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www.pwc.com/jp/tax Transaction M&A News 非適格合併に係る抱合株式の取り扱い について Issue 31, May 2011 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2010 年度税制改正により、非適格合 併の場合の抱合株式に関する譲渡 損益の取り扱いについて改正が行わ れました。 本ニュースレターでは、非適格合併 に係る抱合株式の譲渡損益の取り扱 いについて説明いたします。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1. 改正前の取り扱い 2010 年度税制改正前は、非適格合併が行われた場合の 抱合株式(合併法人が合併直前に有していた被合併法人 の株式をいいます)については、合併法人において、みな し配当および株式譲渡損益が計上されていました。 法人税法上は、合併法人が有する抱合株式について合 併対価の交付があったものとみなされます(法法 24②、法 令 23⑤)。抱合株式に対して交付したとみなされた合併対 価の額が、被合併法人の資本金等の金額のうち抱合株式 に対応する部分の金額を超える場合、その超える部分の 金額はみなし配当となり、受取配当等の益金不算入の規 定の適用を受けることができます。 一方で、合併法人は、その有する抱合株式について、合 併対価の額からみなし配当の額を控除した額で譲渡した ものとして取り扱われ、合併直前の抱合株式の帳簿価額と の差額について譲渡損益が認識されていました(旧法法 61 条の 2③)。 Transaction M&A News 2. 改正後の取り扱い 2010 年度税制改正により、非適格合併の場合の抱合株式の譲渡損益の計算について、譲渡対価の額は、当該抱合株 式の合併直前の帳簿価額に相当する金額とされ、譲渡損益は計上しないこととされました(法法 61 の 2③)。この改正は、 合併前は被合併法人株式の保有を通じて被合併法人の資産負債を間接保有していたものが、合併により直接保有に変 わるものであり、合併対価の種類にかかわらず被合併法人の資産負債への投資が継続していると考えられるため、譲渡 損益を計上しないことにしたものであると説明されています。なお、この抱合株式の譲渡損益の計算に関する改正は、そ の適用範囲は完全支配関係のある法人間に限られていないことに注意が必要です。 また、非適格合併の場合の抱合株式の合併直前の帳簿価額および抱合株式に係るみなし配当の金額の合計額は、資 本金等の額の計算上減算することとされました(法令 8①五)。 なお、抱合株式に対して株式の割当または株式以外の資産を交付しなかった場合の税務上の取り扱いは、改正前と同 様、合併法人が株式割当等を受けたものとみなしてみなし配当の額が計算されることとなります(法法 24②)。 <設例> P 社は、その発行済株式等の 90%を 1,800 で買収した S 社と合併を行い(P 社が合併存続法人)、S 社の少数株主に対 して 200 の現金を合併対価として交付する(税務上、非適格合併に該当する)。合併時における S 社の時価純資産価額 は 2,000、簿価純資産価額 1,000(資本金等 700、利益積立金 300)とする。 買収時 合併時 P社 90% 合併交付金 少数 株主 P社 10% 合併後 少数 株主 P社 非適格合併 S社 S社 合併法人の税務上の仕訳(みなし配当に係る源泉税は考慮しない) 改正前の取り扱い 改正後の取り扱い ① 被合併法人の資産負債の引き継ぎ (純資産) 2,000 (資本金等の額) (現金) ② 抱合株式に対する合併対価のみなし交付の処理 (自己株式) 1,800 (S社株式) (株式譲渡損)*2 1,170 (みなし配当)*1 (資本金等の額) 1,800 (自己株式) 1,800 200 1,800 1,170 1,800 ① 被合併法人の資産負債の引き継ぎ (純資産) 2,000 (資本金等の額) (現金) ② 抱合株式に対する合併対価のみなし交付の処理 (資本金等の額)*3 2,970 (S社株式) (みなし配当)*1 1,800 200 1,800 1,170 *1 みなし配当 抱合株式にかかるみなし株式割当額 1,800(200÷10%×90%) - S社資本金等の額 のうち抱合株式に対応する金額 630 (700×90%) = 1,170 *2 改正前における株式譲渡損 株式譲渡対価(抱合株式にかかるみなし株式割当額 1,800 – みなし配当額 1,170)-株式譲渡原価(合併直前のS社株式簿価 1,800)=1,170 *3 改正後における減算される資本金等の額 みなし配当額 1,170+合併直前のS社株式簿価 1,800 = 2,970 PwC 2 Transaction M&A News 上記の改正は、2010 年 10 月 1 日以後に行われる合併に関して適用されます(改正法附則 10②、改正法令附則 2②)。 より詳しい情報、または個別案件への取り組みにつきましては下記担当者にご連絡ください。 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース トランザクション/ M&A 部 〒100-6015 東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号 霞が関ビル 15 階 電話 : 03-5251-2400(代表) http://www.pwc.com/jp/tax パートナー シニア・マネージャー 宮川和也 佐野勝也 箱田晶子 03-5251-2462 03-5251-2774 03-5251-2486 [email protected] [email protected] [email protected] 税理士法人プライスウォーターハウスクーパースは、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)グローバルネットワークの日本におけるメンバー ファームです。公認会計士、 税理士等約 540 名のスタッフを有する日本最大級のタックスアドバイ ザーとして、法人・個人の申告をはじめ、金融・不動産関連、移転価格、M&A、事業再編、国際税務、 連結納税制度等、幅広い分野において税務コンサルティングを提供しています。 PwC のメンバーファームは、クライアントの産業に焦点をあてた監査、税務、アドバイザリーサービスの提供を通じて、クライアントの価値向上を目指しています。PwC グロー バルネットワークのメンバーファームが有する世界 154 カ国、161,000 人以上のスタッフが、見識や経験、ソリューションを共有することによって、常に新しい視点から実践に 即したアドバイスを提供しています。詳細は www.pwc.com をご覧ください。 本書は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けるこ となく、本書の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本書に含まれる情報は正確性または完全性を、(明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではあ りません。また、本書に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされたり、起こされなかったことによって発生した結果について、税理士法人プライスウォータ ーハウスクーパース、およびその関係会社、パートナー、職員、代理人は、法律によって認められる範囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2011 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース 無断複写・転載を禁じます。 本書において、PwC とは、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、または文脈によりプライスウォーターハウスクーパース インターナショナル リミテッドを中心に構 成されるメンバーファームのネットワークあるいは PwC のネットワークに属する各メンバーファームを指しています。PwC の各メンバーファームは、別組織となっています。税 理士法人プライスウォーターハウスクーパースは、PwC のメンバーファームです。 PwC 3