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Transaction M&A News 適格現物分配における留意点に ついて www.pwc.com/jp/tax

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Transaction M&A News 適格現物分配における留意点に ついて www.pwc.com/jp/tax
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Transaction M&A News
適格現物分配における留意点に
ついて
Issue 30, April 2011
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平成 22 年度税制改正により、完全
支配関係のある法人間で行われる現
物分配は適格現物分配として組織再
編税制の一環として位置づけられる
こととなり、2010 年 5 月発刊のニュー
スレターにおいてその概要について
解説いたしました。
本ニュースレターでは、適格現物分
配における留意点について解説いた
します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 完全支配関係が外国法人によるものである場合
の現物分配
適格現物分配とは、内国法人を現物分配法人(現物分配
により資産の移転を行う法人)とする現物分配のうち、被現
物分配法人(現物分配により資産の移転を受ける法人)が
その現物分配の直前において当該内国法人との間に完
全支配関係がある内国法人(普通法人または協同組合等
に限る)のみであるものをいい(法法 2 十二の十五)、被現
物分配法人が現物分配法人との間において完全支配関
係がある一定の内国法人のみであることが要件とされてい
る点には留意が必要です。
この点、平成 22 年 8 月 10 日付で国税庁から公表されま
した「平成 22 年度税制改正に係る法人税質疑応答事例
(グループ法人税制関係)」の問 14 において、完全支配
関係が外国法人によるものである場合の現物分配につい
て掲載されていますのでその内容をご紹介いたします。
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(1) 完全支配関係が外国法人によるものである場合で被現物分配法人が内国法人のみである場合
外国法人 G4
100%
100%
内国法人 G2
内国法人 G3
70%
30%
現物分配
現物分配
内国法人 G1
本ケースのように、現物分配法人である内国法人 G1 と被現物分配法人である内国法人 G2 および G3 との間の完全支
配関係が外国法人 G4 によるものであっても、被現物分配法人である内国法人 G2 および G3 がともに一定の内国法人
であれば、内国法人 G1 から内国法人 G2 および G3 に対する現物分配はともに適格現物分配に該当することとなります。
(2) 完全支配関係が外国法人によるものである場合で被現物分配法人が内国法人および外国法人である場合
外国法人 G3
100%
30%
現物分配
内国法人 G2
70%
現物分配
内国法人 G1
上述のとおり、適格現物分配とされるためには、被現物分配法人が一定の内国法人のみである必要があることから、本ケ
ースのように、被現物分配法人の中に外国法人 G3 が含まれる場合にはその現物分配全体が適格現物分配に該当しな
いこととなります。したがって、この場合においては、内国法人 G1 から外国法人 G3 に対する現物分配だけでなく、内国
法人 G1 から内国法人 G2 に対する現物分配も適格現物分配に該当しないこととなります。
2. 繰越欠損金の使用制限および特定資産譲渡等損失の損金算入制限
適格現物分配は組織再編税制の一環として位置づけられることとなったため、他の適格組織再編成の場合と同様に、被
現物分配法人において繰越欠損金の使用制限や特定資産譲渡等損失の損金算入制限が適用される場合があります
(法法 57④、法法 62 の7)。
この点、適格合併等の他の適格組織再編成の場合には、「みなし共同事業要件」を満たすことで繰越欠損金の使用制限
や特定資産譲渡等損失の損金算入制限の適用はないこととされていますが、適格現物分配は資産のみを移転の対象と
しており事業そのものは移転の対象とはならないため(法法 2 十二の十五)、適格合併等のような「みなし共同事業要件」
を満たすことによる制限の除外規定は設けられていない点には留意が必要です(法令 112③⑦)。
なお、適格現物分配の場合には、確定申告書への明細書の添付等を要件として、切り捨てられる繰越欠損金の金額や
損金の額に算入されない特定資産譲渡等損失額を移転資産の含み益の範囲内とすることができる特例が設けられてい
ます(法令 113⑤⑥、法令 123 の 9⑦⑧)。
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