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原 著

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原 著
原
か つ て志 井 田 功氏 と中奥 層 に 関 して 議 論 した
著
こ とで あ った 。1960年 代 の は じめ 紀伊 半 島 を
踏 査 した 際 、 大 台 ケ 原 以 南 の 熊 野 層 群 との 間
第 一 瀬戸 内 の古 地 理 試 論
の 四 万 十帯 に い くつ もの 砕 屑 岩 脈 を み た 。 そ
石
田 志
朗
(京大 ・理 ・地鉱)
して 田 辺層 群 と熊 野 層 群 との 間 の 牟婁 層 群 の
地 域 は 勿 論 、 熊 野 層 群 か ら北 へ 中奥 層 ま で 中
新 世 に は 海 域 が ひ ろが って い た だ ろ う と推 測
A Contribution
the
First
to the Paleogeography
Setouchi
Sea
in Southwest
of
Japan
した 。 この 見 解 に対 して 志 井 田氏 は 、 中奥 層
が 中新 世 で あ る とい う可 能 性 は 否 定 しな いが 、
そ うす れ ば室 生 の 山 粕 層 群 の 第 一 瀬 戸 内 が 南
Shiro
へ ひろ が った 海 域 と考 え た い とい う意 見 で あ
ISHIDA
った 。今 両者 を あ わせ て 南 海 の 海 が 第一 瀬 戸
1.は
内 東 部 の 海 と紀 伊 半 島 東 部 で広 く連な
って い た
じめ に
とすれ ば 、藤 原 層 群 に浮 遊 性 有 孔 虫 が 多産 す
昨年
*1
「滋 賀 県 の 自 然 」 に.岡
村 喜 明 ・松 岡
る こと も説 明 で き る と考 え た 。
長 一 郎 氏 と 「鮎 河 層 群 の 地 層 と 化 石 」 を 執 筆
第 一瀬 戸 内 の特 性 、 と くに基 盤 の造 構 的性
す る に 当た
り、 第 一 瀬戸 内累 層 群 の 概 観 を 筆 者
格 な どの 問題 に ま でふ れ な い が 、第 一 瀬戸 内
が担 当 す る こ とに な った 。第 一 瀬 戸 内累 層 群
海 の 古地 理 を 、 これ ま で公 表 され た 文 献 の 知
の 最 近 の 知 識 は 糸 魚 川(1974)に
よ り ま とめ
識 に も とづ き 、 可能 な限 り細 か い年 代 区 分 で
られ て い る の で 、 そ れ に も と づ き 平 易 に 書 け
え が く こ とを試 み た 。 そ の た め 、太 平 洋 側 か
ば よ い と 気 軽 に 考 え て い た 。 しか し“ 第 一 瀬
ら 日本 海 側 まで の 中 ・下 部 中 新 統 の 対 比 を 行
戸 内” の 文 献 学 の 過 程 で 、 多 井(1957a)の
古
った 。 詳 しい年 代 の 資 料 が 少な
く、 今 後 の 研 究
地 理 図 が 同 じ雑 誌 の 次 に 続 く論 文 で あ る 笠 間
が 望 まれ る。 また 「滋 賀 県 の 自然 」 と い う一
も の と 大 き く異 って い る ・
こ
般 向 け性 格 を も った 冊 子 に、 文 献 学 に よ る試
とに 注 意 を ひ い た 。 そ れ は 第 一 瀬 戸 内 西 部 か
論 を 発 表 す る こ との 危 ぐを 感 じた 。 ここ に専
ら浮 遊 性 有 孔 虫 が 多 産 し 、 外 洋 性 の 海 域 が 推
門 の 諸氏 の御 批 判 を お 願 い した い 。 その 際 、
定 され て い るこ とで あ った。そ して多 井(1957b)
原 稿 を 読 ん で ご意 見 を い ただ い た 、糸 魚 川 淳
は奈 良 の藤 原 層群 上 部 の豊 田 累層 か ら も、浮
二 博 士 に厚 くお礼 申 し上 げ ま す 。 ま た1978年
遊 性 有 孔虫 が 底生 有 孔 虫 に対 して 多 量 に産 出
12月16日 、奈 良教 育 大 学 に お け る大 阪 微 化 石
して い る こ と を 報 告 し て い る 。 こ の こ と は 現
研 究 会 で 発 表 した 際 、 ご教 示 い ただ い た 池 辺
在 よ く周 知 さ れ て い る こ と で あ る が 、 で は 藤
展 生 博 士 他 会 員 の 皆 様 に深 く感 謝 致 し ます。
原 の 第 一 瀬戸 内の 海 域 も外 洋 性 で あ った とい
この あ と 「日本 の 新 生 代 地 質 」 や 瑞 浪 市 化
藤 田(1957)の
うべ き な の に 、 こ れ ま で そ の よ う な 古 地 理 図
石 博 物 館 研 究 報 告 第5号
は み なか った こと に疑 問 を も った 。
が発 表 され た の で 、前 稿 を やや 改 訂 して ま と
これ に 関 して す ぐお もい うか ん だ こ とは 、
脚 注;*1滋
賀 自然 環 境 研 究 会 よ り1979年 刊行 予定 。
め た。
な ど に新 しい報 文
Ⅲ.第
第 一 瀬 戸 内累 層 群 の 地 層 は 次 の 通 りで あ る。
一瀬戸内累層群
1富
瀬 戸 内 区 、 古 瀬 戸 内 海(池
辺 、1951,1957),
群4岡
草 層 群2北
崎 層5師
設 層 群3瑞
崎 層 群6千
浪層
種層
7鈴
鹿 層 群8一
志 層 群9下
ノ川 層
い て の 研 究 の 最 近 の ま とめ は 、糸 魚 川(1974)
10阿
波 層 群11鮎
河 層 群12山
粕層 群
に よ っ て な さ れ て お り 、 そ の 後 の 新 しい 資 料
13山
辺 層 群14綴
喜 層群15藤
原層群
は主 に瑞 浪 市 化 石 博 物 館 研 究 報 告 に発 表 され
16神
戸 層 群 第1図第一瀬戸内累層群
第 一 瀬 戸 内 累 層(群)(笠
て い る。
問 ・藤 田 、1957)に つ
散 虫 ・ナ ン ノ プ ラ ン ク ト ンな ど の 帯 区 分 と の
備 北 層群 ・塩 町 累 層 相 当層
香 川県17小
豆 島・ 豊 島(土 庄 層 群)
関 係 も 示 し た 。 ま た 大 型 有 孔 虫 ・貝 類 ・哺 乳
岡 山県18牛
窓 町 前 島19児
島郡藤田
動 物 ・植 物 の 生 層 序 も 示 した 。 そ し て 放 射 年
村 地 下20津
高 町 日応 寺21倉
敷市帯
代 の デ ー タ を 吟 味 し て 、 日本 の 新 第 三 系 積 成
江22井
原 市 浪 形23柵
原 町24津
盆 地 間 の 対 比 と年 代 層 序 を た て 、 階 区 分 毎 の
合 町26北
房 町 上 曹 部27
古地 理 図 を示 した 、 これ に よ れ ば 、 瑞 浪 層 群
山 市25落
賀 陽 町 新 町28新
町30阿
見 市29阿
哲郡哲多
哲 郡哲 西 町31川
広 島県32東
上 町 高 山市
城 町33西
木 町 忠 原35三
か ら13Ma強
まで の 時 代 、 浮 遊 性 有
孔 虫 基 準 面 で はGlobigerinoides
sicanus
の 出 現 時 か らGloborotalia pseudopachy-
城 町34油
和 町杖 立36庄
原市
derma出
37三
次 市38三
原 市39高
宮 町船 佐
40作
木 村41布
野村42口
和 町43
高 野 町 新 市44東
は17Ma弱
現 時 ま で 、Blow(1969)の
有 孔 虫 帯 で はN8∼N11の
浮遊性
間 と され て い る。
城 町 道 後 山45比
第 一 瀬 戸 内 累 層 群 に は 、 池 辺(1978)が
和
設
け た 浮 遊 性 有 孔 虫 基 準 面 を 示 す 資 料 は な い。
化 石 や 底 生 有 孔 虫 、 あ る い は 地 層 を つ く貝
る
町吾妻山
鳥 取 県46日
南町多里
岩 石 な ど の 相 の 位 置 的 ・時 間 的 変 遷 は 、 堆 積
島根 県47益
田市
盆 の 変 遷 や 気 候 変 化 と 関連 す る 。 この 観 点 か
南 海 区 との 間48中
奥 層(奈 良 県 吉 野 郡 川
ら 、 岩 相 と 化 石 と の 総 合 的 視 野 に よ る 第 一瀬
上 村)
戸 内 累 層 群 の 対 比 を 検 討 し 、太 平 洋 ・日 本 海 側
海 成 第 一 瀬 戸 内累 層 群 よ り上 位 の 主 に 火 山 岩
の 地 層 との対 比 に よ って そ の 年 代 を も とめ る。
類 よ りな る層49南
1)底
群5二
上 層 群52讃
層 群54石
57豊
設 層 群50室
岐 層 群53内
鎚 層 群55松
後 祖 母 山(肥
生層
山56大
海
島
前 杵 島 は省 略)
生 有 孔 虫 化 石 帯 を 主 と した 対 比
Tai(1959)は
山 陰 ・瀬 戸 内 区 を 中 心 と し
た 第三 系 を底 生 有 孔 虫 化 石 帯 に よ って 対 比 し
た。その後、中国地方の備北層群について、
底 生 有 孔 虫 に よ る 微 化 石 層 位 を 主 に した 総 合
第 一 瀬 戸 内 累 層群 の対 比
Ⅲ.
層 序 区 分 を 行 い 、 下 位 か ら上 位 へⅠ ∼Ⅵ の 区
分 が 可 能 で あ る こ と を 示 し た(多
第 一 瀬 戸 内 累 層 群 の 地 層 の 対 比 は 、 これ ま
で 多 くの 研 究 者 によ りな され て きた 。 笠 間 ・
藤 田(1957)は
主 に 化 石 群 に よ り、 多 井 は 底
生 有孔 虫 化 石 帯(1957a,b,1959,1963)と
総 合 層序 区分(1971)に
よ り、 糸 魚 川 ・柴 田
973)は 沈 降 サ イ クル の 形 式 を 主 と した 総
1
合 対 比 を行 った 。
最近 、 池辺(1978)は
日本 の 新 第 三 系 の 生
層 序 ・年 代 層序 と古 地 理 を 総 括 した 。 生 層 序
は浮 遊生 性 有 孔 虫の 基 準 面 を 設 け 、珪 藻 ・放
そ れ ら を ま と め て 第2図
井 、1971)。
に 示 した 。
第2図 山 陰 ・瀬 戸 内 区 の 中新 統 の 底 生 有 孔 虫 化 石 帯 と
総 合 層 序 区 分(多 井 義 郎 、1971に よ り作 成)
備 北 層 群 下 部 砂 岩 層 は 海 進 期 堆 積 物 、 中部
泥岩層は海進の最盛期、上部砂岩層は海退期
堆積物で、全体で一つの堆積輪廻を示す。そ
して 海 進 の 最 盛 期 に 砂 質殻 有 孔 虫 の み を 産 す
1957)こ
と は 、 こ の 古 地 理 図 の 物 的 証 拠 の1
つ とな る もの で あ ろ う。
多 井(1959)は
中 部 瀬 戸 内 の 淡 路 島 ・奈 良
・奥 山 田 と 、 東 部 の 瑞 浪 の 海 成 層 と は 、 い ず
る 層 準 が あ り 、 そ の 下 底 をForaminiferal
れ もNonion Sharp Lineと
総 合 層 序 区 分 のⅠ ま た はⅡ ま で に 相 当 す る と
よ び、 日本 海 沿 岸 の 地 層 の対
比 の 一 基 準 面 と な る こ と を 述 べ て い る(多
井、
mizunamiense化
石 帯 か ら上 へ 、
して い る。 ま た 南海 区の 田辺 、 北 陸 区の 能 登
・富 山 と の 対 比 も な さ れ て い る 。 山 陰 ・北 陸
1963,1976)。
こ の 総 合 層 序 区 分 の す べ て が み られ る の は
区 の 海 成 層 は い ず れ も 区 分Ⅰ 以 上 の も の で あ
児 島 湾 の ボ ー リ ン グ コ ア で あ り 、Ⅰ ∼Ⅳ は 三
り 、Foram 次 と 津 山 と で そ ろ っ て い る 。 この 区 分Ⅱ 以 上
に東 別 所 層 の下 部 を 通 る。
Sharp Lineは
久 利 層 な らび
に浮 遊 性 有 孔 虫 が か な り多 量 に含 ま れ る こ と
奈 良 の 藤原 層群 豊 田累 層 上 部 は浮遊 性 有 孔
か ら、 中新 世 海 進 最盛 期 に は 中 国 地 方 は 山 陰
虫 を 含 み 、 そ の最 上 部 は と くに底 生 有 孔 虫 数
と一 連 の 広 い 海 域 で あ った 古 地 理 図 が え が か
を 大 き く上 ま わ っ て 産 し て い る 。 ま た 瑞 浪 層
れ た の で あ る(多
群 で は 、戸 狩 層 か ら山野 内層 にか けて 浮 遊 性
井,1957)。
区 分Ⅰ の 地 層
が そ の 後 中 国 山 地 脊 稜 部 に 発 見 さ れ た(多
井、
有 孔 虫 が わ ず か 産 し 、 そ の 上 位 の 宿 洞 層 ・生
俵 層 か らは 多 産 して い る 。第2図 の 対 比 に よ
ル 内 の堆 積物 で あ り、東 部 の 地 層 とそ の サ イ
れば 、瀬 戸 内東 部 と中央 部 の海 進 が早 く、 区
クル の形 式 ・貝 化 石 群 集 の 垂 直 変 遷 の 様 式 、
分Ⅱ ∼Ⅳ の海 進 盛 期 は 南海 ・瀬 戸 内・ 山陰-
ま た 貝 化石 群 集 を 比 較 し、 片 田 期 す なわ ち第
北 陸 と もほぼ 同 時 期 とい え よ う。
3の サ イ クル の 地 層 に 対 比 され る と した 。 そ
第1表 浮 遊 性 有 孔 虫 の 全 有 孔 虫 に対 す る 個
して この対 比 は 当時 の 古 地 理 か らみ て も妥 当
体 数%(最
大 値 、 主 に 多 井 、1957に
と判 断 して い る。
3)考
よ る)
察
東 西瀬 戸 内の 対 比 につ い て 、前 記 両 者 に 大
き な違 い は 認 め られ ない 。 だだ 、瑞 浪 の宿 洞
層 の 問題 の他 は 、奈 良 の豊 田累 層 が 多 井 の 化
石 帯 対 比 で は糸 魚 川 ・柴 田 の 第3サ
イ クル に
入 って しか る べ き な の だ が 、 糸 魚 川 ・柴 田 に
よ り第2サ イ クル に され て い る。Miogypsina-Operculinaは
2)沈
降 サ イ クル を 主 と した 対 比
第2サ
イ クル か ら第3
に わ た る層 準 で 問 題 は な い と思 わ れ る。
主 に貝 化 石 の 示 相
底 生 生 物 ・堆 積 物 な どは 環 境 に よ り変 化 す
化石 的 側 面を と らえ 、堆 積 環 境 変 遷 の 様 式 の
るた め 、 そ の 共 通 性 で 詳 細 な 同 時 性 を い うこ
特徴 に よ り、第 一 瀬 戸 内累 層 群 の 対 比 を 試 み
とは で きな い が 、 生 物 分 布 の 機 構 は無 視 で き
た 。第 一 瀬戸 内累 層 群 は 短 期 間*のう ちに 生 成
な い 。 ただ 、 環 境 変 化 の 時 間 を 別 に すれ ば 、
され た もの で 、貝 化 石 の 種 帯 あ るい は 群 帯 か
生 物 の 分 布 に要 す る時 間 は現 在 の第 一 瀬 戸 内
らその 狭 い時 間 帯 を 細 分 す る こ とが 困 難 な た
累 層 群 の 知 識 の 精 度 か らは無 視 で き る程 短 い
め で あ る、彼 らは 露 頭 で み られ る貝 化 石 群 集
と い え よ う。
糸 魚 川 ・柴 田(1973)は
(露頭 群 集)の 生 息 環 境 を 復 元 し、 推 積 時 の
この よ うに考 え る と、 第一 瀬 戸 内 累 層 群 内
海 の深 さの変 化 を 標 式 的 に示 した 。 東 部 瀬 戸
の対 比 は.隣 接 地 域 毎 に 岩質 ・化 石 な どに よ
内 の各 層 群 に お け る その 変 化 は 、大 き くみ て
る古 環境 変 遷 、 と くに凝 灰 岩 の 性 質 。層 準 に
浅-深-(浅)の
あ る。
よ って対 比 し、 そ れ らを ひ ろ げ て い くこ とが
山砕 屑 物 の 連 続 、 浮
基 本 で あ ろ う。 凝 灰 岩 の 性 質 につ い て 細 か い
遊 性 貝類 化 石 の産 出層 準 、貝 化 石 群 集 の 類 似
層 準 毎 の 十 分 な 研 究 が な され て い ない が 、糸
サ イ クルの 形 式 な どを手 がか りと し、 サ イ ク
魚 川 ・柴 田(1974)は
ルを 基準 に各 層群 間 の対 比 を 試 み た 。 ま た3
に対 比 を 行 っ た と いえ る。 しか し東 ・西瀬 戸
つの サ イ クル が 典 型 的 に認 め られ る一 志 層 群
内の 対 比 につ いて は 、海 進 様 式 の類 似 性 に も
を標 準 層序 と し、 第1か
とつ いて い る とい え よ う。
サ イ クル が1∼3回
彼 らは岩 相 の類 似.火
ル に 当た
る地層 に よ って表
ら第3ま で の サ イ ク
され る 時間 を 、 そ
れ ぞ れ波 瀬 期 、大 井 期 、片 田期 と した 。
瀬 戸 内 西部 地 域 の地 層 は いず れ も1サ イ ク
脚 注;*Saito、T.(1963)の
と されて い る。
この よ うな主 旨です で
東 西瀬 戸 内の 中間 に は二 上 層 群 の 淡水 成 層
と火 山岩 類 とがあ り、そ の 下 部 の 石 切堤 石英 安
山 岩 の 年 代 は16Maと
浮 遊 性 有 孔 虫 化 石 帯 で は 、す べ てGloborotalia え られ て い る(Kawano
fohsi barisanensis Zone
&Ueda、1964)。
塩 町 累 層 は 備 北 層 群 下 底 と 時 間 的 に 大 き く隔
野 ・植 田 、1966)と 同 時 期 と い
た らず 、 波 多 層 か ら川 合 層 に わ た る か 、 川 合
(159Ma:河
これ は 設 楽 火 山 岩 の 年 代
え 、 ま た 糸 魚 川 ・柴 田 の 第2と
と の 境 が ほぼ16Maに
(1978)は
第3サ
イ クル
あ た る(後 述)。Itoigawa
層 下 部 に 対 比 され る こ とが 現 在 の 知 識 では 妥
当 と 考 え られ る 。
奥 山 田 か ら西 へ 、 二 上 山 の 北 に 東
西 瀬 戸 内 の 水 路 が あ り 、 ま た 紀 伊 田 辺 か らの
東 部 瀬 戸 内 と太 平 洋 側
東 部 瀬 戸 内 の対
水 路 で も太 平 洋 とつ な が って い た 古 地 理 図 を
比 に つ い て は 、 豊 田 累 層 に 対 比 され て い る
えが い て い る。 この よ うな 水 路 の 可 能 性 は 否
糸 魚 川・ 柴 田(1973)の
定 で きな い が 、 そ れ を 支 持 す る積 極 的 な 根 拠
に 山 辺 ・山 粕 ・一 志 の 各 層 群 の 清 水 ・中 太 郎
は え られ な い 。
生 ・三 ケ 野 の 各 累 層 の 同 時 性 は 、 岩 質 ・凝 灰
山 陰 か ら中 国 地 方 ・瀬 戸 内 へ と 進 入 し た 瀬
戸 内 西 部 と 、 東 海 と 連 っ た 京 都 ・奈 良 以 東 の
瀬 戸 内東 部 とが 、 一 連 の 第 一 瀬 戸 内 海 を つ く
第2サ
イ クル 、 と く
岩 な どを 考 慮 して も妥 当 と考 え られ る。 これ
らの 各 累 層 の 浮 遊 性 有 孔 虫 の 研 究 が 望 ま れ る 。
設 楽 層 群 に つ い て は 柴 田 他(1977)に
述 べ
らなか った 可 能 性 が 大 きい 。 そ うす れ ば 、 詳
られ て い る よ う に 、 設 楽 の 海 成 層 は 掛 川 の 倉
細 に は 東 西 のMiogypsinaの
同 時 性 も堆 積 盆
真 層 群 に対 比 され 、最 上 位 の玖 老 勢累 層 は そ
沈 降 も 時 間 的 に ず れ る こ と が 考 え られ る。 こ
の 基 底 が 不 整 合 で な く、 倉 真 層 と 岩 質 が 類 似
の よ うな 微 細 で あ ろ う時 間 の 差 を 、 現 在 の 資
し て い る こ と か ら も 、 第2サ
料 か ら知 る こ と は 困 難 で あ る と 考 え ら れ る 。
れ る方 が 妥 当 で あ る。 す な わ ち岩 質 と 化石 と
し か し こ の よ う な 場 合 は 原 則 と し て 、西 部 瀬
か ら、 掛 川 の 松 葉 層 が 設 楽 ・富 草 の 海 成 層 に 、
戸 内は 日本 海 側 の 地 層 と、 東 部 は太 平 洋 側 と
西 郷 層 群 が 瑞 浪 の 生 俵 層 に 対 比 さ れ る 。 いい
の 対 比 を 行 い 、 太平 洋 と 日本 海 の つ な が りに
か え れ ば 、 松 葉 層 か ら真 砂 層 に か け て が 第2
よ り時 代 的 位 置 づ け を 試 み るの が よ い と考 え
サ イ ク ル で 、 西 郷 層 群 が 第3サ
る 。 東 西 瀬 戸 内 の 環 境 変 化 に も と つ く対 比 は
す る。
まず お あ ず け とす べ きで あ る 。
-
イ クル に 含 め ら
一 方 、 南 海 区 の 田 辺 ・熊 野 層 群 に つ い て は 、
朝 来 ・敷 屋 層 中 上 部 が 第3サ
西 部 瀬 戸 内 と山 陰 ・日本海 側
西 部 瀬戸
Miogypsinaが
1959,1971)あ
部(Saito、1963)。
産 出(池 辺 他 、1975)、 朝 来 層 上
三 津 野 層 下 部(池
異 論 を は さむ点 は み あ た らな い 。 西部 瀬 戸 内
1975)か
と 日 本 海 側 と の 対 比 に つ い て は,備
い る こ と か らで あ る 。
北層群 の
最 大 海 進 時 の 岩 質・ 動 物 化 石 が 山 陰 の 久 利 層
イ クル で あ る 。
そ れ は 敷 屋 層 中 ・上 部 か らLepidocyclina・
内 区 内 の 各 地 の 地 層 間 の 対 比 は 、 多 井(1957,
る い は 糸 魚 川 ・柴 田(1973)に
らOrburina
universaが
産 し た 敷 屋 層 中,上
妥 当 で あ ろ う 。 そ して 下 部 砂 岩 は 川 合 層 に ほ
そ し てMiogypsina・Operculinaの
Itoigawa(1978)は
層 にGeloina sp.を
ぼ
東 城 町 の ぐみ の 塩 町 累
報 告 し た。 この こ とか ら
辺他 、
報 告 され て
す な わ ちLepidocyclina・Miogypsinaの
下 部 に対 比 され る こと は 、 古地 理 の 点 か ら も
対 比 され る 。
イ クル に 相 当
部,掛
洞 層 は16Ma、Orbulina
層 群 上 部(池
辺 他.1957)・
岩(Saito、1963)が15Ma付
川 の 西郷 層 群 下 底 、
産 す る宿
Datumで
あ る熊 野
田辺 層 群 朝 来 泥
近 の 年 代 と い え る。
Ⅳ.太
平 洋 側 と 日本 海 側 と の対 比 と第 一 瀬 戸
ま た 川 合 層 と 備 北 層 群 下 部 砂 岩 を 従 来 通 り16
Ma付
内累層群の年代
近 か ら の 推 積 物 とす る と、備 北 層 群 の 推
積 は300万
前 期 ∼ 中 期 中 新 世 の 日本 に お け る 浮 遊 性 有
孔 虫 基 準 面 は 、 池 辺(1978)に
よ り 第4図
の
よ う に 設 け られ た 。
年 以 上 、400万
年 間 に わ た る もの
とな り、 感 覚 的 に は 疑 問 が 生 ず る。
一 方 東 部 瀬 戸 内 はOrbulina
Datum(15+Ma)
以 前 、 熊 野 層 群 は 熊 野 酸 性 岩(14±2.143±
太 平 洋 側 と 日本 海 側 の 中 新 統 の 浮 遊 性 有 孔
.4Ma
K-Ar年
代)よ
り前
0 で あ り、 東 西瀬
虫 に よ る対 比 は 、 海 進 の 時 期 と 黒 潮 海 域 と い
戸 内 の 時 間 の ず れ が 顕 著 と な る 。 しか し な が
うTropical ら 神 戸 層 群 の 淡 水 成 層 や 凝 灰 岩 が13Ma前
Planktonic 布 と の 関 係 で 、N8か
Foraminiferaの
分
らN11 ま で の 間 が 対 比
可能 と され て い る。
後
に 位 置 づ け られ る こ とは 、瀬 戸 内火 山岩 類 と
の 関 係 で 興 味 深 い 。 川 合 層 ・備 北 層 群 下 部 砂
岩 の堆 積 年 代 は な お 将 来 の 問 題 で あ る。
東 部 瀬 戸 内 の下 部 層 の 年 代 に つ い て は 、 中
村 累 層・ 土 岐 爽 炭 層 な ど の 非 海 成 層 の 問 題 で
あ る。 可 児 盆 地 の 中村 累 層 は 阿 仁 合 型 植 物 化
石 群 を 含 み(徳 永 ・尾 上 、1960,1969)、
それ に
不 整 合 に の る 平 牧 累 層 は 阿 仁 合 ・台 島 漸 移 型
の 植 物 化 石 群 を 産 す る(Tanai、1961)。
ま
た 瑞 浪 盆 地 の 土 岐 爽 炭 累 層 は 阿 仁 合 ・台 島 漸
日本 の 前 期 ∼ 中期 中新 世 の 浮 遊 性
移 型(徳
有 孔 虫 基 準 面(池
累 層 は 台 島 型(糸
第4図 辺 、1978よ
り)
永 ・尾 上 、1960)、
岩村盆地の阿木
魚 川 、1955)を
産 す る。 中
村 累 層 下 位 の 蜂 屋 累 層 は 玄 武岩 質 の火 山岩 類
15∼16Ma、BlowのN8上
で は 米 谷(1978)が
部 は 、 日本 海 側
七 谷 層 下 部 でGlobige-
rinoides sicanus/Praeorbulina erosa
curva
Zoneと
glom-
し た も の で 、 台 島 ・西
黒 沢 層 準 に あ た る だ ろ う とい う。 そ して 寺 泊
・女 川 層 に はGloborotalia
pseudopachy-
dermaが
Planktonic
出 現 し 、tropical
foraminiferaは
BlowのN12以
も は や み られ な い 。 こ れ が
上 で あ り 、13Ma以
後 と され て
い る。 この 年 代 の 検 討 が 重 要 で あ るが 、 将 来
の 課 題 とす る。
こ の 年 代 を 採 用 し、Foraminiferal
Lineに
Sharp
よ る 対 比 を 尊 重 す る と 久 利 層 ・備 北
層 群 申 部 泥 岩 は13Maを
は さむ 年 代 に な る 。
で あ り 、 グ リー ン タ フ 地 域 の 下 部 の 主 ぎ
こ安 山
岩 質 の 火 山 岩 類 と阿 仁合 型 植 物 化石 群 と の 関
連 で 対 比 され る。
前 稿 では 阿 仁 合 型 植 物 化 石 群 の年 代 を 、
Devereux(1967、in
Couvering、1974)の18O同
Berggren
and
Van
位 体 に よ る古 水 温
曲 線 の18Ma付
近 の 冷 温期 に対 比 した 。 しか
し な が ら,前
期 中新 世 の 水 温 変 化 は ニ ュー ジ
ー ラ ン ド南 方 海 域 に お け るDSDPの
コ アで ,
よ り 詳 し く も と め ら れ た(Shackleton Kennet,1975)。
そ れ に よ る と,15∼16Ma
(N8/N9)付
近 が 暖 か く、17Ma付
そ れ よ り 約3℃
20Ma以
and
冷 水 で,19Ma付
点 々 と 山 間 盆 地 に 残 っ て い る 。 多 井(1975)
は そ れ ら の 高 度 分 布 か ら後 の 地 殻 変 動 量 を も
と め た が,東
部 瀬戸 内 は 西部 以 上 に第 四 紀 地
殻 変 動 量 の 大 き か っ た 地 域 と い え よ う(Huzita et a1.,1973)。
近が
近 が 暖 か く,
鮮新世以降の沈降盆は
中 新 世 か ら連 続 し て 沈 降 し て い る 場 で な い こ
と は,そ
れ ら の 地 層 の 分 布 か ら い え る が,古
前 は 比 較 的 冷 水 で,そ れ は 前 期 漸 新 世
地 理 を 推 定 す る と き 現 在 の 地 理 に 影 響 され る
に ま で さか の ぼ っ てい る。 門 前 層 相 当層 の 火
傾 向 を 否 定 で きな い 。 そ れ は現 在 の 海 あ る い
山 岩 類 の 年 代 は,フ
ィシ ョ ン トラ ック法 に よ
は 平 野 の 下 の 地 質 の 資 料 が 明 らか で な い こと
り漸 新 世 あ る い は よ り 古 い 年 代 も え られ て い
が 原 因 し て い る と 考 え られ る 。 東 部 瀬 戸 内 の
る が 、 地 質 学 的 に 明 らか に さ れ る ま で は,20
海 を 伊 勢 湾 口 か ら侵 入 さ せ る 根 拠 は,師
Ma以
群 や 一 志 層 群 が 東 部 瀬 戸 内 で 最 も早 い 海 成 層
前 の 前 期 中 新 世 と 位 置 づ け し て お く。
を も ち,ま
V.古
崎層
た 外 洋 性 の 堆 積 物 に 富 む こ とに よ
地 理第3図 第一瀬戸内累層群の対比(糸魚川・柴田、1973)
る の で あ ろ う。確 か に 大局 的 に これ らの 地 域
か ら海進 が は じま った こ と は正 しい で あ ろ う
第5図 第一瀬戸内累層群の対比表 古地 理 図 は堆 積 環 境 と化 石 の 古 生 態 な どに
が,師
崎 層 群 豊 浜 累 層 中 部 に 知 多 半 島 南岸
も とづ きえ が か れ る。 そ して 地 域 が ひ ろ くな
で 礫(つ
る に つ れ,時
伊 勢 湾 口北 側 に 当 時領 家 帯 岩 石 の 山 が あ った
間 の 幅 もひ ろ が るの が ふ つ うで
ぶ て)礫
岩 層 が あ り(寺
嶋,1965),
あ る 。 ここ で は で き る だ け 時 間 の 幅 を 狭 く し
こ と が 推 定 され る こ と か ら,海
よ う と努 め た 。 しか し時 代 が さか の ぼ るに つ
す じは これ らの地 層 の堆 積学 的 研 究 に よ って
れ 不 明 の 場 所 が 多 く,ま
推 論 す べ き で あ る と考 え る 。
た 後 の 時 代 の 地殻 変
動 に よ り 地 層 が 削 剥 さ れ た か ど うか の 問 題 も
古 地 理 図 の 精 度 に 大 き く影 響 す る 。
1)海
進 最盛 期
東 西 瀬 戸 内 の 最 大 海 進 時 は 第5図
進初期
の対比表
に 示 され るよ うに 時 間 の ずれ が あ る。 す なわ
沈 降 盆 形 成 初 期 は 基 盤 の 起 状 の 多 い地 形 を
埋 め て 堆 積 が は じ ま り,海
進 も狭 い 水 路 か ら
進 入 した か も しれ な い。 現 在 残 って い る各 堆
積 盆 へ の 海 進 経 路 に つ い て は,基
地 が 各 盆 地 に つ い て1∼2方
1∼2方
2)海
進 の 詳 しい 道
向 に 低 地(海)に
底礫供給山
向 に あ り,他
の
連 な る排 水 口が あ
ち 東 部 は16±lMaの
頃 で あ り,西 部 は15Ma
か ら13な い し12Ma頃
の間である。
西 部 の 海 進 の よ う す は,浮
遊 性 有 孔 虫 の多
産 す る こ と で 山 陰 の 日 本 海 と連 っ た 広 い 海 域
で あ っ た(多
井1957)。
東 部 も一 志 層 群 ・鮎
河 層 群 上 部 ・千 種 層 な ど か ら 浮 遊 性 貝 化 石 を
っ た こ と が 堆 積 物 か ら推 定 で き る 。 す な わ ち
産 し(Shibata,1977),鈴
設 楽 は 東 ・南,富
は 全 く考 慮 す る 必 要 の な い 広 い 海 域 が 推 測 さ
河 は 南 ・東,奥
草 は 西 ・南,一
志 は 東,鮎
山 田 は 西 か ら の 海 進 が 各 々推
定 され る。
中 国 地 方 を ひ ろ く おお っ た 備 北 層 群 は 現 在
鹿 山脈 の存 在 な ど
れ る。
この よ うな 東 西 瀬 戸 内の 最 大 海 進 時 の 時 間
的 ず れ と,両
者 共 外 洋 性 の 海 で あ った こと に
関 連 して,2点
の 問 題 が 提 起 さ れ る 。 そ の1
田 辺 ・熊 野 両 層 群 の 一 連 性 は,そ
れ らの 間
は 東 西 瀬 戸 内 の 中 間 地 域 の 問 題 で あ り,第2
の 牟 婁 層 群 が 主 に 第 四 紀 に 南 北 方 向の 軸 を も
に 東 部 の 外 洋 性 海 域 の よ う す で あ る。
って 隆 起 した こ とで 説 明 され る。 熊 野 層 群 は
東 西瀬 戸 内 の 問 に は二 上 山の 火 山岩 類 と淡
水 成 層 が あ る 。石 切 場 石 英 安 山 岩 のK-Ar年
は16±Maで,ほぼ
そ の 東 北 部 に 上 部 層 が あ り、 西側 の 宮 井來 炭
代
層 が 熊 野 層 群 上 部 の 陸 域 を 西 あ る いは 北 に推
東部 瀬戸 内 の最 大海 進 時
定 させ る が 、 北 東 方 へ 陸 地 を 予 想 させ る も の
に 当た
る。 また 西 部 瀬戸 内 の最 東 端 は 淡路 島 の
は み あた らない 。
岩 屋 層 で あ り,そ
3)古
の北の多井畑貝層はその海
成 層 の 最 上 部 層 と さ れ て お り,そ
の 上 に 淡水
地理図
第 一 瀬 戸 内 を 中 心 と し た 古 地 理 図8葉
を第
成 の 神戸 層 群 が 整 合 にの る。 また そ れ よ り東
5図 の 対 比 に も と づ き 作 成 し た 。a)21-20
の 千 里 山 の 大 阪 層 群 の 下 に は,基
Ma,b)19-18Ma,c)17.5±Ma,d)
盤 の花崗岩
の 上 に わず か の 淡 水 成 神 戸 層 群 が あ り、 東 西
瀬戸 内 は共 に最 大 海 進 時 とい え ど も大 阪 東 部
に海進 が及 ば なか った と考 え る こ とが 自然 で
あ る 。 そ れ ら の 時 期 が 異 な る こ と も,東
西瀬
16.5±Ma,e)16±Ma,f)15+Ma,
g)15-Ma,h)14-13Maで
あ る。
a)21-20Maの
古地 理
信 州 の 守 屋,富
士 川 か ら掛 川 に わ た る 海 は,設
楽 に 南 か ら入
戸 内の一 連 の海 域 を 否 定 す る こ と に有 利 な資
り こ ん だ と推 定 され る 。 富 草 ・可 児 ・鈴 鹿 に
料 と 考 え られ る 。
は 内 陸 盆 地 が 形 成 され 、 可 児 盆 地 に は 玄 武 岩
第2の
東 部 瀬 戸 内 の 広 い 海 域 に つ い て は,
の 火 山 活 動 が あ っ た 。 日本 海 側 の グ リー ン タ
師 崎 ・一 志 ・鮎 河 ・千 種 な ど は 伊 勢 湾 か ら掛
フ地 域 は 主 と し て 安 山 岩 質 の 大 規 模 な 火 山 活
川 に 至 る 海 域 と の 連 続 で 理 解 で き る と して も,
動 の場 で あ った 。
奈 良の 豊 田 累 層 の浮 遊 性 有 孔 虫 多 産 の 事 実 は
b)19-18Maの
古地理
富 草 ・設 楽 ・掛
説 明 に 苦 し む 。 奈 良 か ら 山 辺 ・山 粕 を 経 て 一
川 の 海 底 に は 凝 灰 質 物 質 が堆 積 し,瑞
志 に 連 な る 海 が,紀
入 部 は 一 志 ・師 崎 ・岡 崎 東 の 海 か ら侵 入 し た 。
伊 半 島東 部 で 南海 に広 く
開 いた 海 で あ った 可能 性 が あ る 。
紀 伊 山 脈 北 側 の 稲 村 ケ 獄 や,白
鈴 鹿 の 内 陸 盆 は 広 く,鮎
髪岳北方の
盆 は 砂 礫 を 堆 積 し,水
浪の湾
河 ・奥 山 田 の 小 内 陸
は 各 々南 へ 流 出 した 。
中 奥 に は 砂 礫 層 が あ り,中 奥 層 はCyclamina
奈 良 ・山 辺 ・山 粕 の 盆 地 は 一 志 へ 水 を 吐 き 出
pacifica,C.taniの
し て い た か も し れ な い 。 こ の 時 代 に は グ リー
れ て い る(志
のrangeか
産 出 に よ り漸 新 世 と さ
井 田,1962)。
これ らの有 孔 虫
らは 中奥 層 が 中新 世 で あ る 可能 性
は 否定 され な い 。 また紀 伊 半 島 中央 部 の砕 屑
岩 脈 は 火 山 物 質 が 多 い(吉
ル ー プ,1977)と
野 古 第三 系 研 究 グ
い う点 で 、 これ らを 漸 新 世
ンタ フ地 域 は 主 に 石 英 安 山 岩 質 の 火 山活 動 の
場 で あ った 。
c)175±Maの
は 西 へ 進 み,奈
古地理
師 崎 ・一 志 の 海
良 か ら奥 山 田 の 入 江 を 出 現 し,
鈴 鹿 か ら鮎 河 へ 侵 入 し た 海 は 東 の 千 種 と も 連
の 四 万 十 地 向 斜 縁 海 の 堆 積 物 と 考 え る よ り も,
っ た 。 伊 勢 湾 に は 師 崎 層 群 豊 浦 累 層 の 礫(つ
海 成 中 新 統 が ひ き つづ く火 山 活 動 と 地 殻 変 動
ぶ て)礫
に よ り基 盤 岩 中 に 落 ち こ ん で 保 存 され た と 考
った と推 定 され る。
え る方 が妥 当 では な か ろ うか 。
岩 を 供 給 した 領 家 変 成 岩 の 島 山が あ
d)16.5±Maの
古地理
東 部 瀬 戸 内海 が
最 も 広 い 時 期 で あ り,奈
良 の 豊 田累 層 の 浮 遊
性 有 孔 虫 の デ ー タ か ら も,紀
伊 半 島東 部 か ら
掛 川 ま で の 幅 広 い 湾 入 は 水 深500m以
上の海
間 の対 比 が 明確 で な く,と
くに西 部 瀬 戸 内の
年 代 は 日本 海 側 の 地 層 の年 代 と の 関係 で時 間
幅 が広 くな った 。 山 陰 か ら備 北 への 海 進 は,
域 で あ った こ とが うか が わ れ る。 奥 山 田は や
山 陰 の 最 大 海進 期 に す べ て入 るよ うな短 い時
は り 入 江 の 状 態 で あ っ た 。 設 楽 は 陸 化 し,酸
間 の もの で あ る可 能 性 も十 分考 え られ るが,
性 の 火 山 活 動 が あ り,二
上 ・松 山 ・大 島・ 豊
ここ で は そ の よ うな 考 え 方 を と らず,こ れ ま
肥 ・豊 前 の 酸 性 ∼ 中 性 火 山 活 動 も は じ ま っ た
で 発 表 され た デ ー タを 尊 重 す るよ うに つ とめ
(巽,1968)。
グ リ ー ン タ フ地 域 は な お 酸 性
火山 活 動 の 場 で あ っ た が,海
e)16±Maの
古地理
進 が は じま っ た。
奥 山 田 ・鮎 河 か ら
た。
この 試 論 の 主 眼 は 最 初 に 述 べ た よ うに,東
西 瀬 戸 内が 各 々別 個 の 海 進 の 産 物 で あ り,共
東 部 瀬 戸 内 は 縮 小 しは じ め た 。 塩 町 累 層 を 堆
に最 大 海 進 時 には 浮 遊 性 有 孔 虫 の 生 息 を ゆ る
積 し た 西 部 瀬 戸 内 の 沈 降 域 に 海 進 が は じ ま り,
す よ うな外 洋 性 の 海 域 であ った こ とに あ る。
日本 海 側 に は 浅 暖 海 域 が ひ ろ が っ た 。
浮 遊 性 有 孔 虫 多 産 の海 域 の デ ー タを 示 して,
f)15+Maの
古地 理
縮 小 し た が,よ
一 志 ・瑞 浪 の 湾 は
り 深 く 沈 み,西
部 瀬戸 内 は 淡
Maの
深 く 入 り,淡
古地理
次 の 課題 で あ ろ う。
阿仁 合 型 植 物 群 な どに よ る盆 地 間 の 対 比 に
路 島 ま で 備 北 の 多 島 海 が 出 現 した 。
g)15 古 瀬戸 内海 の 古環 境 を よ り適 格 に示 す こ とは
備 北 の 海 は 最 も奥
路 の 湾 入 は 大 阪 まで 達 した か も
は,す で に異 議 を 承 って い る 。 これ らにつ い
て は火 山 層 序 ・年 代 の研 究 とあ い ま って,な
しれ な い 。 そ れ に ひ きか え 東 部 瀬 戸 内は 全 く
お 当 面 の 課 題 といえよ う。将 来,よ り詳細 な年
陸 化 して し ま った 。
代 毎 の 古 地 理 図 を え が く こ とに よ り,沈 降 盆
h)14-13Maの
古地理
備 北 の 海 は 深 く,
広 い 海 域 と な った 。 淡 路 の 湾 入 部 は 陸 化 し、
の 歴 史 か ら基 盤 ・地 殻 の 動 きに つ い て も考 察
され る もの と考 え て い る。
そ の 北 に古 神 戸 湖 が で き た 。 太 平 洋 側 も 陸 化
し,熊
野 酸 性 岩 の 活 動 に つづ い て,室
あ
生 ・小
と
が
き
笠 島 な ど に も 内陸 沈 降 盆 の 形 成 と と も に 酸性
こ の 小 論 脱 稿 後 「日 本 の 新 第 三 系 の 生 層 序
火 山活 動 が あ った 。
備 北 の 海 は11.5±Ma頃
に陸 化 した と考 え
及 び 年 代 層 序 に 関 す る 基 本 資 料 」(土
られ る 。 そ の 頃 サ ヌ キ トイ ドの 噴 出 が 各 地 に
1979)が
あ り,瀬
田 の 久 利 累 層 はN9とN10に
戸 の 陶土 層 の堆 積 も この 時 代 に位 置
づ け られ る。
発 行 さ れ た 。 そ れ に よ れ ば,石
Sharp
Lineは
わ りに
第 一 瀬 戸 内 累 層 群 は 約21Maか
ら11Maに
わ た る 時 代 の 地 層 で あ る こ と を 論 じ,8時
の 古 地 理 図 を え が い た 。 しか し各 地 区 の 地 層
わ た り,Foram.
い う デ ー タ と,川
合 層 と 久 利 層 の 境 がN9とN1Oの
境 付 近 で,
Foram.Sharp
に あ る(同,
102)と
期
見大
そ れ らの 境 界 に 位 置 す る
(多 井 ・加 藤,p.101)と
Ⅶ
.お
隆 一 編,
LineはN10の中
い うデ ー タ が あ る。 また 益 田
p. 層 の
上 部 泥 岩 はN8-N9(多
103),奈
井 ・加 藤 ・千 地,
良 の 豊 田 累 層 上 部 はN8か
p.
らN
9に わ た る(多
井 ・加 藤,p.112),阿
群 愼 野 層 はN8(吉
田,p.108),津
介 代(の
はN12前
け だ い)層
波層
山の野
seminulinaを
Zoneに
井 ・
どの デ ー タ が あ る。
位 置 す る か,検
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池
辺
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