(1)
(2)
(3)
(4)
法人税率引下げに関連する改正
グループ法人税制に関連する改正
新会計基準の導入等に伴う改正
中小企業税制
2. 対内投資促進等政策税制
(1)
(2)
(3)
(4)
3.
国際戦略総合特区制度
アジア拠点化推進税制
雇用促進税制
環境投資減税(グリーン減税)
国際課税
(1) 外国税額控除制度に関連する改正
(2) 外国子会社合算税制に関連する改正
(3) 移転価格税制に関連する改正
4. 金融関連
(1) 証券税制
(2) 外国金融機関等の債券現先取引に係る利子の非課税制度の
拡充
(3) イスラム金融に係る所要の税制措置
(4) 投資法人・特定目的会社関連
(5) 振替公社債等の利子等の非課税制度の明確化
(6) 個人のデリバティブ取引
5. 資産税関連
(1) 相続税
(2) 贈与税
6. 消費税関連
© 2010 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
プライスウォーターハウスクーパースとは、税理士法人
プライスウォーターハウスクーパース、または、プライス
ウォーターハウスクーパースのグローバルネットワーク、
ないしはそのメンバーファームを指しています。個々の
組織は分離独立した法的組織となっています。
7. 納税環境整備その他
(1) 事前照会に対する文書回答制度の見直し
(2) 更正の請求
(3) 税務調査手続き
Japan Tax Update
December 2010
1. 法人税関連
(1) 法人税率引下げに関連する改正
法人税については、国内企業の国際競争力強化や外資系企業の立地促進の観点から、先進国の中で米国とならん
で最も高い水準にある法人実効税率の引き下げが実現することとなりました。一方で、財源確保の観点から青色欠損
金の繰越控除額に関する制限や、減価償却費の損金算入限度額の引下げ、また一般事業会社にかかる貸倒引当金
の廃止などの措置が講じられることになりました。
1)
2011 年 4 月 1 日以降開始事業年度より、法人税率が以下のとおり引き下げられます。
現行
改正案
年 800 万円以下
年 800 万円以下
普通法人
30%
-
25.5%
-
普通法人(中小法人)
30%
22%(18%)
25.5%
19%(15%)
(注 1)「現行」欄のカッコ内は、租税特別措置法により 2009 年 4 月 1 日から 2011 年 3 月 31 日までの間に開始する
事業年度に適用されています。
(注 2)「改正案」欄のカッコ内は、租税特別措置法により 2011 年 4 月 1 日から 2014 年 3 月 31 日までの間に開始す
る事業年度に適用されます。なお、中小法人の 2011 年 4 月 1 日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業
年度については、経過措置として現行の租税特別措置法による税率が適用されます。
また、住民税法人税割については、法人税率の引下げに連動して引き下げられることになりますので、東京都所在の
資本金 1 億円超の事業税外形標準課税適用法人の場合、法人実効税率(注)は現行の 40.69%から 35.64%となり、
5.05%(法人税分 4.18%、住民税分 0.87%)引き下げられることになります。
法人税率ൈ൫ଵା住民税率൯ା事業税率
(注)(
2)
ଵା事業税率
)
減価償却制度について、2011 年 4 月 1 日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率につき、現行の定
額法の償却率(1/耐用年数)を 2.5 倍した数(250%定率法)から、2.0 倍した数に引き下げられます。なお、改定
償却率および保証率についても所要の整備が行われます。
なお、定率法を採用している法人が、2011 年 4 月 1 日以前に開始した事業年度において取得をした減価償却資産や、
現行の償却率による定率法を採用している減価償却資産については経過措置が講じられます。
3)
青色欠損金の繰越控除制度や災害損失金の繰越控除制度について、控除限度額が繰越控除する事業年度の
その繰越控除前の所得金額の 80%相当額とされます。また、連結欠損金の繰越控除制度についても同様の改
正が行われます。
ただし、①中小法人等(普通法人のうち、各事業年度終了時において資本金額の額が1億円以下であるもので、資本
金の額が5億円以上の法人の100%子法人に該当しない法人等)、②特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係
る受託法人および特定投資信託に係る受託法人で、支払配当等の損金算入制度の適用対象となるもの、③会社更
生等による債務免除等があった場合については、現行の控除限度額が存置されます。
上記改正は、2011 年 4 月 1 日以後開始事業年度から適用されます。
4)
青色欠損金の繰越期間および災害損失金の繰越期間および連結欠損金の繰越期間が 9 年(現行 7 年)に延長
されます。これに伴い、①欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が控除の適用要件となるとともに、②法人
税の欠損金額に係る更正の期間制限につき 9 年(現行 7 年)とする措置が講じられます。また、③法人税の欠損
金額に係る更正の請求期間も 9 年とされます。
上記①および②の改正は、2008 年 4 月 1 日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用され、上
記③の改正は、2011 年 4 月 1 日以後に法定申告期限が到来する法人税について適用されます。
PricewaterhouseCoopers
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5)
貸倒引当金制度について 4 年間に段階的に廃止されます。ただし銀行、保険会社その他これらに類する法人と
中小法人等については、現行の制度が存置されます。
6)
一般の寄附金の損金算入限度額が現行制度の 2 分の1まで縮減されます(資本金等の額の 0.25%相当額と所
得金額の 2.5%相当額との合計額の 1/4 に、資本等を有しない法人の場合には所得の金額の 1.25%(現行
2.5%)相当額)。なお、この改正に伴い、特定公益増進法人等に対する寄附金の別枠の損金算入限度額につい
て、一般の寄附金の損金算入限度額の縮減額と同様の拡充が行われます。
7)
試験研究を行った場合の法人税額の特別控除について、現行制度では試験研究費の総額に係る税額控除に加
えて、試験研究費の増加額等に係る税額控除が時限措置として認められていますが、当該試験研究費の総額に
係る税額控除制度の特例(10%上乗せ部分)が適用期限(2009 年 4 月 1 日から 2011 年 3 月 31 日までの間に
開始する各事業年度)の到来をもって廃止されます。
8)
一定のエネルギー需給構造改革推進設備等を取得等した場合に認められていた特別償却や税額控除制度(エ
ネルギー需給構造改革推進投資促進税制)が、適用期限(2008 年 4 月 1 日から 2011 年 3 月 31 日までの間に
取得等した設備等)の到来により廃止されます。
(2) グループ法人税制に関連する改正
2010 年度税制改正により導入されたグループ法人税制に関して、その円滑な執行に向けて以下の見直しが行われま
す。
1)
100%グループ内の他の内国法人が清算中である場合、解散が見込まれる場合又はそのグループ内で適格合
併により解散することが見込まれる場合には、その株式についての評価損の損金算入が認められなくなります。
上記改正は、2011 年 4 月 1 日以後に行う評価換え等について適用されます。
2)
解散の場合の期限切れ欠損金の損金算入制度においてマイナスの資本金等の額を期限切れ欠損金と同様とす
るほか、連結納税制度における期限切れ欠損金の損金算入制度について所要の整備が行われます。2010 年
度税制改正における清算所得課税の廃止に伴い、期限切れ欠損金の損金算入が認める措置が講じられました
が、債務超過が欠損金(利益積立金のマイナス)ではなく、資本金等のマイナスにより生じている場合には課税
が生じてしまうことに対する手当として措置されるものです。
上記改正は、2011 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度について適用されます。
3)
適格合併等の場合の欠損金の制限措置等について、適用対象から被現物分配法人の自己株式の適格現物分
配が除外されます。
2010 年税制改正においては、100%グループ間の内国法人間の現物配当に関して適格現物分配として配当財
産の簿価移転が認められることになった一方で、他のグループ内適格組織再編同様、一定の場合に欠損金の制
限措置等が適用されることとなっています。適格現物分配により交付を受ける資産が被現物分配法人の自己株
式である場合の処理(被現物分配法人の資本金等の額を減額する)は、「平成 22 年度税制改正に係る法人税質
疑応答事例(グループ法人税制その他の資本に関係する取引等に係る税制関係)」において明らかにされており
ましたが、欠損金の制限措置等の適用対象から除く旨、法令において明確化されるものです。
上記改正は、2011 年 4 月 1 日以後に行われる適格現物分配について適用されます。
4)
外国法人が行う現物出資について、以下の措置が講じられます。
① 外国法人の日本支店等が内国法人に資産等の移転を行う現物出資に係る課税繰延べの要件について、事
業継続要件および株式管理要件が廃止されます。
② 現物出資後に事業継続要件又は株式管理要件を満たさないこととなった場合に繰り延べた譲渡益に対して
課税を行う取戻し課税が廃止されます。
③ 上記①および②の改正に伴い、外国法人が内国法人に対して国外にある資産等の移転を行う現物出資を適
格現物出資に該当しないこととする等の所要の整備が行われます。
PricewaterhouseCoopers
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上記改正は、2011 年 4 月 1 日以後に行われる現物出資について適用されます。なお、同日前に行われた現物
出資について同日以後に事業継続要件又は株式管理要件を満たさないこととなった場合についても、取戻し課
税を行わないこととされます。
5)
資本金の額等が 1 億円以下の法人に係る次の制度(いわゆる中小法人特例)について、100%グループ内の複
数の大法人(資本金の額が 5 億円以上の法人等)に発行済株式の全部を保有されている法人には適用されない
こととされました。
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
軽減税率
特定同族会社の特別税率(いわゆる留保金課税)の不適用
貸倒引当金の法定繰入率
交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
欠損金の繰戻しによる還付制度
青色欠損金、災害損失金および連結欠損金の繰越控除についての現行制度(全額控除)
貸倒引当金制度
2010 年度税制改正においては、資本金 5 億円以上の(単一の)大法人に 100%支配される法人については当該
法人の資本金が 1 億円以下であっても中小法人特例は適用されなくなりましたが、本改正においては制限対象
が拡大され、同一グループに属する複数の大法人に 100%支配されている場合も、中小特例の適用対象から除
外されることとなりました。
(3) 新会計基準の導入等に伴う改正
1)
国際会計基準において求められている過年度遡及修正について、我が国においても「会計上の変更および誤謬
の訂正に関する会計基準(企業会計基準第 24 号)」が公表され、2011 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期
首以後に行われる会計上の変更等から適用されることになりました。
当該会計基準においては、会計上の見積りの変更に関しては遡及修正を行わず、変更期間又は将来にわたって
会計処理を行うことになりますが、当該処理に対応して、固定資産の耐用年数を短縮した場合の臨時償却制度
が廃止され、従来、耐用年数の短縮年度に一時の費用として計上していた過年度の減価償却費不足額について、
見積変更時の未経過年数にわたって減価償却費として費用計上することとされました。税務上も、上記会計基準
の導入に対応して以下の措置が講じられます。
① 従来、臨時償却制度に対応する制度として、減価償却資産が技術革新等により著しく陳腐化した場合におけ
る陳腐化償却制度が設けられていましたが、臨時償却制度の廃止に対応して廃止されます。
② 耐用年数の短縮特例について、国税局長の承認を受けた未経過使用可能期間をもって耐用年数とみなすこ
とにより、その承認後は未経過使用期間で償却できる制度とされます。
③ 確定申告書等の添付書類に過年度事項の修正の内容を記載した書類が追加されます。
2)
棚卸資産の評価について、切放し低価法が廃止されます。なお、2011 年 4 月 1 日以後に開始する各事業年度に
おいては同日以後最初に開始する事業年度の前事業年度末の評価額をもって取得価額とする経過措置が講じ
られます。
(4) 中小企業税制
中小企業税制については、厳しい経済環境の中、雇用の大半を担っている中小企業を税制面から支援する観点から、
税率の引き下げや租税特別措置の拡充が行われます。
1)
中小法人の軽減税率について、特例による税率が 15%(現行 18%)に引き下げられた上、2011 年 4 月 1 日から
2014 年 3 月 31 日までの間に開始する事業年度について適用されるとともに、本則税率が 19%(現行 22%)に
引き下げられます。なお、2011 年 4 月 1 日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、経過措
置として現行の租税特別措置法による税率が適用されます。
2)
青色欠損金の繰越控除制度、災害損失金の繰越控除制度および連結欠損金の繰越控除制度について、現行
PricewaterhouseCoopers
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の控除限度額が存置されます。
3)
貸倒引当金に関し、現行制度が存置されます。
4)
資本金の額等が 1 億円以下の法人に係る中小法人特例について、100%グループ内の複数の大法人(資本金
の額が 5 億円以上の法人等)に発行済株式の全部を保有されている法人には適用しないこととされます((2)5)
参照)。
5)
特定の中小企業者等が、事業基盤強化設備等を取得等した場合に認められていた特別償却や税額控除制度
(中小企業等基盤強化税制)について、適用期限(2011 年 3 月 31 日までの取得等)の到来をもって廃止されま
す。
2. 対内投資促進等政策税制
(1) 国際戦略総合特区制度
激しい国際競争にさらされる日本の企業立地改善のため、大都市を中心とする国際戦略総合特別区域(仮称)におけ
る以下の税制上の支援措置が導入されます。
1)
国際戦略総合特別区域内において、青色申告書法人で認定を受けた地方公共団体の指定を受けたものが、認
定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された事業を行うために一定の規模以上の設備等の取得等をして
その事業の用に供した場合には、以下の選択適用ができます。
 取得価額の 50%(建物等については、25%)の特別償却
 取得価額の 15%(建物等については 8%)の税額控除(法人税額の 20%を限度とし、控除限度超過額
は1年間の繰越しが可能)
2)
国際戦略総合特別区域内において、青色申告書法人で認定を受けた地方公共団体の指定を受けたもの(当該
区域内において設立された法人又は本店若しくは主たる事務所を有する法人のうち一定の規模以上の設備等
の取得等をしたものに限る)が、専ら認定国際戦略総合特別区域計画(仮称)に記載された規制等の特例措置の
適用を受ける事業等を行う場合には、当該指定の日から 5 年間、当該事業に係る所得の金額の 20%の所得控
除ができることとします。
なお、この措置の対象となる国際戦略総合特別区域の指定数は限定される予定であり、この措置の適用を受け
る事業年度においては、上記 1)は適用されません。
上記 1)の改正については、総合特別区域法(仮称)の施行の日から 2014 年 3 月 31 日までの間に指定を受けた法人
のその期間内に取得等をする設備等について適用され、2)の改正は、総合特別区域法(仮称)の施行の日から 2014
年 3 月 31 日までの間に指定を受けた法人のその指定を受けた日から 5 年を経過する日までの期間内に終了する各
事業年度について適用されます。
(2) アジア拠点化推進税制
グローバル企業のアジア地域統括拠点や研究開発拠点等を呼び込むための税務上の支援として、青色申告書法人
である特定外国法人等設立会社(仮称)で、専ら、研究開発事業又は国際的統括事業を行うものが、主務大臣の研究
開発事業計画(仮称)又は国際的統括事業計画(仮称)の認定を受けた場合には、これらの事業計画の認定の日から
5 年間、当該事業に係る所得の金額の 20%の所得控除ができることとされます。
研究開発事業を行う法人がこの措置の適用を受ける事業年度においては、試験研究費の法人税額の特別控除は適
用されません。
上記の改正は特定外国法人による研究開発事業等の促進に関する特別措置法(仮称)の施行の日から 2014 年 3 月
31 日までの間に認定を受けた法人のその認定を受けた日から 5 年を経過する日までの期間内に終了する各事業年
PricewaterhouseCoopers
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度について適用されます。
(3) 雇用促進税制
雇用の維持・増加を図り、それにより経済成長を推進するため、以下の税務上の支援策が講じられる事になりました。
1)
雇用促進計画の届出を行った青色申告書法人が、2011 年 4 月 1 日から 2014 年 3 月 31 日までの間に開始す
る各事業年度において、雇用保険一般被保険者である従業員数が前事業年度末に比して 10%以上、かつ、5 人
以上(中小企業者等については、2 人以上)増加した場合には、一定の要件の下、当該事業年度の法人税額か
ら、増加した雇用保険一般被保険者の数に 20 万円を乗じた金額(法人税額の 10%(中小企業者等については
20%)を限度とする)を控除できることとします。
2)
2011 年 4 月 1 日から 2014 年 3 月 31 日までの期間内に青色申告書法人で次世代育成支援対策推進法の認
定を受けたものが、当該認定の日を含む事業年度終了の日において有する建物等で事業の用に供したもののう
ち、当該認定の日を含む事業年度および当該認定に係る一般事業主行動計画の期間内に新築、又は増築・改
築をしたものについて、当該認定の日を含む事業年度において普通償却限度額の 32%の割増償却ができること
とします。
3)
障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度について、適用要件に法定雇用率を達成している場合で雇用
障害者数が 20 人以上であり、かつ、雇用障害者に占める重度障害者の割合が 50%以上であることを追加した
上、その適用期限を 3 年延長します。
(4) 環境投資減税(グリーン減税)
地球温暖化問題への対応と我が国の環境・エネルギー技術の開発のため、青色申告書法人が2011年4月1日から
2014年3月31日までの間にエネルギー起源CO2排出削減又は再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が
見込まれる設備等の取得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の30%の特
別償却ができることとします。中小企業者等については取得価額の7%の税額控除(法人税額の20%を限度とし、控
除限度超過額は1年間の繰越し)との選択適用が可能です。
3. 国際課税
(1) 外国税額控除制度に関連する改正
外国税額控除制度に関して以下の点が見直されます。
1)
外国税額控除の対象から除外される高率な外国法人税の水準が現行の 50%超から 35%超に引き下げられま
す。
2)
現行法においては、外国税額控除限度額の計算の基礎となる国外所得から海外で課税されない国外所得(非課
税国外所得)の 3 分の 2 を除外することとされていますが、非課税国外所得の全額が国外所得から除外すること
とされます。これにより、非課税国外所得が生じている場合、控除限度額が現行法の取り扱いに比べ減少するこ
とが考えられます。ただし、経過措置として、2 年間は非課税国外所得の 6 分の 5 を国外所得から除外することと
されます。
3)
控除限度額の計算において国外所得は、所得全体の 90%を限度として計算を行うこととされていますが、この
90%制限が廃止されます。これにより、国外所得が所得全体を占める事業年度においては、控除枠が生じない
こととなります。
4)
複数の税率の中から納税者と税務当局等との合意により税率が決定される税について、最も低い税率を上回る
PricewaterhouseCoopers
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部分は、外国税額控除制度および内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子
会社合算税制)等の適用上、外国法人税および外国所得税に該当しないものとされます。この改正は、2011 年 4
月 1 日以後に納付することとなる外国法人税および外国所得税について適用します。
5)
控除限度額の計算において、租税条約の規定により条約相手国等において租税を課することができるとされる
所得(租税条約の規定において控除限度額の計算に当たって考慮しないものとされる所得を除きます。)で当該
条約相手国等において外国法人税又は外国所得税を課されるものは、国外所得に該当するものとされます。こ
れにより、従来、租税条約の規定に認められた課税を行われているにも関わらず、二重課税が解消されなかった
ようなものが今回の改正により救済されることとなります。
(2) 外国子会社合算税制に関連する改正
外国子会社合算税制等の円滑な執行を図るため、以下の改正が行われます。
1)
外国子会社合算税制における適用除外基準は、以下の通りですが、株式等の保有を主たる事業とする統括会
社については、事業基準以外の適用除外基準の判定を統括事業により行うことが明確にされます。
 事業基準
 実体基準
 管理支配基準
 所在地国基準あるいは非関連者基準
2)
特定外国子会社等に該当するかどうかの判定における租税負担割合(いわゆるトリガー税率)の計算上、外国関
係会社の本店所在地国以外の国又は地域に所在する法人から受ける配当等が非課税所得の範囲から除外さ
れるための持株割合要件等が廃止されます。これにより、租税負担割合の計算において、計算の対象となる外
国関係会社が受けた配当については全てたとえ非課税とされていても非課税所得として租税負担割合の計算式
の分母に加算する必要がなくなります。
3)
日本税法基準によって特定外国子会社等の合算対象とされる金額を計算する場合には、現物分配に係る課税
繰延べ規定の適用はないことが明確にされます。これにより、特定外国子会社が行った現物分配にかかる課税
が繰り延べられている場合、課税が繰り延べられた所得について合算対象とされる金額に含まれ外国子会社合
算税制により課税されることとなります。
4)
その他
① 外国関係会社の所得の金額が零の場合のトリガー税率の判定は、外国法人税の表面税率により行うことが
明確にされます。
② 適用除外要件を満たす特定外国子会社においても合算課税の対象となる資産性所得の基因となる株式等に
係る「保有割合 10%未満」の要件の判定時期は、配当等については当該配当等の効力が生ずる日、譲渡に
ついては当該譲渡の直前であることが明確にされます。
③ 資産性所得に係る費用の計算について、次の措置が講じられます。
(i) 利子・配当等の額に対して課される外国源泉税の額は、資産性所得の金額の計算上控除できるよう計
算方法が見直されます。
(ii) 債券の償還差益に係る資産性所得の費用の額を簡便法により計算する場合には、償還の直前の事業
年度終了の時(現行:償還の直前)の総資産の帳簿価額を用いることとされます。
(iii) 株式等および債券の譲渡に係る資産性所得の金額の計算上控除する取得価額について、移動平均法
等により計算することが明確にされます。
(iv) 特許権等の使用料等に係る資産性所得の金額の計算上控除する特許権等に係る減価償却費は、継続
適用を要件として、日本税法基準又は現地税法基準のいずれかにより計算することが明確にされます。
④ 資産性所得の合算課税制度における以下の現行の適用除外基準について、それぞれ次の明確化が行われ
ます。
(i) 資産性所得割合基準(当期純利益に占める資産性所得の合計額の割合が 5%以下である)
「当期純利益」には外国源泉税の額は含まれないことが明確にされます。
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(ii) 収入金額基準(資産性所得の合計額に係る収入金額が 1,000 万円以下であること)
「収入金額」の定義を明確化し、償還差益に係る収入金額とは、償還金額ではなく償還差益であること等
が明確にされます。
⑤ 特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例等について、上記と同趣
旨の改正が行われます。
⑥ その他所要の措置が講じられます。
上記の改正は、内国法人の 2011 年 4 月 1 日以後に終了する事業年度において、特定外国子会社等の合算対象とさ
れる金額(当該特定外国子会社等の 2010 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分に係るものに限ります。)につき合
算課税を行う場合について適用します。ただし、上記③の改正は、特定外国子会社等の 2011 年 4 月 1 日以後に行わ
れる現物分配について適用します。
(3)移転価格税制に関する改正
1)
租税特別措置法第66条の4第2項に規定される独立企業間価格算定方法の適用優先順位を廃止することが明
記されました。
現行の移転価格税制では、いわゆる基本三法(独立価格比準法(Comparable Uncontrolled Price Method)、
再販売価格基準法(Resale Price Method)、原価基準法(Cost Plus method)が適用できない場合に限り、基本
三法に準ずる方法又は政令で定める方法(取引単位営業利益法もしくは利益分割法)を用いることができると定
められています。しかし、OECD移転価格ガイドラインの改正を受けて2011年度税制改正大綱では、独立企業間
価格の算定方法の適用優先順位を廃止し、独立企業間価格の算定にあたっては最も適切な方法を選定すること
を明らかにしました。なお、この改正は2011年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
2)
独立企業間価格幅(レンジ)の取扱いを運用において明確にすることが明記されました。
移転価格調査において、(イ)国外関連取引の価格等が独立企業間価格等のレンジの中にある場合には移転価
格課税を行わないこと、および(ロ)国外関連取引の価格等が独立企業間価格等のレンジから外れた場合には、
比較対象取引の平均値に加えて、その分布状況等に応じた合理的な値を用いて独立企業間価格を算定すること
ができることを運用において明確にすることが明らかにされました。
3)
シークレットコンパラブルの運用を明確にすることが明記されました。
移転価格課税においてシークレットコンパラブルが適用される場合の具体例を運用において明確にし、シークレ
ットコンパラブルを用いる際に守秘義務の範囲内でその内容を説明することが明らかにされました。
4)
その他
OECD 移転価格ガイドラインの改定内容を踏まえて必要に応じた移転価格税制の運用の見直しを行うこと、なら
びに、2010 年に日本が締結した租税条約(すなわち、オランダおよび香港との条約)において仲裁制度が導入さ
れることを踏まえて仲裁の申立手続き等に関する規定を整備することが明らかにされました。
4. 金融関連
(1) 証券税制
上場株式等の配当および譲渡所得等に係る軽減税率(現在10%)の適用期限は2011年12月31日までとされていまし
たが、当該適用期限を2年延長することとされています。それに伴い、日本版ISA(非課税口座内の少額上場株式等に
係る配当所得および譲渡所得等の非課税)の導入時期も2014年1月1日とされています。
(2) 外国金融機関等の債券現先取引に係る利子の非課税制度の拡充
外国金融機関等の証券貸借取引および債券現先取引について、次の措置を講ずることとされています。
PricewaterhouseCoopers
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December 2010
1)
取引期間 6 カ月以内等の要件を満たす証券貸借取引(現金または有価証券を担保とするものに限る)につき支
払いを受ける利子および貸借料等を非課税とする。
2)
非課税となる証券貸借取引および債券現先取引の対象資産に、振替地方債、振替社債等、振替特定目的信託
受益権のうち社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有しないものに限る)、上場株式等(証券貸借取引に
おいて用いる場合に限る)を加える。
上記の改正は、原則として、2011年4月1日以後に開始する証券貸借取引または債券現先取引につき支払いを受け
る利子および貸借料等について適用されます。
(3) イスラム金融に係る所要の税制措置
わが国の金融資本市場にイスラムマネーを呼び込むという観点から、イスラム金融に関する所要の税制措置が講じら
れます。具体的な日本版イスラム金融のスキームとしては、ビークルとして特定目的信託を使用し、特定目的信託が
発行する社債的受益権(あらかじめ定められた金額の分配を受ける種類の受益権)をイスラム債として発行することが
考えられており、所要の法律上の改正がなされた上で以下の税制上の手当てがなされることとされています。
1)
特定目的信託に係る受託法人における導管性要件について、国内募集割合を50%超とする要件の対象から社
債的受益権を除外する等の所要の措置を講ずる。
2)
非居住者等が支払いを受ける、振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を
有しないものに限る)の収益の分配および償還差益を、振替社債等の利子等の非課税制度の対象とされる振替
社債等の利子等の範囲に含め、非課税とする。
3)
金融機関が支払いを受ける、振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有し
ないものに限る)の収益の分配を、源泉徴収不適用の対象とする。
4)
外国法人が行う特定目的信託の社債的受益権(重要事項以外に係る議決権を有しないものに限る)の譲渡に伴
う所得を事業譲渡類似および不動産関連法人の株式等譲渡益課税の適用対象から除外する。
5)
特定の社債的受益権に係る信託の終了時点において信託財産が委託者によって買い戻される際の財産権の移
転登記等に係る登録免許税および不動産の取得に係る不動産取得税を非課税とする。
(4) 投資法人・特定目的会社関連
1)
導管性要件における50%超要件の見直し、明確化
投資法人に係る課税の特例における導管性要件について、投資口に係る国内募集割合を50%超とする要件に
おける判定を、発行をする投資口ごとから発行をした投資口の合計で行うこととする見直しが行われます。これに
併せて、特定目的会社に係る課税の特例および特定目的信託に係る課税の特例における導管性要件について、
優先出資および受益権に係る国内募集割合を50%超とする要件における判定方法を明確化することとされてい
ます。
2)
機関投資家の範囲の見直し
金融商品取引法の適格機関投資家制度の見直しに伴い、機関投資家の範囲に海外年金基金(届出時における
純資産額が100億円以上であるものとして金融庁長官に届出を行ったものに限る)を追加することとされていま
す。
(5) 振替公社債等の利子等の非課税制度の明確化
非居住者等が受ける振替公社債の利子等の非課税制度について、次の措置を講ずることとされています。
1)
外国の法令に基づいて設定された信託で退職年金等信託に類するもの(受益者等課税信託に該当するものに限
る)のうち、当該外国において主として退職年金、退職手当その他これらに類する報酬を管理し、または給付する
ことを目的として運営されるものの信託財産である振替公社債につき生ずる利子について、当該信託の受託者
PricewaterhouseCoopers
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が支払いを受けるものとみなして非課税制度を適用する。
2)
非居住者または外国法人が任意組合等の組合財産または受益者等課税信託の信託財産として有する振替公
社債につき支払いを受ける利子については、当該非居住者または外国法人が行う手続きに加え、当該任意組合
等の代表者または当該受益者等課税信託の受託者が一定の手続きを行う場合に限り、非課税制度の適用を受
けることができるものとする。
上記の改正は、2011年4月1日以後にその計算期間が開始する振替公社債の利子について適用されます。
(6) 個人のデリバティブ取引
店頭金融デリバティブ取引および店頭商品デリバティブ取引に係る所得について、先物取引に係る雑所得の課税の
特例の対象とし20%申告分離課税としたうえで、市場金融デリバティブ取引および市場商品デリバティブ取引との損
益通算および損失額の3年間の繰越控除を可能とすることとされています。
上記の改正は、2012年1月1日以後に行われるデリバティブ取引の差金等決済または譲渡について適用されます。
5. 資産税関連
(1) 相続税
1)
基礎控除額の引下げ
現在の基礎控除額は、近年の地価下落にもかかわらず据え置かれていたことから、地価動向の推移に対応して
課税ベースを拡大するため、基礎控除額の引下げが行われます。
相続税の
基礎控除額
現行
改正案
5,000 万円+(1,000 万円×法定相続人の数)
3,000 万円+(600 万円×法定相続人の数)
2) 税率構造の見直し
最高税率の引下げを含む累進構造の緩和が行われてきており、相続税の資産再配分機能の低下につながっている
ため、税率構造の見直しが行われます。
現行
改正案
課税標準
税率
課税標準
税率
1,000 万円以下
10%
1,000 万円以下
10%
3,000 万円以下
15%
3,000 万円以下
15%
5,000 万円以下
20%
5,000 万円以下
20%
1 億円以下
30%
1 億円以下
30%
3 億円以下
40%
2 億円以下
40%
3 億円超
50%
3 億円以下
45%
6 億円以下
50%
6 億円超
55%
PricewaterhouseCoopers
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3)
その他
① 死亡保険金に係る非課税措置の見直し
相続税には相応の基礎控除額を控除できる制度があることから、相続人の生活の安定という制度趣旨に照
らし、一定の者のみを対象とすることとされます。
現行
死亡保険金の
非課税額
②
改正案
500 万円×法定相続人の数
500 万円×法定相続人の数(※)
(※) 未成年者・障害者・相続開始直前に被相続人と生計を
一にしていた者に限る
未成年者控除額・障害者控除額の引上げ
物価の動向および相続税全体の見直しの内容を踏まえ、控除額の引上げが行われます。
現行
改正案
未成年者控除額
6 万円×20 歳に達するまでの年数
10 万円×20 歳に達するまでの年数
障害者控除額
6 万円(特別障害者:12 万円)
×85 歳に達するまでの年数
10 万円(特別障害者:20 万円)
×85 歳に達するまでの年数
上記 1)~3)の改正は、2011 年 4 月 1 日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されま
す。
(2) 贈与税
1) 税率構造の見直し
贈与税(暦年課税)は、相続税の税率構造に比べ、相対的に厳しく、若年世代への早期資産移転を促進する観点
から、税率構造の見直しが行われます。
現行
改正案
すべて
基礎控除後の
課税価格
一般
20 歳以上の者が直系尊属
から贈与を受けた場合
基礎控除後の
税率
課税価格
税率
基礎控除後の
課税価格
税率
200 万円以下
10%
200 万円以下
10%
200 万円以下
10%
300 万円以下
15%
300 万円以下
15%
400 万円以下
15%
400 万円以下
20%
400 万円以下
20%
600 万円以下
20%
600 万円以下
30%
600 万円以下
30%
1,000 万円以下
30%
1,000 万円以下
40%
1,000 万円以下
40%
1,500 万円以下
40%
1,000 万円超
50%
1,500 万円以下
45%
3,000 万円以下
45%
3,000 万円以下
50%
4,500 万円以下
50%
3,000 万円超
55%
4,500 万円超
55%
PricewaterhouseCoopers
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2) 相続時精算課税の対象拡大
現行制度上、相続時精算課税制度の適用を受けることができる受贈者は贈与者の推定相続人に限られています
が、若年世代への資産の早期移転を促進する観点から、相続時精算課税の対象者に孫を追加する見直しが行わ
れます。また、贈与者の年齢についても見直しが行われます。
現行
改正案
贈与者
65 歳以上
60 歳以上
受贈者
20 歳以上の推定相続人
20 歳以上の推定相続人および孫
3) 適用時期
上記 1)~2)の改正は、原則として 2011 年 1 月 1 日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用さ
れます。
6. 消費税関連
(1) 免税事業者の要件の見直し
法人のその事業年度につき現行制度において事業者免税点制度の適用を受ける事業者のうち、法人のその事業年
度の前事業年度開始の日から 6 月間の課税売上高等が 1 千万円を超える事業者については、事業者免税点制度を
適用しないこととされました。
上記の改正は、上記のその事業年度が 2012 年 10 月 1 日以後に開始するものについて適用されます。
(2) 仕入税額控除におけるいわゆる「95%ルール」の見直し
課税売上割合が 95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できる消費税の制度については、そ
の課税期間の課税売上高が 5 億円(その課税期間が 1 年に満たない場合には年換算)以下の事業者に限り適用する
こととされました。
上記の改正は、2012 年 4 月 1 日以後に開始する課税期間から適用されます。
7. 納税環境整備その他
(1) 事前照会に対する文書回答制度の見直し
事前照会に対する文書回答制度について、国税局の担当職員は、原則として照会文書の到達日からおおむね 1 月以
内に、文書回答の可否の可能性、処理の時期の見通し等について、事前照会者に対し口頭で説明することとされまし
た。また、照会内容及び回答内容等の公表を延期できる期間を、最長 1 年以内(現行 180 日以内)に延長することとさ
れました。
上記の改正は、2011 年 4 月 1 日以後に行われる事前照会について適用されます。
(2) 更正の請求
1)
2)
3)
納税者が申告税額の減額を求めることができる更正の請求について、更正の請求を行うことができる期間(現行
1 年)を原則として 5 年に延長すること等とされました。併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行 3 年の消費
税等)を 5 年に延長することとされました。
更正の請求に際しては、更正の請求の理由の基礎となる「事実を証明する書類」の添付を義務化することとされ
ました。
更正の請求の範囲に関して①一定の場合の「当初申告要件」(当該申告時に選択した場合に限り所定の措置が
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認められるもの)を廃止し、②当初申告時の控除限度額を増額する措置が認められます。
上記 1)および 3)の改正は、2011 年 4 月 1 日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。上記②
の改正は、2011 年 6 月 1 日以後に行う更正の請求について適用されます。
(3) 税務調査手続き
税務調査を行う場合には、原則として文書で事前通知を行うこと、調査終了時には調査結果を簡潔に記載した文書を
交付することなどの手続きが法律上明確化されました。法人税の取引先等に対する調査の対象について、「帳簿書類
以外の物件」が追加されます。
上記の改正は、2012 年 4 月 1 日以後に新たに納税者に対して開始する調査および反面調査について適用されます。
上記に関してご質問がございましたら、当法人の貴社担当者もしくは下記までお問い合わせください。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
〒100-6015
東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号
霞が関ビル 15 階
電話 : 03-5251-2400(代表)
川崎 陽子
03-5251-2450
[email protected]
鬼頭 朱実
03-5251-2461
[email protected]
佐藤 栄一
03-5251-2407
[email protected]
高島 淳
03-5251-2574
[email protected]
藤本 幸彦
03-5251-2423
[email protected]
山田 祐介
03-5251-2580
[email protected]
マネージング ディレクター
荒井 優美子
03-5251-2475
[email protected]
シニア マネージャー
宮口 徹
03-5251-2236
[email protected]
蒲池 茂
03-5251-2940
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箱田 晶子
03-5251-2486
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遠山 壮一
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大橋 全寿
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塩谷 洋子
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