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三角合併を活用したコーポレートインバージョンを 行う場合の留意点 Transaction M&A News

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三角合併を活用したコーポレートインバージョンを 行う場合の留意点 Transaction M&A News
Transaction M&A News
三角合併を活用したコーポレートインバージョンを
行う場合の留意点
Issue 83, September 2015
In brief
会社法の改正に伴う合併等の対価の柔軟化により合併等の対価として合併等親法人株式を交付することが
認められるようになり、三角合併等が広く行われることになりました。また、三角合併等により企業が軽課税国
に法人を設立し、最終的に軽課税国に存在するペーパーカンパニーの子会社になる、いわゆるコーポレート
インバージョンが容易にできることとなり、活用する企業が増加しています。
このようなクロスボーダーの組織再編のうち、合併等の対価として外国親法人株式を交付するコーポレートイ
ンバージョンは、一定の要件に該当した場合、株主に対する譲渡益課税や合算課税(タックスヘイブン対策
税制)が生じるケースがあります。
本ニュースレターでは、三角合併を利用したコーポレートインバージョンを行う際の留意点について解説いた
します。
In detail
1.
コーポレートインバージョンに対する規制
コーポレートインバージョンは、内国法人が軽課税国に所在する外国法人の子会社となることにより事後的な
所得移転などの租税回避行為が可能となる恐れがあることから、コーポレートインバージョンを行う際の規制
や、コーポレートインバージョンを行った後のコーポレートインバージョン対策税制が設けられています。
2.
軽課税国に設立された合併親法人株式を対価とする三角合併に関する規制について
コーポレートインバージョンを行う際に留意すべき点の 1 つは、軽課税国に設立された合併親法人株式を対
価とした場合です。三角合併の対価として外国親法人株式を交付するコーポレートインバージョンを行った場
合、三角合併が以下の要件に該当する場合(適用除外要件を満たす場合は除かれます)にはその三角合併
自体を非適格合併として取扱い、株主に対して譲渡益課税が行われます。
(要件)
・被合併法人と合併法人との間に特定支配関係(※1)があること
・被合併法人の株主に特定軽課税外国法人(※2)の株式を交付すること
※1 特定支配関係:一方の内国法人と他方の内国法人との間にいずれか一方の内国法人が他方の内国法
人の発行済株式等の総数の 50%を超える数の株式を直接又は間接に保有する関係
等をいう。
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※2 特定軽課税外国法人: その本店または主たる事務所の所在する国又は地域において、その所得に対
する税が存在しない又は合併等が行われる日を含む事業年度開始の日の前 2
年以内に開始した各事業年度においてその所得に対して課される税の負担が
20%未満である外国法人をいう。但し、タックスヘイブン対策税制と同様に事業
実体等一定の要件を満たす場合には、該当しない。
3.
軽課税国に設立された合併親法人の留保利益に対する課税
コーポレートインバージョンを行った後においても、コーポレートインバージョン対策税制の適用により、株主
に対して合算課税が適用される可能性があるため要件に留意が必要です。
(1) コーポレートインバージョン時のタックスヘイブン対策税制
特定内国法人(5 人以下並びにこれらと特殊の関係のある個人及び法人によって発行済株式総数の 80%以
上支配されている法人)の株主が、三角合併等の組織再編や株式譲渡により、軽課税国(所得に対して課さ
れる税率が 20%未満の国)に所在する外国法人を通じて、内国法人の株式の 80%以上を間接保有すること
となった場合には、その外国法人が各事業年度において留保した所得を、その持分割合に応じて、その外
国法人の株主である居住者又は内国法人の所得に合算して課税されることとされています。
(2) 適用除外について
外国法人が独立企業として実体を備えかつ、その地で事業活動を行うことにつき十分な経済合理性があると
認められる一定の要件を満たす場合には合算課税を行わないこととされています。
(3) タックスヘイブン対策税制との重複について
外国法人の株主等について、外国子会社合算税制とコーポレートインバージョン対策税制双方において適
用要件に該当する場合には、外国子会社合算税制の適用が優先されます。なお、タックスヘイブン対策税制
PwC
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の要件である特定外国子会社等の株式の 10%以上を保有する株主の要件はコーポレートインバージョン対
策税制にはない点に留意が必要です。
4.
終わりに
対価の柔軟化により組織再編の選択肢が増加した一方で税制もより複雑になっています。コーポレートイン
バージョンのようにクロスボーダーの組織再編を行う際には、関連する税法規定の慎重な検討が望まれます。
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