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インド移転価格税制 ユニラテラル APA 制度の活用 Transaction M&A News

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インド移転価格税制 ユニラテラル APA 制度の活用 Transaction M&A News
Transaction M&A News
インド移転価格税制
ユニラテラル APA 制度の活用
Issue 75, January 2015
In brief
一般的に事前確認(APA)申請を検討する場合において、一定の国外関連者間取引の規模がある場合、移
転価格課税リスクを回避することを主目的として、バイラテラルAPAを申請することが一般的であり、二重課税
の固定化につながる恐れのあるユニラテラルAPAを申請することは、特別なケース(租税条約がない、相手国
がAPAを(実質的に)妥結しないなど)でない限り、合理性に乏しいと判断されることが大多数と考えられるとこ
ろです。しかしながら、インドでは、インド独自の課税手法を回避するための一つの手段として、ユニラテラル
APAの申請を行うことも考えられます。インドにおけるユニラテラルAPAのメリットも考慮の上、インドでの移転価
格戦略をご検討ください。
In detail
1. インド移転価格税制の概要
2. インド移転価格税制の執行
インドではすべての会社は、4 月から翌年 3 月を税
務年度として税務申告を行うことが求められています。
インド移転価格税制は、2001 年 4 月に開始する事
業年度から導入されています。インド移転価格税制
は、基本的には OECD のガイドラインに準拠した制
度であるといわれております。レンジ概念でなく、比
較対象企業の利益指標の算術平均として独立企業
間価格を算定する点、所得移転の有無にかかわらず
単なるコンプライアンス違反に対しても、過重なペナ
ルティが課されることとなることなどが、他国と比較し
た場合、インド移転価格税制の特徴といえます。
インドでは、2001年度の移転価格税制導入以降、非
常に積極的な課税処分が実施されてきました。設立
初年度からの赤字を一切認めない、サービス産業に
対して、高率のマークアップを求めるなど、他国の制
度と比較して、非常に厳しい運用がなされてきていま
す。
他方、世界的に一般的となっている課税案件にかか
る相互協議(MAP)については、実務的な解決策とし
て実質的に機能していません。すなわち、MAPを申
請したとしても、それが合意に至るケースが非常に稀
であり、日印間において課税案件にかかる相互協議
で合意した事例はありません。結果的に、ほとんどの
ケースが、インド国内手続きである法的救済手続きに
進んでいます。このような状況を反映し、インドでは、
移転価格課税案件にかかる訴訟案件が多数存在し
ています。訴訟手続きは、その解決まで10年を超え
ることが一般的であり、このような調査環境はインドへ
の投資阻害要因と受け止められています。訴訟案件
数を減少させることは、インド当局サイドとしても取組
むべき課題と認定されています。
www.pwc.com/jp/tax
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3. インドAPA制度
インドのAPA制度は、2013年4月1日以降の取引について申請が可能となるよう導入された制度であり、ユニラテラル、バイラテラ
ルやマルチラテラルでの申請が可能とされています。制度導入からほぼ2年がたち、2014年3月に5件のユニラテラルAPAが承
認され、近々1件のバイラテラルの同意も実現するとの見込みです。他方で、これまでの数百件の申請がなされていますが、そ
れらの大部分は継続審査中とのことであり、審査能力の増強を進めていただくことが切に望まれているところです。加えて、イン
ドAPAで合意された案件は、IT関連などサービス産業に関連するものがほとんどであり、無形資産の使用を伴う製造業など複雑
な取引に関するAPAはいまだ合意に至っていないという点には留意が必要と考えます。
APAが妥結されることにより、移転価格税制については予見可能性が確保されることはもちろん、インド移転価格税制上求めら
れている文書化義務などのコンプライアンス手続きが免除され、移転価格にかかる税務調査対応からも解放されることとなりま
す。この点は、インド移転価格コンプライアンス対応を行う上での大きなメリットといえると考えます。
他方、インでのドビジネスは未だ投資段階にあり、いわゆる移転価格課税リスクを排除するためのAPA(バイラテラル)を行うよう
な取引規模にないケースも考えられます。このような状況において、インドユニラテラルAPAを申請することも検討に値すると考
えます。
4. ユニラテラルAPA制度の活用
上述の通り、インド移転価格税制執行においては、非常に積極的な調査、課税処分が実施されています。なかでも、近年急速
に増加している「販売促進マーケティングコスト」にかかる更正処分に関しては、インド独自の課税手法であり、他国移転価格税
制においては用いられるような手法ではありません。
ここで、「販売促進マーケティングコスト」にかかる更正処分とは、一定のブランドなどマーケティング資産を使用して、インド国内
で販売活動を行っている法人が、インドで計上している販売促進マーケティングコストの大部分を損金不算入とする、もしくは委
託マーケティングコストと認定して、委託収入の計上を求めるという課税手法です。ここで、損金不算入等とされるマーケティング
コスト等については、検証対象法人の販売促進マーケティングコストの売上高に対する比率と比較対象企業における同比率と
を比較し、超過している部分を否認するというシンプルな計算により求められます。計算手法として非常に簡単に実行可能であ
ることから、対象会社の詳細な状況の確認なしに課税処分を行っているという状況となっています。本課税に関しましては、多
数のMNCが課税処分を受けており、複数の租税裁判が進められていますが、納税者有利な判決もあれば、逆もあり、インド当
局の本ロジックに基づく課税は継続的に実行されているという状況です。
インドにおいても、APAの審査を実施するチームと、実際の調査を行うチームとは区分されています。調査担当チームにおいて
は、インド独自の考え方、手法に基づいて課税処理が実施されるということは、上記の「販売促進マーケティングコスト」にかかる
課税でも明らかなとおりです。しかしながら、APAの審査チームにおいては、バイラテラルAPAなど他国との協議を前提とする必
要があります。よって、APA審査チームにおいては、インド独自のロジックに則った結論づけを避け、国際的に認められたロジッ
クに基づいて、審査を行う傾向が強いといわれております。この点に、インドAPA制度を活用する意義があると考えます。つまり、
バイラテラルAPAを申請するような規模のない取引であったとしても、インドにおけるインドロジックに基づく課税リスクを回避する
という点から、インドユニラテラルAPAを活用するということも検討に値すると考えます。
なお、ユニラテラルAPAを申請するとはいえ、その取引の相手国での移転価格リスクにも十分配慮しておくことが必要となります
ので、この点はご留意ください。
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