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ファンドニュース クラウドファンディングによるファンドの今後の可能性 はじめに
ファンドニュース クラウドファンディングによるファンドの今後の可能性 2014 年 1 月 はじめに 2013年12月25日、金融審議会から「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グルー プ」の報告書が公表されました。この中で「クラウドファンディング」について言及されている部分があります。近頃、よく聞 かれるようになったこのクラウドファンディングについて、集めた資金をプールして投資を行うという「ファンド」の一類型と なるものありますので、今回のニュースではこれを解説しようと思います。 クラウドファンディングの現状 クラウンドファンディングは、インターネット上でSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などを通じて、多数の投資家 から比較的少額ずつ資金を集めることと一般的にはいわれています。このクラウドファンディングが注目を集めつつある のは、近年のIT、モバイルデバイスおよび決済手法などの技術革新が、投資機会を提供できる潜在投資家の範囲の拡 大とそれに要するコストの低下をもたらし、従来では困難であったロングテールな投資機会を求める潜在投資家に対す るアプローチ手法が劇的に改善していることが考えらます。 クラウドファンディングの決済システムなどのプラットフォームを提供する会社では、様々な投資機会が紹介されており、 それらを簡単に比較検討することも可能となっています。 大きく分けてクラウドファンディングには1)リターンが期待されるものと、2)寄付のようにリターンが期待されないものに 分けることができます。現在のところ日本では、社会貢献活動を主な目的とした後者に分類されるものが比較的多く見ら れますが、前者のような投資リターンを期待できるものについても少しずつ事例が出てきています。 投資リターンが期待されるクラウドファンディングは、資金提供者が投資リターンを求めて資金を提供するという点で、 証券投資信託などの伝統的なファンドと同様ですが、クラウンドファンディングは、その特徴を生かして比較的小規模な 投資機会へのファンディングを可能にすることで、新規のビジネスにリスクマネーを供給する新しい手法となる可能性を 秘めています。 金融審議会における提言 現在のところ、主として有価証券に投資するような伝統的なファンドでは、潜在的な投資家を含む投資家の保護が要 請されるため、多数の投資家から資金を募る場合には、一定の要件を下回らない限り、原則として金融商品取引法の開 示ルールなどに服することになります。 これに対してクラウドファンディングではその小規模性に特色があり、新しいビジネスにリスクマネーを供給するという観 点から、その促進と投資者保護についてバランスのとれた規制のありかたが模索されるところですが、今回の報告書では 次のような規制緩和の必要性や必要な措置を講じることが提案されています。 仲介を行う業者の要件の緩和と規制 クラウドファンディングにおいては、投資機会と投資家の仲介を行う業者が重要となりますが、インターネットを通じ た一人当たり投資額や発行総額が一定額以下(少額の範囲としては「発行総額1億円未満かつ一人当たり投資額 50万円以下」とすることが考えられるとされています。)のファンドの募集や私募の取扱いを行う者に限定して、この 業務を行う金融商品取引業者への参入要件を緩和することとされています。 投資家保護 クラウドファンディングでは、インターネットを通じて手軽に多数の者から資金を提供できる仕組みであることを踏ま えると、詐欺的な行為に悪用されることのないように必要な情報が投資家に提供されることを担保する必要がありま すが、このため、発行者に対するデューデリジェンス、発行者および仲介者についてのインターネットを通じた必要 な情報の提供が行われるような制度を設けることが提案されています。 自主規制 投資家が安心して投資できる環境を整備する上では、当局による規制・監督のみに頼るのではなく、業界の自主 規制機能が適切に発揮されることが重要だと考えられますが、現在、低い加入率にとどまっている第2種金融商品 取引業者の自主規制機関を活用してより実効性のあるルール作りをすることが検討されてます。 クラウドファンディングは比較的新しい資金調達の仕組みではあるものの、米国では既に法律が設けられ、一定の枠 組みの中で、事実上困難であった投資家型クラウドファンディングによる資金調達の途が開かれました。我が国において も、今後、発展が期待される分野であり、今後の動向に期待したいと思います。 文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることを申し添えます。 あらた監査法人 第3金融部(資産運用) 太田 英男 あらた監査法人 第3金融部(資産運用) お問い合わせフォーム 本冊子は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナル からのアドバイスを受けることなく、本冊子の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本冊子に含まれる情報は正確性または完全性を、 (明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではありません。また、本冊子に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされ たり、起こされなかったことによって発生した結果について、あらた監査法人、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認められる範 囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2014PricewaterhouseCoopers Aarata. All rights reserved. PwC refers to the PwC Network member firms in Japan and/or their specified subsidiaries, and may sometimes refer to the PwC Network. Each member firm is a separate legal entity. Please see www.pwc.com/structure for further details.