...

Transaction M&A News 企業買収と借入金利息 www.pwc.com/jp/tax Issue 54, April 2013

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

Transaction M&A News 企業買収と借入金利息 www.pwc.com/jp/tax Issue 54, April 2013
www.pwc.com/jp/tax
Transaction M&A News
企業買収と借入金利息
Issue 54, April 2013
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
企業買収における買収資金の調達
は自己資金のみならず、金融機関等
からの借入によって行われる事もあり
ます。その場合、借入金は買収対象
企業の利益を原資として返済されるこ
とになります。このため、租税負担を
管理して、キャッシュ フローを最大化
することが、買収成功のための重要
なキーとなることがあります。
本ニュースレターでは、キャッシュ フ
ローを最大化するために用いられるこ
とのある、損金算入される支払利息と
買収対象企業の所得とを相殺するた
めの一般的なスキームについてご紹
介いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
PwC
1.企業買収と借入金利息
大型の企業買収では自己資金のみならず、金融機関等か
らの借入により買収資金を調達するケースがあります。そ
の場合、借入金は買収対象企業の利益を原資として返済
されることになるため、いかに効率よく、買収対象法人の利
益を親会社まで還流させるかが重要となります。これは言
い換えると、いかに買収対象企業から親会社まで、租税負
担を管理しながら利益還流を行うかということになります。
この点から、買収のための借入金にかかる支払利息と買
収対象企業の所得とを相殺することで、買収対象企業の
租税負担を管理し、投資にかかる税効果を高めるための
スキーム(Debt Push Down)が、特にクロスボーダーの企業
買収において検討されることがあります。
また、これらのスキームの検討については、買収対象企業
の所在地国におけるさまざまな税制を考慮する必要があり
ます。そこで、次ページ以降では、クロスボーダーの企業
買収を前提に、一般的に検討されるスキームおよび留意
事項についてご紹介いたします。
1
Transaction M&A News
2.Debt Push Down の一般的なスキーム
(1) 連結納税制度を利用する場合
① 買収企業が被買収企業所在地国に SPC を設立し買収資金を出資と貸付で投入する。
② SPC が被買収企業の株式を取得する。
③ SPC と被買収企業が連結納税グループを組成する。
買収企業
買収企業
貸付
出資
貸付
出資
SPC
買収企業
貸付
出資
SPC
SPC
連結納税
株式取得
被買収企業
被買収企業
(2) 合併する場合
① 買収企業が被買収企業所在地国に SPC を設立し買収資金を出資と貸付で投入する。
② SPC が被買収企業の株式を取得する。
③ SPC と被買収企業が合併する。
買収企業
貸付
出資
買収企業
買収企業
貸付
出資
SPC
SPC
SPC
出資
株式取得
被買収企業
貸付
出資
合併
被買収企業
上記のスキームにより、買収企業が借り入れた買収資金にかかる支払利息の損金を SPC のレベルで認識することになり、
また、SPC において認識される支払利息と被買収企業の所得とを相殺できる可能性があります。なお、このようなスキーム
が実際に機能するかについては、被買収企業の所在地国での税制を詳細に確認する必要があります。
3.Debt Push Down の際の検討事項
上記のようなスキームに対して、被買収企業の所在地国において支払利息の損金算入を制限するような制度が
存在する場合があります。参考までに、例えば我が国においても以下のような支払利息の損金算入制度があり
ます。
(1) 過少資本税制(租税特別措置法第 66 条の 5)
内国法人が国外株主等に負債の利子を支払う場合において、当該事業年度の国外支配株主等に対する負債に係
る平均残高が、その内国法人の純資産に対する持分の額(国外支配株主等の資本持分)の 3 倍(同業他社の比率が
認められる事もある)に相当する金額を超えるときは、当該超過分に対応する負債の利子については当該事業年
度の損金に算入しないとする制度
PwC
2
Transaction M&A News
(2) 過大支払利子税制(アーニング・ストリッピング・ルール) (租税特別措置法第 66 条の 5 の 2)
法人の関連者に対する純支払利子等の額が調整所得金額(所得金額に関連者純支払利子等の一定の調整を行った
金額)の 50%を超える場合には、その超える部分の金額は、当期の損金に算入しないという制度
これらの支払利息の損金算入制限と類似の制度が被買収企業の所在地国にも設けられていることがあります。
また、上述の支払利息の損金算入制限以外にも、例えば以下のような点を考慮する必要があります。
-支払利息にかかる源泉税
-支払利息を受ける買収企業での課税関係
-連結納税開始に伴う課税関係
-合併に伴う課税関係
より詳しい情報、または個別案件への取り組みにつきましては下記担当者にご連絡ください。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
トランザクション/ M&A部
〒100-6015 東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号 霞が関ビル 15 階
電話 : 03-5251-2400(代表) http://www.pwc.com/jp/tax
パートナー
シニアマネージャー
小野寺美恵
03-5251-2791
[email protected]
山岸哲也
03-5251-2460
[email protected]
村上高士
080-3592-6121
[email protected]
税理士法人プライスウォーターハウスクーパースは、PwC のメンバーファームです。公認会計士、税理士など約 470 人を有する日本最大級のタックスアドバイザーとして、法
人・個人の申告をはじめ、金融・不動産関連、移転価格、M&A、事業再編、国際税務、連結納税制度など幅広い分野において税務コンサルティングを提供しています。
PwC は、世界 158 カ国 におよぶグローバルネットワークに 180,000 人以上のスタッフを有し、高品質な監査、税務、アドバイザリーサービスの提供を通じて、企業・団体や個
人の価値創造を支援しています。詳細は www.pwc.com をご覧ください。
本書は概略的な内容を紹介する目的のみで作成していますので、プロフェッショナルによるコンサルティングの代替となるものではありません。
© 2013 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース 無断複写・転載を禁じます。
PwC とはメンバーファームである税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、または PwC のネットワークを指しています。各メンバーファームは、別組織となっています。
詳細は www.pwc.com/structure をご覧ください。
PwC
3
Fly UP