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Japan Tax Update 2014 年度税制改正の概要 Issue 96, December 2013

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Japan Tax Update 2014 年度税制改正の概要 Issue 96, December 2013
www.pwc.com/jp/tax
Japan Tax Update
2014 年度税制改正の概要
Issue 96, December 2013
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自由民主党、公明党両党は 2013 年
12 月 12 日に、2014 年度(平成 26
年度)税制改正大綱(以下「2014 年
度税制改正大綱」)を決定しました。
今後は、改正法案が 2014 年 1 月に
開催が予定されている国会に提出さ
れることになります。なお、今後の審
議等の状況によっては、内容に変更
がある可能性がありますのでご留意く
ださい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
デフレ脱却及び日本経済再生を最重要課題として掲げ、
安倍政権は、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民
間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を強力に推進
してきました。具体的には、「日本再興戦略」(2013年6月
14日閣議決定)で明らかにされた民間投資を活性化する
ための税制措置等について、2013年10月1日に、消費税
増税決定の対応策として自由民主党及び公明党が「民間
投資活性化等のための税制改正大綱」を決定しました。
そして、成長戦略の実行の加速化・強化、投資減税措置
等、「政・労・使」の連携による経済の好循環の実現の取組
とともに、5兆円規模の新たな経済対策を策定した「好循環
実現のための経済対策」(2013年12月5日閣議決定)に基
づき、2014年度税制改正大綱が決定されました。
本ニュースレターでは、税制改正大綱のうち、法人関連の
以下の改正項目を中心に解説いたします。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
2014 年度税制改正大綱の概要
法人税関連
国際課税関連
個人所得税関連
消費税
地方法人課税の偏在是正
納税環境整備
Japan Tax Update
1. 2014年度税制改正大綱の概要
2014年度税制改正大綱には、10月1日に決定された「民間投資活性化等のための税制改正大綱」も織り込み(概要は
Japan Tax Update 2013 年 10 月 号 「 消 費 増 税 の 決 定 と 経 済 政 策 パ ッ ケ ー ジ の 概 要 」 を ご 参 照 く だ さ い 。
http://www.pwc.com/jp/ja/taxnews/taxnews-issue92.jhtml)、景気回復の実感を広く行き渡らせるための復興特別法人
税の1年前倒し廃止、企業の積極的な投資行動を促すための措置、企業の交際費に着目した消費活性化のための措置、
地域経済の活性化のための措置等が盛り込まれています。
国際課税での改正では、2011年度以降の税制改正大綱において検討事項とされていた、国際課税の基本原則の見直
し(従来の総合主義からOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」への変更)が行われています。
国際課税原則における総合主義から「帰属主義」(Authorised OECD Approach、以下「AOA」)への見直しにつきまして
は、Japan Tax Update 2013年10月号 「帰属主義への見直し・AOA導入に関する報告書の公表について」をご参照くださ
い。
http://www.pwc.com/jp/ja/taxnews/taxnews-issue94.jhtml
一方で、社会保障の安定財源の確保のために、2012年8月10日に成立した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制
の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律」(税制抜本改革法)に従い、所得税および資産課
税について所要の措置、消費税引き上げに伴う対応策が講ぜられています。
2. 法人税関連
(1) 復興特別法人税の1年前倒し廃止
復興特別法人税の課税期間が1年間前倒しで廃止されます。これに伴い、法人の実効税率(東京都)は以下の通りとなり
ます。
外形標準課税適用法人
外形標準課税非適用法人
2012年4月1日以後
開始事業年度
38.01%
39.43%
2014年4月1日以後
開始事業年度
35.64%
37.11%
現行では、利子及び配当等に課される復興特別所得税の額は、復興特別法人税申告書において、復興特別法人税の
額から控除することとなっています。改正により、復興特別法人税課税期間終了後は、復興特別所得税の額は、所得税
の額と合わせて、各事業年度の法人税の額から控除することとされます。
(2) 国家戦略特別区域法関連投資減税の創設
国が定めた国家戦略特別区域において、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争
力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することを目的とした国家戦略特別区域法が、2013 年
12 月 7 日に成立しました。国家戦略特別区域法の制定に伴い、国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の
特別償却又は法人税額の特別控除制度が創設されました。
適用法人
青色申告法人で
国家戦略特別区
域法の一定の特
定事業(注1)の実
施主体として同法
の認定区域計画
に定められたもの
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制度の適用要件
控除額等
2014 年4月1日又は国家戦略特別区域法
の区域計画に関する規定の施行の日のい
ずれか遅い日から、2016 年 3 月 31 日まで
の間に、国家戦略特別区域内において、同
法に基づく事業実施計画に記載された機械
装置、開発研究用器具備品、建物及びその
附属設備並びに構築物で、一定の規模以上
のもの(注 2)の取得等をして、その特定事
業の用に供した場合
 固定資産の取得価額の 50%(建物及びその附属設備並
びに構築物については、25%)の特別償却とその取得価
額の 15%(建物及びその附属設備並びに構築物について
は、8%)の税額控除(その事業年度の法人税額の 20%を
限度とする)との選択適用
 特定中核事業(注 3)の用に供される一定の機械装置及び
開発研究用器具備品については、即時償却が認められる
 控除限度超過額は1年間の繰越しができる
 法人住民税および法人事業税(特別償却のみ)にも適用す
る
2
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(注 1)国家戦略特別区域法の特定事業のうち、産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に資するものとして
我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に寄与することが見込まれる事業
(注 2)機械装置については1台又は1基の取得価額が 2,000 万円以上のもの、開発研究用器具備品については1台又は1基の取
得価額が 1,000 万円以上のもの、建物及びその附属設備並びに構築物については一の建物及びその附属設備並びに構築物の取
得価額の合計額が1億円以上のもの
(注 3)一定の特定事業のうち中核となる事業をいい、具体的には、イノベーションにより新たな成長分野を切り開いていくために、特
に促進していくべき事業で一定の要件を満たすもの
(3) 雇用促進税制の拡充適用期限の延長
2013 年度の税制改正により、雇用促進税制の優遇措置が拡充されました。改正により、適用期限が 2 年延長され、2016
年 3 月 31 日までの間に開始する事業年度について適用されます。
適用法人・年度
制度の適用要件
控除額
雇用促進計画の届出を行
った青色申告法人の 2013
年 4 月 1 日から 2016 年 3
月 31 日までの間に開始す
る各事業年度
適用年度において、雇用保険一般被保険者で
ある従業員数が前事業年度末に比して 10%以
上、かつ、5 人以上(中小企業者等については、
2 人以上)増加した場合等の一定の要件を満た
す場合
 40 万円x増加雇用者数(その事業年度の法人
税額の 10%(中小企業者等については 20%)
を限度とする)
 中小企業者等については法人住民税にも適用
あり
(4) 交際費課税等の特例措置の見直し
1) 交際費課税の緩和
中小企業者等についての交際費課税は 2012 年度税制改正により見直しが行われました。今般、大企業についても
2014 年 4 月 1 日から 2016 年 3 月 31 日の間に開始する事業年度については、交際費等の額のうち、飲食のために支
出する費用の額の 50%を損金の額に算入することが認められます。飲食のために支出する費用には、専らその法人の
役員、従業員等に対する接待等のために支出する、いわゆる社内接待費は含まれません。
中小法人に係る損金算入の特例については、上記制度との選択適用とし、その適用期限が 2 年延長されます。
法人の規模
2013 年 3 月 31 日までに
開始する事業年度
大法人
0
中小企業等(注)
交際費支出の 90%相当額
と 540 万円のいずれか少
ない金額
損金算入額
2013 年 4 月 1 日~2014
2014 年 4 月 1 日~2016 年 3 月 31 日の間に開始
年 3 月 31 日の間に開始
する事業年度
する事業年度
0
飲食のために支出する費用(社内交際費を除く)の
額の 50%
交際費支出の額と 800 万
選択により、
円のいずれか少ない金額
①飲食のために支出する費用(社内交際費を除く)
の額の 50%、又は、②交際費支出の額と 800 万円
のいずれか少ない金額
(注)事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が 1 億円以下の法人をいい、普通法人のうち事業年度終了の日にお
ける資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子法人等を除く。
2) 国際戦略総合特別区域関連の投資減税
2011年度(6月)の税制改正により創設された、国際戦略総合特別区域関連の投資減税制度、認定研究開発事業法人
等の課税の特例制度について適用期限の延長等の措置が講じられます。
国際戦略総合特別区域制度につきましては、Japan Tax Update 2011年7月号 「2011年度税制改正(6月30日施行)の概
要」をご参照ください。
http://www.pwc.com/jp/ja/taxnews/Taxnews-Issue66.jhtml
PwC
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課税の特例制度
国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別
償却又は法人税額の特別控除
改正案
適用対象となる機械等の取得等の期限を 2016 年 3 月 31 日まで
延長
国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の課税の特
例
適用対象となる指定特定事業法人の指定期間等を 2016 年 3 月
31 日まで延長
認定研究開発事業法人等の課税の特例
適用対象となる認定研究開発事業法人等の認定期間を 2015 年 3
月 31 日まで延長
3) その他
 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限が撤廃されます。
 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置の適用期限が 2 年延長されます。
 退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限が 3 年延長されます。
 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、見直しを行った上で、長期所有の土地、建物等から国内に
ある土地、建物、機械装置等への買換え以外の措置の適用期限が 3 年延長されます。
 海外投資等損失準備金制度について、対象株式等の範囲から債権及び購入資源株式等を除外した上で、その適用
期限が 2 年延長されます。
 法人税額から控除される特別控除額の特例について、当期の法人税額から控除できる税額控除可能額の合計額が
当期の法人税額の 90%に引き下げられます。
(5) 会社法改正関連の改正
会社法の一部を改正する法律案が、2013 年 11 月 29 日に国会に提出され、国会閉会後も審査が継続されています。会
社法の改正を前提とした、以下の措置が講ぜられています。
1) みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得について、その範囲から株式の併合に反対する株主からのそ
の併合により端数となる株式の買取請求に基づく取得が除かれます。
2) 損金の額に算入される役員に対する利益連動給与の決定の手続に係る要件について、監査等委員会設置会社にお
いては、取締役会の決議において監査委員の過半数がその決議に賛成していることが、損金算入の要件とされます。
3) 使用人兼務役員とされない役員の範囲に監査等委員会の委員である取締役が加えられます。
(6) 企業再生税制
1) 株式会社地域経済活性化支援機構がその準則に従って策定した債務処理に関する計画に従って債権者間の調整
等のみを行い、2 以上の金融機関等により債務免除が行われた場合についても企業再生税制の適用対象とされます。
2) 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例について、特定
投資事業有限責任組合の組合財産となる債権の債務者についての債務処理に関する計画を策定する場合に従うべき
準則の範囲に株式会社地域経済活性化支援機構の準則が加えられます。
3. 国際課税関連
(1) 国際課税原則の見直し
外国法人に対する課税原則について、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法が、2010 年改訂後の OECD モデル
租税条約に沿った「帰属主義」(AOA)に見直されます。AOA は、恒久的施設(Permanent Establishment)(以下「PE」)に
対する独立企業としての擬制をより厳格に行うことによって PE 帰属所得を捉える考え方を採用しています。上記の改正
は、2016 年 4 月1日以後に開始事業年度分の法人税より適用されます。
1) PE 帰属所得の位置づけ
PE 帰属所得は、従来の国内事業所得に代えて国内源泉所得の一つとして位置づけられます。
2) PE 帰属所得の算定
PE 帰属所得は、外国法人のPEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に当該 PE に帰せられるべき所
得として算定され、外国法人の PE と本店等との間の内部取引について、移転価格税制と同様に、独立企業間価格に基
づく損益を認識します。
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又、外国法人の PE が本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に帰せられるべき資本(以下「PE 帰属資本」)
をPEに配賦します。外国法人の PE の自己資本相当額が PE 帰属資本の額に満たない場合には、外国法人の PE にお
ける支払利子総額(外国法人の PE から本店等への内部支払利子及び本店等から外国法人の PE に費用配賦された利
子を含む。)のうち、その満たない部分に対応する金額については、PE 帰属所得の計算上、損金の額に算入されません。
3) 外国税額控除制度の見直し
外国法人の PE のための外国税額控除制度が創設されます。内国法人に適用される外国税額控除制度については、内
国法人が国外に有する PE に帰せられる所得(以下「国外 PE 帰属所得」)を国外源泉所得の一つとして定義し、内国法
人の外国税額控除に関して国外 PE 帰属所得を算定する際には、内部取引等が勘案されます。
4) 文書化等
PE と本店等との間の内部取引の存否及び内容を明確にするための文書の作成が義務付けられます。
5) 地方税の取扱い
法人住民税及び事業税について、原則として、帰属主義に変更する国税の取扱いに準じて所要の措置が講ぜられます。
2016 年 4 月 1 日以後に開始事業年度分の法人住民税及び事業税について適用されます。
(2) 移転価格税制が適用される非関連者介在取引の拡大
現行では、国外関連者との間の資産の販売、譲渡、貸付又は提供に係る取引が非関連者を通じて行われる場合であっ
ても、取引の対価の額が法人と国外関連者との間で実質的に決定されている等一定の要件を満たす場合には、当該非
関連者との取引を国外関連取引とみなして移転価格税制が適用されることとなっています。今回の改正により、対象とな
る取引に役務提供取引等が加えられます。
4. 個人所得税関連
(1) 所得税の給与所得控除の見直し
2016年分以後の所得税より、給与所得控除の上限額が漸次引下げられます。現行では、1,500万円超の給与収入につ
いては控除上限額が245万円とされていますが、2016年分は1,200万円超の給与収入について控除上限額が230万円、
2017年分以後は1,000万円超の給与収入について控除上限額が220万円に引き下げられます。
課税所得
控除額計算式
~ 180 万円
180 万円超 ~ 360 万円
収入金額×40% (注 1)
収入金額×30%+18 万円
給与所得控除額
~2015 年分
2016 年分
の所得税
の所得税
65 万円 ~ 72 万円
同左
72 万円超 ~ 126 万円
同左
360 万円超 ~ 660 万円
収入金額×20%+54 万円
126 万円超 ~186 万円
同左
同左
660 万円超 ~ 1,000 万円
収入金額×10%+120 万円
186 万円超 ~ 220 万円
同左
同左
220 万円超 ~ 230 万円
同左
1,000 万円超 ~ 1,200 万円
1,200 万円超 ~ 1,500 万円
収入金額×5%+170 万円(注 2)
1,500 万円超
230 万円超 ~ 245 万円
245 万円
230 万円
2017 年分
の所得税
同左
同左
220 万円
(注1)65万円に満たない場合には65万円
(注2)所得金額により、控除上限額を限度とする
(2) 新株予約権の発行法人への譲渡による所得課税
発行法人から与えられた新株予約権等でその権利行使時に経済的な利益に対して課税されるものを、権利行使前にそ
の新株予約権等の発行者に譲渡した場合には、当該譲渡の対価の額を、所得区分に応じた収入金額(事業所得に係る
総収入金額、給与等の収入金額、退職手当等の収入金額、一時所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額)
とみなして課税されることとされます。
上記の改正は、2014年4月1日以後に行う新株予約権等の譲渡について適用されます。
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(3) 会社法の改正に伴うみなし配当課税の見直し
会社法の改正を前提に、みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得について、その範囲から株式の併合に
反対する株主からのその併合により端数となる株式の買取請求に基づく取得が除かれます。
(4) 課税の特例期限の延長
2011 年度の税制改正により創設された、特定の取締役等が受ける特定外国新株予約権の行使による株式の取得に係
る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)について、見直しが行われます。改正により、対象となる特定外国新
株予約権を付与する特定外国株式会社に係る特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法の規
定に基づく認定期限が 2 年延長されます。
4.
消費税
(1) 簡易課税制度のみなし仕入率についての見直し
簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算すること
なく、みなし仕入率により仕入控除税額を計算することができます。改正により、金融、保険、不動産のそれぞれの事業に
適用されるみなし仕入率が引き下げられます。
上記の改正は、2015年4月1日以後に開始する課税期間について適用されます。
現行
改正案
業種
みなし仕入率
業種
みなし仕入率
第 1 種事業(卸売業)
第 2 種事業(小売業)
90%
80%
第 1 種事業(卸売業)
第 2 種事業(小売業)
90%
80%
第 3 種事業(製造業等)
第 4 種事業(その他の事業
(金融・保険業を含む))
第 5 種事業(サービス業等
(不動産業を含む))
70%
60%
第 3 種事業(製造業等)
第 4 種事業(その他の事業)
70%
60%
50%
第 5 種事業(金融・保険業、
サービス業等)
50%
第 6 種事業(不動産業)
40%
(2) 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)についての見直し
外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、免税販売の対象物品、販売方法、書類保存等に
ついての見直しが行われます。
上記の改正は、2014 年 10 月 1 日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用されます。
(3) 消費税の課税売上割合の計算についての見直し
消費税の課税売上割合の計算上、現行では有価証券の譲渡についてはその譲渡に係る対価の額の5%相当額、金銭
債権の譲渡についてはその全額を資産の譲渡等の対価の額に算入する扱いとなっています。改正により、金銭債権の
譲渡についてもその譲渡に係る対価の額の 5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入することとされます。
上記の改正は、2014年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用されます。
(4) 軽減税率の導入
消費税率は2014年4月1日より現行の5%から8%に、2015年10月1日より8%から10%に引き上げられますが、消費税率
10%時に、消費税の軽減税率が導入されます。軽減税率制度の導入に係る詳細な内容は、2015年度税制改正大綱に
盛り込まれることとされています。
(5) クロスボーダー取引に係る消費税課税についての検討
国境を越えた役務の提供等に対する消費税の課税のあり方については、国際機関や欧州諸国における対応状況等を
踏まえ、内外判定基準の見直し及びそれに応じた適切な課税方式について、リバースチャージ方式の導入も含めて、
2015年度税制改正に向けて具体的な検討が行われます。
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5.
地方法人課税の偏在是正
地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率を引き下げるとともに、当
該引下げ分に相当する、課税標準を法人税額とする地方法人税を創設して、その税収全額を交付税及び譲与税配付
金特別会計に直接繰り入れ、地方交付税原資とする施策が講じられます。
(1)
地方税の税率の改正
2014年10月1日以後開始事業年度より、住民税法人税割、地方法人特別税、事業税の税率が以下の通り改正されます。
住民税法人税割
現行
道府県民税法人税割
市町村民税法人税割
地方法人特別税
外形標準課税適用法人
所得割額適用法人
収入割額適用法人
改正案
標準税率
5.0%
12.3%
制限税率
6.0%
14.7%
現行
148%
81%
81%
改正案
67.4%
43.2%
43.2%
事業税
外形標準課税適用法人
年400万円以下の所得
年400万円超年800万円以下の所得
年800万円超の所得
事業税
外形標準課税非適用法人
年400万円以下の所得
年400万円超年800万円以下の所得
年800万円超の所得
標準税率
3.2%
9.7%
現行
改正案
1.5%
2.2%
2.9%
2.2%
3.2%
4.3%
2.7%
4%
5.3%
3.4%
5.1%
6.7%
制限税率
4.2%
12.1%
(2) 地方法人税(国税)(仮称)の創設
2014年10月1日以後開始事業年度より、各課税事業年度の基準法人税額(課税標準)に4.4%の税率を乗じて計算した
金額を「地方法人税」として、税務署に申告・納付を行う制度が開始されます。
6.
納税環境整備
行政不服審査法の見直しに伴い、国税に関する不服申立て手続についても、以下の見直しが行われます。
主な改正内容
不服申立て手続
現行制度
原則として、異議申立て後に審査請求
改正案
直接審査請求を行うことも認められる
不服申立期間
処分があったことを知った日の翌日から 2 月以内
処分があったことを知った日の翌日から 3 月以内
上記の改正は、改正行政不服審査法の施行の日から適用されます。
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【行政不服審査制度の見直し方針(概要) 2013年6月 総務省】
出典:総務省ホームページ「行政不服審査制度の見直し方針(概要)」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000232876.pdf
より詳しい情報、または個別案件への取り組みにつきましては、当法人の貴社担当者もしくは下記までお問い合わせく
ださい。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
〒100-6015 東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号 霞が関ビル 15 階
電話 : 03-5251-2400(代表) http://www.pwc.com/jp/tax
パートナー
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03-5251-2461
[email protected]
マネージング ディレクター
川崎 陽子
荒井 優美子
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03-5251-2475
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税理士法人プライスウォーターハウスクーパースは、PwC のメンバーファームです。公認会計士、税理士など約 500 人を有する日本最大級のタックスアドバイザーとして、法
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