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日本基準トピックス 「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項 について(平成26年3月期版)」および「有価証券 報告書レビューの実施について(平成26年3月期

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日本基準トピックス 「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項 について(平成26年3月期版)」および「有価証券 報告書レビューの実施について(平成26年3月期
日本基準トピックス
「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項
について(平成26年3月期版)」および「有価証券
報告書レビューの実施について(平成26年3月期
以降)」の公表
2014年4月8日
第252号
■主旨

2014年3月31日、金融庁は「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意事項について
(平成26年3月期版)」および「有価証券報告書レビューの実施について(平成26年3月期
以降)」を公表しました。

有価証券報告書(平成 26 年 3 月期版)の作成に当たっての留意事項として、退職給付に
関する注記、特別目的会社の取扱い等の見直し、単体開示の簡素化を図るための財務
諸表等規則等の改正などが挙げられています。

平成24年3月期以降の有価証券報告書を対象とした有価証券報告書レビューについては、
現在実施中とされていますが、平成26年3月期以降の有価証券報告書についても、引き続き
有価証券報告書レビューを実施することとしています。
・ 原文については、金融庁のウェブサイトをご覧ください。
http://www.fsa.go.jp/news/25/sonota/20140331-1.html
http://www.fsa.go.jp/news/25/sonota/20140331-2.html
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1.有価証券報告書の作成 ・提出に際しての留意事項(平成26年3月期版)
平成 26 年 3 月期以降の有価証券報告書の作成に当たって留意が必要な事項等について、
以下のとおり整理されています。主な内容をご紹介します。
(1)新たに適用となる開示制度・会計基準等
平成 26 年 3 月期から新たに適用となる開示制度・会計基準として、下記 3 項目が挙げられています
(一部、早期適用されているものもあります)。
①「退職給付に関する会計基準」等の公表を踏まえた連結財務諸表規則等の改正
(注 1)
 退職給付に係る科目の表示等に係る改正
 連結貸借対照表における科目の表示
 連結損益計算書において退職給付費用を販売費及び一般管理費に含めた場合における
主要な費目の注記
 連結包括利益計算書における科目の表示
 会計処理基準に関する事項としての退職給付に係る会計処理の方法の記載
1




退職給付に係る注記事項の改正(開示の拡充)
確定給付制度を採用している場合の注記
確定拠出制度を採用している場合の注記
複数事業主制度を採用している場合の注記
(注)
*1 財務諸表等規則等の改正(退職給付会計基準関連)の概要は以下を参照ください。
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2012/
fsa-issue222120925.jhtml
また、連結財務諸表を作成する会社の財務諸表において、未認識数理計算上の差異等の会
計処理の方法が連結財務諸表と財務諸表で異なる場合はその旨を財務諸表に注記する必要
があること、財務諸表における一定の注記の省略が認められていることが記載されています。
②「連結財務諸表に関する会計基準」等の公表を踏まえた連結財務諸表規則等の改正


(注 2)
子会社等の範囲の見直し(特別目的会社の取扱いの見直し)
特別目的会社のノンリコース債務等の区分表示等
(注)
*2 財務諸表等規則等の改正(特別目的会社の取扱いの見直し等)の概要は以下を参照ください。
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2011/
20110708.jhtml
③単体開示の簡素化を図るための財務諸表等規則等の改正
(注 3)
 単体開示の簡素化について
 特例財務諸表提出会社(注 4)が利用することが可能な、会社法の水準にあわせた様式が新
設されました。
 特例財務諸表提出会社は、記載すべき財務諸表の注記について、会社法の計算書類と
開示水準が大きく変わらないとされた一定の項目について、会社計算規則に掲げる事項
に代えることができます。
 連結財務諸表において十分な情報が開示されているとされた一定の項目について、新た
に財務諸表における開示が免除され、または免除の範囲が拡大されます。
 連結財務諸表を作成している場合における「主な資産及び負債の内容」の記載を省略す
ることができます。
 この改正に基づいて作成した財務諸表には、「特例財務諸表提出会社に該当する旨」及
び「財務諸表等規則第 127 条の規定により財務諸表を作成している旨」を記載することに
なります。
 その他の改正
 「資産の部」、「負債の部」等の区分表示他に関する数値基準が緩和されます。
 上場会社等(特定事業を営む会社等の一部は除く)について、「有価証券明細表」の開示
は免除されます。
 特別の法律の規定により資産の再評価が行われた場合その他特別の事由により取得原
価の修正を行っている会社は、「有形固定資産等明細表」において、「当期増加額」また
は「当期減少額」の欄のほか、「当期首残高」または「当期末残高」の欄にも当該再評価差
額等を内書きする必要があります。
 これまで貸借対照表の純資産の部に注記していた、剰余金の配当に関して制限を受けて
いる場合の一定の記載につき、記載箇所が変更されます。
 上述したその他の改正の項目を適用する場合は、表示方法の変更に関する注記が必要と
なります(財務諸表等規則第 8 条の 3 の 4)。
2
(注)
*3 財務諸表等規則等の改正(単体開示の簡素化)の概要は以下を参照ください。
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting/japan-topics/2014/
terminology-forms-financial-statements140327.jhtml
*4 連結財務諸表を作成している会社のうち、会社法第 2 条第 11 号に規定する会計監査人設置会社
(財務諸表等規則第 2 条に規定する別記事業を営む株式会社又は指定法人を除く。)をいう。
(2)最近の課徴金事案および自主訂正事案を踏まえた留意事項
最近の課徴金事案および自主訂正事案において、以下の点などについて不適切な会計処理
が認められるため、留意する必要があります。



売上の過大計上・前倒し計上
固定資産(不動産)の減損損失の過少計上
固定資産(のれん)の減損損失の不計上
(3)有価証券報告書レビュー(平成 25 年 3 月期以降)を踏まえた留意事項
有価証券報告書レビューにおいて、現在までに把握された事象を踏まえた有価証券報告書の
作成に当たり留意すべき点として、下記の項目が示されています。
留意すべき点
参照条項
企業結合に関する開示(平成 24 年度より継続)


取得による企業結合の開示について、注記が全くなさ
れていない事例や、注記されていてもその内容に不備
や不十分な点が認められる事例が確認されている。
取得による企業結合が行われた年度については、当該
企業結合の概要等を、法令に従って具体的に記載する
必要がある。
連結財務諸表規則第 15 条の
12、財務諸表規則第 8 条の 17
事業分離に関する開示(平成 25 年度に追加)


事業分離や連結子会社株式の一部売却等が行われた
場合にも、注記が全くなされていない事例や、注記され
ていてもその内容に不備や不十分な点が認められる事
例が確認されている。
事業分離や連結子会社株式の一部売却等が行われた
年度については、当該事業分離の概要等を、法令に従
って具体的に記載する必要がある。
連結財務諸表規則第 15 条の
16、第 15 条の 18、財務諸表規
則第 8 条の 23 等
固定資産の減損損失(平成 24 年度より継続)
<将来キャッシュ・フローの見積り>
減損損失を認識するかどうかの判定に際して見積もられる将来
キャッシュ・フローについては、企業に固有の事情を反映した
合理的で説明可能な仮定および予測に基づく必要がある。
「固定資産の減損に係る会計
基準」二 4.(1)
<減損損失についての開示>
減損を認識した資産についての内容や回収可能価額の算定
方法等についての記載が不明瞭な事例が認められている。
減損損失を認識した場合には、当該減損損失の内容を明瞭
に注記する必要がある。
連結財務諸表規則第 63 条の
2、財務諸表等規則第 95 条の
3の2
3
金融商品に関する注記およびデリバティブ取引に関する注記(平成 25 年度に追加)


保有している金融商品(デリバティブ取引に関するもの
を含む)について注記がなされていない事例や、注記さ
れていても当該金融商品の内容が不明瞭であったり、
時価の記載方法が不適切であったりする事例が確認
されている。
保有している金融商品については、当該金融商品の状況
および時価に関する事項等を、明瞭かつ正確に記載する
必要がある。
連結財務諸表規則第 15 条の
5 の 2、第 15 条の 7、財務諸表
等規則第 8 条の 6 の 2、第 8
条の 8 等
重要性の判断(平成 24 度より継続)
有価証券報告書の開示に当たって適用する重要性を設定する
際には、質的重要性および金額的重要性を慎重かつ総合的に
検討する必要がある。
「企業会計原則注解」注 1、「会
計上の変更及び誤謬の訂正に
関する会計基準」第 35 項等
特別損失の開示(平成 25 年度に追加)
特別損失の「その他の項目」について、損益計算書上の科目名
によるだけでは、その発生原因または性格を示すことが困難な
場合には、注記によって記載する必要がある。
連結財務諸表規則第 63 条、
連結財務諸表規則ガイドライ
ン 62、財務諸表等規則第 95
条の 3、財務諸表等規則ガイド
ライン 95 の 2 の第 2 項
2.有価証券報告書レビュー(平成 26 年 3 月期以降)の実施
平成 26 年 3 月期以降の有価証券報告書を対象に、引き続き「法令改正関係審査」、「重点テーマ
審査」および「情報等活用審査」を柱とした有価証券報告書レビューが実施されます。
(1)法令改正関係審査
平成 24 年 5 月に公表された「退職給付に関する会計基準」等を踏まえて改正された連結財務
諸表規則等が平成 26 年 3 月期より適用されることから、同規則等に基づき適切な記載がなされ
ているかどうかが審査されます。このため、以下のすべての要件に該当する企業については、
調査票(注 5)の提出が求められています。



平成 26 年 3 月 31 日を決算日とする連結財務諸表を作成している。
退職給付制度を採用している。
連結財務諸表を日本基準で作成している。
(注)
*5 調査票(Excel)は、以下の金融庁のウェブサイトに掲載されています。提出期限は平成 26 年 7 月 15 日
(火)、提出方法については各財務局等からの連絡等に従うとされています。
http://www.fsa.go.jp/news/25/sonota/20140331-2.html
4
(2)重点テーマ審査
今回(平成 26 年 3 月期以降)の重点テーマは、以下のとおりです。審査対象となる企業には、
所管の財務局等より別途連絡があるとのことです。



退職給付
企業結合および事業分離等
固定資産の減損
(3)情報等活用審査
上記の重点テーマに該当しない場合であっても、適時開示や報道、提供された情報等を勘案し、
所管の財務局等より、個別の質問事項を送付することがあるとしています。
あらた監査法人
東京都中央区銀座8丁目21番1号 住友不動産汐留浜離宮ビル (〒104-0061)
お問い合わせ: [email protected]
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