...

Transaction M&A News 孫会社の子会社化における 平成

by user

on
Category: Documents
26

views

Report

Comments

Transcript

Transaction M&A News 孫会社の子会社化における 平成
Transaction M&A News
October 2010, Issue 24
PwC Japan Tax Newsletter
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
は、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)
グローバルネットワークの日本におけるメンバー
ファームです。公認会計士、税理士等約 560 名の
スタッフを有する日本最大級のタックスアドバイ
ザーとして、法人・個人の申告をはじめ、金融・不
動産関連、移転価格、M&A、事業再編、国際税務、
連結納税制度など幅広い分野において税務コン
サルティングを提供しています。
PwC のグローバルネットワーク (www.pwc.com)
に属する PwC 各メンバーファームは、クライアント
およびクライアントを取り巻く人々の信頼の確立と、
価値の向上を目指して、監査、税務、アドバイザ
リーサービスにおいて、クライアントの業種に焦点
をあてたサービスを提供しております。PwC は、
世界 154 カ国に 161,000 人のスタッフを有し、常に
新たな視点からクライアントのご要望に即したアド
バイスを提供できるよう、そのネットワークを十分
に活用して問題解決に取り組んでいます。
このニュースレターは、概略的な内容をご紹介す
る目的で作成しており、この情報が個々のケース
にそのまま適用できるとは限りません。個別案件
への対応、またはより専門的な案件への取り組み
に際しましては、税理士法人プライスウォーター
ハウスクーパースのトランザクション/M&A部担当
者にお問い合わせください。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
〒100-6015
東京都千代田区霞が関3丁目2番5号
霞が関ビル15階
電話 : 03-5251-2400(代表)
http://www.pwc.com/jp/tax
© 2010 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
プライスウォーターハウスクーパースとは、税理士法人
プライスウォーターハウスクーパース、または、プライス
ウォーターハウスクーパースのグローバルネットワーク、
ないしはそのメンバーファームを指しています。個々の
組織は分離独立した法的組織となっています。
孫会社の子会社化における
平成22年度税制改正後の取り扱い
平成 22 年度税制改正において創設されたグループ法人税制および
同税制改正に伴う組織再編税制の改正は、平成 22 年 10 月 1 日以
後に行われる取引および組織再編について適用されます。今後、グ
ループ内の組織再編を行う場合には、これらの改正に基づいて検
討する必要があります。
本ニュースレターでは、孫会社の子会社化を例に、グループ法人税
制および改正後の組織再編税制の取り扱いについて、その概要を
解説いたします。
Transaction M&A News
October 2010
1. 孫会社の子会社化の方法
下図のような資本関係のある内国法人間で、S2 社を P 社の直接の子会社とすることを例に検討します。
なお、S1 社における S2 社株式の帳簿価額は 1,000 万円以上であるものとします1。
【現在の資本関係】
【変更後の資本関係】
P社
P社
100%
100%
100%
S1社
S1社
S2社
100%
S2社
上記事例において、P 社による S2 社の子会社化の方法として以下が挙げられます。
① 譲渡
S1 社から P 社へ S2 社株式を譲渡する
② 分割型分割
分割対象を S2 社株式として、S1 社から P 社へ分割型分割する
③ 現物分配
分配対象を S2 社株式として、S1 社から P 社へ現物分配する
2. 譲渡
S1 社から P 社へ S2 社株式を譲渡する場合、S1 社において S2 社株式の譲渡損益が生じますが、当該株式譲渡
取引は完全支配関係のある法人間の取引としてグループ法人税制が適用されますので、譲渡損益についての課税
は繰り延べられます(法法 61 の 13①)。 その後、譲渡を受けた P 社が S2 社株式を譲渡する等の一定の事由が生
じたとき、または P 社と S1 社の間の完全支配関係がなくなったときに、S1 社において繰り延べられた譲渡損益は課
税所得として認識されることになります(法法 61 の 13②)。
なお、本件の譲渡が時価で行われなかった場合には、時価と譲渡対価の差額につき寄附金の問題が生じることにな
りますが、完全支配関係のある法人間の取引としてグループ法人税制が適用されます。 たとえば S1 社が P 社に対
して無償でS2 社株式を譲渡した場合、S1 社では S2 株式の時価相当額が寄附金と認定され全額損金不算入となり、
S2 株式の時価相当額と譲渡直前の帳簿価額との差額は譲渡損益の繰り延べの対象となります(法法 37②、法法
61 の 13)。 一方、P 社では S2 社株式を時価で受け入れた上で、受入益については全額益金不算入となります(法
法 25 の 2)。 また、P 社において S1 社株式の帳簿価額および利益積立金額を修正することになります(法令 9①
七、119 の 3⑥)。
3. 分割型分割
(1) 適格性
S1社からP社へS2社株式の分割型分割は100%のグループ間であることから無対価で行われることが想定されま
す。無対価で行われる組織再編については平成22年度税制改正によりその明確化が図られています(無対価再編
の概要はTransaction M&A News, Issue 21, July 2010をご参照下さい)。
事例では、分割承継法人(P社)が分割法人(S1社)の発行済株式等の全部を保有していますので、当該分割は法
人税法上、分割型分割に該当します(法法2十二の九ロ)。 また、分割後のP社とS1社の完全支配関係の継続する
ことが見込まれていることを前提に、適格分割型分割に該当し(法法2十二の十一、法令4の3⑥一)、S2社株式は
S1社における帳簿価額でP社に引き継がれることとなります。
(2) 欠損金等の制限規定
グループ間の適格再編が支配関係の発生から 5 年以内に行われる場合には、みなし共同事業要件を充足する場合
1
グループ法人税制において、譲渡損益の繰り述べは譲渡直前の帳簿価額が 1 千万円以上である譲渡損益調整資産について
適用になります(法法 61 の 13、法令 122 の 14)
PricewaterhouseCoopers
2
Transaction M&A News
October 2010
を除いて、欠損金の制限規定及び特定資産の譲渡等損失の損金算入制限が適用されます(法法 57④、法法 62 の
7)。しかし、平成 22 年度税制改正により、原則として次に掲げる日のうち最も遅い日から継続して支配関係がある
場合には適用しないものとされました(法令 112④⑥、123 の 8①)。
① 分割事業年度開始の日の 5 年前の日
② 分割法人の設立の日
③ 分割承継法人の設立の日
本件事例においては、S1 社と P 社の支配関係がいつ、どのように発生したかを検討する必要があります。
4. 現物分配
(1) 適格性
S1 社から P 社に対し S2 社株式を現物配当する場合、法人税法上は平成 22 年度税制改正により創設された現物
分配の規定が適用されます。本件事例においては、現物分配の直前において P 社と S1 社の間に完全支配関係が
ありますので適格現物分配に該当し(法法 2 十二の十五)、S2 社株式は S1 社における帳簿簿価で P 社に移転する
こととなります(現物分配については Transaction M&A News, Issue 19, May 2010 をご参照下さい)。
(2) 欠損金等の制限規定
適格現物分配においては適格分割型分割の場合と同様の欠損金等の制限規定が適用されます。
5. 総括
完全支配関係の法人間で孫会社を子会社化する場合、平成 22 年 10 月 1 日以後は、譲渡の場合は譲渡損益の繰
り延べ、適格分割型分割の場合は簿価引継ぎ、適格現物分配の場合は簿価移転となり、どの方法であっても取引
時点の譲渡損益について課税されることなく、孫会社の子会社化が可能となります。実際には、欠損金等の制限規
定の適用及び会社法の規定等を考慮してその方法を検討することが必要と考えられます。
なお、分割型分割が行われる場合、従前は適格・非適格関係なくみなし事業年度の規定があり、分割法人は分割型
分割の前日で事業年度を区切って確定申告をすることが必要とされていました。しかし、平成22年度税制改正により、
平成22年10月1日以後に行われる分割型分割についてみなし事業年度は廃止されました。今後はみなし事業年度
の発生による確定申告の事務負担を考慮する必要はなくなります。
より詳しい情報につきましては下記担当者にご連絡ください。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
トランザクション/ M&A 部
〒100-6015
東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号
霞が関ビル 15 階
電話 : 03-5251-2400(代表)
http://www.pwc.com/jp/tax
パートナー
マネージャー
PricewaterhouseCoopers
宮川和也
03-5251-2462
[email protected]
佐野勝也
03-5251-2774
[email protected]
駒井栄次朗
03-5251-6626
[email protected]
3
Fly UP