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Transaction M&A News 2010, Issue 22 August
Transaction M&A News August 2010, Issue 22 PwC Japan Tax Newsletter 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース は、プライスウォーターハウスクーパース(PwC) グローバルネットワークの日本におけるメンバー ファームです。公認会計士、税理士等約 560 名の スタッフを有する日本最大級のタックスアドバイ ザーとして、法人・個人の申告をはじめ、金融・不 動産関連、移転価格、M&A、事業再編、国際税務、 連結納税制度など幅広い分野において税務コン サルティングを提供しています。 PwC のグローバルネットワーク (www.pwc.com) に属する PwC 各メンバーファームは、クライアント およびクライアントを取り巻く人々の信頼の確立と、 価値の向上を目指して、監査、税務、アドバイザ リーサービスにおいて、クライアントの業種に焦点 をあてたサービスを提供しております。PwC は、 世界 151 カ国に 163,000 人のスタッフを有し、常に 新たな視点からクライアントのご要望に即したアド バイスを提供できるよう、そのネットワークを十分 に活用して問題解決に取り組んでいます。 このニュースレターは、概略的な内容をご紹介す る目的で作成しており、この情報が個々のケース にそのまま適用できるとは限りません。個別案件 への対応、またはより専門的な案件への取り組み に際しましては、税理士法人プライスウォーター ハウスクーパースのトランザクション/M&A部担当 者にお問い合わせください。 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース 〒100-6015 東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 霞が関ビル15階 電話 : 03-5251-2400(代表) http://www.pwc.com/jp/tax © 2010 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース プライスウォーターハウスクーパースとは、税理士法人 プライスウォーターハウスクーパース、または、プライス ウォーターハウスクーパースのグローバルネットワーク、 ないしはそのメンバーファームを指しています。個々の 組織は分離独立した法的組織となっています。 2010 年度税制改正における 100%グループ法人内の寄附について 2010 年度税制改正において、完全支配関係にある内国法人間の 寄附金については、支出側の法人において全額を損金不算入とさ れるとともに、受領側の法人において全額を益金不算入とされるこ ととなりました。また、完全支配関係がある他の法人から受贈益を 受け、または完全支配関係がある他の法人に寄附金を支出した法 人の株主が有するその法人の株式の帳簿価額および利益積立金 について一定の調整が加えられることとなりました。 本ニュースレターでは、完全支配関係にある内国法人間の寄附金 に関する 2010 年度の税制改正の内容について、その概要を解説 いたします。 Transaction M&A News August 2010 1. 税制改正前の制度の概要 法人が支出した寄附金の額の合計額のうち、その法人の事業年度終了の時の資本金等の額または所得の金額を 基礎として計算した金額を超える部分の金額は、その法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入 しないこととされています。一方、寄附金の支出を受けた側は、受贈額を収益として益金の額に算入することとされて います。 2. 2010 年度税制改正の内容 (1) 寄附金の損金不算入および受贈益の益金不算入 内国法人が各事業年度においてその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人に対して支出した寄附 金の額は、その支出した内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されないこととされました。 一方で、内国法人が各事業年度においてその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人から受けた受 贈益の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しないこととされました。 この制度の対象となる寄附金および受贈益は、完全支配関係を有する内国法人から内国法人に対する寄附に限ら れますが、完全支配関係については、法人(外国法人も含む)による完全支配関係に限られ、個人による完全支配 関係は除かれています。 (2) 寄附修正 完全支配関係にある内国法人間で、支出側で寄附金を損金不算入とし、受取側で受贈益を益金不算入とした場合 には、利益積立金を一方の法人から他方の法人に移転させることになるため、連結納税制度における投資簿価修 正と類似の措置を講じて、親法人の利益積立金を調整する必要があります。 そこで、子法人(連結完全支配関係がある法人を除きます)が、上記(1)の適用がある寄附金を支出した場合には、 その株主たる法人において、その寄附による純資産の減少額相当分が寄附をした子法人の株式の帳簿価額から減 算(利益積立金も減算)されるとともに、受贈による純資産の増加額相当分が受贈した子法人の株式の帳簿価額に 加算(利益積立金も加算)されることとなりました。 具体的には、法人が有する子法人の株式または出資について寄附修正事由が生ずる場合の受贈益の額にその寄 附修正事由※に係る持分割合を乗じて計算した金額から寄附修正事由が生ずる場合の寄附金の額にその寄附修 正事由に係る持分割合を乗じて計算した金額を減算した金額が、株主たる法人の利益積立金額に加算されます。 この帳簿価額の修正は、上記(1)の改正により、グループ法人間の寄附について課税関係を生じさせないこととなる ため、これを利用した株式の価値の移転が容易となり、子法人株式の譲渡損を作出する租税回避が考えられること から、これを防止するために規定されたものです。本来、グループの頂点の法人まで連鎖的に帳簿価額の修正を行 うことが望ましいものではあるものの、事務負担に考慮し、直接の株主段階でのみ行うこととされています。 ※寄附修正事由 「寄附修正事由」とは、子法人が他の内国法人から受贈益の額で上記(1)の益金不算入制度の適用があるもの を受け、または子法人が他の内国法人に対して寄附金の額で上記(1)の損金不算入制度の適用があるものを支 出したことをいいます。 PricewaterhouseCoopers 2 Transaction M&A News August 2010 <寄附修正のイメージ> (例) P 社の 100%子会社間(S1 社から S2 社)で現金 300 の寄附が行われた場合 (P 社保有の S1 社株式簿価 1,000、S2 社株式簿価 1,500 で、株式簿価は各社純資産額と等しいと仮定) P社において S1 株式の簿価 を 300減額する 1,000 → 700 親法人 (P 社) S1 株 S2 株 100% S1 社 当初純資産 1,000 100% 子法人 (S1 社) 子法人 (S2 社) 全額損金不算入 寄附金支出に より純資産が 300減少 P社において S2 株式の簿価 を 300増額する 1,500 → 1,800 全額益金不算入 S2 社 当初純資産 1,500 寄附金受領に より純資産が 300増加 寄附(現金 300) (3) 適用関係 上記(1)(2)の改正は、法人が平成 22 年 10 月 1 日以後に支出する寄附金の額および同日以後に受ける受贈益の額 について適用されます。 より詳しい情報につきましては下記担当者にご連絡ください。 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース トランザクション/ M&A 部 〒100-6015 東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号 霞が関ビル 15 階 電話 : 03-5251-2400(代表) http://www.pwc.com/jp/tax パートナー PricewaterhouseCoopers 宮川和也 03-5251-2462 [email protected] 佐野勝也 03-5251-2774 [email protected] 鬼頭朱実 03-5251-2461 [email protected] 3