...

Lotus Notes/Domino 8.5 機能評価ガイド 2009年 5月 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Lotusテクニカル・セールス

by user

on
Category: Documents
74

views

Report

Comments

Transcript

Lotus Notes/Domino 8.5 機能評価ガイド 2009年 5月 日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Lotusテクニカル・セールス
Lotus Notes/Domino 8.5 機能評価ガイド
2009年 5月
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Lotusテクニカル・セールス
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
はじめに
本書は、Lotus Notes/Domino 8.5 の新機能に関する情報を提供するために作成された資料です。これまでのバージョ
ンと比べて、クライアントとサーバーの双方で、何が新しくなり改善されているかについて記述しています。
第 1 版 2009.01.19
V 1.0.0
第 2 版 2009.02.24
V 1.0.1
第 3 版 2009.05.22
V 1.0.2
© Copyright International Business Machines Corporation 2009. All rights reserved.
© Copyright IBM Japan 2009
1
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
特記事項
•
本書は米国 IBM が提供する製品およびサービスについて作成したものです。本資料の著作権は日本IBMにあり
ます。
•
本資料の記載内容は、正式な日本IBMのテストやレビューを受けておりません。内容について、できる限り正確を
期すよう努めてはおりますが、いかなる明示または暗黙の保証も責任も負いかねます。本資料の情報は、使用先の
責任において使用されるべきものであることを、予めご了承ください。
•
掲載情報は不定期に変更されることもあります。他のメディア等に無断で転載する事はご遠慮ください。
•
この資料は単独ページでの配布、使用を禁止します。PDF全ページをセットで配布、ご利用ください。
•
本書に記載の製品、サービス、または機能が日本においては提供されていない場合があります。 日本で利用可能
な製品、サービス、および機能については、日本 IBM の営業担当員にお尋ねください。 本書で IBM 製品、プ
ログラム、またはサービスに言及していても、そのIBM 製品、プログラム、またはサービスのみが使用可能であること
を意味するものではありません。 これらに代えて、IBM の知的所有権を侵害することのない、機能的に同等の製
品、プログラム、またはサービスを使用することができます。 ただし、IBM 以外の製品とプログラムの操作またはサ
ービスの評価および検証は、お客様の責任で行っていただきます。
•
IBMは、本書に記載されている内容に関して特許権 ( 特許出願中のものを含む) を保有している場合があります。
本書の提供は、お客様にこれらの特許権について実施権を許諾することを意味するものではありません。 実施権
についてのお問い合わせは、書面にて下記宛先にお送りください。
〒106-8711 東京都港区六本木 3-2-12 IBM
World Trade Asia Corporation Intellectual Property Law & Licensing
•
以下の保証は、国または地域の法律に沿わない場合は、適用されません。 以下の保証は、国または地域の法律
に沿わない場合は、適用されません。IBM およびその直接または間接の子会社は、本書を特定物として現存する
ままの状態で提供し、商品性の保証、特定目的適合性の保証および法律上の瑕疵担保責任を含むすべての明示
もしくは黙示の保証責任を負わないものとします。 国または地域によっては、法律の強行規定により、保証責任の
制限が禁じられる場合、強行規定の制限を受けるものとします。
•
この情報には、技術的に不適切な記述や誤植を含む場合があります。 本書は定期的に見直され、必要な変更は
本書の次版に組み込まれます。 IBM は予告なしに、随時、この文書に記載されている製品またはプログラムに対
して、改良または変更を行うことがあります。
•
本書において IBM 以外の Web サイトに言及している場合がありますが、便宜のため記載しただけであり、決して
それらの Web サイトを推奨するものではありません。 それらの Webサイトにある資料は、この IBM製品の資料の
一部ではありません。それらの Web サイトは、お客様の責任でご使用ください。
2
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
•
IBM は、お客様が提供するいかなる情報も、お客様に対してなんら義務も負うことのない、自ら適切と信ずる方法
で、使用もしくは配布することができるものとします。
•
IBM 以外の製品に関する情報は、その製品の供給者、出版物、もしくはその他の公に利用可能なソースから入手
したものです。 IBM は、それらの製品のテストは行っておりません。したがって、他社製品に関する実行性、互換
性、またはその他の要求については確証できません。 IBM 以外の製品の性能に関する質問は、それらの製品の
供給者にお願いします。
•
本書には、日常の業務処理で用いられるデータや報告書の例が含まれています。 より具体性を与えるために、そ
れらの例には、個人、企業、ブランド、あるいは製品などの名前が含まれている場合があります。 これらの名称はす
べて架空のものであり、名称や住所が類似する企業が実在しているとしても、それは偶然にすぎません。
3
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
著作権使用許諾 / 商標
著作権
さまざまなオペレーティング・プラットフォームでのプログラミング手法を例示するサンプル・アプリケーション・プログラム
がソース言語で掲載されている場合があります。 お客様は、サンプル・プログラムが書かれているオペレーティング・プ
ラットフォームのアプリケーション・プログラミング・インターフェースに準拠したアプリケーション・プログラムの開発、使用、
販売、配布を目的として、いかなる形式においても、IBM に対価を支払うことなくこれを複製し、改変し、配布すること
ができます。 このサンプル・プログラムは、あらゆる条件下における完全なテストを経ていません。 したがって IBM は、
これらのサンプル・プログラムについて信頼性、利便性もしくは機能性があることをほのめかしたり、保証することはでき
ません。 お客様は、IBM のアプリケーション・プログラミング・インターフェースに準拠したアプリケーション・プログラム
の開発、使用、販売、配布を目的として、いかなる形式においても、IBM に対価を支払うことなくこれを複製し、改変し、
配布することができます。
商標
以下は、米国内における IBM Corporation の商標です。
Lotus Domino Designer®、Lotus Domino® IBM®、Lotus Notes®、Lotus®、Lotus Notes®、Sametime®
他の会社名、製品名およびサービス名等はそれぞれ各社の商標です。
4
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
目次
第1章 Lotus Notes/Domino 8.5の開発のねらいと価値
1.1 製品の基本コンセプト
1.1.1容易なアクセスの実現
1.1.2イノベーション実現のための機能
1.1.3シンプルな管理の実現
1.2 製品開発とねらいと価値
1.2.1統合コラボレーション・デスクトップとしてのLotus Notes
1.2.2アプリケーションプラットフォームとしてのLotus Domino
1.2.3管理コストの低減と「スマートな」Lotus Dominoサーバー
第2章 Lotus Notes 8.5クライアントの新機能
2.1 概要
2.1.1一貫性のあるコンテキスト対応型メニュー表示
2.1.2Lotus Notes文書内でのドラッグ&ドロップ
2.1.3文書内に貼り付けた(インライン)イメージの圧縮
2.2 メール
2.2.1宛先候補表示での複数のメールアドレス表示オプション
2.2.2すべての文書のビューにおけるフォルダー列の追加
2.3 カレンダー
2.3.1iCalendarフィードをLotus Notesカレンダーに追加する機能
2.3.2TeamRoomカレンダーエントリをLotus Notesカレンダーに追加する機能
2.3.3公開されたGoogle CalendarエントリをLotus Notesカレンダーに追加する機能
2.4 連絡先
2.4.1連絡先をvCard形式で追加する
2.4.2連絡先のファイルの呼び出し/書き出し
2.4.3Lotus Sametimeの連絡先
2.5 セキュリティー
2.5.1パスワードを忘れた際のヘルプ表示機能
2.5.2 Lotus Notesのパスワード入力画面を出さないオプション機能
2.6 その他の機能
2.6.1Lotus Notesアプリケーション
2.6.2Lotus Connectionsとの統合
5
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
2.6.3アクティビティー
第3章 Lotus Domino 8.5 サーバー新機能
3.1 Domino Attachment and Object Service (DAOS)
3.2 文書圧縮
3.2.1 文書圧縮の実効果
3.3 セキュリティー機能
2.3.1 Notes ID ボールト
2.3.2 Lotus Notes 共用ログイン
3.4
3.5
3.6
3.7
3.8
3.9
ディスク I/O 削減
Lotus iNotes 動的ポリシー割り当て
自動取り込みグループ機能
メールルーターの最適化
GNU zip (gzip) ファイル
Domino Configuration Tuner
第4章 Lotus iNotes
4.1
4.2
4.3
4.4
フルモードにおける新機能
ライトモードにおける新機能
ウルトラライトモードの紹介
メールポリシー設定のサポート
第5章 Lotus Domino Designer 8.5の新機能
5.1 Eclipse 上への実装
5.2 XPages 機能の提供
第6章 Lotus Notes Traveler
第7章 参考文献
6
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
第1章 Lotus Notes/Domino 8.5の開発のねらいと価値
2009年1月に発表されたLotus Notes/Domino 8.5は2007年9月にリリースされた8.0を補完および拡張した位置づけの製
品です。8.0では主に、Lotus Notesクライアントに大幅な改良を加え、今後の技術変化に耐えうるように設計し直されま
した。具体的には、OSネイティブのアプリケーションからEclipse上のアプリケーションになり、それに伴い大幅な機能拡
張が行われました。その詳細は、別掲の資料などを参考にしてください。8.5では、主にLotus Dominoサーバーの機能
拡張を中心に、クライアントと共に拡張されています。
1.1 製品の基本コンセプト
具体的な新機能の解説の前に、その機能の実装に至るもととなった、開発時における基本コンセプトを解説します。大
別すると3種類に分かれ、「容易なアクセスの実現」、「イノベーション実現のための機能」、「シンプルな機能の実現」で
す。
1.1.1
容易なアクセスの実現
Lotusは、コラボレーションをより促進するためにOSやモバイルデバイスの選択の幅を拡げることが重要な要素であると
考えています。これはコスト面でも重要であると考えています。Windows以外にもLinuxやMacといった主だったOSへの
対応や、主要なモバイルデバイスへの対応、あるいは対応ブラウザーの種類を増やすことで、機器選択に悩むことなく
どこでも容易にシームレスにコラボレーション活動を行える素地を整えることができるからです。また、TCOやセキュリテ
ィーの面から、シン・クライアントへの対応も重要と考えています。
1.1.2
イノベーション実現のための機能
個々人の生産性やチームの生産性、そしてビジネスプロセスにおける生産性の向上を支援するために、重要なことが2
つあると考えています。ひとつはより直感的に操作できる現代的なアプリケーションを素早く作れるアプリケーション開発
生産性、もうひとつはアプリケーション同士を連係させて新しい価値を生み出す力です。ITによる差別化を大きくする要
因として大きなウェイトを占めるのがアプリケーションであることは多くの方が理解しています。しかし、実際にはその実
装が容易ではないため、実現が困難であるケースが多く見受けられます。より直感的に操作でき、これまでよりも容易な
アプリケーションの開発性と連係性が開発の課題と考えています。
7
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
1.1.3
シンプルな管理の実現
TCOの削減には、複雑な管理機能や項目をどの程度まで抽象化、隠蔽化、自動化できるかが大きく影響します。
図1-1 Lotus Notes/Dominoの方向性
1.2 製品開発とねらいと価値
Lotus Notes/Domino 8.5における開発のねらいと価値は以下の通りです。
1.2.1
統合コラボレーション・デスクトップとしてのLotus Notes
今日、コラボレーションを行う方法は多様です。具体的には、メールやアプリケーション、インスタントメッセージング、
Web会議、ワークフロー、文書やプレゼンテーションの作成、表計算での作業などです。Lotus Notes 8.5では、8.0で統
合された環境をさらに改善を図り、より使いやすい環境を提供しています。
8
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
項目
生産性の向上
機能内容
• メール、カレンダー、連絡先機能の機能改善
• Lotus Sametime 機能とのより緊密な統合
• Lotus Notes のカレンダーと Google Calendar など、他のカレンダーとの統合表示機能
• 連絡先の呼び出し、書き出し機能の強化
• 検索機能の強化
教育コストの低減化
• 直感的なユーザーインターフェースによる、ユーザーの順応性向上
• コラボレーションの統合により、コラボレーションの流れがシンプルに
モバイル対応による
モバイルの運用では、Lotus Notes が従来から持つ複製機能によりネットワークの有無やネットワ
応答性の向上
ーク速度に依存しない作業が可能でした。これに加えて以下の強化が図られています。
• Lotus Notes Traveler が強化され、遠隔操作によるデータ消去などのセキュリティー向上、モバイ
ルデバイス対応では Windows Mobile に加えて、Symbian OS もサポート
• Lotus iNotes (Lotus Domino Web Access から改称されました)のサポート範囲の拡張 (Internet Explorer,
Mozilla, Safari)
• Lotus iNotes Ultralite モードで Apple iPhone, iPod Touch をサポート
• ローミングユーザー機能のより広範囲なサポート
また、RIM 社の BlackBerry との接続性が確保されていますので、多彩なモバイル・ソリューシ
ョンから最適なものを選択できます。
ROIを高める、追加
• オフィススイートである Lotus Symphony の付属
可能な機能
• Lotus Sametime の使用権の付属 (在席確認とインスタントメッセージのみ)
• Lotus Quickr や Lotus Connections との連携機能
• サポート OS として Windows と Linux に加えて Mac を追加
柔軟性
• 複数のモバイルデバイスのサポート
• Lotus Notes クライアントにコンポジットアプリケーションやプラグインを追加することで機能追加が可能
ナレッジの引き出し
• Lotus Connections (SNS)ソフトウェアとの統合
と共有
• フォーラム、フィード、ブログアプリケーションの Web 2.0 対応
• メールを単体として扱うのではなく、業務処理の流れの中で扱える連係機能の提供
• 「情報の検索」から「新たなナレッジの発見」へのシフト
1.2.2
アプリケーションプラットフォームとしてのLotus Domino
Lotus Domino Designer 8.5では、Web2.0に対応したアプリケーション開発が可能となり、見栄えよく使い勝手のよいア
プリケーションを実現することができるようになりました。また、8.0で導入されたコンポジットアプリケーションを活用するこ
とでも同様に使い勝手のよいアプリケーションをLotus Notesで実行できます。開発者はコンポーネントを利用することで、
迅速にユーザーのニーズに対応することができるとともに、限られた開発コストを有効に活用できるようになります。
9
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
項目
機能内容
開発コストの低減化に • Lotus Domino Designer が Eclipse 上で動作するようになり、開発環境の拡張が可能になりました。
よるROIの最大化
• Web2.0 対応のアプリケーションの開発を支援する XPages と呼ばれる設計要素が加わりました。XPages
は、あまり深い開発知識を必要とせずに、ある一定レベルの Web2.0 ライクなアプリケーションが開発可
能です。Ajax、JavaScript、CSS、XML の利用および再利用が容易になり、開発の自由度が高まると同
時に、迅速な開発により開発効率が向上します。
• 既存の Lotus Domino Web アプリケーションを、比較的低コストで Web2.0 ライクなアプリケーションに改良
することが可能です。
• ディスカッションテンプレートなど、すぐに使える XPages を使ったテンプレートが付属しています。
Webユーザーエクスペ
リエンスの向上
既存IT資産の再活用
• ルック&フィールが向上した Web アプリケーションの開発が可能になり、ユーザーの満足度向上
が期待できます。
• Lotus Notes でコンポジットアプリケーションを利用できます(8.0 から)。
• 複数のアプリケーションをひとつのインターフェース内にまとめて、統合された形でユーザーに提供でき
ます。アプリケーションを頻繁に切り替えながら繁雑な操作を繰り返し行うような作業を排除できます。ま
た、情報の俯瞰度やアクセス性が向上できます。
• 既存のアプリケーションへの変更を最小限に抑えながら組み合わせることで、最小限のコストで活用有
効度や生産性の高いアプリケーションを作り出すことができます。
• アプリケーションのメンテナンスコストを削減できるため、既存システムの廃棄/置換を最低限に抑えること
ができます。
• SAP と Lotus Notes を統合して利用するためのソリューション
ステムとの統合が可能になります。
10
Alloy
により、既存の基幹系シ
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
1.2.3
管理コストの低減と「スマートな」Lotus Dominoサーバー
Lotus Domino 8.5では自動化と管理支援機能を追加すると共に、性能向上によりTCO削減を実現し、さらに環境に優し
いサーバーとなっています。
項目
TCOの削減とエコ対
応
機能内容
• Lotus Domino 8.5 の Domio Attachment and Object Service や文書圧縮機能により、40%から 60%
前後のディスクスペースの節約ができます。これによりストレージの削減やネットワークやバッ
クアップの伝送量の削減も可能になります。
• 全体的にスケーラビリティが向上しており、サーバー統合によりハードウェアのコストを削減で
きます。間接的に運用に関わる人的コストも削減できます。
サービス品質(Quality
• メールルーティングの最適化により、より多くのメールを効率よく短時間に処理が可能になりました。
of Service)の向上と管 • Domino Configuration Tuner およびダイナミックグループポリシーを使って、問題が顕在化する前に設定
理のシンプル化
の不備の発見が可能になります。また、設定の変更などがあった場合には、全体に対して一貫性のある
設定を漏れなく行えるようになります。
• 64-bit 対応によりメモリー空間の活用とスケーラビリティの向上を図っています。(Microsoft Windows
2008 64-bit, Linux on IBM System z, IBM AIX 64-bit)
• Microsoft Windows とのシングルサインオン機能が拡張され、パスワード管理コストが低減し、
使い勝手がよくなりました。
• Lotus Domino ID ボールトの機能により、ID ファイルのパスワードを忘れた場合や紛失時などに、
自動的な ID の配布やセルフサービスでのパスワードのリセットが可能になったため、運用コス
トを節減できます。
11
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
第2章 Lotus Notes 8.5クライアントの新機能
この章では、Lotus Notes 8.5クライアントの新機能について概要を記しています。機能の詳細については、IBM Lotus
Domino and Notes information centerを参照してください(URLは巻末を参照してください)。
Information Centerとは、Webに公開されたオンラインのヘルプです。ブラウザーの言語設定に応じて翻訳された内容
が表示されますが、翻訳された内容が公開されていない場合には英語が表示されます。その際は、日本語版の公開ま
でお待ちください。
2.1 概要
2.1.1
一貫性のあるコンテキスト対応型メニュー表示
ビューに表示された文書エントリ上で右クリックした時に、状況に応じた最適なメニューが表示されるようになりました。
8.0では、利用可能な機能をできるだけ多く表示させていましたが、8.5では利用頻度の観点からアイテムの内容を見直
しました。よく使われるものだけを表示するようにしたため、右クリック時に目的のアイテムが見つけやすくなっています。
また、8.0ではなかった未読/既読を変更するアイテムを8.5で追加しました。表示順位も頻度の観点から見直し、よく使
われるものを上位に置き、マウスなどの移動距離が少なくてすむような配慮がされています。対応しているのは、メール、
連絡先、タスクの各ビューです(図2-1参照)。
図2-1 受信ボックスで右クリックした時の表示 (左は8.0.2、右は8.5)
12
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
2.1.2
Lotus Notes文書内でのドラッグ&ドロップ
ドラッグ&ドロップに対応した部分が拡張され、直感的な操作性が向上しました。具体的な対応箇所は以下の表の通り
です。
ドラッグする対象
ドラッグ先
Lotus Notes文書内のリッチテキストフィールドの内容
同一文書内の異なるリッチテキストフィールドへ、あるいは異
なる文書のリッチテキストフィールへドラッグ&ドロップが可能
です。(Microsoft Windowsでのみ対応)
外部アプリケーション上に表示されているユーザー
Lotus Notes文書内の名前フィールド
名
リッチテキストの選択部分 (テキストあるいはリッチテ
外部アプリケーション、Symphonyのエディター部分
キストとして)
製品付属のLotus Sametime内の名前
名前フィールド
Lotus Notesの名前フィールド
他の名前フィールド
Lotus Notesの名前フィールド
リッチテキストフィールド、あるいは外部のアプリケーション
Lotus Notesのテキストフィールド
Lotus Notesのテキストフィールド
添付ファイル(単一)
同一文書の他の場所(これまでは、他の文書にのみドラッグ&
ドロップが可能でした)。
表2-1. ドラッグ&ドロップの新規対応箇所
また、名前フィールドでダブルクリックすると、名前フィールド内の内容全体を選択できるようになりました。
2.1.3
文書内に貼り付けた(インライン) イメージの圧縮
Lotus Notes文書に貼り付けられたビットマップ形式の画像を、自動的にGIF形式に変換して文書に保存するようになり
ました。一般的にビットマップ形式よりGIF形式で保存したほうがファイルサイズを大幅に削減できるため、文書サイズを
小さくすることができます。
メールでさまざまなコンテンツを送ることは一般的になっていますが、その一方でメールサイズが肥大化することが問題
視されています。Lotus NotesクライアントはこれまでHuffman方式やLZ1方式(Zipで使われている圧縮技術)を使った圧
縮、格納機能を使って添付ファイルの圧縮を行っていました。しかし、Print Screenキーで取得した画面やペイントから
貼り付けた画面はビットマップ形式であるために、予想外に文書サイズが大きくなっていました。
8.5で追加されたイメージの圧縮機能は、ユーザーが意識することなく自動的に圧縮を行うため、導入、運用が容易で
13
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
す。設定は、Lotus Notesのプリファレンス(メニューは、[ファイル] – [プリファレンス] – [Notesクライアントの基本設定] –
[追加のオプション])でチェックを1箇所入れておくだけです。
Lotus Notesクライアントでこのオプションを設定すると、メールに限らずすべてのLotus Notes文書で有効です。
図2-2
貼り付けた画像データの圧縮機能の設定画面
BMPからGIFへの変換は画質が損なわれる場合があり、Webページの作成や画像データの保存を目的とした画像のイ
ンライン貼り付けなど、画像の再現性が必要とされる場合にはこの機能は利用できません。
2.2 メール
メールの主な新機能は以下の通りです。
2.2.1
宛先候補表示での複数のメールアドレス表示オプション
Lotus Notesには宛先を入力する際に、前方一致で候補を表示する機能が備わっています。Lotus Notes 8.5では、アド
レス帳のユーザー文書に複数のメールアドレスが格納されている場合、その複数のメールアドレスが宛先候補エントリ
のサブメニューに表示されるようになりました。一人のユーザーでプライベート用のメールアドレスと業務用のアドレスと
携帯電話などのモバイル用宛先を登録しておき、状況に応じて使い分けることができます。これまでも、複数アドレスを
登録した場合には、複数のアドレスが表示されていましたが、別個の宛先候補として表示されていましたので、同一人
物であるという認識がしにくい状況でした。まず宛先のユーザーを選択して、次にそのユーザーのどのメールアドレスに
14
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
送るのが最適であるかを考える、という実際の思考や動作を反映した製品の作りになっています。
実際には図2-3のような画面が表示されます。複数のメールアドレスを持つ場合には右側に矢印が表示され、マウスや
矢印キーを使って複数のアドレスを展開、選択できます。矢印キーを使えば上下左右へフォーカスを移動できますので、
キーボードだけでの操作も可能です。
8.0から加わった、連絡先の「最近の連絡先」ビューの機能とも連係していますので、利用頻度の高いエントリほど上位
に表示され、アドレス選択時の操作量が減らせるように配慮されています。
図2-3
複数のメールアドレスが設定されたユーザーの選択画面で右側に複数アドレスの候補が表示されている
2.2.2
すべての文書のビューにおけるフォルダー列の追加
すべての文書のビューに「フォルダ」の列が加わりました。これは、その文書がどのフォルダーに属しているかを示すも
のです。文書の整理や検索時に利用すると効果的です。
図2-4
8.5で追加されたフォルダ列
15
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
2.3 カレンダー
カレンダー機能では、さまざまなカレンダー形式のカレンダー情報をエントリとして追加したり、表示できるようになりまし
た。具体的にはLotus ConnectionsのActivities、Google Calendar、iCalendarフィード、他のユーザーのLotus Notesカレ
ンダー、Lotus Notes TeamRoomのカレンダー、Lotus Notesアプリケーションのカレンダーです。
2.3.1
iCalendarフィードをLotus Notesのカレンダーに追加する機能
iCalendar (iCal)はインターネット標準のひとつで、予定や会議招集やタスクのエントリを異なるカレンダー製品間でやり
取りしたり、配信するためのものです。Lotus Notes 8.5はこのiCal形式を利用して、外部のiCalフィードを自分のカレンダ
ーに重ねて表示することができます。このとき、外部のエントリは自分のカレンダーに取り込む、あるいは取り込まずに表
示のみを行うなどの方法を選ぶことができます。
具体的には、メニューから[ファイル] – [インポート]を選択するか、URLあるいはファイルを受信ボックスあるいはカレン
ダーにドラッグ&ドロップします。あるいはカレンダー画面左側のナビゲーション部分で、[カレンダービューの表示] - [カ
レンダーの追加]機能を選択することもできます。フィードするURLを設定すると、カレンダーに即時に反映されます。
図2-5
iCalendar フィードを取り込む設定画面
「オフラインまたはモバイル装置でこのカレンダーを表示」にチェックを入れると、エントリがLotus Notesのカレンダーエ
ントリとして取り込まれ、オフライン時にもカレンダーエントリを表示することができます。
16
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
2.3.2
TeamRoomカレンダーエントリをLotus Notesカレンダーに追加する機能
Lotus Notes TeamRoomのカレンダーエントリをLotus Notesメールのカレンダーに取り込む(重ね表示とオフラインでの
利用)ことができます。これを行うには、メールのテンプレートが8.5である必要があります。これは、重ね合わせて表示す
るために必要なフィールド(例えば、STARTDATE$, DURATION$, EVENTTYPE$など)が以前のメールテンプレートに
はないために設計を更新しているからです。詳細については、Information Centerを参照してください。操作方法は上
記のiCalカレンダーの追加とほぼ同じです。
2.3.3
公開されたGoogle CalendarエントリをLotus Notesカレンダーに追加する機能
業務目的やプライベート目的で、Web上に展開されているカレンダーサービスを使って自分のカレンダーを管理したり
他のユーザーと共有することは、今では一般的に行われています。Lotus Notes 8.5は、このようなWeb上のカレンダー、
特にGoogle Calendarと連係できるようになりました。
具体的には、公開/非公開(ユーザー名とパスワードあり)のGoogle Calendarを、Lotus Notes上の自分のカレンダーと重
ね合わせて表示できるようになります。自分の業務用途のLotus Notesカレンダー画面にGoogle Calendarを重ねて表示
することで利便性が高まります。例えば、業務予定のはいったLotus Notesカレンダーと個人用途で使っているカレンダ
ーやWeb上で公開されているイベントカレンダーと重ねることで、スケジュールの調整がしやすくなります。カレンダーの
エントリの実体はLotus Notesのカレンダーに入るわけではないのでメールボックスの文書数が増える負担はありません。
また、表示/非表示はチェックボックスで簡単に切り替えられるため、複数のGoogle Calendarを適宜使い分けて利用す
ることもできます。
17
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-6
Lotus NotesのカレンダーにGoogle Calendarを重ねて表示したところ。黄色部分がGoogle Calendarのエントリ。
カレンダーの追加は容易に行えます。画面左側の「カレンダーの追加」をクリックして、ユーザー名やパスワードを入れ
るだけです。オフラインでも表示させたい場合には、「オフラインまたはモバイル装置でこのカレンダーを表示」にチェッ
クを入れると、エントリの実体がカレンダーエントリとしてメールデータベースに保存され、オンライン時に同期されます。
18
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-7
「カレンダーの追加」設定画面
2.4 連絡先
連絡先に関する新機能は以下の通りです。
2.4.1
連絡先をvCard形式で追加する
連絡先一覧からユーザーを選択(複数可)して、vCard形式のファイルで転送することができます。
19
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-8
連絡先エントリで右クリックして、vCardの転送メニューを表示(この操作は[アクション]メニューからも可能)
図2-9
vCardファイルの転送画面
20
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
2.4.2
連絡先のファイルの呼び出し/書き出し
編集者注: この機能は8.5.1から実装予定です。
さまざまなアドレスとの相互運用性を高めるために、連絡先エントリの呼び出し/書き出し機能を強化しました。連絡先を
開いた状態で、アクションバーからから[オプション] – [呼び出し] / [書き出し]、あるいは、メニューから[ファイル] – [呼び
出し] / [書き出し]を選択すると、標準的な複数の形式でファイルへの入出力が可能です。呼び出しでは、csv、str、txt、
vcf、書き出しではcsv、cgn、ltr、str、rpt、tab、vcfです。
フィールドが適切にマッピングできない場合のために、プリビュー機能とマッピングの変更機能がついています。ファイ
ルの読み込み/書き出しの後に修正を行う必要がなくなります。
2.4.3
Lotus Sametimeの連絡先
Lotus Notes 8.5では、メールの宛先情報をドラッグ&ドロップして、Lotus Sametimeの連絡先にユーザーを登録できるよ
うになりました。8.0までは、Lotus Sametimeの連絡先にユーザーを登録するためには、ユーザー名などを手がかりに検
索した上で登録する手順を踏む必要がありましたので、登録の手間が大幅に軽減されます。
例えば、フォームの画面では、宛先欄のユーザー名を選択して、Lotus Sametimeの連絡先にドラッグ&ドロップできます。
グループをドラッグ&ドロップした場合にはグループを展開して、所属しているユーザーを登録できます。
図2-10 フォーム上の宛先欄からユーザーをドラッグ&ドロップで、Lotus Sametimeの連絡先に追加
また、ビューやフォルダーの画面から、メールをドラッグ&ドロップすると、メールの送信者や宛先(To/Cc/Bcc)に入って
いるユーザーをまとめて連絡先に追加できるようになりました。
21
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-11 メールをLotus Sametimeの連絡先にドラッグ&ドロップしてユーザーを追加
図2-12 ドラッグ&ドロップ後に表示される追加ユーザーの選択および確認画面
22
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
この機能は、メールだけでなくカレンダー(会議招集など)やタスク(他のユーザーへの割り当てたもの)の受信者や、連
絡先のエントリで利用可能です。ディスカッションやカスタムアプリケーションでは機能しません。
2.5 セキュリティー
2.5.1
パスワードを忘れた際のヘルプ表示機能
管理者はポリシーを使って、パスワードを忘れたユーザーへの指示をログイン画面に表示できるようになりました。
図2-13 ログイン画面に追加された「パスワードを忘れた場合」のメッセージ表示機能
この機能は、単純なテキストメッセージを出すだけでなく、ハイパーリンクも表示できます。Lotus Domino 8.5で追加され
た、「IDボールト」と呼ばれる機能と併用することで、パスワードのリセットを各自で行うようにすることができます。この仕
組みにより、運用時におけるヘルプデスクの負荷を減らせると共に、エンドユーザーは対処方法にアクセスしやすくなり
ます。
この詳細については、サーバー側の新機能であるIDボールトについての記述を参考にしてください。
2.5.2 Lotus Notesのパスワード入力画面を出さないオプション機能
Windowsのログイン情報を使ってLotus Notesへもログインできるようにする管理者オプションが追加されました。Lotus
Windowsのログイン情報だけでNotesにログインする機能はこれまでも用意されていました。今回の機能はそれを強化し
たもので、従来必要であったWindowsのパスワードとLotus Notes IDのパスワードの手動による同期作業が必要なくなり
ます。
これまで、WindowsあるいはNotes IDのパスワードが変更になった場合、つまり両者のパスワードが同一でない場合に
は、Lotus Notesクライアントを起動した時点でLotus Notes IDのパスワードを入力する必要があり、手動で同じパスワー
ドを設定しないとシングルサインオンが実現できませんでした。今回の機能強化により、パスワード変更時の手間が省
けると共に、セキュリティーの強化を図ることができます。
クライアント側の設定は、[ファイル] – [セキュリティー] – [ユーザーセキュリティー]をメニューから選択し「オペレーティン
グシステムのログインを使用してLotus Notesにログイン」にチェックを入れます。
23
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
管理者はこの機能をユーザーに強制的に使わせるようにすることもできますし、任意で利用させるようにすることもでき
ます。また、設定項目をグレーアウトさせて使わせないようにすることもできます。
図2-14 シングルサインオンの設定画面(現在は管理者側の設定がされていないためグレーアウトされている)
2.6 その他の機能
2.6.1
Lotus Notesアプリケーション
個人ジャーナルのテンプレートは、8以降のLotus Notesクライアントの画面デザインの面で統一感が出るようにデザイン
が変更されました。同時にその名前が新しくなり「ノートブック」となりました。テンプレート名はnotesbook8.ntfです。詳細
についてはデータベースの「アプリケーションの使い方」や「アプリケーションについて」を参照してください。
2.6.2
Lotus Connectionsとの統合
Lotus Connectionsはソーシャル・ネットワーク型のソフトウェア製品で、ブログやプロフィール、ソーシャルブックマークの
機能の提供やコミュニティー活動を支援します。Lotus Notes 8.5では、このLotus Connectionsと組み合わせて、有機的
にコラボレーションを実現できるよう連係が強化されています。例えば、Lotus Notes文書の作成者や文字列をキーワー
ドにして、アクティビティーと呼ばれるタスク管理機能やその他の機能を使って格納されたデータを検索できます。図
2-15では、メールの本文の一部から社内でそのキーワードに関して興味を持っているユーザーを検索したり、彼らが見
ている情報源を調べることができます。検索結果は新しいタブに表示されます。
24
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-15 メール本文の一部分をキーワードにして、Lotus Connectionsのソーシャル・ブックマークを検索
2.6.3
アクティビティー
Lotus NotesクライアントからLotus Connectionsのアクティビティー機能を利用できます。
最近の更新ビュー
最近更新された文書のリストを表示できます。
25
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-16 アクティビティーの更新日順表示
カレンダーでアクティビティーのタスクアイテムを表示
カレンダー画面内にアクティビティーのタスクを重ねて表示させることができます。これは前述のGoogle Calendarとの重
ね表示と同じイメージです。
図2-17 カレンダーにアクティビティーのタスクを表示
26
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-18 カレンダーへの表示設定画面
エントリへのカスタムフィールドの追加
「カスタムフィールドを追加」ボタンを使って、テキストや日付や名前フィールドをエントリに追加できます。
図2-19 エントリ追加時のカスタムフィールド追加ボタン
フィールドラベルの編集と複数フィールドの追加
上で述べた追加フィールドについて、ラベル名を任意の内容に変更できます。また複数のフィールドを設定できますの
で、自由度が高まっています。
27
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図2-20 複数のカスタムフィールドの追加とラベルの変更
28
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
第3章 Lotus Domino 8.5 サーバー新機能
この章では、Lotus Domino 8.5サーバーの新機能を解説します。8.5では、多くの機能の追加や改善が行われ、ディスク
容量、I/Oビジー率、CPU使用率などを低減させ、コスト削減、グリーンコンピューティングを推進しています。また、より
容易なサーバー管理やQuality of Service (QoS) の向上を実現しています。
ここでは様々な新機能の中で、最も重要な機能について述べます。これらの機能の詳細な情報については、
Information Center (巻末参照) をご覧ください。
3.1 Domino Attachment and Object Service (DAOS)
DAOSは、同一サーバー上において、同一だと認識された添付ファイルをデータベース(アプリケーション)間で共有す
ることにより、ファイルレベルでのディスクスペースを大幅に節約する仕組みです。また、添付ファイルをデータベース内
ではなくファイルシステムに保存することで、NSFデータベース自体を軽量化するものでもあります。
例えば、サイズの大きいファイルが添付されたメールを何千ものユーザーに送信した場合を想像してみてください。そ
れぞれのメール受信者に添付ファイルが送信され、全体として何ギガバイトものディスクスペースを必要とする結果とな
ります。このようなことは、添付付きで全員へ返信を行った場合にもよく起こりがちです。
しかし、DAOS環境ではディスク容量を著しく削減することができます。Lotus Dominoサーバーが同一サーバー上に配
信されたメールに添付されたファイルを1つにまとめて、ファイルシステム上に1つのファイルだけを保存し、その場所と
文書内の添付ファイルを関連づけるためです。ユーザーから見た場合には、従来と何ら変わることはありません。添付
ファイルのアイコンが文書上にあり、従来通りの操作が行えます。Lotus Dominoサーバーはファイルシステムに格納さ
れたファイルにアクセスしますが、その違いをユーザーからは完全に隠蔽しています。
こうして保存された添付ファイルは暗号化されているため、ファイルシステムから直接アクセスしても、ファイルを正常に
開くことはできません。また、その添付ファイルを参照する文書が存在する限り保管され、参照する文書が存在しなくな
ったあと一定期間後に削除されます。
この結果、ディスクの消費を大幅に抑えることができます。DAOSはメールだけではなく、アプリケーションデータベース
にも適用可能です。
DAOSのアーキテクチャーは、APIからアクセスする場合であってもプログラムから完全に透過的に動作するように設計
されています。Lotus Notesクライアント以外のアプリケーションであっても、DAOSのためにプログラムを変更する必要は
ありません。
DAOSを使うためには、データベースのODSが51以上である必要があります。8では48でしたが、8.5では51になりました
(図3-1参照)。以前のODSバージョンのデータベースでは、データベースプロパティの詳細タブ上でDAOSの設定項目
が表示されません。しかし、Lotus Domino Administratorクライアントを使用すれば、48のデータベースであっても予め
29
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
DAOSの設定することが可能です。サーバーを8.5へ移行し、ODS51(Lotus Domino 8.5の新しいODSバージョン)にアッ
プグレードされた時に有効になります。
図3-1
データベースプロパティでODSバージョンを表示
DAOSを有効化するオプションは、データベースプロパティの詳細タブにある詳細オプション上にあります(図3-2参照)。
図3-2
データベースプロパティの詳細タブ
既存のデータベースに対して最初にDAOSを有効化したり、DAOS用にアップグレードする場合は、詳細な手順をオン
ラインヘルプでご確認ください。また、関連記事を巻末に掲載していますので、参考にしてください。
30
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
3.2 文書圧縮
文書圧縮は、Lotus Notes文書のNon-summaryデータ(Bodyフィールド)を圧縮する機能です。以前は、このような圧縮
は設計要素に対してのみ可能でした。Non-summaryデータの圧縮は、Lotus Notes文書のすべてのリッチテキストが対
象となるため、ディスクサイズを大幅に削減します。特にテキスト主体の文書やBMP形式など、圧縮の余地が大きな画
像データがインラインで貼り付いている場合に効果が大きく現れます。
全体的に、I/Oビジー率とディスク容量の削減効果は高くなります。実際、文書圧縮とDAOSの組み合わせでは、ディス
ク容量の削減は、平均的に40%から60%の効果が見込めます。
文書圧縮を有効にするための詳細は、オンラインヘルプをご覧ください。
3.2.1 文書圧縮の実効果
開発用サーバーで文書圧縮を試したところ、ある程度の効果が見られました。特に以下の図に記したデータベースで
は大きな効果があり、平均では20%程度の削減効果が見られました。
図3-3 データベースサイズ比較(圧縮前)
図3-4 データベースサイズ比較(圧縮後)
31
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
3.3 セキュリティー機能
Lotus Domino 8.5のセキュリティー機能拡張について述べます。
2.3.1
Notes ID ボールト
ボールトとは金庫の意味です。Notes IDボールト機能はユーザーIDを格納し、ID紛失時や破損時のID復旧やパスワー
ド忘れの時のパスワードリセット機能、複数ワークステーション利用時におけるIDの同期機能を提供します。最後の同
期機能とは、例えばパスワードをあるワークステーションで変更した場合に、そのIDが別のワークステーションにも自動
的に展開され、改めてパスワードの変更を行ったりファイルのコピーをしなくても済むようになる機能です。
以前からLotus Domino IDファイルリカバリー機能がありましたが、今回のIDボールト機能はより多くの機能を有し、利便
性が高くなっています。管理者がポリシーを作成してユーザーに適用すると、ユーザーがLotus Notesクライアントを利
用した際に自動的に最新のIDファイルがサーバーに送信され、セキュアなデータベース内に格納されます。この基本
機能を拡張して、ID復旧やパスワードリセット、IDの同期機能を実現しています。またIDボールトは監査機能を併せ持
ち、ボールトデータベースへのアクセス要求をトラッキングできますので、セキュリティーの要となるIDファイルに対する
アクセスを管理、運用できるようになっています。
詳細については、オンラインヘルプをご参照ください。
2.3.2
Lotus Notes 共有ログイン
Lotus Notes共有ログイン機能は、Lotus Notesのパスワードを入力せずにLotus Notesクライアントを使用できるようにする
機能です。ユーザーはMicrosoft WindowsにログインするだけでNotes IDファイルのパスワードを入力する必要はありま
せん。しかし、Lotus Notes IDファイルは従来通り動作していますのでセキュリティーは保たれています。
Lotus Notes 共有ログイン機能は以下のメリットを提供します。
z
ユーザーが覚える必要のあるパスワードはWindowsのパスワードだけです。
z
Lotus Notes共有ログイン機能はWindowsパスワードの変更後でも有効に機能します。パスワードが異なる場
合には、それを検知してパスワードの変更を促します。
z
管理者はポリシー機能を使って、Lotus Notes共有ログイン機能が利用できるユーザーや使用の強制を選択
することが可能です。
この新機能は、以下の特長があります。
z
Lotus Notes共有ログイン機能を有効/無効に設定する画面は、エンドユーザーが使いやすいように設計され
ており、セキュリティーパネルにチェックを入れるだけで利用できます (管理者がポリシーで許可している場
合)。
z
ユーザーが共有ログイン機能を有効にし、ポリシー機能では共有ログイン機能を無効にするよう指定されて
いる場合、Lotus Notes IDのパスワードを変更する前に、Windowsのパスワードを求められます。
32
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
ユーザーは、共有ログイン機能が有効になっているコンピューター上でのみ、共有ログイン機能を利用できます。これ
は、共有ログイン機能が、コンピューター上のWindowsセキュリティー基盤に依存しているためです。
共有ログインは、次のようなLotus Notes IDでは利用できません。
z
Windows が稼働していないコンピュータで使用されているID
z
スマートカードで保護されているID
z
複数のパスワードで保護されているID
z
USB ドライブ上の Lotus Notes で使用されているID
z
Windows 必須プロファイルを持つユーザーが使用するID
z
Citrix 環境で使用されているID
この機能の詳細については、オンラインヘルプをご参照ください。
3.4 ディスク I/O 削減
Lotus Dominoサーバーのパフォーマンス上の重要なゴールは、ディスクに関するトータルコストの削減にあります。
DAOSや文書圧縮といった機能により、必要なディスクサイズを削減することと、1秒あたりのディスクI/O操作数を削減し、
ディスクの読み込み、書き込み量を減らすことを設計の目標としてきました。
ディスクI/O最適化は、Lotus Dominoサーバー用に必要なディスクドライブ数を削減します。ディスクI/O削減はLotus
Dominoサーバーにおける、ユーザーアクション(メール送受信、等)に関する処理やサーバー上でのさまざまなバックグ
ラウンド処理、メンテナンス処理といった数多くの改善の積み重ねにより実現しています。
DAOSや文書圧縮の結果としてディスクI/O操作が減るのに加え、スケジュールマネージャーやRooms & Resourceマネ
ージャーの処理に対する改善により大きくパフォーマンスが改善されています。これらのタスクは、起動や夜間のメンテ
ナンス処理において、より負荷が軽くなっています。
3.5 動的ポリシー割り当て
動的ポリシーは、ユーザーやグループに対してポリシーを割り当てる機能で、明示的ポリシーのポリシー文書上にある
ポリシー適用タブで該当ユーザー、グループを指定します。このオプションにより、該当のユーザー名やグループ名を
ポリシー文書に指定するだけで、個々のユーザーとグループにポリシー設定を割り当てることができます。
ポリシーを一度設定したら、その後は管理する必要がなくなります。組織が変更された場合に必要な作業はグループ
文書を更新することだけです。ユーザーの業務や組織が変更された場合も、どのポリシーを更新すべきかを判断する
必要はありません。グループのメンバーが更新された後では、そのメンバーに対してポリシーが適用されるようになりま
す。
動的ポリシーは明示的ポリシーでのみ使用でき、デフォルト設定をユーザーやグループに対して行います。例えば、す
33
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
べての部署の契約社員用に6ヶ月間の認証期間を設定したい場合、明示的ポリシーを作成してすべての契約社員が
含まれるグループや個々の契約社員に割り当てる、といった使い方をします。
動的グループポリシーの割り当て方法として以下のものがあります。
z
グループに対して割り当てます。グループメンバーの変更時に有効なポリシー設定が更新されます。
z
ホームサーバーに基づきユーザーに割り当てます。ホームサーバー変更時に有効なポリシー設定が更新さ
れます。
z
ポリシーに直接ユーザー名を指定します。こうすることで、大量のユーザー文書を編集する必要性がなくなり
ます。
z
ユーザー登録時に、明示的ポリシー文書のポリシー適用タブ上でユーザー文書を編集したり、Lotus Domino
Administratorのポリシー適用ツールを使用して、割り当てます。
動的ポリシーは、既存の明示的ポリシーや組織ポリシーに適用できます。
ポリシー一覧ツールは拡張され、あるユーザーに有効な動的ポリシーをリストするようになりました。ポリシー一覧ツール
は、以前のリリースと同じようにアクセスし、利用することができます。
この機能の詳細な情報については、オンラインヘルプをご覧ください。
3.6 自動取り込みグループ機能
ホームサーバー毎にユーザーのグループを作るのは管理者がよく行う作業です。自動取り込みという新機能は、予め
決められた基準で自動的にグループ内のメンバーを判断し更新します。以下のことが可能です。
z
ホームサーバーに基づいたユーザーグループのメンバーをメンテナンスする。
z
ホームサーバー別にユーザーやグループにポリシーを割り当てる。
ポリシーを上記グループに割り当てることにより、ホームサーバー上のすべてのユーザーにポリシーが適用されます。ホ
ームサーバーのグループメンバーの更新は、ポリシーが割り当てられたユーザーに自動的に反映されます。この機能
は、グループメンバーのメンテナンス作業にかかる工数を大きく削減します。
ホームサーバー毎の自動取り込みグループ機能を利用するには、まずグループ文書を作成して、「自動取り込み方
法」に「Home Server」を指定し、対象となるホームサーバー名を選択します。その後、Lotus Dominoディレクトリーのプロ
フィール文書に、「自動取り込みされるグループメンバーの更新間隔」を分単位で指定します。
34
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図3-5
データベースサイズ比較(圧縮後)
3.7 メールルーターの最適化
メールルーターは、メール配信遅延数を削減するために、さまざまな拡張と変更が行われました。メールが送られてから
到着するまでの時間が短くなります。この拡張により、ディスクI/O数の削減とスケーラビリティの改善がなされます。
この機能は、デフォルトで有効になっています。これらの機能強化によるユーザーインターフェースの変更はありません
が、パフォーマンスの向上、新しいメッセージング統計、新しいルータータスクの細かな改善により、新機能の効果を実
感することができます。
詳細な機能については、オンラインヘルプをご覧ください。サーバーコマンド「Show Stat Mail」を実行して得られる新し
いメール関連の統計情報についての説明が含まれています。
3.8 GNU zip (gzip) ファイル
Lotus Domino Web サーバーには、gzip (GNU zip) で圧縮したファイルを処理(Webブラウザーに送信)する機能があ
ります。この機能はデフォルトで有効になっています。圧縮ファイルを送信するには、適切なサーバーディレクトリーにこ
の圧縮ファイルを追加する必要があります。IBM(R) Lotus Domino(R) Web サーバーは、次の条件が満たされた場合
に、gzip (GNU zip) で圧縮したファイルを送信します。
z
NOTES.INI ファイルに次の設定がないこと。HTTPDisablePreCompressedGzipFiles=1
z
圧縮したファイルの名前が、元のファイル名に拡張子.gz を付けたものであること。例えば、
c:\notes\data\domino\html\foo.html を圧縮したファイルの名前は、
c:\notes\data\domino\html\foo.html.gz となります (ブラウザーはこれを http://<servername>/foo.html と
35
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
してアクセスします)。
z
元のファイルが圧縮ファイルと同じディレクトリーにあること。元のファイルが圧縮ファイルよりも新しい場合や、
圧縮が無効になっている場合は、元のファイルを送信します。
z
ブラウザーやその他のクライアントが、Accept-Encoding: gzip という要求ヘッダーを送信していること (多くの
ブラウザーではこれがデフォルトの動作)。
z
ファイルの MIME Content-type が text/* (text のサブタイプすべて) または application/* (application
のサブタイプすべて) であること。
z
圧縮ファイルが用意されているファイルについて、その一部 (あるバイト範囲) だけを送信する機能はありま
せん。HTTP ヘッダーにAccept-Ranges: bytes を設定して送信することはなく、圧縮ファイル全体を送信し
ます。
3.9 Domino Configuration Tuner
Domino Configuration Tuner (DCT) は、これまで収集されたベストプラクティスに基づいて、単一ドメイン内のすべて
のサーバー設定を評価し、問題があればレポートを生成します。レポートには回避策や役立つ参考情報が記載されて
おり、管理者はそれを使って問題の発生を未然に防ぐことができます。また、サーバーのパフォーマンスの向上につな
がる場合もあります。
DCTはDCT.NTFというテンプレートとして実装されており、Lotus Domino Administratorクライアントのインストールに
含まれます。 Lotus Dominoサーバーには数千の設定オプションがあります。DCTは、ベストプラクティス情報を提供す
るだけでなく、ワーストプラクティス情報も提供します。DCTを使って既存の設定の問題を発見することが容易になり、
TCO(Total Cost of Ownership)の削減を助けます。
動作: DCTの最初のバージョンは、サーバー文書の設定、Notes.iniファイル、データベースの高度なプロパティの設
定を対象として分析します。過去の情報収集に基づいて、ある設定の値が問題を引き起こすことが分かっている場合、
その設定値はチェックされます。範囲外または想定外の値が報告され、想定外の動作を防ぐことができます。パラメータ
調整値などがガイドされますが、管理者はこれを参考にしてサーバーのパフォーマンスの改善を実現することができま
す。
図3-6に、多くのサーバーをスキャンした結果のレポートを示します。レポートに記載されている各項目はページの下部
の左側から選択でき、サーバーやルール、重大度を基準にして並べ替えが可能です。右側には選択したサーバーの
詳細を表示します。各設定オプションに関する説明はオンラインリファレンスへのリンクを参照してください
36
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
指摘項目サマリー
・ルール内容
・サーバー状況
・重要度
指摘内容詳細説明
指摘項目
図3-6
DCTスキャンレポート
DCTの入手: DCTはLotus Domino 8.5と同時に出荷され、Lotus Domino Administratorに含まれます。また、DCTは
Lotus Dominoの出荷サイクルとは別に更新され、無料で入手できます。DCTの取得に関する詳細情報は、Lotus Notes
and Domino Wiki (http://www.lotus.com/ldd/dominowiki.nsf) を参照してください。
DCTはLotus Domino 7.0 以降のサーバーを評価するように設計されています。DCTを利用するためにお客様環境の
設定を変更する必要はありません。DCTはテンプレートですので、バージョン8以降のスタンダード版またはベーシック
版のLotus Notesクライアント上で動きます。
DCTを使用する: Lotus Domino 8.5 Administratorを使って、サーバー/分析タブを選び、左側にあるナビゲーションペ
インからDomino Configuration Tunerを選択します。DCT.NSFがローカルに自動で作られてデータベースが開きますの
で、「新規スキャンの実行」ボタンを押して開始します。
DCT vs. DDM: Domino Domain Monitoring (DDM) は、サーバー実行時の問題を検出するために使われるサーバ
ー上の機能です。一方で、DCTは、クライアント上で動作する解析ツールです。
DDMとは違い、DCTのアップデートはどのお客様にも無料で手に入れることができますし、定期的にダウンロード用の
更新を配信します。(これは、ウィルス定義ファイルの更新とよく似ています。)
DCTはDomino 7.0 以降で稼働します。ペストプラクティスのカタログは、Lotus Dominoのバージョン間の設定の振る舞
いの違いを吸収し、それに応じたレポートを作成します。DDMとは違い、DCTを利用するためにお客様環境の設定を
変更する必要はありません。
37
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
第4章 Lotus iNotes
8.5から、Lotus Domino Web Accessは、Lotus iNotesへ改称されました。Lotus iNotesには、以下の新機能があります。
z
フルモードでの新しいユーザーインターフェースおよびそのフレームワーク
z
ライトモードにおけるカレンダー機能の追加
z
Apple社のiPhoneやiPod touchに対応した新たなモードであるウルトラライトモードの提供
z
メールポリシーのサポート
z
外部サービスとの統合(ウィジェット)
z
ライトモードにおける、メール制限値のサポート
z
新たなウィンドウで文書を開く(フルモードのみ)
z
ライトモードにおいて、ユーザーは会議招集メールまたは受信ボックスから直接、「コメントをつけて了承」また
は「コメントをつけて拒否」を使って返答が可能
最新のLotus iNotesの機能を確認するには、(1) Lotus Domino 8.5サーバーをインストールし、(2) Lotus iNotesメールシ
ステムを利用してユーザー登録し、(3) Mail85のメールテンプレートを使う必要があります。
4.1 フルモードにおける新機能
Lotus iNotesのフルモードでは、文書やビューをより使いやすく表示するための新たなタブフレームワークを提供します。
この新たなフレームワークはDomino 8.0.1で導入されたライトモードのルックアンドフィールと同様で、よりLotus Notesク
ライアントに近づいており、より効率的に作業ができるようになります。
8.0.1で導入されたライトモードでは、Lotus Domino Japanese eXtension (DJX: Lotus Domino日本語拡張機能)がサポ
ートされていなかったため、このライトモードのユーザーインターフェースの利用は極めて限定的でした。しかし、8.5から
は、フルモードおよびライトモードの双方でDJXをサポートしますので、いずれにおいても新しいユーザーインターフェ
ースが利用可能です。
この新たなフレームワークでは、以下に挙げる新機能をサポートします。
z
カレンダー統合
Lotus Notes 8.5 と同様に、Google カレンダーと Lotus iNotes のカレンダー情報を重ねて表示可能です。
z
Lotus Quickr連携
38
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
Lotus Notes 8.0 と同様に、Lotus Quickr と連携することが可能です。例えば、添付ファイル付のメールを送信
しようとすると、添付ファイルを Lotus Quickr サーバーに保存して、代わりにリンク情報をメールに貼り付けて
送信することを自動的に行います。
z
別ウィンドウでドキュメントを開く
メッセージを読む時、文書アクションバーにあるアイコンをクリックすることにより、そのメッセージを別ウィンドウ
で開くことができます。
z
スイッチャーアイコン
左上にあるナビゲーションパネルにあります。メール、カレンダーなどを開くためのアイコンが並んで提供され
ます。
z
サイドバー
この Lotus Notes スタイルのサイドバーで、「一日の予定」カレンダーやヘルプを表示します。開いたり閉じたり
するにはサイドバーアイコンをクリックします。
z
一日の予定
「一日の予定」カレンダーはサイドバーにカレンダーを表示します。
z
ロード状況
文書を開く時に、タブにドキュメントのロード状況が表示されます。
z
カレンダービュー
タイムスロットを含むビューがアップデートされています。一日、二日、五日、一週間、一ヶ月のそれぞれのビ
ューが新しくなっています。
z
コンソールロギング
問題発生時に、エラーメッセージがステータスバーに表示されます。コンソールを確認するための簡単な方
法が提供され、必要に応じてエラーが出力されているコンソール画面を表示できます。また、他の種類のエラ
ーが生じた場合、ユーザーは CTRL キーを押しながら Lotus iNotes のロゴを押すことでコンソール画面を開く
ことができます。コンソール画面に表示される情報は、問題を調査する際の有益な情報となります。
39
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
サイドバー表示
・一日の予定
・Sametime連絡先
・ヘルプ
タブ形式でのウィンドウ管理
アイコンでメール、カレンダー
などを起動
図4-1
Lotus iNotes フルモード
ユーザー自身により、Googleアカウ
ントの情報を設定する。
図4-2
Googleカレンダーから取得したカレン
V V
ダー情報を表示。
Googleカレンダーとの統合
4.2 ライトモードにおける新機能
ライトモードは、ネットワーク帯域の狭いロケーションで使用することを想定し、データ送受信が最小になるように設計さ
れているモードです。そのため、8.0まではフルモードと比較すると機能がかなり限定されていました。8.5からは、必要な
ネットワーク帯域を抑えつつ、フルモードに近い機能が提供されるようになりました。
40
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
z
メール割り当て情報を確認できます。
z
受信ボックスや公開会議招集から直接コメント付き了承またはコメント付き拒否を行えます。
z
カレンダー機能が大幅に拡張され、フルモードに近い機能を利用できます。ユーザーはライトモードで会議
招集を了承したり拒否したりでき、会議招集も作成できます。
z
ユーザー名の別名やDJXに対応します。
z
プリファレンス設定や不在通知の設定が可能です。
図4-3
Lotus iNotes ライトモード
41
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
4.3 ウルトラライトモードの追加
Lotus iNotesメールクライアントの最も新しいモードはウルトラライトモードです。このモードはモバイル機器上での利用を
想定して設計されており、現時点ではApple社のiPhoneとiPhone touchをサポートしています。メールや連絡先、一日の
予定カレンダーを提供します。
Lotus iNotesユーザーはワンタッチで受信ボックスや連絡先、「一日の予定」カレンダーを確認することができます。Lotu
ウルトラライトモードは、HTMLにおける危険なスクリプトに遭遇するリスクを減らすために他のLotus iNotesと同様にアク
ティブ・コンテンツ・フィルターを実装しています。
このモードは、以下に挙げる機器で使われているブラウザー上でサポートされています。
z Apple iPhoneやApple iPod touchのApple Safari 3.0 ブラウザー
z Macintosh (推奨) やWindows OS上でのApple Safari 3.0 ブラウザー
z MacintoshやWindows上でのMozilla Firefox ブラウザー
42
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図4-4
Lotus iNotes ウルトラライトモード
表4-1は、Lotus Domino 8.5でのウルトラライトモードでサポートする機能のリストです。
メール
「受信ボックス」を選択してLotus iNotesのメールを確認します。メッセージを開いたり、返信
したりできます。また、プレーンテキストを使ったメールの作成/送信ができます。一人以上
のユーザーにメールを送る際は、複数の名前を分けるためにセミコロン(;)を使います。例
えば、John [email protected]; Samantha [email protected]のようにします。受信ボックスを
更新するには、更新アイコンをタッチ(Macintoshではクリック)します。
連絡先
「連絡先」を選択して名前や、主に使う電話番号、emailアドレスを基準にしてアルファベッ
ト順に並べられたLotus iNotesの連絡先のリストを表示します。iPhoneやiPod touch上で
は、電話をかけるために電話番号をタッチします。新規メッセージを作成するためにemail
アドレスを選択します。
カレンダー
「カレンダー」を選択して一日の予定を表示します。Lotus Notesユーザーであれば、もし
Lotus Notesカレンダーの設定でイベント別に表示色を設定している場合、このカレンダー
でもその色が反映されます。カレンダーを更新するには、更新アイコンをタッチ(Macintosh
ではクリック)します。
ナビゲーター
iPhoneやiPod touch上で、二重の大括弧や小括弧(<<や、>>)があれば、それらをタッチ
(Macintoshではクリック)してリストやドキュメント、カレンダーの次の日付へ移動できます。
これらの括弧を使うような状況は以下に挙げる時です。
z 受信ボックスでページを移動する時
43
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
z メールを開いた状態で、受信ボックスに戻ることなく前後のメールに移動する。
z 「一日の予定」カレンダーの日付を移動する時
更新
表4-1
受信ボックスやカレンダービューを更新することができます。
サポートされるLotus iNotesの機能
4.4 メールポリシー設定のサポート
Lotus Domino管理者はLotus iNotesユーザーのメール設定やその設定を強制するのに、ポリシー機能を使うことができ
ます。メール設定をユーザーに適用すると、Lotus iNotesに関連するユーザープリファレンスはロックダウンされます。
(以前にLotus iNotesユーザーに適用した既存のポリシーは適用されません。)
メールポリシーを設定するための情報やポリシーを使用する全ての説明、ポリシー文書とポリシー設定文書の関係に関
する情報は、Lotus Domino Administratorのヘルプの 「ユーザーとサーバーの設定」の下の「ポリシー」の項目を参照
してください。
44
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
第5章 Lotus Domino Designer 8.5の新機能
Lotus Domino Designer 8.5は、業界標準や最先端のWeb開発に対応するために、開発プラットフォームの業界標準
であるEclipse上に実装されました。これにより、Web 2.0 ユーザーインターフェースの開発などの開発生産性が上がり、
ユーザーにとって使いやすいアプリケーションをより容易に構築できるようになります。
5.1 Eclipse上への実装
Lotus Domino Designer 8.5は、Lotus製品の共通プラットフォームへの対応として、Eclipse上に実装されました。開発プ
ラットフォームの業界標準であるEclipse上に移行されたことでLook & Feelが統一され、Lotus Notes/Domino以外の開
発者もLotus Notes/Dominoの開発を違和感なく行えるようになります。また、Eclipseが持つ優れたスクリプトエディターを
利用でき、豊富に提供されている開発プラグインを使って開発環境を拡張することもでき、より生産性の高い開発を行う
ことが可能です。
図5-1
Eclipse上に実装されたLotus Domino Designer 8.5
Eclipseでは、エディター画面やビューと呼ばれる各種画面をドラッグ&ドロップで自由にレイアウトできます。開発者が
独自にレイアウトした状態はパースペクティブと呼ばれ、保存しておくことが可能です。必要に応じて別のパースペクテ
ィブに切り替えるなど開発の各フェーズに合わせたユーザーインターフェースを選択することができます。以前のバー
45
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
ジョンのようなユーザーインターフェースを持つパースペクティブを定義して、従来のLotus Notes/Domino開発者にとっ
て使いやすいようにすることも可能です。
図5-2
従来のユーザーインターフェースと同じパースペクティブ
5.2 XPages機能の提供
XPagesは、8.5で新たに提供される設計要素であり、Web 2.0のようなリッチなユーザーインターフェースの開発を容易
にするものです。XPagesにより、コントロールパネルビューからGUIの部品をドラッグ&ドロップすることで、ユーザーイン
ターフェースを簡単に構築することができます。(図5-1 参照)
XPagesは、JavaScriptライブラリーの標準であるDojoツールキットを内部的に利用しています。通常、Dojoを利用した
JavaScriptコードを書くには高いスキルと作業工数が必要ですが、XPagesは、DojoやJavaScriptなど、Webアプリケーシ
ョンを構築するのに必要な要素を隠蔽します。そのため、高い知識を必要とせず効率よくWebアプリケーションを開発
することが可能です。
また、Dojoが提供するAjax機能をXPagesで利用可能です。Ajaxを利用してよく実装されるタイプアヘッド機能(入力エリ
46
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
アで数文字打っただけで自動的に候補を検索してリストする機能)や、部分更新(画面全体をリフレッシュするのではな
く、一部だけをリフレッシュする動作)を簡単に実装可能です。XPagesで作成するビューはAjaxを利用して部分更新を
実現しており、ビューのスクロール時にはビューの行部分だけを更新します。このため、パフォーマンス、ユーザービリ
ティの高いインターフェースになっています。
図5-3
XPages設計要素の編集
47
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図5-4
図5-1のXPages設計要素をブラウザーからアクセスした画面
標準テンプレートであるディスカッションDBは、Lotus Notes/Domino 8.5でXPagesを使って実装しています。以前のバ
ージョンのディスカッションDBは、テンプレートを置換することでより使いやすくなります。
ビュー部分だけを
ビュー部分だけを
リフレッシュ
リフレッシュ
CSSによる
CSSによる
色合いの統一
色合いの統一
タグ・クラウド
タグ・クラウド
図5-5
本文概要の
本文概要の
Expand/Collapse
Expand/Collapse
8.5の標準ディスカッションテンプレート
48
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
第6章 Lotus Notes Traveler
Lotus Notes Travelerは、8.0.1で追加された新機能で、Microsoft Windows Mobile端末からLotus Notesのメール、カレ
ンダー、タスク、連絡先にアクセスできるようになります。ブラウザーでのアクセスとは異なり、データ同期型のアクセスで、
ユーザーインターフェースは、Windows Mobile端末に付属しているメーラーなどを使います。つまり、Lotus Notes
Travelerは、Lotus Dominoサーバー上のメールをWindows Mobile端末で読み書きできる形でデータ同期するためのサ
ーバータスクと、端末にインストールされるモジュールから構成されています。
Lotus Notes Travelerの詳細について、「IBM Lotus Notes/Domino 8.0.xでの新機能と強化点: 第2回 Lotus Notes
Traveler」(http://www.ibm.com/developerworks/jp/lotus/library/20080314_801b/)を参照してください。
Lotus Notes Traveler 8.5での新機能は以下の通りです。
z
モバイルデバイスに対するセキュリティーポリシー
Lotus Notes Traveler を利用するデバイスに対して、セキュリティーポリシーを設定できるようになりました。管
理者はデバイスの設定をモニターでき、遵守していないデバイスに対して実行する処理を定義できます。
z
遠隔消去機能
端末を紛失した場合などの時に、管理者は遠隔操作でデバイスのデータを消去できます。消去する対象の
範囲は 2 種類あり、Lotus Notes Traveler のアプリケーションとデータを消去する方法と、デバイスを工場出荷
時に戻す方法があります。
z
より容易なWebサーバーの設定
Lotus Domino HTTP サーバー用のインターネットサイトの設定が不要となりました。8.0.1 ではインターネットサ
イト文書の設定を行う際に既存のアプリケーションと共存する場合に考慮する必要がありましたがその必要が
なくなりました。
z
リッチテキストメールのサポート
Window Mobile 6 のデバイスで、フォントや表、文字色などのリッチテキストの表示が行えるようになりました。
z
サーバーセキュリティーアクセス
Lotus Notes Traveler のサービスにアクセスできるユーザーや、できないユーザーを明示的に指定できるよう
になりました。グループで指定することもできますので運用管理の負担が軽減されています。
z
デバイス管理
LotusTraveler.nsf と呼ばれるデータベースが追加され、ユーザーとデバイスに関する情報が表示できるように
なりました。管理者はこのデータベースを使ってデバイスのチェックを行い、規定を遵守しているかの確認、
規定の強制、デバイスのリセットなどの処理を行うことができます。
49
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
z
メールの暗号化と署名機能
Lotus Notes/Domino の PKI を利用した暗号化メールの送受信と署名の送受信が可能になりました。ユーザ
ーID はサーバー側に置かれ、それにアクセスしながら動作する仕組みを採用しています。
以下に、関連する画面を示します。
図6-1
Lotus Notes Travelerタブ (2セクション目のアクセス権の設定)が拡張されたサーバー文書
50
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
図6-2
接続したクライアントのステータス確認と遠隔消去操作画面
51
Lotus Notes/Domino 8.5評価ガイド
第7章 参考文献など
より深く理解するための資料などを以下に示します。
z
IBM Lotus Notes/Domino Information Center
Lotus Notes/Domino では従来、NSF 形式のデータベースで各種ヘルプが Help フォルダーに格納されてい
ました。8.5 からは、従来通り製品にも付属しますが、オンラインでも提供します。オンライン版は更新される可
能性があります。尚、Lotus Notes Traveler のヘルプは、オンラインのみでの提供です。
表示される内容は、ブラウザーの言語情報に応じて表示されます。日本語コンテンツがない場合には、デフ
ォルトとして英語のものが表示されます。日本語コンテンツが掲載されていない場合は、今暫くお待ちくださ
い。
z
グリーン対応が進むIBM Lotus Domino:新しい Lotus Domino Attachment and Object Service
http://www.ibm.com/developerworks/jp/lotus/library/domino-green/
Lotus Domino Attachment and Object Service に関する詳細記事です。
z
IBM Lotus Notes 8.5のカレンダー新機能を使って複数のカレンダーを管理する
http://www.ibm.com/developerworks/jp/ysl/library/lotus/y-lot-publicbetacalendar/
カレンダーの重ね合わせ機能に関する詳細記事です。
z
IBM Lotus Notes/Domino 8 機能評価ガイド
http://www.ibm.com/developerworks/jp/lotus/ldd_tech/20070803_1.html
Lotus Notes/Domino 8.5 は、8.0 の延長線上にあります。8.0 での新機能を理解するのに便利な一冊です。
z
developerWorks
http://www.ibm.com/developerworks/jp/lotus/
Lotus 製品に関わる深い情報を提供しています。
52
Fly UP