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Transfer Pricing News 日米二国間事前確認に関する 新たな展望 May 2013

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Transfer Pricing News 日米二国間事前確認に関する 新たな展望 May 2013
www.pwc.com/jp/tax
Transfer Pricing News
日米二国間事前確認に関する
新たな展望
May 2013
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2013 年 3 月 26 日、米国内国歳入庁
(IRS)は事前確認(APA)に関する 14
回目の年次報告書を公表しました。
日本側から見た場合、この報告書の
中で最も興味深い点は、2012 年に
IRS が実施した二国間の事前確認の
うち、53%(件数にすると 55 件)が日
本を相手国としていたことです。
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2012 年度締結の二国間事前確認の過半数は
対日案件
2013 年 3 月 26 日、IRS は APA に関する 14 回目の年次
報告書を公表しました。この報告書の詳細な内容および
米国側から見た場合の意味合いに関しては、3 月に配信
した PwC PKN / TCDR(注 1)に記載したとおりです。一方、
日本側から見た場合、この報告書の中で最も興味深い点
は、2012 年に IRS が実施した二国間の事前確認のうち、
53%(件数にすると 55 件)が日本を相手国としていたことで
す。報告書は発刊から 14 年目を迎えましたが、相手国に
関するデータが公表されたのは今回が初めてです。この
データは、米国が近年日本以外の国々、とりわけ中国との
取引を拡大しているとはいえ、多くの日米の納税者にとっ
て両国の関連会社取引が今なお重要な税務問題であるこ
とを示しています。
日本の国税庁(NTA)も、IRS と同様に事前確認および相
互協議に関する年次報告書を発表しています。報告対象
年度の違い(日本は 6 月まで、米国は 12 月まで)や、日
本においては国単位ではなく地域単位で統計をとることか
ら、これら二つの報告書における数字を単純に比較するこ
とはできせん。ただし、NTA の 2012 年度(2012 年 6 月終
了事務年度)版の相互協議に関する報告書によると、NTA
と最も多くの相互協議(移転価格課税案件および二国間
の事前確認を含む)を行った相手国は米国でした。したが
って、日米両当局のデータから、両国間の関連会社取引
は多くの多国籍企業にとって依然重要であることが読み取
れます。
(注 1) http://www.publications.pwc.com/DisplayFile.aspx?Attachmentid
=6519&Mailinstanceid=27353
Transfer Pricing News
特に日米当局の報告書において、2012 年度の二国間事前確認の処理件数が過去最高であると記載されていることは納
税者にとって朗報と言えます。NTA が 2012 年 6 月に終了する事務年度に処理した二国間事前確認は 135 件、一方
IRS が 2012 年 12 月に終了する事務年度に処理した件数は 140 件となっており、IRS の件数は 2011 年の 34 件と比較
すると大幅増となっています。これは、NTA による事前確認審査手続きの迅速化と、IRS による新 APMA (Advance
Pricing and Mutual Agreement)プログラム策定から見られるように、両国の事前確認制度に対するコミットメントと、それに
十分なリソースを投入したことの結果と言えます。処理件数が 2012 年度の水準を維持できれば、未だに決着していない
事前確認の「繰越」案件の迅速な解決が予想されます。
日米移転価格問題の有効な解決策
日米間で数多くの二国間事前確認が処理されているという事実は、両国間での関連会社取引を有する納税者が、移転
価格の税務リスクを管理するために用いる事前確認が、実務上有効に機能しているということにほかなりません。短期間
では NTA・IRS 間の合意が得られない(もしくは全く合意が得られない)のではないかと懸念して、これまで事前確認に二
の足を踏んでいた納税者も、これを機に事前確認について再検討する価値があると思われます。
日米の二国間事前確認取得が、他の国々の事前確認にどのように関連するかも考える必要があります。一般的には日
米二国間事前確認を先行取得し、その後に事前確認の経験が浅い国々との取引について、事前確認を申請するケース
が通常のパターンであると言えます。日米での事前確認を優先する理由は多々ありますが、以下がその主なものです。
• 日本および米国は事前確認の経験が豊富であるため、合意内容はおおむね合理的であり、かつ移転価格の原
則に基づいている。加えて、日米双方の交渉力がほぼ拮抗していることから、日米間の交渉から導き出された移
転価格算定方法は交渉力に差のある二国間交渉から導き出された結果よりもバランスのとれたものである。他国
は日米事前確認の合意内容に従う義務はないものの、理に適った二国間事前確認がすでに存在しているため、
日米以外の当局が異なったアプローチを採用する場合には、その理由を説明せざるを得なくなり、他当局に対し
て牽制効果がある。
• 移転価格の経験の少ない国々では、税務当局が、NTA や IRS といった経験豊富な当局による前例をむしろ歓迎
する(もしくはその影響を受けやすい)傾向がある。
• NTA および IRS の事前確認プログラムにおいては、提出すべき書類が明確に規定されているため、日米二国間
事前確認での経験は事前確認の運用実績が乏しく、提出書類が明確に定義されていない国においてどのよう対
応すべきかの指針となり得る。
• 提出書類および提案する移転価格算定法が日米両国の税務当局の詳細な審査を受けるため、日米以外の国で
も生じる可能性がある移転価格上の問題点とそれへの対応が事前に明らかになる。
特定の国との二国間事前確認の経験を他国にも活用しようとするアプローチは、すべての納税者にとって万能とは限りま
せん。しかしながら、事前確認制度を有する国々で移転価格上のリスクを抱える納税者にとっては、日米事前確認を先行
するアプローチは、他の国々での事前確認の取得においても非常に有効であると言えます。
PwC
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