...

中新世から発見された Pentactinocarpinae 亜科の種について(予報)

by user

on
Category: Documents
34

views

Report

Comments

Transcript

中新世から発見された Pentactinocarpinae 亜科の種について(予報)
423
中新世から発見された Pentactinocarpinae 亜科の種について(予報)
中世古幸次郎*・長田享--** .西村明子*
Discovery of Miocene Radiolaria belonging to Pentactinocarpinae
in Japan (Preliminary Report)
Kojiro NAKASEKO ,* Kyo > chi NAGATA**and Akiko NISHIMURA 嚇
Abstract Mehttosphae γa hokunkuensls from t
h
eYatsuoGroup(Middle Miocene)was r
e
p
ュ
orted by Nakaseko. After reexaminationo
f theinternal structureo
ft
h
i
sspec 問 5 , i
twas
ascertained t
h
a
t the species belongs t
o theIsubfamily Pentactinocarpinae. \司í e assigned
i
t
Pentactinosphae γα hokurikuensis
(NAKASEKO) as a tentative name
1.まえカずき
筆者の一人中世古は,富山県の八尾層群の放散虫
2. Melitfosphaera hokurikuensis
Melittosphae 叩
について
hokurikuensis は八尾層群の西道
を記載したが,その際,八尾局群の西道島泥岩の放
島層から最初に報告された極で
Cyrtoc αpsella
散虫群集の中から Melι ltosphαeγα hokurikuensis
lelrapera Zone
NAKASEKO の新穏を設定した (~.AKASEKO.1955) 。そ
る。本種は,中世古の記載によると小さな内殻と殻
の後,常毒草地 I或の亀ノ尾泥岩から大部分本種によっ
のきわめて厚い外殻からなり,外殻がきわめて 厚い
て出められる群集が発見されたが,特徴的な随伴種
点が本種の大きな特徴である。内殻はきわめて小さ
のf.F.出がなく,この群集の層準についでは,正確に
く,径は外殻の 0.2 倍で,六角形の大きな pore が径
は不明であった。長田は北海道・常聖書・能登におい
に 3 伊l みられる。外殻は,その従の約 0 . 13倍に達す
に入る 。 その時代は中新世中期であ
て類似の群集を発見し,目下その産出層準について
る厚い壁をもち,丸い pore が規則的に配列し,後
検討中である。 一 方,中世古は西村とともに新第 三
に約 12j阻みられる。中世-t, I j: ,球状の内殺と外殻と
紀の放散虫について走査型電顕による内部構造の研
からなり
究を開始し,穆の再検討を行っている。最近,長田
属に入れた。その後.亀ノ尾 iTt.岩から産出した,
が北海道の直別層から採集した Mel ι IIOSph α era
Melittosphae 叩 hokurikuensis についで多数の写真
hoku口 kuensis の保存良好な標本について検討を加え
fti!彰を行うと fd]R寺 l 二百宇和!な計測を行い,タ卜売止の厚さ
radial
spine がないので Melittosph αeγα
た結果,この種は DUMITRICA が設定した Pentacti
についてはかなりの範囲で変化するが内搬の大きさ
nocarpmae 亜科に M するものであることが判明した
や形状は類似し,外殻の pore の数もほぼ 一 定してい
ので、報 itf することにする。
ることから同 一 種としている(未発表)。
本文に入る前に発表の機会を与えて下さった石油
長田は,本穏を岐阜県瑞浪の主主 f表層,能登の法{主
資源開発附技術研究所主任研究員米谷盛翼手郎博土お
寺層,常聖書の亀ノ尾泥むおよび北海道の直別層中部
よび珪渓化石を同定下さった大阪大学教養部地'主教
などから発見しでいる 。今 回 ,
室の小泉格博士に深く謝意を表したい。
古の模式標本と比較し.いすれも Melit
峨大阪大学事主養部地学 教 室
I
n
s
t
i
t
u
t
eo
fG
e
o
l
o
g
i
c
a
l5
c
;
e
n
c
e
s
.C
o
l
i
e
g
eo
fG
e
n
e
r
a
l
Educat;on, Osaka Universit)' , T
o
y
o
n
a
k
a 560, JAPAN
H 石油資源開発L附技術研究所
J
a
p
a
nP
e
t
r
o
l
e
u
mE
x
p
l
o
r
a
t
i
o
nC
o
.
.L
t
d
.
これらの標本を中世
tosphaera
hokurikuensis に入るものであることを政認した。つ
いで保存が良好で,多 f註 に産出する直別 wí の根本に
ついて走査型電lIf,i による内音1I 情造の検討を行った。
中世古孝次郎・長田享一・西村日月子
424
pentactme
その結果,本径は図版に示すように,
に胤するもので\現在 三 笠紀にのみしか知られてい
spícu\e によって内殻が桃成されていることが判明し,
なし」しかし類似的なものとして第四紀の Holla7UJo­
DUMITRICA が設定した Pentact 匤ocarpinae 亜科に入
sphae γα あ、よび Tetrapetalon があげられる。今回新
る。
第 三 紀から Pen t
a
ct
i
nocar
p
inae 亜科に属する種が発
見されたことは,本亜科の進化を考察する上で,そ
3. Pentactinocarpinae 亜科について
Pentact
inocarpínae 亜科は,
の意義は大きい。また.走査型電顕による内部構造
DUM lT RICA によりイ
タリーやルーマニヤの 三 畳車己から報 ti されたもので.
ーー本の apíca\
spíne と四本の 一 点、で結合した basa\
sp lO e からなる (DUMITRICA , 1978)Q
Pe
n
laclinocαゅus で\
Type genusは
の研究がきわめて重要であることを物語っているも
のと思われる。
4. Pentactinosphaem hokurikuensis の産出
層準について
その Type species は,図に示
Penl αctinosphaerα hokurikuensis の産出の判明し
した P. (usi(o γm!s である。
ている地層は,以下のようである。
1)八尾層群西道島層:ここで産出したものが模式
標本で ,
Cyrtocαpsella tetrape 叩 Zone の最下部
であり,恐らく;\ 10 に当るものと f住定される。な
お,声量出頻度はきわめて低い。
2)能登の飯町および法住寺府:ここでは産出頻度
l まや 訟 多く ,
Melitlosph α era 叫 αgnαpo 門dosa
Zone ,
E圭磁の Denticulopsis l
a
u
t
a Zone で\N9 に 当 る。
3)岐阜県の E岩波胤群生{表層:ここで産出したもの
/;1:,
M.mαgnaporulos αZone I こ入る。なおi)正出
頻度は低い。
4) 三 重県の 一 志桝群:本財群からは殆人ど P
Figure 1
1
.P
e
n
l
a
c
linoc α rpus f
u
si
f
o
r
m
i
s D 仁~IlTRICA
2
.P
e
n
l
a
c
l
i
n
o
c
a
r
p
u
s let γα caη thus DC MlTRIιA
に 当 り,
J978)
from DCMITRICA (
Melittosphaera hokuTikuensis
ap兤a¥ spine と
の内殻/;1:. ,本の
争点で交叉する山本の
を持ち,それそれは延長しで
basal
spine
radial beam となり
a
p
i
c
a
¥ spine と同様に外殻と接必:する。また, apica\
spme の反対 iHlJ にはー本の basal spine があり,これ
も延長して外殻に接合する。乙のような内殻の権造
は,
[i(j に /1( した
Pent 町 linocarpus
DUM lT RICA にー致し,
しかし ,
相輿し,
tetγαcanthus
PentactinocarpinaeI 二人る。
M. hokurikuensis
は岸い外完全を有する点てい
7J IJJif,に泌するものと忠われ,
ー応、 Pentac-
linosphae γα( 仮材、 )とよぶ新属を設定することにし
た。従つで M.
hokurikuensis よりなる群集がみとめられる。珪五主
化石を調査した結果
hokurikuensis NAKASEKO は , Pen-
Ki
s
s
e
l
e
v
i
e
l
l
ac
a
r
i
n
a Zone
":\7 に人る。
5)常君主 地峨の亀ノ足/腎:本 1凶からは多試の保存良
好な標本が得られた。法藻化石から K i
s
s
e
l
e
v
i
e
l
l
a
cα打 na Zone に入る。
6)北海道奥尻島の釣懸府:本格は
po γulosa 7. one に人る。
M.
magna-
主主出頻度はや、低い。
7)北海道の直別府中部:木屑からは多抵の保存良
好な燃本が得られた 。
法認化石の結果では
Acti ・
仰のIclus ing 開s Zone に入る。
以上が現花まで判明している P. hokurikuensis
の
産出 10 で放散虫では Meli It osphae γαmαgnapo 円dosa
Zone の H立から Cyrlocαpsellα lel叩pera Zoneの転
下部まで,珪i!liiの K i
s
s
e
l
e
v
i
e/
l
acα Tina Zone から,
tactinosphα erα hokurikuensis (0." AKASEKO) となる。
Denticulopsis laul αZone までの層準に入り, N7 から
なお,本絹については目下詳細に研究中で,改めて
NIO までの range を持つものと推定される。従来.
再記載し発表の予定である。
日本の新第二系放散虫生!凶作 l 主治下位に M. magηa-
Pentactinocarpinaeij五科は, Pa\aeoscenidiídae 科
porulosa Zone
がくるが,
その下位に P.
hokuriku
中新世から発見された Pen t
a
ctinocarpinae 亜科の極について
enSlS の acme Zone を設定できると思われる。産出
層 準については今後詳細に検討する考えである。
参考文献
DUMI
T
R
I
C
A
.P. (
1978) :Triassic Palaeoscenidiidae
and Entactiniidae from t
h
e Vicentinian Alps
(
It
a
l
y
)
and
Eastern Carpathians (Romania)
D縒i de seam
HOLLANDE A. ,
岳 volution
a
l
e ~edin!elor,
vol
.64 , p
.39-54.
& ENJUMET M. (
1960)
e
t
syst岳 matique
Cytologie ,
des Sphaeroides
.H
i
s
l
.
(Radiolaires). A 刊 h. Mus. Nat
Nα tuγ ,
ser.
7 , vo l. 2 , p
. 1-134 , pl
.1-64.
NAKASEKO.K. (
1955) :Miocene Radiolarian Fossil
Assemblage from t
h
e Southern Toyama Prefec.
ture i
n Japan. S
c
i
. Repl. Soulh &
No γlh
Osaka Uη 山. no.4 , p.65-127 , p1
.1-11
.
College ,
(f 報)
425
426
中世古幸次郎・長田
享一 ・西村日月子
PJale 1
Plate 1
1-3 Pentactinosphaerα hoku γ ikuensis (NAKASEKo)Af-79-497
1 , 2 lateral vホew showing internal structureX475
3a apical oblique 、 Îe\\" showing pentactine spicule X 475.
b
_ whole view X190
Fly UP