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2015 年度税制改正における受取配当等の 益金不算入制度の改正について In brief

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2015 年度税制改正における受取配当等の 益金不算入制度の改正について In brief
2015 年度税制改正における受取配当等の
益金不算入制度の改正について
Issue 78, April 2015
In brief
2015年度税制改正において、受取配当等の益金不算入制度が大きく改正されました。特に1/3以下の保有比率
の株式については、益金不算入額が大きく減少することも想定されるため、グループ法人間で投資先法人の株
式を分散して保有しているような場合には、資本関係の見直しを図る必要も生じてくるものと考えられます。
2015年度税制改正により配当に係る資金還流に係る課税関係が大きく変わることにより、事業計画に影響を与え
る可能性もあるため、本改正の影響については早急に検討の上、対策を講じることが必要になるものと考えられま
す。
In detail
1. 2015年度税制改正の概要
2015年度税制改正では、会社法上の株主の権利に係る議決権保有割合や諸外国の制度を参考に、益金不算入割合
を係る持株割合を、「100%」「1/3超100%未満」「5%超1/3以下」「5%以下」の4区分に分類し、それぞれの区分に応じて益
金不算入額を計算することになります。持分割合が1/3以下の場合、益金不算入割合が縮小されるため、負債利子控
除を廃止することで課税強化を緩和しています。
2. 2015年度税制改正後の受取配当等の益金不算入制度の概要
2015年度税制改正前後の受取配当等の益金不算入制度の概要をまとめると下表の通りとなります。
2015 年度税制改正前
株式等の分類
持株割合 益金不算入額
完全子法人等株式
100%
配当等の全額
等
株式等の分類
完全子法人等株式等
関係法人等株式等
25%以上
配当等の額
(負債利子控除あ
り)
関連法人等株式等
上記以外の株式等
25%未満
配当等の額 ×
50%
(負債利子控除あ
り)
その他の株式等
非支配目的株式等
2015 年度税制改正後
持株割合
益金不算入額
100% (配当の
配当等の全額
計算期間を通じ
て)
1/3 超 100%未
配当等の額
満 (配当の基
(負債利子控除あり)(注1)
準日以前 6 月を
通じて)
5%超 1/3 以下
配当等の額 × 50%
(基準日時点)
(負債利子控除なし)
5%以下
(基準日時点)
配当等の額 × 20% (注2)
(負債利子控除なし)
(注 1)負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度を 2015 年 4 月 1 日から 2017 年 3 月 31 日までの間に開始する事業年度とする
(注 2)青色申告書を提出する保険会社が受ける非支配目的株式等に係る配当等の額については 40% の特例の適用が設けられる
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3. 適用時期と対応策
法人税法の一部改正に伴う経過措置の原則(附則第21条)によれば、別段の定めがあるものを除き、改正後の法人税
法の規定は、法人の施行日(2015年4月1日。以下同様)以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適
用し、法人の施行日前に開始した事業年度の所得に対する法人税については、なお従前の例によるものとされていま
す(すなわち、配当の支払を行う側の法人の事業年度ではなく、配当を受ける法人の事業年度に基づいて、適用時期
が定められています)。
従って、受取配当等の益金不算入等を適用する法人が、3月決算法人である場合には、2016年3月期から改正法が適
用され、12月決算法人である場合には、2016年12月期から適用されることとなります。
仮に、3月決算の法人Aが、12月決算の法人Bの株式を現状で25%保有している場合、法人Bの2015年12月期の期末
配当について、2016年3月期の法人税確定申告において関連法人株式等として受取配当の益金不算入の適用を受
けるためには、2015年6月末までに、1/3超まで株式の保有比率を高める必要があります。
実務上、グループ会社間で、ある投資先事業法人の株式を分散して保有している場合が見受けられますが、通常の譲
渡取引の他、例えば適格組織再編行為(現物分配、現物出資、会社分割等)等を用いてグループ会社で保有している
株式を集約し、改正後の受取配当等の益金不算入制度においても益金不算入の恩恵が享受できるように、資本関係
の見直し等を検討する必要が生じてくるものと考えられます。
但し、グループ内において、適格現物分配、適格現物出資、適格分割等の適格組織再編行為を行う場合、一定の要
件を充足しない場合には、被現物分配法人、被現物出資法人、分割承継法人等において繰越欠損金の制限や含み
損を有する資産の損金算入について、思わぬ制限を受ける場合があるので留意が必要となります。
これらの制限の検証については時間を要するケースもあり、また、会社法その他の諸手続等に時間を要するものと考え
られることから、本税制改正に係る影響について早急な検討を行うことを推奨いたします。
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