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Breaking News 2011 年 1 月 20 日

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Breaking News 2011 年 1 月 20 日
Breaking News
FS Regulatory Centre of Excellence
2011 年 1 月 20 日
Omnibus II Directive(総括的 II 指令):欧州委員会が
ソルベンシーII 指令の修正案を発表
要約
2011 年 1 月 19 日、Omnibus II Directive の草案(暫定版)が発表された。この草案が適用されれ
ば、ソルベンシーII 指令は一部修正されることとなる。そこで、本レポートでは、Omnibus II が提案
する主要なポイントについて取りまとめた。
主要なポイント
実施日
施もしくは移行中である場合には、当
該第三国の同等性を認めるとしている。

監督当局向け報告に関するシステム
および方針-3 年間1を上限として、保
険会社は、監督当局向け報告のシス
テム・体制・ポリシーに関するソルベン
シーII 要件を満たさなくても、尐なくと
も、会計書類の作成と収益の定期的報
告に関するソルベンシーI 要件と同等
以上の厳格さを有する限りは、引き続
き、当該要件を適用することができる。

ガバナンス-3 年間を上限として、保
険会社は、ソルベンシーII のガバナン
ス要件を満たさなくても、尐なくとも、ガ
バナンス体制に関するソルベンシーI
要件と同等以上の厳格さを有する限り
は、引き続き、当該要件を適用すること
ができる。

情報開示-3 年間を上限として、保険
会社は、全てのソルベンシーと財政状
態報告書の公表を免除することができ
るが、尐なくとも、高い開示レベルでの
要約版を公表する必要がある。
ソルベンシーII の実施日は、予定より 2 カ月
遅れの 2013 年 1 月 1 日とする。
経過措置
Omnibus II は、欧州委員会が承認する経過
措置とその経過措置の最大移行期間に関
する提案を行っている。欧州委員会が採択
する実際の移行期間は最大許容移行期間
よりも短くなる可能性があることを明言してい
る。移行期間中の適用要件としては、尐なく
とも、現時点で保険会社や再保険会社に対
して適用している指令(ソルベンシーI)と同
等レベルの規制要件でなければならず、保
険会社に対して、できるだけ速やかに全て
のソルベンシーII 要件を満たすように働きか
ける必要がある。
経過措置の導入が予定されている主要な領
域の要約は以下のとおりである。

(第三国の)同等性-5 年間を上限とし
て、欧州委員会は、個別判断に基づき、
第三国(欧州経済域外) の監督当局が
第三国の同等性に関する全ての基準
を満たすようなソルベンシー規制を、実
1
もしくは 5 年、草案ではこの点の整合性が図れ
ていない。
Breaking News
FS Regulatory Centre of Excellence
2011 年 1 月 20 日

資産および負債の評価-10 年間を上限として、保険会
社は、ソルベンシーII の評価に関する要件を適用しなく
ても、2012 年 12 月 31 日に存在するローカルルールに
基づく方法で、特定の資産・負債を評価し続けることが
できる。

技術的準備金の計算-10 年間を上限として、保険会
社は、ソルベンシーII 要件を適用しなくても、尐なくとも
技術的準備金の計算に関するソルベンシーI 要件と同
等以上の厳格さを有する限りは、当該要件を適用し続
けることができる。

自己資本-10 年間を上限として、保険会社は、ソルベ
ンシーII の自己資本の階層(tier)に関する要件を適用し
なくても、尐なくとも、自己資本の分類に関するソルベン
シーI の要件と同等以上の厳格さを有する限りは、当該
要件を適用し続けることができる。

ソルベンシー必要資本 (SCR) -10 年間を上限として、
保険会社は、「移行期間中における SCR(暫定 SCR)」
が最低必要資本 (MCR)の合計額以上であり、かつ暫定
SCR が SCR と MCR の差額の 50%以上である場合に
は、修正されたストレスやシナリオ・相関係数・パラメータ
に基づく「暫定 SCR」を計算することができる。
経過措置の概要に関するより詳細な情報は、後記の付録に
記載されている。
欧州保険・年金監督機構(EIOPA)の責
務
Omnibus II では、EIOPA が 2011 年 12 月 31 日までに欧州
委員会へ提出するための、拘束力を有する技術的基準の素
案を作成する責務の範囲を明らかにした。さらに、Omnibus II
において、EIOPA が下記項目についても責務を果たすべきと
提案している。

ソルベンシーII において複数の当局間で共同して決定
すべき事項であるグループや子会社レベルで使用する
内部モデルの承認申請のように、各国の監督当局間で
生じた論争(不調和)を解決する。EIOPA の役割は各国
の判断を却下することではなく、監督当局間の見解の相
違を調停することにある。

流動性ストレス状況下の流動性プレミアムを含むリスクフ
リーレートに関する金利体系を公表する。

手法の調和を図るために、SCR を算出する標準フォーミ
ュラへの特定入力項目を公表する。

2
SCR 不適格後のリカバリー期間延長が容認される時期
を決定するために、「金融市場の大暴落」の条件を決定
する。
「規制から監督」、最近、EIOPA は、Omnibus II で提案された
拘束力を有する技術的基準の素案に関する計画を含む次年
度以降の行動計画を示したソルベンシーII 中期作業計画を
発表した。2
今後の予定
本指令の草案は、欧州理事会と欧州議会の承認が必要であ
ると考えられる。そして、本草案が承認されれば、修正案は
2013 年 1 月 1 日から実施されるソルベンシーII 指令に対し
て有効となる。
Omnibus II の指令には、経過措置が設けられる領域と最大移
行期間、移行期間中に最低限満たすべき要件の枠組みが盛
り込まれている。しかしながら、実際には、移行期間中の要件
や経過措置期間は委任法令によって決定される。この法案は
審議のために 2011 年 6 月に公表され、2011 年末までには
法令が決定されるものと思われる。したがって、経過措置によ
る影響は 2011 年半ばまでは明らかにならず、また 2011 年末
までは確定的にはならないと予想される。
最後に、事実上、この経過措置が、欧州全体にわたって法令
に盛り込まれることは注目に値する。そして、経過措置の本質
と移行期間は全ての加盟国間で一貫性が保たれる予定であ
る。
保険会社への影響
ソルベンシーII 指令が適用される保険会社は、Omnibus II 指
令で導入される修正項目の影響を受けることとなる。
保険会社がすべきこと
保険会社は、ソルベンシーII の実施計画に対する修正案の
影響度について検討を行いたいと思っているかもしれない。
本修正案の及ぼす影響度を考慮するにあたり、Omnibus II
指令の草案にて、欧州委員会の適用可能な最大移行期間
が設定されていることに着目すべきである。欧州委員会は、
保険会社がソルベンシーII へ完全移行するために必要な期
間を考慮した上で(場合によっては、原案の最大移行期間よ
りも短くなる可能性もあるが)、それぞれの経過措置項目にお
ける移行期間を決定する予定である。前述のとおり、法令が
公表される 2011 年下期までは、実施計画における経過措置
の影響度は明らかにならない。
<お問い合わせ先>
あらた監査法人
東京都中央区銀座8丁目21番1号
住友不動産汐留浜離宮ビル(〒104-0061)
[email protected]
http://eiopa.europa.eu/fileadmin/tx_dam/files/aboutceiops/WorkinProgress/SolvencyII-Medium-Term-Work-Plan-2011-2014.pdf
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2011 年 1 月 20 日
付録-ソルベンシーII 指令における経過措置一覧
領域
条文
経過措置が認められる要件
最大移行期間
移行期間中において満たすべき最小限の要件
監督当局向け報告に関する
35(5)
システムおよび方針
254(2)
監督当局向け報告に関する要件を満たすために必要とな
る適切なシステムの構築
3年
もしくは
5年
尐なくとも、ソルベンシーI 指令下での会計書類の作成
と収益の定期的報告に関する法令・規制および管理規
定に準拠していること。
提出した情報の妥当性が継続的に確保できるための、保
険または再保険事業の管理部門・経営部門もしくは監督
部門が承認する引受方針
ガバナンス
41(1)
41(3)
健全で慎重な経営を行うことのできる効果的なガバナンス
体制
(Omnibus II のド
ラフトとの不整合)
3年
尐なくとも、ソルベンシーI 指令下でのガバナンス体制に
関する法令・規制および管理規定に準拠していること。
ソルベンシーと財政状態報告書(SFCR)の公表
3年
尐なくとも、ソルベンシーII 指令が SFCR において要求
する情報に関して、高い開示レベルでの要約版を公表
していること。
リスク管理、内部統制、内部監査、その他関連業務の外部
委託に関連した引受方針
情報開示
51(1)
256(1)
資産および負債の評価
75(1)
取引に関して知識を有する自発的な当事者間でのアーム
スレングス取引に基づく評価
10 年
尐なくとも、2012 年 12 月 31 日に適用される資産・負債
評価に関する各加盟国の法令・規制および管理規定に
準拠していること。
技術的準備金の計算
76(2)
下記項目に関連する技術的準備金:
10 年
76(3)

保険会社が直ちに別の保険会社へ移転する必要の
ある債務相当額
尐なくとも、ソルベンシーI 指令下での技術的準備金の
計算に関する法令・規制および管理規定に準拠してい
ること。

金融市場にかかる情報と引受リスクに関する入手可
能な一般データを用いた計算および整合性

リスクマージンを加えたベストエスティメイトの計算

データを適切、完全、かつ正確に利用できるような内
部プロセスおよび内部手続き

改正された評価方法の準拠
10 年
尐なくとも、ソルベンシーI 指令下での自己資本の分類
に関する法令・規制および管理規定に準拠しているこ
と。
76(5)
自己資本の階層(Tier)
94
自己資本を Tier1, Tier2, Tier 3 へ分類する基準
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2011 年 1 月 20 日
領域
条文
経過措置が認められる要件
最大移行期間
移行期間中において満たすべき最小限の要件
ソルベンシー必要資本
100(パラグラフ 1)
(SCR)
101(3)
・ 期間 1 年の 99.5%VaR に相当する SCR 水準
SCR をカバーするための自己資本の保持
10 年
「暫定 SCR」の計算過程で、ストレスやシナリオ・相関係
数・パラメータに対して SCR の標準的手法とは異なった
修正が含まれる可能性がある。このとき、暫定 SCR は、
SCR 以下で MCR の合計額以上、そして SCR と MCR
の差額の 50%以上でなければならない。また、暫定
SCR を適用した場合、追加資本の必要性は暫定 SCR
の前提を考慮した上で判断がなされる。
103
・ 尐なくとも年 1 回の SCR の計算実施(リスクプロファイルを
変更した場合、遅滞なく SCR の再計算を実施すること)
10 年
213(2)(C)
グループ SCR 以上の自己資本を保持するための欧州経
済地域と第三国に拠点を置く保険グループに対する要件
グループ自己資本およびグループ SCR の計算は、自
己資本の階層分類や単体レベルの暫定 SCR の計算の
際に適用する経過措置に従って行う必要がある。また、
暫定グループ SCR をカバーするグループ全体の適格
自己資本は、グループで使用可能でなければならな
い。
第三国の
172(3)、134(1)
下記に掲げる第三国の同等性を評価するための基準:
5年
同等性
227(1)

第三国のグループ監督体制
第三国へ適用する条件は法令によって特定され、以下
に掲げる条件を満たす必要がある。
261(1)

第三国の保険事業および再保険事業に対して適用
するソルベンシー体制
104
・ 標準的手法における SCR 計算の規定構造
37(1)(a)
37(2)
グループ SCR
218(2)-(3)
標準的手法における SCR がリスクプロファイルを捉えてい
ない場合の自己資本の上乗せ
・ 99.5%VaR をカリブレートするために必要となる自己資本
の上乗せ

第三国の再保険事業に対してのみ適用するソルベン
シー体制

第三国の監督当局によるコミットメント

長期にわたっての、第三国の同等な体制へのコン
バージェンス

体制もしくはそれに準じたものの存在

協力事項、情報交換および守秘義務
この決定は個別判断で行われ、定期的に見直される予
定である。
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