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ロシア極東地方八バロフスクコンプレックスか ら産出 した 三畳紀 ・ジュラ紀放散虫化石 Triassic and Jurassic

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ロシア極東地方八バロフスクコンプレックスか ら産出 した 三畳紀 ・ジュラ紀放散虫化石 Triassic and Jurassic
大 阪 微 化 石 研 究 会 誌,特 別 号,第8号,p.9-19,1992年8月
NOM,Spec・Vo1・,No・8,P.9-19
,August1992
ロシア極東地方八バロフスクコンプレックスか ら産出 した
三畳紀 ・ジュラ紀放散虫化石
脇 田 浩 二*・ 小 嶋
Boris
智**・
岡 村 行 信***
A. NATAL'IN **** • Sergei V. ZYABREV****
Triassic
and Jurassic
from the Khabarovsk
Radiolaria
complex,
eastern
Russia
Koji WAKITA*, Satoru KOJIMA**,
Yukinobu OKAMURA***, Boris A. NATAL'IN****,
and Sergei V. ZYABREV****
Abstract
Middle Triassic and late Early to early Middle Jurassic radiolarians are extracted from the rocks in
the Khabarovsk complex, at the outcrops to the south of the railway bridge over the Amur River near Khabarov sk, eastern Russia. The Khabarovsk complex is a tectonic melange which includes blocks and slices of chert ,
siliceous shale, sandstone, basalt, limestone, and psammitic and pelitic schists within sheared shale matrices .
Two rock samples of reddish brown bedded chert yield Middle Triassic radiolarians , such as Triassocampe
deweveri, Pseudostylosphaera cf. japonica and P. cf. tenue. One rock sample of reddish brown siliceous shale yields
late Early Jurassic radiolarians, such as Hsuum hisuikyoense, Tricolocapsa plicarum and Eucyrtidiellum sp . A.
Another rock sample of reddish brown siliceous shale yields early Middle Jurassic radiolarians , such as Tricolocapsa plicarum, T. (?) fusiformis and Stichocapsa japonica. These Jurassic radiolarian assemblages are almost coeval
with the Laxtorum (?) jurassicum Zone and Tricolocapsa plicarum Zone (MATSUOKA
and YAO, 1986), respectively.
Lithology, structure, and ages of the rocks in the Khabarovsk complex is very similar to those of the sedimentary complexes in the Mino terrane (central Japan) and in the Nadanhada region (Northeast China) . The evidence
suggests that the complexes of the three regions belong to a single disrupted terrane in Jurassic to early
Cretaceous time.
は
じ
め
て き た.そ
に
れ ら の 結 果(MlzuTANIetal.,1981;脇
岡 村,1982;脇
中・
古 生代 の放 散 虫化 石 の 研 究 は,1970年 代 末 か ら1980
嶋,1984;WAKITA,1988)や
年 代 に か け て急 速 に進 展 し,メ ラ ン ジ を含 むdisrupted
告 に よ っ て,美
terrane(JoNEsetal.,1983)に
れ たdisruptedterraneで,石
お い て,そ の複 雑 な地 質
田 ・
田,1983;ADAcHI&KoJIMA,1983;小
濃 帯 は,ジ
他 の研 究 者 の最 近 の研 究 報
ュ ラ紀 一前 期 白亜 紀 に形 成 さ
炭 紀 一 二 畳 紀 の 石 灰 岩 ・玄
構 造 や発 達 史 の解 明 に大 きな 役割 を果 た して きた.さ ら
武 岩,二
に放 散虫 化 石 に よっ て テ レー ンの広 が りや テ レ ー ン相互
亜 紀 の 珪 質 頁 岩 ・泥 岩 ・砂 岩 か ら な っ て い る こ と が 明 ら
の関 係 を論 じ る こ と も可 能 にな っ て きた.
か に さ れ た.
著 者 らの う ち小 嶋 ・脇 田 ・岡村 は,放 散虫 化 石 を用 い,
**
串**
****
ュ ラ紀 一 前期 白
ま た,MIzuTANIetal.(1986)やKoJIMA(1989)は,
西 南 日本 内帯 の 美濃 帯 に分布 す る堆 積 岩類 の研 究 を続 け
*
畳 紀 一 ジ ュ ラ 紀 の チ ャ ー ト,ジ
中 国 東 北 部 那 丹 吟 達 地 域 の 地 質 調 査 を 行 い,こ
の地 域 に
地質調 査所 国際協 力室. International
Geology Office, Geological Survey of Japan, Tsukuba, 305 Japan.
名古屋 大学理 学部 地球惑 星科学 教室. Department
of Earth and Planetary
Sciences, Nagoya University,
Nagoya, 464-01 Japan.
Geological Survey of Japan, Tsukuba, 305 Japan.
地質調 査所海 洋地 質部. Marine Geology Department,
Institute of Tectonics and Geophysics, Academy of Sciences, 65 Kim Yu Chen Street, Khabarovsk
680063 , Russia.
9
Fig.1.Tectonicmapof
easternRussia(1)East
Sikhote-Alinvolcano-pultonic
belt;(2)Khingan・Okhotsk
volcano-pultonicbelt;(3)Amur
complex;(4)Khabarovsk
complex;(5)Precambrian
massif;(6)suturezone.
Modifiedfrom
NATAL・IN&ZYABLEv(1989),
U.S.S.R:PresentRussia
分 布 す る 堆 積 岩 類 が 美 濃 帯 と 同 様 の 岩 相 ・地 質 時 代 ・地
ス ク コ ン プ レ ッ ク ス と ア ム ー ル コ ン プ レ ッ ク ス)に
質 構 造 を有 す る こ と を 明 ら か に し,2つ
る 岩 石 が 分 布 し て い る(Fig.1).こ
て は 連 続 し た1つ
の 地 域 が,か
つ
の テ レ ー ン を形 成 し て い た も の と 考 え
た.そ
し て,那 丹 吟 達 地 域 と 国 境 を 隔 て て 隣 接 し て い る
'ロシ ア 極 東 の ハ バ ロ フ ス ク 地 域 に つ い て も
,NALIVKIN
(1965,1973),MAzARovIcH(1982),野
林(1984)ら
田(1956),小
の 記 載 に 基 づ き,那
バ
Pacific"に
の 延 び の 方 向 が 斜 交 し て い る.
ハ バ ロ フ ス ク コ ン プ レ ッ ク ス は,ハ
基 質 と,そ
シ ー ト は,チ
ロ フ ス ク で 開 催 さ れ た 国 際 シ ン ポ ジ ウ ムttTectonics
Resources は,そ
バ ロ フス ク周 辺 に
断 され た 泥 岩
こ に 含 ま れ る い ろ い ろ な 大 き さ の テ ク トニ ッ
ク ブ ロ ッ ク や テ ク トニ ッ ク シ ー トか ら成 る .ブ
著 者 ら の う ち 小 嶋 ・脇 田 ・岡 村 は,1989年9月,ハ
Mineral の 摺 曲 帯 は,同
じ く中 生 代 の 摺 曲 帯 で あ る南 東 の シ ホ テ ア リ ン摺 曲 帯 と
分 布 し て い る テ ク トニ ッ ク メ ラ ン ジ で,勇
丹 吟 達地 域 や美 濃帯 と
同 様 の テ レ ー ン に 属 す る 可 能 性 を 指 摘 し て い る.
Energyand の2つ
,
of North-West
属 す
ャ ー ト,珪 質 頁 岩,砂
岩,玄
ロ ックや
武 岩 ,石 灰 岩,
結 晶 片 岩 な ど か ら な る.NATAL・IN&ZYABREv(1989)
に よ れ ば,石
灰 岩 は,後
期 石 炭 紀 の 有 孔 虫 ,二
畳紀のサ
出 席 し,そ の 折 に 行 わ れ た ,ハ バ ロ フ ス ク 近 郊
ン ゴ ・紡 錘 虫 ・コ ノ ド ン ト,後 期 三 畳 紀 の コ ノ ド ン ト ・
の ア ム ー ル 川 岸 に 分 布 す るハ バ ロ フ ス ク コ ン プ レ ッ ク ス
斧 足 類 ・ア ン モ ナ イ ト ・有 孔 虫 な ど の 化 石 を含 ん で い る .
の 産 状 を 観 察 す る 野 外 巡 検(NATAL・INとZYABREvの
ま た,チ
に よ る)に
参 加 し た.こ
案内
の巡検 の際 得 られ た試 料 につ い
て 放 散 虫 化 石 の 抽 出 を 行 い,い
く つ か の 試 料 か ら保 存 良
好 な 中 生 代 放 散 虫 化 石 を 得 た の で こ こ に 報 告 し ,そ
の地
質 学 的 意 義 に つ い て 考 察 す る.
地
質 概
ャ ー トか ら は三 畳 紀 の 化 石 の 他 に,ジ
は 勢 断 を 受 け て い る の で,含
岩基質
まれ る 化 石 の 保 存 は悪 い が ,
前 期 白 亜 紀 の 放 散 虫 化 石 が 見 つ か っ て い る .た
だ し,こ
れ ら の 放 散 虫 化 石 の 同 定 に は 光 学 顕 微 鏡 が 用 い られ,走
要
査 型 電 子 顕 微 鏡 は使 用 さ れ て い な い との こ と で あ る
(ZYABREV,私
ロ シア極 東 ハバ ロ フス ク地域 は,先 カ ン ブ リア時代 の
変成 岩 とその 間 を埋 め る古生 代 の花 南岩 類 か らな る ブ レ
ヤ地 塊 の東 方 に あ た り,2つ
ュ ラ紀 か
ら前 期 白 亜 紀 の 放 散 虫 化 石 が 報 告 さ れ て い る .泥
の中 生代 摺 曲帯(バ バ ロ フ
信).
ア ム ー ル コ ン プ レ ッ ク ス は,主
よ び 塊 状 砂 岩 か ら な り,部
含 む.砂
として砂 岩 泥 岩 互層 お
分 的 に オ リ ス トス ト ロ ー ム を
岩 泥 岩 互 層 中 に は典 型 的 なBoumasequenceが
ソ連極 東地方か ら産 出 した三畳 紀 ・ジュラ紀放散 虫化石
観 察 さ れ,flutecastやgroovecastな
ど の 底 痕 も認 め
ZYABREv(1989)は,ア
ら れ る.泥
ば し ばい ろい ろ
填 堆 積 物 をoffscrapingす
岩 優 勢 な 砂 岩 泥 岩 互 層 は,し
な 程 度 に 破 断 し て い る.ア
ム ー ル コ ン プ レ ッ ク ス は,初
質 体,ハ
11
ム ー ル コ ン プ レ ッ ク ス は海 溝 充
る こ とに よっ て 形 成 され た地
バ ロ フ ス ク コ ン プ レ ッ ク ス は よ り深 所 でunder-
生 的 に は南 東 フ ェ ル ゲ ン ツ の 鱗 状 の 積 重 な り(imbricate
Platingに
stack)で
火 山 ・深 成 岩 帯 は こ の サ ブ ダ ク シ ョ ン 帯 に 伴 う 火 山 帯 と
あ っ た も の が,後
世 の多 重 変 形 を受 けて 現在 で
は複 雑 な構 造 を 形 成 す る よ うに な っ た もの と解 釈 さ れ
る.
よ っ て 形 成 さ れ た 地 質 体,Khingan-Okhotsk
考 え て い る.
ハバ ロ フス ク近 郊 の ハ バ ロフ ス ク コ ンプ レ ック ス
ハ バ ロ フ ス ク コ ンプ レ ッ クス の泥 岩 基 質 とアム ー ル コ
ン プ レ ッ ク ス の 陸 源 砕 屑 物,お
北 西 に 位 置 す るKhingan-Okhotsk火
よ び両 コ ンプ レ ッ クス の
山 ・深 成 岩 帯(Fig.
1)の 地 質 時 代 は い ず れ も 前 期 白 亜 紀 で,3つ
ほ ぼ 同 じ頃 に 形 成 さ れ て い る.ハ
の地 質体 は
バ ロ フス クコ ン プ レ ッ
こ の 報 文 で 扱 っ た 放 散 虫 化 石 の 産 出 地 点 は,ハ
橋 の す ぐ 南 で,ア
ム ー ル 川 東 岸 に あ た る.こ
NATAL,IN&ZYABREv(1989)に
さ れ,詳
て,ア
の ル ー トマ ッ プ の 北 半 部 を,一
重 な っ た 地 質 体 で あ る.こ
れ ら の こ と か ら,NATAL'IN&
の露頭 は
よ っ て 詳 し く調 査 検 討
ク ス は典 型 的 な テ ク トニ ッ クメ ラ ン ジ で あ る の に対 し
ム ー ル コ ン プ レ ッ ク ス は タ ー ビ ダ イ トが 鱗 状 に積
バ ロフ
ス ク 近 郊 を 流 れ る ア ム ー ル 川 に か か る シ ベ リア 鉄 道 の 鉄
細 な ル ー トマ ッ プ が 作 ら れ て い る.Fig.2は,そ
部,加
筆 修 正 した もの で
あ る.
Fig. 2. Geologic sketch map
of the Khabarovsk complex
along the Amur River, near
the Khabarovsk area.
Numbers (JMP1799, etc.)
represent localities of the
Radiolaria-bearing samples.
Inset map shows the position
of the mapped area. Modified
from NATAL'IN& ZYABREV(1989).
USSR : Present Russia
12
本 ル ー トの南 半 部 は変 成 岩 類,北 半 部 は非 変成 岩 類 か
産 出 した放散虫化石
ら構 成 され,両 者 は断層 で 接 して い る(Fig.2).変 成 岩 類
の原 岩 は砂 岩 と泥 岩 で,砂 岩 が 卓越 してい る.泥 岩 優 勢
部 で は,片 理 構 造 が 発達 して い る.一 部 で 北西 な い し西
に傾 斜 した部 分 もあ るが,全 体 と して は60-80.の 急 傾 斜
今 回,こ の 巡 検 ル ー トで20数 個 の 岩 石 試 料 を 採 取 し た.
これ ら を 日本 に お い て フ ッ 化 水 素 酸 で 処 理 し,放
石 の 抽 出 を 試 み た.し
か し,多
散 虫化
く の 試 料 で は,放
散 虫化
で南 東 に傾 斜 して い る.ま た,走 向 方 向 に平行 な い し,
石 の 保 存 が 悪 く,同
わず か に 斜交 し たい くつ か の断 層 に よって 分 断 され てい
ら れ な か っ た.わ
る.こ の変 成 岩 類 は,中 央 シ ホテ リア ンや 沿海 州 の地 層
2試 料 か ら同 定 で き る 化 石 が 得 られ た の で 以 下 に 報 告 す
との,岩 相 上 の対 比 か ら,上 部 古生 界 とみ な され てい る
(NATAL,IN&ZYABREv,1989).
料 お よ び珪 質 頁岩
る.
産 出 し 同 定 し た 放 散 虫 化 石 の リ ス ト をTable1に
非 変 成 岩類 は,チ ャー ト ・珪 質 頁岩 ・メ ラ ンジ か らな
る.走 向 は北 東 一 南 西 で南 側 は南 に,北 側 は北 に45-80.
傾 斜 して い る.各 岩 相 は,走 向 に ほぼ平 行 な断 層 で接 し
て い る.
た.化
石 の 保 存 状 態 は 珪 質 頁 岩 で は よ い が,チ
は 悪 い.し
た が っ て,珪
得 た が,チ
ャ ー トで は3∼4種
示 し
ャ ー トで
質頁 岩 で は多 くの化 石 を同定 し
に 限 ら れ て い る.
珪 質 頁 岩 の う ち 試 料1799は,Hsuumhisuikyoense(P1.
チ ャー トは主 に赤褐 色,一 部 灰 緑色 を呈 し,厚 さ14cmの 珪質 部 と,1-5mmの
定 及 び 時代 決 定 に耐 え得 る化 石 が得
ず か に チ ャ ー ト2試
泥 質部 が リズ ミカ ル に互 層
1-7),TricolocaPsaminoensis(PI.2。9),Eucynガdiellum
sp.A(Pl.3-9)な
ど を産 す る.ま た 試 料1800は,7「
してい る.チ ャー ト中 に は しば しば閉 じ た非対 称 摺 曲 が
saPlicantm(PL2-10),TricolocaPsa(?)fuszformis(P1.
観 察 され る.チ ャー トか らは中 期三 畳 紀 の コノ ドン ト化
2-8),StichocaPsa7'aponica(Pl.3-12,13>,Archicapsa
石 が 報 告 され て い る(NATAL・IN&ZYABREv,1989).珪
質 頁 岩 は,赤 褐 色 及 び灰 緑 色 を呈 す る.赤 褐 色 珪 質 頁 岩
Pachyderma(Pl.2-12),Trillussp.な
試 料1799の
ど を産 す る.
放 散 虫 化 石 群 集 は,前
期 ジュラ紀後期 の
は保 存 の よい前 期 ジ ュラ紀 の放 散 虫化 石 を産 す るが,灰
Laxto7tum(?)iurassicum帯(MATsuoKA&YAo,1986)に
緑 色 珪 質頁 岩 は赤 褐 色 の もの に比 べ て放 散 虫化 石 の保 存
相 当 し,試
が 悪 い.灰 緑 色 珪 質頁 岩 は,部 分 的 に黄 褐 色 の凝 灰 質 薄
前 期 のTricolocaPsaPlicarum帯
層 を挟 有 して い る.NATAL,IN&ZYABREv(1989)は,
試 料1801がTi吻sso68吻
赤 褐 色珪 質 頁 岩 か らCanoptumanulatum,CanutUSin-
tyloSPhaeresp.を,試
domitusな どの前 期 ジ ュ ラ紀 放 散 虫 化 石 やZartusPrae一
PseudostylosPhaerasp.cf.P、
ブonesi,Parvicingulamaturaな
P.tenue(P1.1-1)を
どの 中期 ジ ュラ紀 の放散
虫 化 石 を,灰 緑 色 珪質 頁 岩 か ら はHsuum(?)inemploratum,Parvicingulaelegansな
ど中 期 ジ ュ ラ紀 の放 散 虫
料1800中
耽010α ゆ一
の 放 散 虫 化 石 群 集 は,中
期 ジ ュラ紀
に 相 当 す る.チ
ャ ー トは
θdeweveri(P1.1-4,5)やPseudos料1813がTriassocamψeSP.,
」αPonica(PL1-2),P.sp.cf.
そ れ ぞ れ 産 す る .い
(1982)のTn'assocamPedeweve「i群
ず れ もYAO
集 に 相 当 し,中
期
三 畳 紀 の 後 期 を指 示 し て い る.
化 石 をそ れ ぞれ 報 告 して い る.
議
メラ ンジ は,非 変成 岩 類 の一 番南 側 と一 番北 側 に分布
し てい る(Fig.2).南 側 の もの は変成 した砂岩 層 と断 層 で
バ バuフ
論
ス ク コ ン プ レ ッ ク ス は,野
接 し,北 側 の メ ラ ンジ は層 状 チ ャー ト とや は り断 層 で接
に も見 ら れ る よ う に,1960年
して い る.メ ラ ンジ は泥 岩 基 質 中 に オ リス トス トロー ム
虫 化 石 に 基 づ い て,上
や チ ャー ト,砂 岩,泥 岩,珪 質 頁岩,玄 武 岩,石 灰 岩 な
しELIsEEvAetal.(1976)に
田(1956)の
代 ま で は,石
部 古 生 界 と み な さ れ て き た.し
よ り,層
どの岩 塊 を含 ん で い る.泥 岩 基 質 は黒 色 を呈 し,剥 離性
は,そ
紀 で あ る こ とが 知 ら れ る よ う に な っ た.BELYAEv(1978)
条 痕 が認 め られ る.ま た剥 離性 の方 向 に平 た くつぶ れ て
やMAzARovlcH(1981)は,後
い る.岩 塊 内 に摺 曲が 認 め られ る場 合 に はそ の軸 面 が基
の 層 状 チ ャ ー ト を含 む 地 層 が,成
質 の剥 離 面 と ほぼ平 行 で あ る.岩 塊 と して含 まれ る石灰
ロ ー ム で あ る と考 え た.ま
岩 に は後 期 古 生代 の有 孔 虫 化 石が,チ
が ジ ュ ラ 紀 の 放 散 虫 化 石 を,NATAL・INandZYABREv
ャー トに は三 畳紀
れ ぞ れ含 まれ る.玄武 岩 は暗赤 褐 色 ない し暗 緑 色 を呈 し,
枕 状 構 造 を示 す こ とが あ る.
こ に 含 ま れ る コ ノ ド ン トや 放 散 虫 化 石 か ら,三
(1989)が
か
状 チ ャ ー トの 時 代
が 発達 して い る.含 まれ る岩 塊 の表 面 は しば しば磨 か れ,
の コノ ドン ト化 石 や三 畳 紀 一 ジ ュ ラ紀 の放 散 虫 化 石 が そ
報告
灰岩 中の 紡錘
畳
期 古 生 代 の石 灰 岩 や 三畳 紀
た,最
因 的 に は オ リ ス トス ト
近TIKHoMIRovA(1985)
ジ ュラ紀 一 前期 白亜 紀 の放 散 虫 化 石 を泥 質 岩
か ら報 告 し て い る.
KoJIMA&MlzuTANI(1987)は,国
境 をへ だ て た中 国
ソ連極 東地 方か ら産出 した三畳紀 ・ジ ュラ紀放散 虫化 石
Table
1. List of Triassic
an d Jurassic Radiolaria
from the Khabarovsk
complex in eastern
13
Russia.
SampleNumber (JMP-)
Archaeodictyomitrasp.
Archaeodictyomitra(?)sp. A
Archicapsapachyderma
Archicapsasp.
Canoptum sp. A
Eucyrtidiellumunumaense
Eucyrtidiellumsp. A
Hsuum hisuikyoense
Hsuumsp. A
Hsuumsp. B
Hsuumspp.
Hsuum(?) sp. cf. H.(?) matsuokai
Hsuum(?) sp. A
Napora sp.
Pastola sp. A
Saitoum sp.
Stichocapsajaponica
Stichocapsa(?) sp. A
Tricolocapsaminoensis
Tricolocapsaplicarum
Tricolocapsasp. aff. T. plicarum
Tricolocapsasp. cf. T. parvipora
Tricolocapsasp. cf. T. ruesti
Tricolocapsa(?)fusiformis
Tricolocapsa(?)sp. A
Tricolocapsa(?)sp. B
Trillus sp.
Wrangelliumsp. A
Zartus sp.
Triassocampe deweveri
Triassocampe sp.
Pseudstylosphaera sp.cf P.japonica
Pseudostylosphaera sp.cf. P. tenue
Pseudostylasphaera sp.
東北 部 の那丹 恰 達 地 域 にお い て層 状 チ ャ ー トか ら三 畳紀
え ば,VRuBLEvsKYetal.,1988),ま
の,珪 質 頁 岩 か らジ ュ ラ紀 の放 散 虫化 石 の産 出 を報 告 し
過 光 に よ り観 察 され,図 版 も掲 載 され て い な い.し た が
た.こ れ らの化 石 とその地 質 時 代,そ
って 客 観 的 に そ の真 偽 を確 か め る に は不 十 分 で あ り,ま
似性 か ら,KOJIMA(1989)は,那
して地 質 構 造 の類
丹 吟 達地 域 の地 質体 が,
ハバ ロ フス ク周 辺 地 域 に連 続 し,か つ て,日 本 海 の 開 く
た放 散 虫 化 石 は透
た 日本 の 試料 と化 石種 の比 較 をす る こ とは ひ じ ょう に困
難 で あ った.
本 の中 央部 美 濃 帯 まで延
今 回 報 告 した放 散 虫 化石 は,限 られ た試 料 か らしか 産
長 して いた と考 え た.ハ バ ロ フ ス ク近郊 の ア ムー ル コン
出 しなか った が,ジ ュ ラ紀 の もの は保 存 が よ く,日 本 の
プ レ ックス か らは放 散 虫化 石 の抽 出 が 試 み られ て お り,
試 料 と比 較 が 可能 で あ る.産 出 した放 散 虫化 石 は,同 一
層状 チ ャー トか ら三 畳 紀 の放 散 虫 化 石,泥 質 岩 か らジ ュ
種 に つ い て は大 きさ ・形 態 ・装 飾 な ど多 くの特 徴 に つ い
ラ紀 一 前 期 白亜紀 の放 散 虫化 石 が 報 告 さ れ て い る.し か
て,日 本 の美 濃帯 の ジ ュ ラ紀放 散 虫 化 石 と よ く似 て い る.
し,これ らの 報文 は いず れ もロ シ ア語 で か かれ て お り(例
放散 虫 化 石 群 集 の構 成 種 につ い て も,同 時 代 の 美濃 帯 の
前 まで(古 第 三紀 以 前)は,日
14
放 散 虫 化 石 群 集 とほ と ん ど違 い が ない.Tricolocapsa属
る.こ れ らの事 実 か ら判 断 して,KOJIMA(1989)が
の放 散 虫 化 石 を数 多 く含 む点 にお い て も,北 米 の 同時 代
て い るよ う に,ハ バ ロ フス ク コ ンプ レ ックス は 日本 の美
述べ
の放 散 虫 化 石群 集 よ りはむ しろ 日本 の美 濃 帯 や 中 国 の那
濃 帯 や 中国 の那 丹 吟 達 地域 の地 質 体 と同 一 の テ レー ン を
丹 吟 達 地 域 の放 散 虫 化 石 群集 に類 似 して い る.ハ バ ロ フ
構 成 して いた 可能 性 が 高 い.今 後 は1露 頭 だ けで は な く,
ス ク地 域 の ジ ュラ紀 放 散 虫化 石 群 集 の独 自性 を示 す わず
よ り広 い範 囲 で の地 質 学 的 ・古 生 物学 的 検 討 が必 要 で あ
か な特 徴 は,本 報 告 でArchaeodictyomitra(?)sp.A.(P1・
る.ま た,ハ バ ロ フス クコ ン プ レ ック スだ け で な く,シ
2-3,4)と した種 が 数多 く含 まれ る こ とで あ る.こ の種 は
ホ テ ア リン摺 曲帯 の主体 を作 る岩石 とも比較 検 討 を行 う
costaeが 発 達 し,costaeとcostaeの
必 要 が あ る.
ぶ 塔 状 のNassellariaで,縦/横
間 に1列 のporeが 並
比 が1か
ら2と
・4r-
謝
chaeodictyomitraと して は比 較 的 ず ん ぐ り して い る.た
前 述 の 国 際 会 議 に参 加 し,野
だ し,検 討 した岩 石 試料 の数 が 少 な い ので,ハ バ ロ フス
ク コ ンプ レ ック ス全体 を通 して 見 られ る特 徴 か どうか は
多 くの 研 究 者,な
今 後 の検 討 を待 た な けれ ば な らない.
VRuBLEvsKY博
今 回 報 告 した放 散 虫 化 石群 集 は,日 本 の美 濃帯 や中 国
辞
外 で議 論 して いた だ い た
ら び に 巡 検 の 際 に お 世 話 に な っ たA.A.
士 を は じ め ハ バ ロ フ ス ク のInstitute
Tectonics&Geophysicsの
の那 丹 吟 達地 域 の放 散 虫 化石 群 集 と大変 よ く類似 してい
源 部 角 井 朝 昭 氏 に 感 謝 す る.本
研 究 の 一 部 に,小
る.岩 相 にお い て も,赤 褐色 層 状 チ ャー トや赤 褐色 な い
え ら れ た 文 部 省 科 学 研 究 費(総
研A=01304008)を
し灰 緑 色 の 珪 質頁 岩 や 泥 質基 質 の メ ラ ンジ な ど美濃 帯 の
し た.
構成 要素 と大 変 よ く似 てい る.三 畳 紀 の層 状 チ ャー トと
文
前 一 中期 ジ ュラ紀 の珪 質 頁 岩 は,露 頭 で は 断層 で境 され
て い るが,本 来 は連 続 した 一連 の上 方 粗粒 化 の シー クェ
ンス を構 成 して い た と推 定 で きる.こ の復 元 され た岩相
層 序 は美 濃 帯 で復 元 され た もの(WAKITA,1988)に
対比
で き るで あ ろ う.ま た,厚 い層 状 チ ャー トや珪 質 頁岩,
メ ラ ンジ な どが 断層 で繰 返 すimbricate構 造 を示 す な ど,
of
方 々 及 び地 質 調 査 所燃 料 資
嶋 に与
使用
献
ADACHI,M. and KoJIMA, S., 1983: Geology of the Mt.
Hikagedaira area, east of Takayama, Gifu Prefecture, central Japan. Jour. Earth Sci., Nagoya
Univ., 31, 37-67.
BELYAEV,S.Yu., 1978 : Oligostroms from Khabarovsk
Suite of Sikhote-Alin'. Geol. Geophys., 219, 156160. (in Russian with English abstract)
美 濃 帯 と地 質 構 造 に お い て も多 くの 共 通 点 を も っ て い
Plate
1
Middle Triassic and Jurassic Radiolaria from the Khabarovsk complex, eastern Russia. The fossil individuals in the plate are numbered, for example, as (12345/6789); the numerator represents a sequential number
of SEM photograph and the denominator indicates that of the rock specimen (JMP numbers shown in Fig.2
and Table 1) from which the fossil was extracted. Both numbers are registered in the Rad File, Department
of Earth and Planetary Sciences, Nagoya University. Length of scale, upper right, equals number of
micrometers cited for each illustration.
1
2
3
4
5
6
7
Pseudostylosphaera sp. cf. P. tenue,
(53166/1813) scale bar = 239 gm.
Pseudostylosphaera sp. cf. P. japonica,
(53167/1813) scale bar=137 gm.
Pseudostylosphaera sp. cf. P. japonica,
(53168/1813) scale bar =137p m.
Triassocampe deweveri,
(52654/1801) scale bar =100 gm.
Triassocampe sp. cf. T. deweveri,
(52655/1801) scale bar=100pm.
Triassocampe sp.,
(52667/1801) scale bar=137 gm.
Hsuum hisuikyoense,
(52592/1799) scale bar =137 gm.
8
9
10
11
12
13
Hsuum sp.,
(52561/1799) scale
Hsuum sp. B,
(53212/1800) scale
Hsuum sp. A,
(53206/1800) scale
Hsuum sp. A,
(53197/1800) scale
Hsuum(?) sp. A,
(53202/1800) scale
Hsuum(?) sp. A,
(53205/1800) scale
bar =137 gm.
bar =100 gm.
bar=100 gm.
bar =100 gm.
bar=100
gm.
bar =100 gm.
16
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Northeast China. Proc. Japan Acad.,
(B) , 62,
337-340.
Plate2
Jurassic
number
1
2
3
4
5
6
Radiolaria
from the Khabarovsk
complex,
of micrometers
cited for each illustration
.
Hsuum(?) sp. cf. H.(?) matsuokai,
(52562/1799) scale bar =137 ,um.
Archaeodictyomitra sp.,
(53174/1800) scale bar=100 ,um.
Archaeodictyomitra (?) sp. A,
(52617/1800) scale bar =100 ,um.
Archaeodictyomitma(?) sp. A ,
(53222/1800) scale bar =100 gm.
Wrangellium sp. A,
(53232/1800) scale bar=100 ,um.
Canoptum sp.,
(52604/1800) scale bar =137 ,um.
eastern
Russia . Length
7
8
9
10
11
12
of scale,
upper
right,
Ristola sp. A,
(52613/1800) scale bar =100 gm.
Tricolocapsa(?) fusiformis,
(53182/1800) scale bar = 52 gm.
Tricolocapsa minoensis,
(52573/1799) scale bar = 67 gm.
Tricolocapsa plicarum,
(53230/1800) scale bar =100 gm.
Tricolocapsa sp. aff. T. plicarum ,
(52653/1800) scale bar = 67 gm.
A rchicapsa pachyderma,
(53180/1800) scale bar = 67 gm.
equalS
Plate
Jurassic
number
1
2
3
4
5
6
7
Radiolaria
from the Khabarovsk
complex,
of micrometers
cited for each illustration.
Tricolocapsa sp. cf. T. pravipora.
(53234/1800) scale bar = 52 gm.
Tricolocapsa sp. B,
(53172/1800) scale bar=67 gm.
Tricolocapsa sp. B,
(53184/1800) scale bar=67 gm.
Stichocapsa(?) sp. A,
(52643/1800) scale bar =100 gm.
Stichocapsa (?) sp. A,
(53189/1800) scale bar =100 gm.
Tricolocapsa(?) sp. A,
(52591/1799) scale bar =100 ,um.
Tricolocapsa(?) sp. A,
(52597/1799) scale bar=67 ,um.
3
eastern
Russia.
8
Length
of scale,
upper
right,
Eucyrtidiellum(?) sp. A,
(53225/1800) scale bar=67 ,um.
9 Eucyrtidiellum sp. A,
(52567/1799) scale bar=67 gm.
10 Eucyrtidiellum unumaense,
(53229/1800) scale bar=67 ,um.
11 Tricolocapsa sp. of. T ruesti,
(53236/1800) scale bar=67 gm.
12 Stichocapsa japonica,
(53220/1800) scale bar =100 gm.
13 Stichocapsa japonica,
(53173/1800) scale bar=67 gm.
equals
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