...

Transaction M&A News グループ法人税制等に関連する 平成 23 年度税制改正項目

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

Transaction M&A News グループ法人税制等に関連する 平成 23 年度税制改正項目
www.pwc.com/jp/tax
Transaction M&A News
グループ法人税制等に関連する
平成 23 年度税制改正項目
Issue 33, July 2011
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
平成 23 年 1 月 25 日に国会に提出
され、審議が棚上げされていた平成
23 年度税制改正法案(以下「改正法
案」)は、その一部が「現下の厳しい
経済状況及び雇用情勢に対応して
税制の整備を図るための所得税法等
の一部を改正する法律」として可決・
成立し、6 月 30 日に公布・施行され
ました(以下「平成 23 年度税制改正
法」)。
本ニュースレターでは、平成 23 年度
税制改正法の項目のうち、グループ
法人税制等に関連する改正点につ
いていくつかご紹介いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.
グループ法人税制等に関連する改正項目
平成 22 年度税制改正により導入されたグループ法人税
制等に関して、その円滑な執行に向けて以下の点につい
ての見直しが行われています。
(1) 清算中法人および解散見込法人等株式の評価
損
(2) 資本金等がマイナスである場合の期限切れ欠損
金の損金算入制度
(3) 自己株式の適格現物分配時における欠損金制
限等
(4) 中小法人に対する優遇税制の適用範囲の見直し
Transaction M&A News
2.
各改正項目について
(1) 清算中法人および解散見込法人等の株式の評価損
平成 22 年度税制改正後、100%グループ内の清算法人等の株式に係る評価損の取り扱いについては、株式評価損と
清算法人等からの欠損金の引き継ぎにより、二重に損金算入される可能性が指摘されていました。
今般の改正により、100%グループ内の他の内国法人の株式を有する場合において、当該他の内国法人が以下に該当
するときは、当該他の内国法人の株式については評価損を損金不算入とすることとされています(法法 33⑤、法令 68 の
3)。
(a) 清算中であるとき
(b) 解散(合併による解散を除く)が見込まれるとき
(c) その 100%グループ内で適格合併により解散することが見込まれるとき
なお連結納税開始時・加入時の時価評価(法令 122 の 12①五)や非適格株式交換・移転の場合の時価評価(法令 123
の 11①五)においても、上記と同様に、当該他の内国法人の株式についての評価損を損金不算入とする措置が整備さ
れています。
上記の改正は、平成 23 年 6 月 30 日以後に行う評価換え等について適用されます(法附則 12、令附則 11、13)。
(2) 資本金等がマイナスである場合の期限切れ欠損金の損金算入制度
平成 22 年度税制改正により、内国法人が解散した場合において残余財産がないと見込まれるときは、期限切れの
欠損金の損金算入が可能となる旨の改正が行われました。これは清算所得課税の廃止に伴い、残余財産がない
会社に対して、債務免除益課税等が生じることのないようにするためですが、資本金等の額がマイナスの場合につ
いては手当てがなされておらず、清算に際して課税が生じてしまう可能性がありました。今般の改正により、この点
について手当てがなされ、平成 23 年度税制改正法における解散時の期限切れ欠損金の損金算入制度において
は、マイナスの資本金等の額を期限切れ欠損金と同様に扱うこととされています(法法 59③、法令 118)。
また連結納税制度において適用する期限切れ欠損金の損金算入制度について、対象となる欠損金額から期限内の連
結欠損金個別帰属額を控除しない等の整備が行われています(法法 59、81 の 9、法令 155 の 2 等)。
上記の改正は、前者については平成 23 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度について適用され(法附則 10)、後者に
ついては連結親法人の平成 23 年 4 月 1 日以後に開始する適用連結事業年度(6 月 30 日前に終了する適用連結事業
年度を除く)の連結所得に対する法人税について適用されます(法附則 14、令附則 16 等)。
(3) 自己株式の適格現物分配時における欠損金制限等
支配関係のある法人間の適格組織再編では一定の要件を満たさない場合には、欠損金の繰越控除の制限と特定資産
の譲渡等損失の損金算入制限を受けることがあります。平成 22 年税制改正により、その制限を受ける適格組織再編が、
事業を移転しない適格分割、適格現物出資または適格現物分配(以下「適格分割等」)に該当するときには、移転資産の
含み損益の金額に応じて制限対象となる金額を限定することができる特例が設けられていました(確定申告書に移転資
産の含み損益金額の明細(別表7(1)付表三、別表 14(5))を添付することが要件とされます)。
今般の改正により、この特例について適格分割等により移転を受ける資産の中に、分割承継法人等(分割承継法人、被
PwC
2
Transaction M&A News
現物出資法人または被現物分配法人)の自己株式が含まれている場合には、移転資産から当該自己株式を除外して含
み損益を算定することとされました(法令 113⑤一、123 の 9⑦一)。なお、移転資産が分割承継法人等の自己株式のみ
である場合には、明細(別表7(1)付表三、別表 14(5))の添付も不要とされます(法令 113⑥、123 の 9⑧)。
上記取り扱いについては「平成 22 年度税制改正に係る法人税質疑応答事例(グループ法人税制その他の資本に関係
する取引等に係る税制関係)」において既に公表されていましたが、今般の改正により法令に明確化されたものです。
(4) 中小法人に対する優遇税制の適用範囲の見直し
資本金が 1 億円以下の法人(以下「中小法人」)に適用される下記の中小企業特例について、100%グループ内の複数
の大法人(資本金 5 億円以上の法人等)に発行済株式の全部を保有されている中小法人には適用されないことになりま
した(法法 66⑥三、67、80①、81 の 12⑥、81 の 13、81 の 31①、143⑤三等)。
(a) 軽減税率
(b) 特定同族会社の特別税率(いわゆる留保金課税)の不適用
(c) 貸倒引当金の法定繰入率
(d) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
(e) 欠損金の繰戻しによる還付制度
平成 22 年税制改正により、資本金 5 億円以上の(単一の)大法人に 100%支配される中小法人には上記の中小企業特
例は適用されなくなりましたが、今般の改正により、同一グループに属する複数の大法人に 100%支配されている場合も、
中小企業特例の適用対象から除外されることとなりました。
上記の改正は、平成 23 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度(6 月 30 日前に終了する事業年度を除く)から適用されま
す(法附則 13、16、50、61、71、76)。
PwC
3
Transaction M&A News
より詳しい情報、または個別案件への取り組みにつきましては下記担当者にご連絡ください。
税理士法人プライスウォーターハウスクーパース
トランザクション/ M&A 部
〒100-6015 東京都千代田区霞が関 3 丁目 2 番 5 号 霞が関ビル 15 階
電話 : 03-5251-2400(代表) http://www.pwc.com/jp/tax
パートナー
マネージャー
宮川和也
佐野勝也
和田光正
03-5251-2462
03-5251-2774
080-3452-9134
[email protected]
[email protected]
[email protected]
税理士法人プライスウォーターハウスクーパースは、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)グローバルネットワークの日本におけるメンバー ファームです。公認会計士、
税理士等約 500 名のスタッフを有する日本最大級のタックスアドバイ ザーとして、法人・個人の申告をはじめ、金融・不動産関連、移転価格、M&A、事業再編、国際税務、
連結納税制度等、幅広い分野において税務コンサルティングを提供しています。
PwC のメンバーファームは、クライアントの産業に焦点をあてた監査、税務、アドバイザリーサービスの提供を通じて、クライアントの価値向上を目指しています。PwC グロー
バルネットワークのメンバーファームが有する世界 154 カ国、161,000 人以上のスタッフが、見識や経験、ソリューションを共有することによって、常に新しい視点から実践に
即したアドバイスを提供しています。詳細は www.pwc.com をご覧ください。
本書は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナルからのアドバイスを受けるこ
となく、本書の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本書に含まれる情報は正確性または完全性を、(明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではあ
りません。また、本書に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされたり、起こされなかったことによって発生した結果について、税理士法人プライスウォータ
ーハウスクーパース、およびその関係会社、パートナー、職員、代理人は、法律によって認められる範囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。
© 2011 税理士法人プライスウォーターハウスクーパース 無断複写・転載を禁じます。
本書において、PwC とは、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、または文脈によりプライスウォーターハウスクーパース インターナショナル リミテッドを中心に構
成されるメンバーファームのネットワークあるいは PwC のネットワークに属する各メンバーファームを指しています。PwC の各メンバーファームは、別組織となっています。税
理士法人プライスウォーターハウスクーパースは、PwC のメンバーファームです。
PwC
4
Fly UP