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Gr , Upper 上部三畳系成羽層群の磯岩から産出した放散虫化石と

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Gr , Upper 上部三畳系成羽層群の磯岩から産出した放散虫化石と
大阪織化石研究会酷.特別号,第 10 号, p.127・131 , 1 曲7 年 2 月
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上部三畳系成羽層群の磯岩から産出した放散虫化石と
その地質学的意義
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域では,成羽層群はペルム系の黒萩層と多くの場合断層で
はじめに
接しているが,寺岡(1 959) は一部の地域で両者が不整合関
岡山県西部には三畳紀新世の陸棚相堆積物である成羽
層群が分布している(Fig.l). ニ枚貝や植物化石を多産する
係にあると報告している.また,これらの地層を新生代の
山砂利層と呼ばれる喋層が覆っている.
ことから,古くから古生物学的・層序学的な研究(例えば寺
成羽層群は地頭層・最上山層・日名畑層に区分される〈寺
岡, 1959)や,大賀衝上断層を中心とした,構造地質学的な
岡, 1959). 地頭層は砂岩・泥岩のE層を主体とし,疑灰岩
研究がなされている(例えば穂山, 19ω1).
しかし,堆積岩
層を挟む . Mono由即:hoti,四などの二枚貝類を産し,浅海成
岩石学的な研究は少なく,後背地についても不明な点が多
堆積物であると考えられる.これに対して最上山層,日名
い.日本列島を中心とした東アジアの中・古生代の古地理
畑層は植物化石を多産し,石炭層を挟むことから,河川成
を復元するうえで,成羽層群をはじめとする陸棚層の堆積
または湖招成堆積物であると考えられる.最上山層下部
環境や後背地を明らかにすることは重要である.著者はこ
は,喋岩層から始まり砂岩泥岩互層を経て石炭層で終わる
のような観点から成羽層群の後背地解析を行なってきた
数m から数十 m の堆積サイクルで特徴づけられる.最上山
が,今回,成羽層群の喋岩層の離からベルム紀の放散虫化
層上部は喋岩層を主体とし,砂岩や泥岩をレンズ状に挟
石を得た.本報告ではこれら放散虫化石の概要を報告し,
む.日名畑層は砂岩泥岩E層を主体とし,喋岩層や石炭層
醸の起源について考察する.
を伴う.また,最上山層下部と同様の堆積サイクルも認め
地質概略
られる.寺岡 (1959)は地頭層が成羽層群の中で最も上位の
地層であるとし,地頭層と最上山・日名畑両層の関係は断
成羽層群分布減の北側には秋吉帯の石灰岩類と砕屑岩
層であると考えたが,最近,鈴木・Asiedu(1995) は地頭層の
類が,南および東側には舞鶴帯・超丹披帯相当層が分布し
上位に最上山層が堆積したものとした.ここでは,寺岡
ている (Fig.1). 調査地域の地質図を Fig.2 に示した.この地
(1959)の見解に従った.
磯岩と放散虫化石
- 名古屋大学理学部地球惑星科学教室. DepartmentofEarthand
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成羽層群の喋岩層は岩相変化が著しく,醸の量は水平方
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向に激しく変化する.最大諜径は最上山層下部,日名畑層
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である (Plate 1). このうちの PseudoaJbailleHa 属およびAlbaiJ­
では 15cm 程度であるのに対し,最上山層上部では 20cm に
leHa属の放散虫はペルム紀古世から中世の年代を示す(脳­
達する.円磨度は一般に良い.諜種は酸性火成岩類が多く,
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堆積岩類は少ない.変成岩類の諜はまれである.堆積岩類
(1 985) により超丹披帯の中~上部ベルム系から報告されて
の諜は,最上山層下部から日名畑層にかけて,上位ほど含
いる.この他,コノドントの破片や海綿骨針も得られた.
有量が減少する(亀高・小嶋, 1995). 大きな喋に火山岩や
半探成岩が多いのに対1.."チャート・頁岩礁は小さいもの
考察
が多く,円磨度も他の諜に比べて悪いことが多い.チャー
成羽層群は Mono出を産出し三畳紀新世の car凶釦から
ト醸の色は灰色のものが最も多く,赤,黒,緑色のものも
Norian に堆積した地層であると考えられている(寺岡,
含まれている.頁岩諜は黒色のものが多い.幾つかの
1959). 成羽層群の諜岩層が陸成層と考えられることから,
チャート・頁岩離には鏡下で放散虫遺骸が見られる.また,
三畳紀後期には含ペルム紀放散虫岩類を含む地質体が陵化
灰色の酸性援灰岩礁があり,これらも放散虫遺骸を含んで
していた可能性は高い.成羽層群の後背地をさらに限定す
いる.
るために様岩から産出した放散虫化石が示す年代と,他の
チャート・頁岩・酸性凝灰岩の諜約 30個をフッ酸処理し
たが,得られた放散虫化石は保存が悪< ,属・種の同定で
地質体から報告されている放散虫化石の年代を比較する.
日本列島を構成する地質体は,三畳紀以降,相互にかな
きる個体はなかった.そこで,比較的チャート・頁岩・酸
りの距離を移動していることが推定される.しかし,成羽
性凝灰岩の小喋を多く含む最上山層下部の喋岩(Fig.2 の*
層群分布域に隣接した秋吉帯,舞鶴帯,超丹波帯には含ペ
印の地点の試料)を,一括してフッ酸処理し,放散虫化石を
ルム紀放散虫岩が分布している(例えば,Ishiga, 1
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取り出した.このため,放散虫化石を産出した醸の種類,
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および喋の個数は不明である.得られた放散虫化石は,
羽層群の含ペルム紀放散虫岩礁の後背地の,最も可能性の
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高い候補として検討する.
成羽層群分布域の南および東側に分布する舞鶴帯・超丹
波帯相当層からは,以下のようなベルム紀放散虫化石の報
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Ishiga, 1987). 岡山県西部,井原北西地域の粘板岩淡緑色砂
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岩互層からはベルム紀中世から新世前期の Follicucullus
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scholasti,印Sが産出する(堤, 1991). 石賀ほか(1988)は同じく
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井原北西地域の泥岩,頁岩から Ps.long幽en邸群集帯から
上部三畳系成羽層群の喋岩から産出した放散虫化石
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酸性提灰岩からは Follicucull回 monacan的出などのベルム紀
中世の放散虫化石が産出する(山下・石賀. 19卯1). 岡山県
北部,勝山地域の弱変成古生層の泥岩,酸性凝灰岩からは
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aasym脱出ca などのペルム紀中世から新世にかけ
ての放散虫化石が報告されている(三宅. 1985). 佐野ほか
(1 987)は成羽層群の北西部に隣接して分布する吉井層群の
チャート,珪質泥岩と,宇治層群の石灰岩角喋岩の岩塊を
含む黒色泥岩から , P
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.lomentaria群集帯から Fo. schol,訓'CUS
群集帯(ペルム紀古世中期から新世前期)にかけての放散虫
化石を報告している.吉井層群のチャートは,赤色から灰
色を呈する層状チャートで海綿骨針も含まれている.ま
た,同地域の菅野チャート層の塊状チャートは,放散虫遺
骸をほとんど含まず海綿骨針のみからなるスピキュライト
である.
秋吉帯の含ペルム紀放散虫岩類の年代幅は,成羽層群の
喋岩から得られた放散虫化石の年代を含んでいる.特にペ
ルム紀古世から中世の放散虫化石は,舞鶴帯・超丹波帯か
らの産出の報告は少なしこれらを産出した礁は秋吉帯か
ら供給されたと考えられる.成羽層群の喋としてスピキュ
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ライトが多く含まれ,秋吉帯にスピキュライトが分布する
こともこの考えを支持する.しかし,これら秋吉帯のペル
ム系は大きな石灰岩体に伴われているのが普通である.含
ぬ1. scholasticu誹集帯(ペルム紀中世前期から新世前期間放
ベルム紀放散虫礁が秋吉帯から供給されたとすると,研究
散虫化石を報告している.その西側,井原北部地域からは
地域の成羽層群に石灰岩起源の砕屑物が含まれていなρ と
チャート,泥岩から Follicucu11us scholasticus , P
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いう事実と矛盾するように思われる.小林ほか(1 937)仏石
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asp. などの放散虫化石が報告されている(石賀ほ
灰岩は喋になりにくいとはいえ,成羽層群にほとんど含ま
か, 1989). このチャートは赤色の層状チャートであるが,
れていないことは注目に値し,成羽層群堆積時に秋吉帯の
玄武岩中に層状またはプロック状岩体として含まれ,分布
石灰岩体は想像以上に速くに分布し,露出も現在ほど大規
面積は狭い.また,成羽層群と断層で接する黒萩層からは
模でなかった可能性を指摘している.成羽層群の中でも,
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本地域西方の大賀地域や日南地域からは石灰岩諜の報告が
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asp. などが産出する(石賀ほか, 1
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ある(中野. 1952; 藤本ほか, 1994).
また,成羽層群の北
このように成羽層群の南側に分布する舞鶴帯・超丹波帯
側に分布する白亜系硯石層群には多量の石灰岩礁が含まれ
相当層の含放散虫岩はペルム紀中世から新祉の年代を示す
ている(鈴木・Asiedu , 1995). このように,本地域の成羽層
ものが多く,放散虫化石を産出する岩相も泥岩が中心であ
群に石灰岩1J鴨あるいは砕屑粒子として含まれていないの
る.本報告で扱った喋が南側から供給されたと考えると,
は,秋吉帯の石灰岩体が,成羽層群堆積時には遠方にあっ
ペルム紀古世の放散虫の報告がないこと,現在広く露出し
たか,または地表に露出していなかったためで,チャート
ている斑れい岩類などが成羽層群の喋としてみられないこ
喋などは後背地に分布していた秋吉帯の非石灰岩相から供
となどの問題が残る.しかし R蜘dotormen凶 kamigorien邸
給されたとすれば説明できる.この場合,秋吉帯石灰岩根
などの,ベ Jレム紀中世から新世の放散虫化石を産する礁に
は硯石層群堆積時までに成羽地域近辺に移動,あるいは露
関しては,舞鶴帯・超丹被帯相当層から供給されたのかも
出したのだろう.
以上のように,成羽層群から産出した含ベルム紀放散虫
しれない.
北側に分布する秋吉帯からは以下のような報告がある.
岩礁は,時代・岩相の特徴から見て,北方の秋吉帯に由来
広島県北東部,帝釈地域の妻子旅山層のチャート,泥岩,酸
する可能性が高い.また,一部の喋は,舞鶴帯・超丹波帯
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.1 群集帯から Ps. glo加'S8群
に由来する可能性もある.これらの離の起源や成羽層鮮の
集宇野(ベルム紀古世最前期から中世中期}の放散虫化石が産
諜種構成を考察することは,中園地方の中生代テクトニク
出する(五島,
スを考える上で重要な示唆を与える.
性擬灰岩からは ,
1988). 岡山県北西部,阿哲地域の寺内層の
亀高正男
130
謝辞
本研究を進めるにあたり,名古屋大学の小嶋智助教授
には終始御指導をしていただいた.日本椙祉大学の水谷伸
治郎教授,名古屋大学の足立
守教授,杉山和弘博士には
貴重な御助言をいただいた.記して感謝の意を表します.
引用文献
亀高正男・小嶋
智, 1995 ,上部三畳系成羽層群の後背地
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舘山
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山下雅之・石賀裕明. 1990,岡山県阿哲台における中部ベ
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石賀裕明・高松雅俊・滝川
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明, 1960,大賀周辺の三畳系とその変形,第 2 部
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昭人, 1991 ,岡山県南西部井原市周辺に分布する上部
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岡山県井原北西および金川地域の舞鶴層群の放散虫
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雑, 96, 687・689.
生層序.島根大地質研報, no.7 , 39
4
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.
ExplaoationofPlate1
PermianR姐iolaria 合'Om 血e ∞nglomerate of 血e N
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7 , 8. ps即do制加倒的's s
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t(6145212211 , 6
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9 , 10. Ent鉱山ia s
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.(6136212210, 61416β211)
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Sαlebar: 70μm f
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1
;10仰mforl , 3-5and7- 1O; 150.μmfor2 組d6.
上部三畳系成羽層群の様岩から産出した放散虫化石
1
3
1
Pl
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