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紀伊半島四方十帯日高川層群の白 E 紀放散虫化石

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紀伊半島四方十帯日高川層群の白 E 紀放散虫化石
3
7
1
紀伊半島四方十帯日高川層群の白 E 紀放散虫化石
松山尚典*公文富士夫事.中保健次叫
Cretaceous radiolarian fossils from the Hidakagawa Group in
the Shimanto Belt , K
Hisanori
>
MATSUYAMA~
Peninsula , Southwest Japan
Fujio KUMON 事
and
Kenji
NAKAJO 事 V
Abstract Cretaceous radiolarian f
o
s
s
i
l
s from t
h
e Hidakagawa Group are tentatively
p
. - Parvicingula s
p
. Assemblage
divided i
n
t
o six assemblages , that > s , Miri(usus s
(Tithonian? t
o Valanginian). Thanarla conica-Ultranapora s
p
. Assemblage(Hauterivian
l
a
t
e Albian t
o Cenomanian) , Dictyo.
t
o Albian) , Holoc γ yptocaniun baγ bui Assemblage (
o
mitra(0γ mos αAssemblage (Turonian) , Artostrobium uγηαAssemblage (Coniacian t
Santonian) and Amphipyr
u
1ax tylotus Assemblage (Campanian t
o Maestrichtian).
1.
ます。
はじめに
中世古ほか( 1979)
によって四万十帯から多数の
保存の良好な放散虫化石の産出が報 告 され,放散虫
2
群集設定について
日高川層群の多数のルートに沿 っ て,総計約 2 , 000
生層序の有効性が示されて以来,紀伊半 島の四 万十
地点で試料を採取し放散虫化石の抽出を試みた。し
帯においても多数の試料の処理を 行な い,放青空虫化
かしながら,そのうち有効な放散虫化石を抽出しえ
石の抽出に努めてきた。その結果,
たのは,約 100 試料のみで,各累層内での変化が認
(1 亜紀の 6 つの
放散虫化石群集を識別することができ,白亜系日高
川!腎群の地屑区分と時代対比に重要な役割をはたし
められるほどの日式 fヰは{尋られなかった。
てらそま
-{.列として,四万十帯の北縁に分布する寺本山累!替
てきている。この 6 つの群集について.その概要を
の放散虫化石を検討した結果について述べる。寺中山
報告する。いくつかの不充分な点があるが,今後の
累層は比較的単純な複向斜構造をなしてお、り,頁岩
四万十帯の研究の 一 助ととよれば幸いである。
優勢の下部層.砂宕および砂岩頁岩互層を主とする
本研究は,紀州四万十帯団体研究グループの中の
ワーキング・グル
ある 。
プとして研究を行なったもので
同クループの方々には ,
多 量の 試料の採集と
中部層,
成廓頁岩を主とする上部府に区分される
(紀州、|四万十回研グループ,準備中)。本層は四万十
帯の地層の中では例外的に大型化石を多産する。最
処理に御協力をいただいた。大阪大 学 中世吉幸次郎
近,新しい化石の発見が加わり,寺柏層は, middle
助教綬,大阪教育大学菅野耕 三 助教授およ び大 阪市
Turonian から lower Santonian であることが判明し
立大学八尾
ている・(松本,吉松.印刷中)。この寺柏累層につい
昭博士には放散虫化石について御指導
と御助言を受けた。これらの方今に深く感謝 し 通たし
で下部から上部まで連続して採取した試料の検討を
行なった。
ホ
京 都大 学 理学部地質 学鉱物学教室
D
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Science , K
“大阪府立東住吉高等 学 校
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下部層および中部層からはほとんど放散虫化石を
産せず,稀に産出する試料でも.
jま ・種数共に非常
に少なく,群集として認識できない。 一 方,上部腐
の頁岩からは保存の良い放散虫化石が多産し,それ
372
十公山尚典・公文高士夫・中{傑健次,
らの時代は.大型化石の示す時代と矛盾しない。そ
4 つの階灰分を含めるオ
して,
が,より詳細な群集解析をすすめることによって.
l:昔日!蛍の各産If', J也点は,
よく似た種構成をも
ダーでの群集設定である
っている。従つで,二寺本山累層内での下部から上部へ
また,より精密な層序学的検討を加えることによっ
の放散虫化石の層序的変化を認めるに至っていない。
て,
また,
美山~層中の,見かけ上 20-30m の厚さを
もっチャート岩体の幾っかについて,
F 部;から上部
さらに細かなオーターの群集設定も今後可能と
なるで、あろう。
なお.群集設定には,ある特徴的な種構成をもっ
への連続的な検討を行なったが,放散虫化石の J官序
グループの中で,
的変化を認めることはできなかった。
し,比較の基準とした 3
以上のように,現在までのところ,本地域の個々
のセクションの中て、放散虫化イヨ の種精成の変化を明ら
かにすることはできていなし、。しかしながら,
多数の
地点から保存の良い放散虫化石を多 盆に含 む試料が
得られている(第 l 図)。これらの放散虫化石は,種
精成を異にする 6 グループに分類することができる。
その群集と特徴種および時代を第 1 表に示す c
これ
最 も保存が良い試料を模式試料と
次に,このような基準で設定した放散虫群集の種
精成の特徴および地質時代について述べる 。
3.
放散虫群集各論
1) Miri(usus sp.-Parviciηgu/a
sp. 群集
奈良県吉里子郡大塔村西南部の川原樋川河岸に露出
する美山累層中の赤色チャート岩体,および.それ
らの放散虫化石は,大却化石とは共存しないので,
に伴う赤色頁岩より産出し,赤色頁持を模 j\~A 料と
モれによって士也質時代を決定することはできないが,
する
RIEDELand SANFILlPPO (1 974)
,
FORDI 心:
(1 973 ,
1975 , 1978) , PESSAC¥O 0976 , 1977 a , b)
虫化石分幣と比較することにより
時代の推定が可能で‘ある
の放散
r 群帯」としで,
現在のところ,
1 ないし
( M t-80101310 ) 。
ているのみで ,
M川 (usus 属 ,
この{也 :こ l 地 点 から見出され
I蛍出は少ない。
Parvicingul α 属の各種
dictyomitra apiara, Pseudodictyomitra cαrpα tica
などが特徴的である p 加 え て ,
LEGEND
.
Artostrobium urna A.
•
Dλctyomitra
form由 sa
d也
A.
A Holocryptocanium barbui A
.
o
Zhamoidellum 0 凶m,
Yukawa F.
Am
phipyndax tylotus A.
•
A γ chaeo.
Thanarla conica-Ultranapora A.
:一一ーペィ..---Miyama F
.
。。
企
112
A
Shirama F
.
出 11;(1
紀 j J ト T 山 J'LI J
i1- ,::; 1I ,:';j }
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Parvicingnla sp , - M げ i(usus sp , n手応 の 限式 lバ l トのJ'ii,' 1 ¥)也山 : 土 1;(1 小 さハ てい字 t '; , J也}','Í 1
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1 公立一・紀.J HPLI })卜:;; 1
I
1f
1
;liJf 先'/ J ~ • フ (19811 :
:!;É 入
3
7
3
紀伊半品四万十帯日高川 l脅群の白亜紀放散虫化石
第 1 表
Assemblage Name
日高川帯の白亜紀放散虫群集
Age
Species
Characteristic
Amphipyndax tylotus , A. Stocki , Dict 日omitra lamellicostata , D
. koslovae , Diacanthocapsa acuminata , Crypta- Maestrichtian?
mphorella sphaericd , C
. macropora , Theocapsomma Gom日S - Campanian
group , ArtostrQbium urna (ど are) , Pseudoaulaphacus
lenticulatusI etc 。
Amphipyndax t 日 lotus
Assernblage
Artostrobium urna , Dict 日 omitra koslovae , D
. duodecimncostata , D. formosa , Pseudoaulophacυs praefloresensis , Santonia
P. floresensis , P. riedeli , Alievi υm praegallawa 日> ,
Coniaciiln
A. gallowa 日 i , Patellula planoconvexa , Orbiculiforma
monticel1oensis , Crucel1a c
f. espartoensis , etc~
Artostrobium urna
Assemblage
Dictuomitra formosa IDict 日omitra formosa , D. duodeci π~ostata , Archaeodicリ
I ~ 日 omitra squinaboli , Hemicrypt 口同 psa pol 日 hedra ,
Assemblage
IMlt
a spp. etc.
Holocr 日 ptocan~um
barbui Assemblage
Thanarla conヱ ca Ultranapora s
p. A
.
Miritusus sp.
Turonia
n
Holocryptocanium barbui , H. ge日 sersensis , Hemicryptocapsa praepol 日 hedra , H. pol 日 hedra , Sauinabollum fossil i s , Thanarla veneta , T. elegantissima , Pseudodict 日ー
omitra pseudomacrocephala , Novixitus we日 li , e
tc.
Cenomaniiln -
T
h
a
r
3
a
rla conlca , T. pulehra , Ultranapora sp. , pseudロー
spp. , E叫r 山恥 Dictyomitra spp. ,
Albian -
late Albian
I ~ヱ ct日制 tra
Acaen 日 otyle sp. , e
tc.
Haute 門 vian
Valanginian -
A
.I
aeodict 日 omitra apiara , Pseudodict 日omitra carpat~ca ,
rv~c~ngula sp. A
.I
Zhamoidellum ovum , Pantanelli υm S
P" protunuma sp.
etc.
ー
parvicinqul~-sP.
Sethoc αps αsp. なとを含む ο
PESSAG:
i
O(
1977b) の
ジュラ紀末期~白亜紀初期の要素から成り
PE .
co削 Cαzone から
T
ithonian?
Parvicingula- Thanarl α
Kozur ium zingul α 1
zone および,
SSAGNO (
1977b) の Obesac αpsul αγ otund αzone と
Pet αs i{o γ四 α [0 γe明間α e zone にかけての群集に類似
の共通種が多いが,より古い要素も含まれるので,
する。時代 !i ~孟 ~J' ,
Tithonian?-Valanginian の時代を示すと考えられ
れる。
る 。 識別された 6 つの群集の中では最も古い時代を
示す。
Hauterivian - Albian と考えら
中世古・西村(1 98 1)では,この群集;ニ相当する
時代を 2 つの群集 (Eucyrtis mic γ opoγα 群集および
中世古ほか(1 979)
による Miri[us us 叫 ediodila-
Ult γ arapo 叩 pr α espini(e γa 群集)に区分している。
tα t a-- Pαγ vicingul ααltissim α群集および Obes αω ー
現在まで検討した試料で :i.
psul αγ otundα群集に類似するが ,
い群集解析が困難で、あるため,
E叩 luvi α)~ ,
Pant 叩 ellium!i~,
Stauγ osphae γα)~ などに乏しく,構成
種に相違があるため,
保存が良くなく,
"宇 L
応ーつの群集とし
であ、いた 。
ーr.'t':、別の群集として設定する。
3) Holocryptoc 仰ium barb叫群集 ( 中世古・西
2)
Thαnarl α conica-Ult γ anap01・ a sp . 群集
和歌山県日高郡屯神村北方の厄恨筋に宣言出する美
山累層中の灰色チャート岩体から模式的に産出する
(伯母子 CN-6)o
f也に,美山層中の多くの地点、の
村,
1981
)
和歌山県日 高 郡日同町原谷に露出する白鳥累 層
(
美山梁層相 当 層)中の赤色頁岩を模式試料とする(i卸
坊F
11-32)
0 f也に,湯川累層中の赤色頁岩,
美 山紫、
灰色~赤色チャート岩{本から産出するが,保存は
府中の称色~以緑色頁岩,険性凝灰岩などから佐出
店主に良くなt- ~c
する
特徴種 l ム T. conica, U. Sp. , Eucyrtis spp. , Acae.
待徴種 { ま
Holocryptocanium b αγ byi,
H.geyser.
niotyle sp., Pseudodictyomitra sp. などである。こ
se ηsis ,
の群集は,
[ossils , Thanarla ve町 tα, T.elegantissim α,
から
FORD1AN (1 975) の Eucyrtis te加 is zone
Acaeniot 封 1 e umbilic αtαzone にかけての群集
Hemic γ 百ptoc αpsa polyhedra , Sq叫匁α bollum
vixitus weyLi , Pseudodictyomitr α
No ー
pseudomac γ0・
松山尚典・公文寓士夫
374
cephαlα などである。
cryptothoracic
nassellaria
が特に多 L 、。
中(晦健次
えないこと,から一つの群集としで設定した。“ lnlerzone" 的なむ日未をもつものである。中世古ほか(1 9
本群集は中世肯ほか( 1979)
7
9
) で、;ま設定されてあ、らず,
によって四国東部の
四 Yゴト帯から報告されている。また,形態的:二持徴
のある棲を多く合むことから識別が容易であり,よ
い基準屑準とみなされている(中世古・西村,
また,
FORD1.A.N.
PESSAC:"O . らの分帯にも必ずしもあてはまらない 3
問成種の多くは , Holocryplocan日目n b αγb叫群集な
198 1)。
いし Aγ losl γ obium urna 群集 l ニも合まれでおり.穐
間成が両者の中間的なド1:絡をもつことから- -r,1':.11寺
4) DicIyomil γα
代を Turonian と推定している 2
{oγ mos α 群集
手lI jjx 山県日高君lí 中ィ季村の 三 十井川 iul r;l に臣官出する
美山娯!拝中の亦色頁岩
()llf京[;o[
CI-65)
5) Arloslrobium urna 群集(中世市・商村, 1981
)
から r)主出す
るものを段式とする。同累層中の灰緑色~赤色頁む
和歌山県有田君 11 広川町に分布する芽キilJ~. 隔1-. fll)~
から多産する
の黒色頁岩から普遍的:ニ産出する 3 他に ,J!i 山家、府
主要~ Hf; rj主要素 i j: ,
Dictyomilra
(oγ mosa ,
duodecimcoslata ,
A γ ch αeodic t
yomi1γ a
Hemicryploc αps α
polyhed叩 ,
D
中のw.色 .H 't: ,
Amphip伊ldαx
ストを第 2 [-;( 1 に示す
stocki ,
/
¥
I
!
il
a sp. 吾:どである 、
本群集{立 .
問主性凝 11,主当からも同じ干宅情成をもっ
群集が湾出するれ寺中1[1 燃!村上部桝の主な産 U11 極のリ
squinaboli ,
Pseudo αuloph αcus
1ミ'J2-~干キ i:tt t<lì;;I:,
Holocryploc α削 um b α rb叫群集むよび.
次に述べる Arloslrobium ur ηα 群集を特徴つける沼i
P
.pγα e(lo γ esensis ,
gα1101ιαyi,
Alie L'i ulη
Pα lellula pl αnoCoη vexa,
を欠くことで店Hl宇集と I l 別きれる。積構!況が:j. :正 一
monli
ce
l
loensi
s,
定であること,戸長出 I也点が多数でその,G: 義が年叫見し
koslor α e ,
A γ los/robium
D
.duodecimcosla/a
(10 γ esenS1S ,
praegall o U' ayi ,
A.
Orbiculi(orma
urna , Diclyomilra
などである。
干干に,
Terasoma Format~on (upper member)
Range
locality
species name\\、
T15 T16 T12 G22 FI2 T85 T80lT79 HI6 τ\l. Co. Sa. Ca.
。
。
。
。
。
。
。
Pseudoaulophacus floresensis
。
。
。
。
。
。
。
P. praefloresensis
。
。
P. sp. cf. venadoensis
ょ O
。
。
。
。
。
。
P. riedeli
ー
。
。
。
P. lenticulatus
0 10
,一
←一
。
。
。
。
。
。
。
。
。
Alievium praegalloway
t--ー ←・
。
。
。
。
。
A. gallowayi
:
.
:
:
1
:
:
。
。
。
Orb culiforma
mont celloensis
Q
.
.
j
。
。
。
。
。
。
。
。
Patellula pranoconvexa
_
_
a
。
。
。
。
Crucella cf. espartoensis
r
。
Protoxiphotractus perplexus
0 1
。
。
。
praeconocaryomma universa
0 1
。
。
P. (
7
) lipmanae
i
。
。
。
。
:
:
'
:
=
1
:
:
Artostrob um
urna
iO 。
。
。
b r ==
Dictyom tra
koslovae
。
。
D. duodecimcostata
iQ
D. formosa
。
。
D. cf. densicostata
1_
0
」
。
Archaeod ctyom tr
c
a
f. squ naboli
A. sp. A
o 0 o 0 。 。
。
。
。
Stichomitra asymbatos
Am
phipyndax stocki
o 0 。 o 0 ---三1
10 o 0 。
。
。
Cornutella califorr
.lca
~. LQ
Theocampe cf. argyris
o 。
ICryptamphorella sphaerica
010
-•-
。
-
。
ー・.
。
。
-
~ 担当:
~1 円子7
臣室
Rang巴: 一一- Pessagno (1976)
第 2 1'<1
)f .flll 県 10 I-. ;;Ijlrí の欣散虫化石
ドO I1 EMA:" (197S)
CO I1凶 cian.
Foreman (1975)
ー
Dumitric 呂 (1970)
P
E
S
S
.
¥
C
:
"
O(
1
9
7
6
)
.
Turonian. Co
(j ,'}f寺内のみを示す), 各 々 の傾の range を,
むにび Dl' M 庁 RIC.、( 1970)
いn;ついて治 (WJ ; ーポす 。 Tu.'
S
a
.
: Sanlonian. C
a
.
: Campanian.
375
紀伊半島四万十帯日高川層群の白亜紀放散虫化石
Thα加rlα conl.C α -Ultγαnapora sp 群集については,
Discoidea に属する種が多産する。
本群集は,中世古ほか(1 979) で Patellulα pla
noconvexa-Art
o
st γ obium u1' na 群集として報告され
たもので,中世古・西村(1 981)で名称、が変更され
ている。寺ねII 累層上部層からは
boides
γ homboides SEJTZ ,
1即ceramus rhom
1. γ homboides
h
e
i
n
e
i
SEITZ などが新たに発見されており,同層は,
ドイ
ツの lower Santonian に対比される(松本・吉松,
印刷中 )0 Fo阻MAN (1975) , PESSAGNO (1 976) の分
ー ー般にチャー卜から産出し,保存が良くないため,構
成種および,その岩体内の脳位的変化についてのは
っきりした結論は得られておらず,細分できる可能
性がある 。
Dict 到omitra formosa 群集は , 他に類似のものの
報告がな く ,群集としての性格も他の群集と異とよっ
ている c しかしながら,仏像構造線付近の美山累層相
当層における調査でも,多くの地点からこの群集が
報告されてあ、り.種構成も安定で,産出状況からも
帯とも比較すると,本群集の時代は Coniacian -
重要な意味をもっていることが明らかにされている
Santonian と考えられる。
(武 富 ,
6) A 冊phipy吋回
1982MS) 。
このようにいくつかの問題は残されているが,こ
tylotus 群集
和歌山県円高郡美山村浅間のダム右岸の河床に露
出する,竜神累層中の赤色シルト質頁岩から産出す
れらの群集設定は,従来の層序の改訂(公文・紀州|
四万十回研グループ,
198 1)や堆積環境の推定
るものを模式とする。他に,同累層中の 2 地点の黒
(NAKAZAWA e
t al. , 印刷中)に有効に用いられてい
色頁岩から産出する。現1fのところ,産品地点は以
る。 今 後,各群集の性格づけをより明確にし,さら
上の 3t也点のみである。
に細かな解析を行なうことが必要である。
Am
phipyndax tylot ω
特徴種は
1mη ellicos tat α,
Theoc α.psomma
tamphorellα sphaeγICα などで,
comys group ,
Cγ yp.
f也 l こ A r
t
o
strobium
また ,
Artoslrobium urna 群集の群集構成(第 2
同)にあ、 いてぷきれるように,
PESSAGNO , FOREMAN
らの設定した種の range を,そのまま四万 十 帯ーの白
D.duodecimcostata
亜紀放散虫にあてはめることはできなし、今後の群
Amphipyndαx stocki などの Artostrobium u γm 群集
集解析によ っ てこの点についても新たな知見が得ら
ur飽α,
Dictyomitra koslovae ,
Dictyo側 t 1' α
との共通種を含む。なお
Amphipyndax
enessef
f
i
l 正確認されていない 。
本群集は,中 I11 ほか(1 980) の A.
に類似するが,代表種としたものは,
c
f
.tylotus 群集
nodes の自己列
が A. eness e{fi より複雑で , A.tylotus に I百]定される
ため ,
A.tylotus 群集と命名した。
FOREMAN (1977) によれば , A.tylot 叫の出現は.
late Campanian であり.他の構成種からみて,
群集の時代は,
本
Campanian-Maestrichtian(?) と
考えられる。
4.
おわりに
以上のように,日高川帯から産出する放散虫化石
について ,
白亜紀最初期から末期にかけての 6 つの
放散虫群集が識別された。
しかし.これらの群集以外の群集(例えば, Mae.
strichtian を 示 すもの)が発見される可能性は残さ
れている。
また,個々の群集についても問題が残っている。
Miγ ifusus s
p
. -Pαγ 山 cingulαsp. 群集,および,
れるで、 あろう 。
引用文献
D UMITRICA , P. , 1
9
7
0
: Cryptocephalic and c l' ypto ・
thorac > c Nassellaria i
n some Mesozoic deposits
of Romania. Rev.Roum.Geol. , Geoph 百 S. , Geogr. ,
Serie de Geologie , 14 , 45- 1
2
4
.
9
6
8
:Upper Maestrichtian Radio.
FOREMAl" H 目 P. , 1
. Assoc. London , Spec
l
a
r
i
a of California. Pal
Pap. i
n Paleontology , 3 , 1-82.
一一一一一一一一一一 , 1
9
7
3
: Radiolar > a o
f Leg 10 with
systematics and ranges f
o
rt
h
e families Amp
h> pyndacidae , Artostrobiidae , and Theoperidae
i
nl
n
it
i0
1 Repo γ ts oft
h
e D.S.D
.P リ 10 , Wash.
i
n
g
t
o
n D.C ., (
U
.S.Government Printing Office) ,
407-474.
一一一一一一一 , 1
9
7
3
: Radiolaria from t
h
e1
¥orth
Pacific , DSDP Leg 32.ι n I
n
i
l
i
o
l Repo71 of t
h
e
D.S.D.Pリ 32 , W
ashington D
. C. , (
U
.S
.Govern.
ment Printing Office) , 579-676.
1
9
7
7
:Mesozoic Radiolaria from t
h
e
n Develop
Atlantic basin and i
t
s borderlands. i
menl i
n Paleontology αη d Slr α Ilgr αphy 6;Slr α­
t
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Plate 1
Miri(usus s
p
.-Parvicingula s
p
. Assemblage
1
. ArchaeodicIyomit γa aplaT α(RÜST). X240(Mt-80101310)
2
.
Pa γ vicingula s
p
.
. X175(Mt-80101310)
3. Miγ i(usus sp.
. X175(Mt-80101310)
4. Eucy γ tidium!?) ptyctum RIEDEL and SANFILlPPO. X250 (Mt-80101310)
5
. Zhamoidellum ovum Dumitrica. X250(Mt-80101310)
6. Sethocapsa(?) sp ・. X250 (Mt ・ 80101310)
7
. Pseudodic句 omil γ a ca γ patica (LOZYNIA
.
K
)
. X250 (Mt-80122023)
Thanarlα con 町 α -Ult γ anapo γαsp. A
ssembJage
8. Alievium s
p
.
. X 175(Obko-CIV-7)
9. Pseudodictyo 冊 itra s
p
.
. X240 (Obako-CIV-7)
p
.
. X250 (Obako ・ CIV ・ 7)
1
0
. Ultγαnapora s
11
. Archaeodictyomilr αcf. vulgaris PESSAGNO. X250(Obako-CIV-7)
1
2
. 1
3
. Thanarla conica PESSAGNO. X175(Obako-CIV-7)
1
4
. Eucyrtis l
e
n
u
i
s (RUST). X175(Obako-CIV-7)
Locality Mt-80101310: Miyama Formation
Mt-80122023: Miyama Formation
Obako-CIV-7:Miyama Formation
n
Plate
Holocryplocanium barbui Assemblage
1. Thanarla 玖enela (SQUIMBOL).X175(
Gobo-FII-32)
2. T
.elegα ntissima C
i
t
a
. X175(
Mt-80101307)
3. Pseudodictyomiγ la pseudomαcγ ocephla (SQUINABOL).X 175(Gobo-FII-32)
4. Novixitus 山 eyli SCHMIDT-EFFING. X175(Mt-80101307)
5
. Holocryploc α nium
b α rbui
Dl
r
.
I
l
IT
RICA. X175 (Gobo-FII-32)
6. H
.geysersensis PESSAGNO. X250(Gobo-FII-32)
7. Squinα bollum (oss
(SQUINABOL).X175(Gobo-FII ・ 32)
a praepolyhed γαDUMITRICA. X 250(Mt-80102908)
Assemblage
9. Pr α eoconocaryomma uπ iversa PESSAGNO. X175(Kawa-CI-65)
1
0
. Dictyomitr α (ormosa SQUI:
i
ABOL.X200 (Kawa-CI-65)
11
. A γc haeodicIyomilr α squinabo /i PESSAGNO. X250(Ku-807281l
)
1
2
. Dictyomitγαsp.. X250(Ku-8072811)
1
3
.D
.c
f
. (ormosa Squinabol. X250(
Kawa-CI-65)
1
4
. Cγ yplamphorellαc f. mac γ opo γαDumitrica. X250(Ku-8072811)
Locality Gobo-FII-32: Shirama Formation
Mt-80101307:M iyama Formation
Mt-80102908:Miyama Formation
Kawa-C ト 65: Miyama F
ormation
Ku-8072811: Miyama Formation
8.
Hemic γ yptoc α ps
Dictyomitγα(0γ mosa
Plate m
Artostγ obium u γ na Assemblage
1. Alievium g α 110 11) αyi (
WHITE). X175 (
Gobo-DV-24)
2. A.p γα egα 110 山 α yi PESSAGNO. X240(
Tk-80)
:
iO
. X175 (
Tk-16)
3. Pseudoaulaphacus (10 γ esensis PESSAG
4. P.leticulatus (WHITE). X175 (Gobo-FII-2)
5. P
.r 同 deli PESSAGNO. X175(Tk-16)
6. 0γ bic uli(o γ ma monticelloensis PESSAG:'iO 白 X175 (Tk1
6
)
7. O.sp.. X175 (Tk-80l
8. V
i
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o
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(
u
s cf
.b γ ustolensis (
SQUINABOL)
.X250 (Tk-15)
9.
Actmommα(?
)sp ・. X250 (Tk8
0
)
377
松山 f均五年 e 公文富士夫・
1
0
. Praeoconoc αryomma unlve γ s a PESSAGl
'
O
. X 175 (Tk-8
0
)
1
1
. Archaeospongop γ unum sp. , X175(Tk-80)
1
2
.
13ω
14.
oiox!pholractus
パ j 仁九 α eod た t百 omitγ a
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γαsp .,
γPESSAGl'O ,くら (τ-80)
175(Tk-16)
ロ
X250
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c í. m
ulticostαtα( 乙
><250 (Tk -8む)
1
6
. D.duodecimcostα la (SQUl l'ABOL), X250 (Tk-16)
Locality Gobo 田 DV-24: Miyama Formation
Tk-15: Upper Member of t
h
e Terasoma Formation
Tk-16:Upper
するが
of t
h
e Teγ の
Formatîon
γk-80: Upper
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e TeγFormation
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Plate
Aγ toslrobium u γηαAssemblage
(continued)
1. Dic句 omitr α
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5.
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X250
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(Tk-16)
X250 (Tk 欄
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(Tk-80)
X250
布1
375 (Tk-80)
6. A 冊phipyndax stocki(CMIPBELLand CLARK 人 X250 (Gobo-DV-24)
7. A.slocki(CAyIPBELLand CLAIUく), X250 (Tk-16)
8. A.slocki(CAMPBELLand CLARK). X250(Tk-15)
Amphipynd αx l
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X250 (Kaω 了)
FOREMAN ,
tyomilra duodec
0 店向付 (SQUl l'ABOL
.
Kawa-DII-7
1
2
. D, iameliic ο stala FOREMAN, X210(Kawa-Dll-7)
1
3
. Cryplampho ゲ ell α mac γ opora DUMITRICA , X250(Kawa-DII-7)
1
4
. C.sphae γ lC α(WHげ主人 X250 (Kawa-D1I
-7)
1
5
. Diαcanlhoc α psa acuminala D Lr.-1ITRICA , X250 (Kawa-DII-7)
16.ωυcρ20 間四α com方 S
\;γk-15:
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Uppe!
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M iyama Format
i
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Gobo-DV 悶 24:
Kawa-DII-7: Ryujin
Formation
Km-80Y04-4: Ryujin Formation
紀伊半島四万十帯日高川層群の白亜紀放散虫化石
Plate 1
3
7
9
I aleld
将軍耳切中・ヨ正平軍)$:.$'話界1 巾苦手
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紀伊半島四万十帯日高川層群の白亜紀放散虫化石
Plate
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3
8
1
382
Plate N
松山尚典・公文富士夫・中繰健次
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