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ウェルスマネジメントビジネスのデジタル化 求められる新たなニーズへの対応

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ウェルスマネジメントビジネスのデジタル化 求められる新たなニーズへの対応
ウェルスマネジメントビジネスのデジタル化
求められる新たなニーズへの対応
Service Overview
デジタル化は金融ビジネスに大きな変革をもたらしてきたものの、プライベートバンキングおよびウェルスマネジメント
(PBWM)ビジネスの分野においては未だ限定的と言えます。しかしながら、PBWM 業界を取り巻く環境は大きく変革を
しており、また、富裕層のニーズも近年大きな変化が見られることから、デジタル化への対応は不可避であると言えます。
特に、今後 10 年で業界における様々な変革が予想され、デジタル化に向けていち早く着手していく企業は、自社サー
ビスの価値向上と売上促進、オペレーショナルコストの削減、リスクマネジメントおよび規制・コンプライアンスなどの分
野において恩恵を享受することとなります。
Client Issues
近年、PBWM 業界を取り巻く外部環境の大幅な変化もさることながら、顧客である富裕層のニーズにも変化が生じてお
り、これらの変化が PBWM 企業自体のあり方に大きく影響を及ぼす可能性があります。
人口動態の変化
今後も定年を迎える人口の増加が見込まれ、退職に伴う収入の減少や維持に焦点を当てた新たな投資戦略が求められ
ています。さらに、資産の種類の多様化に伴い、投資以外のアドバイスの提供(ファミリーガバナンスなど)の重要性も増
しています。また、資産を保有する顧客である富裕層が高齢化していることから、世代間の資産移転は今後も加速してい
くと考えられます。移転先となる若年層世代はネットやモバイルなどのデジタル技術に慣れ親しみ、また、さまざまなパー
ソナルファイナンス嗜好を持つ傾向があるため、次世代の顧客のニーズを見越した対応も求められています。
顧客ニーズの変化
投資の意思決定に係る顧客の好みにも変化が見られます。株・債券・ファンドなどの商品に加え、不動産など幅広い種
類の資産に対するアドバイスの実施が求められていることに加え、従来型のアドバイザーとの対面コミュニケーションに対
する需要とともに、好きな場所で好きな時間にマーケット情報にシームレスにアクセスし、自分の資産ポートフォリオをさま
ざまな切り口で分析したいというニーズも拡大しています。また、投資の意思決定については、従来型であるアドバイザ
ー委任型の「クライアント・アドバイザー・リレーションシップ型」から、ソーシャルメディアを通じて情報にアクセスし、情報
交換を行ったうえで自ら投資決定を行う「セルフ・ディレクテッド・リレーションシップ型」へと変化しています。
テクノロジーの革新
テクノロジーの革新は幅広い分野で見られるものの、特にソーシャルメディア、モバイル、ビッグデータおよびクラウドの
分野での革新は目覚ましく、企業はこれらのテクノロジーを駆使し、アドバイザーの生産性の向上や顧客満足度向上に
向けて有益にビジネス活用することが求められています。たとえば、顧客の幅広いニーズをタイムリーに満たすため、顧
客が自身のモバイルなどを通じて自身の資産ポートフォリオの情報にタイムリーにアクセスするツールなど、顧客体験の
向上に資するテクノロジーの活用が求められています。
業界内競争の激化
テクノロジーの革新に伴い、業界内での競争も激しさを増してきています。PBWM 業界内でのテクノロジーの活用は、他
の金融サービスと比較すると限定的であると言えるものの、主導的な地位にある企業は、FaceTime を利用したアドバイ
ザーとのコミュニケーションツールの開発や、モバイルでの資産ポートフォリオ管理状況を確認できるアプリの開発など、
デジタル化を重要戦略として捉え積極的に投資する姿勢を見せています。
富裕層の高齢化が進む日本においても、顧客のデジタル化に対するニーズが存在することが顧客調査により判明して
います。カナダロイヤル銀行(RBC)が、日本の富裕層顧客に対し投資判断のため情報元のあり方の好みについて調査
したところ、従来型であるアドバイザーからの提案形態となる対面型の「クライアント・アドバイザー・リレーションシップ型」
を好むと回答した顧客は 9.7%に過ぎない一方で、デジタルを活用し自身で投資判断を行う「セルフ・ディレクテッド・リレ
ーションシップ型」を好むと回答した富裕層は 19.4%に上りました。また、デジタルを活用して資産管理を行いたいと回答
した顧客は年齢層に関わらず半数以上(注 1)を示しています。一方、総務省の調査によれば、日本における 60 歳から
79 歳の人口の半数以上がインターネットを利用している(注 2)と回答しており、富裕層に占める高齢者の割合が高い我
が国においてもデジタル化への早急な対応が望まれています。
Impacts
既存顧客である富裕層からのデジタル化に対するニーズを鑑みると、デジタル化への早急な取り組みが既存顧客の満
足度を高め他社への乗り換えを防ぐとともに、新規顧客の取り込みに対しても有効であると言えます。
PBWM 企業のデジタル化は、通常のオンラインブローカーが提供するサービスの質を超えて顧客である富裕層のニー
ズを満たすサービスの提供が求められます。情報提供時には、プル型とプッシュ型の情報サービスをバランス良く取り入
れ、タブレット端末やスマートフォンなど多様化するデジタルツールからのアクセス、専門家やアドバイザーへのタイムリ
ーなコンタクト、対面でしか実現し得なかったパーソナライズされた情報提供を可能とすることが重要であると言えるでし
ょう。
デジタル化は、PBWM 企業におけるフロントからバックオフィスに係るバリューチェーン全体に対し、業務の標準化、自
動化、効率化を促し、コスト削減に寄与することが期待されます。たとえば、オンラインチャットやビデオ会議機能を整備
することで、専門家やアドバイザーのアイドリングタイムを削減し、銀行口座情報の自動取得機能を搭載することで、従来
必要であった紙での手続きに係るプロセスが劇的に効率化されます。それにより、競争激化が著しい PBWM 業界にお
いて、企業は手数料の削減を通じて競争力を高め、他社との差別化を図ることが可能となります。
また、デジタル化はリスクマネジメントおよび規制・コンプライアンスの分野においても有効活用されることが期待されま
す。PBWM 企業に対する監督は年々強化され、コンプライアンス分野では多岐にわたる規制への対応を求められること
から、複雑化が増してきています。規制遵守しながら、当局や投資家からの要望へ迅速に対応するためにも自動ツール
の利用が有効であると考えられます。既に活用されている事例としては、アドバイザーにリスク管理やコンプライアンスチ
ェック機能、デジタルポートフォリオリスク管理機能などを埋め込んだタブレット端末を配布している事例が挙げられます。
リレーションシップマネージャーと顧客との面談時にタブレット端末からの操作を通じて顧客へ提案することにより、リスク
やコンプライアンスをタイムリーに勘案しながら顧客の状況に合わせた商品の提案が適時に可能になり、アドバイザーの
生産性向上と顧客満足度の向上が期待されます。
(注 1)RBC Wealth Management- Asia Pacific Wealth Report 2014
(注 2)総務省 情報通信白書
デジタル化は、アドバイザーや顧客体験の向上に寄与するのみならず、PBWM ビジネスの幅広い範囲で効率化をもた
らすことが期待されます。クライアントオンボーディング分野における効率性を見た場合、フロントオフィス、ミドルオフィス
およびバックオフィスの業務プロセスにおけるデジタル化の有効活用により、フルタイム当量の 15%~40%程度削減した
例もみられます(注 3)。特に、ミドルオフィス機能のデジタル化は、複雑化するリスクやコンプライアンス分野も含めた業
務統合やプロセスの自動化や最適化を通じ、インパクトが顕著に表れ易く、オペレーショナルコストの削減に大いに寄与
すると考えられます。
Our Approach
プライスウォーターハウスクーパース株式会社(PwC)は、顧客獲得からリレーションシップの構築まで幅広い範囲でのサ
ービス提供実績があり、顧客体験向上において重要な点を考慮しながら、クライアントの業界内での競争力強化に貢献
します。PBWM 企業向けに、有効なデジタル化に向けた 1)調査 2)デザイン 3)計画策定という 3 つのフェーズを 10 週
間で実施します。
1)
調査フェーズでは、外部環境や競合の事例を明らかにし、クライアントが定める戦略の有効性と目標を定め、戦略と
ケイパビリティの妥当性を評価します。
2) デザインフェーズでは、イノベーションフォーラムの開催を通じて、アイディア発想から実現すべきイノベーションの優
先順位を明らかにし、それらをもとに映像化とプロトタイプを作成します。
3) 計画フェーズでは、2 ヶ年から 3 ヶ年の戦略ロードマップ、ビジネスケースやデリバリーモデル、ハイレベルのモデル
ビュープレゼンターの計画策定を支援します。
(注 3)PwC 調査
また、私たちは、PBWM 業界を取り巻く規制・コンプライアンスなどの業界特有の専門知識から、プロトタイピングに至る
まで幅広い分野でのサービスを提供しています。
戦略的コンサルティングから、テクノロジーのデリバリーまでの幅広いケイパビリティ
クライアントの目標達成を支援するため、幅広いソリューションを通じてサービスを提供します。戦略、マネジメントコンサ
ルティング、クリエイティブデザイン、テクノロジー、リスク、サイバー、税務およびオペレーティングモデルの変更など様々
な分野の専門性を有しており、クライアントが求めるスキルを提供することが可能です。
顧客体験・デジタル・エクスペリエンス
PwC は、ビジョンから実行に至るまでの、顧客対応およびデジタル対応に係る幅広いケイパビリティと実績を有していま
す。私たちのデジタル設計および迅速なプロトタイピングチームは、コンセプトの実現化を早期にもたらします。
深い業界知識と洞察
PwC は、当業界におけるグローバルでの規制の課題やビジネス上の機会に関する深い理解を有しています。私たちの
PBWM 業界に係るリサーチや、ベンチマーク、主要なプラクティスの事例、ソートリーダーシップは、クライアント独自によ
るリサーチ内容を補足します。
PBWM 企業に対する実績の数々
PwC は、主要なグローバル・プライベート・バンクに対しても同様なデジタルバリューの提案を行ってきた実績があり、近
年も、日本および欧米の複数のトップ企業に対して、新たなデジタル化に係わる提案を行ってきました。これらの実績を
生かし、クライアントの業界内での競争力向上に貢献します。
Contacts
Junko Ito+81 90 6475 0633
[email protected]
Nozomi Ushijima+81 80 37280640
[email protected]
Brent Berg+81 90 6560 4378 [email protected]
Ian Novick+81 80 4731 0584 [email protected]
© 2015 PricewaterhouseCoopers Co., Ltd. All rights reserved.
PwC refers to the PwC network member firms and/or their specified subsidiaries in Japan, and may sometimes refer to the PwC network.
Each of such firms and subsidiaries is a separate legal entity. Please see www.pwc.com/structure for further details.
This content is for general information purposes only, and should not be used as a substitute for consultation with professional advisors.
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