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Transaction M&A News 無対価合併に係る適格判定につ いて

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Transaction M&A News 無対価合併に係る適格判定につ いて
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Transaction M&A News
無対価合併に係る適格判定につ
いて
Issue 61, November 2013
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2010 年度(平成 22 年度)の税制改
正により、無対価組織再編に係る取り
扱いが明確化されました。しかし、
100%グループ内で行われる無対価
の組織再編であっても、すべての無
対価組織再編が適格組織再編に該
当するわけではありません。
先日、国税庁より「合併対価が交付さ
れない合併(無対価合併)に係る適
格判断について」の質疑応答事例が
公表され、非適格になる場合が起こり
うることが示されました。
本ニュースレターでは、公表された事
例をもとに、無対価合併に係る留意
点について説明いたします。
1.無対価合併にかかる税務上の取り扱い
無対価合併とは、対価として交付されるべき株式ないし金
銭等が交付されずに行なわれる合併をいいます。2010 年
度(平成 22 年度)の税制改正において適格組織再編とし
て取り扱われる無対価再編の要件が明確化されました。基
本的な考え方としては、実質的に株式の交付が省略され
たと認められるものについては税制適格とし、株式の交付
が省略されたと認められないものは税制非適格として取り
扱うというものです。
先日、国税庁の質疑応答事例において、同一の者による
完全支配関係がある法人間における一定の無対価合併
について、株式の交付が省略されたと認められないことか
ら非適格合併になると回答した事例が公表されました。
2.質疑応答事例の内容
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質疑応答事例における質問内容は次のとおりです。
A 社は、B 社と D 社の発行済株式の全てを保有しており、
B 社は C 社の発行済株式の全てを保有しています。C 社
と D 社は、C 社を合併法人、D 社を被合併法人とする合
併(以下「本件合併」といいます。)を行うことを予定してい
ます。本件合併は、100%グループ内での合併であること
から、D 社の株主である A 社に対して C 社株式その他の
資産を何ら交付しない、いわゆる無対価合併の手法による
ことを予定しています。
合併後も A 社は B 社の発行済株式の全てを、B 社は C
社の発行済株式の全てをそれぞれ継続して保有する見込
みですが、本件合併は適格合併に該当しますか。
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これに対して国税庁は、本事例における合併において、合併法人 C 社及び被合併法人 D 社は同一の者(A 社)によっ
てその発行済株式の全てを保有されていることから同一の者(A 社)による完全支配関係に該当することになるとする一
方で、下記の無対価合併の場合の適用要件のうち要件(1)を充足しないため、適格合併には該当しないと説明していま
す(法法 2 条十二の八、法令 4 の 3②二)。
(1) その合併前に次のイからニまでのいずれかの関係があること
イ) 合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ロ) 一の者が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係
ハ) 合併法人及びその合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保
有する関係
ニ) 被合併法人及びその被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を
保有する関係
(2) 合併後に同一の者と合併法人との間にその同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれること
3.無対価合併に係る留意点
今回の事例においては、合併法人 C 社が株式を交付する場合と株式を交付しない場合で、いずれも A 社が C 社を間
接的に 100%保有し続けることになる点では同じですが、C 社株式の直接保有持分が異なることとなる点で相違します。
現行の法令規定において、税制適格として取り扱われる無対価組織再編は、仮に株式交付を行ったとしても組織再編後
における直接の資本関係(持分割合)が相違せず、株式の交付を省略したと認められる場合のみ該当すると考えられま
す。
よって、無対価組織再編を実施する場合には、株式交付の有無によって直接の資本関係が相違するかどうかを常に確
認する必要があります。100%グループ内であれば無対価組織再編であっても常に税制適格組織再編に該当するという
安易な判断をしないよう留意が求められます。
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